この章では、Sun Cluster 定足数サーバー ソフトウェアを構成する方法について説明します。この章は、次の節で構成されています。
Sun Cluster 定足数サーバー ソフトウェアをインストールすると、デフォルトの構成ファイルである /etc/scqsd/scqsd.conf が作成されます。このファイルには 1 つのデフォルトの定足数サーバーに関する情報が含まれています。/etc/scqsd/scqsd.conf ファイルの各行は、次のような形式になっています。
/usr/cluster/lib/sc/scqsd [-d quorumdirectory] [-i instancename] -p port |
Sun Cluster 定足数サーバー ソフトウェアをインストールした場所へのフルパスです。この値は、/usr/cluster/lib/sc/scqsd である必要があります。
定足数サーバーが定足数データを格納できるディレクトリへのパスです。
クラスタ固有の定足数情報を格納するために、定足数サーバープロセスはこのディレクトリに 1 クラスタにつき 1 つのファイルを作成します。デフォルトでは、このオプションの値は /var/scqsd です。このディレクトリは、ユーザーが構成する各定足数サーバーに対して一意です。
定足数サーバーインスタンスに対してユーザーが選択する一意の名前です。
定足数サーバーがクラスタからの要求を待機するポート番号です。デフォルトのポートは 9000 です。
インスタンス名はオプションです。定足数サーバーに対して名前を指定する場合、その名前はシステム内のすべての定足数サーバー間で一意にします。インスタンス名のオプションを省略した場合は、定足数サーバーが待機するポートにより定足数サーバーを参照します。
1 台のホストマシン上の構成ファイルに、複数の定足数サーバーを追加することができます。/etc/scqsd/scqsd.conf ファイルを編集し、必要な定足数サーバーの追加インスタンス 1 つに対して、1 つのエントリを追加します。
行頭に番号記号 (#) がある行はコメントとして扱われ、無視されます。どの行も、ファイル内の指定に従って実行されます。
Sun Cluster 定足数サーバー ソフトウェアがインストールされているホスト上でスーパーユーザーになります。
/etc/scqsd/scqsd.conf ファイルを編集します。
インスタンス名またはポート番号の少なくとも一方を使用して、定足数サーバーを識別します。
/usr/cluster/lib/sc/scqsd [-d /var/scqsd] [-i instancename] -p port |
定足数サーバーが定足数データを格納できるディレクトリへのパスです。
クラスタ固有の定足数情報を格納するため、定足数サーバープロセスはこのディレクトリに 1 クラスタにつき 1 つのファイルを作成します。
デフォルトでは、このオプションの値は /var/scqsd です。このディレクトリは、ユーザーが構成する各定足数サーバーに対して一意にします。
定足数サーバーインスタンスに対してユーザーが選択する一意の名前です。
定足数サーバーがクラスタからの要求を待機するポート番号です。
ポート番号は指定する必要がありますが、インスタンス名はオプションです。インスタンス名を指定する場合、その名前は定足数サーバー間で一意にします。名前を指定しない場合、常に、定足数サーバーが待機するポートによりこの定足数サーバーを参照します。
/etc/scqsd/scqsd.conf ファイルを保存して閉じます。
新たに構成された定足数サーバーを起動します。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver start quorumserver |
定足数サーバーを識別します。定足数サーバーが待機するポート番号を使用できます。構成ファイルでインスタンス名を指定した場合は、代わりにその名前を使用できます。
1 台の定足数サーバーを起動するには、インスタンス名とポート番号のいずれかを指定します。複数の定足数サーバーを構成している場合、すべての定足数サーバーを起動するには、 + オペランドを使用します。
次の手順では、Sun Cluster 定足数サーバー ソフトウェアを起動および停止する方法を説明します。
デフォルトでは、次の手順は、定足数サーバー構成ファイル /etc/scqsd/scqsd.conf の内容を カスタマイズしていない場合の、1 つのデフォルト定足数サーバー を起動および停止します。デフォルトの定足数サーバーはポート 9000 上にバインドされ、定足数情報には /var/scqsd ディレクトリを使用します。
定足数サーバー起動ファイルのカスタマイズの詳細については、「同一ホスト上での複数の定足数サーバーの構成」を参照してください。
Sun Cluster 定足数サーバー ソフトウェアを起動するホスト上でスーパーユーザーになります。
ソフトウェアを起動するには、clquorumserver start コマンドを使用します。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver start quorumserver |
定足数サーバーを識別します。定足数サーバーが待機するポート番号を使用できます。構成ファイルでインスタンス名を指定した場合は、代わりにその名前を使用できます。
1 台の定足数サーバーを起動するには、インスタンス名とポート番号のいずれかを指定します。複数の定足数サーバーを構成している場合、すべての定足数サーバーを起動するには、 + オペランドを使用します。
次の例では、構成されているすべての定足数サーバーを起動します。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver start + |
次の例では、ポート番号 2000 で待機している定足数サーバーを起動します。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver start 2000 |
Sun Cluster 定足数サーバー ソフトウェアを停止するホスト上でスーパーユーザーになります。
ソフトウェアを停止するには、clquorumserver stop コマンドを使用します。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver stop quorumserver |
定足数サーバーを識別します。定足数サーバーが待機するポート番号を使用できます。構成ファイルでインスタンス名を指定した場合は、代わりにその名前を使用できます。
1 台の定足数サーバーを停止するには、インスタンス名とポート番号のいずれかを指定します。複数の定足数サーバーを構成している場合、すべての定足数サーバーを停止するには、 + オペランドを使用します。
次の例では、構成されているすべての定足数サーバーを停止します。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver stop + |
次の例では、ポート番号 2000 で待機している定足数サーバーを停止します。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver stop 2000 |
定足数サーバーについての構成情報を表示することができます。このコマンドは、定足数サーバーを定足数デバイスとして構成しているすべてのクラスタごとに、対応するクラスタ名、クラスタ ID、予約鍵のリスト、および登録鍵のリストを表示します。
定足数サーバーの情報を表示するホスト上でスーパーユーザーになります。
スーパーユーザー以外のユーザーには、solaris.cluster.read RBAC (Role-Based Access Control) の承認が必要です。RBAC 権限プロファイルの詳細については、rbac(5) のマニュアルページを参照してください。
clquorumserver コマンドを使用することで、定足数サーバーの構成情報を表示します。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver show quorumserver |
1 つまたは複数の定足数サーバーを識別します。インスタンス名またはポート番号で定足数サーバーを指定できます。すべての定足数サーバーの構成情報を表示するには、+ オペランドを使用します。
次の例では、ポート 9000 を使用する定足数サーバーの構成情報を表示します。次のコマンドは、定足数デバイスとして構成されている定足数サーバーを持つすべてのあらゆるクラスタの情報を表示します。この情報にはクラスタの名前と ID、およびデバイスの予約鍵と登録鍵のリストが含まれます。
次の例では、クラスタ bastille の ID が 1、2、3、および 4 であるノードが、定足数サーバー上に鍵を登録しています。また、ノード 4 は定足数デバイスの予約を所有しているため、その鍵は予約リストに表示されます。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver show 9000 === Quorum Server on port 9000 === --- Cluster bastille (id 0x439A2EFB) Reservation --- Node ID: 4 Reservation key: 0x439a2efb00000004 --- Cluster bastille (id 0x439A2EFB) Registrations --- Node ID: 1 Registration key: 0x439a2efb00000001 Node ID: 2 Registration key: 0x439a2efb00000002 Node ID: 3 Registration key: 0x439a2efb00000003 Node ID: 4 Registration key: 0x439a2efb00000004 |
次の例では、3 つの定足数サーバー qs1、qs2、および qs3 の構成情報を表示します。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver show qs1 qs2 qs3 |
次の例では、動作しているすべての定足数サーバーの構成情報を表示します。
# /usr/cluster/bin/clquorumserver show + |
タイプ quorumserver の定足数デバイスを削除するには、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の「定足数デバイスを削除する」で説明されている clquorum remove コマンドを使用します。通常の動作では、このコマンドは定足数サーバーホスト上の定足数サーバーの情報も削除します。ただし、クラスタが定足数サーバーホストとの通信を失うと、定足数デバイスを削除しても、この情報がクリーンアップされません。
定足数サーバークラスタ情報は、次の状況で無効になります。
clquorum remove コマンドを使用してクラスタ定足数デバイスを削除せずに、クラスタの運用を停止した場合。
定足数サーバーホストが停止している間に、quorum_server タイプの定足数デバイスをクラスタから削除した場合。
タイプ quorumserver の定足数デバイスがまだクラスタから削除されていない場合、この手順を使用して無効な定足数サーバーを削除すると、クラスタ定足数に障害が発生する可能性があります。
『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の「定足数デバイスを削除する」で説明されている手順で、クラスタから定足数サーバー定足数デバイスを削除します。
19 ページの「期限切れの定足数サーバークラスタ情報のクリーンアップ」で説明されている状況が有効である場合のみ、この手順を使用します。クラスタがまだこの定足数サーバーを使用している場合、この手順を実行するとクラスタ定足数に障害が発生します。
定足数サーバーホストでスーパーユーザーになります。
clquorumserver clear コマンドを使用して、構成ファイルをクリーンアップします。
# clquorumserver clear -c clustername -I clusterID quorumserver [-y] |
以前に定足数サーバーを定足数デバイスとして使用していたクラスタの名前です。
クラスタ名を取得するには、クラスタノード上で cluster show を実行します。
クラスタ ID です。
クラスタ ID は 8 桁の 16 進数です。クラスタ ID を取得するには、クラスタノード上で cluster show を実行します。
1 つまたは複数の定足数サーバーの識別子です。
定足数サーバーは、ポート番号かインスタンス名で識別できます。ポート番号は、クラスタノードが定足数サーバーと通信するために使用されます。インスタンス名は、定足数サーバーの構成ファイル /etc/scqsd/scqsd.conf で指定されます。
実行前に確認のプロンプトを表示することなく、clquorumserver clear コマンドに、構成ファイルからクラスタ情報をクリーン アップさせます。
期限切れのクラスタ情報を定足数サーバーから削除したいことが確かである場合のみ、このオプションを使用します。
(省略可能) このサーバーインスタンスでほかに定足数デバイスが構成されていない場合は、定足数サーバーを停止します。
詳細な手順については、「定足数サーバーを停止する」を参照してください。
次の例は、sc-cluster という名前のクラスタについての情報を、ポート 9000 を使用する定足数サーバーから削除します。
# clquorumserver clear -c sc-cluster -I 0x4308D2CF 9000 The quorum server to be unconfigured must have been removed from the cluster. Unconfiguring a valid quorum server could compromise the cluster quorum. Do you want to continue? (yes or no) y |