Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

Procedureすべてのノードで Sun Cluster ソフトウェアを構成する (XML)

XML クラスタ構成ファイルを使用して新規グローバルクラスタを構成するには、以下の手順を実行します。新しいクラスタは、Sun Cluster 3.2 11/09 ソフトウェアを実行する既存のクラスタから複製できます。

この手順では、次のクラスタ構成要素を構成します。

始める前に

次の作業を実行します。

  1. 作成するクラスタノードで Sun Cluster 3.2 11/09 ソフトウェアがまだ設定されていないことを確認します。

    1. 新しいクラスタに設定するノードでスーパーユーザーになります。

    2. 作成するノードで Sun Cluster ソフトウェアがすでに構成されているか調べます。


      phys-schost# /usr/sbin/clinfo -n
      
      • コマンドが次のメッセージを返す場合は、手順 c に進みます。


        clinfo: node is not configured as part of acluster: Operation not applicable

        このメッセージは、作成するノードで Sun Cluster ソフトウェアがまだ構成されていないことを示します。

      • このコマンドでノード ID 番号が返される場合、この手順を実行しないでください。

        ノード ID が返されることは、Sun Cluster ソフトウェアがすでにノードで構成されていることを示します。

        クラスタで旧バージョンの Sun Cluster ソフトウェアが実行されていて、Sun Cluster 3.2 11/09 ソフトウェアをインストールしたい場合、代わりに『Sun Cluster Upgrade Guide for Solaris OS』のアップグレード手順を実行します。

    3. 新しいクラスタで構成する残りの各ノードで手順 a および手順 b を繰り返します。

      作成するクラスタノードでSun Cluster ソフトウェアがまだ構成されていない場合は、手順 2 に進みます。

  2. 新しいクラスタのプライベートインターコネクトでスイッチを使用している場合は、NDP (Neighbor Discovery Protocol) が無効になっていることを確認します。

    スイッチのマニュアルの手順に従って、NDP が有効になっているかどうかを確認し、NDP を無効にします。

    クラスタ構成中に、ソフトウェアはプライベートインターコネクトにトラフィックがないことを確認します。プライベートインターコネクトでトラフィックを確認したときに NDP がプライベートアダプタにパッケージを送信する場合、ソフトウェアはインターコネクトがプライベートではないものとみなし、クラスタ構成が中断されます。このため、クラスタ作成中は NDP を無効にしてください。

    クラスタが確立されたあと、NDP の機能を使用する場合は、プライベートインターコネクトスイッチ上でもう一度 NDP を有効にすることができます。

  3. Sun Cluster 3.2 11/09 ソフトウェアを実行している既存のクラスタを複製する場合は、そのクラスタ内のノードを使用して、クラスタ構成 XML ファイルを作成します。

    1. 複製するクラスタの有効なメンバーでスーパーユーザーになります。

    2. 既存のクラスタの構成情報をファイルにエクスポートします。


      phys-schost# cluster export -o clconfigfile
      
      -o

      出力先を指定します。

      clconfigfile

      クラスタ構成 XML ファイルの名前。指定するファイル名は、既存のファイルまたはコマンドで作成される新規ファイルになります。

      詳細については、cluster(1CL)のマニュアルページを参照してください。

    3. 新しいクラスタを構成するノードに構成ファイルをコピーします。

      クラスタノードとして構成する他のホストからアクセス可能なディレクトリであれば、任意のディレクトリにファイルを格納できます。

  4. 新しいクラスタに設定するノードでスーパーユーザーになります。

  5. 必要に応じてクラスタ構成 XML ファイルを変更します。

    1. クラスタ構成 XML ファイルを編集するために開きます。

      • 既存のクラスタを複製する場合、cluster export コマンドで作成したファイルを開きます。

      • 既存のクラスタを複製しない場合は、新しいファイルを作成します。

        clconfiguration(5CL) のマニュアルページに示した要素の階層に基づいてファイルを作成して下さい。クラスタノードとして構成する他のホストからアクセス可能なディレクトリであれば、任意のディレクトリにファイルを格納できます。

    2. XML 要素の値を作成するクラスタ構成を反映するように変更します。

      • クラスタを確立するには、クラスタ構成 XML ファイルで次の構成要素が有効な値を持つ必要があります。

        • クラスタ名

        • クラスタノード

        • クラスタトランスポート

      • クラスタは、クラスタノードとして構成する各ノードに /globaldevices パーティションが存在することを前提に作成されます。このパーティションにグローバルデバイスの名前空間が作成されます。グローバルデバイスを作成する別のファイルシステム名を使用する必要がある場合は、/globaldevicesという名前のパーティションを持たない各ノードの<propertyList>要素に次のプロパティを追加します。


        …
          <nodeList>
            <node name="node" id="N">
              <propertyList>
        …
                <property name="globaldevfs" value="/filesystem-name">
        …
              </propertyList>
            </node>
        …

        その代わり、グローバル-デバイス名前空間に lofi デバイスを使用するには、globaldevfs プロパティの値をlofi に設定します。


                
        <property name="globaldevfs" value="lofi">
        
      • 既存のクラスタからエクスポートした構成情報を変更する場合、新しいクラスタを反映するために変更の必要な一部の値 (ノード名など) が複数のクラスタオブジェクトに含まれています。

      クラスタ構成 XML ファイルの構造と内容の詳細については、clconfiguration(5CL) のマニュアルページを参照してください。

  6. クラスタ構成XMLファイルを確認します。


    phys-schost# /usr/share/src/xmllint --valid --noout clconfigfile
    

    詳細については、xmllint() のマニュアルページを参照してください。

  7. クラスタ構成 XML ファイルの潜在ノードから、クラスタを作成します。


    phys-schost# cluster create -i clconfigfile
    
    -i clconfigfile

    入力ソースとして使用するクラスタ構成 XML ファイルの名前を指定します。

  8. Solaris 10 OS の場合、各ノードでサービス管理機能 (Service Management Facility、SMF) 用のマルチユーザーサービスがオンラインであることを確認します。

    ノードのサービスがまだオンラインでない場合は、次のステップに進む前に状態がオンラインに変わるまで待ちます。


    phys-schost# svcs multi-user-server node
    STATE          STIME    FMRI
    online         17:52:55 svc:/milestone/multi-user-server:default
  9. 1 つのノードから、すべてのノードがクラスタに参加していることを確認します。


    phys-schost# clnode status
    

    出力は次のようになります。


    === Cluster Nodes ===
    
    --- Node Status ---
    
    Node Name                                       Status
    ---------                                       ------
    phys-schost-1                                   Online
    phys-schost-2                                   Online
    phys-schost-3                                   Online

    詳細は、clnode(1CL) のマニュアルページを参照してください。

  10. Sun Cluster ソフトウェアをサポートするために必要なパッチをインストールしていない場合は、これをインストールします。

    パッチおよびインストール手順の場所については、Sun Cluster Release Notes の 「 「Patches and Required Firmware Levels」 」 を参照してください。

  11. 高可用ローカルファイルシステムで Sun Cluster HA for NFS を使用する場合は、ループバックファイルシステム (Loopback File System、LOFS) が無効になっている必要があります。

    LOFS を無効にするには、クラスタの各ノードの/etc/system ファイルに次のエントリを追加します。


    exclude:lofs

    /etc/system ファイルへの変更は、次のシステム再起動後に有効になります。


    注 –

    高可用ローカルファイルシステムで Sun Cluster HA for NFS を使用し、かつautomountd を実行している場合は、LOFS を有効にすることはできません。LOFS が Sun Cluster HA for NFS でスイッチオーバーの問題を引き起こすおそれがあります。高可用ローカルファイルシステムに Sun Cluster HA for NFS を追加することを選択する場合は、次のいずれかの構成の変更を行う必要があります。

    ただし、クラスタで非大域ゾーンを構成する場合は、すべてのクラスタノードで LOFS を有効にする必要があります。高可用ローカルファイルシステム上の Sun Cluster HA for NFS が LOFS と共存する必要がある場合は、LOFS を無効にする代わりに、ほかのソリューションを使用してください。

    • LOFS を無効にします。

    • automountd デーモンを無効にします。

    • Sun Cluster HA for NFS からエクスポートされた高可用ローカルファイルシステムに含まれるすべてのファイルをオートマウンタマップから除外します。この選択により、LOFS と automountd デーモンの両方を有効なままにすることができます。


    ループバックファイルシステムについて詳細は、『System Administration Guide: Devices and File Systems』(Solaris 9 または Solaris 10) の「The Loopback File System」を参照してください。

  12. 既存のクラスタから定足数情報を複製するには、クラスタ構成 XML ファイルを使用して定足数デバイスを構成します。

    2 ノードクラスタを作成した場合、定足数デバイスを構成する必要があります。必要な定足数デバイスを作成するためにクラスタ構成 XML ファイルを使用しない場合は、代わりに 「定足数デバイスを構成する」に進みます。

    1. 定足数デバイスに定足数サーバーを使用する場合は、定足数サーバーが設定されて動作していることを確認します。

      「定足数サーバーソフトウェアをインストールして構成する」の手順に従います。

    2. 定足数デバイスに NAS デバイスを使用している場合は、NAS デバイスが設定されて動作していることを確認します。

      1. NAS デバイスを定足数デバイスとして使用するための要件を守ってください。

        『Sun Cluster 3.1 - 3.2 With Network-Attached Storage Devices Manual for Solaris OS』を参照してください。

      2. デバイスの手順に従って、NAS デバイスを設定してください。

    3. クラスタ構成 XML ファイル内の定足数構成情報が作成したクラスタの有効な値を反映していることを確認します。

    4. クラスタ構成 XML ファイルを変更した場合は、そのファイルを確認します。


      phys-schost# xmllint --valid --noout clconfigfile
      
    5. 定足数デバイスを構成します。


      phys-schost# clquorum add -i clconfigfile devicename
      
      devicename

      定足数デバイスとして構成するストレージデバイスの名前を指定します。

  13. クラスタのインストールモードを解除します。


    phys-schost# clquorum reset
    
  14. 構成されたクラスタメンバーでないマシンによるクラスタ構成へのアクセスを終了します。


    phys-schost# claccess deny-all
    
  15. (省略可能) モニター済の共有ディスクパスがすべて失敗した場合、自動ノード再起動を有効にします。

    1. 自動リブートを有効化します。


      phys-schost# clnode set -p reboot_on_path_failure=enabled
      
      -p

      設定するプロパティーを指定します。

      reboot_on_path_failure=enable

      監視される共有ディスクパスすべてに障害が発生する場合、自動ノードリブートを有効化します。

    2. ディスクパスの障害発生時の自動リブートが有効になっていることを確認します。


      phys-schost# clnode show
      === Cluster Nodes ===                          
      
      Node Name:                                      node
      …
        reboot_on_path_failure:                          enabled
      …

例 3–2 すべてのノードで XML ファイルを使用して、Sun Cluster ソフトウェアを構成する

次の例では、既存の 2 ノードクラスタのクラスタ構成と定足数構成を新しい 2 ノードクラスタに複製します。新しいクラスタには Solaris 10 OS がインストールされ、非大域ゾーンで構成されていません。クラスタ構成は、既存のクラスタノード、phys-oldhost-1 からクラスタ構成 XML ファイル clusterconf.xml にエクスポートされます。新しいクラスタのノード名は、phys-newhost-1 および phys-newhost-2 です。新しいクラスタで定足数デバイスとして構成されるデバイスは、d3 です。

この例で、プロンプト名 phys-newhost-N は、コマンドが両方のクラスタノードで実行されることを示しています。


phys-newhost-N# /usr/sbin/clinfo -n
clinfo: node is not configured as part of acluster: Operation not applicable
 
phys-oldhost-1# cluster export -o clusterconf.xml
Copy clusterconf.xml to phys-newhost-1 and modify the file with valid values
 
phys-newhost-1# xmllint --valid --noout clusterconf.xml
No errors are reported
 
phys-newhost-1# cluster create -i clusterconf.xml
phys-newhost-N# svcs multi-user-server phys-newhost-N
STATE          STIME    FMRI
online         17:52:55 svc:/milestone/multi-user-server:default
phys-newhost-1# clnode status
Output shows that both nodes are online
 
phys-newhost-1# clquorum add -i clusterconf.xml d3
phys-newhost-1# clquorum reset

注意事項

構成の失敗 – 1 つまたは複数のノードがクラスタに参加できない場合、または誤った構成情報が指定された場合は、まずこの手順をもう一度実行してみてください。それでも問題が修正されない場合は、誤った構成の各ノードで 「インストールの問題を修正するために Sun Cluster ソフトウェアを構成解除する」の手順を実行して、クラスタ構成からそのノードを削除します。Sun Cluster ソフトウェアパッケージをアンインストールする必要はありません。それから、この手順をもう一度実行します。

次の手順

「定足数構成とインストールモードを確認する」に進みます。

参照

クラスタが完全に確立されたら、既存のクラスタから他のクラスタ構成要素の構成を複製できます。まだ複製を実行していない場合は、複製する XML 要素の値を構成要素を追加するクラスタ構成を反映するように変更します。たとえば、リソースグループを複製している場合、ノード名が同じでない限り、<resourcegroupNodeList> エントリに複製したクラスタからのノード名でなく、新しいクラスタの有効なノード名が含まれることを確認してください。

クラスタ構成要素を複製するには、複製するクラスタ構成要素のオブジェクト指向コマンドの export サブコマンドを実行します。コマンド構文およびオプションの詳細については、複製するクラスタオブジェクトのマニュアルページを参照してください。次の表は、クラスタを確立した後にクラスタ構成 XML ファイルから作成できるクラスタ構成要素および構成要素を複製するために使用するコマンドのマニュアルページを示しています。


注 –

この表では、長い形式の Sun Cluster コマンドを示しています。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式を除き、コマンドは同じです。コマンドリストとコマンドの短縮形については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の付録 B「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。


クラスタコンポーネント 

マニュアルページ 

特別な指示 

デバイスグループ: Solaris ボリュームマネージャー および Veritas Volume Manager 

cldevicegroup(1CL)

Solaris ボリュームマネージャー の場合、最初にクラスタ構成 XML ファイルで指定するディスクセットを作成します。 

VxVM の場合、 最初に VxVM ソフトウェアをインストールして設定し、クラスタ構成 XML ファイルで指定するディスクグループを作成します。 

リソース 

clresource(1CL)

clresourceclressharedaddress、または clreslogicalhostname コマンドの -a オプションを使用して、複製するリソースに関連したリソースタイプとリソースグループを複製することもできます。

それ以外の場合は、リソースを追加する前に、まずリソースタイプとリソースグループをクラスタに追加する必要があります。 

共有アドレスリソース 

clressharedaddress(1CL)

論理ホスト名リソース 

clreslogicalhostname(1CL)

リソースタイプ 

clresourcetype(1CL)

リソースグループ 

clresourcegroup(1CL)

NAS デバイス 

clnasdevice(1CL)

デバイスのマニュアルの手順に従って、最初に NAS デバイスを設定する必要があります。 

SNMP ホスト 

clsnmphost(1CL)

clsnmphost create -i コマンドでは、-f オプションでユーザーのパスワードファイルを指定する必要があります。

SNMP ユーザー 

clsnmpuser(1CL)

 

クラスタオブジェクト上のシステムリソースを監視するためのしきい値 

cltelemetryattribute(1CL)