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x86 プラットフォーム上の Oracle Solaris のブートおよびシャットダウン Oracle Solaris 11 Information Library (日本語) |
1. x86 ベースシステムのブートおよびシャットダウン (概要)
2. 指定された状態への x86 ベースシステムのブート (タスク)
5. x86 ベースシステムのネットワークからのブート (作業)
6. x86 ベースシステム上のブートパラメータの変更 (タスク)
7. x86 プラットフォーム上での ZFS ブート環境の作成、管理、およびこのブート環境からのブート (タスク)
8. x86 ベースシステムのブート可能状態の維持 (タスク)
Oracle Solaris の高速リブート機能を使用すると、ファームウェアとブートローダーのプロセスをバイパスして、x86 ベースシステムをリブートできます。高速リブートでは、カーネルをメモリーにロードしてからそのカーネルに切り替えるインカーネルブートローダーを実装することにより、リブート処理を数秒で実行できます。高速リブートとパニック高速リブート (システムパニックのあとのシステムの高速リブート) がデフォルトで有効になっているため、x86 ベースシステムの高速リブートを開始するために reboot コマンドで -f オプションを使用する必要はありません。
高速リブートのサポートは、新しい boot-config サービスである svc:/system/boot-config:default によって促進されています。このサービスによって、システムのデフォルトのブート構成プロパティーを必要に応じて設定または変更するための手段が提供されます。config/fastreboot_default プロパティーが true に設定されている場合は、システムが自動的に高速リブートを実行します。このプロパティーの値は、x86 ベースシステムでは true に設定されています。詳細は、「高速リブート機能のデフォルト動作の変更」を参照してください。
新しい OS イメージのブート時にファームウェアをバイパスするシステムの機能は、デバイス動作の新しいエントリポイントである quiesce のデバイスドライバでの実装に依存しています。サポートされているドライバでは、この実装によってデバイスが休止されるため、関数の完了時にそのドライバによって割り込みが生成されなくなります。この実装ではまた、デバイスがハードウェア状態にリセットされます。この状態からは、システムの電源を切ってすぐに入れ直したり、ファームウェアで構成したりしなくても、ドライバの attach ルーチンによってそのデバイスを正しく構成できます。この機能についての詳細は、quiesce(9E) および dev_ops(9S) のマニュアルページを参照してください。
注 - すべてのドライバで quiesce 関数が実装されているわけではありません。トラブルシューティングの手順については、「x86 プラットフォーム上で高速リブートが動作できなくなる可能性のある状態のトラブルシューティング」を参照してください。
高速リブートプロセスをさらに詳細に説明したデモを表示するには、http://download.oracle.com/otndocs/tech/OTN_Demos/x86/x86-OTN-Demo/x86-OTN-Demo.html にアクセスしてください。
注 - この Oracle Solaris リリースでは、高速リブートは x86 ベースのシステムでデフォルトの動作モードです。以前は、x86 ベースのシステムで高速リブートをブートするには、reboot コマンドで -f オプションを指定して、システムの高速リブートをブートする必要がありました。このオプションを指定する必要はなくなりました。
# reboot
# init 6
代替ブート環境への x86 ベースシステムの高速リブートを実行するには、複数の方法を使用できます。次の例は、これらの方法のいくつかを示しています。
例 4-2 x86: 新しくアクティブにしたブート環境へのシステムのリブートの開始
次の例は、新しくアクティブになったブート環境 2010-12-10-be にシステムの高速リブートを開始する方法を示しています。
# bootadm list-menu the location for the active GRUB menu is: /rpool/boot/grub/menu.lst default 0 0 oracle solaris 11 1 2010-12-10-be 2 zfsbe2 3 2010-12-10-be-s
# beadm activate 2010-12-10-be # reboot
例 4-3 x86: 代替ブート環境の指定によるシステムのリブートの開始
代替ブート環境 (たとえば、zfsbe2) にシステムを高速リブートするには、次のコマンドを入力します。
# reboot -- 'rpool/zfsbe2'
rpool/zfsbe1 という名前のデータセットへのシステムの高速リブートを開始するには、次のコマンドを入力します。
# reboot -- 'rpool/zfsbe1'
代替 ZFS ルートデータセットへのシステムの高速リブートを開始するには、次のコマンドを入力します。
# reboot -- 'rpool/ROOT/zfsroot2'
例 4-4 カーネルデバッガを有効にした状態での代替ブート環境へのシステムの高速リブートの開始
カーネルデバッガを有効にした状態で zfsbe3 ブート環境へのシステムの高速リブートを開始するには、次のコマンドを入力します。
# reboot -- 'rpool/zfsbe3 /platform/i86pc/kernel/amd64/unix -k'
例 4-5 x86: 新しいカーネルへのシステムのリブートの開始
my-kernel という名前の新しいカーネルへのシステムの高速リブートを開始するには、次のコマンドを入力します。
# reboot -- '/platform/i86pc/my-kernel/amd64/unix -k'
例 4-6 x86: マウントされたディスクまたはマウントされたデータセットのリブートの開始
マウントされたディスクまたはマウントされたデータセットの高速リブートを開始するには、次のコマンドを入力します。
# reboot -- '/mnt/platform/i86pc/my-kernel/amd64/unix -k'
例 4-7 x86: カーネルデバッガを有効にした状態での、シングルユーザー状態へのシステムのリブートの開始
カーネルデバッガを有効にした状態でシステムのシングルユーザー状態への高速リブートを開始するには、次のコマンドを入力します。
# reboot -- '-ks'
高速リブート機能は SMF によって制御され、ブート構成サービス svc:/system/boot-config を通して実装されます。boot-config サービスは、デフォルトのブートパラメータを設定または変更するための手段を提供します。
boot-config サービスの fastreboot_default プロパティーを使用すると、reboot コマンドまたは init 6 コマンドのいずれかが使用されている場合のシステムの自動高速リブートが有効になります。config/fastreboot_default プロパティーを true に設定すると、システムは高速リブートを自動的に実行するため、reboot -f コマンドを使用する必要はありません。このプロパティーの値は、x86 ベースシステムではデフォルトで true に設定されています。
svc:/system/boot-config:default サービスは、次のプロパティーで構成されています。
config/fastreboot_default
config/fastreboot_onpanic
例 4-8 x86: boot-config サービスのプロパティーの構成
boot-config サービスに含まれているプロパティーは、svccfg および svcadm コマンドを使用して構成できます。
たとえば、x86 ベースシステム上の fastreboot_onpanic プロパティーのデフォルト動作を無効にするには、次に示すように、このプロパティーの値を false に設定します。
# svccfg -s "system/boot-config:default" setprop config/fastreboot_onpanic=false # svcadm refresh svc:/system/boot-config:default
あるプロパティーの値を変更しても、ほかのプロパティーのデフォルト動作には影響を与えないことに注意してください。
SMF を介したブート構成サービスの管理については、svcadm(1M) および svccfg(1M) のマニュアルページを参照してください。
高速リブート機能が有効になっている x86 ベースシステムをリブートするには、この機能を無効にするように boot-config サービスを再構成するのではなく、次に示すように reboot コマンドで -p オプションを使用します。
# reboot -p