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Oracle Solaris の管理: デバイスとファイルシステム     Oracle Solaris 11 Information Library (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

1.  リムーバブルメディアの管理 (概要)

2.  リムーバブルメディアの管理 (手順)

3.  リムーバブルメディアへのアクセス (手順)

4.  CD および DVD への書き込み (手順)

5.  デバイスの管理 (概要と手順)

6.  デバイスの動的構成 (手順)

7.  USB デバイスの使用 (概要)

8.  USB デバイスの使用 (手順)

9.  InfiniBand デバイスの使用 (概要/手順)

10.  ディスクの管理 (概要)

ディスク管理の新機能

デバイスを物理的な位置で識別する

複数のディスクセクターサイズのサポート

Oracle Solaris OS のインストールおよびブート時における 2T バイトディスクのサポート

Solaris iSCSI ターゲットおよびイニシエータでの iSNS のサポート

Solaris COMSTAR iSCSI のサポート

x86: GRUB ブート環境でのディスク管理

2T バイトを超える SCSI ディスクのサポート

ディスク管理タスクについての参照先

ディスク管理の概要

ディスク関連の用語

ディスクラベルについて

EFI ディスクラベル

EFI ラベルと VTOC ラベル

EFI ディスクラベルの制限

x86 システムにおける EFI ラベル付きディスクのサポート

EFI ラベル付きディスクを使用したシステムへのインストール

EFI ラベル付きディスクの管理

EFI ディスクラベルに関する問題の障害追跡

ディスクスライスについて

ディスクスライス

raw データスライスの使用

format ユーティリティー

format ユーティリティーを使用する場合

format ユーティリティー使用上のガイドライン

ディスクのフォーマット

ディスクをパーティションに分割する

パーティションテーブル関連の用語

パーティションテーブル情報の表示

free hog スライスの使用方法

11.  ディスクの管理 (手順)

12.  SPARC: ディスクの設定 (手順)

13.  x86: ディスクの設定 (手順)

14.  COMSTAR を使用したストレージデバイスの構成

15.  Oracle Solaris Internet Storage Name Service (iSNS) の構成と管理

16.  format ユーティリティー (参照情報)

17.  ファイルシステムの管理 (概要)

18.  ファイルシステムの作成およびマウント (手順)

19.  追加スワップ空間の構成 (手順)

20.  ファイルとファイルシステムのコピー (手順)

21.  テープドライブの管理 (手順)

索引

ディスク管理の概要

一般に、Oracle Solaris OS におけるディスクの管理とは、システムを設定し、Oracle Solaris インストールプログラムを実行し、適切なディスクスライスおよびファイルシステムを作成して Oracle Solaris OS をインストールすることを意味します。また、format ユーティリティーを使用して、新しいディスクドライブを追加したり、欠陥ディスクドライブを交換したりしなければならない場合もあります。

ディスク関連の用語

このセクションの説明を有効に利用するには、基本的なディスクアーキテクチャーを理解しておく必要があります。特に、次の用語を理解しておいてください。

用語
説明
トラック
ディスクが回転するときに 1 つの静止したディスクヘッドの下を通過する同心リング。
シリンダ
ディスクが回転する軸から同じ距離にあるトラックの集まり。
セクター
各ディスクプラッタのセクション。1 セクターは 512 バイトです。
ブロック
ディスク上のデータ記憶領域。1 ディスクブロックは 512 バイトです。
ディスクコントローラ
ディスクドライブを制御するチップおよび関連する回路。
ディスクラベル
ディスクのジオメトリおよびパーティション情報を含む、ディスクの第 1 セクター。
デバイスドライバ
ハードウェアまたは仮想デバイスを制御するカーネルモジュール。

詳細は、ディスク製造元の製品情報を参照してください。

ディスクラベルについて

どのディスクにも、そのディスクのコントローラ、ジオメトリ、およびスライスに関する情報を格納する特殊な領域が確保されています。このような情報をディスクの「ラベル」と呼びます。VTOC ラベル付きのディスク上のディスクラベルを「VTOC (Volume Table of Contents)」と呼びます。「ディスクにラベルを付ける」とは、ディスクにスライス情報を書き込むことを意味します。通常は、ディスクのスライスを変更した後にラベルを付けます。

Oracle Solaris リリースでは、次の 2 つのディスクラベルをサポートしています。

スライスを作成したあとでディスクにラベルを付けないと、OS はスライスを「認識」する方法がないので、そのスライスを利用できなくなります。

EFI ディスクラベル

EFI ラベルは、サイズが 2T バイトを超える物理ディスクボリュームと仮想ディスクボリュームをサポートします。このリリースには、2T バイトを超えるサイズのディスクを管理するための更新版ディスクユーティリティーが付属しています。

次のファイルシステム製品では、1T バイトを超えるサイズのファイルシステムがサポートされています。

サイズが 2T バイトに満たないディスクでは、引き続き VTOC ラベルを使用できます。現在のシステムでサイズが 2T バイトに満たないディスクしか使用しない場合は、以前の Solaris リリースと同じ方法でディスク管理を行います。サイズが 2T バイト以下のディスクに EFI ラベルでラベル付けを行う場合は、format-e コマンドを使用します。詳細は、例 11-5 を参照してください。

システム上で適切な Oracle Solaris リリースが実行されている場合、format -e コマンドを使用することで EFI ラベルをディスクに適用できます。ただし、EFI ラベルを適用する前に、「EFI ディスクラベルの制限」に記載された重要な情報を確認することをお勧めします。

EFI ラベルが不要になった場合に、format -e コマンドを使って、VTOC ラベルを再度適用することもできます。例:

# format -e
Specify disk (enter its number): 2
selecting c0t5d0
[disk formatted]
.
.
.
format> label
[0] SMI Label
[1] EFI Label
Specify Label type[1]: 0
Warning: This disk has an EFI label. Changing to SMI label will erase all
current partitions.
Continue? yes
Auto configuration via format.dat[no]? 
Auto configuration via generic SCSI-2[no]? 
format> quit

注意

注意 - ディスクラベルを変更すると、ディスク上のデータがすべて破棄されることに留意してください。


EFI ラベルと VTOC ラベル

EFI ディスクラベルが VTOC ディスクラベルと異なる点は次のとおりです。

EFI ディスクラベルの制限

サイズが 1T バイトを超えるディスクを使用することが現在の環境にとって適切かどうかを判断するときは、次の点を考慮してください。

x86 システムにおける EFI ラベル付きディスクのサポート

x86 システム上では、EFI ディスクラベルの Oracle Solaris サポートが利用可能です。x86 システムで EFI ラベルを追加するには、次のコマンドを使用します。

# format -e
> [0] SMI Label
> [1] EFI Label
> Specify Label type[0]: 1
> WARNING: converting this device to EFI labels will erase all current
> fdisk partition information. Continue? yes

以前のラベル情報は EFI ディスクラベルに変換されません。

format コマンドを使ってラベルのパーティション情報を手動で作成し直す必要があります。EFI ラベル付きの 2T バイトのディスク上で fdisk コマンドを使用することはできません。2T バイトを超えるディスクで fdisk コマンドを実行して Solaris パーティションを作成する場合、Solaris パーティションは 2T バイトに制限されます。EFI ディスクラベルの詳細は、前のセクションを参照してください。

EFI ラベル付きディスクを使用したシステムへのインストール

Oracle Solaris ルートプールディスクには、SMI ラベルが付いている必要があります。Oracle Solaris 11 インストールユーティリティーは、ルートプールディスクとして選択されているすべてのディスクのラベルを自動的に SMI ラベルに変更します。

EFI ラベル付きディスクの管理

EFI ラベル付きディスクの管理方法は、次の表で確認できます。

タスク
参照先
システムがすでにインストール済みの場合は、システムにディスクを接続します。
ZFS ファイルシステムを作成します。

EFI ディスクラベルに関する問題の障害追跡

EFI ラベル付きディスクに関する問題のトラブルシューティングを行うときは、次のエラーメッセージと解決方法を使用してください。

解決方法

1T バイトを超えるディスクでは、SPARC または x86 カーネルを実行しているシステムをブートしてください。

エラーメッセージ
Dec  3 09:12:17 holoship scsi: WARNING: /sbus@a,0/SUNW,socal@d,10000/
sf@1,0/ssd@w50020f23000002a4,0 (ssd1):
Dec  3 09:12:17 holoship corrupt label - wrong magic number
エラーの発生原因

古い Solaris リリースで動作するシステムにディスクを追加しようとしました。

解決方法

このディスクは、EFI ディスクラベルをサポートしている Solaris リリースで動作するシステムに追加してください。

ディスクスライスについて

ディスク上に格納されたファイルは、ファイルシステム中で管理されます。ディスク上の各ファイルシステムは「スライス」、つまりファイルシステム用に確保されたセクターセットのグループに割り当てられます。Oracle Solaris OS (および、システム管理者) からは、各ディスクスライスは別個のディスクドライブであるかのように見えます。

ファイルシステムの詳細は、第 17 章ファイルシステムの管理 (概要)を参照してください。


注 - スライスを「パーティション」と呼ぶこともあります。format ユーティリティーなど、特定のインタフェースではスライスを「パーティション」と呼びます。


スライスを設定するときには、次の規則に注意してください。

SPARC プラットフォームと x86 プラットフォームでは、スライスの設定が少し異なります。次の表に、主な相違点を示します。

表 10-1 SPARC プラットフォームと x86 プラットフォームでのスライスの違い

SPARC プラットフォーム
x86 プラットフォーム
ディスク全体が Oracle Solaris OS 用になります。
ディスクはオペレーティングシステムごとに 1 つの fdisk パーティションに分割されます。
VTOC – ディスクは 8 スライス (スライス 0 - 7) に分割されます。

EFI – ディスクは 7 スライス (スライス 0 - 6) に分割されます。

VTOC – Solaris の fdisk パーティションは 10 スライス (スライス 0 - 9) に分割されます。

EFI – ディスクは 7 スライス (スライス 0 - 6) に分割されます。

ディスクスライス

ZFS ファイルシステムを使用するシステムでは、ディスクスライスは ZFS ルートファイルシステムを含む ZFS ルートプールにのみ必要です。一般に、ZFS ルートプールはスライス 0 に格納されます。長年にわたるブートの制限により、ZFS ルートプールはスライス上またはミラー化スライス上に存在する必要があります。ルート以外のストレージプールでは、ディスク全体を使用することができます。ZFS のファイルシステムは特定のディスクスライスに対応しません。スライスを含むディスクを管理するよりも、ディスク全体を管理するほうが簡単です。

x86 システムの場合


注 - VTOC ラベルの付いたディスクでは、スライスを変更したり、スライス 2 を使ってファイルシステムを格納したりしないでください。スライス 2 が何らかの方法で変更されている場合、installgrub コマンドは正しく動作しません。


raw データスライスの使用

ディスクラベルは、各ディスクのブロック 0 に格納されます。つまり、他社製データベースアプリケーションを使って raw データスライスを作成するときは、ブロック 0 で開始してはいけません。そのようにすると、ディスクラベルが上書きされて、ディスク上のデータにアクセスできなくなります。

ディスク上の次の領域は、raw データスライス用に使用しないでください。raw データスライスは他社製のデータベースアプリケーションによって作成されることがあります。

format ユーティリティー

手順や参照情報のセクションに進む前に、次の情報に目を通して format ユーティリティーの概要とその使用法を確認してください。

format ユーティリティーは、Oracle Solaris システム用にハードディスクドライブを用意するためのシステム管理ツールです。

次の表に、format ユーティリティーの機能とその利点を示します。

表 10-2 format ユーティリティーの機能と利点

機能
利点
システム内で接続されている全ディスクドライブを検索します
次の状態を報告します
  • ターゲットの位置

  • ディスクのジオメトリ

  • ディスクがフォーマット済みかどうか

  • ディスク上にマウントされているパーティションが存在するかどうか

ディスクラベルを検索します
修復処理に使用します
欠陥セクターを修復します
回復可能なエラーが発生したディスクドライブを製造元に返送しなくても、熟練した管理者なら修復できます
ディスクをフォーマットして、分析します
ディスク上でセクターを作成し、検査します
ディスクをパーティションに分割します
ディスクをスライスに分割します。ZFS ルートプール以外の ZFS ファイルシステムは、ディスクスライスに対応しません。
ディスクにラベルを付けます
後から検索できるように (通常は修復用)、ディスクにディスク名と構成情報を書き込みます

format ユーティリティーのオプションについては、第 16 章format ユーティリティー (参照情報)を参照してください。

format ユーティリティーを使用する場合

Oracle Solaris のインストール時に、Oracle Solaris インストールユーティリティーによってディスクドライブがパーティションに分割され、ラベルが付けられます。次のような場合に、format ユーティリティーを使用できます。

システム管理者が format ユーティリティーを使用するのは、主にディスクをパーティションに分割するためです。これらの手順については、第 12 章SPARC: ディスクの設定 (手順)第 13 章x86: ディスクの設定 (手順)を参照してください。

format ユーティリティーの使用上のガイドラインについては、次のセクションを参照してください。

format ユーティリティー使用上のガイドライン

表 10-3 format ユーティリティーのガイドライン

タスク
ガイドライン
参照先
ディスクをフォーマットします。
  • ディスクをフォーマットし直すと、既存のデータが失われます。
  • ディスクドライブをフォーマットしてパーティションに分割した状態で出荷する製造元が増えているので、ディスクドライブをフォーマットする必要性は減少しています。既存システムにディスクドライブを追加したり、既存システムのディスクドライブを交換したりする場合は、format ユーティリティーを使用しなくてもすむことがあります。

  • ディスクを配置し直して多数のディスクエラーが表示される場合は、そのラベルを付け直してみることをお勧めします。

ZFS ルートファイルシステムを含むディスクを設定します。
非冗長構成の場合、破損したディスクの ZFS ルートファイルシステムのデータをバックアップメディアから復元する必要があります。復元しなければ、インストールユーティリティーを使用してシステムをもう一度インストールしなければなりません。
ルートプール用のディスクスライスを作成します。
  • ZFS ストレージプールの最適な使用方法は、ディスク全体を使ってプールを作成することです。
  • ルートプールに使用するためのディスクでは、ディスクスライスを作成する必要があります。これは、長年にわたるブートの制限です。

ZFS ファイルシステムを含むディスクを設定します。
ルート以外の ZFS ファイルシステムに使用されるディスクには通常、ユーザーファイルやデータファイル用の領域が含まれます。ルートプールやルート以外のプールに別のディスクを接続または追加すれば、ディスク容量を増やすことができます。

ディスクのフォーマット

ほとんどの場合、ディスクは製造元または再販業者によってフォーマットされています。このため、ドライブをインストールするときにフォーマットし直す必要はありません。ディスクがフォーマットされているかどうかを判別するには、format ユーティリティーを使用します。詳細は、「ディスクがフォーマット済みかを調べる方法」を参照してください。

ディスクがフォーマットされていない場合、format ユーティリティーを使用してフォーマットしてください。

ディスクのフォーマットでは、次の 2 つのステップが行われます。


注意

注意 - フォーマットは、ディスク上のデータを上書きする、破壊的なプロセスです。このため、通常は製造元や再販業者のみがディスクをフォーマットします。ディスクに欠陥があるために問題が再発していると思われる場合は、format ユーティリティーを使用して表面解析を実行できますが、データを破壊しないコマンドだけを使用するように注意してください。詳細は、「ディスクをフォーマットする方法」を参照してください。


データに利用できる合計ディスク容量のうち、ごくわずかな容量が欠陥情報とフォーマット情報の格納に使用されます。この容量はディスクのジオメトリによって異なり、使用年数がたち欠陥箇所が多くなるにつれて、少なくなります。

ディスクの種類とサイズに応じて、フォーマットは数分から数時間かかります。