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Oracle Solaris 11.1 でのシステム情報、プロセス、およびパフォーマンスの管理 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語) |
5. システムコンソール、端末デバイス、および電源サービスの管理 (タスク)
システムコンソール、端末デバイス、および電源サービスの管理に関する新機能
Oracle Solaris 11 リリースでは、電源管理構成が SMF 構成リポジトリに移動しました。電源関連のコマンド、デーモン、および構成ファイルを組み合わせて使用する代わりに、新しい poweradm コマンドを使用してシステムの電源管理プロパティーを直接管理します。これらの変更は、Oracle Solaris 11 で電源管理フレームワークを刷新するために広範囲で行われた変更の一部です。
次の電源管理機能は使用できなくなりました。
/etc/power.conf
pmconfig および powerd
デバイス電源管理
次のプロパティーは、電源管理コンポーネントを記述します。
administrative-authority – Oracle Solaris 電源管理の管理制御のソースを定義します。このプロパティーは none、platform (デフォルト値)、または smf に設定できます。platform に設定した場合、time-to-full-capacity と time-to-minimum-responsiveness の値はプラットフォームの電源管理コマンドから取得されます。smf に設定した場合、time-to-full-capacity と time-to-minimum-responsiveness の値は SMF から取得されます。time-to-full-capacity または time-to-minimum-responsiveness を逆の設定でプラットフォームのコマンドまたは SMF サービスプロパティーから設定しようとすると、値は無視されます。
administrative-authority を none に設定した場合、Solaris インスタンス内の電源管理はオフになります。
time-to-full-capacity – システムがアクティブなままで低稼働状態または応答性の低い状態からフル稼働状態に達することが許可される最大時間 (ミリ秒単位) を定義します。最大時間には、この範囲内で PM 機能のいずれかまたはすべてを使用しているときに、システムが低稼働状態または応答性の低い状態から戻ってフル稼働状態に達する (再プロビジョニングして使用可能にする) ことが許可される時間が含まれます。
administrative-authority のデフォルト設定は platform に設定されているため、デフォルトでは、この値はプラットフォーム (たとえば i86pc) から取得されます。
または、administrative-authority が smf に設定されている場合、この値は SMF 電源サービスによって提供される定義から取得されます。インストール時は、この値は未定義です。このプロパティーを変更する場合は、システムのワークロードやアプリケーションのニーズに応じて適切な値を検討するようにしてください。
time-to-minimum-responsiveness – システムがアクティブな状態に戻ることが許可される時間 (ミリ秒単位) を定義します。このパラメータは、time-to-full-capacity 制約を満たすために必要な最小容量を指定します。administrative-authority のデフォルト設定は platform に設定されているため、デフォルトでは、このパラメータ値はプラットフォーム (たとえば i86pc) から取得されます。
または、administrative-authority が smf に設定されている場合、この値は SMF 電源サービスによって提供される定義から取得されます。インストール時は、この値は未定義です。このプロパティーを変更する場合は、システムのワークロードやアプリケーションのニーズに応じて適切な値を検討するようにしてください。
中程度の値 (たとえば秒単位) を使用すると、プラットフォーム上のハードウェアコンポーネントやサブシステムをより応答性の低い休止状態にすることができます。より大きい値 (たとえば 30 秒から分単位) を使用すると、RAM への保存停止などの手法を使用してシステム全体の保存停止が可能になります。
suspend-enable – デフォルトでは、Solaris を実行しているシステムで保存停止操作の試行は許可されません。このプロパティーを true に設定すると、保存停止操作の試行が許可されます。administrative-authority の値はこのプロパティーには影響を与えません。
platform-disabled – platform-disabled を true に設定すると、プラットフォームの電源管理は無効になります。デフォルト値の false に設定すると、電源管理は上記のプロパティーの値によって制御されます。
次のコマンドを使用して、電源管理ステータスの簡単なサマリーを表示できます。
$ /usr/sbin/poweradm show Power management is enabled with the hardware platform as the authority: time-to-full-capacity set to 250 microseconds time-to-minimum-responsiveness set to 0 milliseconds
次のコマンドを使用して、すべての電源管理プロパティーを表示できます。
$ /usr/sbin/poweradm list active_config/time-to-full-capacity current=250, platform=250 active_config/time-to-minimum-responsiveness current=0, platform=0 active_control/administrative-authority current=platform, smf=platform suspend/suspend-enable current=false platform-disabled current=false
上記の出力で、active_control/administrative-authority は2つの設定がある構成のソースを示します。
platform - プラットフォームに由来する電源管理の構成です。これがデフォルト値です。
smf - poweradm コマンドを使用してほかの電源管理プロパティーを設定できます。
上記の出力の platform-disabled プロパティーは、プラットフォームの電源管理が有効になっていることを示しています。
platform-disabled current=false
詳細は、poweradm(1M)を参照してください。
例 5-1 電源管理有効化と無効化
以前にシステムの保存停止と復元再開を行うために /etc/power.conf ファイルで S3-support を有効にしていた場合、類似する poweradm の構文は:
# poweradm set suspend-enable=true
suspend-enable プロパティーはデフォルトで false に設定されます。
電源管理を無効にするには、次の構文を使用します。
# poweradm set administrative-authority=none
次の SMF 電源管理サービスを無効にしても、電源管理は無効になりません。
online Sep_02 svc:/system/power:default
保存停止と復元再開を無効にするには、次の構文を使用します。
# poweradm set suspend-enable=false
例 5-2 電源管理パラメータの設定および表示
次の例は、time-to-full-capacity を 300 ミリ秒、time-to-minimum-responsiveness を 500 ミリ秒に設定する方法を示しています。最後に、新しい値が Oracle Solaris インスタンスに通知されます。
# poweradm set time-to-full-capacity=300 # poweradm set time-to-minimum-responsiveness=500 # poweradm set administrative-authority=smf
次のコマンドは、現在の time-to-full-capacity の値を表示します。
# poweradm get time-to-full-capacity 300
次のコマンドは、プラットフォームによって設定された time-to-full-capacity の値を取得します。
# poweradm get -a platform time-to-full-capacity
この値が現在の値と同じになるのは、administrative-authority が platform に設定されている場合だけです。詳細については、上記の administrative-authority プロパティーの説明を参照してください。
time-to-full-capacity と time-to-minimum-responsiveness の両方を設定する前に administrative-authority を smf に設定すると、サービスが保守モードに移行します。このシナリオから回復するには、次の手順を参照してください。
『Oracle Solaris 11.1 の管理: セキュリティーサービス』の「割り当てられている管理権限を使用する方法」を参照してください。
# poweradm set administrative-authority=none
# poweradm set time-to-full-capacity=value # poweradm set time-to-minimum-responsiveness=value
# svcadm clear power
# poweradm set administrative-authority=smf