Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batchリリース・ノート

Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batch 12c リリース1 (12.1.1)
2013年9月

表1 改訂履歴
改訂日	変更の概要
2013年9月	12cリリース1 (12.1.1)ローリング・パッチ015
2013年8月	12cリリース1 (12.1.1)ローリング・パッチ013
2013年7月	12cリリース1 (12.1.1)ローリング・パッチ012
2013年5月	12cリリース1 (12.1.1)ローリング・パッチ007
2013年4月	12c リリース1 (12.1.1)ローリング・パッチ003
2012年8月	12c リリース1 (12.1.1) GA

このリリースについて

Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batchは、Oracle TuxedoにリホストされたIBMメインフレーム・アプリケーションをサポートします。それによって実現されるAPIとサービスの組合せは、OLTPおよびBatchメインフレーム・アプリケーションをそのままで実行することを可能にし、ビジネス・ロジックとデータに対する長年の投資を維持活用します。標準の3270ターミナル・エミュレータをサポートしているため、アプリケーション・ユーザーの変更が保護されます。また、開発者がメインフレーム・アプリケーションでよく使用するAPIと関数も提供しています。

結果として、レガシー・メインフレーム・アプリケーションを速やか(および低リスクで)に、COBOLやC/C++アプリケーション・サーバーを実行するオープン・システムに移行できるようになります。これによって、莫大なコスト削減と柔軟性の向上が実現します。

Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batchの主要な機能は次のとおりです。

CICS Runtime

ソース・コードを前処理し、EXEC CICS文およびCICSキーワードをCICS Runtimeインタフェースに変換します。
変換されたCICSアプリケーションを実行するOracle Tuxedoに基づく強固な本番環境。

Batch Runtime

JCLから変換された同等のKornシェル・スクリプトを実行する強力な実行エンジン。
Oracle TuxedoをベースにしてMainframe JES2をエミュレートするジョブ・エンキューイング・サービス。

新機能

このリリースには、次の新機能および機能強化が含まれています。

CICS Runtime

Windowsクライアントからの非同期CICS ECIリクエスト
非同期CICSトランザクションからの3270ターミナル相互作用
JSP/HTMLに変換されたBMSマップを使用するWeb UI統合フレームワーク
tpcall()を使用するCICS同期トランザクションとのATMIクライアント相互作用
拡張CICSトレーシング・サポートおよびトレース分析ツール
TSAM/OEM GUIでの呼出しパス・ビューに統合されたCICSトレース
特定のCOBOLコンパイラおよびデータベース環境をサポートするためのART CICSサーバー・ビルド・ツール
ARTDPLサーバーで実行されるDPLプログラムでのCICSトランザクション作業領域のサポート
トランザクション全体の共有CICS TSキューを構成するためのサポート

Batch Runtime

データベース表を使用するGDGファイル・カタログの拡張サポート
TSAM/OEM GUIでのGDGファイル・カタログ・クエリーおよび操作のサポート
ユーザー出口のある構成可能なジョブ・メッセージ・ロギングの拡張フレームワーク
拡張されたGDGコミット/ロールバックの範囲設定
NFSを使用して共有されるファイルの排他的ロッキング・サポートによるファイル処理の拡張管理
COBOLコンパイラ・ランタイムなしで使用するためのバッチ・ランタイム構成
非COBOLプログラムを実行するための拡張リターン・コード管理

ローリング・パッチ001には、次の新機能および機能強化が含まれています。

Batch Runtime

同期および非同期でのジョブの送信および結果の通知

ローリング・パッチ003には、次の新機能および機能強化が含まれています。

CICS Runtime

COBOLプログラミングにおける次のコマンドおよびオプションのサポート

ADDRESS COMMAREA
ASSIGN ABDUMP/ABPROGRAM/ASRAINTRPT/ASRAKEY/ASRAPSW/ASRAREGS/ASRASPC/ASRASTG/INITPARM/INITPARMLEN/SOSI/USERNAME
CANCEL TRANSID REQID
HANDLE AID
HANDLE CONDITION NOAUTH
INQUIRE SYSTEM JOBNAME
START TRANSID NOCHECK/REQID
SUSPEND
WRITE RBA

次のBMSマクロのサポート

BMS DFHMDF GRPNAME

ローリング・パッチ007には、次の新機能および機能強化が含まれています。

CICS Runtime

COBOLプログラミングにおける次のコマンドおよびオプションのサポート

INQUIRE NETNANE ACQSTATUS/TERMINAL
INQUIRE TERMINAL ACQSTATUS/NETNAME
SEND STRFIELD
SET TERMINAL ACQUIRED/CREATE/RELEASED

ローリング・パッチ012には、次の新機能および機能強化が含まれています。

CICS Runtime

CプログラミングでのCICSアプリケーションの実装および実行のサポート
ISSUE PASSを使用したCICSリージョンの転送のサポート
CICS/COBOL API変換用のprepro-cics-C.plの提供
CICSリージョン(APPL)ログオン用のサーバーARTLOGNの提供
COBOLプログラミングにおける次のコマンドおよびオプションのサポート

ASSIGN KATAKANA/NETNAME
EXTRACT LOGONMSG INTO/LENGTH/SET
INQUIRE TERMINAL ALTSUFFIX
ISSUE PASS FROM/LENGTH/LUNAME
SEND DEFRESP/LAST

Cプログラミングにおける次のコマンドおよびオプションのサポート

ADDRESS COMMAREA/EIB
LINK COMMAREA/LENGTH/PROGRAM
RECEIVE INTO/LENGTH
RETRIEVE INTO/LENGTH
RETURN
WRITEQ TD FROM/LENGTH/QUEUE

次のBMSマクロのサポート

BMS DFHMDF CASE
BMS DFHMSD SUFFIX

ローリング・パッチ013には、次の新機能および機能強化が含まれています。

CICS Runtime

COBOLプログラミングにおける次のコマンドおよびオプションのサポート

ALLOCATE(APPC) SYSID
ALLOCATE(LUTYPE6.1) SYSID
ASSIGN NETNAME
CONNECT PROCESS CONVID/PROCLENGTH/PROCNAME/STATE/SYNCLEVEL
CONVERSE(APPC) CONVID/FROM/FROMLENGTH/FROMFLENGTH/INTO/MAXFLENGTH/MAXLENGTH/NOTRUNCATE/SET/STATE/TOFLENGTH/TOLENGTH
CONVERSE(LUTYPE6.1) FROM/FROMFLENGTH/FROMLENGTH/INTO/MAXFLENGTH/MAXLENGTH/NOTRUNCATE/SESSION/SET/TOFLENGTH/TOLENGTH
DUMP TRANSACTION
EXTRACT PROCESS CONVID/SYNCLEVEL
FREE(APPC) CONVID/STATE
FREE(LUTYPE6.1) SESSION
HANDLE AID OPERID
INQUIRE CONNECTION ACCESSMETHOD/CONNSTATUS/NETNAME
ISSUE CONFIRMATION CONVID/STATE
RECEIVE(APPC) CONVID/FLENGTH/INTO/LENGTH/MAXFLENGTH/MAXLENGTH/NOTRUNCATE/SET/STATE
RECEIVE(LUTYPE6.1) FLENGTH/INTO/LENGTH/MAXFLENGTH/MAXLENGTH/NOTRUNCATE/SESSION/SET
SEND(APPC) CONFIRM/CONVID/FLENGTH/FROM/INVITE/LAST/LENGTH/STATE/WAIT
SEND(LUTYPE6.1) FLENGTH/FROM/INVITE/LAST/LENGTH/SESSION/WAIT
SET CONNECTION CONNSTATUS
WAIT CONVID(APPC) CONVID/STATE

ローリング・パッチ015には、次の新機能および機能強化が含まれています。

Batch Runtime

Oracle Tuxedo Application Rehosting Workbenchによる自動的および暗黙的な移行でのネイティブJCLジョブのサポート
ネットワーク・ジョブ入力(NJE)のサポート
データベース表を使用するファイル・カタログの拡張サポート

CICS Runtime

COBOLプログラミングにおける次のコマンドおよびオプションのサポート

BMS

SEND TEXT PRINT/NLEOM
SEND CONTROL PRINT
SEND MAP ERASEAUP/PRINT

チャネル

DELETE CONTAINER
GET CONTAINER
GETNEXT CONTAINER
ENDBROWSE CONTAINER
MOVE CONTAINER
PUT CONTAINER
START CHANNEL
STARTBOWSE CONTAINER

診断サービス

ENTER TRACENUM/TRACEID

環境サービス

ASSIGN CHANNEL

ファイル制御サービス

DELETE GENERIC/RBA
READ GENERIC/RBA
READNEXT RBA
READPREV RBA
RESETBR GENERIC/RBA
STARTBR GENERIC/RBA
WRITE RBA

間隔制御サービス

CANCEL SYSID/TRANSID
START SYSID

プログラム制御

LINK CHANNEL
RETURN CHANNEL/INPUTMSG/INPUTMSGLEN
XCTL CHANNEL

スプール・インタフェース(JES)

SPOOLOPEN OUTPUT NOCC/NODE

システム・コマンド

INQUIRE FILE ACCESSMETHOD/DSNAME/EMPTYSTATUS/ENABLESTATUS/LSRPOOLID/MAXNUMRECS/OPENSTATUS/TABLE/TYPE
INQUIRE PROGRAM RESCOUNT
INQUIRE TRANSACTION PROGRAM
INQUIRE TERMINAL ACCESSMETHOD/CREATESESS/NEXTTRANSID/REMOTESYSTEM/SERVSTATUS/SIGNONSTATUS/TRACING/TRANSACTION/USERID
INQUIRE SYSTEM SHUTSTATUS
SET FILE CLOSED/DISABLED/DSNAME/ENABLED/ENABLESTATUS/OPEN/OPENSTATUS
SET TERMINAL ATI/ATISTATUS/INSERVICE/OUTSERVICE/TTI/TTISTATUS /SERVSTATUS/NOATI/NOTTI

ターミナル制御

CONVERSE ASIS/ALTERNATE/CTLCHAR/ERASE/FROM/FROMFLENGTH /FROMLENGTH/INTO/MAXLENGTH/MAXFLENGTH/NOTRUNCATE/STRFIELD/SET/TOLENGTH/TOFLENGTH
HANDLE CONDITION ERROR
ISSUE DISCONNECT
SEND ALTERNATE
SEND DEFRESP

Webサービス

INVOKE WEBSERVICE

APPCを介したART CICSリージョンとメインフレームCICSリージョン間のDTP接続を有効にする目的での、Oracle TMAとの統合
JCLのオンラインでの送信のサポート
CICS 3270プリンタへのアプリケーション・データ出力のサポート

ソフトウェア・コンポーネント

Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batchソフトウェアは、次のコンポーネントから構成されています。

CICS Runtime

CICS Runtimeは、CICSアプリケーションのランタイム環境です。次のサブ・コンポーネントを含みます。

プリプロセッサ
Oracle TuxedoベースのCICS Runtimeサーバー
ツールとユーティリティ

Batch Runtime

Batch Runtimeは、Batch JCLのランタイム環境です。次のサブ・コンポーネントを含みます。

バッチ実行エンジン
Oracle Tuxedo Job Enqueueing Service

インストールに関する注意

Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batch 12cリリース1 (12.1.1)のインストールは、Oracle Tuxedoのインストールを必要としませんが、Oracle Tuxedoはランタイムの前提条件です。
Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batch 12cリリース1 (12.1.1)は、Oracle Tuxedo 12cリリース1 (12.1.1)およびOracle Tuxedo Application Rehosting Workbench 12cリリース1 (12.1.1)、Oracle TSAM 12cリリース1 (12.1.1)、Oracle Tuxedo JCA Adapter 12cリリース1 (12.1.1)、Oracle SALT 12cリリース1 (12.1.1)、Oracle JoltおよびOracle Tuxedo Mainframe Adapters 12cリリース1 (12.1.1)をサポートします。
CICS Runtimeでは、CANCEL REQID、ISSUE PASSおよびSTART TRANSID REQIDには、Oracle Tuxedo 12cリリース1 (12.1.1)ローリング・パッチ008以降とOracle Tuxedo Application Rehosting Workbench 12cリリース1 (12.1.1)ローリング・パッチ009以降が必要です。
CICS Runtimeでは、DTP SYNCPOINTサポートにはOracle Tuxedo 12cリリース1 (12.1.1)ローリング・パッチ019以降が必要であり、TMSを再構築する必要があります。
CICS Runtimeでは、Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batch 12cリリース1 (12.1.1)ローリング・パッチ015には、Oracle Tuxedo 12cリリース1 (12.1.1)ローリング・パッチ019以降が必要です。

プラットフォーム・サポート

アップグレードに関する考慮事項

Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batchを旧リリースから新リリースにアップグレードする場合、CICS COBOLプログラムに対してCICSプリプロセッサを戻してからCOBOLプログラムを再コンパイルする必要があります。

リリース11.1.1.2以前からアップグレードする場合は、ARTADMサーバーがCICS Runtimeで構成されていることを確認する必要があります。

動作の変更

CICS Runtimeでは、12.1.1以降、$KIXDIR/include/msgflds32内の2番目のFMLベースが30002700から30001100に変更されました。
CICS Runtimeでは、12.1.1ローリング・パッチ015以降、環境変数ISC_ENABLEまたはサーバーARTSRM、あるいはその両方が、以前の12.1.1ローリング・パッチで導入された多くの機能強化に対して必要です。詳細は、『Oracle Tuxedo Application Runtime for CICSリファレンス・ガイド』のISC_ENABLEおよびARTSRM構成に関する項を参照してください。

制限事項と既知の問題

次以降の項では、Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batchの制限事項と既知の問題について説明します。

制限

Batch Runtime

IDCAMS LISTCATはサポートされません。
IEBGENER GENERATEをMEMBERとともに指定することはサポートされません。
SORT操作でのシステム日付(たとえば、DATE1)の比較はサポートされません。
GDGでの世代ファイルの削除はサポートされません。
DISP=SHRによるPDSでの新メンバーの追加はサポートされません。

CICS Runtime

VSAM KSDSからISAMへの変換は読取り専用モードのサポートに限定されます。
ファイル関連の引数GENERIC、KEYLENGTH、UPDATEおよびNUMRECは、サポートされないか、部分的にサポートされています。
BMSファイル名を、CICS SEND MAPおよびRECEIVE MAPコマンドのMAPSET名として使用できません。
COBOL-ITを使用している場合、ファイルツーファイルのシナリオで、CICSコマンドのすべてのRBAオプションおよびGenericオプションはサポートされません。
ISC_ENABLE=YESが設定されている場合、ART CICSは複数のCICSリージョンでLUNAMEを検証できません。
ユーザーがC言語でCICSアプリケーションを実装および実行する場合、いくつかの制限があります。詳細は、 CICS RuntimeのCプログラム・サポートに関する項を参照してください。
COBOL-ITコンパイラを使用するとき、ARTSTRNを起動する前に、変数COB_ENABLE_XAを構成する必要があります。
COBOL-ITコンパイラを使用する際は、PROGRAM-IDがCOBOLプログラム名と同じであることを確認し、異なるCOBOLプログラムは異なるPROGRAM-IDを定義する必要があります。
APPCセッション・ネゴシエーションはサポートされません。
プロファイル・リソース定義はサポートされません。デフォルトのプロファイルDFHCICSAが想定されます。このプロファイルにタイムアウトのメカニズムはありません。
DTPを介して通信するアプリケーションは、同じOracle Tuxedoドメイン内で実行される必要があります。
TMA SNAを介してのART CICSとメインフレームCICS間の通信は、TMAからの次の制限を継承します。

LUTYPE6.1プロトコルはサポートされません。
次のシナリオのAPPC対話型プログラミング・モデルのみがサポートされます。

シナリオ1: ATMI対話型クライアントからCICS/ESA DTP (サーバーによる制御の取得)
シナリオ2: CICS/ESA DTPからATMI対話型サーバー(クライアントによる制御の放棄)
シナリオ3: トランザクションATMI対話型クライアントからCICS/ESA DTP (サーバーによる制御の取得)
シナリオ4: トランザクションCICS/ESA DTPからATMI対話型サーバー(ホスト・クライアントによる制御の放棄)

詳細は、『Oracle Tuxedo Mainframe Adapter for SNAリファレンス・ガイド』を参照してください。

SENDコマンドを使用して1回の伝送でデータを送信することはサポートされません。
シナリオ3および4では、トランザクション対話の中で、SEND CONFIRM/ISSUE CONFIRMATIONコマンドをサーバーおよびクライアント・コードにそれぞれ追加する必要があります。
内部のART CICSおよびTMAベースのART CICSでのSYNCPOINTの実装は異なります。この2種類の同期レベルが同じトランザクションで発生することはありません。
TMA対話サーバーはtpreturn()で終了します。しかし、シナリオ2および4の場合、TMAベースのART CICSでは、同期レベル0のSEND LAST (またはFREE)および同期レベル2のSEND CONFIRMのみを、tpreturn()にマップできます。その結果、ユーザー・コード内の以降のすべての操作が失われます。
Oracle TMA対話では、同期レベル1の操作はサポートされません。SEND CONFIRM/ISSUE CONFIRMATION は、シナリオ3および4を除き、サポートされません。
メインフレームからのOracle TMAコピーブック(ART Workbench経由)をART CICSアプリケーションで使用するためには、事前に位置合せが必要です。

リリース・ノート