2.5 サーバーおよびサーバー・プール

Oracle VM環境は、単一のOracle VM Managerによって制御される、拡張可能な一連のOracle VM Serverで構築されます。Oracle VM Managerは、物理インフラストラクチャと仮想インフラストラクチャの両方に関するすべての情報を含むデータベースを実行します。また、環境全体の構成および管理に使用されるWebブラウザ・インタフェースをホストします。Oracle VM ManagerとOracle VM Server間の通信は、サーバー上およびサーバーを介した操作を実行するために、環境内のすべてのサーバーに存在するOracle VM Agentを介して中継されます。

Oracle VM Serverは、Oracle VM Managerによって、IPアドレスまたはホスト名に基づいて検出されます。容量の拡大が必要になったときにはいつでも追加サーバーをインストールして検出できます。Oracle VM Serverは、ホストする仮想マシンに計算機能(CPUおよびRAM)を提供します。また、アタッチされているファイルベースおよびブロックベースの共有記憶域(データ・センターの他のハードウェアが提供)への接続に使用される記憶域プラグインをホストします。詳細は、この章の2.6項「記憶域」および第4章「記憶域の管理」を参照してください。

Oracle VM Serverはサーバー・プールのメンバーです。サーバー・プールは仮想IPアドレスを使用して、Oracle VM Managerとの通信を処理する1台のマスター・サーバーを選択します。マスター・サーバーが停止した場合、プール内の別のサーバーがマスター機能をすぐに引き継ぐため、サーバー・プールでは、仮想IPアドレスは使用可能なままとなります。障害が発生したサーバーで実行されている仮想マシンは、プール内の別のサーバーでリストアすることができます。これは、サーバー・プールのすべてのメンバーが、仮想マシン構成、ディスク、テンプレートなどが格納されている同じ共有記憶域にアクセスできるためです。

クラスタ化されたサーバー・プール(標準的な構成)では、それらがホストする仮想マシンで高可用性が有効になります。クラスタ化されたサーバー・プール内のサーバーが使用不能になると、そのサーバーがホストしていた仮想マシンは、プール内の別のサーバーの1つを使用して使用可能になります。クラスタ化されたサーバー・プールは、クラスタのハートビート機能、構成およびその他のクラスタリング情報を取得するために共有ocfs2プール・ファイル・システムを使用します。クラスタリングおよびocfs2によって、ブロックベースの共有記憶域へのアクセス、フェイルオーバーのポリシー、ロード・バランシング、電源管理などの重要な拡張機能が有効になります。サーバー・プール、クラスタリングおよびocfs2の詳細は、第6章「サーバー・プールおよびOracle VM Serverの管理」を参照してください。

Oracle VM環境は、いくつかのサーバー・プールで構成できます。設計上の要件では、データ・センターと同様、リソースをグループに分割し、それらを分離して別のユーザー(部門、チーム、管理者、顧客など)に割り当てるほうが適している場合があります。