4.7 マルチパスI/Oサポートの有効化

マルチパスは、サーバーCPUとそのストレージ・デバイス間に複数の物理パスを作成する技術です。これによってフォルト・トレランスが向上し、パフォーマンスが強化されます。Oracle VMでは、マルチパスI/Oがデフォルトでサポートされます。SANディスクがOracle VM Managerで検出される必要があるため、Oracle VM Serverはマルチパスが有効な状態でインストールされます。

注意

すべてのシステム・ディスク(/または/bootを含むディスク)はOracle VM Managerによってブラックリスト登録されるため、Oracle VM環境では使用できません。

マルチパスの構成情報は/etc/multipath.confに格納されており、よく使用されるSANハードウェアの様々な構成詳細とともに、Oracle VMの固有の設定を含みます。ほとんどの場合、ユーザーはこのファイルを変更する必要がありません(変更しないことをお薦めします)。ファイルの内容を調べることは、それがOracle VMでどのように機能するかと、SANでマルチパスが使用されず、LUNが表示されない場合に構成が必要となる可能性がある内容をより深く理解するのに役に立つ場合があります。

この項では、マルチパスを有効にするのにユーザー処理が必要な場合にこれを行う方法について説明します。必要な手順は、実装されている記憶域ハードウェアによって異なります。そのため、次の手順はガイドラインとして使用し、SANハードウェアのドキュメントを優先する必要があります。

注意

すべての手順が環境に適用されるわけではありません。手順の詳細なリスト、手順を実行する順序および固有の環境との手順の関連性については、SANハードウェア・ベンダーのドキュメントを参照してください。

マルチパスを構成する一般的な手順:

  1. Oracle VM環境で使用するSANハードウェアに適用するマルチパス構成を設計して文書化します。

  2. ホスト・バス・アダプタ(HBA)のドライバが存在することを確認します。存在しない場合は、ドライバをインストールします。

  3. ファイバ・チャネル・スイッチで適切なゾーニングを構成します。

  4. ストレージ・アレイでLUNマスキングを構成します。

  5. ベンダーのドキュメントで指示されている場合は、ディスク・サブシステムでパス最適化機能(ALUAなど)を構成します。

  6. SANハードウェアにアクセスできる各Oracle VM Serverでファブリック情報をチェックします。multipath -llおよび関連コマンドを使用します。

  7. Oracle VM Serverのファイル/etc/multipath.confに必要な変更を加えます。

    注意

    環境内にあるすべてのOracle VM Serverのマルチパス構成ファイルに、まったく同じ変更を加える必要があります。

    重要

    構成パラメータuser_friendly_names/etc/multipath.conf構成ファイル内でnoに設定されたままであることが重要です。

  8. マルチパス・デーモン(multipathed)を再起動します。

  9. ファブリック情報を再度チェックして、構成を確認します。

  10. ベンダーのドキュメントで指示されている場合は、initrdを再構築します。

  11. Oracle VM Serverを再起動して、再起動後にSANおよびマルチパス構成が適切に表示されることを確認します。

詳細は、SANハードウェア・ベンダーのドキュメントを参照してください。

注意

マルチパスSANからのブートはサポートされています。