Oracle® Fusion Middleware Oracle Application Development Frameworkモバイル開発者ガイド 11g リリース2 (11.1.2.4.0) B70750-02 |
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この章では、ユーザーのアクセス権限またはデバイス要件に基づいてアプリケーション機能を制限できる制約の設定方法について説明します。
この章には次の項が含まれます:
制約には、アプリケーション機能またはアプリケーション・コンテンツを使用するタイミングが記述されています。制約では、ユーザーとユーザー・ロール、モバイル・アプリケーションの実行対象となるデバイス、およびデバイス上で使用可能なハードウェアに基づいて、アクセスを制限できます。制約は2つのレベルで設定できます。1つ目のアプリケーション機能レベルでは、ユーザーのデバイスにおけるアプリケーション機能の可視性を制御し、2つ目のコンテンツ・レベルでは、アプリケーション機能に対して配信できるADFモバイル・コンテンツのタイプを指定できます。adfmf-feature.xml
ファイルの概要エディタを使用すると、これら両方のタイプの制約を設定できます。制約はADFモバイル・ランタイムによって評価され、エンド・ユーザーが特定のコンテンツを表示または使用したり、アプリケーション機能自体にアクセスできるようにするには、true
に評価される必要があります。
「制約」タブ(図14-1を参照)では、アプリケーション機能レベルの制約を設定できます。たとえば、デバイスのカメラを使用するアプリケーション機能は、そのデバイスで実際にカメラ機能が提供されることがADFモバイル・ランタイムによって確認された場合のみ、ADFモバイル・アプリケーションのナビゲーション・バーまたはSpringboard内に表示されます。また、機能レベルの制約を使用すると、ユーザー・ロールと権限に基づいてアプリケーションを保護することもできます。図14-1は、ADFモバイル・ランタイムによってtrue
に評価されたときに、管理者権限を持つユーザーのみにアプリケーションへの
アクセスを許可する制約の作成方法を示しています。制約がランタイムによってfalse
と評価された場合、アプリケーション機能はナビゲーション・バーまたはSpringboard内に表示されないため、エンド・ユーザーはそのアプリケーション機能にアクセスできません。
デバイス・ハードウェア・プロパティやユーザー権限などのファクタに対応するため、単一のアプリケーション機能に複数のコンテンツ・タイプを指定し、ユーザー・インタフェースの様々なバージョンを配信できます。アプリケーション機能のコンテンツに関する制約を設定することによって、アプリケーション・ページを表示できるエンド・ユーザーや、そのページの使用方法を特定する条件を指定できます。
たとえば、「コンテンツ」タブ(図14-2を参照)を使用して、管理権限を付与されたユーザーに特定のタイプのユーザー・インタフェースを表示し、基本的なユーザー権限を持つユーザーに別のユーザー・インタフェースを表示できます。また、コンテンツ・レベルの制約によって、デバイスのレイアウトに関する考慮事項に対応できます。図14-2は、この例として、HRサンプル・アプリケーションで、デバイスの画面幅に基づく制約を使用して、iPhoneとiPadのレイアウトに合ったページをコールするAMXモバイル・タスク・フローを配信する方法を示しています。エンド・ユーザーがHRサンプル・アプリケーションを起動すると、ADFモバイル・ランタイムによって、Employeesアプリケーション機能用に設定された制約が評価されます。ランタイムでは、デバイスの画面幅が500ピクセルを超えることを確認した場合、iPad用に設計されたADFモバイルAMXページをコールする、Employees_pad_taskflow.xml
ファイルを選択します。この制約がfalse
に評価された(つまり、画面の幅が500ピクセル以下である)場合、ランタイムでは、iPhone固有のページをコールするADFモバイル・タスクフローである、Employees_phone_taskflow.xml
を選択します。さらに、「コンテンツ」タブを使用すると、ランタイムによって特定のコンテンツが選択されたときに表示されるナビゲーション・バーとSpringboardのイメージを選択できます。コンテンツ固有のイメージを選択しなかった場合、ADFモバイルでは、「一般」タブで指定されたアプリケーション機能レベルのイメージを使用します。
HRサンプル・アプリケーションの詳細は、付録F「サンプルのADFモバイル・アプリケーション」を参照してください。HRサンプル・アプリケーションは、開発用コンピュータのJDeveloperインストール・ディレクトリ内の次の場所にある、PublicSamples.zip
ファイルに含まれています。
jdev_install/jdeveloper/jdev/extensions/oracle.adf.mobile/Samples
アプリケーション機能レベルの制約を設定する際、<adfmf:constraint>
要素(<adfmf:constraints>
の子要素)のproperty
、operator
およびvalue
属性を使用すると、ユーザー、デバイスまたはハードウェアに基づいてアプリケーションの使用を制限できます。例14-1に示すこれらの属性の定義の例は、アプリケーション機能へのアクセスをField Repに制限し、さらにiOSデバイスでのみアプリケーションを実行するように制限する属性の定義を示しています。
例14-1 <adfmf:constraint>要素
<adfmf:constraints> <adfmf:constraint property="user.roles" operator="contains" value="Field Rep"/> <adfmf:constraint property="device.model" operator="contains" value="ios"/> </adfmf:constraints>
図14-2に示すように、「機能」ページの「制約」タブを使用して、選択したアプリケーション機能の制約を宣言的に構成します。
アプリケーション機能の制約を定義するには:
「制約」タブをクリックします。
「追加」をクリックします。
プロパティと適切な演算子を選択し、値を入力します。プロパティの使用の詳細は、第14.2.3項「property属性について」を参照してください。
例14-1と同様に、「制約」タブに値を入力すると、定義された<adfmf:constraint>
要素を使用して、識別子ファイルの<adfmf:constraints>
要素が更新されます。
ADFモバイルでは、ユーザー、デバイスおよびハードウェアの各プロパティを反映するproperty
属性のセットが提供されています。これらのプロパティを次の演算子と組み合せて使用することでアプリケーション機能の使用方法が決定されます。
contains
equal
less
more
not
ユーザーがADFモバイル・アプリケーションにログインした後、ADFモバイル・ランタイムでは、アプリケーション機能ごとに構成されたユーザー・ロール・ベースの制約を、アクセス制御サービス(ACS)によって取得されたユーザー・ロールと権限に対して調整します。その後ADFモバイルでは、制約を満たす権限を持つエンド・ユーザーにのみ、アプリケーション機能(またはアプリケーション機能のコンテンツ)を提供します。このようなユーザー権限とロールに関する制約を設定するだけでなく、「ADFモバイル・ログイン接続の作成」ダイアログに次の項目を入力することによって、ADFモバイル・アプリケーション用のアクセス制御を作成できます(図14-4および第18.4.2項「ログイン・ページの指定方法」を参照)。
ユーザー・ロールと権限を送信するREST WebサービスのURL。
アプリケーション機能によってチェックされるユーザー・ロールのリスト。
権限のリスト。
第18.4.7項「アクセス制御サービスに関する必知事項」も参照してください。
user.roles
およびuser.privileges
に基づく制約を使用してアプリケーション機能へのアクセスを制御します。たとえば、アプリケーション機能へのアクセスをmanager_roleロールを持つユーザーのみに許可するには、user.roles contains manager_role
の制約をアプリケーション機能の定義に追加する必要があります。
user.roles
およびuser.privileges
では、contains
およびnot
の演算子を次のように使用します。
ハードウェア・オブジェクトは、カメラの有無、コンパス向首方向情報提供機能、ファイルの保存機能など、デバイスで使用可能なハードウェアを参照します。次のプロパティではequal
演算子が使用されます。
hardware.networkStatus
: アプリケーションの起動時にネットワークの状態が表示されます。NotReachable
、CarrierDataConnection
およびWiFiConnection
の3つの属性値を使用してこのプロパティを変更できます。例14-4 は、この3つ目の属性値を例示しています。その例に示すとおり、この値を設定することで、デバイス・ハードウェアがWi-Fi接続があることを示している場合にのみモバイル・アプリケーションにこのモバイル・アプリケーション機能が表示されることになります。つまり、デバイスにWi-Fi接続がない場合は、ADFモバイル・アプリケーションをロードしても、そのアプリケーション機能は表示されません。
例14-4 hardware.networkStatusプロパティの定義
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.networkStatus" operator="equal" value="WiFiConnection" /> </constraints> ... </feature>
注意: この制約は、iOSデバイスの起動時に評価されます。起動時にデバイスにWi-Fi接続がなく、その後その接続を取得した場合(ユーザーがWi-Fiのホットスポットに入った場合など)、アプリケーション機能は無効のままとなり、ユーザーがモバイル・アプリケーションを停止し再起動するまで利用できません。 |
hardware.hasAccelerometer
: デバイスに加速度計があるかどうかを示します。このプロパティは、true
またはfalse
の値で定義します。例14-5は、true
の値を示しており、ハードウェアに加速度計がある場合にのみこのアプリケーション機能が利用可能なことを示しています。
例14-5 hardware.hasAccelerometerプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.hasAccelerometer" operator="equal" value="true" /> </constraints> ... </feature>
注意: iOSベースのハードウェアにはすべて加速度計があるため、このプロパティは常に |
hardware.hasCamera
: デバイスにカメラがあるかどうかを示します。この制約は、true
またはfalse
の属性値を使用して定義します。例14-6は、値がtrue
に設定されており、デバイスにカメラが含まれている場合にのみアプリケーション機能が利用可能なことを示しています。
例14-6 hardware.hasCameraプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.hasCamera" operator="equal" value="true" /> </constraints> ... </feature>
注意: すべてのiOSベース・ハードウェアにカメラが搭載されているわけではありません。この値は、iOSデバイスでADFモバイル・アプリケーションを起動した際に動的に評価されます。そのときに、モバイル・アプリケーションでは、 |
hardware.hasCompass
: デバイスにコンパスがあるかどうかを示します。この制約は、例14-7に示すように、true
またはfalse
の属性値を使用して定義します。
例14-7 hardware.hasCompassプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.hasCompass" operator="equal" value="true" /> </constraints> ... </feature>
注意: すべてのiOSデバイスにコンパスがあるわけではありません。この値は、iOSデバイスでADFモバイル・アプリケーションを起動した際に動的に評価されます。そのときに、モバイル・アプリケーションでは、 |
hardware.hasContacts
: デバイスにアドレス帳またはコンタクト先があるかどうかを示します。この制約は、例14-8に示すように、true
またはfalse
の属性値を使用して定義します。
例14-8 hardware.hasContactsプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.hasContacts" operator="equal" value"=true" /> </constraints> ... </feature>
注意: iOSベースのハードウェアのコンタクト先はApache Cordova経由でアクセスされるため、iOSデバイスに対しては |
hardware.hasFileAccess
: デバイスでファイル・アクセスが可能かどうかを示します。この制約は、例14-9に示すように、true
またはfalse
の属性値を使用して定義します。ランタイムがこの制約をtrue
に評価した場合にのみ、アプリケーション機能を利用できます。
例14-9 hardware.hasFileAccessプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.hasFileAccess" operator="equal" value="true" /> </constraints> ... </feature>
注意: iOSベースのハードウェアのファイル・アクセスはApache Cordova経由でアクセスされるため、iOSデバイスに対しては |
hardware.hasGeoLocation
: デバイスが地理的位置情報サービスを提供しているかどうかを示します。この制約は、例14-10に示すように、true
またはfalse
の属性値を使用して定義します。デバイスが地理的位置情報をサポートする場合にのみ、アプリケーション機能を利用できます。
例14-10 hardware.hasGeoLocationプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.hasGeoLocation" operator="equal" value="true"/> </constraints> ... </feature>
注意: Apache Cordovaでは、すべてのiOSデバイスに対して地理的位置情報サービスへのアクセスを提供しているわけではありません。デバイスによっては、制約がランタイムにより評価された場合に、アプリケーション機能が利用できない可能性があります。 |
hardware.hasLocalStorage
: デバイスがファイルのローカル記憶域を提供するかどうかを示します。この制約は、例14-11に示すように、true
またはfalse
のvalue
属性を使用して定義します。デバイスがローカルでのファイルの格納をサポートする場合にのみ、アプリケーション機能が表示されます。
例14-11 hasLocalStorageプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.hasLocalStorage" operator="equal" value="true" /> </constraints> ... </feature>
注意: Apache CordovaではすべてのiOSハードウェアでローカル・ファイル記憶域へのアクセスが提供されるため、iOSデバイスに対する |
hardware.hasMediaPlayer
: デバイスにメディア・プレーヤがあるかどうかを示します。この制約は、例14-12に示すように、true
またはfalse
のvalue
属性を使用して定義します。デバイスにメディア・プレーヤがある場合にのみ、アプリケーション機能が表示されます。
例14-12 hardware.hasMediaPlayerプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.hasMediaPlayer" operator="equal" value="true" /> </constraints> ... </feature>
注意: Apache CordovaではiOSベースのハードウェアでメディア・プレーヤへのアクセスを提供しているため、iOSデバイスでは |
hardware.hasMediaRecorder
: デバイスにメディア・レコーダがあるかどうかを示します。この制約は、例14-13に示すように、true
またはfalse
のvalue
を使用して定義します。デバイス・ハードウェアがメディア・レコーダをサポートする場合にのみ、アプリケーション機能が含まれます。
例14-13 hardware.hasMediaRecorderプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.hasMediaRecorder" operator="equal" value="true" /> </constraints> ... </feature>
注意: すべてのiOSベースのハードウェアにApache Cordovaからアクセス可能なメディア・レコーダがあるため、すべてのiOSデバイスでこの値を |
hardware.hasTouchScreen
: ハードウェアにタッチ・スクリーン機能があるかどうかを示します。この制約は、例14-14に示すように、true
またはfalse
のvalue
属性を使用して定義します。デバイス・ハードウェアがタッチ・スクリーンをサポートする場合にのみ、アプリケーション機能が含められます。
例14-14 hardware.hasTouchScreenプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.hasTouchScreen" operator="equal" value="true" /> </constraints> ... </feature>
注意: すべてのiOSベースのハードウェアにタッチ・スクリーン機能があるため、iOSデバイスの |
hardware.screen.width
: デバイスの現在の向きでの画面幅を示します。画面幅を、デバイスに表示される実際のピクセルを表す物理デバイス・ピクセル単位ではなく、論理デバイス・ピクセル単位(例14-15では320)で示す数値を入力します。この値はデバイスの向きによって異なります。
例14-15 hardware.screen.widthプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.screen.width" operator="equal" value="320" /> </constraints> ... </feature>
注意: この値はモバイル・アプリケーションの起動時に評価され、その際にランタイムが制約を評価し、 |
hardware.screen.height
: デバイスの現在の位置における画面高さを示します。例14-16に示すように、320や480などの画面高さ(論理ピクセル単位)を示す数値を入力します。この値はデバイスの向きによって異なります。
例14-16 hardware.screen.heightプロパティの使用方法
<feature ...> ... <constraints> <constraint property="hardware.screen.height" operator="equal" value="480" /> </constraints> ... </feature>
注意: モバイル・アプリケーションの起動時に、 |
hardware.screen.availableWidth
: デバイスの現在の向きで利用可能な画面幅を示します。例14-17に示すように、320や480などの画面幅(論理ピクセル単位)を示す数値を入力します。この値はデバイスの向きによって異なります。
hardware.screen.availableHeight
: デバイスの現在の位置で利用可能な画面高さを示します。例14-18に示すように、320や480などの画面幅(論理ピクセル単位)を示す数値を入力します。この値はデバイスの向きによって異なります。