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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Process Management Studioでのビジネス・プロセスの開発
12c (12.2.1)
E69951-01
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10 ビジネス・オブジェクトのモデリング

この章では、BPMプロジェクトでビジネス・オブジェクトを使用する方法について説明します。ビジネス・オブジェクトを使用すると、プロセス内のデータを効率的に管理でき、既存のコンポーネントを再利用できます。また、プロセスの複雑さが軽減されるため、プロセスの管理が容易になります。

この章の内容は次のとおりです。

10.1 ビジネス・オブジェクトの概要

ビジネス・オブジェクトを使用すると、オブジェクト指向パラダイムを使用して、プロセスの一部であるビジネス・エンティティをモデリングおよび開発できます。ビジネス・オブジェクトを使用すると、ビジネス・オブジェクトで表されるビジネス・エンティティに関連付けられたデータおよびビジネス動作をカプセル化することで、プロセス内のデータの管理を簡略化できます。

ビジネス・オブジェクトは、属性のセットとメソッドのセットで構成されます。属性は、モデリング対象のエンティティに関連するデータを格納します。メソッドはこれらの属性の値を操作したり、属性の値に基づいて計算を実行します。

通常、ビジネス・オブジェクトは実際のビジネスにおけるエンティティを表しますが、特定のエンティティに関連付けられていないビジネス・ロジックをカプセル化するためにビジネス・オブジェクトを使用することもできます。

通常、プロセスに多数のデータ・オブジェクトが含まれている場合、同じアイデンティティを示すデータ・オブジェクトどうしを1つのビジネス・オブジェクトにまとめることができます。たとえば、営業見積サンプルでは、次のデータを見積オブジェクト内にまとめることができます。

  • 見積サマリー

  • 見積要求ステータス

  • 推奨割引

ビジネス・オブジェクトを使用して関連するデータのグループを管理する場合、複数のプロセス・データを、定義したビジネス・オブジェクトのタイプの単一データ・オブジェクトに置き換えて、プロセスの複雑さを大幅に軽減できます。また、他に「ビジネス・オブジェクトを使用したモデリングのメリット」で説明されているようなメリットもあります。

営業見積サンプルには、次のビジネス・エンティティがあります。

  • 見積

  • 使用許諾条項

  • 製品項目

  • 承認フロー

  • 縮小

これらの各エンティティは、関連性の高いデータのセットをグループ化します。このデータは、ビジネス・オブジェクトの属性内で表現されます。属性によって、同じビジネス・エンティティを定義および説明します。これらの属性の値によって、ビジネス・オブジェクトの状態が定義されます。

BPMプロジェクト内で定義したビジネス・オブジェクトは、ビジネス・カタログ内のユーザー定義モジュールに格納されます。ビジネス・オブジェクトを開くと、そのエディタにビジネス・オブジェクトの説明およびそれを構成する属性が表示されます。

ビジネス・オブジェクトは、継承をサポートしており、それらによって定義されるデータおよび動作の再利用を可能にします。継承の詳細は、「ビジネス・オブジェクト継承の概要」および「ビジネス・オブジェクト継承の使用」を参照してください。

Oracle BPM Studioには、ビジネス・オブジェクトの構造を表示および編集するためのエディタが備わっています。エディタを使用すると、次のことができます。

  • 説明の追加

  • ドキュメントの追加

  • 属性の追加、編集および削除。

  • ネームスペース情報の表示

図10-1では、手動で作成した見積オブジェクトをビジネス・オブジェクト・エディタで編集しています。

図10-1 ビジネス・オブジェクト・エディタ

「図10-1 ビジネス・オブジェクト・エディタ」の説明が続きます
「図10-1 ビジネス・オブジェクト・エディタ」の説明

10.1.1 ビジネス・オブジェクトのタイプ

ビジネス・オブジェクトの特性と機能は、ビジネス・オブジェクトを作成した方法によって決まります。

ビジネス・オブジェクトの作成方法を次に示します。

  • 手動での作成: ビジネス・オブジェクトは手動で構築できます。これには、ビジネス・オブジェクトを作成してから、属性とドキュメントを追加します。

  • XMLスキーマ要素または複合タイプに基づいて作成: 生成されるビジネス・オブジェクトには、選択したスキーマ要素または複合タイプにマッピングされた1つ以上の属性が含まれます。これらの属性は削除できませんが、新規の属性を追加することはできます。

  • 「タイプ」モジュール内の合成型をカスタマイズする方法: サービスまたは参照を追加すると、引数として必要なタイプがビジネス・カタログによって「タイプ」事前定義済モジュールに追加されますが、そのタイプをカスタマイズできます。タイプをカスタマイズする際は、ユーザー定義モジュールへのタイプの格納、名前の変更、およびタイプへの属性の追加が可能です。

10.1.2 ビジネス・オブジェクトを使用したモデリングのメリット

ビジネス・オブジェクトを使用してプロセス内のデータを管理すると、次のようなメリットがあります。

  • プロセスの簡略化: ビジネス・オブジェクトを使用すると、プロセス内のプロセス・データ・オブジェクトが少なくなります。このため、プロセスが簡略化され、可読性が向上します。

  • 結合の減少: プロセス内のデータ・オブジェクトの数が少ないほど、それを構成するサブプロセスおよびアクティビティに必要なパラメータも少なくなります。

  • 再利用: 同じプロジェクトに属していない他のプロセス内の特定のプロセスに定義したビジネス・オブジェクトを使用できます。ビジネス・オブジェクトの再利用により、プロジェクトの開発時間を大幅に短縮できます。ビジネス・オブジェクト継承を使用することで、同じプロジェクト内で1つのビジネス・オブジェクトで定義されているデータおよび動作を再利用することもできます。継承の詳細は、「ビジネス・オブジェクト継承の概要」および「ビジネス・オブジェクト継承の使用」を参照してください。

  • 容易な管理: ビジネス・オブジェクトを更新したり、そのバグを修正すると、このビジネス・オブジェクトを使用しているすべてのプロセスに変更が反映されます。

  • パラレルな開発: プロセス内のビジネス・オブジェクトの特定のインタフェースについて合意した後、チームの一部のメンバーがそれらのビジネス・オブジェクトを開発する一方で、他のメンバーがプロセスを開発することができます。

  • ユニット・テスト: プロセス内の各ビジネス・オブジェクトを個別にテストできます。ユニット・テストを行うと、テスト・ケースの複雑さを軽減し、プロジェクトの質を大幅に向上させることができます。

10.1.3 ビジネス・オブジェクトの命名規則

ビジネス・オブジェクトに名前を付ける際には、次のルールに従う必要があります。

  • 1つ以上の名詞、または形容詞で修飾された名詞を使用します。

  • 名前の最初の文字を数字にすることはできません。

  • 大文字は内部の単語を区別する目的のみで使用します。

  • 常に簡単でわかりやすい名前を使用します。

  • 単語全部を使用します。省略語は、広く認知されている場合を除いて使用しないようにします。

注意:

Oracle BPM Studioでは、ビジネス・オブジェクトの名前の最初の文字を大文字にする必要があります。

10.2 ビジネス・オブジェクトの使用

ビジネス・オブジェクトをBPMプロジェクトに追加して、プロジェクト内のプロセスに関連するデータを格納できます。追加したビジネス・オブジェクトは、ビジネス・カタログに格納されます。

ビジネス・カタログの詳細は、「ビジネス・カタログの使用」を参照してください。

ビジネス・オブジェクトの開発時には、ビジネス・オブジェクトを変更、名前変更または削除できます。また、ビジネス・オブジェクトの機能がわかるドキュメントや、その使用方法を説明するドキュメントを追加することもできます。

10.2.1 ビジネス・オブジェクトを追加する方法

ビジネス・オブジェクトをビジネス・カタログに追加して、BPMNプロセスにデータを格納するためのビジネス・エンティティをモデリングできます。

ビジネス・オブジェクトを追加するには:

  1. ビジネス・カタログ内のユーザー定義モジュールを右クリックします。
  2. 「新規」「ビジネス・オブジェクト」の順に選択します。
  3. 新規のビジネス・オブジェクトを識別する名前を入力します。

    注意:

    同じモジュール内で1つの名前を繰り返すことはできません。ただし、別のモジュール内のビジネス・オブジェクトに同じ名前を割り当てることはできます。

  4. 「OK」をクリックします。

10.2.2 ビジネス・オブジェクトを追加した後の結果

ビジネス・オブジェクトがビジネス・カタログ内に生成されます。このビジネス・オブジェクトを使用して、BPMNプロセス内に次の要素のタイプを定義できます。

  • データ・アソシエーション内の引数

  • プロセス・データ・オブジェクト

  • プロジェクト・データ・オブジェクト

10.2.3 ビジネス・オブジェクトを変更する方法

既存のビジネス・オブジェクトは、次の方法で変更できます。

10.2.4 ビジネス・オブジェクトを削除する方法

使用しないビジネス・オブジェクトや不要なビジネス・オブジェクトは削除できます。削除したビジネス・オブジェクトを使用するフロー・オブジェクトまたはデータ・アソシエーションがプロジェクトに含まれる場合は、手動でそれらを削除する必要があります。

ビジネス・オブジェクトを削除するには:

  1. 「アプリケーション」ウィンドウで、削除するビジネス・オブジェクトを右クリックします。
  2. 「削除」を選択します。

    確認メッセージが表示されます。

  3. 「OK」をクリックします。

10.2.5 ビジネス・オブジェクトを削除した後の結果

Oracle BPM Studioによって、ビジネス・オブジェクトがビジネス・カタログから削除されます。削除したビジネス・オブジェクトを使用しているフロー・オブジェクトがプロセス内にある場合、これらの参照を手動で削除する必要があります。

10.2.6 ビジネス・オブジェクトをドキュメント化する方法

ビジネス・オブジェクトの機能やデータ構造が他のプロセス開発者にわかるように、ドキュメントをビジネス・オブジェクトに追加できます。

ビジネス・オブジェクトをドキュメント化するには:

  1. ビジネス・オブジェクトを編集します。
  2. ビジネス・オブジェクト・エディタで、「ドキュメント」フィールドの隣の「編集」ボタンをクリックします。
  3. ビジネス・オブジェクトのドキュメントを追加します。

    ドキュメントを作成および編集する方法の詳細は、「ドキュメント・エディタの概要」を参照してください

  4. 「閉じる」をクリックします。

10.2.7 ビジネス・オブジェクトをドキュメント化した後の結果

他のプロセス開発者がドキュメントを読取りおよび変更できるようになります。

10.3 プロセス内でのビジネス・オブジェクトの使用

ビジネス・オブジェクトには、プロセスに関連するデータが格納されます。このデータ・オブジェクト内の情報は、プロセス内のいずれのアクティビティからでも更新できます。

プロジェクト内でビジネス・オブジェクトを使用するには、データ・オブジェクトをプロセスに追加し、そのタイプを作成済のビジネス・オブジェクトに設定します。

10.3.1 プロセス内でのビジネス・オブジェクトの使用方法

ビジネス・オブジェクトを使用してデータ・オブジェクトのタイプを定義する複合データ・オブジェクトをプロセス内に作成できます。

プロセス内でビジネス・オブジェクトを使用するには:

  1. プロセス・データ・オブジェクトをプロセスに追加します。データ・オブジェクトのタイプとしてビジネス・オブジェクトを使用します。

    プロセス・データ・オブジェクトを追加する方法の詳細は、「プロセス・データ・オブジェクトを追加する方法」を参照してください。

    注意:

    データ・オブジェクトのタイプを選択する際は、「その他のタイプを参照します。」ボタンを使用して、完全なタイプ・リストを表示します。次に「<Component>」を選択して、使用可能なビジネス・オブジェクトのリストを表示します。

  2. スクリプト・タスクまたはデータ・アソシエーションを使用して、プロセス内のデータ・オブジェクトの値を初期化します。

10.3.2 プロセス内でビジネス・オブジェクトを使用した後の結果

定義したデータ・オブジェクトの構造は、ビジネス・オブジェクトで定義されている構造になります。データ・オブジェクトのタイプは、ビジネス・オブジェクトの名前になります。たとえば、SalesQuoteというビジネス・オブジェクトを定義し、このビジネス・オブジェクトをタイプとして使用するデータ・オブジェクトを作成した場合、データ・オブジェクトのタイプはSalesQuoteになります。

データ・アソシエーションおよびスクリプト・タスクを使用して、これらのタイプを使用するデータ・オブジェクトに値を割り当てることができます。

10.4 XMLスキーマ要素またはタイプに基づくビジネス・オブジェクトの追加

ビジネス・オブジェクトはXMLスキーマ要素または複合タイプに基づいて作成できます。ビジネス・オブジェクトの作成に使用するXMLスキーマ要素または複合タイプは、BPMプロジェクトの一部である必要があります。

要素を含むXMLスキーマや複合タイプはプロジェクトに追加できます。あるいは、WSDLファイル内にインラインで定義されているタイプを使用することもできます。後者の場合、Webサービス・タイプのSOAアダプタを追加することにより、WSDLファイルをプロジェクトに追加する必要があります。

XMLスキーマ要素を使用してビジネス・オブジェクトを作成すると、選択した要素が結果のビジネス・オブジェクトの属性になります。

XMLスキーマ要素を使用してビジネス・オブジェクトを作成すると、選択した要素が結果のビジネス・オブジェクトの属性になります。

WSDLファイルに含まれるスキーマに基づいてビジネス・オブジェクトを作成した場合、結果のビジネス・オブジェクトを別のビジネス・オブジェクトの属性のタイプとして使用することはできません。

10.4.1 XMLスキーマ要素またはタイプに基づいてビジネス・オブジェクトを追加する方法

この手順を実行する前に、ビジネス・カタログにビジネス・オブジェクトのベースとして使用するXMLスキーマが含まれていることを確認してください。

XMLスキーマまたは複合タイプに基づいてビジネス・オブジェクトを追加するには:

  1. ユーザー定義モジュールを右クリックします。
  2. 「新規」「ビジネス・オブジェクト」の順に選択します。

    「ビジネス・オブジェクトの作成」ダイアログが表示されます。

  3. 新規のビジネス・オブジェクトを識別する名前を入力します。
  4. 「外部タイプに基づく」を選択します。
  5. 外部タイプ・フィールドの隣にある「参照」ボタンをクリックするか、「XMLスキーマをBPMプロジェクトに追加する方法」で説明されている手順に従って新規のXMLスキーマを追加します。
  6. 作成する新規ビジネス・オブジェクトの基となる外部タイプを選択します。

10.4.2 XMLスキーマ要素またはタイプに基づいてビジネス・オブジェクトを作成した後の結果

ビジネス・オブジェクトを変更したり、ビジネス・オブジェクトに属性を追加することはできません。ビジネス・オブジェクトの構造は、XMLスキーマ要素またはタイプの構造に基づいています。

10.4.3 XMLスキーマをBPMプロジェクトに追加する方法

「ビジネス・オブジェクトの作成」ダイアログ・ボックスから、XMLスキーマをプロジェクトに追加できます。

XMLスキーマをBPMプロジェクトに追加するには:

  1. ビジネス・オブジェクトの作成ダイアログで、「外部スキーマに基づく」オプションを選択します。
  2. 「スキーマ・ブラウザ」ボタンをクリックします。

    「タイプ・チューザ」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. 右上隅の「スキーマ・ファイルのインポート」ボタンをクリックします。

    「スキーマ・ファイルのインポート」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  4. 「URL」フィールドの隣の「リソースの参照」ボタンをクリックします。

    「SOAリソース・ブラウザ」が表示されます。

  5. ファイル・システムを参照し、スキーマ・ファイルを選択します。
  6. 「プロジェクトにコピー」を選択します。
  7. 「OK」をクリックします。

    XMLスキーマに他のタイプへの参照が含まれている場合、そのインポートを確認するためのダイアログ・ボックスが表示されます。

    「リソースの参照」ダイアログ・ボックスが閉じ、「タイプ・チューザ」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  8. ビジネス・オブジェクトのベースとして使用する要素を選択します。

10.4.4 スキーマ・ファイルをプロジェクトに追加した後の結果

スキーマ・ブラウザによって、選択したXMLスキーマがプロジェクト内のxslディレクトリにコピーされます。これを使用して新規のビジネス・オブジェクトを作成すれば、何度もそれを追加する必要がありません。

10.5 ビジネス・オブジェクト属性の概要

属性は、ビジネス・オブジェクトを定義および説明するデータを格納します。ビジネス・オブジェクトにおける属性は、オブジェクト指向におけるインスタンス変数に相当するものです。

営業見積サンプルでは、見積オブジェクト内に次の属性があります。

  • サマリー

  • 製品項目

  • 見積要求ステータス

  • 使用許諾条項

  • 推奨割引

これらの属性は製品を説明するもので、プロセスに関連しています。IDまたはSKUは、選択された製品を識別する役割を持ちます。説明はユーザーに製品の用途を示すために使用されます。価格は製品価格を顧客に示し、以降のプロセスで合計金額を計算するために使用されます。

属性を定義する際には、次の項目を指定する必要があります。

  • 名前: 属性を識別するために使用します。

  • タイプ: 属性に格納できるデータのタイプを定義します。属性では、単純型またはその他の定義済ビジネス・オブジェクトをサポートしています。

さらに、次の項目も定義できます。

10.5.1 ビジネス・オブジェクト属性でサポートされるデータ型

次の表に、ビジネス・オブジェクトの属性でサポートされるデータ型を示します。


表10-1 サポートされるデータ型

データ型 説明

文字列

英数字の値

整数

整数

ブール

trueまたはfalseの値

倍精度浮動小数点

倍精度浮動小数点数値

小数

定義済精度の小数部分

日時

時間のユニット。日付と時刻を格納します

ロング

ロング数値

期間

時間間隔

base64Binary

バイナリ値(例: イメージ、ファイル)

浮動小数

浮動小数数値

バイト

8ビット符号付き2の補数の整数

ショート

16ビット符号付き2の補数の整数

日付

時間のユニット。日付のみを格納します

時間

時間のユニット。時間のみを格納します

配列

指定されたデータ型の要素の集まり

複合タイプ

その他のビジネス・オブジェクト


10.5.2 ビジネス・オブジェクト属性の命名規則

ビジネス・オブジェクトの属性に名前を付ける際には、次のルールに従う必要があります。

  • 1つ以上の名詞、または形容詞で修飾された名詞を使用します。

  • 大文字は内部の単語を区別する目的のみで使用します。

  • 常に簡単でわかりやすい名前を使用します。

  • 単語全部を使用します。省略語は、広く認知されている場合を除いて使用しないようにします。

  • 名前の最初の文字を記号にすることはできません。

  • 短くわかりやすい名前を使用します。

  • 1文字の名前は使用しないようにします。

注意:

Studioでは、属性の名前の最初の文字は小文字にする必要があります。

10.6 ビジネス・オブジェクト属性の使用

ビジネス・オブジェクトをモデリングするには、その属性を追加する必要があります。これらの属性は、プロセスに関連するデータを格納します。

属性は必要に応じて追加、変更および削除できます。また、格納されているデータの説明とビジネス・オブジェクトのユーザーに必要な情報が記載されたドキュメントに、これらを追加することもできます。

10.6.1 ビジネス・オブジェクト属性を追加する方法

初めから作成したビジネス・オブジェクトをモデリングするには、属性を追加する必要があります。

既存のビジネス・オブジェクトに属性を追加するには:

  1. 「アプリケーション」ウィンドウで、属性を追加するビジネス・オブジェクトを右クリックします。
  2. 「新規」「属性」の順に選択します。

    注意:

    前述した手順の他に、「属性」セクションでビジネス・オブジェクトを編集して「追加」ボタンをクリックする方法もあります。

  3. 新規の属性を識別する名前を入力します。
  4. 「タイプ」リストから新規の属性のタイプを選択するか、「その他のタイプを参照します。」ボタンをクリックして複合タイプを選択します。

    注意:

    配列型を使用するには、「その他のタイプを参照します。」ボタンをクリックし、配列の型を選択し、「配列」チェック・ボックスを選択します。

  5. 「OK」をクリックします。

10.6.2 ビジネス・オブジェクト属性の削除方法

プロジェクトに役立たなくなったビジネス・オブジェクトは削除できます。

既存のBPMオブジェクトから属性を削除するには:

  1. 削除する属性が含まれるビジネス・オブジェクトを編集します。
  2. 「属性」セクションで、削除する属性を選択します。
  3. 表の最上部にある「削除」ボタンをクリックします。

    確認メッセージが表示されます。

  4. 「OK」をクリックします。

10.6.3 ビジネス・オブジェクト属性をドキュメント化する方法

ビジネス・オブジェクトの機能が他のプロセス開発者にわかるように、ドキュメントをビジネス・オブジェクト属性に追加できます。

ビジネス・オブジェクト属性をドキュメント化するには:

  1. ドキュメント化する属性が含まれるビジネス・オブジェクトを編集します。
  2. 「属性」セクションで、ドキュメント化するビジネス・オブジェクト属性を展開します。
  3. 「説明」フィールドの隣の「ドキュメントの編集」ボタンをクリックします。

    「ドキュメント」ダイアログが表示されます。

  4. 選択した属性の機能をドキュメント化するためのテキストを追加します。

    ドキュメントを作成および編集する方法の詳細は、「ドキュメント・エディタの概要」を参照してください

10.6.4 ビジネス・オブジェクト属性をドキュメント化した後の結果

他のプロセス開発者がドキュメントを読取りおよび変更できるようになります。

10.7 ビジネス・オブジェクト・メソッドの使用

ビジネス・オブジェクトには、それに含まれているデータを操作および処理を実行するメソッドを含めることができます。これらのメソッドは、そのビジネス・オブジェクトの動作を表します。

属性は必要に応じて追加、変更および削除できます。また、実行する操作の説明とビジネス・オブジェクトのユーザーに必要な情報が記載されたドキュメントに、これらを追加することもできます。

10.7.1 ビジネス・オブジェクト・メソッドの追加方法

ビジネス・オブジェクトのデータに基づいて操作および処理を実行するビジネス・オブジェクト・メソッドを定義できます。

ビジネス・オブジェクト・メソッドを追加する手順は次のとおりです。

  1. ビジネス・オブジェクトを開きます。
  2. 「メソッド」セクションで「メソッドの追加」ボタンをクリックします。

    「メソッド」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. メソッドを識別する名前を入力します。
  4. 「OK」をクリックします。

    新しいメソッドが「メソッド」セクションに表示されます。

  5. メソッドを開き、表示されるテキスト領域にスクリプト・コードを追加します。

    BPMスクリプトの詳細は、「BPMスクリプトの記述」を参照してください。

  6. 必要に応じてシグネチャを変更できます。「ビジネス・オブジェクト・メソッドのシグネチャの変更方法」を参照してください。

10.7.2 ビジネス・オブジェクト・メソッドのシグネチャの変更方法

ビジネス・オブジェクト・メソッドのシグネチャは、名前または戻り型を変更するか、入力引数を変更することで変更できます。

ビジネス・オブジェクト・メソッドのシグネチャを変更する手順は次のとおりです。

  1. ビジネス・オブジェクト・エディタでメソッドが含まれているビジネス・オブジェクトを開きます。
  2. 「メソッド」セクションを開きます。
  3. 変更するメソッドを開きます。
  4. 「削除」ボタンの横にある「シグネチャの変更」ボタンをクリックします。

    「シグネチャの変更」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  5. メソッド・シグネチャの次の要素を編集できます。
    • メソッドの名前

    • 戻りパラメータの型

    • 追加、削除または変数入力引数

10.7.3 ビジネス・オブジェクト・メソッドの削除方法

使用しなくなったビジネス・オブジェクト・メソッドは削除できます。

ビジネス・オブジェクト・メソッドを削除する手順は次のとおりです。

  1. ビジネス・オブジェクト・エディタで、削除するメソッドが含まれているビジネス・オブジェクトを開きます。
  2. 「メソッド」セクションを開きます。
  3. 削除するメソッドの「削除」ボタンをクリックします。

10.7.4 ビジネス・オブジェクト・メソッドをドキュメント化する方法

ビジネス・オブジェク・メソッドの機能が他のプロセス開発者にわかるように、ドキュメントをそれに追加できます。

ビジネス・オブジェクト属性をドキュメント化するには:

  1. ドキュメント化するメソッドが含まれるビジネス・オブジェクトを編集します。
  2. 「メソッド」セクションで、ドキュメント化するビジネス・オブジェクト・メソッドを展開します。
  3. 「説明」フィールドの隣の「ドキュメントの編集」ボタンをクリックします。

    「ドキュメント」ダイアログが表示されます。

  4. 選択したメソッドの機能をドキュメント化するためのテキストを追加します。

    ドキュメントを作成および編集する方法の詳細は、「ドキュメント・エディタの概要」を参照してください

10.8 ビジネス・オブジェクトの共有

ビジネス・オブジェクトをファイルにエクスポートしてからインポートすることで、異なるプロジェクト間でそれらを共有できます。

単一のビジネス・オブジェクトまたは複数のビジネス・オブジェクトのエクスポートを選択できます。複数のビジネス・オブジェクトをエクスポートするときは、例外もエクスポートできます。エクスポートしたビジネス・オブジェクトを含むファイルには、.bob拡張子が付きます。ビジネス・オブジェクトが他のビジネス・オブジェクトに依存している場合は、これらの依存関係もエクスポート・ファイルに含められます。

このエクスポート・ファイルから他の任意のプロジェクトに、ビジネス・オブジェクトをインポートできます。ビジネス・オブジェクトをインポートするときに、Studioでは、それが格納されていたモジュールが存在しない場合はそのモジュールもインポートされます。

10.8.1 ビジネス・オブジェクトのエクスポート方法

ビジネス・オブジェクトをエクスポートして、他の開発者と共有できます。

ビジネス・オブジェクトをエクスポートするには:

  1. 「アプリケーション」ウィンドウで、ビジネス・オブジェクトを右クリックします。
  2. 「エクスポート」を選択します。

    「オブジェクト・ファイルの選択」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. エクスポートしたビジネス・オブジェクトを格納するディレクトリを選択します。
  4. 「ファイル名」フィールドに、エクスポートしたビジネス・オブジェクトの名前を入力します。
  5. 「保存」をクリックします。

    エクスポートしたビジネス・オブジェクト・ファイルが、選択したディレクトリに格納されます。

10.8.2 ファイルからのビジネス・オブジェクトのインポート方法

別のプロジェクトからエクスポートしたビジネス・オブジェクトをインポートできます。

ファイルからビジネス・オブジェクトをインポートするには:

  1. 「アプリケーション」ウィンドウで、「ビジネス・カタログ」ノードを右クリックします。
  2. 「ビジネス・オブジェクトのインポート」を選択します。

    「オブジェクト・ファイルの選択」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. エクスポートしたビジネス・オブジェクトを含むファイルを選択します。
  4. 「開く」をクリックします。

    選択したファイルに含まれるビジネス・オブジェクトが、ビジネス・カタログに表示されます。

10.9 ビジネス・オブジェクト継承の概要

継承によって1つのビジネス・オブジェクトで定義されているデータおよび動作を再利用できます。これにより、重複するデータ構造およびスクリプトが回避され、保守が簡単になり、エラーが発生しにくくなります。

継承を使用するには、ビジネス・オブジェクトを、再利用する属性およびメソッドを定義する別のビジネス・オブジェクトの子として作成します。後者を親オブジェクトと呼びます。

子オブジェクトには、それによって定義されているかのように、親オブジェクトの属性およびメソッドへのアクセス権があります。

会社の給与計算を管理するビジネス・プロセスでは、ビジネス・オブジェクトEmployeeを定義し、Employeeのデータおよびメソッドを継承してそれらのいくつかを再定義する子ビジネス・オブジェクトManagerを定義します。

10.9.1 メソッドのオーバーロード

子ビジネス・オブジェクトは、親オブジェクトで定義されているメソッドを再定義し、それらにその子ビジネス・オブジェクト固有の異なる動作を割り当てることができます。再定義されたメソッドの入力引数および戻りパラメータは、親オブジェクトのメソッドのものと一致する必要があります。

10.9.2 ポリモフィズム

子ビジネス・オブジェクトは、親ビジネス・オブジェクトのサブタイプです。つまり、親ビジネス・オブジェクトの型を使用してデータ・オブジェクトを定義し、それに子ビジネス・オブジェクトのインスタンスを割り当てることができます。これを行う場合、親ビジネス・オブジェクトで定義されている属性およびメソッドにのみアクセス権を持つようになります。ただし、子ビジネス・オブジェクトで再定義されたメソッドは、それらが子オブジェクトで定義されたように動作します。

10.9.3 メソッドのオーバーライド

ビジネス・オブジェクトは同じ名前であるが引数のセットが異なる複数のメソッドを持つことができます。そのメソッドが呼び出されたときに呼び出される引数に基づいて、どのメソッドを実行するのかがランタイム・エンジンによって決定されます。

10.9.4 属性のシャドウイング

子ビジネス・オブジェクトは、親オブジェクトで定義されているものと同じ名前の属性および属性の型を定義できます。

10.9.5 抽象ビジネス・オブジェクト

ビジネス・オブジェクトを抽象としてマークして、それが子ビジネス・オブジェクトで再利用されるデータおよびメソッドを定義するのみであるが、このビジネス・オブジェクトのインスタンスの作成は無意味であることを示すことができます。それを抽象としてマークすることで、このビジネス・オブジェクトのインスタンスを作成できなくなります。

10.10 ビジネス・オブジェクト継承の使用

ビジネス・オブジェクト継承を使用してデータおよびメソッドを再利用すると、コードの重複を回避し、保守を容易にすることができます。

この項では、子ビジネス・オブジェクトの作成方法と、オブジェクトを抽象としてマークする方法について説明します。

10.10.1 子ビジネス・オブジェクトの作成方法

子ビジネス・オブジェクトを作成すると、ビジネス・オブジェクトで定義されている属性およびメソッドを再利用できます。

子ビジネス・オブジェクトを作成する手順は次のとおりです。

  1. 「アプリケーション」ウィンドウで、親ビジネス・オブジェクトとして使用するビジネス・オブジェクトを右クリックします。
  2. 「子オブジェクトの作成」を選択します。

    ビジネス・オブジェクトの作成ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. 名前を入力し、宛先モジュールを選択します。
  4. 「OK」をクリックします。

    子ビジネス・オブジェクトが表示されたビジネス・オブジェクト・エディタが開きます。どれが親フィールドであるのかを示す親フィールドがあることに注意してください。

    注意:

    既存のビジネス・オブジェクトに対してその親オブジェクトを選択することで、子オブジェクトを定義することもできます。

10.10.2 子オブジェクトを作成した後の結果

子オブジェクトは、親ビジネス・オブジェクトで定義されている属性およびメソッドを使用できます。

10.10.3 ビジネス・オブジェクトを抽象としてマークする方法

ビジネス・オブジェクトを抽象としてマークし、それが動作およびデータを定義するのみであることを示すことができます。

抽象ビジネス・オブジェクトを作成する手順は次のとおりです。

  1. ビジネス・オブジェクト・エディタで、抽象としてマークするビジネス・オブジェクトを開きます。
  2. 「抽象」チェック・ボックスを選択します。

10.10.4 ビジネス・オブジェクトを抽象としてマークした後の結果

ビジネス・オブジェクトを抽象としてマークし、それが、子オブジェクトによって再利用される動作およびデータを定義するのみであることを示すことができます。抽象ビジネス・オブジェクトはインスタンス化できず、データ・オブジェクトの型を定義してそれに子ビジネス・オブジェクトのインスタンスを割り当てることにのみ使用できます。