連結プロセス

連結は、依存エンティティからデータを収集し、親エンティティにデータを集約するプロセスです。基本レベルのエンティティにデータを入力またはロードし、データを計算および調整した後、組織全体にわたってデータを集約するために、選択したシナリオおよび期間の連結を実行します。データの連結時に、必要な通貨換算と内部取引消去、そして必要に応じて資本調整または少数出資比率計算が行われます。

Oracle Hyperion Financial Managementはデフォルトの連結メソッドを提供します。法定連結を使用可能にするには、連結プロセスをカスタマイズします。アプリケーションの作成時に、連結ルール属性を設定できます。デフォルトでは、この設定は有効になっておらず、デフォルトの連結と消去が行われます。この設定を有効にすると、管理者が定義したSub Consolidate()ルーチンに記述されているルールに従って連結が行われます。Oracle Hyperion Financial Management管理者ガイドを参照してください。

連結プロセスはデータ・グリッドから起動します。連結を開始すると、指定したシナリオ、年、期間、エンティティおよび値に対して連結ルールが実行されます。そのプロセスの一部として、すべての子孫エンティティ、および同じ年のそれ以前のすべての期間に対して実行されます。連結プロセスは、影響を受ける個々のエンティティおよび値に対して、すべてのCalculate関数を実行します。換算プロセスは、子エンティティ通貨から親エンティティ通貨へのデータの変換が必要な場合に実行されます。子エンティティと親エンティティが同じ通貨を使用している場合、換算プロセスは実行されません。

依存エンティティを連結する親エンティティを選択した後、必要なプロセスが自動的に実行されます。

  • エンティティのすべての子孫に対して計算ルールが実行されます。

  • 子エンティティのデータと親エンティティのデータが異なる通貨の場合は、為替レートに基づいて換算が行われます。子エンティティの場合、換算値は、値ディメンションの親通貨メンバーに格納されます。親通貨の換算値は、親にロールアップされます。

  • 仕訳に調整データを入力します。

  • 連結プロセスが開始します。子の親の出資比率が100%未満の場合、出資比率の割合が適用されます。比率および消去の詳細が生成され、コントリビューションデータが作成されます。仕訳でコントリビューションデータをさらに調整できます。

連結プロセスのエンティティ・レベルで、入力勘定科目にデータを入力し、仕訳を使用して調整をエンティティ通貨で入力します。計算ルールがエンティティ・レベルで実行され、そのエンティティのデータが調整されます。

Financial Managementでは値が倍精度浮動小数点数で保存され、等価の有効桁数15桁に変換されます。アプリケーションでの通貨や全体的な値の構成方法によっては、システムの精度の制限に達すると、値が丸められる可能性があります。このような状況が発生した場合は、この問題に関していくつかの対処方法を提案可能な信頼できるコンサルタントに相談することをお薦めします。数値の違いは精度の制限に起因するもので、ソフトウェアのバグではありません。オラクル社では、近い将来に精度を16桁以上に上げる予定はありません。

例:

次の3つの数があると仮定します。

A: 0.000000000000003

B: 0.000000000000003

C: 1

A+B = 0.000000000000006の加算を行い

その後でCを加算すると有効桁数が16桁になるので、システムによって最終桁の6が切り上げられます。結果は次のようになります:

1.00000000000001

B+Cを先に加算してからAを加算した場合、どちらの0.000000000000003も1に加算されるとすぐに切り捨てられます(結果が有効桁数15桁を超えるため)。結果は1になります。

次に連結プロセスの例を示します。

1つ目の例は、エンティティの通貨および親通貨が異なる場合のプロセスを示しています。


エンティティ通貨と親通貨が異なる連結プロセスの例。

次の例は、エンティティの通貨と親通貨が同じ場合のプロセスを示しています。


エンティティ通貨と親通貨が同一の連結プロセスの例。

換算プロセス

通貨の換算では、勘定科目のデータがある通貨から別の通貨に変換されます。依存エンティティの現地通貨のデータが、現地通貨の為替レートを使用して親の通貨に換算されます。

基本エンティティのエンティティで通貨レートを入力できます。換算時にエンティティで通貨レートを入力すると、直接換算レートに対して現在のエンティティが使用されます。たとえば、エンティティ通貨レートがEuroで、親通貨レートがUSDの場合は、換算されるエンティティでRate.Euro.USDが使用されます。エンティティで通貨レートを入力しないと、通貨エンティティの間接レートから直接レートが取得されます。たとえば、Rate.USD.Euroで保管された金額がリバースされ、Euro/USDが取得されます。

通貨エンティティに通貨レートが見つからない場合は、Noneエンティティの直接レートが使用されます。直接レートが見つからない場合は、Noneエンティティの間接レートから直接レートが取得されます。たとえば、Rate.USD.Euroで保管されている金額がリバースされ、Euro/USDが取得されます。Oracle Hyperion Financial Management管理者ガイドを参照してください。

換算ルールが実行された後、換算済通貨ディメンションが保管されます。換算済金額を、仕訳を使用して各通貨で調整できます。

これら2つのレベル(換算済データと調整済データ)の合計は、連結プロセスの開始点です。エンティティと親のデフォルト通貨が同じ場合は、換算プロセスは発生しません。その場合は、自動的に連結プロセスに直接移動します。

依存エンティティの値は、連結時に親にロールアップするため、比率の詳細や消去の詳細などの連結の詳細を保管できます。比率の詳細には、連結ルールの実行結果である残高が含まれています。また、基本値に対する連結比率の結果も反映されます。消去の詳細には、消去ルールに基づいて連結時に取得された消去残高が含まれています。

コントリビューション(調整前)値が、集約として導出されます。この場合でも、仕訳を通してこのデータを調整できます。仕訳を転記すると、コントリビューションを調整するための計算ルールが実行されます。

コントリビューション・データ(調整前)と調整の合計は、その親への基本エンティティのコントリビューションを表します。そのコントリビューションは、親の連結データを取得するために、親のその他の直属の子のコントリビューションに追加されます。コントリビューションの中間レベルへの集約は、計算中に保存されません。ただし、親に連結されたデータはシステムによって保存されます。

計算プロセス

データの計算時には、指定したシナリオ、年、期間、エンティティおよび値の計算ルールが実行されます。たとえば、前の月の期末残高を使用して、現在の月の期首残高を計算できます。

同じ年の前の期間の計算ルールが以前に実行されていない場合は、それらすべての計算ルールも実行されます。計算ルールでは、ソース・エンティティの連結や換算の実行は行われないため、ステータス(「換算要」、「連結が必要」など)はセルから削除されません。入力勘定科目が最新でない場合でも、計算ではそのデータを使用して計算済勘定科目が抽出されます。