このドキュメントでは、以前のリリースからの変更点と、現在のリリースに導入された新機能について説明します。
このマニュアルにおけるOracle Database 10gリリース2(10.2)からの変更点は次のとおりです。
Oracle Database 11gリリース1(11.1)では、Oracle interMediaという名前がOracle Multimediaに変更されました。名前のみの変更で、機能は同じです。Oracle interMediaという表記がOracle Multimediaに変更されましたが、Graphical User Interface、コード例およびOracle Database 11gリリース1(11.1)のDocumentation Libraryにある関連ドキュメントには、Oracle interMediaまたはinterMediaという表記がまだいくつか残っている可能性があります。
タイトル - 概要説明のサポートされているメディアのリストにDICOMが追加されました。
はじめに - 構文図の読み方について記載されている『Oracle Database SQL言語リファレンス』への相互参照を含む、構文の説明に関する新しい項が追加されました。
第2章 - 4GBのBLOBの制限が新しい制限(ブロック・サイズに応じて8TBから128TB)に変更されました。『Oracle Database SecureFilesおよびラージ・オブジェクト開発者ガイド』への相互参照が設定されました。
第5章 - 今回のリリースで廃止されたORDImageSignatureのAPIドキュメントが削除されました。process( )およびprocessCopy( )メソッドに関する付録Dへの相互参照が追加されました。
第7章 - SecureFilesがサポートされていることを示すために、4つのオブジェクト型の表の作成例が更新されました。デモ・スクリプトにソース・コードおよびディレクトリのクリーンアップ作業を反映するために、共通メソッドexport( )およびimportFrom( )の例が更新されました。
第8章 - 4GBのBLOBの制限が新しい制限(ブロック・サイズに応じて8TBから128TB)に変更されました。getContentLength( )およびgetSourceAddress( )メソッドのプラグマの制限が削除されました。
付録G - 表の各行のサポート・コードを意味のある情報に置き換えるために、DICOMエンコーディング規則の表の3列目が修正されました。
付録I - Still Imageに関する章のほとんどの内容が追加されました。
付録J - 廃止されたAPIコンポーネントのリストに、ORDImageSignature、ORDImageIndexおよびイメージ処理演算子が追加されました。
索引 - 新しい索引エントリが追加され、既存のエントリが改善されました。
軽度の改善およびバグ修正が継続して行われています。
Oracle Database 11g リリース1(11.1)では、Oracle Multimedia DICOMの新機能が導入され、パフォーマンスおよびスケーラビリティについての改善が行われました。
Oracle Multimedia DICOM
Oracle Multimedia DICOMは、リリース10.2で導入されました。リリース11.1では、次のOracle Multimedia DICOM機能が追加されました。
DICOMオブジェクトの作成
DICOMイメージ処理
DICOMオブジェクトの一致検証
DICOMメタデータの抽出
DICOMフォーマットのサポート
DICOMオブジェクトの匿名化
ORDDicomオブジェクト型
実行時に更新可能なDICOMデータ・モデル
これらの機能の詳細は、『Oracle Multimedia DICOM開発者ガイド』および『Oracle Multimedia DICOM Java API Reference』を参照してください。
Oracle Multimediaのパフォーマンスとスケーラビリティ
リリース11.1では、パフォーマンスとスケーラビリティも改善されました。このリリースでは、大規模なメディア・オブジェクトの管理機能に加えて、特定のイメージ処理操作において高いスループットを必要とするアプリケーション用の改善が行われました。
データベースのOracle Multimediaオブジェクト型で、データベース記憶域構造(BLOB)に対して格納および検索できるメディア・データのサイズ制限が、BLOBのサイズ制限にまで拡張されました。BLOBのサイズ制限は、ブロック・サイズに応じて8TBから128TBです。
Oracle Multimediaでは、大規模イメージの格納および検索に加えて、最大20億個のピクセルを含むイメージ、または解像度が最大で46000x46000のイメージについて、高さ、幅、圧縮形式などのイメージ属性を抽出することもできます。メタデータ抽出(IPTC、EXIFおよびXMP)をサポートするイメージの場合、Oracle Multimediaでは、埋込みメタデータを、格納可能なあらゆるサイズで抽出および管理することができます。
Oracle Multimediaには、イメージ・コンテンツを変更するイメージ処理機能が用意されています。たとえば、イメージのスケール変更および切取りや、異なるファイル・フォーマットへの変換を行うことできます。イメージの処理には、イメージのピクセル値の解釈が必要です。この操作は、多くの場合、システム・パフォーマンスおよびメモリーに影響を与えます。結果として、正常に格納できるイメージを、正常に処理することができなくなる場合があります。Oracle Multimediaが処理できる最大イメージ・サイズは、イメージ・フォーマットおよびシステム・プラットフォームによって異なります。サポートされる各フォーマットのイメージ処理の制限に関するガイドラインは、Oracle MultimediaのREADME.txt
ファイルを参照してください。
最も一般的なイメージ処理操作である縮小イメージの生成において、パフォーマンスおよびスケーラビリティが改善されました。TIFFおよびJPEGソースからこれらのイメージを生成する場合と、JPEGエンコーディングを使用したDICOMソースから生成する場合のパフォーマンスが著しく改善されました。また、縮小操作の改善によって、大規模なソース・イメージ(JPEGまたはRAWエンコーディングを使用したJPEG、TIFFおよびDICOM)からの高速な縮小イメージの生成が可能になりました。
このリリースのOracle Multimediaでは、Oracle SecureFilesと呼ばれる次世代のLOBもサポートされています。SecureFilesでは、ラージ・オブジェクト(LOB)の完全なリエンジニアリングが行われ、パフォーマンスの大幅な改善、およびOracle Databaseのネイティブ・コンテンツ管理機能の著しい強化が実現しています。Oracle Multimediaオブジェクト型、メソッドおよびパッケージは、SecureFilesで正しく操作されることがテストで保証されています。この新しいBLOBの実装によってパフォーマンスを向上させるには、Oracle Multimediaオブジェクト型にメディア・コンテンツを格納する際にSecureFilesを使用することをお薦めします。