Oracle Real Application Clustersの管理およびデプロイメントに関する新機能

ここでは、Oracle Real Application Clusters（Oracle RAC）の管理およびデプロイメントに関するOracle Database 11gリリース1（11.1）の新機能について説明します。

Oracle Real Application Clustersに関連したOracle Database 11gリリース1（11.1）の新機能

ここでは、Oracle RACの管理およびデプロイメントに関するOracle Database 11gリリース1（11.1）の機能について説明します。

• Oracle Clusterwareの管理については別マニュアルに記載

  Oracle Clusterwareの管理については、別マニュアルで説明されています。

  
  

  関連項目: Oracle Clusterwareのインストールの詳細は、使用しているプラットフォーム固有のOracle Clusterwareのインストレーション・ガイドを参照してください。Oracle RACのインストールについては、使用しているプラットフォーム固有のOracle RACのインストレーション・ガイドを参照してください。また、Oracle Clusterwareの管理の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  
  

• ASMおよびOracle RACに関するOracleのクローニング手順

  Oracle Automatic Storage Management（ASM）およびOracle RACホームをクローニングして、同じ構成を持つ追加のノードにASMおよびOracle RAC環境を迅速に拡張する手順に関する章が新しく追加されています。

  
  

  関連項目: 第5章「クローニングを使用した新規クラスタのノードへのASMおよびOracle RACの追加」

  
  

• サービスの配置に応じてデータベース・インスタンスで実行されるパラレル実行プロセス

  パラレル実行でサービス定義が認識され、適切なPARALLEL_INSTANCE_GROUP設定が自動的に使用されるようになったため、Oracle RACデータベースに対してPARALLEL_INSTANCE_GROUP初期化パラメータを明示的に設定する必要がなくなりました。このため、SQL文をパラレルに実行する場合、Oracle Databaseのデフォルトの動作では、データベースに接続するために使用したサービスを提供するインスタンスでのみパラレル・プロセスが実行されます。

  
  

  関連項目: Oracle RACで処理されるパラレル実行の詳細は、「サービスの管理」にリストされているトピックを参照してください。

  
  

• シングル・インスタンスまたはOracle RACデータベースを実行するノードへのASMの拡張

  Database Configuration Assistant（DBCA）を使用して、シングル・インスタンス・データベースまたはOracle RACデータベース・インスタンスを実行しているノードにASMインスタンスを新しく追加することができるようになりました。

  
  

  関連項目: 「シングル・インスタンスまたはOracle RACデータベースを実行するノードへのASMの拡張」

  
  

• OCIランタイム接続ロード・バランシング

  OCIセッション・プールに、新機能ランタイム接続ロード・バランシングが追加されています。OCIセッション・プールとOracle RACロード・バランシング・アドバイザが統合され、アプリケーションでセッション・プールとの接続が確立されたときにロード・バランシングが提供されるようになりました。

  
  

  関連項目: 『Oracle Call Interfaceプログラマーズ・ガイド』および「Oracle Call Interfaceクライアントでのランタイム接続ロード・バランシングの有効化」

  
  

• Oracle RAC環境でのXAトランザクションのサポートの拡張

  XAトランザクションがOracle RACインスタンス間をまたがって実行可能となり、XAを使用するアプリケーションは、Oracle RAC環境のメリットをフルに活用できるようになりました。この機能によって、これらのOracle RACインスタンス間で実行される作業単位はリソースを共有し、単一のトランザクションとして機能できます。

  
  

  関連項目: 「Oracle Real Application Clustersのサービスおよび分散トランザクション処理」および『Oracle Databaseアドバンスト・アプリケーション開発者ガイド』

  
  

• Oracle RACおよびOracle Enterprise Managerのサポートに関するAutomatic Database Diagnostic Monitor（ADDM）の拡張機能

  ADDMが拡張され、クラスタ間にまたがる包括的なパフォーマンス診断およびチューニング・アドバイスが提供されるようになりました。このADDMの拡張モードはOracle RACのADDMモードといい、Oracle RACデータベース・クラスタを分析し、個々のインスタンスまたはクラスタ全体に影響を与える問題をレポートします。

  この機能は、I/Oやインターコネクト通信などのグローバル・リソースをチューニングして、Oracle RACデータベースの管理をより正確かつ簡略化する場合に特に役立ちます。

  
  

  関連項目: Oracle Enterprise ManagerでADDMのページに移動してクラスタ全体のビューを表示する方法の詳細は、第12章「パフォーマンスの監視」および『Oracle Database 2日でReal Application Clustersガイド』を参照してください。

  
  

  Oracle Enterprise Managerでは、ADDMのOracle RACを対象とした次の拡張機能もサポートされています。

  • Oracle RACに対するADDMデータベース全体の分析。

  • 対象となるADDM分析には、クラスタ・データベース、データベース・インスタンスなど複数の粒度レベルに関する分析またはSQL、セッション、サービス、モジュール、アクション、クライアント、待機クラスなど特定のターゲットに関する分析があります。

  
  

  関連項目: 『Oracle Database 2日でパフォーマンス・チューニング・ガイド』、『Oracle Database 2日でReal Application Clustersガイド』およびオンライン・ヘルプ・システム

  
  

• ASM優先ミラー読取り

  この機能は、パフォーマンスに対するリモート・ノードのアクセスが非対称な拡張クラスタで役立ちます。記憶域の使用状況が向上し、ネットワークの負荷が低減されます。Oracle Database 10gのASMでは、ミラー化されたエクステント・セットのプライマリ・コピーが常に読み取られます。Oracle Database 11gでは、ASM障害グループの構成時に、ノードに一番近い障害グループがセカンダリ・エクステントの場合でも、この障害グループから読み取る方が効率的な場合があります。これを行うには、読取り優先障害グループを構成します。

  
  

  関連項目: 「拡張遠距離クラスタでの優先読取りミラー・ディスクの構成」

  
  

• 高度な障害診断インフラストラクチャ

  高度な障害診断インフラストラクチャによって、複数のインスタンスのトレース・ファイルが相互に関連付けられます。また、自動診断リポジトリ（ADR）ファイル・ベースのリポジトリを使用して診断データが収集および管理され、ADRCIコマンドライン・ツールを使用してすべてのインスタンスに対する診断が相互に関連付けられます。また、新しいGV$DIAG_INFOビューを問い合せると、ADRの位置を表示することができます。

  
  

  関連項目: 「Oracle Real Application Clustersでの診断データの管理」

  
  

• ASM管理のSYSASM権限およびOSASMオペレーティング・システム・グループ

  特にASM管理タスクの実行を対象としたSYSASM権限が新しく追加されています。SYSDBA権限のかわりにSYSASM権限を使用すると、ASM管理とデータベース管理間での責任の分配がより明確になります。OSASMは新しいオペレーティング・システム・グループで、ASMでのみ使用されます。OSASMグループのメンバーはオペレーティング・システム認証を使用してSYSASMとして接続でき、ASMに対するフル・アクセスが許可されます。

  
  

  関連項目: SYSASM権限の詳細は、『Oracle Databaseストレージ管理者ガイド』を参照してください。

  
  

• ASMでサポートされるローリング・アップグレード

  Oracle RACでは、ASMインスタンスでASMソフトウェアのローリング・アップグレードを実行できます。この機能を使用すると、Oracle Database 11gリリース1（11.1）以上の様々なASMバージョンで操作を行うことができます。これにより、Oracle RACデータベースの可用性に影響を与えずにASMノードをアップグレードしたり、ASMノードにパッチを適用することができます。

  
  

  関連項目: 「自動ストレージ管理のローリング・アップグレードの実行」

  
  

• ASM管理機能

  新しく追加されたASM管理の記憶域管理機能は、次のとおりです。

  • ディスク・グループ互換性の新規属性: ASMの新機能を有効にするには、2つのディスク・グループ互換性属性COMPATIBLE.RDBMSおよびCOMPATIBLE.ASMを使用します。これらの属性では、データベースおよびASMのディスク・グループを使用するために必要となる一番古いソフトウェア・バージョンをそれぞれ指定します。この機能を使用すると、Oracle Database 10gおよびOracle Database 11gからディスク・グループを使用した異機種間環境を有効化することができます。デフォルトでは、両方の属性が10.1に設定されています。新機能のメリットを活用するには、これらの属性を新しくする必要があります。

  • ASMコマンドライン・ユーティリティ（ASMCMD）の新規コマンドおよびオプション: ASCMCMDを使用すると、ASM環境におけるASMディスクの特定、ディスクの不良ブロックの修正、バックアップおよびリストア操作を実行して、迅速にリカバリすることができます。

  • ASM高速リバランス: ディスク・グループがRESTRICTEDモードのときに行われるリバランス操作では、ロックが解除され、Oracle RAC環境のASMインスタンス間のエクステント・マップ・メッセージがロック解除されます。これによって、リバランス全体のスループットが向上します。

  
  

  関連項目: ASMの詳細は、『Oracle Databaseストレージ管理者ガイド』を参照してください。

  
  

• Oracle Enterprise Managerおよびrconfigユーティリティによるシングル・インスタンスのASMインスタンスのクラスタASMインスタンスへの変換

  既存のシングル・インスタンスのASM記憶域マネージャをOracle RACデータベースに必要なクラスタ記憶域マネージャに変換できます。この変換を行うには、rconfigコマンドライン・ユーティリティまたはOracle Enterprise Manager Grid Controlを使用します。

  
  

  関連項目: 「シングル・インスタンスのASMからクラスタ化されたASMへの変換」

  
  

• ASM管理が向上するように拡張されたOracle Enterprise Manager Database Control

  Oracle Enterprise Manager Database Controlを使用すると、ディスクの再同期化の管理、優先読取り設定の制御、ローリング・アップグレードの管理など、複数のASMタスクをより簡単に管理することができます。

  
  

  関連項目: Oracle Enterprise Manager Database Controlを使用したASM管理の詳細は、『Oracle Databaseストレージ管理者ガイド』を参照してください。「Oracle RACでのOracle Enterprise Managerを使用したASMインスタンスおよびディスク・グループの管理」も参照してください。

  
  

• 確実なインストールを保証し、ソフトウェア管理を向上させるOptimal Flexible Architecture

  この機能を使用すると、デフォルトのOracle DatabaseのインストールをOptimal Flexible Architecture（OFA）仕様に準拠されるため、管理性が向上します。この機能の一部であるOracle Universal Installerが更新されているため、デフォルトのインストールはOracleのOptimal Flexible Architectureに準拠します。これにより、確実なインストールが保証され、ソフトウェア管理が向上します。

  
  

  関連項目: 第2章「記憶域の管理」

  
  

• サポート向上のためのOracle Configuration Manager

  Oracle Configuration Manager（OCM）は、構成情報をOracleMetaLinkアカウントと関連付けることができるオプションのツールです。これにより、サーバー・システム情報が利用可能であることが保証され、サービス・リクエストを処理しやすくなります。Oracle Configuration Managerは、Oracle RACをインストールした後、有効にできます。または、有効にしないという選択もあります。

  
  

  関連項目: OCMの詳細は、『Oracle Configuration Managerインストレーションおよび管理ガイド』を参照してください。

  
  

• クラスタ内の任意のインスタンスからセッションを強制終了する機能

  特定のインスタンスのセッションを終了できるALTER SYSTEM KILL文のSESSIONパラメータが新しく追加されています。

  
  

  関連項目: セッションの終了の詳細は、第3章「データベース・インスタンスおよびクラスタ・データベースの管理」を参照してください。

  
  

• Oracle RACとUniversal Connection Poolの統合

  Universal Connection Pool（UCP）は新しいとJava接続プールです。UCPには、JavaアプリケーションでOracle RACデータベースへの接続を簡単に管理できる多くの機能（Webセッション・アフィニティ、XAアフィニティ、ランタイム接続ロード・バランシング、高速接続フェイルオーバーなど）があります。

  
  

  関連項目: UCPの詳細は、『Oracle Universal Connection Pool for JDBC Developer's Guide』を参照してください。

  
  

• Oracle ClusterwareおよびOracle RACの診断機能の拡張（バックグラウンド・プロセスの追加）

  この機能では、クラスタ全体の管理および診断機能のコマンドを実行して、状態チェックの実行、デバッグ・レベルの変更、Oracle Clusterwareの起動および停止、アクティブなソフトウェア・バージョンの問合せ、アクティブなノードのリストの表示を行うことができます。

• クラスタ環境でジョブを実行および管理するDBMS_SCHEDULERパッケージ

  Oracle Databaseには、Oracle Scheduler（スケジューラ）による高度なジョブのスケジュール機能があります。スケジューラでは、クラスタ環境でのジョブの実行がサポートされています。システムに対する負荷を均等に分散してパフォーマンスを向上させるには、ジョブを実行するデータベース・サービスを指定します。

  
  

  関連項目: 『Oracle Database管理者ガイド』の「Real Application Clusters環境でのスケジューラの使用」、および「ロード・バランシング・アドバイザ」

  
  

• 初期化パラメータの管理の拡張

  この機能では、サーバー・パラメータ・ファイル（SPFILE）の管理を簡略化することによってデータベース管理が向上します。サーバー・パラメータ・ファイルの管理を簡略化するための様々な拡張機能が追加されています。追加された拡張機能は、次のとおりです。

  • よりフォルト・トレラントなSPFILE

  • SPFILEの損失からのリカバリの簡素化

  • デザインが変更され、直感的になったOracle Enterprise Managerの初期化パラメータ管理インタフェース

  • SPFILEでの無効なパラメータ値の設定の防止

  • リスト・パラメータの変更の簡素化

  
  

  関連項目: 「Oracle Real Application Clustersでの初期化パラメータ・ファイルの概要」

  
  

• Oracle Enterprise ManagerでのOracle RACパフォーマンスの監視および診断の向上

  Oracle Enterprise Manager Database ControlとOracle Enterprise Manager Grid Controlはいずれも、クラスタを認識し、クラスタ・データベースを集中管理するためのコンソールを提供します。Webブラウザを使用できる場所であれば、どこからでも、OracleのRACデータベース、Oracle Clusterware、アプリケーション・サーバー、ホスト・コンピュータおよびWebアプリケーションと、それらに関連するハードウェアやソフトウェアを管理できます。

  クラスタ内のデータベース・インスタンスまたはホストの指定されたメトリックをタイル・チャートとして表示することができるようになりました。この高度なビュー機能を使用すると、包括的な集計情報のみを確認する場合に、各データベース・インスタンスの詳細情報にアクセスする必要がなくなります。クラスタ全体または個々のインスタンスに影響を与える問題を確認することができます。この機能は、Oracle RACおよびOracle Clusterwareのメトリックが監視される方法に関する主な拡張機能です。Oracle Database 11gでは、長期間にわたって様々なインスタンス（ホスト）でのメトリックのパフォーマンスを監視する場合、並べて表示されたビュー以外に、ロールアップされたビューやサマリーに基づくビューを表示できます。

  また、Oracle Enterprise Managerクラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページには、データベースのパフォーマンス統計のサマリーが表示されます。統計は、グラフのクラスタ・データベースのすべてのインスタンス間でロールアップされ、パフォーマンスの問題の原因および推奨解決策が示されます。また、次の分類に基づいた情報も提供されます。

  • 待機ごとの集計

    すべてのアクティビティ・データは、次のカテゴリで表示されます。CPU、スケジューラ、ユーザーI/O、システムI/O、並列性、アプリケーション、コミット、構成、管理、ネットワーク、クラスタおよびその他Oracle Enterprise Managerでは、実行中のすべてのOracle RACインスタンスから表示されているデータがロールアップされます。

  • サービスごとの集計

    Oracle Enterprise Managerでは、各サービスのすべてのアクティビティ・データがロールアップされます。この方法で表示されたアクティビティ・データは、最もアクティブなサービスをより簡単に確認できるため、さらに分析する必要があります。

  • インスタンスごとの集計

    Oracle Enterprise Managerでは、各インスタンスのアクティビティ・データがロールアップされます。

  
  

  関連項目: 「Oracle Real Application Clustersデータベースの監視およびチューニングの概要」および『Oracle Database 2日でReal Application Clustersガイド』

  
  

• サービスを管理しないDatabase Configuration Assistant（DBCA）

  クラスタ管理サービスは、DBCAでは管理されなくなりました。Oracle Enterprise Manager Database Controlの「クラスタ管理サービス」ページを使用してサービスを管理することをお薦めします。このページには、クラスタ・データベースの「可用性」ページからアクセスできます。

  
  

  関連項目: 『Oracle Database 2日でReal Application Clustersガイド』

  
  

• 非推奨のパラレル・インスタンス・グループ

  Oracle Database 11gリリース1（11.1）では、インスタンス・グループは非推奨です。使用可能インスタンスの数を制限するには、サービスを使用します。「サービスの管理」を参照してください。