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Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド
11gリリース1(11.1)
E05739-03
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3 Oracle Clusterwareのクローニング

この章では、既存のOracle Clusterwareホームをクローニングし、それを使用して新規クラスタを作成する方法や、同一のクラスタ上の新規ノードにOracle Clusterwareを拡張する方法について説明します。クローニングは、サイレント・モードでスクリプトを使用して行います。

この章で説明するクローニング手順は、Linux、UNIXおよびWindowsシステムに適用できます。この章の例ではLinuxおよびUNIXのコマンドを使用しますが、クローニングの概念および手順は、すべてのプラットフォームに適用されます。Windowsプラットフォームの場合は、例またはコマンドをWindows固有のものに調整する必要があります。

内容は次のとおりです。

Oracle Clusterwareのクローニングの概要

クローニングとは、既存のOracleインストールを別の場所にコピーし、その後、コピーしたインストールを新しい環境で動作するよう更新するプロセスです。クローニング元のOracleホームに適用済の個別パッチによる変更は、クローニング操作の後も継承されます。クローニング中には、Oracle Clusterwareホームのインストールで実行された操作を再実行するスクリプトを実行します。

クローニングには、正常にインストールされたOracle Clusterwareホームを使用することが必要です。これを、Oracle Clusterwareホームを拡張するスクリプト実装のベースにして、新規クラスタを作成したり、Oracle Clusterware環境を同一のクラスタ内にある複数のノードに拡張します。クローニング・スクリプトを手動で作成すると、入力を検証する対話形式のチェックを使用せずにスクリプトを準備する必要があるため、エラーが発生しやすくなる場合があります。ただし、数十または数百のクラスタに対して単一スクリプトを実行するような場合には、この最初の作業は意味があります。インストールするクラスタが1つのみの場合は、Oracle Universal InstallerまたはOracle Enterprise ManagerのProvisioning Pack機能など、従来の自動化された対話形式のインストール方法を使用してください。


注意:

クローニングは、Provisioning Packの一部であるOracle Enterprise Managerクローニングの代替機能ではありません。Oracle Enterprise Managerクローニングでは、プロビジョニング・プロセスによってOracleホームの詳細(クローンのデプロイメント先、Oracle Databaseホームの名前、クラスタ内のノードのリストなど)が対話形式で確認されることで、処理が単純化されています。

Oracle Enterprise Manager Grid ControlのProvisioning Pack機能では、新規ノードおよびクラスタのプロビジョニングを自動化するフレームワークが提供されています。多数のクラスタを持つデータ・センターの場合、既存のクラスタに新規クラスタおよび新規ノードをプロビジョニングするためのクローニング手順を作成する作業は、その労力に見合った価値があります。


次のリストに、クローニングが有効ないくつかの状況を示します。

クローニングされたインストールは、クローニング元のインストールと同じ動作をします。たとえば、クローニングされたOracle Clusterwareホームは、Oracle Universal Installerを使用して削除したり、OPatchを使用してパッチを適用することができます。また、クローニングされたOracle Clusterwareホームを、別のクローニング操作のソースとして使用できます。コマンドラインのクローニング・スクリプトを使用して、テスト用、開発用または本番用のインストールをクローニングしたコピーを作成できます。多くの場合、デフォルトのクローニング手順で十分です。さらに、カスタム・ポート割当ての指定や、カスタム設定の保存など、クローニングの様々な側面をカスタマイズすることもできます。

クローニング・プロセスでは、クローニング元のOracle Clusterwareホームからクローニング先のOracle Clusterwareホームにすべてのファイルをコピーします。したがって、ソース・インスタンスで使用されているファイルの中で、クローニング元のOracle Clusterwareホームのディレクトリ構造の外部に置かれているものがある場合、それはクローニング先にコピーされません。

クローニング元とクローニング先にあるバイナリ・ファイルはクローニング操作の一環として再リンクされるため、これらのバイナリ・ファイルのサイズは異なる場合があります。また、オペレーティング・システムのパッチ・レベルも、この2つの場所で異なる場合があります。また、クローニング元からコピーされたいくつかのファイル(具体的にはインスタンス化されているファイル)はクローニング操作の一環としてバックアップされるため、クローニング先のホーム内のファイル数は増加します。

Oracle Clusterwareホームをクローニングするための準備

クローニング元のOracle Clusterwareホームでクローニングを準備するには、1つ以上のノードでクローニング手順を実行する際に使用するインストール済のOracle Clusterwareホームのコピーを作成します。

次の段階ごとの手順に従って、Oracle Clusterwareホームのコピーを準備します。


手順1   Oracle Clusterwareのインストール

プラットフォーム固有のOracle Clusterwareインストレーション・ガイドの詳細指示に従って、ソース・ノードで、次の手順を実行します。

  1. Oracle Clusterware 11gリリース1(11.1)をインストールします。

  2. 必要に応じて、適切なパッチ(11.1.0.nなど)をインストールします。

  3. 必要に応じて、個別パッチを適用します。

手順2   Oracle Clusterwareの停止

クローニング元のOracle Clusterwareホームをコピーする前に、crsctl stop crsコマンドを使用してOracle Clusterwareを停止します。次の例では、停止中に表示されるコマンドおよびメッセージを示します。

[root@node1 root]# crsctl stop crs
Stopping resources.
This could take several minutes.
Successfully stopped Oracle Clusterware resources
Stopping Cluster Synchronization Services.
Shutting down the Cluster Synchronization Services daemon.
Shutdown request successfully issued.

1つのノードからのみOracle Clusterwareホームをコピーするようにしてください。

手順3   Oracle Clusterwareホームのコピーの作成

インストールしたOracle Clusterwareホームを作業ホームとして保持するために、クローニング元のOracle Clusterwareホームの全体コピーを作成します。Oracle Clusterwareホームには、ソース・ノードにのみ関連するファイルが含まれているため、コピーから不要なファイルを任意に削除できます。


注意:

コピーの作成時には、ファイル名にリリース番号を含めることをお薦めします。

次のいずれかの方法を使用して、Oracle Clusterwareホームの圧縮コピーを作成します。

方法1: Oracle Clusterwareホームのコピーを作成し、そのコピーから不要なファイルを削除する

  1. ソース・ノードで、Oracle Clusterwareホームのコピーを作成します。インストールしたOracle Clusterwareホームを作業ホームとして保持するために、クローニング元のOracle Clusterwareホームの全体コピーを作成し、そのコピーから不要なファイルを削除します。たとえば、Linuxシステムでは、rootユーザーとしてcpコマンドを実行します。

    cp -prf CRS_HOME location_of_the_copy_of_CRS_HOME
    
  2. コピーから不要なファイルを削除します。

    Oracle Clusterwareホームには、ソース・ノードにのみ関連するファイルが含まれているため、コピーからlogcrs/initracg/dumpsrvm/logおよびcdataディレクトリにある不要なファイルを削除できます。次に、LinuxおよびUNIXシステムでOracle Clusterwareホームのコピーから不要なファイルを削除する場合に実行できるコマンドの例を示します。

    [root@node1 root]# cd /opt/oracle/product/11g/crs
    [root@node1 crs]# rm –rf ./opt/oracle/product/11g/crs/log/hostname
    [root@node1 crs]# find . -name '*.ouibak' -exec rm {} \;
    [root@node1 crs]# find . -name '*.ouibak.1' -exec rm {} \;
    [root@node1 crs]# rm –rf root.sh*
    [root@node1 crs]# cd cfgtoollogs
    [root@node1 cfgtoollogs]# find . -type f -exec rm -f {} \;
    
  3. LinuxおよびUNIXシステムではtarまたはgzipを、WindowsシステムではWinZipを使用して、前述のコピー済Oracle Clusterwareホームの圧縮コピーを作成します。使用するツールによって、権限およびファイル・タイムスタンプが保持されることを確認してください。次に例を示します。

    • LinuxおよびUNIXシステムの場合:

      [root@node1 root]# cd /opt/oracle/product/11g/crs/
      [root@node1 crs]# tar –zcvf /pathname/crs11101.tgz .
      

      この例では、cdコマンドでOracle Clusterwareホームの場所を変更し、tarコマンドでcrs11101.tgzというコピーを作成します。tarコマンドで、pathname変数はファイルの場所を表します。

    • AIXまたはHPUXシステムの場合は、次のコマンドを発行します。

      tar cpf - . | compress -fv > temp_dir/crs11101.tar.Z
      
    • Windowシステムでは、WinZipを使用してzipファイルを作成します。

方法2: –Xオプションを使用してOracle Clusterwareホームの圧縮コピーを作成する

  1. Oracle Clusterwareホーム内の不要なファイルを示すファイルを作成します。たとえば、excludeFileListというファイルに、ワイルド・カード(*)を使用して次のファイル名を示します。

    ./opt/oracle/product/11g/crs/log/hostname
    ./opt/oracle/product/11g/crs/root.sh*
    
  2. tarコマンドまたはWinzipを使用して、Oracle Clusterwareホームの圧縮コピーを作成します。たとえば、LinuxおよびUNIXシステムでは、次のコマンドを実行して、クローニング元のOracle Clusterwareホームをアーカイブおよび圧縮します。

    tar cpfX - excludeFileList . | compress -fv > temp_dir/crs11101.tar.Z
    

    注意:

    Oracle Clusterwareホームをコピーおよび圧縮するために、jarユーティリティは使用しないでください。

手順4   Oracle Clusterwareホームのコピーからの不要ファイルの削除

Oracle Clusterwareホームには、ソース・ノードにのみ関連するファイルが含まれているため、コピーから不要なファイルを削除する必要があります。logcrs/initracg/dumpsrvm/logおよびcdataディレクトリ内のファイルを除外します。

バックアップ・ファイルからファイルを除外するには、次の方法のいずれかを使用します。

手順5   クローニング元のOracle Clusterwareホームのコピーの作成

LinuxおよびUNIXシステムではtarまたはgzipを、WindowsシステムではWinZipを使用して、Oracle Clusterwareホームのコピーをソース・ノードに作成します。使用するツールによって、権限およびファイル・タイムスタンプが保持されることを確認してください。

コピーの作成時には、ファイル名にあるリリース番号を含めることをお薦めします。たとえば、次のLinuxの例では、cdコマンドを使用してOracle Clusterwareホームの場所を変更し、その後tarコマンドを使用してcrs11101.tgzという名前のコピーを作成します。

次の例では、クローニング元のOracle Clusterwareホームを様々なプラットフォームでアーカイブし圧縮する方法を示します。


注意:

Oracle Clusterwareホームをコピーおよび圧縮するために、jarユーティリティは使用しないでください。

Oracle Clusterwareのクローニングによる新規クラスタ作成

この項では、正常にインストールされたOracle Clusterware環境をクローニングし、それをクローニング先のクラスタ上のノードにコピーすることにより、新規クラスタを作成する方法を説明します。この項で示している手順は、Linux、UNIXおよびWindowsシステムでのクローニングの使用方法を説明しています。

たとえば、クローニングを使用すると、正常にインストールされたOracle Clusterware環境を迅速に複製して、新規クラスタを作成できます。図3-1では、クローニング手順の最終結果を示しています。ここでは、ノード1上のOracle Clusterwareホームがクラスタ2上のノード2およびノード3にクローニングされ、クラスタ2が新規の2ノード・クラスタとして作成されています。

図3-1 クローニングによる新規Oracle Clusterware環境の作成

図3-1の説明が続きます。
「図3-1 クローニングによる新規Oracle Clusterware環境の作成」の説明

高度なレベルで、クローニングにより新規クラスタを作成する手順は次のとおりです。

  1. 新規クラスタ・ノードの準備

  2. Oracle Clusterwareの宛先ノードへのデプロイ

  3. 各宛先ノードでのclone.plスクリプトの実行

  4. 各ノードでのorainstRoot.shスクリプトの実行

  5. CRS_home/root.shスクリプトの実行

  6. Configuration AssistantおよびOracle Cluster Verifyユーティリティの実行


手順1   新規クラスタ・ノードの準備

各宛先ノードで、次のインストール前の手順を実行します。

インストール前の全チェックリストは、ご使用のプラットフォーム固有のOracle Clusterwareインストレーション・ガイドを参照してください。


注意:

従来のインストール方法とは異なり、クローニング・プロセスでは、準備フェーズ中に入力が検証されません。(これと比較して、Oracle Universal Installerを使用した従来のインストール方法では、インタビュー・フェーズ中に様々なチェックが実行されます。)したがって、ハードウェア設定または準備フェーズ中にミスをすると、クローニング・インストールは失敗します。

手順2   Oracle Clusterwareの宛先ノードへのデプロイ

この項で説明しているクローニング手順を開始する前に、Oracle Clusterwareホームのコピーを作成するための必須タスクを完了していることを確認してください(「Oracle Clusterwareホームをクローニングするための準備」を参照)。

次の手順を実行して、各宛先ノードにOracle Clusterwareホームのコピーをデプロイします。

  1. Oracle Clusterwareホームが共有ホームでない場合、ソース・ノードのOracle Clusterwareホームが存在するディレクトリ構造と同じディレクトリ構造として、宛先クラスタの各ノード上にOracle Clusterwareホームのコピーをリストアします。Oracle Clusterwareホームが共有ホームの場合、この手順はスキップします。

    次に例を示します。

    • LinuxまたはUNIXシステムで、次のようなコマンドを実行します。

      [root@node1 root]# mkdir -p /opt/oracle/product/11g/crs
      [root@node1 root]# cd /opt/oracle/product/11g/crs
      [root@node1 crs]# tar –zxvf /pathname/crs11101.tgz
      

      この例で、pathname変数はOracle Clusterwareホームのインストール先のディレクトリ構造を表します。

    • Windowsシステムの場合は、ソース・ノードのOracle Clusterwareホームが存在するディレクトリ構造と同じディレクトリ構造に、宛先ノードのOracle Clusterwareホームを解凍します。

  2. すべてのファイルの所有権をoracle:oinstallグループに変更し、Oracleインベントリ用のディレクトリを作成します。たとえば、Linuxシステムでは次のコマンドを発行します。

    [root@node1 crs]# chown –R oracle:oinstall /opt/oracle/product/11g/crs
    [root@node1 crs]# mkdir -p /opt/oracle/oraInventory
    [root@node1 crs]# chown oracle:oinstall /opt/oracle/oraInventory
    

    注意:

    この手順は、各クラスタ・ノードでclone.plorainstRoot.shのスクリプトを実行する手順3および手順4を行う際に、同時に実行できます。

  3. 各ターゲット・ノードのCRS_Home/installディレクトリでpreupdate.shスクリプトを実行します。次に例を示します。

    @ preupdate.sh -crshome target_crs_oh   -crsuser user_who_runs_cloning -noshutdown
    

手順3   各宛先ノードでのclone.plスクリプトの実行

新しいOracle Clusterware環境を設定する場合、clone.plスクリプトではいくつかの設定値の指定が必要となります。変数を指定するには、clone.plスクリプトの実行時に入力値を指定するか、またはファイルを作成してそこでクローン変数に値を割り当てるかのいずれかの方法があります。次の説明では、これらの方法を示します。

手順4   各ノードでのorainstRoot.shスクリプトの実行

Oracle Clusterwareをインストールしたオペレーティング・システム・ユーザーとして、各宛先ノード上のCentral InventoryディレクトリでorainstRoot.shスクリプトを実行します。このスクリプトは、/etc/oraInst.locディレクトリに中央インベントリの場所を移入します。

各ノードで同時にこのスクリプトを実行できます。次に例を示します。

[root@node1 root]# /opt/oracle/oraInventory/orainstRoot.sh

次の手順に進む前に、各宛先ノードでorainstRoot.shスクリプトが完了していることを確認します。

手順5    CRS_home/root.shスクリプトの実行

各宛先ノードで、CRS_home/root.shスクリプトを実行します。一度に1つのノードでのみスクリプトを実行できます。LinuxまたはUNIXシステムの例を次に示します。

  1. 最初のノードで、次のコマンドを実行します。

    [root@node1 root]# /opt/oracle/product/11g/crs/root.sh
    

    最初のノードでCRS_home/root.shスクリプトが完了していることを確認してから、2つ目のノードでこれを実行します。

  2. 以降の各ノードで、次のコマンドを実行します。

    [root@node2 root]# /opt/oracle/product/11g/crs/root.sh
    

root.shスクリプトにより、OCR内のグローバル・サービス・デーモン(GSD)、Oracle Notification Services(ONS)、および仮想IP(VIP)リソースのノード・アプリケーションが自動的に設定されます。

手順6   Configuration AssistantおよびOracle Cluster Verifyユーティリティの実行

各ノードにおけるOracle Clusterwareのインストールの最後に、CRS_home/cfgtoollogs/configToolAllCommandsファイルのコマンドを使用してConfiguration AssistantおよびCVUを実行します。

同一クラスタ内でのクローニングによる複数ノードへのOracle Clusterwareの拡張

たとえば、クローニングを使用すると、正常にインストールされたOracle Clusterware環境を、同じクラスタ内のより多数のノードに迅速に拡張できます。図3-2では、クローニング手順の最終結果を示しています。ここでは、ノード1上のOracle Clusterwareホームが同じクラスタ内のノード2にクローニングされたことで、2ノード・クラスタが構成されています。

図3-2 クローニングによるOracle Clusterware環境の他のノードへの拡張

図3-2の説明が続きます。
「図3-2 クローニングによるOracle Clusterware環境の他のノードへの拡張」の説明

高度なレベルで、Oracle Clusterwareを複数のノードに拡張する手順は、「Oracle Clusterwareのクローニングによる新規クラスタ作成」で説明している手順とほぼ同様です。

次のリストに、Oracle Clusterwareをクラスタ内の追加ノードに拡張する場合の実行手順を示します。

  1. 新規クラスタ・ノードを準備します。

  2. 宛先ノードにOracle Clusterwareをデプロイします。

  3. 各宛先ノードでclone.plスクリプトを実行します。LinuxまたはUNIXシステムの例を次に示します。

    perl clone.pl ORACLE_BASE=/opt/oracle ORACLE_HOME=$ORACLE_HOME ORACLE_HOME_
    NAME=Oracle_home_name "sl_tableList={node2:node2_priv:node2-vip}"
    INVENTORY_LOCATION=central_inventory_location -noConfig
    

    Windowsシステムの例を次に示します。

    perl clone.pl ORACLE_BASE=D:\oracle ORACLE_HOME=CRS_HOME ORACLE_HOME_name=CRS_HOME_name
    '-O"sl_tableList={node2:node2-priv:node2-vip}"' '-O-noConfig'
     '-OPERFORM_PARTITION_TASKS=FALSE'
    
  4. 各宛先ノード上の各ノードでorainstRoot.shスクリプトを実行します。

  5. ソース・ノードでaddNodeスクリプトを実行します。

    ソース・ノードで次のコマンドを実行します。ここで、new_nodeは新規ノードの名前、new_node-privは新規ノードのプライベート・インターコネクト・プロトコル・アドレス、new_node-vipは新規ノードの仮想インターコネクト・プロトコル・アドレスです。

    $ORACLE_HOME/oui/bin/addNode.sh –silent "CLUSTER_NEW_NODES={new_nodes}"
     "CLUSTER_NEW_PRIVATE_NODE_NAMES={new_node-priv}" "CLUSTER_NEW_VIRTUAL_
    HOSTNAMES={new_node-vip}" –noCopy
    

    注意:

    clone.plスクリプトはすでに新規ノードで実行されているため、この手順ではノード上のインベントリの更新とローカル・ノード上のスクリプトのインスタンス化のみが実行されます。

  6. ソース・ノードで、スクリプトを実行してノードをインスタンス化します。

    • LinuxおよびUNIXシステムでは、rootユーザーとしてCRS_HOME/installディレクトリからrootaddnode.shスクリプトを実行します。

    • Windowsシステムでは、%CRS_HOME%\installディレクトリからcrssetup.add.batスクリプトを実行します。

  7. LinuxおよびUNIX環境では、各宛先ノードでCRS_home/root.shスクリプトを実行します

  8. Configuration AssistantおよびCLUVFYユーティリティを実行します。

    クラスタのソース・ノード上のクラスタウェアを所有するユーザーとして、次の手順で示すように、Configuration Assistantを実行します。ターゲット・ノードの$CRS_HOME/cfgtoollogs/configToolAllCommandsファイルからリモート・ポートを取得できます。

    1. LinuxまたはUNIXシステムでは、次のonsconfigコマンドを実行します。

      onsconfig add_config node2:remote_port node3:remote_port
      

      Windowsシステムでは、次のonsconfigコマンドを実行します。

      ./onsconfig add_config node2:remote_port node3:remote_port
      
    2. Linux、UNIXまたはWindowsシステムで、インストール後の検証モードでCLUVFYユーティリティを実行し、Oracle Clusterwareが正常にインストールされたことを確認します。次に例を示します。

      CRS_HOME/bin/cluvfy stage -post crsinst -n node1,node2
      

クローニング・スクリプト変数のリファレンス

表3-2では、コマンドに-Oオプションを含めた場合にclone.plスクリプトに渡すことができる変数を示しています。

表3-2 -Oオプションを含むclone.plスクリプトの変数

変数 データ型 説明

s_clustername

文字列

この変数には、クローニング操作によって作成するクラスタの一意の名前となる値を設定します。最大15文字までを使用します。クラスタ名に使用可能な文字は、アルファベット文字のAからZまでの大文字および小文字、数字の0から9、ハイフン(-)、シャープ記号(#)およびアンダースコア(_)の任意の組合せです。

INVENTORY_LOCATION

文字列

インベントリの場所。このディレクトリ位置は存在している必要があり、Oracleオペレーティング・システム・グループのoinstallによって所有されている必要があります。

sl_tableList

文字列リスト

クラスタを構成するノードのリスト。書式は、public_name:private_name:vip_name:N:Yのカンマ区切りのリストです。

この変数の値は、クラスタ構成情報の表内の情報と等しくなるように設定します。このファイルには、値のカンマ区切りのリストが含まれます。1番目のフィールドはパブリック・ノード名を示し、2番目のフィールドはプライベート・ノード名を示し、3番目のフィールドは仮想ホスト名を示します。4番目と5番目のフィールドはOracle Universal Installerによってのみ使用され、デフォルトはN:Yです。Oracle Universal Installerは、これらの値を解析し、それに従ってs_publicnameおよびs_privatename変数を割り当てます。次に例を示します。

{"node1:node1-priv:node1-vip:N:Y","node2:node2-priv:node2-vip:N:Y"}.

ret_PrivIntrList

文字列リスト

これは、「プライベート・インターコネクトの使用」表からの戻り値です。この変数の値は、{Interface Name, Subnet, Interface Type}という書式になっています。Interface Typeの値は、次のいずれかです。

  • 1はパブリックを示します。

  • 2はプライベートを示します。

  • 3は使用不可を示します。

次に例を示します。

{"eth0:10.87.24.0:2","eth1:140.87.24.0:1","eth3:140.74.30.0:3"}

ipconfigコマンドを実行すると、ret_PrivIntrListのエントリを判断するための初期値を識別できます。

n_storageTypeVDSK

整数

次を使用する場合:

  • 単一の投票ディスクを使用している場合は、このパラメータを2(非冗長)に設定します。

  • 複数の投票ディスクを使用している場合は、このパラメータを1(冗長)に設定します。

n_storageTypeOCR

整数

次を使用する場合:

  • 単一のOCRディスクを使用している場合は、このパラメータを2(非冗長)に設定します。

  • 複数のOCRディスクを使用している場合は、このパラメータを1(冗長)に設定します。

s_clustername

文字列

この変数には、ユーザーが入力したクラスタ名の情報が含まれます。最大15文字まで使用できます。

VdskMirrorNotReqd

文字列

この変数は、Oracle Cluster Registry(OCR)ダイアログでは不要です。

CLUSTER_CONFIGURATION_FILE

文字列

この変数は、インストールの際に指定したものと同じクラスタ構成ファイルの情報を渡すために使用します。sl_tablelistのかわりにこのファイルを使用できます。このファイルには、クラスタのノードに対するパブリック・ノード名、プライベート・ノード名および仮想ホスト名の情報が、それぞれ空白文字で区切られて含まれます。次に例を示します。

node1    node1-priv    node1-vip
node2    node2-priv    node2-vip

既存のインストールからクローニングする場合は、sl_tableListを使用する必要があります。クローン・インストールに対しては、この変数を指定しないでください。

s_votingdisklocation

文字列

この変数の値には、投票ディスクの場所を設定します。次に例を示します。

/oradbshare/oradata/vdisk

次を使用する場合:

  • 単一の投票ディスクを使用している場合は、s_votingdisklocationパラメータを使用して投票ディスクの場所のみを指定します。

  • 複数の投票ディスクを使用している場合は、s_votingdisklocations_OcrVdskMirror1RetValおよびs_VdskMirror2RetValパラメータを設定します。

s_OcrVdskMirror1RetVal

文字列

この変数の値には、最初の追加投票ディスクの場所を設定します。n_storageTypeVDSK変数に1の値(Not Redundant)を選択している場合、この変数を設定する必要があります。次に例を示します。

/oradbshare/oradata/vdiskmirror1

s_ocrpartitionlocation

文字列

この変数の値には、OCRの場所を設定します。この値は、root.shスクリプトの実行時にocr.locファイルに配置されます。次に例を示します。

/oradbshare/oradata/ocr

次を使用する場合:

  • 単一のOCRディスクを使用している場合、s_ocrpartitionlocationパラメータのみを設定してOCRパーティションの位置を指定します。

  • 複数のOCRディスクを使用している場合、s_ocrpartitionlocationパラメータおよびs_ocrMirrorLocationパラメータを設定します。

s_ocrMirrorLocation

文字列

この変数の値には、OCRミラーの位置の値を設定します。この値は、root.shスクリプトの実行時にocr.locファイルに配置されます。n_storageTypeOCR変数に1の値(Not Redundant)を選択している場合、この変数を設定する必要があります。次に例を示します。

/oradbshare/oradata/ocrmirror

s_VdskMirror2RetVal

文字列

この変数の値には、2番目の追加投票ディスクの場所を設定します。n_storageTypeVDSK変数に1の値(Not Redundant)を選択している場合、この変数を設定する必要があります。

/oradbshare/oradata/vdiskmirror2

CLUSTER_NODES

文字列リスト

この変数の値は、インストール用に選択したクラスタ・ノード名を表します。たとえば、node1を選択している場合は、次のようになります。

CLUSTER_NODES = {"node1"}

b_Response

ブール

この変数は、レスポンス・ファイルを使用してサイレント・インストールを実行している場合にのみ設定します。有効な値は、trueまたはfalseです。

sl_OHPartitionsAndSpace_valueFromDlg

文字列リスト

この変数の値は、次の書式を使用して設定します。

1 = ディスク番号

2 = パーティション番号

3 = パーティション・サイズ

4 = フォーマット・タイプ。RAWの場合は0、クラスタ・ファイル・システムの場合は1

5 = ドライブ文字(RAWデバイスを使用している場合、この値は適用できません。クラスタ・ファイル・システムを使用している場合は、使用可能なドライブ文字を使用します)

6 = 使用タイプの値:

  • 0 = データまたはソフトウェアの使用のみ

  • 1 = プライマリOCRのみ

  • 2 = 投票ディスクのみ

  • 3 = 同一のクラスタ・ファイル・システム・パーティション上のプライマリOCRおよび投票ディスク

  • 4 = OCRミラーのみ

  • 5 = 同一のクラスタ・ファイル・システム・パーティション上のOCRミラーおよび投票ディスク

たとえば、OCRおよび投票ディスクをRAWデバイス上で構成し、データまたはソフトウェアのいずれに対してもクラスタ・ファイル・システムを使用しない場合は、sl_OHPartitionsAndSpace_valueFromDlgを設定し、次の書式を使用してOracle Clusterwareインストールに使用するパーティションのみをリストします。

sl_OhPartitionsAndSpace_valueFromDlg =
 {Disk,Partition,partition size, 0,N/A,1,Disk,Partition,
 partition size,0,N/A,2,.....)

クローニング時に生成されたログ・ファイルの配置と表示

クローニング・スクリプトによって複数のツールが実行され、それぞれが固有のログ・ファイルを生成する場合があります。clone.plスクリプトの実行が終了した後では、ログ・ファイルを参照してクローニング・プロセスの詳細を取得できます。

クローニング中に生成される次のログ・ファイルは、診断の目的で主に使用されるログ・ファイルです。

表3-3は、Oracleインベントリ・ディレクトリの場所の検索方法を示しています。

表3-3 Oracleインベントリ・ディレクトリの場所の検索

システムの種類 Oracleインベントリ・ディレクトリの場所

LinuxおよびIBM AIXを除く、すべてのUNIXコンピュータ

/var/opt/oracle/oraInst.loc

IBM AIXおよびLinux

/etc/oraInst.locファイル

Windows

Windowsのレジストリ・キー(HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ORACLE\INST_LOC)から場所を取得