| Oracle Databaseユーティリティ 11g リリース1(11.1) E05768-02 |
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ADRコマンド・インタプリタ(ADRCI)は、Oracle Database診断データの管理に使用するコマンドライン・ツールです。
この章の内容は、次のとおりです。
ADRCIは、Oracle Databaseリリース11g に導入された故障診断機能インフラストラクチャに使用されるコマンドライン・ツールです。ADRCIでは、次の操作を実行できます。
診断データには、インシデントおよび問題についての説明、トレース・ファイル、ダンプ、状態モニターのレポート、アラート・ログ・エントリなどが含まれます。
ADRCIには豊富なコマンド・セットが用意されており、対話方式モードでまたはスクリプト内で使用できます。また、ADRCIでは、SQL*PlusがSQLおよびPL/SQLコマンドのスクリプトを実行するのと同じ方法で、ADRCIコマンドのスクリプトを実行できます。
ADRデータは、ADRディレクトリのオペレーティング・システム権限により保護されているため、ADRCIにログインする必要はありません。
次に、ADRCIおよびOracle Databaseの故障診断機能インフラストラクチャに関連して使用される用語の定義を示します。
ADRは、データベース診断データ(トレース、ダンプ、アラート・ログ、状態モニターのレポートなど)のファイルベース・リポジトリです。ADRは、複数のインスタンスおよび複数の製品間で統一されたディレクトリ構造を使用しています。リリース11g 以上では、データベース、自動ストレージ管理(ASM)およびその他のオラクル社の製品やコンポーネントは、すべての診断データをADRに格納します。各製品のインスタンスはそれぞれ、診断データを独自のADRホーム・ディレクトリの下に配置します(「ADRホーム」を参照)。たとえば、共有記憶域とASMを使用するOracle Real Application Clusters環境では、各データベース・インスタンスおよび各ASMインスタンスがADR内にホーム・ディレクトリを持ちます。ADRの統一されたディレクトリ構造を使用することで、ユーザーおよびOracleサポート・サービスによる、複数のインスタンスおよび複数の製品間での診断データを関連付けた分析が可能になります。
問題とは、データベースで発生するクリティカル・エラーのことです。クリティカル・エラーには、ORA-00600などの内部エラーや、ORA-07445(オペレーティング・システムの例外)、ORA-04031(共有プールのメモリー不足)などのその他の重大なエラーが含まれます。問題はADR内で追跡されます。各問題には、問題キーと一意の問題IDが割り当てられます(「問題キー」を参照)。
インシデントは、問題が1回発生したことを表します。問題が複数回発生する場合は、発生ごとにインシデントが作成されます。インシデントはADR内で追跡されます。各インシデントは、数値型のインシデントIDによって識別されます。このIDはADR内で一意です。インシデントが発生すると、データベースによりアラート・ログ内にエントリが作成され、Oracle Enterprise Managerにインシデント・アラートが送信されます。次に、インシデントに関する診断データがダンプ・ファイルの形式(インシデント・ダンプ)で収集され、インシデントIDを使用してインシデント・ダンプにタグが付けられ、インシデント・ダンプがそのインシデント用に作成されたADRサブディレクトリに格納されます。
通常、クリティカル・エラーの診断と解決は、インシデント・アラートから開始されます。ADR内のすべてのインシデントのリストは、ADRCIコマンドを使用して取得できます。各インシデントは1つの問題にのみマップされます。
インシデントはフラッド制御されているため、1つの問題が生成するインシデントやインシデント・ダンプが多すぎることはありません。 インシデントのフラッド制御の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
すべての問題には問題キーが割り当てられています。問題キーはエラー・コード(ORA 600など)を含むテキスト文字列で、1つ以上のエラー・パラメータを含むことがあります。2つのインシデントは、その2つの問題キーが一致した場合に発生原因が同じとみなされます。
インシデント・パッケージ(パッケージ)は、1つ以上の問題に対するインシデント・データの集合です。Oracleサポート・サービスにインシデント・データを送信する前に、インシデント・パッケージング・サービス(IPS)を使用してパッケージにデータを収集する必要があります。パッケージを作成した後は、パッケージに外部ファイルを追加したり、パッケージ内からファイルを選択して削除することや、パッケージ内で選択したファイルを修正(編集)して機密データを削除することも可能です。
パッケージは、パッケージの内容から物理ファイルを作成するまでは論理構成のみです。つまり、インシデント・パッケージは、自動診断リポジトリ(ADR)内のメタデータの集合として開始されます。パッケージの内容を追加および削除する場合は、メタデータのみが変更されます。Oracleサポート・サービスへデータをアップロードする準備ができたら、データをZIPファイルに保存するADRCIを使用して物理パッケージを作成します。
ADRCIで論理パッケージから物理パッケージを生成する前に、パッケージをファイナライズする必要があります。これにより、他のコンポーネントが呼び出され、相関診断データ・ファイルがこのパッケージにすでに存在するインシデントに追加されます。また、ファイナライズすることで、最新のトレース・ファイル、アラート・ログ・エントリ、状態モニター・レポート、SQLテスト・ケースおよび構成情報も追加されます。この手順は、物理パッケージが生成されると自動的に実行されますが、ADRCIユーティリティを使用して手動で実行することもできます。パッケージを手動でファイナライズした後、追加されたファイルを確認し、機密情報を含むファイルを削除または編集することができまます。
ADRホームは、特定のオラクル社の製品またはコンポーネントの特定のインスタンスに対するすべての診断データ(トレース、ダンプ、アラート・ログなど)のルート・ディレクトリです。たとえば、ASMを使用するReal Application Clusters環境では、各データベース・インスタンスと各ASMインスタンスにADRホームがあります。すべてのADRは、同じ階層ディレクトリ構造を共有します。各ADRホームの標準的なサブディレクトリには、アラート(アラート・ログ)、トレース(トレース・ファイル)およびインシデント(インシデント情報)を含むものもあります。すべてのADRホームはADRベース・ディレクトリ内に配置されます。(詳細は、「ADRベース」を参照してください。)
一部のADRCIコマンドは、同時に複数のADRホームでの動作が可能です。カレントADRCIホームパスにより、ADRCIコマンドの発行時に診断データを検索するADRホームが決定されます。 詳細は、「ホームパス」を参照してください。
複数のADRホーム間で診断データの相関付けを行うことができるようにするために、ADRホームはADRベースと呼ばれる同じルート・ディレクトリ下でグループ化されます。たとえば、Oracle Real Application Clusters(RAC)環境では、ADRベースが共有ディスク上に存在し、各Oracle RACインスタンスのADRホームがこのADRベース下に配置される場合があります。
データベース・インスタンスのADRベースの場所は、DIAGNOSTIC_DEST初期化パラメータによって設定されます。このパラメータが指定されない場合またはNULLである場合は、データベースではこのパラメータがデフォルト値に設定されます。詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
複数のデータベース・インスタンスがOracleホームを共有しているときは、これらのインスタンスが複数の単一インスタンスであるかOracle Real Application Clustersデータベースの複数のインスタンスであるかどうかに関係なく、1つ以上のこれらのインスタンスがADRベースを異なる場所に設定している場合、最後に起動するインスタンスがADRCIのデフォルトADRベースを決定します。
すべてのADRCIコマンドは、カレントADRホーム内の診断データに対して動作します。常に複数のADRホームをカレントにできます。一部のADRCIコマンド(SHOW INCIDENTなど)は、すべてのカレントADRホームから診断データを検索して表示します。その他のコマンドは、1つのADRホームをとカレントとし、カレントADRホームが複数存在している場合はエラー・メッセージを表示します。
ADRCIホームパスにより、カレントであるADRホームが決定されます。これは、ADRベース階層内のディレクトリを指定することによって決定されます。1つのADRホーム・ディレクトリが指定されている場合、そのADRホームが唯一のカレントADRホームとなります。ホームパスが階層内のADRホーム・ディレクトリ・レベルより上位のディレクトリを示している場合は、そのディレクトリより下位のすべてのADRホームがカレントになります。
デフォルトでは、ADRCI起動時のホームパスはNULLです。つまり、ADRベース下のADRホームはすべてカレントになります。
SHOW HOMEおよびSHOW HOMEPATHの各コマンドは、カレントであるADRホームのリストを表示し、SET HOMEPATHコマンドはホームパスを設定します。
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参照:
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ADRCIは対話方式モードまたはバッチ・モードで使用できます。詳細は次の項を参照してください。
対話方式モードでは、個々のコマンドを1つずつ入力するように要求されます。入力した各コマンドの後にはその出力が表示されます。
対話方式モードでADRCIを使用するには、次の手順に従います。
ORACLE_HOMEおよびPATH環境変数が適切に設定されていることを確認します。Windowsプラットフォームの場合、これらの環境変数はインストール時に自動的にWindowsレジストリに設定されます。その他のプラットフォームの場合は、オペレーティング・システムのコマンドを使用して環境変数を設定および確認する必要があります。
PATH環境変数には、ORACLE_HOME/binが含まれている必要があります。
ADRCI
ユーティリティが起動され、次のプロンプトが表示されます。
adrci>
EXIT QUIT
ADRCIヘルプ・システムを使用すると、次の項目を実行できます。
ADRCIコマンドのリストを表示するには、次の手順に従います。
詳細は、「対話方式モードでのADRCIの使用方法」を参照してください。
HELP
特定のADRCIコマンドのヘルプを利用するには、次の手順に従います。
詳細は、「対話方式モードでのADRCIの使用方法」を参照してください。
HELP command
たとえば、SHOW TRACEFILEコマンドに関するヘルプを利用するには、次のように入力します。
HELP SHOW TRACEFILE
コマンドライン・オプションのリストを表示するには、次の手順に従います。
ADRCI -HELP
ユーティリティによって、次のような出力が示されます。
Syntax: adrci [-help] [script=script_filename] [exec="command [;command;...]"] Options Description (Default) ----------------------------------------------------------------- script script file name (None) help help on the command options (None) exec exec a set of commands (None) -----------------------------------------------------------------
バッチ・モードを使用すると、入力を求めるプロンプトが表示されることなく、一連のADRCIコマンドを一度に実行できます。バッチ・モードを使用するには、ADRCIの起動時にADRCIコマンドにコマンドライン・パラメータを追加します。バッチ・モードでは、シェル・スクリプトまたはWindowsバッチ・ファイルにADRCIコマンドを含めることができます。対話方式モードと同様、ADRCIを起動する前に、ORACLE_HOMEおよびPATH環境変数を設定する必要があります。
次のコマンドライン・パラメータは、バッチ操作に使用できます。
| パラメータ | 説明 |
|---|---|
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ADRCIを起動するオペレーティング・システム・コマンドラインで、1つ以上のADRCIコマンドを発行できます。コマンドが複数ある場合は、セミコロン(;)で区切ります。 |
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ADRCIコマンドを含むスクリプトを実行できます。 |
コマンドラインでADRCIコマンドを発行するには、次の手順に従います。
ADRCI EXEC="COMMAND[; COMMAND]..."
たとえば、SHOW HOMESコマンドをバッチ・モードで実行するには、オペレーティング・システムのコマンド・プロンプトで次のコマンドを入力します。
ADRCI EXEC="SHOW HOMES"
SHOW HOMESコマンドを実行してから、SHOW INCIDENTコマンドを実行するには、次のように入力します。
ADRCI EXEC="SHOW HOMES; SHOW INCIDENT"
ADRCIスクリプトを実行するには、次の手順に従います。
ADRCI SCRIPT=SCRIPT_FILE_NAME
たとえば、adrci_script.txtというスクリプト・ファイルを実行するには、オペレーティング・システムのコマンド・プロンプトで次のコマンドを入力します。
ADRCI SCRIPT=adrci_script.txt
スクリプト・ファイルには、次のようにセミコロン(;)または改行で区切られた一連のコマンドが含まれています。
SET HOMEPATH diag/rdbms/orcl/orcl; SHOW ALERT -term
問題を診断するときは、複数のデータベース・インスタンスまたはコンポーネントからの診断データを使用する場合や、1つのインスタンスまたはコンポーネントからの診断データを対象とする場合があります。複数のインスタンスまたはコンポーネントからの診断データを使用するには、これらのインスタンスまたはコンポーネントすべてのADRホームがカレントであることを確認します。1つのインスタンスまたはコンポーネントからの診断データを使用するには、そのインスタンスまたはコンポーネントのADRホームのみがカレントであることを確認する必要があります。ADRCIホームパスを設定してカレントのADRホームを制御します。
複数のホームがカレントになっている場合は、ADRディレクトリ構造におけるホームパスは、直下に複数のADRホーム・ディレクトリを含むディレクトリを示しています。1つのADRホームを対象とするには、ホームパスをディレクトリ階層の下部にある1つのADRホーム・ディレクトリを示すように設定する必要があります。
たとえば、orclbiという名前のOracle Real Application Clusters(RAC)データベースが、SID orclbi1とorclbi2が指定された2つのインスタンスを持つ場合は、次の2つのADRホームが存在します。
/diag/rdbms/orclbi/orclbi1/ /diag/rdbms/orclbi/orclbi2/
すべてのADRCIコマンドおよび出力では、ADRホーム・ディレクトリ・パス(ADRホーム)は常にADRベースに対して相対的に示されます。したがって、ADRベースが現在/u01/app/oracleである場合、これら2つのADRホームの絶対パスは次のようになります。
/u01/app/oracle/diag/rdbms/orclbi/orclbi1/ /u01/app/oracle/diag/rdbms/orclbi/orclbi2/
SET HOMEPATHコマンドを使用して、1つ以上のADRホームをカレントに設定します。ADRベースが/u01/app/oracleである場合に、ホームパスを/u01/app/oracle/diag/rdbms/orclbi/orclbi2/に設定するには、このコマンドを次のように使用します。
adrci> set homepath diag/rdbms/orclbi/orclbi2
ADRCIの起動時には、ホームパスはデフォルトでNULLになります。つまり、ADRベース下のすべてのADRホームがカレントとなります。前述の例では、両方のOracle RACインスタンスのADRホームがカレントになります。
adrci> show homes ADR Homes: diag/rdbms/orclbi/orclbi1 diag/rdbms/orclbi/orclbi2
この場合、実行するADRCIコマンドはいずれも、複数のカレントADRホームをコマンドがサポートしていると想定して、両方のADRホームからの診断データを処理します。ホームパスを/diag/rdbms/orclbi/orclbi2に設定すると、orclbi2のSIDを持つインスタンスのADRホームのみがカレントになります。
adrci> set homepath diag/rdbms/orclbi/orclbi2 adrci> show homes ADR Homes: diag/rdbms/orclbi/orclbi2
この場合、実行するADRCIコマンドはいずれも、この1つのADRホームからの診断データのみを使用します。
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参照:
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リリース11g 以上のOracle Databaseでは、アラート・ログがXML形式のファイルおよびテキスト・ファイルの両方で書き込まれます。任意のテキスト・エディタでいずれかの形式のファイルを表示するか、ADRCIコマンドを実行してXMLタグを削除したXML形式のアラート・ログを表示することができます。デフォルトでは、ADRCIはデフォルトのエディタにアラート・ログを表示します。SET EDITORコマンドを使用すると、デフォルトのエディタを変更できます。
ADRCIでアラート・ログを表示するには、次の手順に従います。
詳細は、「ADRCIの起動とヘルプの利用」を参照してください。
SET HOMEPATHコマンドを使用して、ADRホームを1つ選択します(カレントにします)。最初にSHOW HOMESコマンドを使用すると、カレントのADRホームのリストを表示できます。詳細は、「ホームパス」および「ADRCIコマンドを使用する前のADRCIホームパスの設定」を参照してください。
SHOW ALERT
複数のADRホームがカレントの場合は、リストから1つのADRホームを選択するように要求されます。デフォルトのエディタに、XMLタグを削除したアラート・ログが表示されます。
SHOW ALERTコマンドのバリエーションを次に示します。
SHOW ALERT -TAIL
これは、ターミナル・セッションでのアラート・ログの最後の部分(最後の10エントリ)を表示します。
SHOW ALERT -TAIL 50
これは、ターミナル・セッションでのアラート・ログの最後の50エントリを表示します。
SHOW ALERT -TAIL -F
これは、アラート・ログの最後の10エントリを表示した後、アラート・ログに到着する追加メッセージを待機します。各メッセージは、到着時に表示に追加されます。このコマンドにより、アラート・ログのライブ監視を実行できます。待機を停止してADRCIプロンプトに戻るには、[Ctrl]を押しながら[C]を押します。
SPOOL /home/steve/MYALERT.LOG SHOW ALERT -TERM SPOOL OFF
これは、XMLタグのないアラート・ログを/home/steve/MYALERT.LOGファイルに出力します。
SHOW ALERT -P "MESSAGE_TEXT LIKE '%ORA-600%'"
これは、文字列ORA-600を含むアラート・ログ・メッセージのみを表示します。出力は次のようになります。
ADR Home = /u01/app/oracle/product/11.1.0/db_1/log/diag/rdbms/orclbi/orclbi: ****************************************************************************** 01-SEP-06 09.17.44.849000000 PM -07:00 AlertMsg1: ORA-600 dbgris01, addr=0xa9876541
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参照:
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ADRCIにより、現在自動診断リポジトリ(ADR)に存在するトレース・ファイルの名前が表示できます。ADR内に存在するすべてのトレース・ファイルの名前を表示することも、フィルタを適用して名前のサブセットを表示することもできます。たとえば、ADRCIのコマンドで、次の操作を行うことができます。
適切なコマンドライン・パラメータを使用して、フィルタ処理機能を組み合せることができます。
SHOW TRACEFILEコマンドは、カレントADRホーム下のトレース・ディレクトリおよびインシデント・ディレクトリに存在するトレース・ファイルのリストを表示します。複数のADRホームがカレントの場合、すべてのADRホームからのトレース・ファイル・リストが順次出力されます。
次の文は、フィルタ処理を行わずに、カレントADRホームに存在するすべてのトレース・ファイルの名前を表示します。
SHOW TRACEFILE
次の文は、ファイル名に文字列mmonが含まれるすべてのトレース・ファイルの名前を表示します。パーセント符号(%)はワイルドカード文字として使用されます。また、検索文字列では大/小文字が区別されます。
SHOW TRACEFILE %mmon%
この文は、/home/steve/tempディレクトリ内でファイル名に文字列mmonを含むすべてのトレース・ファイルの名前を表示します。
SHOW TRACEFILE %mmon% -PATH /home/steve/temp
この文は、トレース・ファイルの名前を、最終変更時間を逆にたどる順序でリストします。つまり、最近変更されたトレース・ファイルがリストの最初に示されます。
SHOW TRACEFILE -RT
この文は、インシデント番号1681に関連付けられているすべてのトレース・ファイルの名前を表示します。
SHOW TRACEFILE -I 1681
ADRCIのSHOW INCIDENTコマンドでは、未解決のインシデントに関する情報が表示されます。インシデントごとに、インシデントID、問題キーおよびインシデント作成時間が表示されます。複数のカレントADRホームが存在するようにADRCIホームパスが設定されている場合、レポートにはすべてのカレントADRホームからのインシデントが含まれます。
すべての未解決のインシデントに関するレポートを表示するには、次の手順に従います。
詳細は、「ADRCIの起動とヘルプの利用」および「ホームパス」を参照してください。
SHOW INCIDENT
ADRCIによって、次のような出力が生成されます。
ADR Home = /u01/app/oracle/product/11.1.0/db_1/log/diag/rdbms/orclbi/orclbi: ***************************************************************************** INCIDENT_ID PROBLEM_KEY CREATE_TIME ----------------- ------------------------- --------------------------------- 3808 ORA 603 2007-06-18 21:35:49.322161 -07:00 3807 ORA 600 [4137] 2007-06-18 21:35:47.862114 -07:00 3805 ORA 600 [4136] 2007-06-18 21:35:25.012579 -07:00 3804 ORA 1578 2007-06-18 21:35:08.483156 -07:00 4 rows fetched
SHOW INCIDENTコマンドのバリエーションを次に示します。
SHOW INCIDENT -MODE BRIEF SHOW INCIDENT -MODE DETAIL
これらのコマンドは、インシデント・レポートの詳細バージョンを生成します。
SHOW INCIDENT -MODE DETAIL -P "INCIDENT_ID=1681"
これは、インシデント1681のみを対象とする詳細なインシデント・レポートを表示します。
Oracleサポート・サービスに送信して分析を依頼するために、ADRCIコマンドを使用して1つ以上のインシデントをパッケージ化できます。詳細は、次の項目を参照してください。
インシデントのパッケージ化プロセスは次の3つの手順で構成されています。
インシデント・パッケージ(パッケージ)は、自動診断リポジトリ(ADR)内のメタデータとしてのみ存在するため、論理パッケージとして示されます。インシデント・パッケージは、論理パッケージから物理パッケージを生成するまではコンテンツが含まれません。論理パッケージにはパッケージ番号が割り当てられますので、以降のコマンドではこの番号を使用してパッケージを参照します。
論理パッケージは空のパッケージとして作成することも、インシデント番号、問題番号、問題キーまたは時間間隔に基づいたパッケージとして作成することもできます。パッケージを空のパッケージとして作成する場合は、手順2でパッケージに診断情報を追加できます。
インシデントに基づいてパッケージを作成する場合は、そのインシデントの診断データ(ダンプ、状態モニターのレポートなど)が含まれます。問題番号または問題キーに基づいてパッケージを作成する場合は、パッケージにその問題番号または問題キーを参照するインシデントの診断データが含まれます。時間間隔に基づいてパッケージを作成する場合は、その時間間隔内で発生したインシデントに関する診断データが含まれます。
インシデント番号、問題番号、問題キーまたは時間間隔に基づいて論理パッケージを作成した場合、この手順はオプションとなります。パッケージにインシデントを追加したり、ADR内のファイルをパッケージに追加することができます。空のパッケージを作成した場合は、ADRCIコマンドを使用してパッケージにインシデントまたはファイルを追加する必要があります。
コマンドを送信して物理パッケージを生成するときに、ADRCIは必要なすべての診断ファイルを収集して、指定したディレクトリ内のZIPファイルに追加します。完全なZIPファイルまたは増分ZIPファイルを生成できます。増分ファイルには、同じ論理パッケージに対してZIPファイルが最後に作成されて以降に追加または変更された診断ファイルすべてが含まれます。増分ファイルは完全ファイルを作成した後にのみ作成でき、必要な数だけ作成できます。各ZIPファイルには順序番号が割り当てられるため、ファイルを正しい順序で分析できます。
ZIPファイルの名前は次の形式に従って指定されます。
packageName_mode_sequence.zip
次のように指定します。
たとえば、2006年9月6日午後4時53分に作成した論理パッケージの完全なZIPファイルを生成してから、同じ論理パッケージに対して増分ZIPファイルを生成する場合、次のような名前のファイルを作成します。
ORA603_20060906165316_COM_1.zip ORA603_20060906165316_INC_2.zip
次の各項では、論理インシデント・パッケージ(パッケージ)の作成および物理パッケージの生成に使用するADRCIコマンドについて説明します。
IPS CREATE PACKAGEコマンドの変形を使用して、論理パッケージ(パッケージ)を作成します。
インシデントに基づいてパッケージを作成するには、次の手順に従います。
詳細は、「ADRCIの起動とヘルプの利用」および「ホームパス」を参照してください。
IPS CREATE PACKAGE INCIDENT incident_number
たとえば、次のコマンドはインシデント3に基づいてパッケージを作成します。
IPS CREATE PACKAGE INCIDENT 3
ADRCIによって、次のような出力が生成されます。
Created package 10 based on incident id 3, correlation level typical
この論理パッケージに割り当てられたパッケージ番号は10です。
IPS CREATE PACKAGEコマンドのバリエーションを次に示します。
IPS CREATE PACKAGE
これは空のパッケージを作成します。IPS ADD INCIDENTまたはIPS ADD FILEの各コマンドを使用して、生成する前にパッケージに診断データを追加する必要があります。
IPS CREATE PACKAGE PROBLEM problem_ID
これは、パッケージを作成して、指定した問題ID(問題IDは整数)を参照するインシデントの診断情報を含めます。表示されているレポートからインシデントの問題IDを取得するには、SHOW INCIDENT -MODE BRIEFコマンドを使用します。同じ問題IDを割り当てられたインシデントが数多く存在する場合もあるため、ADRCIは、90日を超えるインシデントを除き、この問題IDを持つインシデントで最初に発生した3つのインシデント(早期インシデント)と最後に発生した3つのインシデント(最新インシデント)の診断情報をパッケージに追加します。
また、ADRCIによって、すでに追加されているインシデントに時間その他の基準で密接に相関付けられている他のインシデントが追加される場合もあります。
IPS CREATE PACKAGE PROBLEMKEY "problem_key"
これは、パッケージを作成し、指定した問題キーを参照するインシデントの診断情報を含めます。表示されているレポートから問題キーを取得するには、SHOW INCIDENTコマンドを使用します。同じ問題キーを割り当てられたインシデントが数多く存在する場合もあるため、ADRCIは、90日を超えるインシデントを除き、この問題キーを持つインシデントで最初に発生した3つの早期インシデントと最後に発生した3つの最新インシデントの診断情報のみをパッケージに追加します。
また、ADRCIによって、時間などの基準においてすでに追加されているインシデントと密接に相関付けられている他のインシデントを追加する場合もあります。
問題キーは、一重引用符(')または(空白や引用符が含まれている場合には)二重引用符(")で囲む必要があります。
IPS CREATE PACKAGE SECONDS sec
これは、パッケージを作成し、sec秒前から現在までに発生したすべてのインシデントの診断情報を含みます。secは整数である必要があります。
IPS CREATE PACKAGE TIME 'start_time' TO 'end_time'
これは、パッケージを作成し、指定した時間範囲内で発生したすべてのインシデントの診断情報を含めます。start_timeおよびend_timeは、YYYY-MM-DD HH24:MI:SS.FF TZR書式で指定する必要があります。これは、NLS_TIMESTAMP_TZ_FORMAT初期化パラメータに対して有効なフォーマット文字列です。時間の小数(FF)部分はオプションで、HH24:MI:SSのデリミタにはコロンまたはピリオドを使用できます。
たとえば、次のコマンドは、2007年7月24日〜7月30日に発生したインシデントを含むパッケージを作成します。
IPS CREATE PACKAGE TIME '2007-07-24 00:00:00 -07:00' to '2007-07-30 23.59.59 -07:00'
既存の論理パッケージ(パッケージ)に次の診断情報を追加できます。
既存のパッケージにインシデントを追加するには、次の手順に従います。
詳細は、「ADRCIの起動とヘルプの利用」および「ホームパス」を参照してください。
IPS ADD INCIDENT incident_number PACKAGE package_number
既存のパッケージにADR内のファイルを追加するには、次の手順に従います。
IPS ADD FILE filespec PACKAGE package_number
filespecは、(パスを含む)完全修飾ファイル名である必要があります。ADRベース・ディレクトリ階層内に存在するファイルのみを追加できます。
パッケージを生成するときは、既存の論理パッケージに対して物理パッケージ(ZIPファイル)を作成します。
物理インシデント・パッケージを生成するには、次の手順に従います。
詳細は、「ADRCIの起動とヘルプの利用」および「ホームパス」を参照してください。
IPS GENERATE PACKAGE package_number IN path
これは、指定したパスに完全な物理パッケージ(ZIPファイル)を生成します。たとえば、次のコマンドは、ディレクトリ/home/steve/diagnosticsに論理パッケージ番号2から完全な物理パッケージを作成します。
IPS GENERATE PACKAGE 2 IN /home/steve/diagnostics
また、最後にパッケージを生成して以降に発生したインシデントのみを含む増分パッケージも生成できます。
増分物理インシデント・パッケージを生成するには、次の手順に従います。
ADRCIには次の4種類のコマンドが用意されています。
すべてのADRCIコマンドは、1つのカレントADRホームが存在する場合をサポートしています。
表15-2では、ADRCIコマンド・セットを一覧表示します。
| コマンド | 説明 |
|---|---|
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指定したレポート・タイプおよびIDのレポートを作成します。 |
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入力文字列をエコー処理します。 |
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カレントのADRCIセッションを終了します。 |
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ADRCIからオペレーティング・システムのコマンドを実行します。 |
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IPSユーティリティを起動します。ADRCI内で使用可能なIPSコマンドについては、表15-3を参照してください。 |
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カレントのADRCIセッションを終了します。 |
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ADRCIスクリプトを実行します。 |
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カレントADRCIセッションのADRベースを設定します。 |
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今後使用する目的で確保されているコマンドです。 |
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ADRの内容の削除ポリシーを設定します。 |
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コマンド出力を切り替えます。 |
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トレース・ログおよびアラート・ログの内容を表示するデフォルトのエディタを設定します。 |
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1つ以上のADRホームをカレントにします。 |
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|
ターミナル出力を切り替えます。 |
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アラート・ログ・メッセージを表示します。 |
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|
カレントADRベースを表示します。 |
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カレントの削除ポリシーを含むADR情報を表示します。 |
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状態モニターの実行情報を表示します。 |
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カレントのホームパスを表示します。 |
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カレントのADRホームを表示します。 |
|
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指定したインシデントに対して作成されたトレース・ファイルを表示します。 |
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インシデントのリストを出力します。 |
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問題のリストを出力します。 |
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指定したレポート・タイプおよびIDのレポートを表示します。 |
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修飾されたトレース・ファイル名を表示します。 |
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出力をファイルへ送信します。 |
指定したレポート・タイプと実行IDのレポートを作成し、そのレポートをADRに格納します。現在は、hm_run(状態モニター)レポート・タイプのみがサポートされています。
create report report_type run_name
report_typeはhm_runである必要があります。run_nameは状態モニターの実行名です。SHOW HM_RUNコマンドを使用して実行名を取得します。
すでにレポートが存在する場合は、そのレポートが上書きされます。レポートを表示するにはSHOW REPORTコマンドを使用します。
この例では、実行名hm_run_1421を使用した状態モニターの実行に対するレポートを作成します。
create report hm_run hm_run_1421
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注意:
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入力文字列を出力します。このコマンドを使用すると、ADRCIスクリプトからカスタム・テキストを出力できます。
echo quoted_string
文字列は一重引用符または二重引用符で囲みます。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
次の例は、文字列Hello, world!を出力します。
echo "Hello, world!" echo 'Hello, world!'
ADRCIユーティリティを終了します。
exit
EXITは、QUITコマンドのシノニムです。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
ADRCIを終了しないでオペレーティング・システムのコマンドを実行します。
host ["host_command_string"]
hostのみを使用すると、オペレーティング・システムのシェルに入り、複数のオペレーティング・システムのコマンドを入力できるようになります。シェルを終了してADRCIに戻るにはEXITを入力します。
同じ行でコマンド(host_command_string)を二重引用符で囲んで指定することもできます。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
host host "ls -l *.pl"
インシデント・パッケージング・サービス(IPS)のコマンド・セットを呼び出します。IPSコマンドは、論理インシデント・パッケージ(パッケージ)の作成、パッケージへの診断データの追加、およびOracleサポート・サービスへ送信する物理パッケージの生成を行うためのオプションを提供します。
IPSのコマンド・セットには次のコマンドが含まれます。
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注意: IPSコマンドは、複数のADRホームが設定されている場合には機能しません。1つのADRホームの設定については、「ADRCIコマンドを使用する前のADRCIホームパスの設定」を参照してください。 |
IPSのコマンド・セットは、カレントADRホームおよびADRベースのディレクトリを参照するためのショートカットを提供します。カレントADRホームのディレクトリにアクセスするには、<ADR_HOME>変数を次のように使用します。
ips add file <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc package 12
ADRベース・ディレクトリにアクセスするには、<ADR_BASE>変数を次のように使用します。
ips add file <ADR_BASE>/diag/rdbms/orcl/orcl/trace/orcl_ora_13579.trc package 12
インシデントをパッケージに追加します。
ips add {incident inc_id | problem prob_id | problemkey pr_key | seconds secs | time start_time to end_time} package pkg_id
表15-4に、IPS ADDの引数を示します。
| 引数 | 説明 |
|---|---|
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IDが |
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問題IDが |
|
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問題キーが |
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seconds secs |
現時点で過去 |
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time start_time to end_time |
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インシデントの追加先となるパッケージを指定します。 |
この例では、インシデント22をパッケージ12に追加します。
ips add incident 22 package 12
この例では、90日を超えるインシデントを除き、問題IDが6の最初に発生した3つの早期インシデントおよび最後に発生した3つの最新インシデントをパッケージ2に追加します。
ips add problem 6 package 2
この例では、過去1分間に発生したすべてのインシデントをパッケージ5に追加します。
ips add seconds 60 package 5
この例では、2007年5月1日の午前10時〜午後11時の間に発生したすべてのインシデントを追加します。
ips add time '2007-05-01 10:00:00.00 -07:00' to '2007-05-01 23:00:00.00 -07:00'
ファイルを既存のパッケージに追加します。
ips add file file_name package pkg_id
file_nameは、ファイルのフルパス名です。必要に応じて、<ADR_HOME>および<ADR_BASE>変数を使用できます。ファイルは、パッケージと同じADRベース下に存在する必要があります。
pkg_idはパッケージIDです。
この例では、トレース・ファイルをパッケージ12に追加します。
ips add file <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc package 12
指定したパッケージ内の問題すべてに対して新しいインシデントを検索して追加します。
ips add new incidents package package_id
package_idは更新するパッケージです。パッケージ内の問題の新しいインシデントのみが追加されます。
この例では、パッケージ12内の問題について新しい最新インシデントを3つまで追加します。
ips add new incidents package 12
外部ファイル・システムからADRへファイルをコピーします。
パッケージ内のファイルを編集するには、ファイルを指定したディレクトリにコピーし、そのファイルを編集してから、コピーして元のパッケージに戻す必要があります。この作業は、パッケージをOracleサポート・サービスに送信する前にファイル内の機密データを削除するために行うことがあります。
ips copy in file filename [to new_name][overwrite] package pkgid [incident incid]
外部ファイルfilename(フルパス名で指定)をADRにコピーします。ファイルは既存のパッケージpkgidに関連付けますが、オプションでインシデントincidにも関連付けることもあります。ADR内でコピーされたファイルに新しいファイル名を付ける場合は、to new_nameオプションを使用します。すでに存在するファイルを上書きする場合は、overwriteオプションを使用します。
この例では、トレース・ファイルをファイル・システムからADRにコピーします。ファイルはパッケージ2およびインシデント4に関連付けます。
ips copy in file /home/nick/trace/orcl_ora_13579.trc to <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_ 13579.trc package 2 incident 4
|
参照:
|
ADRから外部ファイル・システムへファイルをコピーします。
パッケージ内のファイルを編集するには、ファイルを指定したディレクトリにコピーし、そのファイルを編集してから、コピーして元のパッケージに戻す必要があります。この作業は、パッケージをOracleサポート・サービスに送信する前にファイル内の機密データを削除するために行うことがあります。
ips copy out file source to target [overwrite]
ファイルsourceをADRの外の場所target(フルパス名で指定)にコピーします。すでに存在するファイルを上書きする場合は、overwriteオプションを使用します。
この例では、/trace/mydb1_ora_13579.trcというファイルをADRホームからローカル・フォルダにコピーします。
ips copy out file <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc to /home/nick/trace/orcl_ora_ 13579.trc
|
参照:
|
新しいパッケージを作成します。ADRCIにより、新しいパッケージに対してパッケージ番号が自動的に割り当てられます。
ips create package {incident inc_id | problem prob_id | problemkey prob_key | seconds secs | time start_time to end_time} [correlate basic |typical | all]
また、指定されたオプションを使用しても、インシデントを新しいパッケージに追加できます。
表15-5に、IPS CREATE PACKAGEの引数を示します。
| 引数 | 説明 |
|---|---|
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IDが |
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問題IDが |
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問題キーが |
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seconds secs |
現時点で過去 |
|
time start_time to end_time |
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|
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パッケージに相関インシデントを指定する方法を選択します。この引数には3つのオプションがあります。
デフォルト値は |
|
|
インシデントをIDが |
この例では、インシデントを含まないパッケージを作成します。
ips create package
出力例:
Created package 5 without any contents, correlation level typical
この例では、指定された日の午前10時〜午後11時の間に発生したすべてのインシデントを含むパッケージを作成します。
ips create package time '2007-05-01 10:00:00.00 -07:00' to '2007-05-01 23:00:00.00 -07:00'
出力例:
Created package 6 based on time range 2007-05-01 10:00:00.00 -07:00 to 2007-05-01 23:00:00.00 -07:00, correlation level typical
この例では、パッケージを作成し、90日を超えるインシデントを除いて、問題IDが3の最初に発生した3つの早期インシデントおよび最後に発生した3つの最新インシデントを追加します。
ips create package problem 3
出力例:
Created package 7 based on problem id 3, correlation level typical
ADRからパッケージおよびその内容を削除します。
ips delete package pkg_id
pkg_idは削除するパッケージです。
ips delete package 12
アップロードする前にパッケージをファイナライズします。
ips finalize package pkg_id
pkg_idはファイナライズするパッケージのIDです。
ips finalize package 12
ターゲット・ディレクトリに物理パッケージ(ZIPファイル)を作成します。
ips generate package package_id [in path] [complete | incremental]
package_idは生成するパッケージのIDです。オプションで、ディレクトリpathにファイルを保存できます。このオプションを指定しない場合、パッケージは現在の作業ディレクトリに生成されます。
completeオプションを指定すると、ADRCIにより、すべてのパッケージ・ファイルがパッケージに強制的に含まれるようになります。これがデフォルトの動作となります。
incrementalオプションを選択すると、このパッケージが最後に生成された後に追加または変更されたファイルのみが指定されます。したがって、incrementalオプションでのコマンドの動作はより短い時間で終了します。
この例では、パス/home/steveに物理パッケージ・ファイルを生成します。
ips generate package 12 in /home/steve
この例では、物理パッケージが最後に生成された後に追加または変更されたファイルからパッケージを生成します。
ips generate package 14 incremental
パッケージのZIPファイルからマニフェストを抽出して表示します。
ips get manifest from file filename
filenameは、パッケージのZIPファイルです。マニフェストは、パッケージ・ファイルのXML形式のメタデータのセットで、ADR構成、相関ファイル、インシデントおよびパッケージが生成された方法に関する情報を含みます。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
ips get manifest from file /home/steve/ORA603_20060906165316_COM_1.zip
パッケージ・ファイルからADR関連のメタデータを抽出して表示します。
ips get metadata {from file filename | from adr}
filenameは、パッケージのZIPファイルです。(metadata.xmlに格納されている)パッケージ・ファイルのメタデータには、ADRホーム、ADRベースおよび製品に関する情報が含まれています。
IPS UNPACKを使用してADRホームに解凍されたパッケージZIPファイルからメタデータを取得するには、from adrオプションを使用します。
from adrオプションを使用する場合は、ADRホームを設定する必要があります。
この例では、パッケージ・ファイルからメタデータを表示します。
ips get metadata from file /home/steve/ORA603_20060906165316_COM_1.zip
次の例では、ディレクトリ/scratch/oracle/package1に解凍したパッケージ・ファイルからメタデータを表示します。
set base /scratch/oracle/package1 ips get metadata from adr
前述の例でADRCIは、SET BASEコマンドを受け取ると、IPS UNPACK FILEコマンドで/scratch/oracle/package1に作成されたADRホームをホームパスに自動的に追加します。
すぐにパッケージを作成して、物理パッケージを生成します。
ips pack [incident inc_id | problem prob_id | problemkey prob_key | seconds secs | time start_time to end_time] [correlate {basic |typical | all}] [in path]
ADRCIにより、自動的に新しいパッケージに対してパッケージ番号が生成されます。パッケージの内容が指定されない場合、IPS PACKは空のパッケージを作成します。
表15-6に、IPS PACKの引数を示します。
| 引数 | 説明 |
|---|---|
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IDが |
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問題IDが |
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問題キーが |
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seconds secs |
現時点で過去 |
|
time start_time to end_time |
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パッケージに相関インシデントを指定する方法を選択します。この引数には3つのオプションがあります。
デフォルト値は |
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物理パッケージをディレクトリ |
この例では、空のパッケージを作成します。
ips pack
この例では、インシデント861に関するすべての情報を含む物理パッケージを作成します。
ips pack incident 861
次の例では、過去1分間のすべてのインシデントを完全な相関状態で含む物理パッケージを作成します。
ips pack seconds 60 correlate all
既存のパッケージからインシデントを削除します。
ips remove {incident inc_id | problem prob_id | problemkey prob_key} package pkg_id
パッケージからインシデントを削除した後も、これらのインシデントは引き続きパッケージのメタデータ内で追跡され、(ADD NEW INCIDENTSなどを使用したときに)ADRCIが後から自動的にこれらのインシデントを追加してしまうのを防ぎます。
表15-7では、IPS REMOVEの引数を示します。
この例では、パッケージ12からインシデント22を削除します。
ips remove incident 22 package 12
既存のパッケージからファイルを削除します。
ips remove file file_name package pkg_id
file_nameはパッケージpkg_idから削除するファイルです。ファイルの完全パスを指定する必要があります。(必要に応じて、<ADR_HOME>および<ADR_BASE>変数を使用できます。)
削除後も、このファイルは引き続きパッケージのメタデータ内で追跡され、(ADD NEW INCIDENTSなどを使用したときに)ADRCIが後から自動的にこのファイルを追加してしまうのを防ぎます。したがって、ファイルを削除しても、そのファイルのEXCLUDEフラグが1に設定されるだけです。
この例では、パッケージ12からトレース・ファイルを削除します。
ips remove file <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc package 12 Removed file <ADR_HOME>/trace/orcl_ora_13579.trc from package 12 ips show files package 12 . . . ********************************************************** FILE RECORD ********************************************************** ---------------------------------------------------------- FILE INFORMATION: FILE_LOCATION <ADR_HOME>/trace FILE_NAME orcl_ora_13579.trc LAST_SEQUENCE 0 EXCLUDE 1 . . .
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参照:
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IPS構成パラメータの値を変更します。
ips set configuration parameter_id value
parameter_idは変更するパラメータIDで、valueは新しい値です。構成パラメータおよびそのIDのリストに対しては、「IPS SHOW CONFIGURATION」を使用します。
ips set configuration 3 10
IPS構成パラメータおよびその値のリストを表示します。これらのパラメータは、タイムアウトおよびインシデント追加間隔など、IPSデータの各種しきい値を制御します。
ips show configuration [parameter_id]
IPS SHOW CONFIGURATIONは、構成パラメータごとに次の情報を表示します。
オプションで、parameter_idを指定して特定のパラメータに関する情報を取得できます。
次のコマンドは、すべてのIPS構成パラメータを示します。
ips show configuration
出力例:
IPS CONFIGURATION PARAMETER ********************************************************** ---------------------------------------------------------- PARAMETER INFORMATION: PARAMETER_ID 1 NAME CUTOFF_TIME DESCRIPTION Maximum age for an incident to be considered for inclusion UNIT Days VALUE 90 DEFAULT_VALUE 90 ---------------------------------------------------------- ********************************************************** IPS CONFIGURATION PARAMETER ********************************************************** ---------------------------------------------------------- PARAMETER INFORMATION: PARAMETER_ID 2 NAME NUM_EARLY_INCIDENTS DESCRIPTION How many incidents to get in the early part of the range UNIT Number VALUE 3 DEFAULT_VALUE 3 ---------------------------------------------------------- ********************************************************** IPS CONFIGURATION PARAMETER ********************************************************** ---------------------------------------------------------- PARAMETER INFORMATION: PARAMETER_ID 3 NAME NUM_LATE_INCIDENTS DESCRIPTION How many incidents to get in the late part of the range UNIT Number VALUE 3 DEFAULT_VALUE 3 ---------------------------------------------------------- ********************************************************** IPS CONFIGURATION PARAMETER ********************************************************** ---------------------------------------------------------- PARAMETER INFORMATION: PARAMETER_ID 4 NAME INCIDENT_TIME_WINDOW DESCRIPTION Incidents this close to each other are considered correlated UNIT Minutes VALUE 5 DEFAULT_VALUE 5 ---------------------------------------------------------- ********************************************************** IPS CONFIGURATION PARAMETER ********************************************************** ---------------------------------------------------------- PARAMETER INFORMATION: PARAMETER_ID 5 NAME PACKAGE_TIME_WINDOW DESCRIPTION Time window for content inclusion is from x hours before first included incident to x hours after last incident UNIT Hours VALUE 24 DEFAULT_VALUE 24 ---------------------------------------------------------- ********************************************************** IPS CONFIGURATION PARAMETER ********************************************************** ---------------------------------------------------------- PARAMETER INFORMATION: PARAMETER_ID 6 NAME DEFAULT_CORRELATION_LEVEL DESCRIPTION Default correlation level for packages UNIT Number VALUE 2 DEFAULT_VALUE 2 ----------------------------------------------------------
このコマンドは、構成パラメータ3を示します。
ips show configuration 3
表15-8に、IPS構成パラメータの詳細を示します。
指定したパッケージ内に含まれているファイルを表示します。
ips show files package pkg_id
pkg_idは表示するパッケージのIDです。
この例では、パッケージ3に関連付けられているすべてのファイルを示します。
ips show files package 3
出力例:
********************************************************** FILE RECORD ********************************************************** ---------------------------------------------------------- FILE INFORMATION: FILE_LOCATION <ADR_HOME>/incident/incdir_4!/nick/oracle/log/diag/rdbms/ FILE_NAME orcl_ora_13579_i4_2.trc LAST_SEQUENCE 0 EXCLUDE 0 ---------------------------------------------------------- ********************************************************** FILE RECORD ********************************************************** ---------------------------------------------------------- FILE INFORMATION: FILE_LOCATION <ADR_HOME>/incident/incdir_4!/nick/oracle/log/diag/rdbms/ FILE_NAME orcl_ora_13579_i4.trc LAST_SEQUENCE 0 EXCLUDE 0 ---------------------------------------------------------- ********************************************************** FILE RECORD ********************************************************** ---------------------------------------------------------- FILE INFORMATION: FILE_LOCATION <ADR_HOME>/incident/incdir_4!/nick/oracle/log/diag/rdbms/ FILE_NAME orcl_ora_13579_i4_sql_2.trc LAST_SEQUENCE 0 EXCLUDE 0 ----------------------------------------------------------
指定したパッケージ内に含まれているインシデントを表示します。
ips show incidents package pkg_id
pkg_idは表示するパッケージのIDです。
この例では、パッケージ3のインシデントを表示します。
ips show incidents package 3
出力例:
********************************************************** Main INCIDENTS ********************************************************** ---------------------------------------------------------- ********************************************************** INCIDENT RECORD ********************************************************** ---------------------------------------------------------- INCIDENT INFORMATION: INCIDENT_ID 3827 PROBLEM_ID 3 EXCLUDE 0 ---------------------------------------------------------- ********************************************************** Correlated INCIDENTS ********************************************************** ---------------------------------------------------------- ********************************************************** INCIDENT RECORD ********************************************************** ---------------------------------------------------------- INCIDENT INFORMATION: INCIDENT_ID 3633 PROBLEM_ID 2 EXCLUDE 0 ---------------------------------------------------------- ********************************************************** INCIDENT RECORD ********************************************************** ---------------------------------------------------------- INCIDENT INFORMATION: INCIDENT_ID 3634 PROBLEM_ID 3 EXCLUDE 0 ----------------------------------------------------------
物理パッケージ・ファイルを指定したパスに解凍します。
ips unpack file file_name [into path]
file_nameは、解凍する物理パッケージ(ZIPファイル)のフルパス名です。オプションで、ファイルをディレクトリpathに解凍することもできます。このディレクトリは、すでに存在していて書込み可能である必要があります。パスを省略すると、現在の作業ディレクトリが使用されます。解凍先のディレクトリはADRベースとして処理され、有効なADRホームが含まれるADRベースのディレクトリ階層が完全に作成されます。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
ips unpack file /tmp/ORA603_20060906165316_COM_1.zip into /tmp/newadr
現在の削除ポリシーに従って、カレントADRホーム内の診断データを削除します。削除が予定されているADRの内容のみが削除されます。
ADR内の診断データにはデフォルトのライフサイクルが設定されています。たとえば、インシデントおよび問題に関する情報は1年後に削除されますが、関連するダンプ・ファイル(ダンプ)はわずか30日後に削除されます。
Oracle Databaseなどの一部のオラクル社の製品では、ライフサイクルの終了時に診断データが自動的に削除されます。その他の製品やコンポーネントでは、このコマンドを使用して診断データを手動で削除する必要があります。また、このコマンドで、自動削除される予定のデータも削除できます。
SHOW CONTROLコマンドでは、存続期間が短いADRの内容と存続期間が長いADRの内容に対して、デフォルトの削除ポリシーが表示されます。
purge [[-i {id | start_id end_id}] | [-age mins [-type {ALERT|INCIDENT|TRACE|CDUMP|HM}]]]
表15-9に、PURGEのフラグを示します。
この例では、デフォルトの削除ポリシーに基づいて、カレントADRホーム内のすべての診断データを削除します。
purge
この例では、123から456の間のすべてのインシデントについて、診断データをすべて削除します。
purge -i 123 456
この例では、過去1時間のすべてのインシデント・データを削除します。
purge -age 60 -type incident
「EXIT」を参照してください。
ADRCIスクリプトを実行します。
run script_name
@ script_name
@@ script_name
script_nameは、実行するADRCIコマンドを含むファイルです。フルパス名が指定されていないかぎり、ADRCIはカレント・ディレクトリでスクリプトを検索します。ファイル拡張子のないファイル名が指定されている場合、ADRCIはデフォルトの拡張子.adiを使用します。
runおよび@コマンドはシノニムです。@@コマンドは、runや@と似ていますが、スクリプト内で使用される場合に、@@はカレント・ディレクトリではなくスクリプトをコールするパスを使用してscript_nameを検索する点が異なります。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
run my_script @my_script
カレントADRCIセッションで使用するADRベースを設定します。
set base base_str
base_strは、ディレクトリへのフルパスです。base_strの形式は、オペレーティング・システムによって異なります。ベース・ディレクトリ下に有効なADRホームが存在する場合、これらのホームはカレントADRCIセッションのホームパスに追加されます。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
set base /net/sttttd1/scratch/steve/view_storage/steve_v1/log
レポートを表示するデフォルトのブラウザを設定します。
set browser browser_program
browser_programは、ブラウザのプログラム名です(ブラウザはカレントのADR作業ディレクトリから起動可能であると想定されています)。ブラウザが設定されていない場合、ADRCIはレポートを端末またはスプール・ファイルに表示します。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
set browser mozilla
ADRの内容の削除ポリシーを設定します。
set control (purge_policy = value, ...)
purge_policyは、SHORTP_POLICYまたはLONGP_POLICYのいずれかです。詳細は、「SHOW CONTROL」を参照してください。
valueは、ADRの内容が削除可能になるまでの時間数です。
このコマンドは、1つのADRホームでのみ機能します。
set control (SHORTP_POLICY = 360)
コマンド出力をオンまたはオフにします。このコマンドは、スクリプトに表示される出力またはスプール・モードを使用する出力のみに影響します。
set echo on|off
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
set echo off
アラート・ログおよびトレース・ファイルの内容を表示するためのエディタを設定します。
set editor editor_program
editor_programは、エディタのプログラム名です。エディタが設定されていない場合、ADRCIはオペレーティング・システムの環境変数$EDITORで指定されているエディタを使用します。$EDITORが設定されていない場合、ADRCIはデフォルトのエディタとしてviを使用します。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
set editor xemacs
1つ以上のADRホームをカレントにします。多くのADRコマンドが、カレントADRホームでのみ動作します。
set homepath homepath_str1 homepath_str2 ...
homepath_strn文字列は、カレントADRベースに対して相対的なADRホームのパスです。ディレクトリ名のdiagは省略可能です。指定したパスに複数のADRホームが含まれている場合は、すべてのホームがホームパスに追加されます。
目的とする新しいADRホームがカレントADRベース内に存在しない場合は、SET BASEを使用して新しいADRベースを設定してから、SET HOMEPATHを使用します。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
set homepath diag/rdbms/aime3/aime3 diag/rdbms/aime3/aime32
端末への出力をオンまたはオフにします。
set termout on|off
この設定はスプールとは関係なく使用できます。つまり、出力は端末とファイル両方に同時に送信できます。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
set termout on
デフォルトのエディタにアラート・ログの内容を表示します。
show alert [-p predicate_string] [-tail [num] [-f]] [-term]
[-file alert_file_name]
-termフラグを使用している場合を除き、このコマンドは1つのカレントADRホームでのみ動作します。複数のADRホームが設定されている場合、ADRCIによって、使用するADRホームを選択するように要求されます。
| フラグ | 説明 |
|---|---|
|
-p predicate_string |
SQLに類似した述語文字列を使用して、述語がtrueであるアラート・ログのエントリのみを表示します。述語文字列は、二重引用符で囲む必要があります。 表15-11に、述語文字列で使用できるフィールドを表示します。 |
|
-tail [num |
|
|
-term |
結果を端末に送信します。すべてのカレントADRホームからアラート・ログ全体を順次出力します。このオプションが指定されていない場合、結果はデフォルトのエディタに表示されます。 |
|
-file alert_file_name |
ADRの外のアラート・ファイルを指定できます。 |
この例では、カレントADRホームのすべてのアラート・メッセージをデフォルトのエディタに表示します。
show alert
この例では、カレントADRホームのすべてのアラート・メッセージを表示し、デフォルトのエディタではなく端末に出力を送信します。
show alert -term
この例では、カレントADRホームのすべてのアラート・メッセージを、インシデントを示すメッセージ・テキストとともに表示します。
show alert -p "message_text like '%incident%'"
この例では、最新の20個のアラート・メッセージを表示してから、アラート・ログをオープンしたままにし、新しいアラート・ログのエントリが到着すると、それらのエントリを表示します。
show alert -tail 20 -f
この例では、複数のADRホームが設定されているときに、1つのカレントADRホームのすべてのアラート・メッセージをデフォルトのエディタに表示します。
show alert Choose the alert log from the following homes to view: 1: diag/rdbms/ 2: diag/tnslsnr/sta00339/listener Q: to quit Please select option: 1
カレントADRベースを示します。
show base [-product product_name]
特定の製品では、オプションで、製品のADRベースの場所を表示できます。現在サポートされている製品は、クライアントとADRCIです。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
次の例では、カレントADRベースを示します。
show base
出力例:
ADR base is "/scratch/nick/rdbms/log"
次の例では、Oracle DatabaseクライアントのカレントADRベースを示します。
show base -product client
削除ポリシーを含む、自動診断リポジトリ(ADR)に関する情報を表示します。
show control
次の削除ポリシー属性を含む、ADRの各種属性を示します。
| 属性名 | 説明 |
|---|---|
|
|
存続期間の短いADRの内容が削除可能になるまでの時間数。デフォルト値は720(30日)です。 |
|
|
存続期間の長いADRの内容が削除可能になるまでの時間数。デフォルト値は8760(365日)です。 |
状態モニターの実行に関するすべての情報を表示します。
show hm_run [-p predicate_string]
[-p predicate_string]は、選択するフィールド名を指定するSQLに類似した述語です。表15-12に、使用可能なフィールドのリストを示します。
次の例では、すべての状態モニターの実行に関するデータを示します。
show hm_run
次の例では、123のIDを持つ状態モニターの実行に関するデータを示します。
show hm_run -p "run_id=123"
SHOW HOMESコマンドと同じです。
show homepath | show homes | show home
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
show homepath
出力例:
ADR Homes: diag/diagtool/user_nick/host_3075434791_11 diag/rdbms/db1/db1 diag/rdbms/db2/db2
カレントADRCIセッションのADRホームを表示します。
show homes | show home | show homepath
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
show homes
出力例:
ADR Homes: diag/diagtool/user_nick/host_3075434791_11 diag/rdbms/db1/db1 diag/rdbms/db2/db2
指定したインシデントのトレース・ファイルを表示します。
show incdir [id | id_low id_high]
1つのインシデントID(id)またはインシデントの範囲(id_low〜id_high)を指定できます。インシデントIDが指定されていない場合は、すべてのインシデントのトレース・ファイルが表示されます。
この例では、すべてのインシデントのすべてのトレース・ファイルを表示します。
show incdir
出力例:
ADR Home = /ade/sfogel_emdb/oracle/log/diag/rdbms/emdb/emdb: ************************************************************************* diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3801/emdb_ora_23604_i3801.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3801/emdb_m000_23649_i3801_a.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3802/emdb_ora_23604_i3802.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3803/emdb_ora_23604_i3803.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3804/emdb_ora_23604_i3804.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3805/emdb_ora_23716_i3805.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3805/emdb_m000_23767_i3805_a.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3806/emdb_ora_23716_i3806.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3633/emdb_pmon_28970_i3633.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3633/emdb_m000_23778_i3633_a.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3713/emdb_smon_28994_i3713.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3713/emdb_m000_23797_i3713_a.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3807/emdb_ora_23783_i3807.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3807/emdb_m000_23803_i3807_a.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3808/emdb_ora_23783_i3808.trc
この例では、インシデント3713のすべてのトレース・ファイルを表示します。
show incdir 3713
出力例:
ADR Home = /ade/sfogel_emdb/oracle/log/diag/rdbms/emdb/emdb: ************************************************************************* diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3713/emdb_smon_28994_i3713.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3713/emdb_m000_23797_i3713_a.trc
次の例では、3801〜3804の間のインシデントのすべてのトレース・ファイルを表示します。
show incdir 3801 3804
出力例:
ADR Home = /ade/sfogel_emdb/oracle/log/diag/rdbms/emdb/emdb: ************************************************************************* diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3801/emdb_ora_23604_i3801.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3801/emdb_m000_23649_i3801_a.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3802/emdb_ora_23604_i3802.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3803/emdb_ora_23604_i3803.trc diag/rdbms/emdb/emdb/incident/incdir_3804/emdb_ora_23604_i3804.trc
カレントADRホームに関連付けられているすべてのインシデントを表示します。未解決のインシデントとクローズしたインシデントの両方を含めます。
show incident [-p predicate_string] [-mode {BASIC|BRIEF|DETAIL}]
[-orderby field1, field2, ...][ASC|DSC]
表15-13に、SHOW INCIDENTのフラグを示します。
| フラグ | 説明 |
|---|---|
|
|
述語文字列を使用して、述語がtrueであるインシデントのみを示します。述語文字列は、二重引用符で囲む必要があります。 表15-14に、述語文字列で使用できるフィールドを表示します。 |
|
|
インシデントの出力モードを選択します。
|
|
|
結果を指定した順序のフィールドでソートするだけでなく、昇順( |
次の例では、このADRホームのすべてのインシデントを示します。
show incident
出力例:
ADR Home = /ade/sfogel_emdb/oracle/log/diag/rdbms/emdb/emdb:
*************************************************************************
INCIDENT_ID PROBLEM_KEY CREATE_TIME
-------------------- -------------------------------------------- ----------------------------
3808 ORA 603 2007-06-18 21:35:49.322161 -07:00
3807 ORA 600 [4137] 2007-06-18 21:35:47.862114 -07:00
3806 ORA 603 2007-06-18 21:35:26.666485 -07:00
3805 ORA 600 [4136] 2007-06-18 21:35:25.012579 -07:00
3804 ORA 1578 2007-06-18 21:35:08.483156 -07:00
3713 ORA 600 [4136] 2007-06-18 21:35:44.754442 -07:00
3633 ORA 600 [4136] 2007-06-18 21:35:35.776151 -07:00
7 rows fetched
次の例では、インシデント3805の詳細を示します。
adrci> show incident -mode DETAIL -p "incident_id=3805"
出力例:
ADR Home = /ade/sfogel_emdb/oracle/log/diag/rdbms/emdb/emdb:
*************************************************************************
**********************************************************
INCIDENT INFO RECORD 1
**********************************************************
INCIDENT_ID 3805
STATUS closed
CREATE_TIME 2007-06-18 21:35:25.012579 -07:00
PROBLEM_ID 2
CLOSE_TIME 2007-06-18 22:26:54.143537 -07:00
FLOOD_CONTROLLED none
ERROR_FACILITY ORA
ERROR_NUMBER 600
ERROR_ARG1 4136
ERROR_ARG2 2
ERROR_ARG3 18.0.628
ERROR_ARG4 <NULL>
ERROR_ARG5 <NULL>
ERROR_ARG6 <NULL>
ERROR_ARG7 <NULL>
ERROR_ARG8 <NULL>
SIGNALLING_COMPONENT <NULL>
SIGNALLING_SUBCOMPONENT <NULL>
SUSPECT_COMPONENT <NULL>
SUSPECT_SUBCOMPONENT <NULL>
ECID <NULL>
IMPACTS 0
PROBLEM_KEY ORA 600 [4136]
FIRST_INCIDENT 3805
FIRSTINC_TIME 2007-06-18 21:35:25.012579 -07:00
LAST_INCIDENT 3713
LASTINC_TIME 2007-06-18 21:35:44.754442 -07:00
IMPACT1 0
IMPACT2 0
IMPACT3 0
IMPACT4 0
KEY_NAME Client ProcId
KEY_VALUE oracle@stadh43 (TNS V1-V3).23716_3083142848
KEY_NAME SID
KEY_VALUE 127.52237
KEY_NAME ProcId
KEY_VALUE 23.90
KEY_NAME PQ
KEY_VALUE (0, 1182227717)
OWNER_ID 1
INCIDENT_FILE /.../emdb/emdb/incident/incdir_3805/emdb_ora_23716_i3805.trc
OWNER_ID 1
INCIDENT_FILE /.../emdb/emdb/trace/emdb_ora_23716.trc
OWNER_ID 1
INCIDENT_FILE /.../emdb/emdb/incident/incdir_3805/emdb_m000_23767_i3805_a.trc
1 rows fetched
カレントADRホームの問題情報を示します。
show problem [-p predicate_string]
[-last num | -all]
[-orderby field1, field2, ...][ASC|DSC]]
表15-15に、SHOW PROBLEMのフラグを示します。
| フラグ | 説明 |
|---|---|
|
|
SQLに類似した述語文字列を使用して、述語がtrueであるインシデントのみを表示します。述語文字列は、二重引用符で囲む必要があります。 表15-16に、述語文字列で使用できるフィールドを表示します。 |
|
|
最新の |
|
|
結果を指定した順序のフィールド( |
次の例では、カレントADRホームのすべての問題を表示します。
show problem -all
次の例では、IDが4の問題を示します。
show problem -p "problem_id=4"
指定したレポート・タイプおよび実行名のレポートを表示します。現在は、hm_run(状態モニター)レポート・タイプのみが、XML形式のみでサポートされています。HTML形式の状態モニター・レポートを表示するには、Enterprise ManagerまたはDBMS_HM PL/SQLパッケージを使用します。詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
SHOW REPORT report_type run_name
report_typeはhm_runである必要があります。run_nameは、レポートの作成元となる状態モニターの実行名です。CREATE REPORTコマンドを使用して、最初にレポートを作成する必要があります。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
show report hm_run hm_run_1421
トレース・ファイルを表示します。
show tracefile [file1 file2 ...][-rt | -t]
[-i inc1 inc2 ...][-path path1 path2 ...]
このコマンドは、-iまたは-pathフラグが指定されていないかぎり、カレントADRホームのトレース・ディレクトリおよびすべてのインシデント・ディレクトリ下で1つ以上のファイルを検索します。
このコマンドの使用時に-iオプションを指定しないかぎり、ADRホームを設定しておく必要はありません。
表15-18に、SHOW TRACEFILEの引数を示します。
| 引数 | 説明 |
|---|---|
|
|
ファイル名で結果をフィルタ処理します。%記号はワイルドカード文字です。 |
次の例では、カレントADRホーム下のすべてのトレース・ファイルを示します。
show tracefile
次の例では、すべてのMMONトレース・ファイルを、タイムスタンプに従って降順で表示します。
show tracefile %mmon% -rt
次の例では、/home/steve/temp下にある、インシデント1および4に対するすべてのトレース・ファイルを示します。
show tracefile -i 1 4 -path /home/steve/temp
ADRCI出力をファイルへ送信します。
SPOOL filename [[APPEND] | [OFF]]
filenameは、出力が送信されるファイル名です。フルパス名が指定されていない場合、ファイルはカレントADRCI作業ディレクトリに作成されます。ファイル拡張子が指定されていない場合、デフォルトの拡張子.adoが使用されます。APPENDを指定すると、出力がファイルの末尾に追加されます。指定されていない場合は、ファイルが上書きされます。スプールをオフにするにはOFFを使用します。
このコマンドを使用する前に、ADRホームを設定しておく必要はありません。
spool myfile spool myfile.ado append spool off spool
一般的なADRCIエラー・メッセージの一部と、その考えられる原因および回避策を次に示します。
原因: ORACLE_HOME環境変数にNULLまたは無効な変数を指定してADRCIを起動した可能性があります。
処理: ADRCIを終了し、ORACLE_HOME環境変数を設定してからADRCIを再起動します。詳細は、「ADRベース」を参照してください。
原因: ADRホームの外のファイルは、このコマンドではインシデント・ファイルとして使用できません。
処理: ADRホーム内のインシデント・ファイルを使用して再試行します。
原因: ADRベース・ディレクトリが存在しません。
処理: DIAGNOSTIC_DEST初期化パラメータの値をチェックし、1つ以上のADRホームを含むADRベース・ディレクトリを示していることを確認します。DIAGNOSTIC_DESTが欠落している場合やNULLである場合は、ORACLE_HOME/logで有効なADRベース・ディレクトリ階層を確認します。
原因: そのコマンドで、1つ以上のADRホームをカレントにする必要があります。
処理: SET HOMEPATHコマンドを使用して、1つ以上のADRホームをカレントにします。
原因: 指定されたADRホームが有効ではありません。パスが存在していない可能性があります。
処理: 指定されたADRホームパスが存在していることを確認します。
原因: SET HOMEPATHを使用してADRホームを設定する場合、カレントADRベースに対して相対的なパスを指定する必要があります。
処理: 目的とする新しいADRホームがカレントADRベースに存在しない場合は、まずSET BASEを使用してADRベースを設定し、その後でSHOW HOMESを使用して新しいADRベースの下でADRホームを確認します。次に、必要に応じて、SET HOMEPATHを使用して新しいADRホームを設定します。
原因: カレントADRCIセッションに複数のカレントADRホームが存在します。
処理: SET HOMEPATHコマンドを使用して、1つのADRホームをカレントにします。
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