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Oracle Databaseユーティリティ
11g リリース1(11.1)

E05768-02
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21 Enterprise Manager Configuration Assistant(EMCA)

この章では、Enterprise Manager Configuration Assistant(EMCA)について説明します。

この章の主な内容は、次のとおりです。

EMCAによるDatabase Controlの構成

Database Configuration Assistant(DBCA)を使用してOracle Database 11g を構成する場合、DBCAのGraphical User Interfaceにより、Database Controlオプションを選択したり、データベースの他の項目を構成することができます。

オペレーティング・システムのコマンドラインを使用してDatabase Controlを構成する場合は、Enterprise Manager Configuration Assistant(EMCA)を使用できます。

EMCAを使用してDatabase Controlを構成する手順は次のとおりです。

  1. 管理対象データベースのOracleホームおよびシステム識別子(SID)を指定するように、次の環境変数を設定します。

    • ORACLE_HOME

    • ORACLE_SID

  2. ディレクトリをORACLE_HOME/binディレクトリに変更します。

  3. 表21-1に示されているオプションのコマンドライン引数とともに次のコマンドを入力して、EMCAを起動します。

    $PROMPT> ./emca 
    
    

    コマンドラインに指定する引数に応じて、EMCAによりDatabase Controlの構成に必要な情報を入力するプロンプトが表示されます。

    たとえば、次のコマンドを入力してDatabase Controlを構成すると、データベースの自動日次バックアップが実行されます。

    $PROMPT> ./emca -config dbcontrol db -backup
    
    

EMCAコマンドの形式は次のとおりです。

emca [operation] [mode] [flags] [parameters]


注意:

ASMを使用して単一インスタンスのデータベースにデータベース・コンソールを構成する場合は、EMCAコマンドとともに追加のパラメータを渡す必要はありません。ASMインスタンスを自動的に検出するデータベース・コンソールを構成するには、次のコマンドを実行します。

emca -config dbcontrol db -repos create
 


注意:

Database Controlリポジトリはセキュア・モードです。つまり、Enterprise Managerのデータは暗号化されていることを意味します。暗号化キーのファイル位置は、データベースのタイプに従って次のようになります。

  • 単一インスタンスのデータベース:

    ORACLE_HOME/<host>_<sid>/emkey.ora
    
    
  • Oracle RACデータベース:

    ORACLE_HOME/<node>_<sid>/emkey.ora
    
    

このファイルを紛失すると暗号化されたデータが使用できなくなるため、このファイルのバックアップを作成することをお薦めします。 


表21-1では、有効な実行操作とモードを説明し、オプションのパラメータを括弧内に示します。表21-2では、フラグとその動作を説明し、表21-3に、オプションのパラメータの詳細を示します。EMCAパラメータの形式は、[ -parameterName parameterValue ]です。コマンドラインで複数のパラメータを組み合せて使用できます。

表21-1    EMCAのコマンドライン操作 
コマンド  説明 

emca -h | --h | -help | --help 

EMCAユーティリティのヘルプ・メッセージを表示するには、このオプションを使用します。表21-1表21-2および表21-3に示されているオプションと、指定可能な有効なパラメータが表示されます。 

emca -version 

EMCAに関連付けられているバージョン情報を出力します。 

emca -config dbcontrol db [-repos (create | recreate)] [-cluster] [-silent] [-backup] [parameters] 

データベースに対してDatabase Controlを構成します。オプションには、Database Controlリポジトリの作成(または再作成)、自動バックアップの構成、およびクラスタ・データベースにおけるこれらの操作の実行などがあります。 

emca -config centralAgent (db | asm) [-cluster] [-silent] [parameters] 

データベース・インスタンスまたは自動ストレージ管理(ASM)インスタンスに対して集中エージェント管理を構成します。オプションには、クラスタ環境におけるこの操作の実行があります。この操作を行うと、Oracle Enterprise Manager Grid Controlコンソールによって集中管理が可能なデータベースが構成されます。このオプションを使用するには、ネットワーク・ホスト上にEnterprise ManagerのOracle Management Serviceコンポーネントをあらかじめインストールしておく必要があります。また、データベースを稼働させるホスト上にOracle Management Agentをインストールすることも必要です。 

emca -config all db [-repos (create | recreate)] [-cluster] [-silent] [-backup] [parameters] 

データベースに対してDatabase Controlおよび集中エージェント管理の両方を構成します。使用可能な構成オプションは、前述したオプションと同様です。 

emca -deconfig dbcontrol db [-repos drop] [-cluster] [-silent] [parameters] 

データベースに対してDatabase Controlの構成を解除します。オプションには、Database Controlリポジトリの削除、およびクラスタ・データベースにおけるこの操作の実行があります。たとえば、削除予定のデータベースからDatabase Control構成を削除するために、このコマンドを使用する場合があります。このような場合、物理的にデータベースを削除する前に、Database Control構成が削除されます。この操作では、実際のデータベースおよびそのデータ・ファイルは削除されません。 

emca -deconfig centralAgent (db | asm) [-cluster] [ -silent] [parameters] 

データベース・インスタンスまたはASMインスタンスに対して集中エージェント管理の構成を解除します。オプションには、クラスタ環境におけるこの操作の実行があります。たとえば、削除予定のデータベースから集中エージェント管理構成を削除するために、このコマンドを使用する場合があります。このような場合、物理的にデータベースを削除する前に、集中エージェント管理構成が削除されます。この操作では、実際のデータベースおよびそのデータ・ファイルは削除されません。 

emca -deconfig all db [-repos drop] [-cluster] [-silent] [parameters] 

データベースに対してDatabase Controlおよび集中エージェント管理の両方の構成を解除します。使用可能な構成解除オプションは、前述したオプションと同様です。 

emca -addInst (db | asm) [-silent] [parameters] 

データベースまたはASM記憶域の新しいクラスタ・インスタンスに対してEnterprise Managerを構成します。詳細は、「Oracle Real Application ClustersによるEMCAの使用方法」を参照してください。 

emca -deleteInst (db | asm) [-silent] [parameters] 

クラスタ・データベースまたはASM記憶域に対して特定のインスタンスのEnterprise Managerの構成を解除します。詳細は、「Oracle Real Application ClustersによるEMCAの使用方法」を参照してください。 

emca -reconfig ports [-cluster] [parameters] 

Database Controlポートを明示的に再割り当てします。オプションには、クラスタ環境におけるこの操作の実行があります。詳細は、「EMCAで使用するポートの指定」を参照してください。 

emca -reconfig dbcontrol -cluster [-silent] [parameters] 

クラスタ・データベースのDatabase Controlデプロイメントを再構成します。このコマンドは-clusterオプションとともに使用する必要があります。詳細は、「Oracle Real Application ClustersによるEMCAの使用方法」を参照してください。 

emca -displayConfig dbcontrol -cluster [-silent] [parameters] 

クラスタ環境におけるDatabase Controlの現在のデプロイメント構成の情報を表示します。このコマンドは-clusterオプションとともに使用する必要があります。詳細は、「Oracle Real Application ClustersによるEMCAの使用方法」を参照してください。 

emca -upgrade (db | asm | db_asm) [-cluster] [-silent] [parameters] 

旧バージョンのEnterprise Manager構成を現行バージョンにアップグレードします。この操作は、データベース、ASM、またはデータベースとASMインスタンスで同時に実行可能です。この操作により、実際のデータベース・インスタンスおよびASMインスタンスがアップグレードされることも、Enterprise Managerソフトウェアがアップグレードされることもありません。かわりに、指定したインスタンスの構成ファイルがアップグレードされ、現行バージョンのEnterprise Managerソフトウェアと互換性がとれるようになります。EMCAは、すべてのOracleホームのホスト上で、指定されたデータベースまたはASMターゲットのすべてのインスタンスのアップグレードを試行します(リスナー・ポートまたはOracleホームなどの特定のターゲット・プロパティが変更されている可能性があるため)。 

emca -restore (db | asm | db_asm) [-cluster] [-silent] [parameters] 

現行バージョンのEnterprise Manager構成を旧バージョンにリストアします。これは-upgradeオプションの逆の操作で、-upgrade操作による変更を元に戻します。また、-upgrade操作とオプションは同じです。 

emca -migrate -from dbcontrol -to centralAgent [-repos drop] [-cluster] [-silent] [parameters] 

Database Controlから集中エージェントにEnterprise Manager構成を移行します。 

表21-2    EMCAのコマンドライン・フラグ 
フラグ  説明 

db 

データベース(クラスタ・データベースを含む)に対する操作を実行します。自動ストレージ管理(ASM)を使用するデータベースにこのオプションを使用して、データ・ファイルを格納します。データベースがASMを使用している場合、前述の(-upgradeと-restoreを除く)すべての構成操作およびモードによってこのフラグが自動的に検出され、データベース・インスタンスおよびASMインスタンスの両方に変更が適用されます。 

asm 

ASMのみのインスタンス(クラスタASMインスタンスを含む)に対して操作を実行します。 

db_asm 

このフラグは、-upgradeおよび-restoreモードでのみ使用可能です。データベース・インスタンスとASMインスタンスの両方に対してアップグレードまたはリストア操作を実行します。データベース・インスタンスおよびASMインスタンスは、別々にアップグレードまたはリストアされる場合があります(つまり、ASMインスタンスをアップグレードしても、そのインスタンスがサービスを提供するデータベース・インスタンスをアップグレードする必要はありません)。したがって、Enterprise Manager構成は、データベースおよびそれに対応するASMインスタンスに対して、別々にアップグレードまたはリストアできます。 

-repos create 

新しいDatabase Control管理リポジトリを作成します。 

-repos drop 

現在のDatabase Control管理リポジトリを削除します。 

-repos recreate 

現在のDatabase Control管理リポジトリを削除してから、新しく再作成します。 

-cluster 

クラスタ・データベース・インスタンスまたはASMインスタンスに対して操作を実行します。 

-silent 

その他の情報が求められることなく操作が実行されます。このモードを指定した場合、すべての必要なパラメータをコマンドラインに入力するか、または睦espFile引数を使用して入力ファイルに指定する必要があります。また、コマンドラインにemca -helpを入力すると、使用可能なパラメータのリストを表示できます。 

-backup 

データベースに対して自動バックアップを構成します。EMCAでは、自動日次バックアップ・オプションのプロンプトが表示されます。データベース・ファイルのバックアップには、デフォルトのEnterprise Manager設定が使用されます。

注意: このオプションを使用すると、EMCAでは自動バックアップ用のフラッシュバック・リカバリ領域の指定に、db_recovery_file_dest初期化パラメータの値が使用されます。このパラメータが設定されていないと、EMCAではエラーが発生します。これらの設定は、Database Controlの「メンテナンス」ページを使用して後で変更できます。詳細は、Database Controlのオンライン・ヘルプを参照してください。 

表21-3    EMCAのコマンドライン・パラメータ 
パラメータ  説明 

-respFile 

構成操作の実行時に使用するEMCAのパラメータがリストされている入力ファイルのパスを指定します。詳細は、「EMCAパラメータへの入力ファイルの使用方法」を参照してください。 

-SID 

データベース・システム識別子。 

-PORT 

データベースにサービスを提供しているリスナーのポート番号。 

-ORACLE_HOME 

データベースのOracleホーム(絶対パス)。 

-ORACLE_HOSTNAME 

ローカル・ホスト名。 

-LISTENER_OH 

リスナーの実行元であるOracleホーム。リスナーが、データベースが稼働しているもの以外のOracleホームから実行されている場合は、パラメータLISTENER_OHを指定する必要があります。 

-HOST_USER 

ホスト・マシンのユーザー名(自動バックアップ用)。 

-HOST_USER_PWD 

ホスト・マシンのユーザー・パスワード(自動バックアップ用)。 

-BACKUP_SCHEDULE 

HH:MM形式でのスケジュール(自動日次バックアップ用)。 

-EMAIL_ADDRESS 

通知用の電子メールアドレス。 

-MAIL_SERVER_NAME 

通知用の送信メール(SMTP)・サーバー。 

-ASM_OH 

自動ストレージ管理のOracleホーム。 

-ASM_SID 

ASMインスタンスのシステム識別子。 

-ASM_PORT 

ASMインスタンスにサービスを提供しているリスナーのポート番号。 

-ASM_USER_ROLE 

ASMインスタンスへの接続用ユーザー・ロール。 

-ASM_USER_NAME 

ASMインスタンスへの接続用ユーザー名。 

-ASM_USER_PWD 

ASMインスタンスへの接続用パスワード。 

-DBSNMP_PWD 

DBSNMPユーザーのパスワード。 

-SYSMAN_PWD 

SYSMANユーザーのパスワード。 

-SYS_PWD 

SYSユーザーのパスワード。 

-SRC_OH 

Enterprise Managerの構成をアップグレードまたはリストアするデータベースのOracleホーム。 

-DBCONTROL_HTTP_PORT 

Database ControlコンソールをWebブラウザで表示するときに使用するポートを指定するには、このパラメータを使用します。詳細は、「EMCAで使用するポートの指定」を参照してください。 

-AGENT_PORT 

Database Controlに管理エージェント・ポートを指定するには、このパラメータを使用します。詳細は、「EMCAで使用するポートの指定」を参照してください。 

-RMI_PORT 

Database ControlにRMIポートを指定するには、このパラメータを使用します。詳細は、「EMCAで使用するポートの指定」を参照してください。 

-JMS_PORT 

Database ControlにJMSポートを指定するには、このパラメータを使用します。詳細は、「EMCAで使用するポートの指定」を参照してください。 

-CLUSTER_NAME 

クラスタ名(クラスタ・データベース用)。 

-DB_UNIQUE_NAME 

一意のデータベース名(クラスタ・データベース用)。 

-SERVICE_NAME 

データベース・サービス名(クラスタ・データベース用)。 

-EM_NODE 

Database Controlコンソールが実行されるノード(クラスタ・データベース用)。詳細は、「Oracle Real Application ClustersによるEMCAの使用方法」を参照してください。 

-EM_SID_LIST 

エージェントのみの構成用SIDのカンマ区切りリスト。データを-EM_NODEにアップロードします。詳細は、「Oracle Real Application ClustersによるEMCAの使用方法」を参照してください。 

-EM_SWLIB_STAGE_LOC 

ソフトウェア・ライブラリの場所。 

-PORTS_FILE 

使用するポートを指定している静的ファイルへのパス。デフォルト値は次のとおりです。${ORACLE_HOME}/install/staticports.ini 

EMCAによるソフトウェア・ライブラリの構成

Database Control構成の一環として、ソフトウェア・ライブラリが構成され、プロビジョニング・アーカイブがデプロイされます。デフォルトでは、ソフトウェア・ライブラリは次の場所に構成されます。

ORACLE_HOME/EMStagePatches_<db_unique_name>

Oracle Database 11g のインストールと構成が完了した後は、EMCAのEM_SWLIB_STAGE_LOCコマンドライン・パラメータを使用して、ソフトウェア・ライブラリを構成することもできます。

Oracle Real Application Clusters(RAC)では、EM_SWLIB_STAGE_LOCパラメータに渡されているソフトウェア・ライブラリの場所またはORACLE_HOMEが共有記憶域内にある場合のみ、ソフトウェア・ライブラリは構成され、プロビジョニング・アーカイブがデプロイされます。

EMCAパラメータへの入力ファイルの使用方法

EMCAを実行している場合、一連のプロンプトに応答するかわりに、-respFile引数を使用して入力ファイルを指定できます。作成する入力ファイルは、次の例と同様の形式にする必要があります。

PORT=1521
SID=DB
DBSNMP_PWD=xpE234D
SYSMAN_PWD=KDOdk432

作成したEMCA入力ファイルは、コマンドラインで次のように使用できます。

$PROMPT> ./emca -config dbcontrol db -respFile input_file_path

たとえば、Database Controlを構成して日次バックアップを実行し、Database Control管理リポジトリを作成するには、例21-1に示したものと同様の入力ファイルを作成し、オペレーティング・システムのプロンプトに次のコマンドを入力します。

$PROMPT> ./emca -config dbcontrol db -repos create -backup -respFile input_file_path

例21-1    EMCAの入力ファイルのサンプル

PORT=1521 SID=DB DBSNMP_PWD=dow3l224 SYSMAN_PWD=squN3243 HOST_USER=johnson HOST_USER_PWD=diTf32of SYS_PWD=qlKj4352 BACKUP_SCHEDULE=06:30

Oracle Real Application ClustersによるEMCAの使用方法

Oracle Real Application Clusters(RAC)では、複数のホストにわたる高可用性データベース環境を実現できます。各クラスタは、複数のクラスタ・データベースで構成され、そのデータベースはそれぞれ複数のクラスタ・データベース・インスタンスで構成されます。クラスタ・データベースは、クラスタ内のインスタンスの1つが使用可能なかぎり使用できます。

Oracle RAC環境では、すべてのEMCAコマンドを使用できます(一部のコマンドはクラスタの設定時にのみ使用可能です)。クラスタ・データベースを使用していることを示すには、-clusterフラグを使用します。このフラグは、ほぼすべてのEMCA操作モードで使用できます。

EMCAを使用してOracle RACに対してDatabase Controlを構成する場合は、クラスタ内の各インスタンスに対してDatabase Controlを構成します。ただし、デフォルトでは、Database Controlコンソールはローカル・ノードでのみ起動します。クラスタの他のすべてのノードでは、Enterprise Managerエージェントのみが起動します。これは、Database Controlコンソールによって、データベースへの多数の接続がオープンされるためです。コンソールの1つのインスタンスがクラスタ内のすべてのホストで稼働している場合、32ノード環境または64ノード環境で許可されているオープン接続の最大数を簡単に超えてしまうことがあります。

これを回避するため、Database Controlコンソールはローカル・ノードでのみ起動します。他のすべてのノードでエージェントの起動と停止に使用するコマンドは、emctl start dbconsoleとemctl stop dbconsoleのみです。各リモート・エージェントによって、それぞれのデータがローカル・ノードで稼働しているコンソールにアップロードされるため、そのコンソールからクラスタ内のすべてのターゲットの監視および管理を実行できます。RACデータベースの各インスタンスには、次のサブディレクトリが作成されます。

$ORACLE_HOME/hostname1.domainname_SID1
$ORACLE_HOME/hostname2.domainname_SID2
.
.
$ORACLE_HOME/hostnamen.domainname_SIDn

<SID1>〜<SIDn>は、データベース・システム識別子です。

ただし、Oracle 11g リリース1のDatabase Controlで構成されたOracle 10g リリース2のOracle RACデータベースをアップグレードする場合、10g リリース2のDatabase Control構成は保持されます。Oracle10g リリース2のDatabase Controlには、各Oracle RACノードで稼働しているデータベース・コンソールが含まれています。このコンソールはそれぞれ個々のノードで起動されたままです。この構成を変更する場合は、次のコマンドを使用します。

emca -reconfig dbcontrol -cluster -EM_NODE <nodename> -EM_SID_LIST <SID list>

<nodename>はノードのパブリック名を示し、<SID list>はデータベース・システム識別子のカンマ区切りリストを示します。このコマンドにより、現行のDatabase Control設定が再構成され、次の操作が実行されます。

  1. <nodename>のDatabase Controlコンソールを起動します(起動していなかった場合)。

  2. <nodename>で稼働しているコンソールにデータがアップロードされるように、<SID list>内のデータベース・インスタンスを監視するエージェントをリダイレクトします。<nodename>上のデータベース・インスタンスを監視するエージェントは、ローカル・コンソールにもデータをアップロードします。コマンドラインで-EM_NODEまたは-EM_SID_LISTを渡さなかった場合、これらを要求するプロンプトが表示されます。

プロンプトが表示されたときに-EM_NODEを指定しない場合は、ローカル・ノードがデフォルトで選択されます。-EM_SID_LISTを指定しない場合は、すべてのデータベース・インスタンスがデフォルトで選択されます。

このコマンドを使用すると、複数のノードでコンソールが起動することがあります。たとえば、<node1, node2, node3, node4, node5, node6, node7, node8>およびデータベース・インスタンス<oradb1, oradb2, oradb3, oradb4, oradb5, oradb6, oradb7, oradb8>を持つ8ノード・クラスタでは、続けて次のコマンドを実行できます。

$PROMPT> emca -reconfig dbcontrol -cluster -EM_NODE node1 -EM_SID_LIST 
oradb2,oradb3,oradb4
$PROMPT> emca -reconfig dbcontrol -cluster -EM_NODE node5 -EM_SID_LIST 
oradb6,oradb7,oradb8

この使用例では、node1に1つ、node5にもう1つの2つのDatabase Controlコンソールが稼働されています。これらのコンソールのいずれかから、クラスタ内のすべてのターゲットを管理および監視できます。

現在のクラスタ構成の詳細は、次のコマンドを実行して表示できます。

emca -displayConfig dbcontrol -cluster

前述のコマンドでは、クラスタ・データベースの一意のデータベース名を入力するプロンプトが表示されます。これにより、現在の構成が画面に出力され、コンソールが稼働されているノードと、各エージェントがアップロード中のコンソールが示されます。

データベースまたはASM記憶域の新しいクラスタ・インスタンスに対してEnterprise Managerを構成する場合、次のコマンドを使用します。

emca -addInst db

クラスタ・データベースでは、その他の通常の操作にデータベース・インスタンスの作成と削除があります。新規インスタンスを作成した後で、EMCAを実行し、そのインスタンスに対してemca -addInst dbコマンドを使用すると、Database Controlまたは集中エージェント管理を構成できます。EMCAを実行しても、実際のデータベース・インスタンスは作成されません。Enterprise Managerの構成のみを行い、残りのクラスタ・データベース・インスタンスと一貫性のとれた方法でインスタンスを管理できるようにします。新規インスタンスに対してEnterprise Managerを構成する場合、EMCAコマンドを実行するのはインスタンスを作成した後のみです。また、これらの構成設定が新規インスタンスに伝播されるように、クラスタに関連付けられたデータベース・インスタンスに対してEnterprise Managerを構成したクラスタ内のノードからコマンドを実行します。新規インスタンスが作成されたノードからは、このコマンドを実行しないでください。このオプションはOracle RAC環境でのみ使用可能なため、コマンドラインで-clusterオプションを使用する必要はありません。emca -addInst dbコマンドを実行した後、ノードおよびデータベースに対して次の情報を入力します。

Node name: node2
Database Unique Name: EM102
Database SID: EM1022

特定のデータベース・インスタンス(通常はデータベース・インスタンスが削除される前)に対してEnterprise Managerの構成を解除するには、構成する場合と逆のコマンドemca -deleteInst dbを使用します。EMCAを実行しても、データベース・インスタンスは削除されません。Enterprise Managerの構成のみ削除され、Enterprise Managerによるインスタンスの管理ができなくなります。EMCAコマンドを実行してから、実際のクラスタ・データベース・インスタンスを削除するようにします。また、データベース・インスタンスが削除されるノードからではなく、別のノードからコマンドを実行するようにしてください。このオプションはOracle RAC環境でのみ使用可能なため、コマンドラインで-clusterオプションを使用する必要はありません。

詳細は、EMCAのコマンドライン操作が説明されている表21-1を参照してください。


注意:

emca -cを使用してOracle RACに対してDatabase Controlを構成する場合は、すべてのクラスタ・ノード上のTNS_ADMINをチェックします。各ノードに対して異なるTNS_ADMINが設定されていると、リスナーはターゲットに対して適切に構成されません。その場合、すべてのクラスタ・ノード上で同一のTNS_ADMINを設定した後に、emca -cコマンドを実行します。 


EMCAで使用するポートの指定

初めてOracle Databse 11g をインストールする場合や、EMCAによってDatabase Controlを初めて構成する場合は、Database Controlにより一連のデフォルト・システム・ポートが使用されます。たとえば、11g リリース1のデフォルトでは、ポート1158を使用して、次に示すDatabase Controlにアクセスします。

http://host.domain:1158/em

これは、Internet Assigned Numbers Authority(IANA)によって、Database Controlに割り当てられているデフォルト・ポートです。同様に、IANAによって割り当てられているデフォルトのDatabase Controlエージェント・ポートは3938です。

EMCAを使用してDatabase Controlを初めて構成する場合に、デフォルト・ポート以外のポートを使用するには、次のEMCAコマンドライン引数を使用します。また、次のコマンドを使用することで、Database Controlの構成後に明示的にポートを割り当てることができます。

emca -reconfig ports [-cluster]


注意:

Oracle Database 11g のインストールと構成が完了した後は、次のEMCAコマンドライン引数を使用して、Database Controlを構成することもできます。 


次のリストには、標準のDatabase Controlポート割当てを制御するEMCAコマンドライン引数をまとめています。

EMCAによるトラブルシューティングのヒント

次の項では、EMCAを使用してDatabase Controlを構成する際のトラブルシューティングのヒントをいくつか説明します。

データベース・リスナー・ポートを変更した後のEMCAの使用方法

Database Controlを構成した後にデータベースのリスナー・ポートを変更すると、データベースの状態は停止と表示されます。新しいリスナー・インポートを使用するようにDatabase Controlを再構成するには、-config dbcontrol db [-cluster]コマンドライン引数を使用してEMCAコマンドを実行します。

11g リリース1のGrid ControlエージェントによるデータベースまたはASMインスタンスのアップグレード

Oracle Enterprise Manager(Database ControlまたはGrid Control集中エージェント)に対して構成された10g リリース2のデータベースまたはASMインスタンスを11g リリース1にアップグレードすると、アップグレードされるインスタンスを参照している関連ホスト上のEnterprise Managerのターゲットはすべて自動的に更新されます。これは、インスタンスのOracleホーム、ポート、またはその他のターゲット関連プロパティの変更がアップグレードに含まれているためです。ただし、ホスト上のこれらのターゲットの一部が11g リリース1のGrid Controlエージェントによって管理されている場合は、アップグレード時に正常に更新されないものもあります。これらのターゲットを更新するには、アップグレードされるデータベース(またはASM)・ターゲットの「ホーム」ページで「監視構成」リンクをクリックします。そのページで、Oracleホーム、リスナー・ポートなどの必須プロパティを適切な値に更新できます。

データベース・ホスト名またはIPアドレス変更時のEMCAの使用方法

データベース・ホスト名(ドメイン名を含む)またはIPアドレスの変更時には、データベース・コンソールの構成を解除してから、リポジトリの作成コマンドを使用して再作成します。次のコマンドを実行します。

emca -deconfig dbcontrol db -repos drop
emca -config dbcontrol db -repos create

または

emca -deconfig dbcontrol db
emca -config dbcontrol db -repos recreate

TNS構成を変更した場合のEMCAの使用方法

TNS構成を変更する場合は、環境変数を設定して次のコマンドを実行します。

emca -config dbcontrol db

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