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Oracle Databaseストレージ管理者ガイド
11gリリース1(11.1)
E05783-04
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7 ASMコマンドライン・ユーティリティ

この章では、自動ストレージ管理(ASM)のコマンドライン・ユーティリティ(ASMCMD)について説明します。この章の内容は次のとおりです。

ASMCMDについて

ASMCMDは、ASMディスク・グループ内のファイルおよびディレクトリを表示して操作するために使用するコマンドライン・ユーティリティです。ASMCMDを使用すると、ディスク・グループの内容のリスト、検索の実行、ディレクトリおよびエイリアスの作成と削除、領域使用率の表示、その他の操作を実行できます。


注意:

ディスク・グループの作成または削除、ディスク・グループ内のディスクの追加または削除の実行のためにASMCMDは使用できません。これらの操作には、SQLコマンドを使用してください。

ASMファイル、ファイル名、ディレクトリおよびエイリアスについて

ASMCMDでは、ASMのファイル、ディレクトリおよびエイリアスを使用します。ASMCMDを使用する前に、これらの一般的な処理の概念がASMの環境にどのように適用されるかを理解しておく必要があります。

この項では、主な定義に関する次のトピックについて説明します。

システム生成のファイル名(完全修飾されたファイル名)

ASMで作成されたすべてのファイルには、システム生成のファイル名(完全修飾されたファイル名)が付けられます。これは、ローカル・ファイル・システムでの完全パス名と類似しています。

ASMでは、次の形式に従ってファイル名が生成されます。

+diskGroupName/databaseName/fileType/fileTypeTag.fileNumber.incarnation

次に、完全修飾されたファイル名の例を示します。

+dgroup2/sample/CONTROLFILE/Current.256.541956473

前述の完全修飾されたファイル名では、dgroup2がディスク・グループ名、sampleがデータベース名、CONTROLFILEがファイル・タイプとなります。

ASMCMDではスラッシュ(/)のみがサポートされます。ファイル名の大文字と小文字は区別されませんが、保持されます。小文字でパス名を入力すると、小文字で保持されます。

ASMのファイル名の詳細は、「完全修飾ASMファイル名」を参照してください。

ディレクトリ

他のファイル・システムと同様、ASMのディレクトリは、ファイルのコンテナであり、ASMディレクトリは他のディレクトリのツリー構造の一部になります。完全修飾されたファイル名は、ルートにプラス記号(+)が付いたディレクトリの階層で示されます。ディスク・グループごとに、ディスク・グループ内で完全修飾されたファイル名の構造に対応するディレクトリ階層が自動的に作成されます。この階層構造でのディレクトリを、システム生成のディレクトリと呼びます。

ASMCMDでは、cd(ディレクトリ変更)コマンドを使用して、このディレクトリ階層を上下に移動できます。ASMCMDのls(ディレクトリのリスト)コマンドでは、カレント・ディレクトリの内容をリストし、pwdコマンドでは、カレント・ディレクトリ名を出力します。

ASMCMDを起動すると、カレント・ディレクトリはルート(+)に設定されます。たとえば、dgroup1およびdgroup2の2つのディスク・グループを持つASMインスタンスの場合、ルート・ディレクトリをカレント・ディレクトリとしてlsコマンドを入力すると、出力結果は次のようになります。


ASMCMD> ls
dgroup1/
dgroup2/

次に、ASMディレクトリ・ツリー(前述の完全修飾されたファイル名を参照)を移動する例を示します。


ASMCMD> cd +dgroup1/sample/CONTROLFILE
ASMCMD> ls
Current.256.541956473
Current.257.541956475

また、システム生成のディレクトリのサブディレクトリとして、独自のディレクトリを作成できます。これを行うには、ALTER DISKGROUPコマンドまたはASMCMDのmkdirコマンドを使用します。ユーザー作成のディレクトリにもサブディレクトリを作成でき、システム生成のディレクトリおよびユーザー作成のディレクトリの両方の階層構造をcdコマンドを使用して移動できます。

次の例では、ディスク・グループdgroup1sampleの下にディレクトリmydirを作成します。

ASMCMD> mkdir +dgroup1/sample/mydir


注意:

ディレクトリsampleは、システム生成のディレクトリです。dgroup1の内容は、ディスク・グループdgroup1の内容を表します。

-pフラグを付けてASMCMDを起動すると、ASMCMDでは、プロンプトの一部に常にカレント・ディレクトリが表示されます。詳細は、「ASMCMDプロンプトへのカレント・ディレクトリの表示」を参照してください。


ASMCMD [+] > cd dgroup1/mydir
ASMCMD [+dgroup1/mydir] >

ASMCMDでは、ディレクトリの大文字と小文字は入力したとおりに保持されることに注意してください。

エイリアス

エイリアスは、システム生成のファイル名への参照またはポインタです。ただし、エイリアスはユーザーにわかりやすい名前です。UNIXまたはLinuxコンピュータでのシンボリック・リンクと同様です。ASMファイル名の管理を簡略化するためにエイリアスを作成できます。エイリアスは、ALTER DISKGROUPコマンドまたはmkalias ASMCMDコマンドを使用して作成できます。

エイリアスの完全パスの一部には、少なくともディスク・グループ名が含まれます。エイリアスは、ディスク・グループ・レベル、システム生成またはユーザー作成の任意のサブディレクトリで作成できます。次にエイリアスの例を示します。


+dgroup1/ctl1.f
+dgroup1/sample/ctl1.f
+dgroup1/mydir/ctl1.f

ASMCMDのls(ディレクトリのリスト)に-lフラグを付けて実行すると、各エイリアスは、参照するシステム生成のファイルとともにリストされます。

ctl1.f => +dgroup2/sample/CONTROLFILE/Current.256.541956473

エイリアスの詳細は、「エイリアスASMファイル名」を参照してください。

絶対パスおよび相対パス

引数としてファイル名またはディレクトリ名をとるASMCMDコマンドを実行する場合、名前は絶対パスまたは相対パスのいずれかとして使用できます。

絶対パスは、ファイルまたはディレクトリの完全パスを示します。絶対パスはプラス記号(+)で始まり、その後にディスク・グループ名、ディレクトリ・ツリー内の後続ディレクトリが続きます。絶対パスには、対象のファイルまたはディレクトリまでのディレクトリが含まれます。システム生成の完全なファイル名(完全修飾されたファイル名とも呼ばれる)は、ファイルへの絶対パスの例です。

絶対パスを使用すると、カレント・ディレクトリがどこに設定されているかに関係なく、コマンドを実行してファイルまたはディレクトリにアクセスできます。次のrmコマンドでは、ファイル名への絶対パスを使用しています。

ASMCMD [+] > rm +dgroup2/sample/datafile/users.259.555341963

次のcdコマンドでは、ディレクトリへの絶対パスを使用しています。

ASMCMD [+dgroup1/mydir] > cd +dgroup2/sample/CONTROLFILE

相対パスは、カレント・ディレクトリの部分を含まないファイル名またはディレクトリ名の部分でのみ構成されます。つまり、ファイルまたはディレクトリへのパスは、カレント・ディレクトリに対する相対的な位置を示します。

次の例で、rmコマンドは、相対パスであるファイルundotbs1.272.557429239で動作します。ASMCMDは、コマンド引数にカレント・ディレクトリを付加し、このファイルへの絶対パスを取得します。この例では、これは+dgroup1/sample/DATAFILE/undotbs1.272.557429239です。


ASMCMD [+] > cd +dgroup1
ASMCMD [+dgroup1] > cd sample/DATAFILE
ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > ls
EXAMPLE.269.555342243
SYSAUX.257.555341961
SYSTEM.256.555341961
UNDOTBS1.258.555341963
UNDOTBS1.272.557429239
USERS.259.555341963
ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > rm undotbs1.272.557429239

また、ディレクトリへのパスを相対パスとして指定できます。cdコマンドに、カレント・ディレクトリへの相対パスを持つディレクトリ引数を指定して、カレント・ディレクトリ・ツリー・ブランチの階層を上下に移動できます。

また、ディレクトリ名のかわりに擬似ディレクトリ「.」および「..」を使用できます。「.」擬似ディレクトリは、カレント・ディレクトリです。「..」擬似ディレクトリは、カレント・ディレクトリの親ディレクトリです。

次に、相対ディレクトリ・パスおよび擬似ディレクトリの使用例を示します。


ASMCMD [+dgroup1/sample] > cd DATAFILE
ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] >cd ..
ASMCMD [+dgroup1/sample] >

ワイルドカード文字

ワイルドカード文字の*および%は、絶対パスまたは相対パス内の0文字以上に一致します。絶対パスまたは相対パスは、完全なディレクトリまたはファイル名の入力を保存します。これら2つのワイルドカード文字の動作は同じです。ワイルドカードを使用できるASMCMDコマンドは、cddufindlslsdskおよびrmです。

cdでワイルドカード文字を使用する場合、ワイルドカードのパターンと一致するのが1つのディレクトリのみの場合、cdはそのディレクトリを目的のディレクトリに変更します。ワイルドカードのパターンが複数のディレクトリと一致する場合、ディレクトリは変更されず、エラーが戻されます。

次に、ワイルドカードの使用例を示します。


ASMCMD [+]> cd +dgroup1/sample/*FILE
asmcmd: *FILE: ambiguous

ASMCMD [+]> cd +dgroup1/sample/C*
ASMCMD [+dgroup1/sample/CONTROLFILE/]>

ASMCMD> ls +dgroup1/mydir1
ctl.f
data1.f
dummy.f

ASMCMD> ls +dgroup1/mydir1/d*
data1.f
dummy.f

ASMCMD> ls +group1/sample/*
+dgroup1/sample/CONTROLFILE/:
Current.260.555342185
Current.261.555342183

+dgroup1/sample/DATAFILE/:
EXAMPLE.269.555342243
SYSAUX.257.555341961
SYSTEM.256.555341961
UNDOTBS1.272.557429239
USERS.259.555341963

+dgroup1/sample/ONLINELOG/:
group_1.262.555342191
group_1.263.555342195
group_2.264.555342197
group_2.265.555342201

+dgroup1/sample/PARAMETERFILE/:
spfile.270.555342443

+dgroup1/sample/TEMPFILE/:
TEMP.268.555342229

ASMCMDの実行

ASMCMDユーティリティは、対話モードでも非対話モードでも実行できます。ASMCMDを実行する前に、正しくログインし、使用環境が適切に構成されていることを確認する必要があります。

この項の内容は次のとおりです。

ASMCMDの実行の準備

ASMCMDを実行する前に、次の事項を確認します。

  • ほとんどのASMCMDコマンドを使用するには、ASMインスタンスが起動し、ASMディスク・グループがマウントされていることを確認します。

    ASMインスタンスが実行されていないか、またはORACLE_SIDが正しく設定されていない場合、ASMCMDは実行されますが、ASMインスタンスを必要としないコマンドのみが実行されます。実行されるのはlsdskhelpおよびexitコマンドです。その他のASMCMDコマンドを実行しようとすると、エラー・メッセージが表示されます。


    注意:

    ディスク・グループのマウントにASMCMDは使用できません。

  • 使用するASMインスタンスが実行されているホストにログインします。オペレーティング・システム認証によって、SYSASMまたはSYSDBA権限を持つユーザーとしてログインする必要があります。SYSASM権限が推奨される接続です。詳細は、「ASMインスタンスにアクセスするための認証」を参照してください。


    関連項目:

    オペレーティング・システム認証の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • 環境変数ORACLE_HOMEおよびORACLE_SIDを設定し、ASMインスタンスを参照します。オペレーティング・システムによっては、ASMインスタンスに正しく接続するために、その他の環境変数を設定する必要があります。


    関連項目:

    環境変数の設定の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

    単一インスタンスのデータベースに対するデフォルトのASM SIDの値は、+ASMです。Real Application Clusters環境の場合、すべてのノードのASM SIDのデフォルト値は、+ASMnode#です。

  • OracleホームのbinサブディレクトリがPATH環境変数に指定されていることを確認します。

対話モードでのASMCMDの実行

ASMCMDユーティリティの対話モードは、ASMCMDコマンドの入力が求められるシェルに似た環境で動作します。

対話モードでのASMCMDを実行するには、次のようにします。

  1. オペレーティング・システムのコマンド・プロンプトで、次のように入力します。

    asmcmd

    次のようにASMCMDコマンド・プロンプトが表示されます。

    ASMCMD>

  2. ASMCMDコマンドを入力し、[Enter]を押します。コマンドが実行され、場合によっては出力結果が表示された後、次のコマンドの入力が求められます。

  3. 続けてASMCMDコマンドを入力します。ASMCMDを終了するには、コマンドexitを入力します。

ASMCMDのバージョン番号の表示

asmcmdの起動時に-vオプションを指定すると、asmcmdバージョン番号を表示できます。バージョン番号が表示されると、asmcmdはすぐに終了します。

次に例を示します。


$ asmcmd -v
asmcmd version 11.1.0.3.0

接続タイプの指定

-aオプションを指定して、接続タイプ(SYSASMまたはSYSDBAのいずれか)を選択できます。デフォルト値はSYSASMです。

次に例を示します。

$ asmcmd -a sysasm

ASMCMDプロンプトへのカレント・ディレクトリの表示

asmcmdコマンドで-pオプションを指定すると、ASMCMDプロンプトにカレント・ディレクトリを表示できます。次に例を示します。


$ asmcmd -p
ASMCMD [+] > cd dgroup1
ASMCMD [+dgroup1] >

非対話モードでのASMCMDの実行

非対話モードでは、ASMCMDを起動するコマンドラインにコマンドおよびコマンド引数を含めることにより、単一のASMCMDコマンドを実行します。ASMCMDはコマンドを実行し、必要な場合は出力を生成し、終了します。非対話モードは、特にスクリプトの実行に便利です。

非対話モードでASMCMDを実行するには、コマンド・プロンプトで次を入力します。この場合、commandは任意の有効なASMCMDコマンドで、argumentsはコマンド・フラグと引数のリストです。

asmcmd command arguments

次に、非対話モードでのASMCMDの実行例を示します。


asmcmd ls -l
State    Type    Rebal  Unbal  Name
MOUNTED  NORMAL  N      N      DGROUP1/
MOUNTED  NORMAL  N      N      DGROUP2/

ヘルプの利用

ASMCMDの全般的なヘルプおよび使用可能なコマンドのリストを表示するには、ASMCMDプロンプトまたは非対話モードでのコマンドとして、helpと入力します。

help commandと入力すると、特定のコマンドのヘルプ・テキストを表示できます。command helpと入力して、オプションを指定したコマンドの実行方法に関する使用情報を表示することもできます。

ASMCMDコマンド・リファレンス

この項では、個々のASMCMDコマンドについて詳しく説明します。表7-1に、すべてのASMCMDコマンドのサマリーを示します。

表7-1 ASMコマンドのサマリー

コマンド 説明

cdコマンド


カレント・ディレクトリを指定したディレクトリに変更します。

cpコマンド


ローカル・インスタンスとリモート・インスタンス上のASMディスク・グループ間でファイルをコピーできます。

duコマンド


指定したASMディレクトリおよびすべてのサブディレクトリで、ASMファイルが占有するディスク領域の合計を再帰的に表示します。

exitコマンド


ASMCMDを終了します。

findコマンド


指定したディレクトリ下で、指定した名前(ワイルドカードを使用)と一致するすべての項目のパスをリストします。

helpコマンド


ASMCMDコマンドの構文および説明を表示します。

lsコマンド


ASMディレクトリの内容、指定したファイルの属性またはすべてのディスク・グループの名前および属性をリストします。

lsctコマンド


現在のASMクライアントに関する情報をリストします。

lsdgコマンド


すべてのディスク・グループおよびその属性をリストします。

lsdskコマンド


ASMから見えるディスクをリストします。

md_backupコマンド


マウントされているすべてのディスク・グループのバックアップを作成します。

md_restoreコマンド


バックアップからディスク・グループをリストアします。

mkaliasコマンド


システム生成のファイル名のエイリアスを作成します。

mkdirコマンド


ASMディレクトリを作成します。

pwdコマンド


ASMのカレント・ディレクトリのパスを表示します。

remapコマンド


ディスク上の物理ブロックの範囲を修復します。

rmコマンド


指定したASMファイルまたはディレクトリを削除します。

rmaliasコマンド


エイリアスが示すファイルは保持したまま、指定したエイリアスを削除します。


cdコマンド

用途

カレント・ディレクトリを指定したディレクトリに変更します。

構文および説明

cd dir_name

dir_nameは、絶対パスまたは相対パス(疑似ディレクトリ.および..を含む)のいずれでも指定できます。dir_nameにはワイルドカード文字を使用できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。

ASMCMD [+dgroup2/hr] > cd +dgroup1/sample
ASMCMD [+dgroup1/sample] > cd DATAFILE
ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] >cd ..
ASMCMD [+dgroup1/sample] >

cpコマンド

用途

ローカル・インスタンスとリモート・インスタンス上のASMディスク・グループ間でファイルをコピーできます。リモート・インスタンス間でのファイル・コピーはできません。ローカルASMインスタンスが、操作のソースまたはターゲットのいずれかである必要があります。このコマンドを使用して、ASMディスク・グループからオペレーティング・システムにファイルをコピーすることもできます。

構文および説明


cp [-ifr] [connect_string:]src_fname [connect_string:]tgt_fname
cp [-ifr] [connect_string:]src_fnameN, src_fnameN+1
      [connect_string:]tgt_directory

cpコマンドの構文変数は、次のとおりです。

  • connect_string: リモート・インスタンスのコピーで使用するためのASMCMD接続文字列。

    ローカル・インスタンスのコピー(デフォルトの場合)には、connect_stringパラメータは必要ありません。リモート・インスタンスのコピーの場合、接続文字列を指定する必要があり、ASMによりエコーしないプロンプトでパスワードを入力するように求められます。connect_stringの形式は次のとおりです。

    user_name@host_name[.port_number].SID

    user_namehost_nameおよびSIDは必須です。デフォルトのポート番号は1521です。

  • src_fname: コピー元のソース・ファイル名。

    完全修飾ファイル名(システムで生成される名前)またはASMエイリアスのいずれかを入力します。

  • tgt_fname: 作成されたターゲット・ファイル名のユーザー・エイリアス、またはエイリアスのディレクトリ名。

  • tgt_directory: ASMディスク・グループ内のターゲット・エイリアス・ディレクトリ。

    ターゲット・ディレクトリは存在している必要があります。存在していない場合、ファイル・コピーからエラーが戻されます。

コピーされるファイルの形式は、そのファイルがASMディスク・グループ内に存在する場合、リトル・エンディアンおよびビッグ・エンディアンのシステム間で移植できます。ASMはファイルを書き込むと、その形式を自動的に変換します。ASMディスク・グループに対してASM以外のファイルをコピーする場合、別のエンディアンのプラットフォームにファイルをコピーしてから、一般的に使用されるユーティリティを使用してファイルを変換できます。

表7-2 cpコマンドのフラグ

フラグ 説明

-i

対話型。ファイルをコピーまたは上書きする前にプロンプトを表示します。

-f

強制型。既存の宛先ファイルの場合、ユーザーとやり取りを行わずにファイルを削除して再試行します。

-r

再帰型。転送するサブディレクトリを再帰的にコピーします。

-help

ヘルプ・テキストを表示します。


ASMCMD[+]>cp +DG1/vdb.ctf1 /backups/vdb.ctf1
copying file(s)...
source +DG1/vdb.ctf1
target /backups/vdb.ctf1
file, /backups/vdb.ctf1, copy committed.

ASMCMD[+DG1]> cp vdb.ctf1 /tmp
copying file(s)...
source +DG1/vdb.ctf1
target /tmp/vdb.ctf1
file, /tmp/vdb.ctf1, copy committed.

duコマンド

用途

指定したディレクトリおよびその下のディレクトリ・ツリー全体のファイルが使用する領域の合計を表示します。

構文および説明

du [-H] [dir_name]

このコマンドは、UNIXまたはLinuxコンピュータのdu -sコマンドと類似しています。dir_nameを指定しない場合、カレント・ディレクトリに関する情報が表示されます。dir_nameにはワイルドカード文字を使用できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。

次の2つの値が、いずれもMB単位で表示されます。

  • Used_MB: この値には、ミラーリングは含まれません。

  • Mirror_used_MB: この値には、ミラーリングが含まれます。

たとえば、通常の冗長性ディスク・グループに100MBのデータが含まれている場合、ディスク・グループの各ファイルが2方向にミラー化されていると、Used_MBは100MBで、Mirror_used_MBは約200MBです。

-Hフラグを指定すると、列ヘッダーは出力されません。

次の例に、dgroup1sampleディレクトリおよびsampleディレクトリの下にあるすべてのディレクトリで使用されているディスク領域を示します。

ASMCMD [+dgroup1/sample] > du
Used_MB      Mirror_used_MB
   1251                2507

exitコマンド

用途

ASMCMDを終了し、オペレーティング・システムのコマンドライン・プロンプトに戻ります。

構文

exit

findコマンド

用途

指定したディレクトリおよびそのサブディレクトリ内で、指定した名前パターン(ワイルドカードを使用)と一致するすべてのものの絶対パスを表示します。

構文および説明

find [-t type] dir_name name_pattern

このコマンドは、ディレクトリ・ツリー内の指定したディレクトリおよびその下のすべてのサブディレクトリで、指定したname_patternを検索します。name_patternの値には、ディレクトリ名またはファイル名を指定し、ワイルドカード文字を使用できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。

コマンドの出力では、ディレクトリ名の末尾にスラッシュ(/)が付き、ファイル名とは区別されます。

特定のタイプ(typeとして指定)のすべてのファイルを検索するには、-tフラグを使用します。たとえば、typeCONTROLFILEを指定して、制御ファイルを検索できます。typeに指定できる値は、次のとおりです。

CONTROLFILE
DATAFILE
ONLINELOG
ARCHIVELOG
TEMPFILE
BACKUPSET
DATAFILE
PARAMETERFILE
DATAGUARDCONFIG
FLASHBACK
CHANGETRACKING
DUMPSET
AUTOBACKUP
XTRANSPORT

これらは、V$ASM_FILEビューのtype列のタイプ値です。

次の例では、dgroup1ディスク・グループの「undo」で始まるファイルを検索します。

ASMCMD> find +dgroup1 undo*
+dgroup1/sample/DATAFILE/UNDOTBS1.258.555341963
+dgroup1/sample/DATAFILE/UNDOTBS1.272.557429239

次の例では、+dgroup1/sampleディレクトリにあるすべての制御ファイルの絶対パスを戻します。

ASMCMD> find -t CONTROLFILE +dgroup1/sample *
+dgroup1/sample/CONTROLFILE/Current.260.555342185
+dgroup1/sample/CONTROLFILE/Current.261.555342183

helpコマンド

用途

コマンドの構文およびコマンド・パラメータの説明を表示します。

構文および説明

help [command]

commandの値を指定しない場合、helpコマンドでは、すべてのASMCMDコマンドのリストおよびASMCMDユーティリティの使用に関する全般的な情報が表示されます。

次の例では、mkaliasコマンドのヘルプ・テキストを表示します。

ASMCMD> help mkalias

lsコマンド

用途

V$ASM_DISKGROUP_STATまたはV$ASM_DISKGROUPビューからASMディレクトリの内容、指定したファイルの属性またはすべてのディスク・グループの名前および属性をリストします。デフォルトのビューはV$ASM_DISKGROUP_STATです。

構文および説明

ls [-lsdrtLacgH] [name]

nameには、ワイルドカード文字を含むファイル名またはディレクトリ名を指定できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。

nameがディレクトリ名の場合、ASMCMDではディレクトリの内容、およびフラグ設定に応じて各ディレクトリ・メンバーの情報がリストされます。ディレクトリ名の末尾にはスラッシュ(/)が付き、ファイル名とは区別されてリストされます。

nameに入力する値がファイル名である場合、ASMCMDではファイル、およびフラグ設定に応じてファイルの情報がリストされます。ファイル名が相対パスで指定されている場合、ファイルはカレント・ディレクトリ内に格納されている必要があります。

コマンドのフラグを使用して、コマンドの出力を変更およびカスタマイズできます。表7-3に、フラグおよびその説明を示します。ディスク・グループ情報の場合、このコマンドはデフォルトでV$ASM_DISKGROUP_STATビューを問い合せます。これは-cフラグおよび-gフラグを使用して変更できます。

表7-3 lsコマンドのフラグ

フラグ 説明

(なし)

ファイル名およびディレクトリ名のみを表示します。

-l

ストライピング情報、冗長性情報、ファイルがシステム生成か(SYS列の下にYと表示)ユーザー作成か(エイリアスの場合のように、SYS列の下にNと表示)など、ファイルの詳細な情報を表示します。「ls -l +」コマンドで使用した場合は、ディレクトリ情報が表示されます。ただし、一部のファイル属性またはディスク・グループ属性は表示されません。ファイルまたはディスク・グループのすべての列の値を表示するには、V$ASM_FILEおよびV$ASM_DISKGROUPビューを問い合せます。

-s

ファイル領域情報を表示します。

-d

name引数の値がディレクトリの場合は、ディレクトリの内容ではなく、ディレクトリの情報が表示されます。通常は、-lフラグなどの別のフラグとともに使用します。

-r

リストのソート順を逆にします。

-t

名前ではなくタイムスタンプで新しいものを先頭にリストをソートします。

-L

name引数の値がエイリアスの場合は、参照するファイルの情報が表示されます。通常は、-lフラグなどの別のフラグとともに使用します。

-a

リストされたファイルごとに、そのファイルを参照するエイリアスの絶対パス(ある場合)が表示されます。

-c

-gフラグも指定されている場合、V$ASM_DISKGROUPビューまたはGV$ASM_DISKGROUPビューから選択します。

-g

-cフラグも指定されている場合、GV$ASM_DISKGROUP_STATまたはGV$ASM_DISKGROUPから選択します。出力には、GV$ASM_DISKGOUP.INST_IDが含まれます。

-H

列ヘッダーを非表示にします。


すべてのフラグを指定すると、属性が結合されて表示され、重複するものは削除されます。ls +と指定すると、マウントされているかどうかも含めてすべてのディスク・グループに関する情報が戻されます。

ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > ls
EXAMPLE.269.555342243
SYSAUX.257.555341961
SYSTEM.256.555341961
UNDOTBS1.258.555341963
UNDOTBS1.272.557429239
USERS.259.555341963


ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > ls -l
Type      Redund  Striped  Time             Sys  Name
DATAFILE  MIRROR  COARSE   APR 18 19:16:07  Y    EXAMPLE.269.555342243
DATAFILE  MIRROR  COARSE   MAY 09 22:01:28  Y    SYSAUX.257.555341961
DATAFILE  MIRROR  COARSE   APR 19 19:16:24  Y    SYSTEM.256.555341961
DATAFILE  MIRROR  COARSE   MAY 05 12:28:42  Y    UNDOTBS1.258.555341963
DATAFILE  MIRROR  COARSE   MAY 04 17:27:34  Y    UNDOTBS1.272.557429239
DATAFILE  MIRROR  COARSE   APR 18 19:16:07  Y    USERS.259.555341963


ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > ls -lt
Type      Redund  Striped  Time             Sys  Name
DATAFILE  MIRROR  COARSE   MAY 09 22:01:28  Y    SYSAUX.257.555341961
DATAFILE  MIRROR  COARSE   MAY 05 12:28:42  Y    UNDOTBS1.258.555341963
DATAFILE  MIRROR  COARSE   MAY 04 17:27:34  Y    UNDOTBS1.272.557429239
DATAFILE  MIRROR  COARSE   APR 19 19:16:24  Y    SYSTEM.256.555341961
DATAFILE  MIRROR  COARSE   APR 18 19:16:07  Y    USERS.259.555341963
DATAFILE  MIRROR  COARSE   APR 18 19:16:07  Y    EXAMPLE.269.555342243


ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > ls -l undo*
Type      Redund  Striped  Time             Sys  Name
DATAFILE  MIRROR  COARSE   MAY 05 12:28:42  Y    UNDOTBS1.258.555341963
DATAFILE  MIRROR  COARSE   MAY 04 17:27:34  Y    UNDOTBS1.272.557429239


ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > ls -s
Block_Size  Blocks      Bytes       Space  Name
      8192   12801  104865792   214958080  EXAMPLE.269.555342243
      8192   48641  398467072   802160640  SYSAUX.257.555341961
      8192   61441  503324672  1011875840  SYSTEM.256.555341961
      8192    6401   52436992   110100480  UNDOTBS1.258.555341963
      8192   12801  104865792   214958080  UNDOTBS1.272.557429239
      8192     641    5251072    12582912  USERS.259.555341963

ASMCMD [+dgroup1] > ls +dgroup1/sample
CONTROLFILE/
DATAFILE/
ONLINELOG/
PARAMETERFILE/
TEMPFILE/
spfilesample.ora
ASMCMD [+dgroup1] > ls -l +dgroup1/sample
Type  Redund  Striped  Time  Sys Name
                             Y   CONTROLFILE/
                             Y   DATAFILE/
                             Y   ONLINELOG/
                             Y   PARAMETERFILE/
                             Y   TEMPFILE/
                             N   spfilesample.ora=>
                              +dgroup1/sample/PARAMETERFILE/spfile.270.555342443
ASMCMD [+dgroup1] > ls -r +dgroup1/sample
spfilesample.ora
TEMPFILE/
PARAMETERFILE/
ONLINELOG/
DATAFILE/
CONTROLFILE/
ASMCMD [+dgroup1] > ls -lL example_df2.f
Type      Redund  Striped  Time          Sys  Name
DATAFILE  MIRROR  COARSE   APR 27 11:04  N    example_df2.f => +dgroup1/sample/DATAFILE/EXAMPLE.271.556715087
ASMCMD [+dgroup1] > ls -a +dgroup1/sample/DATAFILE/EXAMPLE.271.556715087
+dgroup1/example_df2.f => EXAMPLE.271.556715087
ASMCMD [+dgroup1] > ls -lH +dgroup1/sample/PARAMETERFILE
PARAMETERFILE  MIRROR  COARSE   MAY 04 21:48  Y    spfile.270.555342443

ASMCMD [+dgroup1] > ls -l +
State    Type    Rebal  Unbal  Name
MOUNTED  NORMAL  N      N      DGROUP1/
MOUNTED  NORMAL  N      N      DGROUP2/
MOUNTED  EXTERN  N      N      DGROUP3/

lsctコマンド

用途

V$ASM_CLIENTビューから現在のASMクライアントについての情報を表示します。クライアントは、ASMCMDが現在接続されているASMインスタンスによって管理されるディスク・グループを使用するデータベースです。

構文および説明

lsct [-gH] [group]

groupを指定すると、そのディスク・グループの情報のみが表示されます。表7-4に、lsctコマンドのフラグを示します。

表7-4 lsctコマンドのフラグ

フラグ 説明

(なし)

V$ASM_CLIENTビューから現在のASMクライアントの情報を表示します。

-g

GV$ASM_CLIENTビューから選択します。出力には、GV$ASM_CLIENT.INST_IDが含まれます。

-H

列ヘッダーを非表示にします。


次の例では、ディスク・グループdgroup1にアクセスするクライアントの情報を表示します。

ASMCMD [+] > lsct dgroup1

lsdgコマンド

用途

V$ASM_DISKGROUP_STATまたはV$ASM_DISKGROUPビューからすべてのディスク・グループおよびその属性をリストします。デフォルトのビューはV$ASM_DISKGROUP_STATです。また、出力には、現在のリバランス操作の通知も含まれます。

構文および説明

lsdg [-gcH] [group]

groupを指定すると、そのディスク・グループの情報のみが表示されます。表7-5に、lsdgコマンドのフラグを示します。

表7-5 lsdgコマンドのフラグ

フラグ 説明

(なし)

表7-6にリストされているディスク・グループ属性を表示します。

-c

-gフラグも指定されている場合、V$ASM_DISKGROUPまたはGV$ASM_DISKGROUPから選択します。このオプションは、ASMインスタンスのバージョンが10.1以下の場合は無視されます。

-g

-cフラグも指定されている場合、GV$ASM_DISKGROUP_STATまたはGV$ASM_DISKGROUPから選択します。出力には、GV$ASM_DISKGOUP.INST_IDが含まれます。GV$ASM_OPERATIONビューのREBAL列も出力されます。

-H

列ヘッダーを非表示にします。


表7-6に、各ディスク・グループの属性を示します。ディスク・グループのすべての属性を表示するには、V$ASM_DISKGROUP_STATビューを使用します。

表7-6 lsdgコマンド出力の属性の説明

属性名 説明

State

ディスク・グループのマウント済/接続済状態。

Type

ディスク・グループの冗長性(NORMALHIGHEXTERNAL)。

Rebal

Y: リバランス操作が進行中の場合。

Sector

セクタ・サイズ(バイト)。

Block

ブロック・サイズ(バイト)。

AU

割当て単位のサイズ(バイト)。

Total_MB

ディスク・グループのサイズ(MB)。

Free_MB

冗長性を考慮しない場合のディスク・グループの空き領域(MB)。V$ASM_DISKGROUPビューの値です。

Req_mir_free_MB

ディスク・グループで許容できる最悪の障害が発生した後、完全な冗長性をリストアするためにディスク・グループで使用可能にする必要のある領域の量。これはV$ASM_DISKGROUPビューのREQUIRED_MIRROR_FREE_MB列の値です。

Usable_file_MB

ミラー化のために調整され、新しいファイルに使用可能な空き領域の量。V$ASM_DISKGROUPビューの値です。

Offline_disks

ディスク・グループ内のオフライン・ディスクの数。オフライン・ディスクは、最後に削除されます。

Name

ディスク・グループ名。


次の例では、ディスク・グループdgroup2の属性をリストします。

ASMCMD [+] > lsdg dgroup2

lsdskコマンド

用途

V$ASM_DISK_STATビューおよびV$ASM_DISKビューを使用して、ASMから見えるディスクをリストします。V$ASM_DISK_STATビューがデフォルトで使用されます。

構文および説明

lsdsk [-ksptagcHI] [-d diskg_roup_name] [pattern]

patternによって、指定したパターンと一致するディスクにのみ出力先を制限します。ワイルドカードおよびスラッシュ(/または\)はパターンの一部として使用できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。

kspおよびtフラグにより、ディスクごとに表示される情報量を変更します。任意の組合せのフラグを指定すると、出力には、各フラグに関連付けられた属性の組合せが出力表示されます。フラグの詳細は、表7-7を参照してください。

このコマンドは、接続または非接続モードで実行できます。最初は常に接続モードが試行されます。-Iオプションにより、非接続モードが強制されます。

  • 接続モードの場合、ASMCMDは動的ビューを使用してディスク情報を取得します。

  • 非接続モードの場合、ASMCMDはASMディスク文字列を使用して検出セットを制限し、ディスク・ヘッダーをスキャンしてディスク情報を取得します。


注意:

Windowsでは非接続モードはサポートされていません。

表7-7 lsdskコマンドのフラグ

フラグ 説明

(なし)

V$ASM_DISKビューのPATH列を表示します。

-k

V$ASM_DISKビューのTOTAL_MBFREE_MBOS_MBNAMEFAILGROUPLIBRARYLABELUDIDPRODUCTREDUNDANCYおよびPATH列を表示します。

-s

V$ASM_DISKビューのREADSWRITESREAD_ERRSWRITE_ERRSREAD_TIMEWRITE_TIMEBYTES_READBYTES_WRITTENおよびPATH列を表示します。

-p

V$ASM_DISKビューのGROUP_NUMBERDISK_NUMBERINCARNATIONMOUNT_STATUSHEADER_STATUSMODE_STATUSSTATEおよびPATH列を表示します。

-t

V$ASM_DISKビューのCREATE_DATEMOUNT_DATEREPAIR_TIMERおよびPATH列を表示します。

-g

-cフラグも指定されている場合、GV$ASM_DISK_STATまたはGV$ASM_DISKから選択します。出力には、GV$ASM_DISK.INST_IDが含まれます。

-c

-gフラグも指定されている場合、V$ASM_DISKまたはGV$ASM_DISKから選択します。このオプションは、ASMインスタンスのバージョンが10.1以下の場合は無視されます。

-H

列ヘッダーを非表示にします。

-I

ASMインスタンスから情報を抽出するのではなく、ディスク・ヘッダーで情報をスキャンします。このオプションにより、非接続モードが強制されます。

-d

disk_group_nameによって指定されたグループに属しているディスクにのみ結果を制限します。


ASMCMD> lsdsk -k -d DATA *_0001
ASMCMD> lsdsk -s -d DATA *_0001
ASMCMD> lsdsk -t -d DATA *_0001
ASMCMD> lsdsk -C -t -d DATA *_0001
ASMCMD> lsdsk -g -t -d DATA *_0001

md_backupコマンド

用途

MD_BACKUPコマンドは、1つ以上のディスク・グループのメタデータを含むバックアップ・ファイルを作成します。デフォルトでは、マウントされているすべてのディスク・グループがバックアップ・ファイルに含まれます。バックアップ・ファイルは、現在作業中のディレクトリに保存されます。バックアップ・ファイルの名前を指定しない場合、ファイル名はAMBR_BACKUP_INTERMEDIATE_FILEになります。

構文および説明

md_backup [-b location_of_backup] [-g dgname [-g dgname]]

location_of_backupは、バックアップ・ファイルを保存する場所です。

dgnameは、バックアップするディスク・グループの名前です。

表7-8に、md_backupコマンドのオプションを示します。

表7-8 md_backupコマンド・オプションの説明

オプション 説明

-b

中間バックアップ・ファイルを保存する場所を指定します。

-g

バックアップする必要のあるディスク・グループの名前を指定します。


次に、オプションなしで実行するバックアップ・コマンドの例を示します。この例の場合、マウントされているすべてのディスク・グループがバックアップされ、現在の作業ディレクトリにバックアップ・イメージが作成されます。

ASMCMD> md_backup

次の例では、ディスク・グループasmdsk1およびasmdsk2のバックアップが作成されます。この例で作成されるバックアップは、/tmp/dgbackup070222ファイルに保存されます。

ASMCMD> md_backup –b /tmp/dgbackup070222 –g admdsk1 –g asmdsk2

md_restoreコマンド

用途

このコマンドは、この項で説明する様々なオプションを使用してディスク・グループのバックアップをリストアします。

ディスク・グループの互換性設定を変更した後にバックアップ・ファイルをリストアするには、「ディスク・グループの互換性を設定する際の考慮事項」を参照してください。

構文および説明

md_restore -b backup_file [-i]

[-t (full)|nodg|newdg] [-f sql_script_file]

[-g 'diskgroup_name,diskgroup_name,...']

[-o 'old_diskgroup_name:new_diskgroup_name,...']

backup_fileは、リストアするバックアップ・スクリプト・ファイルの名前です。

sql_script_fileは、使用するSQLスクリプトの名前です。

diskgroup_nameは、ディスク・グループの名前です。

old_diskgroup_nameは、古いディスク・グループの名前です。

new_diskgroup_nameは、新しいディスク・グループの名前です。

表7-9に、md_restoreコマンドのオプションを示します。

表7-9 md_restoreコマンド・オプションの説明

オプション 説明

-b

メタデータ情報をbackup_fileから読み取ります。

-i

エラーを無視します。md_restoreでエラーが発生した場合、通常は停止します。このフラグを指定すると、エラーを無視します。

-t

作成されるディスク・グループのタイプを次のように指定します。

full: ディスク・グループを作成してメタデータをリストアします。

nodg: メタデータのみをリストアします。

newdg: 別の名前でディスク・グループを作成して、メタデータをリストアします。-oは必須です。

-f

SQLコマンドを実行せずに<sql_script_fileに書き込みます。

-g

リストアされるディスク・グループを選択します。ディスク・グループを定義しない場合、すべてのディスク・グループがリストアされます。

-o

ディスク・グループold_diskgroup_nameの名前をnew_diskgroup_nameに変更します。


次の例では、ディスク・グループasmdsk1をバックアップ・スクリプトからリストアして、コピーを作成します。

ASMCMD> md_restore –t full –g asmdsk1 –i backup_file

次の例では、既存のディスク・グループasmdsk1を選択し、そのメタデータをリストアします。

ASMCMD> md_restore –t nodg –g asmdsk1 –i backup_file

次の例では、ディスク・グループasmdsk1は完全にリストアされますが、作成される新しいディスク・グループはasmdsk2と呼ばれます。

ASMCMD> md_restore –t newdg  -o 'asmdsk1:asmdsk2'  –i backup_file

次の例では、ファイルoverride.txtに定義されているオーバーライドを適用した後、バックアップ・ファイルからリストアします。

ASMCMD> md_restore –t newdg –of override.txt –i backup_file

mkaliasコマンド

用途

指定したシステム生成のファイル名のエイリアスを作成します。

構文および説明

mkalias file alias

aliasは、システム生成のファイルと同じディスク・グループに存在する必要があります。1つのASMファイルに作成できるのは、1つのエイリアスのみです。

mkaliasコマンドと同等のSQLコマンドは、次のとおりです。

ALTER DISKGROUP dg_name ADD ALIAS user_alias FOR file

次の例では、完全修飾されたファイル名+dgroup1/sample/DATAFILE/SYSAUX.257.555341961に対してsysaux.fエイリアスを作成します。

ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > mkalias SYSAUX.257.555341961 sysaux.f
ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > ls -a
none => EXAMPLE.269.555342243
+dgroup1/sample/DATAFILE/sysaux.f => SYSAUX.257.555341961
none => SYSTEM.256.555341961
none => UNDOTBS1.258.555341963
none => UNDOTBS1.272.557429239
none => USERS.259.555341963
sysaux.f

mkdirコマンド

用途

カレント・ディレクトリにASMディレクトリを作成します。

構文および説明

mkdir dir_name [dir_name . . .]

カレント・ディレクトリは、システム生成またはユーザーによって作成できます。ルート(+)・レベルのディレクトリは作成できません。

mkdirコマンドと同等のSQLコマンドは、次のとおりです。

ALTER DISKGROUP dg_name ADD DIRECTORY dir, dir . . .

次の例では、ディスク・グループdgroup1に、ディスク・グループ・レベルのディレクトリsubdir1およびsubdir2を作成します。

ASMCMD [+dgroup1] > mkdir subdir1 subdir2
ASMCMD [+dgroup1] > ls
sample/
example_df2.f
subdir1/
subdir2/

pwdコマンド

用途

カレント・ディレクトリの絶対パスを表示します。

構文および説明

pwd

次の例では、カレント・ディレクトリの絶対パスを表示します。

ASMCMD> pwd

+dgroup1/sample/controlfile

remapコマンド

用途

ディスク上の物理ブロックの範囲を修復します。remapコマンドは、読取りディスクのI/Oエラーがあるブロックのみを修復します。これらのブロックが読取り可能であるかどうかにかかわらず、破損した内容を含むブロックは修復されません。コマンドは、512バイトの物理ブロック・サイズを想定し、すべての割当て単位サイズ(1〜64MB)をサポートします。

構文および説明

remap disk_group_name disk_name block_range

disk_group_nameは、修復する必要があるディスクを含むディスク・グループの名前です。

disk_nameは、修復する必要があるディスクの名前です。この名前は、V$ASM_DISKビューのNAME列にリストされます。

block_rangeは、修復する物理ブロックの範囲で、フォーマットは次のとおりです。

start_range_number-end_range_number

次の例では、ディスク・グループDISK_GRP1にあるディスクDATA_000150005999までのブロックを修復します。

ASMCMD> remap DISK_GRP1 DATA_0001 5000-5999

次の例では、ディスク・グループDISK_GRP2にあるディスクlargedisk_262306339までのブロックを修復します。

ASMCMD> remap DISK_GRP2 largedisk_2 6230-6339

rmコマンド

用途

指定したASMファイルおよびディレクトリを削除します。

構文および説明

rm [-rf] name [name] . . .

nameがファイルまたはエイリアスの場合は、これらがクライアント・データベースで現在使用中でない場合のみ、rmコマンドによって削除できます。nameがディレクトリの場合は、(-rフラグを使用していなければ)そのディレクトリが空であり、システム生成のディレクトリではない場合のみrmコマンドで削除できます。nameがエイリアスの場合は、エイリアスおよびエイリアスが参照するファイルの両方がrmによって削除されます。エイリアスのみ削除し、エイリアスが参照するファイルを保持する場合は、rmaliasコマンドを使用します。

rmコマンドと同等のSQLコマンドは、次のとおりです。


ALTER DISKGROUP ... DROP FILE
ALTER DISKGROUP ... DROP DIRECTORY

nameには、ワイルドカード文字を指定できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。

ワイルドカードを使用する場合、rmコマンドでは、(-rフラグを使用していなければ)空ではないディレクトリを除くすべての一致項目を削除します。再帰的に削除するには、-rフラグを使用します。これにより、空ではないディレクトリとその中のすべてのファイルとディレクトリ、およびそのディレクトリ下のディレクトリ・ツリー全体のすべてのファイルとディレクトリを削除できます。-rフラグまたはワイルドカード文字を使用すると、-fフラグを指定した場合を除き、rmコマンドを続行する前に削除を確認するプロンプトが表示されます。ワイルドカード文字がエイリアスまたはエイリアスを持つシステム生成のファイルと一致する場合は、エイリアスおよびエイリアスが参照するシステム生成のファイルの両方が削除されます。-rフラグを使用する場合は、システム生成のファイルまたはエイリアスは、rmコマンドを実行するディレクトリ内に存在している必要があります。

たとえば、+dg/orcl/DATAFILE/System.256.146589651を指し示すユーザーのエイリアス+dg1/dir1/file.aliasがある場合、rm -r +dg1/dir1コマンドを実行すると、+dg1/dir1/file.aliasおよび+dg/orcl/DATAFILE/System.256.146589651が削除されます。

次の例では、エイリアスalias293.fを削除します。

ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > rm alias293.f

rmaliasコマンド

用途

エイリアスが参照するファイルは保持したまま、指定したエイリアスを削除します。

構文および説明

rmalias [-r] alias [alias] . . .

再帰的に削除するには、-rフラグを使用します。これにより、カレント・ディレクトリおよびカレント・ディレクトリ下のディレクトリ・ツリー全体のすべてのエイリアスを削除できます。エイリアスを削除した結果としてユーザー作成のディレクトリが空になる場合は、それらのディレクトリも削除されます。システム生成のファイルおよびディレクトリは削除されません。

rmaliasコマンドと同等のSQLコマンドは、次のとおりです。

ALTER DISKGROUP dg_name DROP ALIAS user_alias

次の例では、エイリアスsysaux.fは削除され、そのエイリアスが参照するデータファイルは保持されます。

ASMCMD [+dgroup1/sample/DATAFILE] > rmalias sysaux.f