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Oracle Databaseストレージ管理者ガイド
11gリリース1(11.1)
E05783-04
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2 ASM用のストレージの準備

この章では、自動ストレージ管理(ASM)の構成前にストレージ・サブシステムを準備する方法について説明します。ASMの使用目的でストレージを準備する場合は、この章で説明するように、まずシステムのストレージ・オプションを決定し、次に特定のオペレーティング・システム環境に対してディスク・ストレージを準備する必要があります。この章の内容は次のとおりです。

ASM用のディスクの準備

ASMディスク・グループは、次のいずれかのストレージ・リソースを使用して作成できます。

ASM用のストレージ・リソースを準備する手順は次のとおりです。

  1. ASM用のストレージ・デバイスを区別または作成するには、ASMディスク・グループの作成に使用できるすべてのストレージ・リソース・デバイス名を識別します。たとえば、通常、Linuxシステムでは、デバイス名は/devディレクトリから提供され、その名前構文は/dev/device_name_identifierとなります。

  2. ストレージ・デバイス・リソースの所有権とアクセス権を変更します。たとえば、Linuxシステムでは次のようにする必要があります。

    • デバイスのユーザーおよびグループ所有権をoracle:dbaに変更します。

    • デバイスのアクセス権を読取り/書込みに変更します。

    • 比較的古いLinuxバージョンでは、RAWデバイス・バインディングを構成する必要があります。

ASMを構成したら、ASM_DISKSTRING初期化パラメータを設定して、ディスク検出が正しく構成されていることを確認します。


注意:

所有権のoracle:dbaへの設定は、デフォルト設定の一例です。デフォルト以外のインストールでは異なる設定が必要になる場合があります。通常、ディスク・デバイスの所有者はOracleバイナリの所有者と同じにします。グループの所有権は、ASMインスタンスのOSDBAにします。これはインストール時に定義されます。


関連項目:

ASM_DISKSTRINGパラメータの詳細は、「ASM_DISKSTRING」を参照してください。

ASMインストール用のディスク準備の詳細は、Oracle Database、Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Cluster(Oracle RAC)のプラットフォーム別インストレーション・ガイドを参照してください。

ASMとマルチパス化

マルチパス化ソリューションは、冗長な物理パス・コンポーネントを使用することでフェイルオーバーを提供します。これらのコンポーネントとして、サーバーとストレージ・サブシステムの間に存在するアダプタ、ケーブルおよびスイッチなどがあります。これらのコンポーネントの1つ以上に障害が発生した場合、アプリケーションは引き続きデータにアクセスできるため、ストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)、ホスト・バス・アダプタ、インタフェース・ケーブル、またはマルチポート・ストレージ・アレイ上のホスト・ポートでのシングル・ポイント障害はなくなります。

マルチパス化は、オペレーティング・システムのデバイス・ドライバ・レベルで実装されるソフトウェア・テクノロジです。マルチパス化では疑似デバイスが作成され、使用可能なすべてのI/Oパスの間でI/O操作を共有し、それらの操作のバランスを取ることが容易になります。また、使用可能なすべてのパスにI/O負荷を分散させることでシステムのパフォーマンスも向上します。その結果、自動フェイルオーバーやフェイルバックによる、より高いレベルのデータ可用性が提供されます。

ASMはマルチパス化機能を備えた設計になっていませんが、マルチパス化テクノロジとともに機能します。マルチパス化テクノロジは、数多くのソースから利用できます。ストレージ・ベンダーは固有のストレージ製品に対応したマルチパス化製品を提供しており、ソフトウェア・ベンダーは通常、複数のサーバー・プラットフォームとストレージ製品に対応したマルチパス化製品を開発しています。


関連項目:

特定のプラットフォームおよびストレージ製品のマルチパス化オプションの詳細は、ストレージまたはソフトウェア・ベンダーのマルチパス化のドキュメントを参照してください。

ASMとマルチパス化の併用

ASMでディスクの複数のデバイス・パスを検出するとエラーが発生します。マルチパス構成では単一のディスクが複数回現れる可能性があるため、マルチパス・ディスクのみを検出するようにASMを構成する必要があります。

ASMでは、初期化パラメータASM_DISKSTRINGの値を、マルチパス・ディスクを表す疑似デバイス名に設定することにより、マルチパス・ディスクを確実に検出できます。たとえば、EMC PowerPathマルチパス化ソフトウェアを使用している場合は、ASM_DISKSTRING'/dev/rdsk/emcpower*'に設定できます。I/Oが疑似デバイスへ送られると、マルチパス・ドライバはそれを検出し、基礎となるサブパスにロード・バランシングを提供します。Linux上でASMとともにASMLIBを使用する場合は、マルチパス・ディスクを最初にスキャンするようにASMを構成するか、またはスキャン時にシングルパス・ディスクを除外するようにASMを構成することにより、マルチパス・ディスクを確実に検出できます。


関連項目:


ストレージ準備の推奨事項

ASMで使用するストレージを準備する際のガイドラインを次に示します。

データベース管理者向けのストレージの考慮事項

データベース管理者がシステムのストレージの構成を担当する場合、システムの初期容量だけでなく、今後の成長に対応した計画も検討する必要があります。ASMによって成長に対応するタスクが容易になります。ただし、成長計画はASMディスクで示されるLUNのサイズなどの選択に影響を与える場合があります。

また、I/Oパフォーマンスがストレージ・ディスクだけでなく、ホスト・バス・アダプタ(HBA)やストレージ構造に依存するかどうかも検討する必要があります。クラスタのノードの数を増やすにつれて、ストレージ・サブシステムも拡張する必要があります。

高可用性の場合、ストレージは1つのコンポーネントのみです。ストレージ内では、リカバリ領域とは別になるようにデータベース作業領域を構成することをお薦めします。ハードウェアのミラー化、または標準冗長性や高冗長性を備えたディスク・グループからのホストベースのミラー化を使用して、ディスク障害から保護するための対策も必要です。さらに、ストレージの可用性を考慮する際に、HBAと構造のマルチパス化を検討する必要があります。ASMのミラー化では、障害グループの構成も高可用性に影響を与えます。