Oracle Database管理者リファレンス 11gリリース1(11.1) for Linux and UNIX-Based Operating Systems E05786-05 |
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この付録では、Oracle Database 10gシリーズのOracle Dtabaseリソース・マネージャで改良された点について説明します。次の項目について説明します。
Oracle Database 10gでは、Oracle Databaseリソース・マネージャは、1つのインスタンス内でOracleプロセス全体のCPUリソースを管理します。しかし、これらのプロセスは入出力バウンドになることがあります。入出力のバンド幅も管理できれば、より効率的になります。新しい入出力リソース・マネージャ機能は、ディスク入出力操作の処理に関連する動的リソースの管理に役立ちます。
入出力リソース・マネージャは、Oracleが稼働しているすべてのプラットフォームに対して有効化できます。小規模および大規模なデータベース構成と、ハードウェア構成において機能します。さらに、入出力リソース・マネージャは、ディスク数と追加チャネル容量にあわせて拡大または縮小できます。
入出力リソース・マネージャを使用すると、次のタスクを実行できます。
インスタンスを再起動せずに、入出力リソース・マネージャを有効化または無効化できます。
CPUリソース管理とは無関係に、入出力リソース・マネージャを無効化できます。
稼働中のシステムに新しい入出力リソース・プランをロードできます。
稼働中のシステムの既存のプランを変更できます。
プランを切り替え、入出力バンド幅ディストリビューションのスムーズな変更を期待できます。
入出力リソース・マネージャを有効化しても、パフォーマンスが大幅に低下することはありません。
リソース割当てを活用することで、ディスク使用状況が準最適になる場合があります。このような場合は、スループットの低下が予測されます。
入出力負荷がデータベースの制限に達していない場合、1つのコンシューマ・グループを使用するプランで入出力リソース・マネージャを有効化しても、パフォーマンスはほとんど変わりません。
リソースが多く割り当てられたコンシューマ・グループの場合、複数のコンシューマ・グループを使用するプランに対して入出力リソース・マネージャを使用すると、パフォーマンスの大幅な改善がみられます。
入出力リソース・マネージャの要件の一覧を次に示します。
リソース・マネージャ・プランにおけるデータベース構成タイプ(専用ストレージ構成か共有ストレージ構成か)を指定する必要があります。
注意:
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データベース構成が共有ストレージ構成の場合は、次の手順を実行する必要があります。
データベースで使用できる入出力バンド幅の最大値を、データベース当たりの上限値として指定します。異なるデータベースで同じストレージを使用する場合、この方法によって、1つのデータベースから入出力の制限を設定できます。
プランにおけるMBPSおよびIOPS入出力の制限を構成します。
入出力リソース・マネージャを有効化した後は、各インスタンスに同じプランを指定する必要があります。これは、ストレージが共有ストレージ構成の場合、リソース・マネージャ・プランにストレージ構成タイプとIOPSおよびMBPSの上限値が指定されているためです。
メインのクリティカルなストレージ・プールの一部として管理する必要のあるデータベース・ファイルを指定する必要があります。
管理する必要のあるデータベース・ファイルを指定する必要があります。これには、ファイルの自動ストレージ管理ディスク・グループ、ファイル・タイプおよび領域に基づいてルールを構成します。
外部のOSレベル入出力リソース・マネージャを使用してOracleと別のアプリケーションの間で入出力リソースをパーティション化した場合は、次の手順を実行する必要があります。
Oracleデータベースの入出力の上限値を指定します。
データベース内リソース管理に対して入出力リソース・マネージャを使用します。
すべてのデータベース・ファイルを、次のいずれかのカテゴリに分類する必要があります。
管理対象ファイル
非管理対象ファイル
管理から除外するファイルを指定できます。たとえば、一時ファイル、ログ・ファイル、またはリカバリ領域内のファイルなどを指定します。
注意: 除外された自動ストレージ管理ディスク・グループに属するファイルは、管理されません。通常は複数の自動ストレージ管理ディスク・グループは個別のストレージ・デバイスに存在するため、一般に管理対象となる自動ストレージ管理ディスク・グループは1つのみになります。複数の自動ストレージ管理ディスク・グループでストレージ・コントローラまたはストレージ・ディスクを共有している場合は、複数の自動ストレージ管理ディスク・グループを管理できます。 |
非管理対象ファイルに対するルールは、特定のプランのみでなくデータベース全体に適用されます。
プランごと、およびグループごとに、次の値を指定できます。
1つのセッションで発行できる入出力および入出力要求の最大数。この値を超えると、アクションの実行、セッションの停止、コールの停止、または別のグループへの切替えが行われます。
1つのセッションでバッチとして発行できる入出力要求の最大数。
専用ストレージ構成の場合、データベースの作成中または作成後に、PL/SQLコマンドを使用して入出力測定を実行する必要があります。初めて入出力リソース・マネージャをチューニングする際は、必ず事前に入出力測定ツールを実行してください。
注意: 測定では、ストレージ・システムを一杯にする量の入出力を発行する必要があります。これによって、クリティカルなセッションのパフォーマンスが影響を受けることがあります。このため、入出力の測定は、データベースがアクティブでないときに行う必要があります。測定には約10分かかります。この手順を実行できるのは、SYSDBA権限を持つ管理者のみです。 |
入出力測定ツールを実行できない場合は、ホスト・デバイスの数、オペレーティング・システム統計およびOracle統計に基づいて、使用可能な入出力リソースが見積られます。入出力制限の初期見積りを指定する必要があります。入出力リソース・マネージャは、1時間分の入出力統計が使用可能になるまで有効化されません。
ストレージの入出力機能は、次のPL/SQL文を使用して測定できます。
DBMS_RESOURCE_MANAGER.CALIBRATE_IO()
入出力測定では、非常に重い入出力作業負荷を発行することにより、ストレージの機能を取得します。
ストレージ機能は、秒当たりの持続可能な入出力要求数および入出力バイト数に基づいて算出されます。
入出力作業負荷は、ランダム読取りで構成されます。これには、単一データベース・ブロックの読取りおよび大規模の読取りが使用されます。そのサイズは、ホストのオペレーティング・システムでサポートされている最大入出力サイズによって決まります。
注意: 管理から除外するファイルを指定した場合、非管理対象ファイルは入出力測定に使用されません。 |
ステータスおよび結果の表示
入出力測定手順を実行すると即時に結果が返されますが、結果は即時に利用できません。入出力測定のステータスおよび結果については、V$IO_CALIBRATION
表を参照する必要があります。
表G-1に、V$IO_CALIBRATION
表のコンポーネントを示します。
表G-1 V$IO_CALIBRATION
表のコンポーネント
コンポーネント | 説明 |
---|---|
STATUS |
入出力測定のステータス(進行中または準備完了)を示します。ステータスが準備完了に変わると、結果が使用可能になります。 |
START_TIME |
入出力測定が開始された時刻を示します。 |
END_TIME |
入出力測定が完了した時刻を示します。 |
MAX_IOPS |
秒当たりの持続可能な読取り要求の最大数を示します。読取りのサイズは、パラメータDB_BLOCK_SIZEで指定されます。読取りは、できるかぎりランダムに分散されるように発行されます。 |
MAX_MBPS |
秒当たりの持続可能な読取りバイトの最大数を示します。読取りのサイズは、ホストのオペレーティング・システム・プラットフォームで許容される最大値(1MB)です。読取りは、できるかぎりランダムに分散されるように発行されます。 |