この章の項目は次のとおりです。
Oracleとアプリケーション・プログラムの間のデータの受渡しには、ホスト変数、データ型変換、イベント処理およびOracleへのアクセスが必要になります。この章では、これらの要件にどのように対応するかを説明します。変数の宣言、通信領域の宣言、およびOracleデータベースへの接続を行う埋込みSQLコマンドについて学習します。Oracleデータ型、グローバリゼーション・サポート、データ変換、データ型の同値化の利用方法についても学習します。最後の2項では、プログラムにOCIコールを埋め込む方法と、X/Openアプリケーションの開発方法について説明します。
SQL文で使用されるすべてのプログラム変数(つまり、すべてのホスト変数)は、宣言部で宣言する必要があります。SQL文で宣言されていないホスト変数を使用すると、プリコンパイラではエラー・メッセージが出ます。エラー・メッセージの完全なリストは、『Oracle Databaseエラー・メッセージ』を参照してください。
EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION;
そして、次の文で終了します。
EXEC SQL END DECLARE SECTION;
COBOLでは、文の終了文字はEND-EXECです。FORTRANでは改行です。
これら2つの文の間に使用できるのは、次の項目のみです。
ホスト変数とインジケータ変数の宣言
EXEC SQL DECLARE文
EXEC SQL INCLUDE文
EXEC SQL VAR文
EXEC ORACLE文
ホスト言語のコメント
プリコンパイルの単位ごとに複数の宣言部を使用できます。さらに、1つのホスト・プログラムには、別々にプリコンパイルされる単位を複数含めることができます。
次の例では、プログラムで後から使用する4つのホスト変数を宣言しています。
EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION; emp_number INTEGER; emp_name CHARACTER(10); salary REAL; commission REAL; EXEC SQL END DECLARE SECTION;
ホスト変数の宣言の詳細は、「ホスト変数の宣言および参照」を参照してください。
INCLUDE文を使用して、ホスト・プログラムにファイルをコピーできます。これはCOBOLのCOPYコマンドに似ています。次に例を示します。
-- copy in the SQLCA file EXEC SQL INCLUDE SQLCA;
プログラムをプリコンパイルすると、EXEC SQL INCLUDE文はそれぞれ、その文で指定されたファイルのコピーに置き換えられます。
任意のファイルをインクルードできます。ファイルにSQLが埋め込まれている場合、インクルードされるファイルのみがプリコンパイルの対象となるため、そのファイルも必ずインクルードしてください。ファイル拡張子を指定しないと、プリコンパイラでは言語に依存するソース・ファイル用のデフォルトの拡張子であると想定されます(このマニュアルに対する使用ホスト言語の補足資料を参照してください)。
インクルードするファイルのディレクトリ・パスは、プリコンパイラ・オプションを指定することで設定できます。
INCLUDE=<path>
pathのデフォルト値はカレント・ディレクトリです。(ここでは、ディレクトリはファイルの場所の索引です。)
プリコンパイラでは、最初にカレント・ディレクトリを検索し、次にINCLUDEで指定されたディレクトリを検索して、最後に標準のINCLUDEファイル用のディレクトリを検索します。したがって、SQLCAやORACAなどの標準ファイルのディレクトリ・パスを指定する必要はありません。標準以外のファイルについては、カレント・ディレクトリに格納されている場合を除いて、やはりINCLUDEを使用してディレクトリ・パスを指定する必要があります。
大文字と小文字が区別されるオペレーティング・システム(UNIXなど)を使用している場合は、ファイルを格納したときと同じファイル名を大文字と小文字を区別して指定してください。ディレクトリ・パスを指定する構文は、システムによって異なります。詳細は、使用しているシステム固有のOracleマニュアルを参照してください。
SQLCAは、診断チェックおよびイベント処理を行うためのデータ構造体です。実行時には、Oracleからプログラムに渡されるステータス情報がSQLCAで保持されます。SQL文の実行後、Oracleにより、図3-1に示すようにSQLCA変数が設定され、結果が示されます。
このように、INSERT文、UPDATE文またはDELETE文の実行の成否を確認でき、成功した場合には、何行処理されたかを確認できます。文の実行に失敗した場合は、何が原因かについての詳細な情報が得られます。
MODE={ANSI13|ORACLE}のとき、SQLCAをハードコーディングするか、INCLUDE文を使用してプログラムにコピーするかにより、SQLCAを宣言する必要があります。SQLCAの宣言方法および使用方法は、「SQL通信領域の使用方法」を参照してください。
Oracleでは、内部データ型と外部データ型という2種類のデータ型が認識されます。内部データ型は、Oracleでデータベース列にデータを格納する方法を指定します。Oracleでは、データベース擬似列を表す内部データ型も使用されます。外部データ型は、データをホスト変数に格納する方法を指定します。
プリコンパイル時に、宣言部の各ホスト変数は、外部データ型コードに関連付けられます。SQLで使用されるすべてのホスト変数のデータ型コードは、実行時にOracleに渡されます。Oracleではそのコードを使用して、内部データ型と外部データ型の間の変換を行います。
|
注意: 動的SQLの方法4またはデータ型の同値化を使用すれば、デフォルトのデータ型変換をオーバーライドできます。動的SQLの方法4の詳細は、「方法4の使用方法」を参照してください。データ型の同値化の詳細は、「データ型の同値化」を参照してください。 |
表3-1は、Oracleでデータベースの列および擬似列に使用される内部データ型の一覧です。
表3-1 列および擬似列のデータ型
| 名前 | コード | 説明 |
|---|---|---|
|
|
96 |
固定長文字列(255バイト以下) |
|
|
12 |
固定長の日付/時刻値(7バイト) |
|
|
8 |
可変長文字列(2147483647バイト以下) |
|
|
24 |
可変長バイナリ・データ(2147483647バイト以下) |
|
|
105 |
可変長バイナリ・ラベル(5バイト以下) |
|
|
2 |
固定数または浮動小数点数 |
|
|
23 |
可変長バイナリ・データ(255バイト以下) |
|
|
11 |
固定長バイナリ値 |
|
|
1 |
可変長文字列(2000バイト以下) |
これらの内部データ型は、ホスト言語のデータ型とは大きく異なる場合があります。たとえば、NUMBERデータ型は、移植性、精度(四捨五入のエラーなし)および正しい照合のために設計されました。これに相当するデータ型を持つホスト言語はありません。
次に内部データ型について簡単に説明します。詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。
CHARデータ型は、固定長の文字データの格納に使用します。データが内部でどのように表されるかは、データベースのキャラクタ・セットによって決まります。CHARデータ型には、255バイトまでの最大幅を指定できるオプションのパラメータがあります。構文は次のとおりです。
CHAR[(maximum_width)]
最大幅は定数または変数では指定できません。整数リテラルを使用する必要があります。最大幅を指定しない場合、デフォルト値の1に設定されます。CHAR(n)列の最大幅は、文字単位ではなくバイト単位で指定してください。そのため、CHAR(n)列にマルチバイト(2バイト)文字が格納される場合、その最大幅はn/2文字未満になります。
DATEデータ型は、日付と時刻を7バイトの固定長フィールドに格納するために使用します。日付の部分はデフォルトで現在の月の1日に、時刻の部分は午前0時に設定されます。
内部的に、DATEはバイナリ形式で保存されます。DATE列値をプログラムの文字列に変換するとき、Oracleではセッション用にデフォルトの書式マスクが使用されます。ユリウス日の日付など、別の日付/時刻情報が必要な場合は、TO_CHARファンクションに書式マスクを指定して使用してください。DATE列値と文字列との間の変換には、常にVARCHAR2またはSTRINGなどの(外部の)文字データ型を使用してください。
LONGデータ型は、可変長文字列の格納に使用します。LONG列には、テキスト、文字の配列、さらには短い文書まで格納できます。LONGデータ型は、VARCHAR2データ型と似ていますが、LONG列の最大幅が2147483647バイト(2GB)である点が異なります。
LONG列は、UPDATE文、INSERT文および(大部分の)SELECT文で使用できますが、式、ファンクション・コール、またはWHERE、GROUP BYおよびCONNECT BYなどのSQL句では使用できません。各データベース表で使用できるLONG列は1つのみで、その列には索引は付けられません。
LONG RAWデータ型は、可変長バイナリ・データまたはバイト文字列の格納に使用します。LONG RAW列の最大幅は2147483647バイト(2GB)です。
LONG RAWデータはLONGデータに似ていますが、OracleではLONG RAWデータの意味は解釈されず、あるシステムから別のシステムにLONG RAWデータを送信しても、キャラクタ・セットの変換は行われない点が異なります。LONGデータに適用される制限事項は、LONG RAWデータにも適用されます。
MLSLABELデータ型は、可変長バイナリ・オペレーティング・システム・ラベルの格納に使用します。Oracleでは、データへのアクセスを制御するためにラベルが使用されます。詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
MLSLABELデータ型を使用すれば、データベース列を定義できます。MLSLABELデータ型の列には、任意の有効なオペレーティング・システム・ラベルを挿入できます。ラベルがテキスト形式の場合、Oracleではそのラベルをバイナリ値に自動的に変換します。テキスト文字列の長さは、最大255バイトです。ただし、MLSLABEL値の内部での長さは、2バイトから5バイトの間です。
MLSLABEL列から値を選択し、文字変数に代入することもできます。Oracleでは、内部バイナリ値はVARCHAR2値から自動的に変換されます。
NUMBERデータ型は、固定数または浮動小数点数の格納に使用し、事実上サイズに制限はありません。精度(合計桁数)と位取り(四捨五入が発生する位を決定)を指定できます。
NUMBER値の最大精度は38です。強度範囲は1.0E-129から9.99E125までです。位取りの範囲は-84から127です。たとえば、-3の位取りは、1000の位で数値が四捨五入されます(3456は3000になります)。2の位取りは、1/100の位で値が四捨五入されます(3.456は3.46になります)。
精度と位取りを指定すると、Oracleではデータを格納する前に、追加の整合性チェックが行われます。値がこの精度を超えると、エラー・メッセージが出ます。値が位取りを超えると、四捨五入されます。
RAWデータ型は、バイナリ・データまたはバイト文字列の格納に使用します(グラフィックス文字のシーケンスなど)。RAWデータは、Oracleでは解釈されません。
RAWデータ型には、255バイトまでの最大幅を指定できる必須パラメータを指定します。構文は次のとおりです。
RAW(maximum_width)
最大幅の指定には、定数または変数は使用できません。整数リテラルを使用する必要があります。
RAWデータはCHARデータと似ていますが、OracleではRAWデータの意味は解釈されず、あるシステムから別のシステムにRAWデータを送信しても、キャラクタ・セットの変換(たとえば、7ビットASCIIからEBCDIC Code Page 500への変換)は行われない点が異なります。
内部的には、Oracleデータベース内のすべての表にはROWIDという擬似列が1つあり、ここには行IDというバイナリ値が格納されます。ROWIDは行を一意に識別し、特定の行にアクセスする最速の方法です。
VARCHAR2データ型は、可変長文字列の格納に使用します。文字列が内部でどのように表されるかは、データベース・キャラクタ・セット(たとえば、7ビットASCIIまたはEBCDIC Code Page 500など)によって異なります。
VARCHAR2データベース列の最大幅は2000バイトです。VARCHAR2列を定義するには、次の構文を使用します。
VARCHAR2(maximum_width)
maximum_widthは、1~2000の範囲の整数リテラルです。
VARCHAR2(n)列の最大幅は、文字単位ではなくバイト単位で指定します。そのため、VARCHAR2(n)列にマルチバイト(2バイト)文字が格納される場合、その最大幅はn/2文字未満になります。
SQLでは、表3-2の擬似列を認識し、擬似列からは特定のデータ項目が戻されます。
表3-2 擬似列のデータ型
| 擬似列 | 内部データ型 |
|---|---|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
擬似列は、表内の実際の列ではありません。ただし、擬似列は列のように扱われるため、その値は表からSELECT文で選択する必要があります。ダミーの表から擬似列の値を選択すると便利な場合があります。
さらに、SQLでは、表3-3のパラメータがなく、特定のデータ項目を戻すファンクションを認識します。
SQLの擬似列およびファンクションは、SELECT文、INSERT文、UPDATE文およびDELETE文で参照できます。次の例では、SYSDATEを使用して、従業員が雇用されてからの月数を計算しています。
EXEC SQL SELECT MONTHS_BETWEEN(SYSDATE, HIREDATE) INTO :months_of_service FROM EMP WHERE EMPNO = :emp_number;
次にSQL擬似列とファンクションについて簡単に説明します。詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。
CURRVALは、指定された順序における現在の番号を戻します。CURRVALを参照する前に、NEXTVALを使用して順序番号を生成する必要があります。
LEVELは、ツリー構造におけるノードのレベル番号を戻します。ルートはレベル1、ルートの子はレベル2、孫はレベル3になります。
LEVELをSELECT CONNECT BY文で使用して、表の一部または全部の行をツリー構造に組み込むことができます。ORDER BY句またはGROUP BY句でLEVELを使用すると、ツリーの各レベルでデータが分離されます。
問合せでツリーが検索される方向(ルートから下へ、またはブランチから上へ)は、PRIOR演算子で指定します。ツリーのルートを識別する条件は、START WITH句で指定します。
NEXTVALは、指定された順序における次の番号を戻します。順序を作成した後、それを使用してトランザクションの処理用に一意の順序番号を生成できます。次の例では、partnoという順序で部品番号を割り当てます。
EXEC SQL INSERT INTO PARTS VALUES (partno.NEXTVAL, :description, :quantity, :price);
トランザクションで順序番号が生成された場合、そのトランザクションをコミットまたはロールバックすると順序番号が増やされます。NEXTVALを参照すると、現在の順序番号がCURRVALに格納されます。
ROWNUMは、表から行が選択された順序を示す番号を戻します。最初に選択された行のROWNUMは1に、2番目の行のROWNUMは2になります。SELECT文にORDER BY句が含まれている場合は、選択された行にROWNUMが割り当てられた後にソートが実行されます。
ROWNUMを使用して、SELECT文で戻される行数を制限できます。また、UPDATE文でROWNUMを使用して、表の各行に一意の値を割り当てることもできます。WHERE句でROWNUMを使用した場合は、取得する行数が制限されるのみで、SELECT文の処理は停止されません。WHERE句でのROWNUMの適切な使用方法は、次の方法のみです。
... WHERE ROWNUM < constant;
これは、ROWNUMの値は行が取得されたときにのみ増加するためです。次の検索条件は、最初の4行が取得されないため、満たされません。
... WHERE ROWNUM = 5;
SQLでは、Oracleでデータベースごとに作成される特殊な列ROWLABELも認識されます。他の列と同様に、ROWLABELは、SQL文で参照できます。ROWLABELは、行のオペレーティング・システムのラベルを戻します。
ROWLABELの一般的な使用方法、問合せ結果のフィルタ処理です。たとえば、次の文ではセキュリティ・レベルがunclassifiedより高い行のみが数えられます。
EXEC SQL SELECT COUNT(*) INTO :head_count FROM EMP WHERE ROWLABEL > 'UNCLASSIFIED';
ROWLABEL列の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
表3-4のように、外部データ型にはすべての内部データ型と、サポートされている他のホスト言語で使用するいくつかのデータ型が含まれています。たとえば、STRING外部データ型は、C言語ではNULLで終了する文字列を指し、DECIMALデータ型は、COBOLパック10進数を指します。データ型の名前はデータ型の同値化で使用し、データ型のコードは動的SQLの方法4で使用します。
表3-4 外部データ型
| 名前 | コード | 説明 |
|---|---|---|
|
|
1 96 |
可変長文字列(65535バイト以下)、固定長文字列(65535バイト以下)(注意1を参照) |
|
|
96 |
固定長文字列(65535バイト以下) |
|
|
97 |
NULLで終了する固定長文字列(65535バイト以下)(注意2を参照) |
|
|
12 |
固定長の日付/時刻値(7バイト) |
|
|
7 |
COBOLパック10進数 |
|
|
91 |
COBOL数値文字列 |
|
|
4 |
4バイトまたは8バイトの浮動小数点数 |
|
|
3 |
符号付き整数(2バイトまたは4バイト) |
|
|
8 |
固定長文字列(2147483647バイト以下) |
|
|
24 |
固定長バイナリ・データ(217483647バイト以下)(注意3を参照) |
|
|
94 |
可変長文字列(217483643バイト以下)(注意3を参照) |
|
|
95 |
可変長バイナリ・データ(217483643バイト以下) |
|
|
106 |
可変長バイナリ・データ(2バイトから5バイト) |
|
|
2 |
整数または浮動小数点数 |
|
|
23 |
固定長バイナリ・データ(65535バイト以下)(注意2を参照) |
|
|
11 |
固定長バイナリ値(通常13バイト) |
|
|
5 |
NULLで終了する可変長文字列(65535バイト以下)(注意2を参照) |
|
|
68 |
符号なし整数(2バイトまたは4バイト) |
|
|
9 |
可変長文字列(65533バイト以下)(注意3を参照) |
|
|
1 |
可変長文字列(65535バイト以下)(注意2を参照) |
|
|
6 |
可変長バイナリ数 |
|
|
15 |
可変長バイナリ・データ(65533バイト以下)(注意3を参照) |
|
注意:
|
MODE=ANSIの場合、OracleではCHARデータ型はすべての文字ホスト変数に割り当てられます。CHARデータ型は、固定長文字列の格納に使用します。ほとんどのプラットフォームでは、CHAR値の最大長は65535バイト(64KB)です。DBMSオプションとMODEオプションの関係の詳細は、表6-4を参照してください。
入力時。Oracleでは、入力ホスト変数に指定されたバイト数を読み取り、後続の空白を切り捨てずに、ターゲット・データベース列に入力値を格納します。
入力値がデータベース列の定義より長い場合は、エラーが発生します。入力値がすべて空白の場合は、空白が文字値と同様に扱われます。
出力時。Oracleからは出力ホスト変数に指定したバイト数が戻され、必要に応じて空白が埋め込まれて、出力値がターゲット・ホスト変数に割り当てられます。NULLが戻される場合、ホスト変数は空白で埋められます。
出力値がホスト変数の宣言長より長い場合、Oracleではホスト変数に割り当てる前に値を切り捨てます。インジケータ変数が使用可能は場合、インジケータ変数は出力値の元の長さに設定されます。
CHARZデータ型は、NULLで終了する固定長文字列の格納に使用します。ほとんどのプラットフォームでは、CHARZ値の最大長は65,535バイトです。Pro*COBOLまたはPro*FORTRANでは、この外部データ型は必要ありません。
入力時、 CHARZデータ型とSTRINGデータ型の機能は同じです。入力値はNULL文字で終了する必要があります。NULL終了文字は、文字列の区切り記号としての役割のみを果たし、データの一部にはなりません。
出力時、CHARZデータ型とCHARデータ型の機能は同じです。出力値にはNULL終了文字が付けられ、必要に応じて空白文字も埋め込まれます。
DATEデータ型は、日付および時刻を7バイトの固定長フィールドに格納するために使用します。表3-5に示すように、世紀、年、月、日、時(24時間形式)、分および秒は、左から右にこの順序で格納されます。
世紀バイトと年バイトは100を加えた表記です。時間、分および秒は1を加えた表記です。紀元前(B.C.E.)の日付は、100より小さくなります。原点は紀元前4712年1月1日です。この日付では、世紀バイトは53、年バイトは88です。時間バイトの範囲は1~24、分および秒バイトの範囲は1~60です。 時刻のデフォルトは午前0時(1, 1, 1)です。
Pro*COBOLでは、DECIMALデータ型を使用して計算用のパック10進数の格納に使用します。COBOLでは、ホスト変数は暗黙的な小数点を持つ符号付きCOMP-3フィールドであることが必要です。データ変換中に有効な桁が失われると、ホスト変数はアスタリスクで埋められます。
Pro*COBOLでは、DISPLAYデータ型を使用して数値文字データを格納します。DISPLAYデータ型は、COBOLのDISPLAY SIGN LEADING SEPARATEの数値を参照し、通常、PIC S9(n)にはn + 1バイトの記憶域が、PIC S9(n)V9(d)にはn + d + 1バイトの記憶域が必要です。
FLOATデータ型は、小数部分を持つ数値、またはINTEGERデータ型の容量を超える数値の格納に使用します。数値は、使用しているコンピュータの浮動小数点形式を使用して表示されます。通常、記憶域には4バイトまたは8バイトが必要です。入力ホスト変数と出力ホスト変数の長さを指定する必要があります。
Oracleでは、数値の内部形式が10進数であるため、浮動小数点方式よりも高い精度で数値を表現できます。
|
注意: SQL文でFLOAT値を比較する場合、FLOATデータ型では数値がバイナリ(10進数ではない)で格納されるので、SQLファンクションのROUNDが使用されます。そのため、小数部分は正確に変換されません。 |
INTEGERデータ型は、小数部分のない数値の格納に使用します。整数は、2バイトまたは4バイトの符号付き2進数です。1語内のバイトの順序はシステムによって異なります。入力変数と出力変数の長さを指定する必要があります。出力時に、列値が浮動小数点数であれば、小数部分は切り捨てられます。
LONG RAWデータ型は、固定長バイナリ・データまたはバイト文字列の格納に使用します。LONG RAW値の最大長は2147483647バイト(2GB)です。
LONG RAWデータは、LONGデータと似ていますが、OracleではLONG RAWデータの意味は解釈されず、LONG RAWデータをあるシステムから別のシステムへ送信しても、キャラクタ・セットは変換されません。
LONG VARCHARデータ型は、可変長文字列の格納に使用します。LONG VARCHAR変数では、4バイト長のフィールドの後に文字列フィールドが続きます。文字列フィールドの最大長は2147483643バイトです。EXEC SQL VAR文では、4バイト長のフィールドを含めないでください。
LONG VARRAWデータ型は、バイナリ・データまたはバイト文字列の格納に使用します。LONG VARRAW変数では、4バイト長のフィールドにデータ・フィールドが続きます。データ・フィールドの最大長は2147483643バイトです。EXEC SQL VAR文では、4バイト長のフィールドを含めないでください。
MLSLABELデータ型は、可変長のバイナリ・オペレーティング・システム・ラベルの格納に使用します。Oracleでは、データのアクセス制御にラベルを使用します。MLSLABELデータ型を使用して列を定義できます。データ型がMLSLABELの列には、任意の有効なオペレーティング・システム・ラベルを挿入できます。
入力時。Oracleでは、入力値は有効なオペレーティング・システム・ラベルであるバイナリ・ラベルに変換します。無効のラベルの場合は、エラー・メッセージが出ます。ラベルが有効ならば、ターゲット・データベース列に格納されます。
出力時。 Oracleでは、バイナリ・ラベルを文字列に変換し、文字列はCHAR、CHARZ、STRING、VARCHARまたはVARCHAR2のいずれかのデータ型です。
NUMBERデータ型は、固定長または浮動小数点のOracle数値の格納に使用します。精度および位取りを指定できます。NUMBER値の最大精度は38です。強度範囲は1.0E-129~9.99E125です。位取りの範囲は-84~127です。
NUMBER値は、可変長形式(1バイトの指数部に最大20バイトの仮数部が続く)で格納されます。指数バイトの上位1ビットは符号ビットであり、正数の場合に設定します。下位7ビットは指数を表し、100の位を底とし、オフセットは65です。
各仮数バイトは、1~100の範囲の100を底とする数です。正数の場合、その数に1が加算されます。負数の場合は、その数は101から差し引かれます。仮数バイトが20に満たない場合、102を含むバイトがデータ・バイトに追加されます。各仮数バイトで、2つの10進数字を表せます。仮数は標準化され、先頭のゼロは格納されません。仮数には最大20データ・バイトを使用できますが、19バイトのみ精度が保証されます。19バイトは、それぞれ100を底とする数を表し、最大精度38桁が可能です。
出力時、ホスト変数にはOracleで内部的に表されたとおりの数値が含まれます。考えられる最大の数値を含めるには、出力ホスト変数は21バイトの長さが必要です。数値を表すために使用されるバイトのみが戻されます。Oracleでは出力値の空白を埋め込んだり、NULLで終了させたりしません。戻り値の長さを知る必要がある場合は、かわりにVARNUMデータ型を使用してください。通常、このデータ型を使用する理由はほとんどありません。
RAWデータ型は、固定長のバイナリ・データまたはバイト文字列の格納に使用します。ほとんどのプラットフォームでは、RAW値の最大長は65535バイトです。RAWデータはCHARデータと似ていますが、OracleではRAWデータの意味は解釈されず、RAWデータをあるシステムから別のシステムに送信しても、キャラクタ・セットは変換されません。
ROWIDデータ型は、バイナリ行IDを固定長(通常は13バイト)に格納するために使用します。フィールド・サイズは、ポート固有です。そのため、使用しているシステム固有のOracleマニュアルをチェックしてください。VARCHAR2ホスト変数を使用すると、読取り可能な形式で行IDを格納できます。行IDを選択またはフェッチしてVARCHAR2ホスト変数に入れると、Oracleではそのバイナリ値を18バイトの文字列に変換し、次の書式で戻します。
BBBBBBBB.RRRR.FFFF
BBBBBBBBはデータベース・ファイルのブロック、RRRRはブロック内の行(最初の行は0)、FFFFはデータベース・ファイルを示しています。これらの値は16進数です。たとえば、次の行IDがあるとします。
0000000E.000A.0007
これは、7番目のデータベース・ファイルの15番目のブロックにある11番目の行を指します。
通常、行IDをVARCHAR2ホスト変数にフェッチし、ホスト変数をUPDATE文またはDELETE文のWHERE句のROWID擬似列と比較します。これにより、カーソルによりフェッチされた最終行を識別できます。
STRINGデータ型はVARCHAR2データ型と似ていますが、STRING値は常にNULL文字で終了する点が異なります。
入力時: Oracleでは指定された長さを使用して、NULL終了文字のスキャンを制限します。NULL終了文字が見つからなければ、エラーが発生します。長さを指定しなければ、最大長はほとんどのプラットフォームで65535と想定されます。
STRING値の最小長は2バイトです。最初の文字がNULL終了文字で、指定した長さが2の場合、列がNOT NULLと定義されていなければ、OracleではNULLを挿入します。空白のみの値またはNULLで終了する値はそのまま格納されます。
出力時: Oracleでは、戻される最後の文字に1バイトのNULL文字を追加します。文字列の長さが指定された長さを超える場合は、出力値を切り捨て、1バイトのNULL文字を追加します。
UNSIGNEDデータ型は、符号なし整数の格納に使用します。符号なし整数は、2バイトまたは4バイトの2進数です。1語内のバイトの順序は、システムによって異なります。入力ホスト変数と出力ホスト変数の長さを指定する必要があります。出力時には、列値が浮動小数点数であれば、小数部が切り捨てられます。Pro*COBOLまたはPro*FORTRANではこの外部データ型は必要ありません。
VARCHARデータ型は、可変長文字列の格納に使用します。VARCHAR変数では、2バイト長のフィールドの後に65533バイト以下の文字列フィールドが続きます。ただし、VARCHAR配列要素では、文字列フィールドの最大長は65530バイトです。VARCHAR変数の長さを指定するときには、長さフィールド用の2バイトが含まれていることを確認してください。これより長い文字列には、LONG VARCHARデータ型を使用してください。EXEC SQL VAR文では、2バイト長のフィールドを含めないでください。
MODE=ORACLEの場合、OracleではVARCHAR2データ型をすべての文字ホスト変数に割り当てます。VARCHAR2データ型は、可変長文字列の格納に使用します。ほとんどのプラットフォームでは、VARCHAR2値の最大長は65535バイトです。
VARCHAR2(n)値の最大長は、文字単位ではなくバイト単位で指定します。したがって、VARCHAR2(n)変数にマルチバイト・キャラクタを格納する場合、最大長はn文字未満になります。
入力時: Oracleでは、入力ホスト変数に指定されたバイト数を読み取り、後続の空白を切り捨て、入力値をターゲット・データベース列に格納します。ここでは注意が必要です。初期化されていないホスト変数には、NULL値が含まれている場合があります。したがって、常に文字入力ホスト変数の宣言長まで空白文字で埋めてください。(COBOL PIC X(n)変数およびFORTRAN CHARACTER*n変数ではこれが自動的に行われます。)
入力値がデータベース列の定義より長い場合は、エラーが発生します。入力値がすべて空白の場合は、空白がNULLと同様に扱われます。
文字値が有効な数を表す場合、NUMBER列値に変換できます。そうでない場合はエラーになります。
出力時: Oracleからは出力ホスト変数に指定したバイト数が戻され、必要に応じて空白が埋め込まれて、出力値がターゲット・ホスト変数に割り当てられます。NULLが戻される場合、ホスト変数は空白で埋められます。
出力値がホスト変数の宣言長より長い場合、Oracleではホスト変数に割り当てる前に値を切り捨てます。インジケータ変数が使用可能は場合、インジケータ変数は出力値の元の長さに設定されます。
NUMBER列値は文字値に変換できます。文字ホスト変数の長さにより精度が決まります。ホスト変数の長さが数に対して短すぎる場合は、科学表記法が使用されます。たとえば、列値abcdefg89を長さ6のホスト変数に選択すると、ホスト変数に値1.2E08が戻されます。
プリコンパイル時に、宣言部の各ホスト変数に外部データ型が割り当てられます。たとえば、プリコンパイラは整数ホスト変数にINTEGER外部データ型を割り当てます。SQL文で使用するすべてのホスト変数のデータ型コードは、実行時にOracleに渡されます。Oracleでは、コードを使用して内部データ型と外部データ型間の変換を行います。
Oracleでは、選択した列(または擬似列)値を出力ホスト変数に割り当てる前に、必要に応じて、その列の内部データ型をホスト変数のデータ型に変換します。同様に、入力ホスト変数の値をデータベース列に割り当てたり、比較したりする前には、必要に応じて、ホスト変数の外部データ型を列の内部データ型に変換します。
ただし、ホスト変数のデータ型は、データベース列のデータ型との互換性が必要です。必ず変換可能な値を指定してください。たとえば、文字列値YESTERDAYをDATE列値に変換しようとすると、エラーが発生します。
内部データ型と外部データ型との変換は、通常のデータ変換規則に従って行われます。たとえば、CHAR値の1234を2バイトの整数に変換できます。しかし、CHAR値の65543(大きすぎる数)や10F(10進数ではない数)を2バイトの整数に変換することはできません。同様に、アルファベット文字を含む文字列値はNUMBER値に変換できません。
数値の変換は、Oracle初期化ファイルのグローバリゼーション・サポート・パラメータで指定された規則に従って行われます。たとえば、システムがピリオド(.)ではなくカンマ(,)を小数点として認識するように構成されている場合があります。グローバリゼーション・サポートの詳細は、『Oracle Databaseアドバンスト・アプリケーション開発者ガイド』を参照してください。
表3-6は、サポートされている内部データ型と外部データ型間の変換を示しています。
|
注意: 凡例:
|
表3-6 内部データ型と外部データ型間の変換
| 外部 | 内部 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
I/O |
I/O |
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
|
|
I/O |
I/O |
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
|
|
I/O |
I/O |
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
|
|
I/O |
I/O |
I |
I/O |
|||||
|
|
I/O |
I |
I/O |
I/O |
|||||
|
|
I/O |
I |
I/O |
I/O |
|||||
|
|
I/O |
I |
I/O |
I/O |
|||||
|
|
I/O |
I |
I/O |
I/O |
|||||
|
|
I/O |
I/O |
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
|
|
O |
I |
I/O |
I/O |
O |
||||
|
|
I/O |
I/O |
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
|
|
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
||||
|
|
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
|||||
|
|
I/O |
I |
I/O |
I/O |
|||||
|
|
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
||||
|
|
I |
I |
I/O |
I |
|||||
|
|
I/O |
I/O |
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
|
|
I/O |
I |
I/O |
I/O |
|||||
|
|
I/O |
I/O |
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
|
|
I/O |
I/O |
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
I/O |
|
|
I/O |
I |
I/O |
I/O |
|||||
|
|
I/O |
I |
I/O |
I/O |
I/O |
ホスト変数値にDATE列値を選択すると、Oracleでは内部バイナリ値を外部文字値に変換する必要があります。そのため、暗黙的にSQLファンクションTO_CHARがコールされ、これによって文字列がデフォルトの日付書式で戻されます。デフォルトはOracleの初期化パラメータ、グローバリゼーション・サポートのDATE_FORMATによって設定されます。時刻やユリウス日などの他の情報を取得するには、書式マスクを指定してTO_CHARを明示的にコールする必要があります。
文字ホスト変数をDATE列に挿入するときにも変換が必要です。Oracleでは暗黙的にSQLファンクションTO_DATEがコールされ、デフォルトの日付書式が予想されます。他の書式で日付を挿入するには、書式マスクを指定してTO_DATEを明示的にコールする必要があります。
文字ホスト変数にRAW列値またはLONG RAW列値を選択すると、Oracleでは内部バイナリ値を外部文字値に変換する必要があります。この場合、OracleからはRAWまたはLONG RAWデータのそれぞれのバイナリ・バイトが文字のペアとして戻されます。それぞれの文字はニブル(1バイトの半分)の16進数等価値を表します。たとえば、バイナリ・バイト11111111は、文字のペアFFとして戻されます。SQLファンクションRAWTOHEXは、同じ変換を実行します。
文字ホスト値をRAW列またはLONG RAW列に挿入するときにも変換が必要です。ホスト変数のそれぞれの文字のペアは、1バイナリ・バイトの16進数等価値を表すことが必要です。文字がニブルの16進数等価値でなければ、次のエラー・メッセージが出ます。
ORA-01465: invalid hex number
SQL文で使用するプログラム変数はすべて、ホスト変数として宣言する必要があります。ホスト変数は、ホスト言語の規則に従って宣言部で宣言します。通常の有効範囲規則を適用します。ホスト変数名は、長さに制限はありませんが、有効な文字は最初の31文字のみです。ANSI/ISO準拠のため、ホスト変数名は長さを18文字以下にし、先頭が文字で、連続したアンダースコアや後続のアンダースコアを含まないことが必要です。
ホスト変数の外部データ型と、そのソースまたはターゲット・データベース列の内部データ型が同じである必要はありませんが、互換性は必要です。表3-6では、必要に応じてOracleで自動的に変換される互換性のあるデータ型を示しています。
Oracle プリコンパイラでは、ほとんどの組込みホスト言語データ型をサポートしています。サポートされるデータ型のリストは、使用ホスト言語の補足資料を参照してください。ユーザー定義のデータ型はサポートされていません。データ型の同値化については、次の項で説明します。
ユーザー定義の構造体の参照はできませんが、Pro*COBOLプリコンパイラを使用すれば、構造体の個々の要素をホスト変数であるかのように参照できます。ホスト変数が使用可能な場所ならば、そのような参照を使用できます。
次の例では、3つのホスト変数を宣言してから、SELECT文を使用して、ホスト変数emp_numberの値に一致する従業員番号をデータベースで検索します。一致する行が見つかると、Oracleでは出力ホスト変数dept_numberとemp_nameをその行のDEPTNO列とENAME列の値に設定します。
-- declare host variables EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION; emp_number INTEGER; emp_name CHARACTER(10); dept_number INTEGER; EXEC SQL END DECLARE SECTION; ... display 'Employee number? '; read emp_number; EXEC SQL SELECT DEPTNO, ENAME INTO :dept_number, :emp_name FROM EMP WHERE EMPNO = :emp_number;
ホスト変数の使用方法の詳細は、「ホスト変数の使用方法」を参照してください。
VARCHAR擬似型を使用すると、可変長文字列を宣言できます。(擬似型は、使用するホスト言語に固有のデータ型ではありません。)VARCHAR変数には2バイト長のフィールドの後に文字列フィールドが1つ続くことを思い出してください。たとえば、Pro*COBOLプリコンパイラでは、次のVARCHAR宣言がどのように処理されるか見てみましょう。
EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION END-EXEC. 01 ENAME PIC X(20) VARYING. EXEC SQL END DECLARE SECTION END-EXEC.
宣言は、配列と長さのメンバーを指定した次のCOBOLグループ項目に拡張されます。
01 ENAME. 05 ENAME-LEN PIC S9(4) COMP. 05 ENAME-ARR PIC X(20).
VARCHARの長さは、長さフィールドを参照すればわかります。文字列ファンクションまたは文字カウント・アルゴリズムを使用する必要はありません。
VARCHARの詳細は、このマニュアルに対する使用ホスト言語の補足資料を参照してください。
ホスト変数の宣言および参照については、次のガイドラインに従ってください。ホスト変数には次の必要条件があります。
宣言部で明示的に宣言します。
SQL文およびPL/SQLブロックではコロン(:)の接頭辞を付けます。
ホスト言語でサポートされているデータ型です。
ソースまたはターゲットのデータベース列と互換性のあるデータ型です。
ホスト変数では、次のことはしないくでださい。
サブスクライブの対象
ホスト言語文で先頭にコロン
列、表またはその他Oracleオブジェクトの識別に使用
ALTERやCREATEなどのデータ定義文に使用
Oracleの予約語(付録Bを参照)
ホスト変数では次のことができます。
SQL文で式が使用可能な場所での使用
インジケータ変数と関連付けることができます。
ホスト変数はすべて、オプションのインジケータ変数に関連付けることができます。インジケータ変数は、2バイトの整数として宣言部で定義し、SQL文では先頭にコロンを付け、INDICATORキーワードを使用しない場合には、ホスト変数の直後に指定する必要があります。
インジケータ変数の前にオプションのキーワードINDICATORを付けると読みやすくなります。その場合でも、インジケータ変数の前にはコロンを付ける必要があります。正しい構文は次のとおりです。
:<host_variable> INDICATOR :<indicator_variable>
これは次の構文と同じ意味です。
:<host_variable>:<indicator_variable>
ホスト・プログラムでは、どちらの表現形式を使用してもかまいません。
通常、インジケータ変数は、入力ホスト変数へのNULLの割当てと、出力ホスト変数に含まれるNULLまたは切り捨てられた値の検出に使用されます。次の例では、3つのホスト変数と1つのインジケータ変数を宣言してから、SELECT文を使用して、ホスト変数emp_numberの値と一致する従業員番号をデータベースで検索します。一致する行が見つかると、出力ホスト変数salaryとcommissionが、その行のSAL列とCOMM列の値に設定され、リターン・コードがインジケータ変数ind_commに格納されます。次の文では、ind_commを使用して、一連の処理を選択しています。
EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION; emp_number INTEGER; salary REAL; commission REAL; ind_comm SMALLINT; -- indicator variable EXEC SQL END DECLARE SECTION; pay REAL; -- not used in a SQL statement display 'Employee number? '; read emp_number; EXEC SQL SELECT SAL, COMM INTO :salary, :commission:ind_comm FROM EMP WHERE EMPNO = :emp_number; IF ind_comm = -1 THEN -- commission is null set pay = salary; ELSE set pay = salary + commission; ENDIF;
詳細は、「インジケータ変数の使用方法」を参照してください。
データ型の同値化により、Oracleで入力データを解釈する方法と出力データの書式を設定する方法をカスタマイズできます。サポートされているホスト言語のデータ型は、変数ごとにOracleの外部データ型に同値化できます。
データ型の同値化は、いくつかの点で役に立ちます。たとえば、COBOLプログラムでNULLで終了するホスト文字列を使用するとします。PIC Xホスト変数を宣言した後で、これを常にNULLで終了する外部データ型STRINGに同値化できます。
Oracleにデータを格納するが、解釈はしないという場合に、データ型の同値化を使用できます。たとえば、LONG RAWデータベース列に整数のホスト配列を格納する場合、ホスト配列を外部データ型LONG RAWに同値化できます。
また、デフォルトのデータ型変換をオーバーライドする場合にもデータ型の同値化を使用できます。Oracle初期化ファイルのグローバリゼーション・サポート・パラメータで特に指定されていない場合、DATE列値を選択して文字ホスト変数に入れると、Oracleからは次のような書式の9バイトの文字列が戻されます。
DD-MON-YY
ただし、文字ホスト変数をDATE外部データ型に同値化すると、内部書式の7バイトの値が戻されます。
デフォルトでは、Oracleプリコンパイラは、すべてのホスト変数に特定の外部データ型を割り当てます。(これらのデフォルトの割当ては、このマニュアルに対する補足資料で表にまとめられています。)デフォルトの割当ては、宣言部でホスト変数をOracleの外部データ型に同値化することによりオーバーライドできます。これをホスト変数の同値化と呼びます。
EXEC SQL VAR <host_variable>
IS <ext_type_name> [({<length> | <precision>,<scale>})];
host_variableは、宣言部で先に宣言した入力または出力ホスト変数(またはホスト配列)です。VARCHARおよびVARRAW外部データ型では、2バイト長のフィールドの後にnバイトのデータ・フィールドが続きます。nの範囲は1~65533です。したがって、type_nameがVARCHARまたはVARRAWの場合、host_variableの長さは最低3バイト必要です。
LONG VARCHARおよびLONG VARRAW外部データ型では、4バイト長のフィールドの後にnバイトのデータ・フィールドが続きます。nの範囲は1~2147483643です。したがって、type_nameがLONG VARCHARまたはLONG VARRAWの場合、host_variableの長さは最低5バイト必要です。
ext_type_nameは、RAWやSTRINGなどの有効な外部データ型の名前です。
lengthは、有効な長さをバイトで指定する整数リテラルです。lengthの値は、外部データ型を指定するのに十分な長さにする必要があります。
type_nameがDECIMALまたはDISPLAYの場合は、lengthではなく、precisionおよびscaleを指定する必要があります。type_nameがVARNUM、ROWIDまたはDATEの場合、lengthは事前に定義されているために指定できません。他の外部データ型の場合、lengthはオプションです。デフォルトでhost_variableの長さに設定されます。
lengthを指定するとき、type_nameがVARCHAR、VARRAW、LONG VARCHARまたはLONG VARRAWの場合、データ・フィールドの最大長を使用してください。プリコンパイラでは、lengthフィールドの説明をします。type_nameがLONG VARCHARまたはLONG VARRAWで、データ・フィールドが65533バイトを超える場合は、lengthフィールドに-1を指定してください。
precisionおよびscaleは、それぞれ有効数字の数値と四捨五入が発生する位置を表します。たとえば、scaleが2の場合、値は小数第2位に値が四捨五入されることを意味します(3.456は3.46になります)、scaleが-3のときは、1000の位に値が四捨五入されます(3456は3000になります)。
precisionには1~99まで、scaleには-84~99までの値を指定できます。ただし、データベース列の最大精度および位取りは、それぞれ38および127です。したがって、precisionが38を超えると、host_variableの値をデータベース列に挿入できません。ただし、列値のscaleが99を超えると、host_variableに入れる値の選択もフェッチもできません。
precisionおよびscaleは、type_nameがDECIMALまたはDISPLAYの場合にのみ指定してください。
表3-7は、各外部データ型に使用されるパラメータを示しています。
EMP表から従業員名を選択し、NULLで終了する文字列が期待されるルーチンに渡すとします。この場合、名前を明示的にNULLで終了させる必要はありません。次のように、ホスト変数をSTRING外部データ型に同値化するのみです。
EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION; ... emp_name CHARACTER(11); EXEC SQL VAR emp_name IS STRING (11); EXEC SQL END DECLARE SECTION;
ENAME列の幅は10文字です。したがって、NULL終了文字を含めるために、新しいemp_nameに11文字を割り当てます。(ここでは、ホスト変数の長さにデフォルト設定されるため、lengthはオプションです。)ENAME列から値を選択してemp_nameに入れると、値は自動的にNULLで終了されます。
表3-7 外部データ型のパラメータ
| 外部データ型 | 長さ | 精度 | 位取り | デフォルトの長さ |
|---|---|---|---|---|
|
|
オプション |
該当なし |
該当なし |
変数の宣言長 |
|
|
オプション |
該当なし |
該当なし |
変数の宣言長 |
|
|
該当なし |
該当なし |
該当なし |
7バイト |
|
|
該当なし |
必須 |
必須 |
なし |
|
|
該当なし |
必須 |
必須 |
なし |
|
|
オプション(4または8) |
該当なし |
該当なし |
変数の宣言長 |
|
|
オプション(1、2または4) |
該当なし |
該当なし |
変数の宣言長 |
|
|
オプション |
該当なし |
該当なし |
変数の宣言長 |
|
|
オプション |
該当なし |
該当なし |
変数の宣言長 |
|
|
必須(注意1) |
該当なし |
該当なし |
なし |
|
|
必須(注意1) |
該当なし |
該当なし |
なし |
|
|
必須 |
該当なし |
該当なし |
なし |
|
|
該当なし |
該当なし |
該当なし |
該当なし |
|
|
オプション |
該当なし |
該当なし |
変数の宣言長 |
|
|
オプション |
該当なし |
該当なし |
変数の宣言長 |
|
|
該当なし |
該当なし |
該当なし |
13バイト(注意2) |
|
|
オプション(1、2または4) |
該当なし |
該当なし |
変数の宣言長 |
|
|
必須 |
該当なし |
該当なし |
なし |
|
|
オプション |
該当なし |
該当なし |
変数の宣言長 |
|
|
該当なし |
該当なし |
該当なし |
22バイト |
|
|
オプション |
該当なし |
該当なし |
なし |
|
注意:
|
VAR文およびTYPE文でデータ型指定子CHARFを使用すると、DBMSの設定に関係なく、ホスト言語のデータ型を固定長のANSIデータ型CHARに同値化できます。
MODE=ANSIの場合、TYPE文でデータ型CHARを指定すると、ホスト言語のデータ型は固定長のANSIデータ型CHAR(Oracleの外部データ型コード96)に同値化されます。ただし、MODE=ORACLEの場合、ホスト言語のデータ型は、ユーザーの意向に関係なく、可変長データ型VARCHAR2(コード1)に同値化されます。
ただし、ホスト言語のデータ型はいつでも固定長のANSIデータ型CHARに同値化できます。これには、VAR文でデータ型CHARFを指定します。CHARFを使用すると、MODE=ORACLEに設定されている場合でも、ホスト言語のデータ型は固定長のANSIデータ型CHARに同値化されます。
VARNUM値またはDATE値を入力するには、必ずOracleの内部形式で入力してください。Oracleでは、VARNUM値およびDATE値の出力には内部形式が使用されます。
列値を選択してVARNUMホスト変数に格納した後、先頭のバイトをチェックすれば値の長さがわかります。表3-8では、戻されるVARNUM値の例を示しています。
表3-8 戻されるVARNUM値の例
| 10進数 | VARNUM値 | |||
|---|---|---|---|---|
|
長さバイト |
指数バイト |
仮数バイト |
終了文字バイト |
|
|
0 |
1 |
128 |
該当なし |
該当なし |
|
5 |
2 |
193 |
6 |
該当なし |
|
-5 |
3 |
62 |
96 |
102 |
|
2767 |
3 |
194 |
28, 68 |
該当なし |
|
-2767 |
4 |
61 |
74, 34 |
102 |
|
100000 |
2 |
195 |
11 |
該当なし |
|
abcdefg |
5 |
196 |
2, 24, 46, 68 |
該当なし |
DATE値は、通常、プログラムによる値の出力(たとえば、表示)や入力に使用されめ、DD-MON-YYなどの文字書式に変換してください。
必要にぴったり合ったOracleの外部データ型がない場合は、VARCHAR2ベースまたはRAWベースの外部データ型を使用してください。
広く使用されている7ビットまたは8ビットのASCIIおよびEBCDICのキャラクタ・セットは、アルファベットを表すには十分ですが、日本語のようなアジアの言語には数千もの文字が含まれるものがあります。これらの言語では、1文字を表すために16ビット(2バイト)が必要です。Oracleではこうした様々な言語がどのように処理されるかについて説明します。
Oracleには、シングルバイトおよびマルチバイトの文字データを処理し、キャラクタ・セット間で変換できるように、グローバリゼーション・サポートが用意されています。これにより異なる言語環境でアプリケーションを実行することもできます。グローバリゼーション・サポートでは、数値書式と日付書式は、ユーザー・セッション用に指定された言語規則に自動的に適応します。したがって、グローバリゼーション・サポートにより、世界中のユーザーがそれぞれの母国語でOracleとやりときできます。
様々なグローバリゼーション・サポートのパラメータを指定して、言語によって異なる機能の操作を制御できます。これらのパラメータのデフォルト値は、Oracleの初期化ファイルで設定できます。表3-9は、それぞれのグローバリゼーション・サポート・パラメータの指定内容を示しています。
表3-9 グローバリゼーション・サポート・パラメータ
| グローバリゼーション・サポート・パラメータ | 設定内容 |
|---|---|
|
言語によって異なる表記規則 |
|
|
地域によって異なる表記規則 |
|
|
日付書式 |
|
|
曜日と月の名前に使用する言語 |
|
|
小数点文字と桁グループ・セパレータ |
|
|
各国通貨記号 |
|
|
ISO通貨記号 |
|
|
ソートの順序 |
主なパラメータは、Globalization Support_LANGUAGEおよびGlobalization Support_TERRITORYです。Globalization Support_LANGUAGEでは、言語によって異なる次の機能のデフォルト値を指定します。
サーバー・メッセージに使用する言語
曜日と月の名前に使用する言語
ソートの順序
Globalization Support_TERRITORYでは、地域によって異なる次の機能のデフォルト値を指定します。
日付書式
小数点文字
グループ・セパレータ
各国通貨記号
ISO通貨記号
Globalization Support_LANGパラメータを次のように指定して、ユーザー・セッション用に言語ごとに異なるグローバリゼーション・サポート機能の操作を制御できます。
Globalization Support_LANG = <language>_<territory>.<character set>
languageはユーザー・セッション用のGlobalization Support_LANGUAGEの値、territoryはGlobalization Support_TERRITORYの値、character setは端末に使用されるコード体系を指定します。コード体系(通常はキャラクタ・セットまたはコード・ページと呼ばれる)は、端末で表示可能なキャラクタ・セットに対応する数値コードの範囲です。これには、端末との通信を制御するコードも含まれています。
Globalization Support_LANGは、環境変数(またはシステムでそれに相当するもの)として定義します。たとえば、Cシェルを使用するUNIXでは、Globalization Support_LANGを次のように定義できます。
setenv Globalization Support_LANG French_France.WE8ISO8859P1
セッション中にグローバリゼーション・サポート・パラメータを変更するには、ALTER SESSION文を次のように使用します。
ALTER SESSION SET <Globalization Support_parameter> = <value>
Oracleプリコンパイラでは、グローバリゼーション・サポート機能がすべてサポートされているため、アプリケーションではOracleデータベースに格納されている多言語のデータを処理できます。たとえば、外国語の文字変数を宣言し、それをINSTRB、LENGTHBおよびSUBSTRBなどの文字列ファンクションに渡すことができます。これらのファンクションにはそれぞれ、INSTR、LENGTHおよびSUBSTRファンクションと同じ構文がありますが、文字単位ではなく、バイト単位で機能します。
Globalization Support_INITCAP、Globalization Support_LOWERおよびGlobalization Support_UPPERファンクションを使用して、大文字小文字変換の特別なインスタンスを処理できます。また、Globalization Support_SORTファンクションを使用して、バイナリ順序ではなく、言語上の順序に基づいてWHERE句の比較を指定できます。グローバリゼーション・サポート・パラメータをTO_CHAR, TO_DATEおよびTO_NUMBERファンクションに渡すこともできます。グローバリゼーション・サポートの詳細は、Oracle Databaseアドバンスト・アプリケーション開発者ガイド』を参照してください。
Pro*COBOLプリコンパイラでは、次の機能により、マルチバイトのグローバリゼーション・サポート・キャラクタ・セットのサポートが拡張されています。
プリコンパイラによる埋込みSQL文中のマルチバイト・キャラクタ文字列の認識。
ANSI標準COBOLのPIC Nデータ型宣言句で、ホスト文字変数を2バイト文字の文字列として解釈するようにプリコンパイラに指示します。
Oracleでは、プリコンパイラのランタイム・ライブラリSQLLIBにより、マルチバイト文字列がサポートされています。
埋込みSQL文内のマルチバイトのグローバリゼーション・サポート文字列は、文字列をマルチバイト文字列として識別する文字リテラルと、その後に続く一重引用符で囲まれた文字列で構成されます。
たとえば、次のような埋込みSQL文があるとします。
EXEC SQL SELECT empno INTO :emp_num FROM emp WHERE ename=N'Kuroda' END-EXEC.
この文では、'Kuroda'という文字列の前に付いているN文字リテラルにより、この文字列がマルチバイト文字列であると認識されるため、マルチバイト文字の文字列が含まれていることがわかります。
動的SQL文はプリコンパイル時には処理されず、Oracleではマルチバイトのグローバリゼーション・サポート文字列自体は処理されないため、動的SQL文にはグローバリゼーション・サポートのマルチバイト文字列を埋め込むことはできません。
グローバリゼーション・サポートのマルチバイト・データを格納する列は、埋込みのデータ定義言語(DDL)文では使用できません。この制限はプリコンパイル時には適用されないため、NCHARなどの拡張された列型を埋込みDDL文で使用すると、プリコンパイル・エラーではなく、実行エラーになります。
Pro*COBOLプリコンパイラでは、ANSI規格PIC N句を使用して、マルチバイト文字データのホスト変数を宣言します。PIC N句を使用して宣言された変数は、2バイト文字の文字列変数として認識されます。
Globalization Support_LOCAL
VARCHAR
これらのオプションの詳細は、第6章「Oracleプリコンパイラの実行」を参照してください。
表は使用できません。
PCI Nデータ型を使用して宣言されたホスト変数は、表に使用できません。
奇数バイト幅はありません。マルチバイトのグローバリゼーション・サポート文字の格納に、Oracle CHAR列を使用しないでください。奇数バイトのデータがシングルバイト列からマルチバイトのグローバリゼーション・サポート(PIC N)・ホスト変数にフェッチされると、ランタイム・エラーが発生します。
ホスト変数の同値化は行えません。マルチバイトのグローバリゼーション・サポート文字変数は、EXEC SQL VAR文を使用して同値化できません。
動的SQLは使用できません。Pro*COBOLでは、グローバリゼーション・サポートのマルチバイト文字に動的SQLを使用できません。
Pro*COBOL文字変数をマルチバイトのグローバリゼーション・サポート変数として定義すると、その変数の外部データ型に応じて、次の空白埋込みおよび空白削除の規則が適用されます。『Pro*COBOLプログラマーズ・ガイド』の「外部データ型」を参照してください。
CHARF。 これは、マルチバイト文字列が定義されるときのデフォルトの文字型です。入力データから、後続のダブルバイトの空白文字が削除されます。ただし、文字列がダブルバイト空白文字のみで構成されている場合は、標識としてダブルバイトの空白文字が1つバッファに残されます。
出力ホスト変数では、ダブルバイトの空白文字で空白が埋め込まれます。
VARCHAR。 入力時に、ホスト変数からは後続のダブルバイト空白文字が削除されません。length要素は、バイト単位ではなく文字単位のデータの長さとみなされます。
出力では、ホスト変数の空白にはまったく埋込みは行われません。バッファの長さは、バイト単位ではなく文字単位のデータの長さに設定されます。
STRING/LONG VARCHAR。 これらのホスト変数は、動的SQLまたはデータ型の同値化を使用して指定する必要がありますが、グローバリゼーション・サポートではそのどちらも使用できないため、グローバリゼーション・サポート・データには対応していません。
マルチバイトのグローバリゼーション・サポート文字変数でも、他の変数の場合と同様に、インジケータ変数を使用できますが、列の長さの値はバイト単位ではなく文字単位で表されます。使用可能な値の一覧は、「インジケータ変数の使用方法」を参照してください。
Oracleプリコンパイラでは、SQL*Netを介して分散処理がサポートされます。アプリケーションはローカル・データベースとリモート・データベースの任意の組合せに同時にアクセスすることも、同じデータベースに同時に複数の接続を行うこともできます。図3-2では、アプリケーション・プログラムが1つのローカルOracleデータベースおよび3つのリモートOracleデータベースと通信しています。ORA2、ORA3およびORA4は、CONNECT文で使用される論理名です。
SQL*Netは、異なるマシンやオペレーティング・システム間に存在するネットワーク上の境界を排除することにより、Oracleのツールに分散処理環境を提供します。この項では、SQL*Netを介した分散処理がOracleプリコンパイラでどのようにサポートされているかを説明します。さらに、アプリケーションで次の処理がどのように行われるかも学習します。
他のデータベースへの直接または間接アクセス
ローカルおよびリモート・データベースの任意の組合せへの同時アクセス
同じデータベースへの複数接続
ネットワーク上の通信ポイントは、ノードと呼ばれます。SQL*Netにより、ネットワーク上のノード間で情報(SQL文、データおよびステータス・コード)を送信できます。
プロトコルは、ネットワークへのアクセスに関する一連の規則です。この規則では、障害発生後のリカバリ手順、データを送信およびエラー検査の形式などが規定されます。
ローカル・ドメイン内のデフォルトのデータベースに接続するためのSQL*Netの構文で使用するのは、そのデータベースのサービス名のみです。
サービス名がデフォルト(ローカル)・ドメイン内にない場合は、グローバル指定(すべてのドメインの指定)を使用する必要があります。次に例を示します。
HR.US.ORACLE.COM
各ノードにはデフォルトのデータベースがあります。CONNECT文でノードを指定し、データベースを指定しない場合、指定したローカルまたはリモート・ノード上のデフォルトのデータベースに接続されます。データベースもノードも指定しない場合は、現在のノード上のデフォルト・データベースに接続されます。CONNECT文でデフォルト・データベースと現在のノードを指定することはできますが、必要ありません。
デフォルトの接続は、AT句のないCONNECT文を使用して行われます。ローカルまたはリモートの任意のノード上のデフォルトまたは非デフォルトの任意のデータベースに接続できます。AT句のないSQL文は、デフォルトの接続に対して実行されます。逆に、非デフォルトの接続は、AT句があるCONNECT文により行われます。AT句があるSQL文は、非デフォルトの接続に対して実行されます。
データベース名はすべて一意である必要があります。ただし、複数のデータベース名で同じ接続を指定できます。つまり、任意のノード上の任意のデータベースに対して複数の接続を持つことができます。
EXEC SQL CONNECT :userid IDENTIFIED BY :password
または、次の文でも接続できます。
EXEC SQL CONNECT :usr_pwd;
usr_pwdには、username/passwordが含まれます。
次のようにして自動的に接続することもできます。データベースおよびノードを指定しない場合、現在のノード上のデフォルトのデータベースに接続されます。別のデータベースに接続する場合は、そのデータベースを明示的に指定する必要があります。
明示的接続では、SQL文で参照される接続名を指定して、別のデータベースに直接接続します。同時に複数のデータベースに接続することも、同じデータベースに複数回接続することもできます。
次の例では、リモート・ノードにある1つの非デフォルト・データベースに接続します。
|
注意: この機能を簡単に説明するために、この例では、デプロイされたシステムで通常使用されるパスワード管理技術は実行しません。本番環境では、Oracle Databaseのパスワード管理ガイドラインに従い、すべてのサンプル・アカウントを無効にしてください。パスワード管理のガイドラインおよびその他のセキュリティ推奨事項の詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。 |
-- Declare necessary host variables.
EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION;
username CHARACTER(10);
password CHARACTER(10);
db_string CHARACTER(20);
EXEC SQL END DECLARE SECTION;
set username = 'scott';
set password = 'tiger';
set db_string = 'd:newyork-nondef';
-- Assign a unique name to the database connection.
EXEC SQL DECLARE db_name DATABASE;
-- Connect to the nondefault database
EXEC SQL CONNECT :username IDENTIFIED BY :password
AT db_name USING :db_string;
この例の識別子は、次の目的で使用されています。
ホスト変数usernameおよびpasswordは、有効なユーザーを識別します。
ホスト変数db_stringには、DECnetプロトコルを使用してリモート・ノードにある非デフォルトのデータベースに接続するためのSQL*Net構文が含まれています。
未宣言の識別子db_nameは、非デフォルト接続の名前を指定します。これは、Oracleで使用される識別子で、ホスト変数でもプログラム変数でもありません。
USING句では、db_nameに関連付けられるネットワーク、コンピュータおよびデータベースを指定します。その後、AT句(db_name付き)を使用したSQL文が、db_stringに指定したデータベースで実行されます。
または、次の例のように、AT句で文字ホスト変数を使用できます。
EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION; username CHARACTER(10); password CHARACTER(10); db_name CHARACTER(10); db_string CHARACTER(20); EXEC SQL END DECLARE SECTION; set username = 'scott'; set password = 'tiger'; set db_name = 'oracle1'; set db_string = 'd:newyork-nondef'; -- connect to the nondefault database EXEC SQL CONNECT :username IDENTIFIED BY :password AT :db_name USING :db_string; ...
db_nameがホスト変数の場合、DECLARE DATABASE文は不要です。db_nameが未宣言の識別子である場合にのみ、CONNECT ... AT db_name文を実行する前に、DECLARE db_name DATABASE文を実行する必要があります。
SQLの操作。権限が付与されている場合、非デフォルト接続でSQLデータ操作文を実行できます。たとえば、次の一連の文を実行します。
EXEC SQL AT db_name SELECT ... EXEC SQL AT db_name INSERT ... EXEC SQL AT db_name UPDATE ...
次の例では、db_nameはホスト変数です。
EXEC SQL AT :db_name DELETE ...
db_nameがホスト変数の場合、SQL文で参照されるすべてのデータベース表を、DECLARE TABLE文で定義する必要があります。
カーソルの制御。OPEN, FETCHやCLOSEなどのカーソル制御文は例外で、AT句を使用しません。カーソルを明示的に指定したデータベースに関連付ける場合は、次のようにDECLARE CURSOR文でAT句を使用してください。
EXEC SQL AT :db_name DECLARE emp_cursor CURSOR FOR ... EXEC SQL OPEN emp_cursor ... EXEC SQL FETCH emp_cursor ... EXEC SQL CLOSE emp_cursor;
db_nameがホスト変数の場合、宣言されたカーソルを参照するすべてのSQL文の適用範囲内で宣言する必要があります。たとえば、あるサブプログラム内でカーソルをオープンし、別のサブプログラムでそのカーソルからフェッチする場合は、db_nameをグローバルに宣言するか、それを各サブプログラムに渡す必要があります。
カーソルからオープン、クローズまたはフェッチを実行する場合、AT句を使用しないでください。SQL文は、DECLARE CURSOR文のAT句で指定されたデータベースか、カーソルの宣言でAT句が使用されていない場合は、デフォルトのデータベースで実行されます。
AT :host_variable句を使用すると、カーソルに関連付けられた接続を変更できます。ただし、カーソルのオープン中は、関連付けを変更できません。次の例を考えてください。
EXEC SQL AT :db_name DECLARE emp_cursor CURSOR FOR ... set db_name = 'oracle1'; EXEC SQL OPEN emp_cursor; EXEC SQL FETCH emp_cursor INTO ... set db_name = 'oracle2'; EXEC SQL OPEN emp_cursor; -- illegal, cursor still open EXEC SQL FETCH emp_cursor INTO ...
これは、2番目のOPEN文を実行しようとするときにemp_cursorがまだオープンされているため、無効です。接続ごとに別のカーソルが維持されることはありません。emp_cursorは1つのみで、別の接続用に再オープンする前にクローズする必要があります。最後の例をデバッグするには、次のようにカーソルをクローズしてから再オープンします。
EXEC SQL CLOSE emp_cursor; -- close cursor first set db_name = 'oracle2'; EXEC SQL OPEN emp_cursor; EXEC SQL FETCH emp_cursor INTO ...
動的SQL。動的SQL文は、AT句が使用されない文があるという点でカーソル制御文に似ています。動的SQLの方法1では、非デフォルト接続で文を実行する場合は、AT句を使用する必要があります。次に例を示します。
EXEC SQL AT :db_name EXECUTE IMMEDIATE :slq_stmt;
方法2、3および4では、非デフォルト接続で文を実行する場合、DECLARE STATEMENT文でのみAT句を使用します。PREPARE、DESCRIBE、OPEN、FETCHおよびCLOSEなど、他の動的SQLでは、AT句を使用しません。次の例は、方法2を示しています。
EXEC SQL AT :db_name DECLARE slq_stmt STATEMENT; EXEC SQL PREPARE slq_stmt FROM :sql_string; EXEC SQL EXECUTE slq_stmt;
次の例は、方法3を示しています。
EXEC SQL AT :db_name DECLARE slq_stmt STATEMENT; EXEC SQL PREPARE slq_stmt FROM :sql_string; EXEC SQL DECLARE emp_cursor CURSOR FOR slq_stmt; EXEC SQL OPEN emp_cursor ... EXEC SQL FETCH emp_cursor INTO ... EXEC SQL CLOSE emp_cursor;
複数の接続を同時にオープンする場合(アクティブな接続の識別にAT句が必要)でなければ、リモート・データベースに接続する際にAT句を使用する必要はありません。リモート・データベースにデフォルト接続を行うには、次の構文を使用します。
EXEC SQL CONNECT :username IDENTIFIED BY :password USING :db-string;
単一の明示的接続の場合と同様に、複数の明示的接続にもAT db_name句を使用できます。次の例では、2つの非デフォルト・データベースに同時に接続しています。
EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION; username CHARACTER(10); password CHARACTER(10); db_string1 CHARACTER(20); db_string2 CHARACTER(20); EXEC SQL END DECLARE SECTION; ... set username = 'scott'; set password = 'tiger'; set db_string1 = 'New_York'; set db_string2 = 'Boston'; -- give each database connection a unique name EXEC SQL DECLARE db_name1 DATABASE; EXEC SQL DECLARE db_name2 DATABASE; -- connect to the two nondefault databases EXEC SQL CONNECT :username IDENTIFIED BY :password AT db_name1 USING :db_string1; EXEC SQL CONNECT :username IDENTIFIED BY :password AT db_name2 USING :db_string2;
未宣言識別子db_name1およびdb_name2は、2つの非デフォルト・ノードにあるデフォルト・データベースの指名に使用され、これにより、SQL文では後からそれらのデータベースを名前で参照できます。
または、次の例のように、AT句でホスト変数を使用できます。
EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION; username CHARACTER(10); password CHARACTER(10); db_name CHARACTER(10); db_string CHARACTER(20); EXEC SQL END DECLARE SECTION; ... set username = 'scott'; set password = 'tiger'; FOR EACH nondefault database -- get next database name and SQL*Net string display 'Database Name? '; read db_name; display 'SQL*Net String? '; read db_string; -- connect to the nondefault database EXEC SQL CONNECT :username IDENTIFIED BY :password AT :db_name USING :db_string; ENDFOR;
この方法を使用すれば、次の例のように、同じデータベースに複数の接続を行うこともできます。
set username = 'scott'; set password = 'tiger'; set db_string = 'd:newyork-nondef'; FOR EACH nondefault database -- get next database name display 'Database Name? '; read db_name; -- connect to the nondefault database EXEC SQL CONNECT :username IDENTIFIED BY :password AT :db_name USING :db_string; ENDFOR;
複数の接続に同じSQL*Net文字列を使用する場合でも、接続ごとに異なるデータベース名を使用する必要があります。
暗黙的接続は、明示的接続の不要なOracleの分散データベース・データベース・オプションによりサポートされています。たとえば、分散問合せを使用すると、1つのSELECT文で1つ以上の非デフォルト・データベースにアクセスできます。
分散問合せ機能はデータベース・リンクに依存しており、リンクにより接続事態ではなく、CONNECT文に名前が割り当てられます。実行時には、指定したOracleサーバーにより埋込みSELECT文が実行され、非デフォルトのデータベースに暗黙的に接続されて、必要なデータが取得されます。
次の例では、1つの非デフォルト・データベースに接続します。まず、プログラムでは次の文が実行され、データベース・リンクが定義されます(通常、データベース・リンクは、DBAまたはユーザーが対話形式で確立します)。
EXEC SQL CREATE DATABASE LINK db_link CONNECT TO username IDENTIFIED BY password USING 'd:newyork-nondef';
これにより、プログラムでは、次のようにデータベース・リンクを使用して、非デフォルトのEMP表に対して問合せを実行できます。
EXEC SQL SELECT ENAME, JOB INTO :emp_name, :job_title FROM emp@db_link WHERE DEPTNO = :dept_number;
データベース・リンクは、埋込みSQL文のAT句に使用されるデータベース名とは無関係です。単にOracleに非デフォルトのデータベースの位置、データベースへのパス、使用するOracleユーザー名およびパスワードを指示します。データベース・リンクは、明示的に削除されるまで、データベース・ディクショナリに格納されます。
例では、デフォルトのOracleサーバーは、データベース・リンクdb_linkを使用してSQL*Netで非デフォルトのデータベースに接続します。問合せはデフォルトのサーバーに送信されますが、非デフォルトのデータベースに転送されて実行されます。
データベース・リンクをもっと簡単に参照できるようにするには、次のようにシノニムを作成します(ここでも、通常は対話形式で行われます)。
EXEC SQL CREATE SYNONYM emp FOR emp@db_link;
その結果、プログラムで、次のように非デフォルトのEMP表に問合せができるようになります。
EXEC SQL SELECT ENAME, JOB INTO :emp_name, :job_title FROM emp WHERE DEPTNO = :dept_number;
次の例では、2つの非デフォルト・データベースに同時に接続します。まず、次の一連の文を実行し、2つのデータベース・リンクを定義して、2つのシノニムを作成します。
EXEC SQL CREATE DATABASE LINK db_link1 CONNECT TO username1 IDENTIFIED BY password1 USING 'd:newyork-nondef'; EXEC SQL CREATE DATABASE LINK db_link2 CONNECT TO username2 IDENTIFIED BY password2 USING 'd:chicago-nondef'; EXEC SQL CREATE SYNONYM emp FOR emp@db_link1; EXEC SQL CREATE SYNONYM dept FOR dept@db_link2;
その結果、プログラムで、次のように非デフォルトのEMP表とDEPT表に問合せができるようになります。
EXEC SQL SELECT ENAME, JOB, SAL, LOC FROM emp, dept WHERE emp.DEPTNO = dept.DEPTNO AND DEPTNO = :dept_number;
Oracleでは、db_link1にある非デフォルトのEMP表とdb_link2にある非デフォルトのDEPT表を結合することにより、問合せが実行されます。
Oracleプリコンパイラを使用すれば、ホスト・プログラムにOCIコールを埋め込むことができます。それには次の手順を実行します。
OCIコールOLOGではなく、埋込みSQL文CONNECTを使用してOracleに接続します。
Oracleランタイム・ライブラリ・ルーチンSQLLDAをコールして、LDAに接続情報を格納します。
こうして、OracleプリコンパイラとOCIでは、両者が連動していることが認識されます。ただし、Oracleカーソルは共有されません。
Oracleランタイム・ライブラリにより接続が管理され、HDAがメンテナンスされるため、OCIホスト・データ領域(HDA)の宣言を意識する必要はありません。
SQLLDA(lda);
ldaでは、LDAデータ構造体を指定します。このコールの書式は、言語によって異なります。CONNECT文が失敗した場合、lda内のlda_rcフィールドはエラーを示す1012に設定されます。
SQLLDAに対するコールにより、最後に実行されたSQL文で使用した接続のLDAが設定されます。追加の接続に必要な別のLDAを設定するには、各CONNECTの後に別のldaを指定してSQLLDAをコールしてください。次の例では、2つの非デフォルト・データベースに同時に接続します。
EXEC SQL BEGIN DECLARE SECTION; username CHARACTER(10); password CHARACTER(10); db_string1 CHARACTER(20); db_string2 CHARACTER(20); EXEC SQL END DECLARE SECTION; lda1 INTEGER(32); lda2 INTEGER(32); set username = 'SCOTT'; set password = 'TIGER'; set db_string1 = 'D:NEWYORK-NONDEF1'; set db_string2 = 'D:CHICAGO-NONDEF2'; -- give each database connection a unique name EXEC SQL DECLARE db_name1 DATABASE; EXEC SQL DECLARE db_name2 DATABASE; -- connect to first nondefault database EXEC SQL CONNECT :username IDENTIFIED BY :password AT db_name1 USING :db_string1; -- set up first LDA for OCI use SQLLDA(lda1); -- connect to second nondefault database EXEC SQL CONNECT :username IDENTIFIED BY :password AT db_name2 USING :db_string2; -- set up second LDA for OCI use SQLLDA(lda2);
db_name1およびdb_name2は、ホスト変数ではないので、宣言部で宣言しないでください。これらは、後からSQL文で名前によりデータベースを参照できるように、2つの非デフォルト・ノードにあるデフォルト・データベースを指定する場合にのみ使用します。
X/Openアプリケーションは、分散トランザクション処理(DTP)環境で動作します。抽象モデルでは、X/Openアプリケーションはリソース・マネージャ(RM)に各種サービスの提供を要求します。たとえば、データベース・リソース・マネージャは、データベース内のデータにアクセスします。リソース・マネージャは、アプリケーションのすべてのトランザクションを制御するトランザクション・マネージャ(TM)と対話します。
図3-3では、DTPモデルのコンポーネントで、Oracleデータベース内のデータに効率的にアクセスするために対話できる方法を示しています。このDTPモデルでは、リソース・マネージャとトランザクション・マネージャの間にXAインタフェースが指定されています。Oracleでは、XA準拠のライブラリが提供され、このライブラリは、X/Openアプリケーションにリンクさせる必要があります。また、アプリケーション・プログラムとリソース・マネージャ間でネイティブ・インタフェースを指定する必要もあります。
トランザクション・マネージャとリソース・マネージャがアプリケーション・プログラムと対話する方法を指定するこのDTPモデルについては、X/Openガイド『Distributed Transaction Processing Reference Model』および関連出版物にで説明されていますが、これらは次の宛先に書面で請求すれば入手できます。
X/Open Company Ltd.1010 El Camino Real, Suite 380Menlo Park, CA 94025
XAインタフェースの使用方法は、ご使用のトランザクション処理(TP)モニターのユーザー・ガイドを参照してください。
X/Openアプリケーションでは、データベースへの接続の確立およびメンテナンスは行われません。かわりに、Oracleにより提供されるトランザクション・マネージャとXAインタフェースにより、データベースの接続および切断が透過的に処理されます。したがって、通常、X/Open準拠のアプリケーションでは、CONNECT文は実行されません。
X/Openアプリケーションでは、グローバル・トランザクションに影響を与えるCOMMIT、ROLLBACK、SAVEPOINTおよびSET TRANSACTIONなどの文を実行しないでください。たとえば、コミットはトランザクション・マネージャで処理されるため、アプリケーションではCOMMIT文を実行しないでください。また、CREATE、ALTERおよびRENAMEなどのSQLデータ定義文では暗黙的なコミットが発行されるため、アプリケーションでこれらの文を実行しないでください。
アプリケーションでは、さらなるSQL操作を妨げるエラーが検出された場合、内部のROLLBACK文を実行できます。ただし、今後リリースされるXAインタフェースでは、変更される可能性もあります。