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Oracle® Spatial GeoRaster開発者ガイド
11gリリース2 (11.2)
B72086-03
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GeoRasterの新機能

ここでは、Oracle Databaseリリース11のOracle Spatial GeoRasterの新機能および変更された機能について説明します。

リリース11.2での変更内容

次の項では、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)の情報統合の新機能について説明します。

Java API

GeoRasterには現在Java APIが含まれており、これは、Oracle SpatialのGeoRaster機能で使用可能な機能をサポートするインタフェースおよびクラスで構成されます。詳細は、1.13項を参照してください。

地上基準点(GCP)のサポート

地上基準点(GCP)を使用して、GeoRasterオブジェクトを地理参照できます。この機能のサポートには、いくつかの新しいデータ型とPL/SQLサブプログラムおよび一部の既存の型とサブプログラムの機能強化が含まれています。詳細は、次の項を参照してください。

GeoRasterオブジェクトの再投影処理

第4章に記載の新しいSDO_GEOR.reprojectを使用して、異なるOracle Spatial座標系にGeoRasterオブジェクトを再投影できます。

埋込みスペースを減らすためのブロックの最適化

ブロックされているラスター・データでは、新しいOPTIMALPADDINGキーワードを使用すると、記憶域パラメータの任意のユーザー指定のblockSize値を自動的に最適な値に調整して、埋込みスペースを減らすことができます。詳細は、1.4.1項表1-1「ラスター・データのstorageParamのキーワード」blockingキーワードおよびblockSizeキーワードの説明を参照してください。

また、SDO_GEOR_UTL.calcOptimizedBlockSizeプロシージャ(第6章を参照)を使用して最適なblockSize値を計算することができ、この値により、GeoRasterオブジェクト記憶域で少ない埋込みスペースを使用して、storageParamパラメータを含むサブプログラムにその結果を適用できます。

グリッド内挿

新しいSDO_GEOR.evaluateDoubleファンクション(第4章を参照)は、指定された内挿方法を使用することで、隣接するセルの値に基づいて直接の場所を評価し、その場所に指定されたバンドまたはレイヤーのラスター値(倍精度の数値)を戻します。

問合せにおけるポリゴン・ベースのクリッピング

SDO_GEOR.getRasterSubsetおよびSDO_GEOR.subsetプロシージャ(第4章を参照)の機能が強化されています。以前のリリースでは、MBR(四角形)の問合せポリゴンのみが使用されていました。現在では、問合せ結果を(不規則な)ポリゴンの境界に沿ってクリップすることもできるようになりました。

setModelCoordLocationプロシージャ

SDO_GEOR.setModelCoordLocationプロシージャ(第4章を参照)では、CENTERからUPPERLEFTへ、またはUPPERLEFTからCENTERへセル座標系を変更できます。これは、地理参照されているGeoRasterオブジェクトのみに適用され、変更が適宜反映されるように(セル座標とモデル座標間の関係が変わらないようにするために)、GeoRaster SRSの関数フィッティング係数を自動的に調整します。

複数のバンドまたはレイヤーの値を戻すgetCellValueファンクション

SDO_GEOR.getCellValueファンクション(第4章に記載)が機能強化され、特定の場所の複数のレイヤーまたはバンドの値を戻すことができるようになりました。以前のリリースでは、指定したレイヤーまたはバンドの単一のセル値のみが返されていました。

getGeoreferenceTypeファンクションの戻り値

SDO_GEOR.getGeoreferenceTypeファンクション(第4章に記載)は、このマニュアルの以前のリリースに記載の値に加え、次の値の地理参照タイプを戻すことができます(三次多項式の場合は5、二次有理多項式の場合は6または二次多項式の場合は7)。

リリース11.1での変更内容

次に、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)の新しい機能および変更された機能について説明します。

使いやすさ、信頼性および管理性の向上

今回のリリースのGeoRasterでは、以前は手動で実行する必要があった特定のタスクを自動化し、特殊なタスクを実行する必要があるユーザーに新しい管理ツールを提供しています。

  • GeoRaster表を作成すると、表にGeoRaster DMLトリガーを作成する必要がなくなります。これらのDMLトリガーは自動的に作成され、この自動作成および操作により、信頼性が大きく向上しました。

  • データ・ポンプ・インポート・ユーティリティを使用してGeoRasterデータをインポートすると、インポートした表に対するGeoRaster DMLトリガー、またはインポートしたGeoRasterオブジェクトのGeoRasterシステム・データ・エントリを作成する必要がなくなりました。これらのトリガーおよびエントリは自動的に作成されるようになりました。

  • ラスター表のDDLイベントおよびGeoRasterシステム・データのアクティビティを監視するように内部的な機能強化を行ったことで、GeoRasterの管理性、信頼性、堅牢性および使いやすさが向上しました。

  • 新しいSDO_GEOR_ADMIN PL/SQLパッケージには、移行操作とアップグレード操作を含む、GeoRasterデータベースの管理とメンテナンスに役立つ情報を取得するサブプログラムが格納されています。SDO_GEOR_ADMINサブプログラムについては、第5章で説明します。

  • Oracle Workspace Managerを使用したラスター・データのバージョニングがサポートされています(3.18項を参照)。

  • Oracle Label Securityを使用したラスター・データの行レベルのセキュリティがサポートされています(3.18項を参照)。

GeoRasterおよびデータベース管理の詳細は、1.11項を参照してください。

新しいメタデータとラスターのサポート

今回のリリースでは、次のような新しいGeoRasterのメタデータおよびラスター型をサポートしています。

  • 幾何補正されているか、または幾何補正されていない航空写真や衛星イメージを地理参照するために、複雑な汎用関数フィッティング地理参照モデルがサポートされています。アフィン変換、DLT、RPCなどのモデルが、この汎用モデルの特殊ケースとしてサポートされています。詳細は、1.6項を参照してください。

  • GeoRasterオブジェクトおよび個別のバンドやレイヤーに対するビットマップ・マスク(1ビット深度の特別な矩形ラスター・グリッドであり、各ピクセルが0または1の値を持つ)を格納できます。これらのマスクは、GeoRasterオブジェクトの内部に格納されます。また、マスクのピラミッドを作成してGeoRasterオブジェクトの内部に格納することもできます。ビットマップ・マスクの詳細は、1.8項を参照してください。

  • GeoRasterオブジェクトおよび個別のバンドやレイヤーに対して、複数のNODATA値および複数のNODATA値の範囲がサポートされています。詳細は、1.9項を参照してください。

  • GeoRasterオブジェクトでは、記憶領域を節約したり処理速度を向上させるために、空のラスター・ブロックを持つことができます。詳細は、1.4.4項を参照してください。

  • ランダムなブロック化サイズがサポートされています。各ブロックのサイズは引き続き同じである必要がありますが、ラスター・ブロック・サイズは行次元および列次元に沿ってランダムに異なる数値を指定でき、2の累乗値である必要はありません。

新しいファンクション、プロシージャおよびその他の機能

今回のリリースでは、次に示すような、GeoRaster PL/SQL APIなどの機能に関連する多くの新しいサブプログラムとその他の機能強化が提供されています。

  • 新しい地理参照モデルでの更新や問合せなどのDML操作、ビットマップ・マスク、および複数のNODATA値とその値の範囲がサポートされています。

  • 既存のサブプログラムは、空のラスター・ブロック、ランダムなブロック化サイズおよび新しいメタデータをサポートできるように強化されました。

  • モザイクのサポートにより、隙間、重複および欠落のあるソースGeoRasterオブジェクトを使用できます。モザイクのサポートの詳細は、第4章SDO_GEOR.mosaicプロシージャの説明を参照してください。

  • GeoRasterオブジェクトとレイヤーの結合またはマージがサポートされています。詳細は、第4章SDO_GEOR.mergeLayersプロシージャの説明を参照してください。

  • 別のイメージまたはグリッド・データを使用した、ラスター・データとそのピラミッドのウィンドウでの部分的な編集および更新がサポートされています。詳細は、第4章SDO_GEOR.updateRasterプロシージャの説明を参照してください。

  • サード・パーティのソフトウェアを簡単に統合できるように、新しいGeoRasterテンプレートのファンクションが提供されています。詳細は、3.17項を参照してください。

  • 統計分析およびヒストグラムの生成がサポートされています。詳細は、第4章SDO_GEOR.generateStatisticsプロシージャの説明を参照してください。

  • GeoRasterのセル空間でのサブセルまたはサブピクセルのアドレッシング(浮動小数点の行番号および列番号)がサポートされています(1.3項を参照)。

  • SDO_GEOR_SRSオブジェクト型に新しいコンストラクタが追加されました(2.3.5項を参照)。

  • GeoRasterオブジェクトの実際の記憶域サイズおよび名目上の記憶域サイズの計算がサポートされています。(名目上のサイズは、圧縮データおよび疎データを考慮しません。)詳細は、第6章SDO_GEOR_UTL.calcRasterStorageSizeおよびSDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSizeファンクションに関する項を参照してください。

  • GeoRasterの検証が機能強化され、それぞれの有効なGeoRasterオブジェクトを(ALL_SDO_GEOR_SYSDATAビューで入力して)登録する必要があり、GeoRasterオブジェクトのラスター・データ表の名前属性は、引用符で囲んだ文字列にスペース、ピリオドを含んだり大文字小文字が混在していてはならず、またすべての英数字は大文字でなくてはなりません。GeoRasterの検証の詳細は、検証を実行する際の特定のファンクションについても説明している3.4項を参照してください。

  • GeoRasterは、元のBasicFile LOBを補足するためにリリース11.1から導入されたSecureFile LOB(SecureFiles)の使用をサポートしています。詳細は、3.1.2項を参照してください。

  • GeoRasterオブジェクトのロードとエクスポートを行うために、GeoTiff、JPEG 2000およびDigital Globe RPCの各ファイル形式がサポートされています。JPEGファイルは解凍せずにロードできます。GeoRasterローダーおよびエクスポータ・ツールの詳細は、1.14項を参照してください。

  • マスク、汎用地理参照モデル、空のラスター・ブロックおよびその他の機能を表示できるように、GeoRasterビューアが強化されました。GeoRasterのビューア・ツールの詳細は、1.14項を参照してください。

次の表に、今回のリリースの新しいPL/SQLサブプログラムを示します。(この表には既存のサブプログラムは含まれていませんが、既存のサブプログラムも、このリリースで大幅に強化されています。)