OSB Cloud ModuleをAmazon S3で使用するには、Oracle Technical Network(OTN)アカウントとAmazon Webサービス(AWS)アカウントの両方を設定する必要があります。S3 Backupインストーラおよび互換性のあるバージョンのJavaソフトウェアも必要です。
OSB Cloud Moduleの設定、インストール、確認および実行手順は、次のとおりです。
手順 | 説明 |
---|---|
1 | ハードウェアおよびソフトウェアの前提条件 |
2 | Oracle Technology Network(OTN)アカウントの登録 |
3 | Amazon S3 - AWSアカウントのサイン・アップ |
4 | AWS IDの取得 |
5 | OSB Cloud Moduleライブラリのインストール |
6 | S3 Backupインストーラの実行
|
7 | RMANリポジトリへの構成の保存 - オプション |
8 | OSB Webサービス・ライブラリの使用および最初のバックアップ |
OSB Cloud Moduleの前提条件は次のとおりです。
ハードウェア/ソフトウェア | バージョン |
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Java | S3 Backupインストーラを実行するコンピュータにJDK 1.5以降がインストールされている必要があります。 |
サポートされるプラットフォーム |
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Oracle Database | バックアップできるのは、Oracle Database 9i リリース2以上のデータベースです。オペレーティング・システム・ファイルは、RMANまたはRMAN SBTインタフェースではバックアップできません。 |
S3 Backupインストーラ・ファイル | osbws_install.jar
このインストーラは、実行されているプラットフォームに適したライブラリをダウンロードします。ライブラリ構成ファイル、およびAWS資格証明が格納されるOracleウォレットも作成します。 オラクル社が提供するAmazon Machine Image(AMI)を使用してAmazon Elastic Compute Cloud(EC2)でOracle Databaseを実行する場合、このインストーラは、
ユーザーは、すべてのコマンドライン・オプションをファイルに含め、適切なオペレーティング・システム権限でファイルを保護することをお薦めします。こうすることで、S3 Backupインストーラはファイルを読み取り、オプションを起動し、さらに、権限のないユーザーがファイルを読み取るのを防ぐことができます。 |
Oracleウォレット・ディレクトリ | S3 Backupインストーラを実行する前に、AWS IDが格納されるOracleウォレット・ディレクトリを用意しておく必要があります。ウォレット・ディレクトリをまだ設定していない場合は作成する必要があります。
各プラットフォームの推奨ウォレット・ディレクトリ:
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システム時間 | S3に採用されている認証方式では、クライアントのシステム時間がS3の時間とほぼ同じである必要があります。この場合、クライアントとは、OSB Webサービス・ライブラリを実行しているコンピュータです。S3の時間は協定世界時(UTC)に設定されています。このため、UTCとクライアントのシステム時間との誤差が数分以内であることを確認してください。 |
OSB Cloud ModuleのS3 Backupインストーラをダウンロードするには、OTNアカウントが必要です。OTNアカウントがない場合、http://www.oracle.com/technetwork/community/join/overview/index.html
で登録できます。
インストーラは、OTNの「Cloud Computing Center」ホームページからダウンロードできます。
OSB Cloud Backup Moduleを使用してAmazon S3にアクセスする前に、AWSアカウントを作成する必要があります。
作成は、http://aws.amazon.com
の右上隅のAWSアカウントの作成リンクから行います。
アカウントを作成するには、AWS S3利用分の請求に関してAmazonへの支払い方法を指定する必要があります。
AWSアカウントを作成したときに割り当てられる、次の2つのAWS IDが必要になります。
アクセス・キーID
秘密アクセス・キー
これら2つの資格証明を取得するには、次の手順を実行します。
AWSのWebサイトhttp://aws.amazon.com
にアクセスします。
「Your Web Services Account」をポイントし、オプションのリストを表示します。
「AWS Access Identifiers」リンクをクリックし、自分のAWSアカウントにログインします。
注意: これらの資格証明は、すべてのAmazon Webサービスに対する請求を許可するものであり、Amazon S3に保存されたRMANバックアップへのアクセスも可能にするため、安全な場所に保管することをお薦めします。
S3 Backupインストーラを初めて実行する場合は、必須パラメータとオプション・パラメータのリストと説明を取得するために、最初はパラメータを指定せずに実行することをお薦めします。S3 Backupインストーラを実行する前にこれらの情報を分析および確認すると、インストールの正常な実行に役立ちます。
パラメータを指定せずにS3 Backupインストーラを実行するには、次のように入力します。
% java -jar osbws_install.jar
初回実行時の出力に含まれる各種パラメータの説明は次のとおりです。
-AWSID: AWS Access Key ID -AWSKey: AWS Secret Access Key
Amazon Webサービスの資格証明。必須です。
-otnUser: OTN Username -otnPass: OTN Password
インストーラがユーザーを識別するときに使用するOTNの資格証明。必須です。
-walletDir: Directory to store wallet
S3の資格証明およびプロキシ情報を格納するOracleウォレットの場所(指定する場合は、次を参照)。必須です。
注意: Oracleウォレット・ディレクトリは、S3 Backupインストーラを実行する前に用意しておく必要があります。詳細は、「ハードウェアおよびソフトウェアの前提条件」を参照してください。
-configFile: File name of config file
構成ファイルを格納する場所。このパラメータを省略した場合、インストーラにより作成された構成ファイルがシステム固有のデフォルトの場所に配置されます。オプションです。
Linuxのデフォルトの場所: $ORACLE_HOME/dbs/osbsws<ORACLE_SID>.ora
Windowsのデフォルトの場所: $ORACLE_HOME\database\osbsws<ORACLE_SID>.ora
-libDir: Directory to store library
ライブラリが配置される場所。このパラメータを省略した場合、インストーラでライブラリはダウンロードされません。オプションです。
Linuxの推奨場所: $ORACLE_HOME/lib/
Windowsの推奨場所: $$ORACLE_HOME\bin\
-libPlatform: The desired platform for the library
インストール・ツールは、インストール・ツールが実行されているシステムを検証することで、プラットフォームを自動的に特定します。このパラメータは、プラットフォームを明示的に指定する場合に使用します。オプションです。
このバージョンでは、このパラメータに対して、linux32、linux64、windows32のいずれかの値を指定できます。
-proxyHost: HTTP proxy server -proxyPort: HTTP proxy server port -proxyID: HTTP proxy server username -proxyPass: HTTP proxy server password
必要に応じて、HTTPプロキシ・サーバーの名前およびポートを指定できます。プロキシ・サーバーを指定する場合は、必要に応じてユーザー名およびパスワードを指定します。オプションです。
インストーラに必要なすべての必須パラメータおよび設定情報については、手順1から4を参照してください。オプションのパラメータを指定する場合は、関連する情報を確認および用意しておいてください。たとえば、インストールに使用するプロキシ・サーバーの名前、ポートおよび資格証明が必要になる場合があります。
この時点で、インストールを実行できるようになります。
Javaインストーラは、コマンドラインから直接実行せず、セキュア・モードで実行することをお薦めします。推奨される方法は、コマンドライン・オプションをファイルに含め、適切なオペレーティング・システム権限でファイルへのアクセスを保護することです。
% java -jar osbws_install.jar -ARGFILE filename
別の方法として、runコマンド、パラメータおよび値をシェル・スクリプトまたはWindowsバッチ・ファイルとして実行できるファイルに埋め込む方法があります。
次の手順を実行します。
ファイルを作成します。
ファイルの権限を設定し、ファイルの所有者に排他的アクセス権限を付与します。
注意: ファイルにはAWSとOTNの両方の資格証明が含まれるため、ファイルの権限を設定してアクセスを制限することが重要です。 |
ファイルを編集して、インストーラの実行コマンドと必須パラメータからなる1行をファイルに含めます。前の項で取得した情報をパラメータに移入することで、起動に使用する1行を作成できます。
シェル・スクリプトまたはWindowsバッチ・ファイルとしてファイルを実行します。
注意: 次の例では、読みやすくするために$ORACLE_HOME
を/orclhome
に設定しています。実際のインストールでは、$ORACLE_HOME
の値は/usr/oracle/product/11.2.0
(Linuxの場合)などのようになります。
例C-1 S3 Backupインストーラの実行
次の例は、LinuxでのS3 Backupインストーラの実行例を示しています。
最初に、適切なバージョンのJavaがコンピュータ上にインストールされていることおよび$ORACLE_HOME
が定義されていることを確認します。
次のコマンドを入力し、出力を確認します。
% java -version java version "1.5.0_11" Java(TM) 2 Runtime Environment, Standard Edition (build 1.5.0_11-b03) Java HotSpot(TM) Client VM (build 1.5.0_11-b03, mixed mode)
% echo $ORACLE_HOME /orclhome
インストーラの起動行を含むファイルを作成し、ファイルの権限によってファイルの所有者以外のアクセスが制限されていることを確認します。
% touch osbws.sh % chmod 700 osbws.sh
ファイルを編集し、インストーラを起動する行を追加します。
java -jar osbws_install.jar -AWSID access key ID -AWSKey secret key -otnUser jane.smith@example.com -otnPass password for OTN -walletDir $ORACLE_HOME/dbs/osbws_wallet -libDir $ORACLE_HOME/lib/ -proxyHost www-proxy.example.com
ファイルを実行します。
% ./osbws.sh
S3 Backupインストーラの出力の先頭は、次のようになります。
OTN userid is valid. AWS credentials are valid. Creating new registration for this S3 user. Created new log bucket. Registration ID: 0f0a8aac-dad0-6254-7d70-be4ac4f112c4 S3 Logging Bucket: oracle-log-jane-smith-1 Create credential oracle.security.client.connect_string1 OSB web-services wallet created in directory /orclhome/dbs/osbws_wallet.OSB web-services initialization file /orclhome/dbs/osbwst1.ora created. Downloading OSB Web Services Software Library. Downloaded 13165919 bytes in 204 seconds. Transfer rate was 64538 bytes/second. Download complete. Extracted file /orclhome/lib/libosbws11.so
インストーラが完了すると、次の3つのファイルがシステム上に作成されます。
OSB Webサービス・ライブラリ
構成ファイル
OSB Webサービス・ウォレット
注意: インストーラでは、ウォレットを作成し、その他のインストール操作を実行するために、OTNとAWSの両方の資格証明が必要となります。インストーラの終了時にはAWS資格証明のみが保持され、Oracleウォレットに格納されます。AWS資格証明は、ライブラリとS3との対話を認証するためにのみ使用され、他の目的で使用および送信されることはありません。
バックアップを起動するたびに構成情報を入力しなくてよいように、OSB Cloud Moduleの構成情報をRMANリポジトリに保存することをお薦めします。
次の例は、11gリリース2より前のデータベースの場合です。
RMAN> configure channel device type sbt parms "SBT_LIBRARY=/orclhome/lib/libosbwsll.so ENV=(OSB_WS_PFILE=/orclhome/dbs/osbwst1.ora)';
using target database control file instead of recovery catalog new RMAN configuration parameters:
"SBT_LIBRARY=/orclhome/lib/libosbwsll.so ENV=(OSB_WS_PFILE=/orclhome/dbs/osbwst1.ora)'; new RMAN configuration parameters are successfully stored
この例を実行すると、システムのOSB Cloud Moduleバックアップの構成が完了し、RMANの通常のバックアップ・コマンドとリストア・コマンドを使用できるようになります。
注意: 11gリリース2以降のデータベースでは、SBT_PARMS
パラメータを使用して環境変数を指定する必要があります。
これで、ターゲット・データベースに接続し、RMANチャネルを構成できます。コマンドでライブラリと構成ファイルの両方を指定する必要があります。
次の例では、Oracle 11gリリース2のデータベースのRMANチャネルを構成します。
RMAN> run { allocate channel dev1 type sbt parms='SBT_LIBRARY=/orclhome/lib/libosbws11.so, SBT_PARMS=(OSB_WS_PFILE=/orclhome/dbs/osbwst1.ora)'; }
この時点で、RMANの通常のバックアップ・コマンドとリストア・コマンドを発行できます。
注意: Oracle 11gリリース2以降のデータベースでは、SBT_PARMS
パラメータを使用して環境変数を指定する必要があります。Oracle 11gリリース2より前のデータベースでは、PARMSオプションのENV
パラメータを使用して環境変数を指定できます。
関連項目: OTNのWebサイトの「Cloud Computing Center」ページにある「Database Backup in the Cloud」テクニカル・ホワイト・ペーパーおよび「Backup Up Database」のデモンストレーションを参照してください。 |