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Oracle® R Enterpriseユーザーズ・ガイド
リリース1.3 for Windows, Linux, Solaris, and AIX
E48232-01
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4 Oracle R Enterpriseの統計関数

この章では、最もよく使用される基本的な統計プロシージャを実行するOracle R Enterpriseの関数について説明します。これらの関数は、市販の製品からOracle R Enterpriseに切り替えるユーザーの助けとなるように設計されています。

Oracle R Enterpriseは、次の一連の関数を提供します。

また、「Oracle R EnterpriseのRモデルのバージョン」に示すore.lm()ore.stepwise()およびore.neural()も重要です。

これらの関数の使用法は、例で示します。大部分の例では、「例のデータ」に示す同じデータが使用されています。

例のデータ

ほとんどの例では、表NARROWを使用します。

NARROWは、次のように9つの列を持つore.frameです。

R> class(NARROW)
[1] "ore.frame"
attr(,"package")
[1] "OREbase"
R> names(NARROW)
[1] "ID"             "GENDER"         "AGE"            "MARITAL_STATUS"
[5] "COUNTRY"        "EDUCATION"      "OCCUPATION"     "YRS_RESIDENCE" 
[9] "CLASS"    

一部の列のみが数値です。

ore.corr

ore.corrには次の特徴があります。

  • ore.frameの複数の数値列にわたる相関分析を実行します。

  • 制御列との部分相関をサポートします。

  • 相関の前の集計を可能にします。

  • 結果の後処理およびRコード・フローへの統合を可能にします。

ore.corrの出力は、R cor()関数の出力に適合させることができます。これにより、ore.corrの出力を、R関数またはグラフィックで後処理ができます。

構文および出力については「ore.corrのパラメータ」を、例については「ore.corrの例」を参照してください。

ore.corrのパラメータ

ore.corrには、次のパラメータがあります。

  • data: ore.frameとして相関係数を計算する対象となるデータ。

  • var: 相関マトリクスを構築するdataの数値列

  • group.by: 計算する相関マトリクスを示します。ore.corrは、group.by列の一意の値と同じ数の相関マトリクスを計算します。デフォルト値はNULLです

  • weight: var列の倍数因子を提供する数値を持つdataの列。デフォルト値はNULLです。

  • partial: 部分相関の制御変数として使用するdataの列。デフォルト値はNULLです。

  • stats: 相関の計算方法。pearson(デフォルト)、spearman、kendallのうちの1つです

ore.corrは、group.byが使用されている場合を除く、すべての場合に出力としてore.frameを返します。group.byが使用されている場合は、Oracle R Enterprise listオブジェクトを返します。

ore.corrの例

次の例では、ore.corrの使用方法を示します。

これらの例では、NARROWデータ・セットを使用します。詳細は、「例のデータ」を参照してください。

基本的な相関計算

ore.corrを使用する前に、数値以外のすべての値を投影しておく必要があります。

R> names(NARROW)
 [1] "ID"             "GENDER"     "AGE"    "MARITAL_STATUS" 
"COUNTRY"        "EDUCATION"      "OCCUPATION"
 [8] "YRS_RESIDENCE"  "CLASS"          "AGEBINS"
R> NARROW=NARROW[,c(3,8,9)]

これで、次のいくつかの方法で、相関を計算します。

R> x=ore.corr(NARROW,var='AGE,YRS_RESIDENCE,CLASS')
#Calculate using Spearman
R> x=ore.corr(NARROW,var='AGE,YRS_RESIDENCE,CLASS', stats='spearman')
# Calculate using Kendall
R> x=ore.corr(NARROW,var='AGE,YRS_RESIDENCE,CLASS', stats='kendall')

部分相関

「基本的な相関計算」で作成した数値以外の値が含まれたNARROWのバージョンを使用します。

Spearmanの方法を使用した部分相関の計算:

R> x=ore.corr(NARROW,var='AGE,YRS_RESIDENCE,CLASS', stats='spearman', partial='GENDER')

いくつかの相関マトリクスの作成

「基本的な相関計算」で作成した数値以外の値が含まれたNARROWのバージョンを使用します。

いくつかの相関マトリクスを作成し、その出力をRの出力と互換性を持つように変換します。

x <- ore.corr(IRIS, var = "Sepal.Length, Sepal.Width, Petal.Length", partial = "Petal.Width", group.by = "Species") 
R> class(x)
[1] "list"

相関の視覚化

いくつかのマトリクスを計算する場合、Rパッケージを使用してそれらを視覚化できます。

ore.crosstab

クロス集計は、値からなる2つの表の間の相互依存関係を見つける統計手法です。

ore.crosstabは、ore.frameのクロス列分析を可能にします。この関数は、R table()関数の高性能なバリアントです。

ore.crosstabは、ore.freqを使用して頻度分析を実行する前に、実行する必要があります。

クロス集計は、ore.extendで説明するように様々な合計によって拡張できます。

ore.crosstabは、Rで記述されています。この関数は、データベース・サーバーで実行されるSQLにマップされています。

構文および出力については「ore.crosstabのパラメータ」を、例については「ore.crosstabの例」を参照してください。

ore.extendを使用して、クロス集計を拡張できます。

ore.crosstabのパラメータ

ore.crosstabには、次のパラメータがあります。

  • expr: クロス集計定義

    [COLUMN_SPEC] ~ COLUMN_SPEC [*<WEIGHTING COLUMN>] [/<GROUPING COLUMN>]
     [^<STRATIFICATION COLUMN>] [|ORDER_SPECIFICATION]
            COLUMN_SPEC is <column-name>[+COLUMN_SET][+COLUMN_RANGE]
            COLUMN_SET is <column_name>[+COLUMN_SET]
            COLUMN_RANGE is <FROM COLUMN>-<TO COLUMN>
    

    説明:

    COLUMN_SPEC is <column>[+COLUMN_SET][+COLUMN_RANGE]
    COLUMN_SET is <column>[+COLUMN_SET]
    COLUMN_RANGE is (<from column>-<to column>)
    ORDER_SPECIFICATION is one of [-]NAME, [-]DATA, [-]FREQ, or INTERNAL
    

    階層化列は、データのクラスタ化、つまりグループ化に使用されます。使用した場合、その値は、結果のクロス集計表のORE$STRATA列に格納されます。

  • data: クロス集計するデータを含むore.frame

  • grouping column: グループ化列の一意の値と同じ数のクロス集計を計算します。デフォルト値はNULLです。

  • order: 出力データのオプションのソートを定義します。集計列でソートするには[-]NAMEを、表における頻度カウントでソートするには[-]FREQを指定します。順序を指定しないと、最も効率的になります。オプションの「-」によって、順序が逆転します。

  • weights: 対応する行の頻度を示すdataの列。デフォルト値はNULLです。

  • partial: 部分相関の制御変数として使用するdataの列。デフォルト値はNULLです。

ore.crosstabは、複数の表が作成されている場合を除く、すべての場合に出力としてore.frameを返します。複数の表が作成されている場合、ore.crosstabは、Oracle R Enterprise listオブジェクトを返します。

ore.crosstabの例

次の例は、ore.crosstabの使用法を示しています。

これらの例では、NARROWデータ・セットを使用します。詳細は、「例のデータ」を参照してください。

単一列頻度表

最も基本的な使用例は、単一列頻度表の作成です。次のコマンドは、GENDERによってグループ化されたNARROWにフィルタを適用します。

R> ct = ore.crosstab(~AGE, data=NARROW)
R> ct

2つの列の分析

次のコマンドは、GENDERによってAGEを、CLASSによってAGEを分析します。

R> ct = ore.crosstab(AGE~GENDER+CLASS, data=NARROW)
R> head(ct)

行の重み付け

行を重み付けするには、別の列に基づいたカウントを含めます。この例では、YRS_RESIDENCEの値を使用してAGEおよびGENDERの値に重み付けします。

R> ct = ore.crosstab(AGE~GENDER*YRS_RESIDENCE, data=NARROW)
R> head(ct)

クロス集計表の行の順序付け

次のようにいくつかの方法があります。

  • 分析対象の列によるデフォルトまたはNAMEの順序付け

  • 頻度カウントによるFREQの順序付け

  • -NAMEまたは-FREQは、順序を逆転します

  • INTERNALは、順序付けをバイパスします

次に2つの例を示します。

R> ct = ore.crosstab(AGE~GENDER|FREQ, data=NARROW)
R> head(ct)
  AGE GENDER ORE$FREQ ORE$STRATA ORE$GROUP

R> ct = ore.crosstab(AGE~GENDER|-FREQ, data=NARROW)
R> head(ct)

3つ以上の列の分析

これは、次のようにSQL GROUPING SETS句の実行に似ています。

 R> ct = ore.crosstab(AGE+COUNTRY~GENDER, NARROW)

列の範囲の指定

この例に示すように、すべての列の名前を入力するかわりに、列の範囲を指定できます。

R> names(NARROW)
[1] "ID"             "GENDER"         "AGE"            "MARITAL_STATUS"
[5] "COUNTRY"        "EDUCATION"      "OCCUPATION"     "YRS_RESIDENCE" 
[9] "CLASS"    

AGE、MARITAL_STATUSおよびCOUNTRYは連続している列であるため、単純に次のように使用できます。

ct = ore.crosstab(AGE-COUNTRY~GENDER, NARROW)

同等のバージョンは次のようになります

ct = ore.crosstab(AGE+MARITAL_STATUS+COUNTRY~GENDER, NARROW)

別の列の値ごとに1つのクロス表の作成

このコマンドは、別の列COUNTRYの一意の値ごとに1つのクロス表(AGE, GENDER)を作成します。

R> ct=ore.crosstab(~AGE/COUNTRY, data=NARROW)
R> head(ct)

これを複数の列に拡張できます。たとえば、このコマンドは、(COUNTRY, GENDER)の一意の組合せごとに1つの(AGE, EDUCATION)表を作成します。

R> ct = ore.crosstab(AGE~EDUCATION/COUNTRY+GENDER, data=NARROW)

階層化によるクロス集計の拡張

前述のクロス集計は、すべて、階層化によって拡張できます。次に例を示します。

R> ct = ore.crosstab(AGE~GENDER^CLASS, data=NARROW) 
R> head(ct)

この例のコマンドは、次のものと同じです。

ct = ore.crosstab(AGE~GENDER, NARROW, strata="CLASS")

カスタム・ビニングとその後のクロス集計

最初にAGEをビニングし、次にGENDERおよびそのビンのクロス集計を計算します。

R> NARROW$AGEBINS=ifelse(NARROW$AGE<20, 1, ifelse(NARROW$AGE<30,2, ifelse(NARROW$AGE<40,3,4)))
R> ore.crosstab(GENDER~AGEBINS, NARROW)

ore.extend

ore.crosstabを使用して作成されたクロス集計は、次の3つの統計でさらに拡張できます。

  • 行および列の合計

    crosstab = ore.extend.sum(crosstab)
    
  • 表のセルごとの累積合計

    crosstab = ore.extend.cumsum(crosstab)
    
  • 表全体の合計

    crosstab = ore.extend.total(crosstab)
    

次の例は、ore.extendを示しています。

R> ct <- ore.crosstab(GENDER~CLASS, NARROW)
R> ore.freq(ct)
  METHOD    FREQ DF PVALUE              DESCR GROUP
1 PCHISQ 72.4241  1      0 Pearson Chi-Square     1

ore.freq

ore.crosstabは、ore.freqを使用して頻度分析を実行する前に、実行する必要があります。

ore.freqは、ore.crosstabの出力を分析し、ore.crosstabの結果に関連する手法を自動的に判別します。手法は、クロス表の種類に応じて異なります。

  • 1方向のクロス表

    同等の比率または指定したNULL比率に対する適合度検定、信頼度の限度と同等性のテスト。

  • 2方向のクロス表

    • クロス集計における列の間の関係を記述する様々な統計

    • カイ二乗検定、Cochran-Mantel-Haenzsel統計、属性相関、関連の強固性、リスクの相違、オッズ比および2x2表の相対リスク、トレンドの検定

  • N方向のクロス表

    • N 2方向のクロス表

    • 階層内または階層にわたる統計

ore.freqは、使用可能な場合はOracle Database SQL関数を使用します

構文および出力については「ore.freqのパラメータ」を、例については「ore.freqの例」を参照してください。

ore.freqのパラメータ

ore.freqでは、次のパラメータがサポートされています。

  • crosstab: ore.crosstab()から出力されるore.frameオブジェクト

  • stats: 必要な統計のリスト。次の統計がサポートされています。

    • カイ二乗: AJCHI、LRCHI、MHCHI、PCHISQ

    • カッパ: KAPPA、WTKAP

    • lambda: LAMCR、LAMRC、LAMDAS

    • 相関: KENTB、PCORR、SCORR

    • スチュアートのタウ、ソマーズ: D|C、STUTC、SMDCR、SMDRC

    • フィッシャー、コクランのQ、FISHER、COCHQ

    • オッズ比: OR、MHOR、LGOR

    • 相対リスク: RR、MHRR、ALRR

    • その他: MCNEM、PHI、CRAMV、CONTGY、TSYM、TREND、GAMMA

    デフォルト値は「NULL」です。

  • Params: statsで指定される統計関数固有の制御パラメータ:

    • SCORE: TABLE|RANK|RIDIT|MODRIDIT

    • ALPHA: 数値

    • WEIGHTS: 数値

    デフォルト値は「NULL」です。

  • skip.missing: クロス表内の値が欠落しているセルをスキップします(TRUEまたはFALSE)。デフォルト値はFALSEです。

  • skip.failed: クロス表に対して必要な統計検定が、その表に適用不可であるために失敗した場合、ただちに返されます(TRUEまたはFALSE)。デフォルト値はFALSEです。

ore.freqは、すべての場合にore.frameを返します。

ore.freqの例

これらの例では、NARROWデータ・セットを使用します。詳細は、「例のデータ」を参照してください。

ore.freqを使用する前に、クロス集計を計算する必要があります。

次に例を示します。

R> ct = ore.crosstab(~GENDER, NARROW)
R> ore.freq(ct)
  METHOD     FREQ DF PVALUE      DESCR GROUP
0   PCHI 161.9377  1      0 Chi-Square     1

ore.rank

ore.rankは、ore.frameの数値列の値の分布を分析します。

ore.rankは、次のような便利な機能をサポートします。

  • グループ内のランキング

  • ランク・タイルに基づいた、グループへの行のパーティショニング

  • 累積パーセンテージおよびパーセンタイルの計算

  • 同順位の処理

  • ランクからの標準スコアの計算

ore.rank構文は、対応するSQL問合せより単純です。

構文については「ore.rankのパラメータ」を、例については「ore.rankの例」を参照してください。

ore.rankのパラメータ

ore.rankでは、次のパラメータがサポートされています。

  • data: ランキングするデータを含むore.frame

  • var: ランキングするdata内の数値列

  • desc: desc=TRUEである場合、降順にランキングします。それ以外の場合は、昇順でランキングします。(デフォルトは、昇順のランキングです。)

  • groups: ランクに基づいて行を#グループにパーティショニングします。パーセンタイルの場合はgroups=100、十分位数の場合はgroups=10、四分位数の場合はgroups=4です。

    デフォルト値は「NULL」です。

  • group.by: group.by列で識別される各グループを別々にランキングします。

    デフォルト値は「NULL」です。

  • ties: 同順位の処理方法を指定します。tiesを処理する方法は、同順位の値に、対応するランクのうちの最大、最小または中間のものを割り当てることです。

    デフォルト値は「NULL」です。

  • fraction: 列値のランクを欠落していない列値の数で除算したもの。デフォルト値はFALSEです。

    nplus1とともに使用して、累積分布関数を見積ります

  • nplus1: fractionに1を加算したもの。つまり、欠落していない列値の数で列値のランクを除算したものを1に加算したもの。デフォルト値はFALSEです。

    fractionとともに使用して、累積分布関数を見積ります。

  • percent: fractionをパーセント値、つまりfraction * 100に変換したもの。

ore.rankは、すべての場合にore.frameを返します。

次のRスコアリング・メソッドをore.rankとともに使用できます。

  • ランクから指数スコアを計算するには、savageを使用します。

  • 正規スコアを計算するには、blomtukeyまたはvw(ファン・デル・ヴェルデン)の1つを使用します。

ore.rankの例

次の例は、ore.rankの使用方法を示しています。

これらの例では、NARROWデータ・セットを使用します。詳細は、「例のデータ」を参照してください。

2つの列のランキング

この例では、2つの列AGEとCLASSをランキングし、派生列としてその結果をレポートします。値は、デフォルトの順序(昇順)でランキングされます。

R> x <- ore.rank(data=NARROW, var='AGE=RankOfAge, CLASS=RankOfClass')

同順位の処理

この例では、2つの列AGEとCLASSをランキングします。同順位がある場合、同順位のすべての値に最小値が割り当てられます。

R> x <- ore.rank(data=NARROW, var='AGE=RankOfAge, CLASS=RankOfClass', ties='low')

グループ内のランキング

この例では、2つの列AGEとCLASSをランキングし、COUNTRYに従ってその値をランキングします。

R> x <- ore.rank(data=NARROW, var='AGE=RankOfAge, CLASS=RankOfClass', group.by='COUNTRY')

十分位数へのパーティショニング

この例では、2つの列AGEとCLASSをランキングし、その列を十分位数(10パーティション)にパーティショニングします。

R> x <- ore.rank(data=NARROW, var='AGE=RankOfAge, CLASS=RankOfClass',groups=10)

列を異なる数のパーティションにパーティショニングするには、groupsの値を変更します。たとえば、groups=4では、四分位数にパーティショニングされます。

累積分布関数の見積り

この例では、2つの列AGEとCLASSをランキングし、両方の列の累積分布関数を見積ります。

R> x <- ore.rank(data=NARROW, var='AGE=RankOfAge, CLASS=RankOfClass',nplus1=TRUE)

ランクのスコアリング

この例では、2つの列AGEとCLASSをランキングし、2つの異なる方法でそのランクをスコアリングします。最初のコマンドが、列をパーセンタイル(100グループ)にパーティショニングします。savageが指数スコアを計算し、blomが正規スコアを計算します。

R> x <- ore.rank(data=NARROW, var='AGE=RankOfAge,            CLASS=RankOfClass',score='savage', groups=100, group.by='COUNTRY')
R> x <- ore.rank(data=NARROW, var='AGE=RankOfAge, CLASS=RankOfClass',score='blom')

ore.sort

ore.sortは、by句で指定した1つ以上の列に沿ったデータ・フレームの柔軟なソートを可能にします。

ore.sortは、他のデータ事前処理関数とともに使用できます。ソートの結果を、Rの視覚化への入力に使用できます。

ore.sortのソートは、Oracle Database内で実行されます。ore.sortでは、データベースnls.sortオプションがサポートされます。

構文については「ore.sortのパラメータ」を、例については「ore.sortの例」を参照してください。

ore.sortのパラメータ

ore.sortでは、次のパラメータがサポートされています。

  • data: ソートするデータを含むore.frame。必須

  • by: data内でデータをソートする基準となる列。必須

  • stable: 相対順序を、ソートされたグループ内で保持します(TRUEまたはFALSE)。デフォルト値はFALSEです。

  • reverse: 文字変数の照合順序を逆転します(TRUEまたはFALSE)。デフォルト値はFALSEです。

  • unique.keys: ソート対象の列内の重複する値を持つ観測データを削除します(TRUEまたはFALSE)。デフォルト値はFALSEです。

  • unique.data: すべての列内の重複する値を持つ観測データを削除します(TRUEまたはFALSE)。デフォルト値はFALSEです。

dataおよびbyは必須パラメータです。その他のパラメータはすべてオプションです。

ore.sortは、ore.frameを返します。

ore.sortの例

次の例は、ore.sortの使用方法を示しています。

これらの例の大部分では、NARROWデータ・セットを使用します。詳細は、「例のデータ」を参照してください。また、ONTIME_Sを使用した例もあります。

降順での列のソート

列AGEおよびGENDERを降順でソートします。

R> x=ore.sort(data=NARROW, by='AGE,GENDER', reverse=TRUE)

列ごとに異なる順序でソート

AGEを降順で、GENDERを昇順でソートします。

R> x=ore.sort(data=NARROW,by='-AGE,GENDER')

ソートして一意の値ごとに1つの行を返す

AGEを基準にソートし、AGEの一意の値ごとに1つの行を保持します。

R> x=ore.sort(data=NARROW,by='AGE', unique.key=TRUE)

重複列の削除

AGEを基準にソートし、重複する行を削除します。

R> x=ore.sort(data=NARROW,by='AGE', unique.data=TRUE)

重複列を削除し、一意の値ごとに1つの行を返す

AGEを基準にソートします。また、重複する行を削除し、AGEの一意の値ごとに1つの行を返します。

R> x=ore.sort(data=NARROW,by='AGE', unique.data=TRUE, unique.key = TRUE)

出力内での相対順序の保持

ソートされた出力内で相対順序を保持します。

R> x=ore.sort(data=NARROW,by='AGE', stable=TRUE)

ONTIME_Sを使用した例

次の例では、Oracle R EnterpriseをインストールしたときにインストールされているONTIME_Sエアラインのデータを使用します。

  • ONTIME_Sをエアライン名を基準に降順で、出発の遅延を昇順でソートします。

    R> sortedOnTime1 <- ore.sort(data=ONTIME_S, by='-UNIQUECARRIER,DEPDELAY')
    
  • ONTIME_Sをエアライン名および出発の遅延でソートし、各組合せの1つを選択します(つまり、一意のキーを返します)。

    R> sortedOnTime1 <- ore.sort(data=ONTIME_S, by='-UNIQUECARRIER,DEPDELAY', unique.key=TRUE)
    

ore.summary

ore.summaryは、記述統計を計算し、柔軟な行の集計とともに、ore.frame内の列の広範な分析をサポートします。

ore.summaryでは、次の統計がサポートされています。

  • 平均、最小、最大、モード、欠落値の数、合計、加重和

  • 二乗の補正および未補正合計、値の範囲、stddev、stderr、分散

  • 母平均が0であるという仮定をテストするためのt検定

  • 尖度、歪度、変動係数

  • 分位: p1、p5、p10、p25、p50、p75、p90、p95、p99、qrange

  • 平均の片側および両側信頼限界: clm、rclm、lclm

  • 極値のタグ付け

ore.summaryは、同じ結果について、SQL問合せと比べて単純な構文を提供します。

構文については「ore.summaryのパラメータ」を、例については「ore.summaryの例」を参照してください。

ore.summaryのパラメータ

ore.summaryでは、次のパラメータがサポートされています。

  • data: ore.frameとして集計するデータ

  • class: 集計するdataの列(つまり、SQL GROUP BY)。デフォルト値はNULLです

  • var: 統計関数を適用するdataの列(SQL SELECTリスト)

  • stats: varの列に適用する統計関数のリスト

    var列に対して要求できるmean、min、max、cnt、n、nmiss、css、uss、cv、sum、sumwgt、range、stddev、stderr、var、t、kurt、skew、p1、p5、p10、p25、p50、p75、p90、p95、p99、qrange、lclm、rclm、clm、mode

    デフォルト値はn、mean、min、maxです。

  • weight: var列の乗数的因子を提供する数値を持つdataの列

  • maxidminid: グループごとに、dataの他の列の最大または最小値をリストします。デフォルト値はNULLです

  • ways: 出力をclass変数の特定のグループ化レベルのみに制限します。デフォルト値はNULLです

  • group.by: サマリー結果を階層化する対象のdataの列。デフォルト値はNULLです

  • order: 出力データのオプションのソートを定義します。集計列でソートするには[-]NAMEを、表における頻度カウントでソートするには[-]FREQを指定します。順序を指定しないと、最も効率的になります。オプションの「-」によって、順序が逆転します。

  • _FREQ: 頻度。1つのグループ内の観測データの数

  • _TYPE: グループ化を識別します。バイナリ・コード・ベースです

  • _LEVEL: グループ化で使用される変数の数を識別します

ore.summaryは、group.by句が使用されている場合を除く、すべての場合に出力としてore.frameを返します。group.by句が使用されている場合、ore.summaryは、階層ごとに1フレームずつore.frameオブジェクトのリストを返します。

ore.summaryの例

次の例は、ore.summaryの使用法を示しています。

これらの例では、NARROWデータ・セットを使用します。詳細は、「例のデータ」を参照してください。

デフォルトの統計の計算

この例では、列AGEおよびCLASSの平均、最小、最大を計算し、GENDERをロールアップ(集計)します。

R> ore.summary(NARROW, class='GENDER', var ='AGE,CLASS', order='freq')

歪度およびt検定

この例では、列AとしてAGEの歪度と、列BとしてCLASSのt検定を計算します。

R> ore.summary(NARROW, class='GENDER', var='AGE,CLASS',  stats='skew(AGE)=A, probt(CLASS)=B')

重み付け合計

この例では、YRS_RESIDENCEを重みとしてGENDERによって集計されたAGEの重み付けされた合計を計算します。つまりsum(var*weight)を計算します。

R> ore.summary(NARROW, class='GENDER', var='AGE', stat='sum=X', weight='YRS_RESIDENCE')

2つの別々のGroup By列

GENDERおよびMARITAL_STATUSでCLASSをグループ化します。

R> ore.summary(NARROW, class='GENDER, MARITAL_STATUS', var='CLASS', ways=1)

すべての適用可能なGroup By

この例では、GENDERおよびMARITAL_STATUSによってすべての適用可能な方法でCLASSをグループ化します。

R> ore.summary(NARROW, class='GENDER, MARITAL_STATUS', var='CLASS', ways='nway')

ore.univariate

ore.univariateは、ore.frameの数値変数の分布分析を提供します。

ore.univariateは、次の統計を提供します。

  • ore.summaryによってレポートされるすべての統計

  • 符号順位検定、スチューデントのt-検定

  • 極値のレポート

構文については「ore.univariateのパラメータ」を、例については「ore.univariateの例」を参照してください。

ore.univariateのパラメータ

ore.univariateでは、次のパラメータがサポートされています。

  • data: ore.frameとして集計するデータ

  • var: 分析するdata内の数値列

  • weight: var列の倍数因子を提供する数値を持つdataの列。デフォルト値はNULLです

  • stats: 計算および表示する統計のサブセットの指定(オプション)

    • moments: n、sumwgt、mean、sum、stddev、var、skew、kurt.、uss.css.cv、stderr

    • measures: mean、stddev、median、var、mode、range、iqr

    • quantiles: p100、p99、p95、p90、p75、p50、p25、p10、p5、p1、p0

    • location: studentt、studentp、signt、signp、srankt、srankp

    • normality

    • loccount: loc<、loc>、loc!

    • extremes

    デフォルト値は「NULL」です。

ore.univariateは、すべての場合に出力としてore.frameを返します。

ore.univariateの例

次の例は、ore.univariateの使用法を示しています。

これらの例では、NARROWデータ・セットを使用します。詳細は、「例のデータ」を参照してください。

デフォルト単変量統計

この例では、AGE、YRS_RESIDENCEおよびCLASSのデフォルトの単変量統計を計算します。

R> ore.univariate(NARROW, var="AGE,YRS_RESIDENCE,CLASS")

位置統計

この例では、YRS_RESIDENCEの位置統計を計算します。

R> ore.univariate(NARROW, var="YRS_RESIDENCE",stats="location")

完全な分位統計

この例では、AGEおよびYRS_RESIDENCEの完全な分位統計を計算します。

R> ore.univariate(NARROW, var="AGE,YRS_RESIDENCE",stats="quantiles")