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Oracle® Real Application Clustersインストレーション・ガイド
11g リリース2 (11.2) for Linux and UNIX Systems
B56272-08
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6 サーバー・プールおよびOracle Enterprise Manager Database Controlの構成

この章では、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境でのサーバー・プールおよびOracle Enterprise Manager Database Controlの構成について説明します。この章の内容は次のとおりです。

6.1 サーバー・プールの理解

サーバー・プールとは、クラスタをサーバーのプールに論理的に分割したもので、ホスト・データベースなどのアプリケーションに対して割り当てられます。サーバー・プールは、crsctlおよびsrvctlコマンドを使用して管理します。


注意:

デフォルトでは、すべての名前付きユーザーがサーバー・プールを作成できます。この権限を持つオペレーティング・システム・ユーザーを制限するには、CRS管理者リストに特定のユーザーを追加することをお薦めします。


関連項目:

CRS管理者リストへのユーザーの追加の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

各サーバー・プール名は、クラスタ内で一意である必要があります。2つのサーバー・プールで同じ名前を使用することはできません。

サーバー・プールの管理には、次の2種類があります。

  • 管理者型管理: データベース・リソースを実行するサーバーをデータベース管理者が定義し、必要に応じてリソースを手動で配置します。これは、以前のリリースで使用されていた管理方法です。

  • ポリシー管理型: データベース管理者は、データベース・リソースを実行するサーバー・プール(汎用サーバー・プールおよび空きサーバー・プールを除く)を指定します。Oracle Clusterwareによって、データベース・リソースがサーバーに配置されます。

    サーバー・プール名は必須属性です。次の属性の値も指定できます。指定しない場合は、デフォルト値に設定されます。

    • MIN_SIZE: リソースを実行するサーバーの最小数。デフォルトは0です。

    • MAX_SIZE: リソースを実行するサーバーの最大数。デフォルトは-1です。これはクラスタ内の使用可能なすべてのノードでリソースを実行できることを示します。

    • IMPORTANCE: リソース・プールの相対的な重要度。クラスタに対してノードの追加または削除が行われたときにサーバーを再構成する方法を決定するために使用されます。デフォルトは0です。


    注意:

    クライアントがポリシー管理型のサーバー・プールを使用するOracle Database release 11g リリース2以上のデータベースを使用している場合は、単一クライアント・アクセス名(SCAN)を使用してデータベースにアクセスすることをお薦めします。ポリシー管理データベースのインスタンスは異なる時期に異なるサーバー上で動作可能であり、ポリシー管理型データベースの特定のノードまたはインスタンスに仮想IP (VIP)アドレスを使用して接続することができないため、SCANの使用を強くお薦めします。

6.1.1 Oracle RAC One Nodeとサーバー・プール

Oracle RAC One Nodeとサーバー・プールについて次の点に注意してください。

  • Oracle RAC One Nodeは、1つのサーバー・プールのみで実行されます。このサーバー・プールは、他のサーバー・プールと同様に処理されます。

  • Oracle RAC One Nodeデータベース・インスタンスのオンライン再配置によって、ノード間でのOracle RAC One Nodeデータベースを計画的に移行できます。再配置は、常にサーバー・プール内で行う必要があります。

  • WLM統合では、ターゲット・サーバーがすでにサーバー・プール内に存在するか、または空きサーバー・プールに存在する必要があるため、Oracle RAC One Nodeデータベース・インスタンスのオンライン再配置処理では、重要度が低い値に設定されていると、サーバーがサーバー・プールから移行されることはありません。

  • Oracle RAC One Nodeデータベースは、Data Guardのフィジカル・スタンバイにできます。

6.1.2 ポリシーベースでのクラスタおよび容量の管理

データベース管理者は、ポリシーベースのサーバー・プール管理を行って、ワークロードのリソース要件を次のように定義します。

  • そのアプリケーションに対して優先されるサーバーまたはインスタンスの数を定義します。Oracle Clusterwareは、物理的に使用可能なリソースを指定された数まで自動的に割り当てます。また、必要に応じて、別のノードへのリソースの再配置も行います。

  • そのアプリケーションのサポートに必要なインスタンスの数を定義します。

リソースは、特定のインスタンスまたはノードに属するものとして定義されなくなりました。かわりに、リソース要件の優先度が定義されます。


関連項目:

『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』

6.2 インストール中およびインストール後のDatabase Controlの構成

次の項では、Oracle Enterprise Manager Database ControlをOracle RACのインストール中に構成する方法およびインストール後に構成する方法について説明します。

6.2.1 Oracle RACでEMCAを使用する方法の理解

各EMCAコマンドはOracle RAC環境で使用できます。また、特定のEMCAコマンドはクラスタの構成にのみ適用できます。EMCAクラスタ・コマンドを実行するには、-clusterフラグを使用します。このフラグは、EMCAのほとんどの動作モードで使用できます。

EMCAを使用してOracle RACのDatabase Controlを構成する場合は、クラスタ内のインスタンスごとにDatabase Controlを構成します。ただし、デフォルトでは、Database Controlコンソールはローカル・ノードのみで起動されます。クラスタ内の他のすべてのノードでは、Enterprise Managerエージェントのみが起動されます。これは、データベースに対してDatabase Controlコンソールが多数の接続をオープンするためです。コンソールのインスタンスがクラスタ内のすべてのホストで実行されている場合、32ノードまたは64ノードの環境でのオープンしている接続の許容最大数を簡単に超えてしまう可能性があります。

Database Controlコンソールがローカル・ノードで起動されている場合、他のすべてのノードでコマンドemctl start dbconsoleおよびemctl stop dbconsoleを実行しても、エージェントのみが起動および停止されます。各リモート・エージェントは、ローカル・ノードで実行されているコンソールにそれぞれのデータをアップロードします。ユーザーはクラスタ内のすべてのターゲットをローカル・ノードから監視および管理できます。Oracle RACデータベースのインスタンスごとに、次のサブディレクトリが作成されます。nodename はクラスタ内のノードの名前、DBUniqueName はデータベースの一意の名前です。

$ORACLE_HOME/nodename_DBUniqueName
$ORACLE_HOME/nodename_DBUniqueName

ただし、Database Controlで構成された既存のOracle RAC 10g リリース1データベースを最新のリリースにアップグレードしても、既存のDatabase Control構成が保持されることに注意してください。既存のDatabase Controlには、各クラスタ・ノードで実行されるデータベース・コンソールがあります。このコンソールは、引き続き各ノードで起動されます。

既存の構成を変更する場合は、次のコマンドを使用します。

emca -reconfig dbcontrol –cluster –EM_NODE nodename -EM_NODE_LIST NODE_list

nodename はノードのパブリック名、NODE_list はカンマ区切りのノード・リストです。このコマンドによって、Database Controlの現在の設定が再構成され、次の処理が順に実行されます。

  1. Database Controlコンソールがnodename で起動されます(起動されていない場合)。

  2. NODE_list のデータベース・インスタンスを監視するエージェントがリダイレクトされ、nodename で実行されているコンソールにそのデータがアップロードされます。また、nodename 上のデータベース・インスタンスを監視するエージェントによって、そのデータがローカルのコンソールにアップロードされます。コマンド・オプション-EM_NODEまたは-EM_NODE_LISTをコマンドラインに入力しなかった場合、入力を求めるプロンプトが表示されることに注意してください。

プロンプトが表示されても-EM_NODEを指定しなかった場合は、ローカル・ノードにデフォルト設定されます。-EM_NODE_LISTを指定しなかった場合は、データベースが構成されているすべてのノードにデフォルト設定されます。

このコマンドを使用して、複数のノードでコンソールを起動します。たとえば、node1node2node3node4node5node6node7およびnode8が含まれている8ノード・クラスタでは、次のコマンドを連続して実行できます。

$ emca -reconfig dbcontrol –cluster –EM_NODE node1 -EM_NODE_LIST node2,node3,node4
$ emca -reconfig dbcontrol –cluster –EM_NODE node5 -EM_NODE_LIST node6,node7,node8

この例では、2つのDatabase Controlコンソール(node1で1つ、node5で1つ)が実行されます。クラスタ内のすべてのターゲットは、いずれのコンソールからでも管理および監視できます。

クラスタの現行の構成情報が必要な場合は、次のコマンドを実行できます。

$ emca -displayConfig dbcontrol –cluster

注意:

コマンドemca -clusterを使用して、Oracle RACに対してDatabase Controlを構成する場合は、環境変数TNS_ADMINをすべてのクラスタ・ノードで確認してください。ノードごとに異なったTNS_ADMINが設定されていると、ターゲットのリスナーを正しく構成できません。その場合は、TNS_ADMINをすべてのクラスタ・ノードで同じ設定にしてから、emca -clusterコマンドを実行してください。

クラスタの新しく追加したノード用にEnterprise Managerを構成するには、次のコマンドを使用します。

$ emca -addNode db

ポリシー管理型のデータベースで一般的なもう一つの操作に、クラスタ・ノードの追加と削除があります。新規ノードを追加した後、EMCAを実行し、emca -addNode dbコマンドを使用して、ノードに対するDatabase Controlまたは集中エージェント管理を構成できます。EMCAの実行では、残りのクラスタ・データベース・インスタンスと一貫性のある方法でインスタンスを管理できるように、Enterprise Managerの構成のみを行います。

新規ノードに対してEnterprise Managerを構成する場合は、ノードの追加後にのみEMCAコマンドを実行します。また、Enterprise Managerが構成済であるクラスタのノードからコマンドを実行します。その既存ノードのEnterprise Managerの構成設定が、コマンドを実行すると新規ノードに伝播されるためです。-addNodeオプションはOracle RAC環境でのみ使用できるため、コマンドラインで-clusterオプションを使用する必要はありません。

emca -addNode dbコマンドを実行した後、ノードおよびデータベースに対してノード名およびデータベースの一意の名前を入力します。次に例を示します。

Node name: node2
Database Unique Name: EM102

クラスタから削除する特定のノードのEnterprise Managerの構成を解除するには、削除するノードから別のノードにログインし、emca -deleteNode dbコマンドを使用します。このコマンドを実行すると、Enterprise Manager構成が削除され、ノードでのEnterprise Managerによるインスタンスの管理ができなくなります。EMCAコマンドを実行してから、クラスタ・ノードを削除するようにします。このオプションはOracle RAC環境でのみ使用できるため、コマンドラインで-clusterオプションを使用する必要はありません。

6.2.2 インストール中のDatabase Controlの構成

Oracle RAC 11g リリース2(11.2)のインストール中にデータベースを作成する場合は、そのデータベースをOracle Enterprise Manager 10g Grid ControlコンソールまたはOracle Enterprise Manager 11g Database Controlコンソールで管理できるように構成できます。

管理オプションとしてGrid Controlコンソールを選択するには、Oracle Management Serviceがネットワーク・ホストにインストールされている必要があります。また、データベースをインストールするホストにOracle Management Agentがインストールされている必要もあります。そうでない場合、Grid Controlコンソール・オプションは使用できないため、Database Controlでデータベースを管理する必要があります。

Oracle RAC 11g リリース2(11.2)のほとんどのインストール・タイプでは、インストール中にデータベースを作成する場合、Database ControlまたはGrid Controlのいずれかを管理オプションとして選択する必要があります。

ただし、次のいずれかの方法でデータベースを作成する場合は、Database Controlを構成しないようにすることができます。

  • Enterprise EditionまたはStandard Editionのインストール中に、「詳細」データベース構成オプションを選択する方法

  • インストール後にDatabase Configuration Assistant(DBCA)を実行する方法

Oracle RAC 11g リリース2(11.2)のインストール中にDatabase Controlを構成しない場合は、作成されるOracleホーム・ディレクトリ内にhostname_dbuniquename ディレクトリは作成されません。

6.2.3 DBCAを使用したDatabase Controlの構成

既存のOracle Database 11g リリース2(11.2)データベースをDatabase Controlで管理できるように構成する場合、通常はDBCAを使用します。DBCAを使用すると、新しいデータベースを作成したり、既存のデータベースを再構成することができます。


関連項目:

DBCAを使用した新しいデータベース・インスタンスの作成の詳細はOracle Database 2日でデータベース管理者のオンライン・ヘルプのOracleソフトウェアのインストールとデータベースの構築に関する説明、DBCAを使用したOracle RACの例についてはOracle Enterprise Manager Real Application Clustersガイドのオンライン・ヘルプを参照してください。

DBCAを使用して、Database Controlで管理できるようにデータベースを再構成するには、次の手順を実行します。

  1. Oracleソフトウェアをインストールし、データベースを作成して実行することを許可されている管理グループのメンバーとして、データベース・ホストにログインします。

  2. DBCAを起動し、ディレクトリをORACLE_HOME/binディレクトリに変更して、次のコマンドを入力します。

    $ ./dbca
    

    DBCAの「ようこそ」ページが表示されます。

  3. 「操作」ページに進み、「データベース・オプションの構成」を選択します。

  4. 「データベース」ページに進み、構成するデータベースを選択します。

  5. 「管理オプション」ページに進み、次のオプションを選択します。

    • Enterprise Managerによるデータベースの構成

    • データベース管理にDatabase Controlを使用

  6. 必要に応じて、電子メール通知および日次バックアップを有効にするオプションを選択します。

    Enterprise Managerの通知および日次バックアップの詳細を参照するには、「管理オプション」ページの「ヘルプ」をクリックしてください。

  7. 「終了」ボタンが使用できるようになるまで進みます。

  8. 「終了」をクリックして、Database Controlが使用されるようにデータベースを再構成します。

    DBCAによるデータベースの再構成が終了すると、Oracleホームに新しいサブディレクトリが作成されます。このディレクトリには、次の書式で名前が付けられ、前述の手順で構成したデータベースに固有の、Database Controlの構成と状態に関するファイルが含まれます。

    hostname_dbuniquename
    

    クラスタ・データベースの場合、ディレクトリはnodename_dbuniquenameという名前になることに注意してください。次に例を示します。

    mycluster1.example.com_myNewDB
    

6.2.4 EMCAを使用したインストール後のDatabase Controlの構成

DBCAを使用してOracle RAC 11g リリース2(11.2)を構成する場合は、Database Controlオプションの選択およびデータベースの他の側面の構成に役立つグラフィカル・ユーザー・インタフェースがDBCAによって提供されます。ただし、オペレーティング・システムのコマンドラインを使用してDatabase Controlを構成する必要がある場合は、Enterprise Manager Configuration Assistant(EMCA)を使用できます。


注意:

EMCAを使用してDatabase Controlを構成している間は、データベースを使用できなくなる場合があります。ユーザーは、データベースに接続することも、データベースで操作を実行することもできない場合があります。

EMCAを使用してDatabase Controlを構成するには、次の手順を実行します。

  1. 環境変数ORACLE_HOMEを設定して、管理するデータベースのOracleホームを指定します。

  2. ディレクトリをORACLE_HOME/binディレクトリに変更します。

  3. 表6-1に示されているオプションのコマンドライン引数を指定して次のコマンドを入力することによってEMCAを起動します。

    $ ./emca 
    

    EMCAのコマンドラインで指定した引数に応じて、Database Controlの構成に必要な情報の入力を求めるプロンプトが表示されます。

    たとえば、次のコマンドを入力すると、データベースの日次バックアップを自動的に実行するようにDatabase Controlが構成されます。

    $ ./emca -config dbcontrol db -backup
    

EMCAコマンドの形式は次のとおりです。

emca [operation] [mode] [flags] [parameters]

注意:

Oracle ASMを使用するシングル・インスタンス・データベースのデータベース・コンソールを構成する場合、EMCAコマンドを使用して追加のパラメータを提供する必要はありません。Oracle ASMインスタンスを自動的に検出するデータベース・コンソールを構成するには、次のコマンドを実行します。
emca -config dbcontrol db -repos create

表6-1は有効な実行操作とモードを示しています。オプションのパラメータにはカッコが付いています。表6-2はフラグとその動作を示し、表6-3はオプションのパラメータの詳細な定義を示しています。EMCAパラメータの形式は[ -parameterName parameterValue ]です。コマンドラインでは、複数のパラメータを組み合せて使用できます。

表6-1 EMCAのコマンドライン操作

コマンド 説明

emca -h | --h | -help | --help

このオプションは、EMCAユーティリティのヘルプ・メッセージを表示する場合に使用します。表6-1表6-2および表6-3のオプションおよび指定できる有効なパラメータが表示されます。

emca –version

EMCAに関連付けられているバージョン情報を出力します。

emca -config dbcontrol db [-repos (create | recreate)] [-cluster] [-silent] [-backup] [parameters]

データベースに対してDatabase Controlを構成します。Database Controlリポジトリの作成(再作成)、自動バックアップの構成、クラスタ・データベースでの対象操作の実行などのオプションがあります。

emca -config centralAgent (db | asm) [-cluster] [-silent] [parameters]

データベース・インスタンスまたはOracle Automatic Storage Management(ASM)インスタンスに対して集中エージェント管理を構成します。この操作をクラスタ環境で実行するオプションなどがあります。この操作を実行すると、Oracle Enterprise Manager 10g Grid Controlコンソールで集中管理できるようにデータベースが構成されます。このオプションを使用するには、Enterprise ManagerのOracle Management Serviceコンポーネントをネットワーク・ホストに事前にインストールしておく必要があります。また、データベースを実行しているホストにOracle Management Agentがインストールされている必要もあります。

emca -config all db [-repos (create | recreate)] [-cluster] [-silent] [-backup] [parameters]

データベースに対してDatabase Controlと集中エージェント管理の両方を構成します。指定可能な構成オプションは、前述のオプションと同様です。

emca -deconfig dbcontrol db [-repos drop] [-cluster] [-silent] [parameters]

データベースに対するDatabase Controlの構成を解除します。Database Controlリポジトリの削除、クラスタ・データベースでの対象操作の実行などのオプションがあります。たとえば、このコマンドは、削除予定のデータベースからDatabase Control構成を削除する場合に使用します。そのような場合は、Database Control構成を削除してからデータベースを物理的に削除します。この操作では、実際のデータベースまたはそのデータ・ファイルは削除されません。

emca -deconfig centralAgent (db | asm) [-cluster] [-silent] [parameters]

データベース・インスタンスまたはOracle ASMインスタンスに対する集中エージェント管理の構成を解除します。この操作をクラスタ環境で実行するオプションなどがあります。たとえば、このコマンドは、削除予定のデータベースから集中エージェント管理の構成を削除する場合に使用します。そのような場合は、集中エージェント管理の構成を削除してからデータベースを物理的に削除します。この操作では、実際のデータベースまたはそのデータ・ファイルは削除されません。

emca -deconfig all db [-repos drop] [-cluster] [-silent] [parameters]

データベースに対するDatabase Controlと集中エージェント管理の両方の構成を解除します。指定可能な構成解除オプションは、前述のオプションと同様です。

emca -addNode (db | asm) [-silent] [parameters]

データベースまたはASMの記憶域の新しいクラスタ・インスタンスに対してEnterprise Managerを構成します。

詳細は、「Oracle RACでEMCAを使用する方法の理解」を参照してください。

emca -deleteNode (db | asm) [-silent] [parameters]

削除されるノードに対するEnterprise Managerの構成を解除します。詳細は、「Oracle RACでEMCAを使用する方法の理解」を参照してください。詳細は、「Oracle RACでEMCAを使用する方法の理解」を参照してください。

emca -addInst (db | asm) [-silent] [parameters]

データベースまたはOracle ASMの記憶域の新しいクラスタ・インスタンスに対してEnterprise Managerを構成します。詳細は、「Oracle RACでEMCAを使用する方法の理解」を参照してください。

emca -deleteInst (db | asm) [-silent] [parameters]

クラスタ・データベースまたはOracle ASMの記憶域の特定のインスタンスに対するEnterprise Managerの構成を解除します。詳細は、「Oracle RACでEMCAを使用する方法の理解」を参照してください。

emca -reconfig ports [-cluster] [parameters]

Database Controlのポートを明示的に再割当てします。この操作をクラスタ環境で実行するオプションなどがあります。詳細は、「Database Controlで使用されるポートの指定」を参照してください。

emca -reconfig dbcontrol -cluster [-silent] [parameters]

クラスタ・データベースに対してDatabase Controlのデプロイメントを再構成します。このコマンドは、-clusterオプションとともに使用する必要があることに注意してください。詳細は、「Oracle RACでEMCAを使用する方法の理解」を参照してください。

emca -displayConfig dbcontrol -cluster [-silent] [parameters]

クラスタ環境内のDatabase Controlの現行のデプロイメント構成に関する情報を表示します。このコマンドは、-clusterオプションとともに使用する必要があることに注意してください。詳細は、「Oracle RACでEMCAを使用する方法の理解」を参照してください。

emca -upgrade (db | asm | db_asm) [-cluster] [-silent] [parameters]

以前のバージョンのEnterprise Manager構成を現行のバージョンにアップグレードします。この操作は、データベース、Oracle ASM、またはデータベースおよびOracle ASMのインスタンスに対して同時に実行できます。この操作によって、データベースまたはOracle ASMの実際のインスタンスがアップグレードされたり、Enterprise Managerソフトウェアがアップグレードされることはありません。かわりに、指定したインスタンスの構成ファイルがアップグレードされ、現行のバージョンのEnterprise Managerソフトウェアと互換性を持つようになります。EMCAは、すべてのOracleホームにわたって、ホスト上の指定したデータベースまたはOracle ASMのターゲット(あるいはその両方)のすべてのインスタンスのアップグレードを試行します(リスナー・ポート、Oracleホームなどの特定のターゲット・プロパティが変更されている可能性が高いためです)。

emca -restore (db | asm | db_asm) [-cluster] [-silent] [parameters]

現行のバージョンのEnterprise Manager構成を以前のバージョンに戻します。これは、-upgradeオプションの逆です(-upgrade操作で行われたすべての変更が元に戻されます)。そのため、オプションは-upgradeと同様です。


表6-2 EMCAのコマンドライン・フラグ

フラグ 説明

db

データベース(クラスタ・データベースを含む)に対して操作を実行します。このオプションは、Oracle Automatic Storage Management(ASM)を使用してデータ・ファイルを格納するデータベースに対して使用します。データベースでOracle ASMが使用されていると、その状況が前述のすべての構成操作とモード(-upgrade-restoreは除く)で自動的に検出され、データベースとOracle ASMの両方のインスタンスに変更が適用されます。

asm

Oracle ASMインスタンス(クラスタOracle ASMインスタンスを含む)に対する操作のみを実行します。

db_asm

このフラグは、-upgradeおよび-restoreモードでのみ使用できます。アップグレードおよびリストア操作をデータベースとOracle ASMのインスタンスに対して同時に実行します。データベース・インスタンスとOracle ASMインスタンスは、別々にアップグレードまたはリストアできます(つまり、Oracle ASMインスタンスをアップグレードする場合、そのASMインスタンスがサービスを提供するデータベース・インスタンスをアップグレードする必要はありません)。したがって、Enterprise Managerの構成は、データベースおよびそれに対応するOracle ASMインスタンスに対して別々にアップグレードまたはリストアできます。

-repos create

新しいDatabase Control管理リポジトリを作成します。

-repos drop

現行のDatabase Control管理リポジトリを削除します。

-repos recreate

現行のDatabase Control管理リポジトリを削除してから、新しい管理リポジトリを再作成します。

-cluster

クラスタ・データベース・インスタンスまたはOracle ASMインスタンスに対して操作を実行します。

-silent

追加情報の入力を求めるプロンプトを表示せずに操作を実行します。このモードが指定されている場合は、すべての必要なパラメータをコマンドラインに入力するか、または–respFile引数を使用して入力ファイルに指定する必要があります。使用可能なパラメータのリストは、コマンドラインでemca -helpと入力すると確認できます。

-backup

データベースに対して自動バックアップを構成します。EMCAによって日次自動バックアップのオプションの入力を求めるプロンプトが表示されます。データベース・ファイルのバックアップには、Enterprise Managerのデフォルトの設定が使用されます。

注意: このオプションを使用すると、EMCAは、db_recovery_file_dest初期化パラメータの値を使用して自動バックアップのリカバリ領域を識別します。このパラメータが設定されていない場合は、EMCAでエラーが発生します。この設定は、Database Controlの「メンテナンス」ページを使用して後で変更できます。詳細は、Database Controlのオンライン・ヘルプを参照してください。


表6-3 EMCAのコマンドライン・パラメータ

パラメータ 説明

-respFile

構成操作の実行中にEMCAで使用されるパラメータが記述された入力ファイルのパスを指定します。

-SID

データベースのシステム識別子。

-PORT

データベースにサービスを提供するリスナーのポート番号。

-ORACLE_HOME

データベースのOracleホーム(絶対パス)。

-LISTENER_OH

リスナーが実行されているOracleホーム。データベースが実行されているOracleホーム以外のOracleホームからリスナーが実行されている場合は、パラメータLISTENER_OHを指定する必要があります。

-HOST_USER

ホスト・マシンのユーザー名(自動バックアップ用)。

-HOST_USER_PWD

ホスト・マシン・ユーザーのパスワード(自動バックアップ用)。

-BACKUP_SCHEDULE

HH:MM形式でのスケジュール(日次自動バックアップ用)。

-EMAIL_ADDRESS

通知用の電子メール・アドレス。

-MAIL_SERVER_NAME

通知用の送信メール(SMTP)・サーバー。

-ASM_OH

Oracle Automatic Storage Management(Oracleホーム)

-ASM_SID

Oracle ASMインスタンスのシステム識別子。

-ASM_PORT

Oracle ASMインスタンスにサービスを提供するリスナーのポート番号。

-ASM_USER_ROLE

Oracle ASMインスタンスに接続するためのユーザー・ロール。

-ASM_USER_NAME

Oracle ASMインスタンスに接続するためのユーザー名。

-ASM_USER_PWD

Oracle ASMインスタンスに接続するためのパスワード。

-DBSNMP_PWD

DBSNMPユーザーのパスワード。

-SYSMAN_PWD

SYSMANユーザーのパスワード。

-SYS_PWD

SYSユーザーのパスワード。

-SRC_OH

Enterprise Manager構成をアップグレードまたはリストアするデータベースのOracleホーム。

-DBCONTROL_HTTP_PORT

このパラメータは、WebブラウザにDatabase Controlコンソールを表示する際に使用するポートを指定する場合に使用します。詳細は、「Database Controlで使用されるポートの指定」を参照してください。

-AGENT_PORT

このパラメータは、Database ControlのManagement Agentポートを指定する場合に使用します。詳細は、「Database Controlで使用されるポートの指定」を参照してください。

-RMI_PORT

このパラメータは、Database ControlのRMIポートを指定する場合に使用します。詳細は、「Database Controlで使用されるポートの指定」を参照してください。

-JMS_PORT

このパラメータは、Database ControlのJMSポートを指定する場合に使用します。詳細は、「Database Controlで使用されるポートの指定」を参照してください。

-CLUSTER_NAME

クラスタ名(クラスタ・データベース用)。

-DB_UNIQUE_NAME

データベースの一意の名前(クラスタ・データベース用)。

-SERVICE_NAME

データベースのサービス名(クラスタ・データベース用)。

-EM_NODE

Database Controlコンソールを実行するノード(クラスタ・データベース用)。詳細は、「Oracle RACでEMCAを使用する方法の理解」を参照してください。

-EM_NODE_LIST

エージェントのみの構成用のノードのカンマ区切りリスト。–EM_NODEにデータをアップロードします。詳細は、「Oracle RACでEMCAを使用する方法の理解」を参照してください。


6.2.5 EMCAパラメータ用の入力ファイルの使用

EMCAの実行時に表示される一連のプロンプトに応答するかわりに、-respFile引数を使用して入力ファイルを指定できます。作成する入力ファイルは、次の例の形式と同様の形式にする必要があります。

PORT=1521
SID=DB
DBSNMP_PWD=xpE234D
SYSMAN_PWD=KDOdk432

作成したEMCA入力ファイルは、コマンドラインで次のように使用できます。

$ ./emca -config dbcontrol db -respFile input_file_path

たとえば、日次バックアップを実行してDatabase Control管理リポジトリを作成するようにDatabase Controlを構成するには、次の例に示すような入力ファイルを作成します。

PORT=1521
SID=DB
DBSNMP_PWD=dow3l224
SYSMAN_PWD=squN3243
HOST_USER=johnson
HOST_USER_PWD=diTf32of
SYS_PWD=qlKj4352
BACKUP_SCHEDULE=06:30

入力ファイルを作成したら、オペレーティング・システムのプロンプトで次のコマンドを入力します。

$ ./emca -config dbcontrol db -repos create -backup -respFile input_file_path

6.2.6 Database Controlで使用されるポートの指定

Oracle RAC 11g リリース2(11.2)を初めてインストールする場合またはEMCAを使用してDatabase Controlを初めて構成する場合、Database Controlでは一連のデフォルトのシステム・ポートが使用されます。たとえば、11g リリース2の場合、デフォルトでは次のようにポート1158を使用してDatabase Controlにアクセスします。

http://host.domain:1158/em

これは、Internet Assigned Numbers Authority(IANA)によってDatabase Controlに割り当てられているデフォルト・ポートです。同様に、IANAによって割り当てられているDatabase Controlエージェントのデフォルト・ポートは3938です。

EMCAを使用してDatabase Controlを初めて構成する場合にデフォルト・ポート以外のポートを使用するには、次のEMCAコマンドライン引数を使用します。また、Database Controlの構成後に、次のコマンドを使用してポートを明示的に割り当てることもできます。

emca -reconfig ports [-cluster]

注意:

Oracle RAC 11g リリース2(11.2)をインストールして構成した後で、次のEMCAコマンドライン引数を使用してDatabase Controlを構成することもできます。

次に、Database Controlの標準的なポート割当てを制御するEMCAコマンドライン引数の概要を示します。

  • -DBCONTROL_HTTP_PORT port_number

    このポート番号は、Database ControlコンソールのURLで使用されます。たとえば、このポートを5570に設定すると、次のURLを使用してDatabase Controlコンソールを表示できます。

    http://host.domain:5570/em
    
  • -RMI_PORT port_number

    このポート番号は、Database Controlに必要なJ2EEソフトウェアの一部であるRemote Method Invocation(RMI)システムで使用されます。データベース・コンソール用に特定のポートを構成する必要がある場合は、デフォルトのポートを変更できます。デフォルト・ポート(1521)以外のポートを使用する場合は、emcaのreconfigコマンドとともに-RMI_PORTまたは-JMS_PORTオプションを使用します。

  • -JMS_PORT port_number

    このポートは、Database Controlに必要なJ2EEソフトウェアの一部であるOC4J Java Message Service(JMS)で使用されます。データベース・コンソール用に特定のポートを構成する必要がある場合は、デフォルトのポートを変更できます。デフォルト・ポート(1521)以外のポートを使用する場合は、emcaのreconfigコマンドとともに-RMI_PORTまたは-JMS_PORTオプションを使用します。

  • -AGENT_PORT port_number

    このポートは、Database Controlのデータベースの監視と管理を行うDatabase Control Management Agentで使用されます。

6.2.7 EMCAのトラブルシューティングのヒント

次の項では、EMCAを使用してDatabase Controlを構成する場合のトラブルシューティングのヒントをいくつか説明します。

6.2.7.1 データベース・リスナー・ポートを変更した後のEMCAの使用方法

Database Controlを構成した後にデータベースのリスナー・ポートを変更すると、データベースの状態が停止と表示されます。新しいリスナー・ポートを使用するようにDatabase Controlを再構成するには、-config dbcontrol db [-cluster]コマンドライン引数を指定してEMCAコマンドを実行します。

6.2.7.2 11gリリース2 Grid Controlエージェントのアップグレード

Oracle Enterprise Manager(Database ControlまたはGrid Controlのいずれかの集中エージェント)に対して構成されたOracle Database 10g リリース1のデータベース・インスタンスおよびOracle ASMインスタンスをOracle Database 11g リリース2(11.2)のデータベースにアップグレードすると、アップグレードしたインスタンスを参照している関連ホスト上のすべてのEnterprise Managerのターゲットが自動的に更新されます。アップグレードを行うと、インスタンスのOracleホーム、ポートなどのターゲット関連のプロパティが変更されるためです。ただし、ホスト上のこれらのターゲットの一部がOracle Database 11g リリース2(11.2)Grid Controlエージェントで管理されている場合は、アップグレード時に正常に更新されないものもあります。このようなターゲットを更新するには、アップグレードしたデータベース(またはOracle ASM)のターゲットの「ホーム」ページで、「監視構成」リンクをクリックします。「監視構成」ページで、Oracleホーム、リスナー・ポートなどのプロパティを適切な値に更新できます。

6.2.7.3 データベースのホスト名またはIPアドレスが変更された場合のEMCAの使用方法

データベースのホスト名(ドメイン名を含む)またはIPアドレスが変更された場合は、emcaコマンドの-repos createフラグでデータベース・コンソールの構成を解除してから再構成します。次に例を示します。

emca -deconfig dbcontrol db -repos drop
emca -config dbcontrol db -repos create

または

emca -deconfig dbcontrol db
emca -config dbcontrol db -repos recreate

6.2.7.4 TNS構成が変更された場合のEMCAの使用方法

TNS構成が変更された場合は、環境変数を設定してから次のコマンドを実行します。

emca -config dbcontrol db