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Oracle® Grid Infrastructureインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for IBM AIX on POWER Systems (64-Bit)
B57777-08
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B レスポンス・ファイルを使用したOracle Databaseのインストールおよび構成

この付録では、レスポンス・ファイルを使用してOracle製品をインストールおよび構成する方法について説明します。内容は次のとおりです。

B.1 レスポンス・ファイルの使用方法

インストーラの起動時にレスポンス・ファイルを使用して、Oracleソフトウェアのインストールと構成を完全にまたは部分的に自動実行できます。インストーラはレスポンス・ファイルに含まれる値を使用して、一部またはすべてのインストール・プロンプトに応答します。

通常、インストーラは対話型で、つまりグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)画面で情報の入力を求めながら動作します。この情報をレスポンス・ファイルで提供する場合は、次のいずれかのモードで、コマンド・プロンプトからインストーラを起動します。

  • サイレント・モード

    レスポンス・ファイルにすべてのプロンプトへの応答を含め、インストーラの起動時に-silentオプションを指定すると、インストーラはサイレント・モードで動作します。サイレント・モードでのインストール中、インストーラは画面上に何も表示しません。かわりに、起動時に使用した端末に進捗情報が表示されます。

  • レスポンス・ファイル・モード

    レスポンス・ファイルに一部またはすべてのプロンプトへの応答を含めて、-silentオプションを指定しないと、インストーラはレスポンス・ファイル・モードで動作します。レスポンス・ファイル・モードでのインストール中は、レスポンス・ファイルで情報を指定した画面も、レスポンス・ファイルに必要な情報を指定しなかった画面も含めて、インストーラはすべての画面を表示します。

サイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードでインストールするための設定は、レスポンス・ファイルにリストされた変数に値を入力して定義します。たとえば、Oracleホームの名前を指定するには、次のように、ORACLE_HOME変数に適切な値を入力します。

ORACLE_HOME="OraDBHome1"

レスポンス・ファイルの変数設定を指定するもう1つの方法は、インストーラの起動時にコマンドライン引数として渡す方法です。次に例を示します。

 -silent "ORACLE_HOME=OraDBHome1" ...

関連項目:

レスポンス・ファイルの詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイドfor Microsoft Windows and UNIX Systems』を参照してください。

B.1.1 サイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードを使用する理由

次の表に、インストーラをサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで実行する場合の例を示します。

モード 用途
サイレント サイレント・モードは次の場合に使用します。
  • atなどのオペレーティング・システム・ユーティリティを使用してスケジュールを設定し、自動インストールを実行する。

  • ユーザーの介入なしで、複数のシステムで同様のインストールを数回実行する。

  • X Window Systemソフトウェアがインストールされていないシステムにソフトウェアをインストールする。

インストーラは起動元の端末に進捗情報を表示しますが、インストーラ画面はまったく表示しません。

レスポンス・ファイル レスポンス・ファイル・モードは、インストーラ・プロンプトの全部ではなく一部にデフォルトの応答を提供し、複数のシステムに同様のOracleソフトウェア・インストールを行う場合に使用します。

レスポンス・ファイル・モードでは、すべてのインストーラ画面が表示されますが、これらの画面の該当フィールドには、レスポンス・ファイルによってデフォルトの値が入力されます。レスポンス・ファイルで値を指定していないものについては、画面のフィールドに情報を入力する必要があります。


B.1.2 レスポンス・ファイルの一般的な使用手順

次に、インストーラをサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで使用して、Oracle製品をインストールし構成する一般的な手順を示します。


注意:

インストーラをサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで実行する前に、必要なインストール前の手順をすべて終了しておく必要があります。

  1. レスポンス・ファイルを準備します。

  2. インストーラをサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで実行します。

  3. ソフトウェアのみのインストールを終了したら、次にNet Configuration AssistantおよびDatabase Configuration Assistantをサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで実行します。

この手順については、次の項で説明します。

B.2 レスポンス・ファイルの準備

この項では、レスポンス・ファイルを準備して、サイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードのインストールで使用する、次の方法について説明します。

B.2.1 レスポンス・ファイル・テンプレートの編集

Oracleでは、各製品およびインストール・タイプと各構成ツールに対応する、レスポンス・ファイルのテンプレートを提供しています。ファイルは、インストール・メディアのdatabase/responseディレクトリに格納されています。


注意:

ソフトウェアをハード・ディスクにコピーした場合、レスポンス・ファイルは/responseディレクトリにあります。

表B-1に、このソフトウェアに付属するレスポンス・ファイルを示します。

表B-1 Oracle Databaseのレスポンス・ファイル

レスポンス・ファイル 説明

db_install.rsp

Oracle Database 11g のサイレント・インストール

dbca.rsp

Database Configuration Assistantのサイレント・インストール

netca.rsp

Oracle Net Configuration Assistantのサイレント・インストール


表B-2 Oracle Grid Infrastructureのレスポンス・ファイル

レスポンス・ファイル 説明

grid_install.rsp

Oracle Grid Infrastructureインストール環境のサイレント・インストール



注意:

レスポンス・ファイル・テンプレートを変更し、保存して使用する場合、レスポンス・ファイルに暗号化されていないパスワードが含まれている場合があります。レスポンス・ファイルの所有者はOracleソフトウェア・インストール所有者のみとし、レスポンス・ファイルの権限を600に変更してください。データベース管理者またはその他の管理者には、使用していないレスポンス・ファイルを削除または保護することをお薦めします。

レスポンス・ファイルをコピーして変更するには、次の手順を実行します。

  1. レスポンス・ファイル・ディレクトリからシステム上のディレクトリに、レスポンス・ファイルをコピーします。

    $ cp /directory_path/response/response_file.rsp local_directory
    

    この例では、directory_pathはインストール・メディアのdatabaseディレクトリのパスです。ソフトウェアをハード・ドライブにコピーしている場合は、必要に応じてresponseディレクトリ内のファイルを編集することも可能です。

  2. テキスト・エディタでレスポンス・ファイルを開きます。

    $ vi /local_dir/response_file.rsp
    

    関連項目:

    レスポンス・ファイルの生成の詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイドfor Microsoft Windows and UNIX Systems』を参照してください。

  3. ファイルに記載された説明に従って編集します。


    注意:

    レスポンス・ファイルを正しく構成しないと、インストーラまたはConfiguration Assistantが失敗します。

  4. ファイルの権限を600に変更します。

    $ chmod 600 /local_dir/response_file.rsp
    

    注意:

    Oracle Databaseのインストールに必要なすべての項目を指定したレスポンス・ファイルには、データベース管理アカウント用のパスワードと、OSDBAグループのメンバーであるユーザー用のパスワード(自動バックアップに必要)が含まれています。Oracleソフトウェア所有者であるユーザーのみがレスポンス・ファイルを参照または変更できるようにするか、インストールの正常終了後にレスポンス・ファイルを削除することを検討してください。

B.2.2 レスポンス・ファイルの記録

インストーラを対話モードで使用してレスポンス・ファイルに記録し、このファイルを編集して完全なサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードのインストールに使用できます。この方法は、カスタム・インストールまたはソフトウェアのみのインストールに役立ちます。

Oracle Database 11g リリース2(11.2)以降では、「サマリー」ページで「レスポンス・ファイルの保存」をクリックすると、インストール中のすべてのインストール手順をレスポンス・ファイルに保存できます。生成されたレスポンス・ファイルは、後でサイレント・インストールに使用できます。

レスポンス・ファイルを記録する際は、インストールを最後まで実行することも、またはシステムにソフトウェアをコピーする前に「サマリー」ページで終了することもできます。

レスポンス・ファイル・モードのインストール中に記録モードを使用すると、インストーラは元のレスポンス・ファイルに指定されていた変数値を新しいレスポンス・ファイルに記録します。


注意:

Oracle Universal Installerは、レスポンス・ファイルにパスワードを記録しません。

レスポンス・ファイルを記録するには、次の手順を実行します。

  1. 通常のインストールと同様にインストール前の作業を実行します。

  2. Oracle Grid Infrastructureソフトウェア所有者ユーザー(通常はgrid)が、インストーラ実行時に指定するOracleホームのパスに対して作成または書込みの権限を持っていることを確認します。

  3. インストールの各画面で、必要な情報を指定します。

  4. インストーラの「サマリー」画面が表示されたら、次の手順を実行します。

    1. 「レスポンス・ファイルの保存」をクリックして、値をレスポンス・ファイルに保存するためのファイル名と場所を指定し、「保存」をクリックします。

    2. レスポンス・ファイルを作成してインストールを継続するには、「終了」をクリックします。

      レスポンス・ファイルを作成するだけでインストールを継続しない場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックした後、「取消」をクリックします。インストールは中断されますが、入力した設定はレスポンス・ファイルに記録されます。

  5. 保存したレスポンス・ファイルを別のシステムで使用する前に、ファイルを編集して必要な変更を加えます。

    編集する際は、ファイルに記載された説明をガイドとして使用してください。

B.3 レスポンス・ファイルを使用したインストーラの実行

コマンドラインでOracle Universal Installerを実行し、作成したレスポンス・ファイルを指定します。Oracle Universal Installerの実行可能ファイルrunInstallerでは、いくつかのオプションを使用できます。すべてのオプションのヘルプ情報を参照するには、runInstallerコマンドで-helpオプションを指定します。次に例を示します。

$ directory_path/runInstaller -help

しばらくすると、ウィンドウ上にヘルプ情報が表示されます。

レスポンス・ファイルを使用してインストーラを実行するには、次の手順を実行します。

  1. 通常のインストールと同様にインストール前の作業を実行します。

  2. ソフトウェア・インストール所有者ユーザーとしてログインします。

  3. レスポンス・ファイル・モードでインストールを実行する場合は、DISPLAY環境変数を設定します。


    注意:

    サイレント・モードでインストールを実行する場合は、DISPLAY環境変数を設定する必要はありません。

  4. コマンドを次のように入力して、サイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードでインストーラを起動します。

    $ /directory_path/runInstaller [-silent] [-noconfig] \
     -responseFile responsefilename
    

    注意:

    レスポンス・ファイルのパスを相対パスで指定しないでください。相対パスを指定すると、インストーラが失敗します。

    この例の意味は次のとおりです。

    • directory_pathは、インストール・メディアのパス、またはインストール・バイナリをコピーしたハード・ドライブ上のディレクトリのパスです。

    • -silentは、インストーラをサイレント・モードで実行します。

    • -noconfigを指定すると、インストール中にConfiguration Assistantは実行されず、ソフトウェアのみのインストールが実行されます。

    • responsefilenameは、構成したインストール用レスポンス・ファイルのフルパスとファイル名です。

  5. インストールが終了したら、rootユーザーとしてログインし、root.shスクリプトを実行します。次に例を示します。

    $ su root
    password:
    # /oracle_home_path/root.sh
    

B.4 レスポンス・ファイルを使用したNet Configuration Assistantの実行

サイレント・モードでNet Configuration Assistantを実行して、システム上でOracle Net Listenerを構成して起動し、ネーミング・メソッドを構成し、Oracleネット・サービス名を構成できます。Net Configuration Assistantをサイレント・モードで実行するには、レスポンス・ファイル・テンプレートをコピーして編集する必要があります。Oracleでは、DVD上のdatabase/responseディレクトリのresponseディレクトリで、netca.rspという名前のレスポンス・ファイル・テンプレートを提供しています。


注意:

ソフトウェアをハード・ディスクにコピーした場合、レスポンス・ファイル・テンプレートはdatabase/responseディレクトリに格納されています。

レスポンス・ファイルを使用してNet Configuration Assistantを実行するには、次の手順を実行します。

  1. レスポンス・ファイル・テンプレートnetca.rspを、レスポンス・ファイルのディレクトリから使用するシステムのディレクトリへコピーします。

    $ cp /directory_path/response/netca.rsp local_directory
    

    この例では、directory_pathはDVDのdatabaseディレクトリのパスです。ソフトウェアをハード・ドライブにコピーした場合は、responseディレクトリのファイルを編集することもできます。

  2. テキスト・エディタでレスポンス・ファイルを開きます。

    $ vi /local_dir/netca.rsp
    
  3. ファイルに記載された説明に従って編集します。


    注意:

    レスポンス・ファイルを正しく構成しないと、Net Configuration Assistantが失敗します。

  4. Oracleソフトウェア所有者ユーザーとしてログインし、ORACLE_HOME環境変数に正しいOracleホーム・ディレクトリを指定します。

  5. 次のようなコマンドを入力して、Net Configuration Assistantをサイレント・モードで実行します。

    $ $ORACLE_HOME/bin/netca /silent /responsefile /local_dir/netca.rsp
    

    この例の意味は次のとおりです。

    • /silentオプションは、Net Configuration Assistantをサイレント・モードで実行することを意味します。

    • local_dirは、netca.rspレスポンス・ファイル・テンプレートのコピー先ディレクトリのフルパスです。

B.5 レスポンス・ファイルを使用したインストール後の構成

Oracleソフトウェアのインストール後にレスポンス・ファイルによる構成を作成して実行するには、次の項の手順を使用します。

B.5.1 インストール後の構成ファイルについて

サイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードでのインストールを実行する場合は、使用するサーバーについての情報をレスポンス・ファイルに指定します。指定しない情報は、グラフィカル・ユーザー・インタフェースによるインストール中に手動で入力します。ただし、レスポンス・ファイルには、ソフトウェアのインストール後にConfiguration Assistantから要求されるユーザー・アカウントのパスワードは含まれていません。Configuration Assistantは、configToolAllCommandsというスクリプトによって起動されます。パスワード・レスポンス・ファイルを作成して使用すると、このスクリプトをレスポンス・ファイル・モードで実行できます。スクリプトはこのパスワードを使用して、構成が完了するまで連続的に構成ツールを実行します。

クローン・インストール用にこのパスワード・ファイルを保持する場合は、セキュアな場所に保存することをお薦めします。また、エラーを解決するためにインストールを中断する必要がある場合も、configToolAllCommandsおよびパスワード・レスポンス・ファイルを使用して、Configuration Assistantを実行できます。

configToolAllCommandsパスワード・レスポンス・ファイルには、次の構文オプションがあります。

  • internal_component_nameは、Configuration Assistantで構成するコンポーネントの名前です。

  • variable_nameは、構成ファイルの変数の名前です。

  • valueは、構成に使用する値です。

コマンド構文は次のとおりです。

internal_component_name|variable_name=value

次に例を示します。

oracle.assistants.asm|S_ASMPASSWORD=welcome

パスワード・レスポンス・ファイルのセキュリティは、次の方法で維持することをお薦めします。

  • レスポンス・ファイルの権限を600に設定します。

  • レスポンス・ファイルの所有者をインストール所有者ユーザーにして、グループは中央インベントリ(oraInventory)グループに設定します。

B.5.2 レスポンス・ファイルを使用したインストール後の構成の実行

configToolAllCommandsスクリプトを使用してConfiguration Assistantを実行するには、次の手順を実行します。

  1. 構文filename.propertiesを使用してレスポンス・ファイルを作成します。次に例を示します。

    $ touch cfgrsp.properties
    
  2. テキスト・エディタでこのファイルを開き、パスワード・テンプレートを切り取って貼り付け、必要に応じて変更します。

    例B-1 クラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストールのパスワード・レスポンス・ファイル

    Oracle Grid Infrastructureには、Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistant(ASMCA)用のパスワードが必要です。この場合、次のレスポンス・ファイルを使用します。

    oracle.assistants.asm|S_ASMPASSWORD=password
    oracle.assistants.asm|S_ASMMONITORPASSWORD=password
    

    例B-2 Oracle Real Application Clustersのパスワード・レスポンス・ファイル

    Oracle Databaseの構成には、Database Configuration Assistant(DBCA)で使用するSYS、SYSTEM、SYSMAN、DBSNMPのパスワードの構成が必要です。また、Oracle ASMストレージを使用する場合は、ASMSNMPパスワードを構成します。また、Oracle Enterprise Managerの構成を選択した場合は、S_HOSTUSERPASSWORDレスポンスにOracleソフトウェア・インストール所有者のパスワードを指定する必要があります。

    oracle.assistants.server|S_SYSPASSWORD=password
    oracle.assistants.server|S_SYSTEMPASSWORD=password
    oracle.assistants.server|S_SYSMANPASSWORD=password
    oracle.assistants.server|S_DBSNMPPASSWORD=password
    oracle.assistants.server|S_HOSTUSERPASSWORD=password
    oracle.assistants.server|S_ASMSNMPPASSWORD=password
    

    Oracle Enterprise ManagerまたはOracle ASMを有効にしない場合、これらのパスワード・フィールドは空白のままにします。

  3. 権限を変更してファイルを保護します。次に例を示します。

    $ ls -al cfgrsp.properties
    -rw------- 1 oracle oinstall 0 Apr 30 17:30 cfgrsp
    
  4. $ORACLE_HOME/cfgtoollogsに移動し、次の構文を使用して構成スクリプトを実行します。

    configToolAllCommands RESPONSE_FILE=/path/name.properties

    次に例を示します。

    $ ./configToolAllCommands RESPONSE_FILE=/home/oracle/cfgrsp.properties