Oracle® Grid Infrastructureインストレーション・ガイド 11gリリース2 (11.2) for IBM AIX on POWER Systems (64-Bit) B57777-08 |
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この章では、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの標準インストールと拡張インストールの違いについて説明し、さらに標準インストールを完了するために必要な手順について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
Oracle Grid Infrastructureのインストールには、2つのインストール・オプションがあります。
標準インストール: 標準インストール・オプションは、手動による構成選択の数が少ない、簡単なインストールです。ほとんどのクラスタ実装に、このインストール・タイプを選択することをお薦めします。
拡張インストール: 拡張インストール・オプションは、より高度なシステム知識を必要とする詳細な手順です。追加の記憶域およびネットワークの選択、ロール・ベースの管理権限のためのオペレーティング・システムのグループ認証の利用、Oracle Automatic Storage Managementロールのより粒度の細かい指定など、詳細に構成を選択できます。
Oracle Clusterware 11gリリース2 (11.2)では、インストール中に、Oracle Universal Installer (OUI)によって修正スクリプト(runfixup.sh
)が生成され、このスクリプトを実行すると、インストール前の必要な手順を完了できます。
修正スクリプトは、インストール中に生成されます。root
として別の端末セッションでスクリプトを実行するように求められます。スクリプトを実行すると、次の構成作業が行われます。
必要に応じて、インストールと実行時に必要とされるカーネル・パラメータに、最低限の値が設定されます。
インストール所有者、必要な場合はOracleインベントリ・ディレクトリ、オペレーティング・システム権限グループの、プライマリおよびセカンダリ・グループ・メンバーシップが再構成されます。
必要に応じて、シェル制限が必要な値に設定されます。
次の手動の構成作業を行います。
関連項目: これらの作業を行う方法について詳細は、第2章「クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの拡張インストール前の作業」と第3章「Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACの記憶域の構成」を参照してください。 |
使用可能なメモリーを確認するには、次のコマンドを入力します。
# /usr/sbin/lsattr -E -l sys0 -a realmem # /usr/sbin/lsps -a
クラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストール用のRAMの最小要件は、2.5GB以上です(Oracle RACをインストールする計画があるインストールを含む)。
スワップ領域の最小要件は1.5GBです。RAMが2.5GBから16GBのシステムでは、RAMと同等のスワップ領域を使用することをお薦めします。2.RAMが16GBを超えるシステムでは、RAMの16GBをスワップ領域に使用します。スワップ領域とGridホームが同じファイルシステム上にある場合は、それぞれ最小領域要件を合計したディスク領域が必要になります。
Oracle Clusterwareファイルで使用可能な領域を確認します。次に例を示します。
GPFSの場合:
/usr/bin/df -k
Oracle ASMディスク・グループのインストール準備としてRAWデバイス・ボリュームを確認するには、次のようにします。
コンカレントVGのRAW論理ボリューム(HACMP)の場合: この例の変数lv_name
は、検証する領域を持つRAW論理ボリューム名です。
lslv lv_name
RAWハード・ディスクの場合: この例の変数rhdisk#
は、検証するRAWハード・ディスク番号であり、変数size_mb
は、検証するパーティション・サイズ(MB単位)です。
lsattr -El rhdisk# -a size_mb
OCRおよび投票ディスク・ファイルに対して標準の冗長性(3つのOracle Cluster Registry(OCR)および3つの投票ディスク、個々のディスクに別々のファイル・システムを推奨)を使用する場合は、Oracle Clusterwareファイル用に用意されている個々の物理ディスク上で1GB以上のディスク領域が使用可能である必要があります。Oracle Clusterwareファイルの各ファイル・システムのサイズは、280MB以上である必要があります。
注意: RAWパーティションにOCRまたは投票ディスク・ファイルをインストールすることはできません。インストールできる場所は、Oracle ASM、サポートされているネットワーク接続ストレージまたはクラスタ・ファイル・システムです。RAWデバイスは、ASMディスクとしてのみ使用できます。 |
Oracle ASMでのOracle Clusterwareファイルの高可用性を確保するには、Oracle Clusterwareファイル用として、別々の3つの障害グループ(物理ディスクは3つ以上)に2GB以上のディスク容量が必要です。各ディスクには1GB以上の容量を確保して、容量に余裕を持ってOracle Clusterwareファイルを作成できるようにする必要があります。
クラスタ用Oracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)には、13GB以上の領域を確保してください(ここには、Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)のファイルとログ・ファイル、Oracle ACFSログ・ファイルが含まれ、クラスタ状態モニター・リポジトリが格納されます)。
/usr/bin/df -k /tmp
/tmp
に1GB以上の領域があることを確認してください。この領域を確保できない場合は、サイズを大きくするか、または/tmp
内の不要なファイルを削除します。
次のものが利用可能であることを確認します。
標準インストール中に、実行中のノードに関係なくクラスタ内のデータベースに接続するために使用される、デフォルトの単一クライアント・アクセス名(SCAN)を確認するよう求められます。デフォルトでは、SCANとして使用される名前がクラスタ名にもなります。SCANのデフォルト値は、ローカル・ノード名に基づいています。SCANをデフォルトから変更する場合、使用する名前は、社内全体でグローバルに一意である必要があります。
標準インストールでは、SCANはクラスタ名にもなります。SCANおよびクラスタ名は長さ1文字以上15文字以下の英数字である必要があり、ハイフン(-)も使用できます。
次に例を示します。
NE-Sa89
15文字を超えるSCANが必要な場合は、SCANの最初の15文字がクラスタ名のデフォルトになることに注意してください。
インストールを開始する前に、各ノードにインタフェースが2つ以上構成されている必要があります。1つはプライベートIPアドレス用、もう1つはパブリックIPアドレス用です。
GNSを有効にしない場合、各ノードのパブリックIPアドレスおよび仮想IPアドレスは、静的アドレスであることが必要です。このアドレスは、インストール前に各ノードで構成しておく必要がありますが、現在未使用である必要があります。パブリックIPアドレスと仮想IPアドレスは、同じサブネット内にある必要があります。
インストールのインタビュー時にプライベートとして指定したインタフェース上のプライベート・サブネットに含まれるプライベートIPアドレスが、Oracle Clusterwareによって管理されます。
クラスタには、次のアドレスが構成されている必要があります。
クラスタには、次のアドレスが構成されている必要があります。
次の特性がある、各ノードのパブリックIPアドレス:
静的IPアドレス
各ノードへのインストール前に構成され、インストール前にそのノードに対して解決可能
他のすべてのパブリックIPアドレス、VIPアドレスおよびSCANアドレスと同じサブネット上にある
次の特性がある、各ノードの仮想IPアドレス:
静的IPアドレス
各ノードへのインストール前に構成されるが、現在は使用されていない
他のすべてのパブリックIPアドレス、VIPアドレスおよびSCANアドレスと同じサブネット上にある
次の特性がある、クラスタの単一クライアント・アクセス名(SCAN):
3つの静的IPアドレスにSCANとして指定された名前が関連付けられ、3つのアドレスすべてがDNSによってリクエスタにランダムな順番で戻されるように、インストール前にその3つのIPアドレスがドメイン・ネーム・サーバー(DNS)に構成されている
インストール前にDNSで構成され、現在は使用されていないアドレスに解決される
数字以外で始まる名前が指定される
他のすべてのパブリックIPアドレス、VIPアドレスおよびSCANアドレスと同じサブネット上にある
RFC 952標準に準拠し、英数字とハイフン("-")は使用できるが、アンダースコア("_")は使用できない。
次の特性がある、各ノードのプライベートIPアドレス:
静的IPアドレス
インストール前に構成され(ただし、別のプライベート・ネットワーク上で、独自のサブネットを使用)、他のクラスタ・メンバー・ノード以外では解決できない
インストール後、クライアントがクラスタにリクエストを送信すると、Oracle ClusterwareのSCANリスナーはクライアント・リクエストをクラスタのサーバーにリダイレクトします。
注意: SCAN VIPアドレスの構成は、hostsファイルで行わないことを強くお薦めします。SCAN VIPにはDNS解決を使用します。SCANの解決にhostsファイルを使用すると、1つのIPアドレスへの解決しかできず、SCANアドレスは1つのみになってしまいます。 |
以前のリリースでは、インターコネクトに冗長ネットワークを使用するには、ボンディング、トランキング、チーム化などのテクノロジが必要でした。現在、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACは冗長ネットワーク・インターコネクトを使用できるようになり、他のネットワーク・テクノロジを使用しなくても、クラスタ内の最適な通信を拡張できるようになりました。この機能は、Oracle Database 11g リリース2(11.2.0.2)以上で使用可能です。
冗長インターコネクトを使用することによって、複数(最大4つ)のプライベート・ネットワーク(インターコネクトとも呼ばれる)におけるロード・バランシングおよび高可用性が実現します。
インストール時に、OUIがクラスタ・ノードで検出するネットワーク・インタフェースごとに計画された使用方法を指定するように求められます。各インタフェースをパブリック、プライベート、または「使用しない」インタフェースとして指定する必要があります。他の目的に使用する予定のインタフェース(ネットワーク・ファイル・システム専用のインタフェースなど)の場合、そのインスタンスがOracle Clusterwareで無視されるように、「使用しない」インタフェースとして指定する必要があります。
冗長インターコネクトを使用しても、パブリックな通信で使用されるインタフェースを保護することはできません。パブリック・インタフェースに高可用性またはロード・バランシングが必要な場合は、サードパーティのソリューションを使用します。通常、これにはボンディング、トランキングなどのテクノロジが使用できます。
プライベート・インタフェースとして使用する複数のインタフェースを選択すると、プライベート・ネットワークで冗長インターコネクトを使用できます。複数のインタフェースをプライベートとして指定する場合は、冗長インターコネクトを使用することで冗長なインターコネクトが作成されます。この機能は、Oracle Grid Infrastructure 11g リリース2(11.2.0.2)以上で使用可能です。
ご使用のオペレーティング・システムで必須のパッケージのリストについては、第2.8項「ソフトウェア要件の確認」に示す表を参照してください。
デフォルトのグループおよびユーザーを作成するには、次のコマンドを入力します。
オペレーティング・システムで認証されるすべての管理権限(インストールされている場合はOracle RACも含む)のために、システム権限グループを1つ作成します。
# mkgroup -'A' id='1000' adms='root' oinstall # mkgroup -'A' id='1031' adms='root' dba # mkuser id='1100' pgrp='oinstall' groups='dba' home='/home/grid' grid # mkuser id='1101' pgrp='oinstall' groups='dba' home='/home/oracle' oracle # mkdir -p /u01/app/11.2.0/grid # chown -R grid:oinstall /u01 # mkdir /u01/app/oracle # chown oracle:oinstall /u01/app/oracle # chmod -R 775 /u01/
この一連のコマンドによって、OraInventoryシステム権限(oinstall
)、およびOSASM/SYSASMとOSDBA/SYSDBAシステム権限を付与するための必要なシステム権限グループを持った単一のインストール所有者が作成されます。また、Oracle Grid InfrastructureとOracle RAC両方のOracleベース(/u01/app/oracle
)も作成されます。Gridホーム(Oracle Grid Infrastructureバイナリの格納場所)/u01/app/11.2.0/grid
も作成されます。
Oracle Grid Infrastructureインストール所有者アカウントで、CAP_NUMA_ATTACH、CAP_BYPASS_RAC_VMMおよびCAP_PROPAGATEが可能であることを確認します。
すでに設定されている権限を確認するには、root
で次のコマンドを入力します。この例では、グリッド・インストールのユーザー・アカウントはgrid
です。
# /usr/bin/lsuser -a capabilities grid
権限を追加するには、次のコマンドを入力します。
# /usr/bin/chuser capabilities=CAP_NUMA_ATTACH,CAP_BYPASS_RAC_VMM,CAP_PROPAGATE grid
グリッド・インストールの所有者アカウントにパスワードを設定します。
passwd grid
各クラスタのメンバー・ノードに対して、この手順を繰り返します。
Oracle Grid Infrastructureインストール所有者およびrootのシェル制限を無制限に設定します。smitユーティリティを使用するか、/etc/security/limitsファイル
を編集し、両方のアカウントが無制限に設定されていることを確認します。crsデーモン(crsd
)はrootで実行されるため、rootユーザーにはこれらの設定が必要です。limitsファイルに次の行を追加します。
default: fsize = -1 core = 2097151 cpu = -1 data = -1 rss = -1 stack = -1 nofiles = -1
スタンドアロンまたはOracle Real Application Clustersのデータベースをインストールする場合は、Oracle Clusterwareファイル(投票ディスクとOracle Cluster Registry)用、およびOracle Databaseファイル用として、サポートされているファイル・システムまたはOracle Automatic Storage Management上に使用可能な領域が必要です。新しいインストール環境では、Oracle Clusterwareファイルをブロック・デバイスやRAWデバイスに作成することができなくなりました。
構成するインストール・オプションについては、第3章の関連する項を参照してください。
インストール・メディアのルート・レベルからOUIを起動します。次に例を示します。
./runInstaller
「クラスタ用のGrid Infrastructureのインストールおよび構成」を選択し、次に「標準インストール」を選択します。この後のインストール画面で、構成情報を指示どおりに入力します。
修正スクリプトで修正できないインストール検証エラーが発生した場合は、第2章「クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの拡張インストールのインストール前作業」でクラスタ・ノードの構成の項を参照してください。修正が完了したら、インストールを最後まで続けます。