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Oracle® Real Application Clustersインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for Microsoft Windows x64 (64-Bit)
B58877-06
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1 インストール前のチェックリスト

Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)のほとんどのインストール・エラーは、Oracle Universal Installer(OUI)を起動する前に必要なすべての手順を完了していないことが原因です。

この章では、データベース管理者、システム管理者およびストレージ管理者を対象として、Oracle RACの完全インストールに備えたインストールの調整およびインストール・タスクの計画について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

1.1 インストール計画の概要

Oracle RACインストールを開始する前に、次のリストに示す作業を完了することをお薦めします。システム管理者、ストレージ管理者、ネットワーク管理者、データベース管理者、およびソフトウェアとハードウェアのサード・パーティ・ベンダーからなる大規模なプロジェクト・チームが存在するTier IVデータ・センターに属する場合も、1人のプロジェクト・チームの場合も、インストールを順著に進めるには計画が重要です。

ここでは、ハードウェアのサイジングまたは容量計画を決定する方法については説明しません。Oracle ClusterwareおよびOracle RACでは、テスト目的、またはワークロードの増加に対応するために、必要に応じてノードおよびインスタンスを追加できます。

インストールの計画時に、次の手順を確認して実行します。

1.1.1 My Oracle Supportの確認

既存のハードウェアにOracle Database 11gリリース2(11.2)をインストールするか、ある環境に追加のサーバーおよびストレージ・ハードウェアを購入するかを判断するには、My Oracle Supportにログオンします。

https://support.oracle.com

My Oracle Supportには、サポートされているハードウェア・オプションに関するガイダンスが含まれており、購入およびインストール計画の参考にすることができます。My Oracle Supportの動作保証ページには、動作保証されたハードウェアに関する詳細情報、および各リリースおよびプラットフォームに固有の情報が記載されています。My Oracle Supportには、次のURLでアクセスできます。

http://support.oracle.com/

My Oracle Supportを使用する前に、オンラインで登録する必要があります。ご使用のプラットフォームの動作保証情報を表示するには、次の手順を実行します。

  1. ログイン後に、「動作保証」タブをクリックします。

  2. 動作保証検索ボックスで、ソフトウェアおよびハードウェアに関する情報を入力します。たとえば、次の内容を使用できます。

    • 製品: Oracle Database

    • リリース: 11.2.0.3

    • プラットフォーム: Microsoft Windows x64 (64-Bit) 2008 R2

    必要な情報を入力して、「検索」をクリックします。新しいウィンドウに、その製品の動作保証の詳細が表示されます。

  3. 「動作保証詳細」ページで動作保証情報を表示するリンクをクリックして、ハードウェア構成がOracle ClusterwareおよびOracle RACで使用できるものであることを確認します。


注意:

My Oracle Supportアカウントを持っていない場合は、Oracleサポート・サービスに連絡してください。

また、Oracle.com(http://www.oracle.com)を参照すると、特定の実装シナリオの計画、ベスト・プラクティスなど、インストール計画に役立つ情報が記載されているその他のリソースが示されています。特に、Oracle Technology NetworkのOracle Real Application Clustersのページを参照してください。

http://www.oracle.com/technetwork/database/clustering/overview/

Oracle RACテクノロジの動作保証マトリクスでは、Oracle RACのデプロイに使用できるサポートされたテクノロジが詳細に示されています。

1.1.2 ソフトウェア更新オプションの使用の検討

OUIでは、重要なパッチ更新、サポート対象オペレーティング・システムのシステム要件の更新、および正常なインストールを保証できるその他の重要な更新を、インストールできます。インストール中はソフトウェア更新オプションを有効にすることをお薦めします。

ソフトウェア更新オプションを有効にする場合は、OUIで最新の更新をダウンロードするためにMy Oracle Supportの有効なユーザー名とパスワードを指定する必要があります。または、すでにダウンロード済のソフトウェア更新オプション・パッケージの場所へのパスを指定する必要があります。

また、プロキシ・レルムがある場合は、OUIでソフトウェアの更新を取得できるように、宛先プロキシ・レルムおよびそのレルムを介してインターネットへのアクセスを認証するために必要なユーザー認証(ユーザー名およびパスワード)を提供する準備をします。この情報がない場合は、インストール前にネットワーク管理者に確認してください。

保護されたデータ・センターでインストールを実行する場合は、インターネットにアクセスできるシステムでOUIを起動することによって、インストールを開始する前に更新をダウンロードできます。OUIを起動して更新のダウンロードのみを実行するには、次のコマンドを入力します。

setup.exe -downloadUpdates

My Oracle Supportのユーザー名とパスワード、および必要に応じてプロキシ設定を指定します。更新をダウンロードした後、インストールを実行するサーバー上のディレクトリに更新ファイルを転送します。

1.1.3 Oracle Technology Networkの確認

Oracle Technology Network(OTN)では、容量計画、ベスト・プラクティス、拡張クラスタ・デプロイメントなど、このマニュアルには記載されていないデプロイメント・オプションについてのホワイト・ペーパーを参照できます。次のWebサイトで、参照可能なホワイト・ペーパーを確認できます。

http://www.oracle.com/technetwork/database/clustering/overview/

1.1.4 Oracle RACのインストール手順の確認

Oracle RACをインストールする手順は、次のとおりです。

  1. サーバー(システム、記憶域およびネットワーク管理)を準備します。

    • オペレーティング・システム、オペレーティング・システム・パッケージおよびパッチ(必要なバージョンに対して)インストールします。

    • グループ、ユーザーおよびソフトウェア・ホームを作成します。

    • グリッド・ネーミング・サービス(GNS)をデプロイする場合は、GNSへのドメイン名転送を設定し、必要に応じてドメイン・ネーム・サービス(DNS)およびサーバーにネットワーク・アドレスを設定します。

    • 必要な記憶域を設定します。

    • (オプション)すべてのソフトウェアをインストール用の1つのノード(ローカル・ノード)でステージングします。


      関連項目:

      OIFCFGを使用したインターコネクトの変更の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  2. クラスタ用のOracle Grid Infrastructureをインストールします。これには、Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management(システムとストレージ管理)が含まれます。

    • クラスタ用のOracle Grid Infrastructureをインストールします。

    • Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)に最新のパッチ・セットを適用します。

  3. Oracle RAC(データベース管理)をインストールします。

    • Oracle RACをインストールします。

    • Oracle RACに最新のパッチ・セットを適用します。

    • Oracle RACデータベースのインストール後の構成を実行します。

1.1.5 クラスタ検証ユーティリティ(CVU)の使用方法の確認

クラスタ検証ユーティリティ(CVU)は、インストール、パッチ更新または他のシステム変更の準備でシステム検証を実行するために提供されています。

Oracle ClusterwareまたはOracle RACをインストールする前に、CVUを使用してクラスタでインストールの準備ができていることを確認します。CVUはOUIに組み込まれているため、Oracle RACインストールを開始するとCVUがチェックを実行します。ただし、Oracle RACインストールを開始する前にCVUを使用して、Oracle RACに必要なパッケージまたは構成情報が正しく配置されていることを確認することもできます。

CVUを使用することで、システム管理者、ストレージ管理者およびデータベースの管理者は、インストール、更新またはパッチ適用が正常に完了するように、すべてのシステム構成およびインストール前の手順の完了を確認できます。最新バージョンのCVUは、次のURLで入手できます。

http://www.oracle.com/technetwork/database/options/clustering/downloads/cvu-download-homepage-099973.html

ベンダーがハードウェアまたはオペレーティング・システムの構成手順をかわりに実行している場合、作業後にCVUでクラスタに対して該当する確認を行うように、ベンダーに依頼します。これによって、システムが正しく構成されていることを確認できます。データベース管理者は、「クラスタ検証ユーティリティを使用したクラスタ準備状況の確認」を参照して、Oracle RACのインストールを開始する前に、システムでインストールの準備ができたことを確認します。

1.1.6 既存のOracleインストールの確認およびバックアップ

既存のOracleインストールが存在する場合、バージョン番号、パッチおよび他の構成情報を書き留めて、既存のインストールのためのアップグレード手順を確認します。インストールに進む前にアップグレードに関するOracleドキュメントを参照して、手順を決定します。

他のシステム変更の場合と同様に、既存のデータベースをバックアップしてから新しいソフトウェアのインストールを試行します。

Oracle RAC 11g リリース2(11.2)をインストールするには、クラスタにOracle ClusterwareおよびOracle ASM 11g リリース2(11.2)がインストールされている必要があります。Oracle Clusterwareのバージョンは、インストールするOracle RACのバージョン以上である必要があります。


関連項目:

『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』

アップグレード前、アップグレード後、互換性および相互運用性に関する最新の情報およびベスト・プラクティスについては、「Oracle Upgrade Companion」を参照してください。My Oracle SupportのNote 785351.1から参照できます。

https://support.oracle.com/

アップグレードを行う場合は、次の点に注意してください。

  • 1つのクラスタで一度に実行できるOracle Clusterwareのバージョンは、1つのみです。Oracle Clusterwareのバージョンは、クラスタで実行されるソフトウェア(Oracle Clusterware、Oracle Database、Oracle RACおよびOracle ASM)の最新のリリースである必要があります。データベースをOracle Database 11g リリース2にアップグレードする前に、クラスタのすべてのノードをOracle ClusterwareおよびOracle ASM 11g リリース2(11.2)にアップグレードする必要があります。

  • クラスタでは、Oracle Databaseの複数のOracleホームを使用できます。ただし、これらのホームのOracle RACデータベース・ソフトウェアのバージョンは、インストールされているOracle Clusterwareのバージョン以下である必要があります。実行しているOracle Clusterwareのバージョンより後にリリースされたOracle DatabaseのバージョンをOracle Clusterwareで使用することはできません。

    次に例を示します。

    • クラスタウェアとしてOracle Clusterware 11g リリース2をインストールしている場合、あるノードではOracle Database 10g リリース2のシングル・インスタンスのデータベースを実行し、同時に別のOracle RAC 10g リリース1、リリース2およびOracle RAC 11g リリース1またはリリース2のデータベースをクラスタで実行できます。

    • クラスタにOracle Clusterware 10g リリース2をインストールして、Oracle RAC 11g をインストールすることはできません。

  • リリース10.1.0.6および10.2.0.3以上では、Database Upgrade Assistant(DBUA)を使用して、Oracle RACでパッチ・セットをアップグレードできます。また、DBUAを使用して、Oracle RACをメジャー・リリース間でアップグレードできます(10.2から11g、11.1から11.2など)。

  • アップグレード中に、Oracle Databaseホームの所有者を変更することはできません。既存のOracle Databaseホームを所有しているOracleソフトウェア所有者を使用する必要があります。

  • Oracle RACデータベースをアップグレードする場合、そのデータベースのインスタンスをホストする各クラスタ・メンバー・ノードが、アップグレード対象のインストールのメンバーである必要があります。たとえば、既存のOracle RACデータベースを3ノードのクラスタで実行している場合は、3つすべてのノードのOracle RACをアップグレードする必要があります。アップグレード時に、クラスタの2つのノードのみをアップグレードし、3つ目のノードおよびインスタンスを除外することはできません。


注意:

既存のOracle RACインストールをアップグレードしている場合、既存のインストールと同じタイプのOracleホームを使用する必要があります。たとえば、既存のインストールで共有Oracleホームを使用している場合は、Oracle RAC 11g リリース2(11.2)の共有Oracleホームにアップグレードする必要があります。

同様に、クラスタ・ノードでローカルOracleホームを使用している場合、クラスタ・ノードでローカルOracleホームにアップグレードする必要があります。



関連項目:

既存のデータベースをアップグレードするための準備方法については、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

1.1.7 グローバリゼーションの要件の確認

英語以外の言語をサポートするインストールを開始する前に、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。

次の点に注意してください。

  • データベース・キャラクタ・セットとしてUnicode AL32UTF8を使用することをお薦めします。

    Unicodeは、現在使用されているほとんどの言語をサポートする汎用キャラクタ・セットです。また、多くの歴史的な文字(アルファベット)もサポートされています。Unicodeは、Java、XML、XHTML、ECMAScript、LDAPなど、多くのテクノロジのネイティブ文字コードです。Unicodeは、インターネットおよび世界的な経済活動に接続するデータベースに最適のキャラクタ・セットです。

  • オペレーティング・システム・セッションのロケール設定によって、ユーザー・インタフェースの言語、およびOUI、Oracle Net Configuration Assistant(NETCA)、Oracle Database Configuration Assistant(DBCA)などのコンポーネントのグローバリゼーションに関する動作が決定されます。また、JDBCドライバを介してユーザー・アプリケーションによって作成されたOracle Databaseセッションで、グローバリゼーションに関する動作も決定されます(アプリケーションによって動作が変更された場合を除く)。

  • NLS_LANG環境変数で指定したキャラクタ・セットによって、ユーザー・インタフェースの言語およびSQL*Plus、expimpなどのコンポーネントのグローバリゼーションに関する動作が決定されます。また、この変数は、クライアント・アプリケーションとデータベースで使用される言語と地域も設定されます。NLS_LANG環境変数では、クライアント・アプリケーションによるデータの入力および表示に使用されるキャラクタ・セットも宣言されます。

    NLS_LANG環境変数は、クライアントのオペレーティング・システムのキャラクタ・セットの設定を反映している必要があります。たとえば、データベース・キャラクタ・セットがAL32UTF8であり、クライアントがWindowsオペレーティング・システムで実行されている場合は、UTF-8 WIN32クライアントがないため、NLS_LANG環境変数にAL32UTF8を設定しないでください。かわりに、NLS_LANG設定にクライアントのコード・ページを反映する必要があります。たとえば、英語版のWindowsクライアントのコード・ページは1252であるため、NLS_LANGの適切な設定はAMERICAN_AMERICA.WE8MSWIN1252となります。


注意:

ご使用のプラットフォームの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』には、様々な言語で使用されるデータベース・キャラクタ・セットの詳細と、Oracle Databaseのグローバリゼーション・サポートをインストールして構成する方法の詳細が記載されています。

1.1.8 ドキュメントの確認

Oracle RACをインストールする前に、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』、特にインストール前の手順と記憶域に関する章を参照して、インストールに必要なすべての手順を完了します。

また、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』には、管理者権限またはストレージ管理者権限が必要で、Oracle RACのインストールを開始する前に実行する必要がある作業がほぼすべて記載されています。

また、リリース・ノートおよびMy Oracle Support(https://support.oracle.com)を参照して、システム要件に関する最新情報や、インストールに影響する可能性がある他の情報を入手します。この確認にはあまり時間はかからず、後でインストール・エラーの原因を追跡するために必要な多くの時間を節約できます。このマニュアルの最新バージョンを参照していることも確認してください。Oracleのドキュメントは初回リリース後に更新され、次のWebサイトに公開されます。

http://docs.oracle.com/

Oracle Enterprise ManagerとOracle Application Express (Oracle RAC用)を有効にするため、および必要に応じてオンライン・ドキュメントにアクセスするために、Webブラウザを1つ以上のクラスタ・ノードにインストールすることをお薦めします。オンライン・ドキュメントは、PDF形式とHTML形式が用意されており、ダウンロード可能です。


関連項目:

  • Oracle Databaseの概要については、『Oracle Database概要』を参照してください。

  • Oracle ClusterwareまたはOracle RACの構成およびデプロイメントの詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • Oracle RACでのサーバーおよび記憶域の構成情報については、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』を参照してください。


1.2 サーバー・ハードウェア、ネットワークおよびオペレーティング・システムの概要

Oracle RACのインストールを試行する前に、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストールの一部としてOracle Clusterwareを正常にインストールする必要があります。インストールを正常に完了するには、必要なハードウェア、ネットワークおよびオペレーティング・システムで、Oracleソフトウェアのインストール前の手順が、必要に応じて実行されていることを確認します。インストール前の必要な手順を完了していないことが、インストールが失敗する最も多い理由です。

Oracle Clusterwareをクラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストールの一部としてインストールする前に、CPU、メモリー、共有記憶域、ローカル・ディスク、ネットワーク・カード、ホスト・バス・アダプタ、インターコネクトおよび他のネットワークまたはサーバー・ハードウェアの取付けと構成が完了している必要があります。また、オペレーティング・システムと必要なパッケージまたはサードパーティ・ソフトウェアもインストールされている必要があります。これらの作業はベンダーのマニュアルを参照して実行します。また、必要に応じて、ベンダーと協力してこのマニュアルに示されているOracleのインストール前の手順を完了し、ベンダーのハードウェアおよびソフトウェアが正しく構成されていることを確認します。

サーバーおよびネットワークでは、インストールのために次のような準備を行います。

1.2.1 サーバーのハードウェア要件およびソフトウェア要件の確認

次に示すサーバー・ハードウェアおよびソフトウェアの構成要件と推奨事項の概要を確認して、Oracle RACが正常にインストールされるように準備してください。

Oracle RACの要件

クラスタ内の各ノードには、次のものが必要です。

  • プロセッサおよびシステム構成を含む、サポートされているサーバー・ハードウェア。

    現在のハードウェアでインストールを開始する前、および新しいハードウェアを購入する前に、My Oracle Supportを参照し、Oracle RAC 11g リリース2(11.2)のOracle Clusterwareでハードウェアがサポートされていることを確認してください。

    サポートされている構成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』のインストール前の手順に関する章も参照してください。


    注意:

    クラスタ内の各ノードでは、同じオペレーティング・システムを使用する必要があります。クラスタ内の各ノードで同じソフトウェア構成を使用することをお薦めします。Oracle ClusterwareとOracle RACでは、同じクラスタ内の異種プラットフォームをサポートしていません(各サーバーは同じOracleソフトウェア・バイナリを実行している必要があります)。

  • システム要件に示されたオペレーティング・システムの更新。

    オペレーティング・システムへの更新(サービス・パック、個々のパッチなど)が必要な場合があります。このような要件がある場合は、特定のリリースのリリース・ノートに記載されています。リリース・ノートに動作保証に関する例外が示されていないかぎり、Microsoft社が推奨する他のオペレーティング・システム・パッチを適用することもできます。

  • Oracle Clusterwareでの投票ディスクのポーリングおよびOracle RACでのキャッシュ・フュージョンをサポートするための、各ノード上のサポートされているインターコネクト・ソフトウェア・プロトコル。インターコネクトは、ご使用のプラットフォームに対してオラクル社が保証する製品である必要があります

Oracle RACでの推奨事項: システム管理者タスク

次の作業を実行して、サーバーのインストールおよびメンテナンスを簡略化し、サービスの問題を回避することをお薦めします。

  • クラスタ内のすべてのノードで同じ基準時刻が使用されるように、ネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)などのタイム・プロトコルを使用します。Oracle Clusterware 11g リリース2(11.2)では、ネットワーク・タイム・プロトコルまたはWindowsタイム・サービスがインストールで有効になっていない場合、Oracle Clusterwareインストールはクラスタ時刻同期化サービス(CTSS)を有効にします。

  • すべてのクラスタ・サイズで冗長スイッチを構成します。

  • サーバーのメンテナンスを簡略化するために、各ノードで同一のサーバー・ハードウェアを使用します。

  • プライマリ・ドメイン・コントローラまたはバックアップ・ドメイン・コントローラにOracle RACをインストールしないことで、リソース競合の問題を回避します。

追加オプション: システム管理者およびベンダー

サーバー・ハードウェアの設定後、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』でハードウェア要件の確認に関する説明を参照して、十分なRAMがシステムに搭載されていること、インストールに十分な空き領域がある場所がTEMP環境変数に指定されていること、およびシステムが他のハードウェア要件を満たしていることを確認します。

1.2.2 サーバー環境の構成の概要

『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』のインストール前の手順に関する章の説明に従って、ユーザーとユーザー環境を構成します。次のタスクが含まれます。

  • Oracleソフトウェアをインストールするためのオペレーティング・システム・ユーザーの作成

  • Oracleソフトウェア所有者ユーザーの環境の構成


関連項目:

ユーザー・グループの作成の詳細は、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』を参照してください。

Oracleソフトウェアをインストールするには、管理者グループのメンバーであるユーザーである必要があります。インストールにローカル・ユーザー・アカウントを使用する場合、そのユーザー・アカウントはクラスタのすべてのノードに存在し、ユーザー名とパスワードがすべてのノードで同じである必要があります。

ドメイン・アカウントを使用してインストールする場合は、そのドメイン・ユーザーがクラスタ内の各ノードのローカル管理グループのメンバーであることを明示的に宣言する必要があります。ドメイン・ユーザーが別のグループからメンバーシップを継承していても不十分です。インストールを実行するユーザーは、各ノードの同じドメインに存在する必要があります。たとえば、DBADMINドメインの1つ目のノードにdba1ユーザーが存在し、RACDBAドメインの2つ目のノードにdba1ユーザーが存在することはできません。

1つのOracleインストール所有者が存在し、このOracleインストール所有者のユーザー名がoracleであるとします。oracleユーザーは、ローカル管理者ユーザーまたはドメイン・ユーザーのいずれかで、クラスタの同じノード上に同じユーザー(ユーザー名、パスワードおよびドメインが同じ)が存在する必要があります。

Oracle Databaseソフトウェアのインストール時に、インストールを実行するユーザーはORA_DBAグループに自動的に追加されます。ドメイン・ユーザーを使用する場合、インストール後に各ノードのドメイン・ユーザーがローカル管理者グループとORA_DBAグループのメンバーであることを確認する必要があります。

ローカルのORA_DBAグループのメンバーは、自動的にSYSDBA権限とSYSASM権限を受け取ります。


注意:

ドメイン・ユーザーを使用してインストールを実行する場合、インストール完了後にリモート・ノードのORA_DBAグループにそのユーザーを手動で追加する必要がある場合があります。

Oracle RACのインストールでは、ドメイン・ユーザーを使用することをお薦めします。



関連項目:

ORA_DBAグループの詳細は、『Oracle Databaseインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows』を参照してください。

1.2.3 Oracleベースの概要

Oracleベース・ディレクトリは、Oracleソフトウェアと構成ファイルが格納されている場所です。デフォルトでは、Oracleソフトウェア・バイナリ・ファイルは、Oracleベース・ディレクトリのサブディレクトリ内に、バージョンとOracleホーム名でインストールされます。1つのOracleベース・ディレクトリは、複数のインストールに使用できます。

すべてのOracleホームは、それ専用のOracleベースを持つことができます。通常、Oracleベースのパスは、インストールの所有者名に基づいています。Oracle Grid InfrastructureインストールとOracle RACインストールのインストール所有者が別の場合は、Optimal Flexible Architecture(OFA)ガイドラインに従って2つのOracleベースのパスが存在します。たとえば、ユーザーgridがOracle Grid Infrastructureインストールのインストール所有者で、ユーザーoracleがOracle Databaseインストールのインストール所有者の場合、2つのOracleベース・ディレクトリが存在します。

  • X:\app\grid: ユーザーgridのOracleベース。Oracle Grid Infrastructureバイナリを所有します。

  • X:\app\oracle: ユーザーoracleのOracleベース。Oracle Databaseバイナリを所有します。

インストールの準備では、Oracleバイナリと構成ファイルのパスの定義にORACLE_BASE環境変数のみを設定することをお薦めします。他のパスおよび環境変数は、必要に応じて、適切な構造のOracleソフトウェア環境を構築できるようにOptimal Flexible Architecture(OFA)規則に従い、Oracle Universal Installer(OUI)によって作成されます。

Oracle Database 11g では、ユーザーがOracleホーム環境変数を設定するのではなく、OUIによって作成されるようにすることをお薦めします。OracleベースのパスがE:\app\oracleであるとすると、デフォルトでは、次のOracleホームのパスがOUIによって作成されます。

X:\app\oracle\product\11.2.0\dbhome_n

変数nは、Oracleホームの番号です。初めてoracleユーザーとしてOracleホームを作成する場合、デフォルトのOracleホームの場所はC:\app\oracle\product\11.2.0\dbhome_1です。

Oracleソフトウェア用に選択するパス(OracleホームのパスおよびOracleベースのパスなど)には、ASCII文字のみを使用します。パスにはデフォルトでインストール・ユーザー名が使用されるものがあるため、このASCII文字制限は、ユーザー名、ファイル名およびディレクトリ名にも該当します。

1.2.4 ネットワークおよびインターネットの構成の概要

各サーバーを構成して、クラスタの他のノードと通信できるようにする必要があります。また、1つ以上のノードで、インターネットへのアクセスとWebブラウザのサポートを構成する必要があります。

1.2.4.1 ネットワーク・インタフェースの構成の概要

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール中に、インストール担当者は、各グローバル・インタフェースの使用計画を指定します。各インタフェースを、パブリック・インタフェース・タイプ(パブリックIPアドレスおよび仮想IPアドレスとともに使用)、プライベート・インタフェース・タイプ(クラスタ・メンバー・ノード間のインターコネクトとともに使用)または使用しないインタフェース・タイプ(Oracle ClusterwareおよびOracle RACが無視する)として指定します。たとえば、ネットワーク・ファイル・システムの専用インタフェースとして使用されるインタフェースは、使用しないインタフェース・タイプとしてマークされている必要があります。

Oracle RACの構成時にネットワーク構成を追加する必要はありません。

1.2.4.2 ノード間通信の構成の概要

Oracleソフトウェアはクラスタ内の1つのノードにインストールされ、OUIによりクラスタ内の他のノードにそのソフトウェアがコピーされます。クラスタ内の各ノードが、net useコマンドを使用して他のノードと通信できることを確認してください。たとえば、node1では、次のコマンドを使用します。

C:\> net use \\node2\c$
The command completed successfully.

node2では、次のコマンドを使用します。

C:\> net use \\node1\c$
The command completed successfully.

1.2.4.3 ブラウザ要件の概要

ドキュメントにアクセスしたり、Oracle Enterprise ManagerおよびOracle Application Expressを使用するには、Webブラウザが必要です。Webブラウザでは、JavaScript、HTML 4.0規格およびカスケード・スタイル・シート(CSS)1.0規格がサポートされている必要があります。これらの要件を満たすブラウザは、次のとおりです。

  • Microsoft Internet Explorer 10 (Oracle Enterprise Manager Database Control 11.2.0.3以上をサポート)

  • Microsoft Internet Explorer 9.0

  • Microsoft Internet Explorer 8.0

  • Microsoft Internet Explorer 7.0 SP1

  • Microsoft Internet Explorer 6.0 SP2

  • Firefox 21.0 (Oracle Enterprise Manager Database Control 11.2.0.4以上をサポート)

  • Firefox 17.0.6 ESR (Oracle Enterprise Manager Database Control 11.2.0.4をサポート)

  • Firefox 3.6

  • Firefox 3.5

  • Safari 4.0.x

  • Safari 3.2

  • Safari 3.1

  • Google Chrome 27.0 (Oracle Enterprise Manager Database Control 11.2.0.4をサポート)

  • Google Chrome 4.0

  • Google Chrome 3.0

Oracle Application Expressでサポートされるブラウザの一覧については、『Oracle Application Expressインストレーション・ガイド』を参照してください。


注意:

Oracle RACのインストールにブラウザは必要ありません。

1.2.5 プラットフォーム固有のサーバー構成の概要

Oracle ClusterwareおよびOracle RACは、特定のオペレーティング・システム・バージョンおよび特定のオペレーティング・システム・コンポーネントでテスト済です。今回のリリースで動作保証されているオペレーティング・システム・バージョンおよびコンポーネントを使用する必要があります。

インストールを開始する前に、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』でシステム要件を十分に確認し、システムが要件を満たしているかを確認することをお薦めします。システムがハードウェア、オペレーティング・システム・バージョンおよびコンポーネントの最小要件を満たしていない場合、インストールを完了できないか、Oracle ClusterwareまたはOracle Databaseの実行時に他のエラーが発生する場合があります。

標準のシステム要件の構成に加えて、特定のサーバー・ハードウェアにデプロイする場合に、オペレーティング・システムの追加構成手順が必要な場合があります。『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64 (64-Bit)』のインストール前の手順に関する章を参照し、My Oracle Supportの「動作保証」ページを参照して、ご使用のハードウェアおよびプラットフォーム構成で追加要件または推奨事項がないか確認します。

1.3 Oracle RACの記憶域の概要

Oracle RACのEnterprise EditionおよびStandard Editionのどちらについても、Oracle Databaseコンポーネントのハード・ディスク要件に、オペレーティング・システムのインストール先のディスク・パーティションへのJava Runtime Environment(JRE)とOUIのインストールに必要な32MBも含まれています。十分な空き領域が検出されない場合、インストールは失敗し、エラー・メッセージが表示されます。表1-1に、初期データベースの要件を含むハード・ディスク領域の要件を示します。

表1-1 Oracle RACのハード・ディスク領域の要件

インストール・タイプ TEMP領域 %SYSTEMDRIVE%\Program Files\Oracle Oracle Databaseホーム データ・ファイル 合計

Standard Edition

500MB

100MB

5GB

3GB

8.6GB

Enterprise Edition

500MB

100MB

5.5GB

3GB

9.1GB


表1-1の「データ・ファイル」列は、Oracleベース・ディレクトリのadminflash_recovery_areaおよびoradataディレクトリの内容を示しています。言語またはその他のコンポーネントなど、選択したインストール・オプションに応じて、これらのファイルの実際のサイズは、表に示すサイズよりも大きい可能性があります。後で自動バックアップを有効にしてOracle DatabaseおよびOracle Real Application Clustersをインストールする場合は、データ・ファイルのディスク領域用としてさらに2GB以上必要です。

Oracle RACをインストールするには、データベース・ファイル用およびオプションでリカバリ・ファイル用に共有記憶域を構成する必要があります。DBCAにより自動バックアップを構成するよう指定する場合、そのバックアップには共有されているデータベース・リカバリ領域が必要です。

インストール計画の記憶域オプションを確認するには、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64 (64-Bit)』の第3章を参照してください。ストレージ管理者およびシステム管理者は、この章を参照して、Oracle RACデータベースのデータベース・ファイル用の記憶域を構成できます。


関連項目:

リカバリ領域の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)は、新しいマルチプラットフォームのスケーラブルなファイル・システムであり、Oracle ASM機能を強化して、Oracle Database外でのカスタマ・ファイルの保持をサポートするためのストレージ管理テクノロジです。Oracle ACFSでサポートされるファイルには、データベースとアプリケーションの実行可能ファイル、トレース・ファイル、アラート・ログ、アプリケーション・レポート、BFILEおよび構成ファイルが含まれます。Oracle ACFSがOracle ASM機能を利用することで、次のことが可能になります。

  • Oracle ACFSの動的なファイル・システムのサイズ変更

  • Oracle ASMディスク・グループ・ストレージへの直接アクセスによるフォーマンスの最大化

  • I/Oの並列性向上によるOracle ASMディスク・グループ・ストレージ全体でのOracle ACFSの分散の平均化

  • Oracle ASMミラー化保護メカニズムによるデータの信頼性の確保

Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)は、ディスクのボリューム管理サービスと標準的なディスク・デバイス・ドライバ・インタフェースをクライアント(ユーザーおよびアプリケーション)に提供します。ファイル・システムと他のディスク・ベースのアプリケーションは、ベンダー・オペレーティング・システムにある、他のストレージ・デバイスに対してと同様に、Oracle ADVMボリューム・デバイスに対してI/Oリクエストを発行します。Oracle ADVMは、Oracle ASMボリューム・ファイルとして割り当てられているOracle ASM記憶域にディスク・ドライバ・インタフェースを提供することで、Oracle ASMを拡張します。Oracle ADVMは、ファイル・システムを含む仮想ディスクの作成に使用できます。Oracle ASMボリュームに含まれるこのようなファイル・システムは、Oracle Databaseファイル(実行可能ファイル、レポート・ファイル、トレース・ファイル、アラート・ログおよびその他のアプリケーション・データ・ファイル)以外のファイルをサポートできます。


関連項目:

  • 記憶域オプションに関する最新情報については、My Oracle Supportの「動作保証」ページを参照してください。

    https://support.oracle.com
    
  • 記憶域の構成管理の概要については、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


1.3.1 Oracle RACの記憶域の一般的な考慮事項

すべてのインストールに対して、Oracle RACデータベース・ファイルで使用する記憶域オプションを選択する必要があります。インストール中に自動バックアップを有効にするには、リカバリ・ファイル(高速リカバリ領域)に使用する共有記憶域オプションを選択する必要もあります。各ファイル・タイプに同一の記憶域を使用する必要はありません。

次のガイドラインに従って、各ファイル・タイプで使用する記憶域オプションを選択します。選択した記憶域オプションの要件がすべて満たされている場合、各ファイル・タイプでサポートされている共有記憶域オプションのいずれの組合せでも使用できます。

  • データベース・ファイルおよびリカバリ・ファイルの共有記憶域オプションとして、Oracle ASMを選択することをお薦めします。

  • Standard EditionのOracle RACインストールでは、データベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルの共有記憶域オプションとして、Oracle ASMのみがサポートされています。

  • 外部ファイルの冗長性が適用される記憶域オプションがない場合は、3つ以上の投票ディスク領域を構成して、投票ディスクの冗長性を確保する必要があります。

  • Oracle RACでOracle ASMを使用するものの、Oracle Clusterwareファイル(Oracle Cluster Registry(OCR)および投票ディスク)にOracle ASMを使用していなかった場合、OUIを開始する前にOracle ASMインスタンスをOracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)で構成する必要があります。クラスタ内のすべてのノードに、Oracle Database 11g リリース2バージョンのOracle Grid Infrastructureがインストールされている必要があります(Oracle ClusterwareとOracle ASM)。

  • 既存のOracle RACデータベースをアップグレードする場合は、システムが次の条件を満たしていることを確認する必要があります。

    • Oracle RACデータベース・インスタンスが位置するノードで、OUIとDBCAが実行されます。

    • Oracle RACデータベース・インスタンスが、新しいクラスタ・インストールのメンバーにするノードと同じノードで実行されている。たとえば、既存のOracle RACデータベースを3ノードのクラスタで実行している場合は、3つすべてのノードにアップグレードをインストールする必要があります。アップグレード時に3つ目のインスタンスを削除して、クラスタ内の2つのノードのみをアップグレードすることはできません。


    関連項目:

    既存のデータベースをアップグレードするための準備方法については、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

1.3.2 Oracle Databaseおよびリカバリ・ファイル・オプションの概要

Oracle Databaseおよびリカバリ・ファイルの格納には、次の2つの方法があります。


注意:

OUIを使用して新しいOracle RACデータベースを作成する場合、RAWデバイス(フォーマットされていないパーティション)でのデータ・ファイルとリカバリ・ファイルの格納はサポートされません。共有ファイル・システムまたはOracle ASMで、データ・ファイルとリカバリ・ファイルを配置します。RAWデバイスを使用するデータベースをアップグレードする場合、そのデバイスはOracle Database 11g リリース2でもサポートされます。

  • Oracle Automatic Storage Management: Oracle ASMは、Oracle Databaseファイル用の統合された高性能のデータベース・ファイル・システムであり、ディスク・マネージャです。データベース・ファイルのストライプ化およびミラー化を自動的に実行します。


    注意:

    Oracle RACを使用するOracle Database Standard Editionでは、記憶域オプションとしてOracle ASMのみがサポートされています。

  • サポートされている共有ファイル・システム: サポートされているファイル・システムには、次のものがあります。

    • Oracle Cluster File System(OCFS)for Windows: データベース・ファイルにWindows用のOCFSを使用する場合、Oracle Database用のパーティションを作成する際に、すべてのデータベース・ファイルおよびリカバリ・ファイルに十分なサイズのパーティションを作成する必要があることに注意してください。


      注意:

      すべてのノードで1つの共有Oracle Databaseホーム・ディレクトリを使用するには、サポートされているクラスタ・ファイル・システムを使用する必要があります。

    • Direct Network File Systems (NFS): Direct NFSを使用してNFSバージョン3(NFSv3)サーバーに直接アクセスするように、Oracle Databaseを構成できます。Direct NFSは、NASストレージ・デバイス(TCP/IPでアクセス可能)に配置されるNFS記憶域に、より高速でスケーラブルなアクセスを提供する最適化されたNFSクライアントです。Direct NFSはデータベース・カーネルに直接構築され、オペレーティング・システムのNFSドライバで実現可能な速度よりも高速になります。NFSサーバーにアクセスする場合、Oracle Databaseはオペレーティング・システムをバイパスして、必要な要求を正確に生成します(ユーザー構成またはチューニングは必要ありません)。

表1-2に、Oracle DatabaseファイルおよびOracle Databaseのリカバリ・ファイルを格納するために使用できる記憶域オプションを示します。Oracle Databaseファイルには、データ・ファイル、制御ファイル、REDOログ・ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)およびパスワード・ファイルが含まれています。

表1-2 Oracle Databaseファイルおよびリカバリ・ファイルのサポートされている記憶域オプション

記憶域オプション サポート対象ファイルのタイプ
データベース リカバリ

Oracle ASM

Oracle ASMクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)

不可

不可

Windows用のOCFS

Direct NFS

ローカル記憶域

不可

不可

共有の未フォーマット・パーティション

OUIまたはASMCAではサポートされませんが、Oracle RACでサポートされます。RAWパーティションは、インストール後に追加または削除できます。

OUIまたはASMCAではサポートされませんが、Oracle RACでサポートされます。RAWパーティションは、インストール後に追加または削除できます。


1.4 Oracle Database Vaultオプションの要件

Oracle Database Vaultには、次のものが必要です。

  • Oracle Database Enterprise Editionインストール。Oracle Database Vaultは、Oracle Database Standard Editionでは使用できません。

  • データベースの初期化パラメータdb_block_sizeの設定(4096以上)

    インストール中に、このパラメータの初期値を指定できます。

  • Oracle Enterprise Manager Database Control。

  • Oracle Clusterwareがインストールされ、実行されている。

  • パスワード・ファイルの認証パラメータREMOTE_LOGIN_PASSWORDFILEに、データベースのEXCLUSIVEまたはSHAREDが設定されている。

    このパラメータの初期値は、インストール時、またはOracle Database初期化ファイルに指定できます。パスワード・ファイルを作成および管理するには、orapwdユーティリティを使用します。


    関連項目:

    パスワード・ファイルの作成および管理方法の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

Oracle Database Vaultは、同じシステムに複数回インストールできます(異なるデータベースの異なるOracleホームに)。

1.5 インストールの準備に関する追加情報

次に示すOracle Clusterware、Oracle ASMおよびOracle RACに関する情報は、インストールを計画するチームがインストールの構成方法を決定する際に役立ちます。内容は次のとおりです。

1.5.1 Oracle Grid InfrastructureとともにインストールされるOracle ASM

以前のリリースでは、Oracle ASMはOracle Databaseインストールの一部としてインストールされていました。Oracle Database 11g リリース2(11.2)では、Oracle ASMはOracle Grid Infrastructureのインストールの一部です。既存のOracle ASMインストールをアップグレードするには、Oracle Grid Infrastructureのアップグレードを実行して、Oracle ASMをアップグレードする必要があります。

Oracle Clusterwareファイルの記憶域オプションとしてOracle ASMを選択しなかった場合は、最初にOracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)を使用してOracle ASMを構成し、Oracle ASMインスタンスを作成し、Oracle Database記憶域に使用するディスク・グループを作成する必要があります。

1.5.2 Oracle Enterprise Manager用のOracle ASM ASMSNMPのパスワードの取得

Oracle Grid Infrastructure管理者から、Oracle ASMユーザー(ASMSNMP)のパスワードを取得します。

クラスタ用のOracle Grid Infrastructureのインストール中に、ASMSNMPアカウントが作成され、アカウントのステータスがOPENに設定されます。これには、ASMに対するSYSDBA権限が付与されます。Oracle Enterprise Managerが、Oracle ASMインスタンスを監視し、ASM関連データ・ディクショナリ・ビューからデータを取得するためには、ASMSNMPアカウントへのアクセスが必要です。


関連項目:

ASMSNMPアカウントの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

1.5.3 Oracle Clusterwareおよびベンダー・クラスタウェア

Oracle Clusterwareでは、クラスタ・サービスが提供されます。現在、Microsoft Windowsプラットフォームでサポートされるクラスタウェア製品はOracle Clusterwareだけです。Oracle RACをインストールする場合は、Oracle Clusterwareを最初にインストールする必要があります。

1.5.4 Oracle RACインストールの共有コンポーネント

データベース管理者とシステム管理者は、Oracle RACを使用する場合、Oracle RAC環境のすべてのインスタンスが制御ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル、SPFILE、REDOログ・ファイルおよびすべてのデータ・ファイルを共有することに注意する必要があります。これらのファイルは、共有ファイル・システムに配置し、すべてのクラスタ・データベース・インスタンスからアクセスできるようにする必要があります。また、各インスタンスには、それぞれ専用のREDOログ・ファイルのセットがあります。障害が発生した場合、REDOログ・ファイルへの共有アクセスによって、障害が発生していないインスタンスがリカバリを実行できます。

1.5.5 TIMESTAMP WITH TIME ZONEデータの簡略化されたアップグレード

Oracle Database 11g リリース2(11.2)のインストールの一部として、タイムゾーン・ファイルのバージョン1から11までが、パスOracle_home\oracore\zoneinfoにインストールされます。現在のタイムゾーン・ファイルを引き続き使用するか、または最新バージョンにアップグレードすることができます。最新バージョンのタイムゾーン・ファイルにサーバーをアップグレードすることをお薦めします。新しいバージョンのタイムゾーン・ファイルへのアップグレードによって、既存のTIMESTAMP WITH TIME ZONE(TSTZ)データが古くなる可能性があります。新しく提供されたDBMS_DST PL/SQLパッケージを使用して、最小限の手動手順でTSTZデータが透過的に更新されます。

Oracle RACデータベースのすべてのインスタンスが、同じタイムゾーンを使用する必要があります。インスタンスがSQL*Plusで起動されるとき以外は、Oracle RACデータベースのタイムゾーンは、デフォルトで、Oracle Grid Infrastructureのgridユーザーのタイムゾーンに設定されます。SQL*Plusを使用する場合、Oracle Clusterwareに使用されるデータベース・インスタンスに対して確実に同じタイムゾーン設定が使用されるようにする必要があります。次のコマンドを使用してOracle Clusterwareがデータベースに使用するタイムゾーンを変更できます。time zoneは変更後のタイムゾーンです。

srvctl setenv database -T "TZ=time zone"

タイムゾーン・ファイルは、クライアント・コンピュータにもインストールされます。Oracle Database 11g リリース2からは、Oracleクライアントのタイムゾーン・ファイルをすぐにアップグレードする必要がなくなりました。アップグレードは、システム管理者の最も都合の良い時間に行うことができます。ただし、クライアントとサーバーで異なるタイムゾーン・バージョンを使用している場合、パフォーマンスがわずかに低下します。


関連項目:

  • TSTZデータのアップグレードの準備については、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

  • タイムゾーン・ファイルとTSTZデータをアップグレードする方法については、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。

  • 異なるバージョンのタイムゾーン・ファイルで動作するクライアントおよびサーバーのパフォーマンスの影響については、『Oracle Call Interfaceプログラマーズ・ガイド』を参照してください。


1.5.6 Oracle Database 11g Real Application Clustersのリリース間の互換性

異なるリリースのOracle Databaseソフトウェアを、同一のコンピュータにインストールして使用できますが、次の条件を満たしている場合にかぎられます。

  • Oracle Clusterwareがインストールされ、異なるリリースの他のOracleソフトウェアがインストールされている場合、Oracle Clusterwareのリリースは、Oracle Databaseソフトウェアのリリース以上である必要があります。Oracle Grid Infrastructure 11g リリース2(11.2)インストールを実行すると、Oracle ClusterwareとOracle ASMの両方がリリース11.2.0.1にアップグレードされます。

  • 既存のOracle Databaseホームが存在する場合、新しいOracle Databaseホームを作成し、その新しいOracleホームにOracle Database 11g リリース2(11.2)をインストールすることができます。Oracle Clusterwareが別のOracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)に存在することを確認する必要があります。Oracle Grid InfrastructureインストールをOracle DatabaseのOracleベース・ディレクトリにインストールすることはできません。

  • Oracle9iリリースのOracle RACを実行している場合、そのリリースを引き続き使用するには、Oracle Cluster Managerなど、そのリリースと互換性があるクラスタ・ソフトウェアを実行する必要があります。Oracle Clusterwareリリース11gは、Oracle9iデータベース・ソフトウェアと同じシステムにインストールできますが、Oracle9iデータベース・ソフトウェアは、Oracle Clusterware 11gではサポートできません。

  • OUIが以前のリリースのデータベースを検出した場合、OUIによってプリファレンスのアップグレードについて尋ねられます。DBUAで以前のリリースのデータベースをアップグレードするオプション、またはDBCAで新規データベースを作成するオプションがあります。このOUIダイアログ中に収集された情報は、ソフトウェアのインストール後にDBUAまたはDBCAに渡されます。

    以前のリリースのOracle Clusterwareが検出された場合、OUIによって、インストールされている既存のOracle Clusterwareをアップグレードするかどうかを尋ねられます。1つのサーバーでは1つのバージョンのOracle Clusterwareのみをアクティブにでき、サーバーは1つのクラスタのみのメンバーである必要があります。


    注意:

    Oracleバイナリは、Oracleホームから別の場所に移動しないでください。移動すると、動的なリンクが失敗する可能性があります。

  • スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure(Oracle Restart)をインストールした後に、クラスタ用のOracle Grid Infrastructureをインストールすることはできません。Oracle Restartをインストールしている場合は、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureをインストールする前にそのインストールを削除する必要があります。


    注意:

    Oracle実行可能ファイルは、インストールされたディレクトリから別の場所に移動しないでください。実行可能ファイルを新しい場所に移動するには、ソフトウェアを再インストールする必要があります。

  • 異なるリリースのOracle DatabaseとOracle ASMを実行できます。たとえば、Oracle ASMリリース11g リリース2(11.2)とOracle Database 10g リリース2(10.2)データベースを使用できます。


    注意:

    異なるリリースのOracle ASMおよびOracle Databaseを使用する場合、各製品の機能は、以前のリリースのソフトウェア機能に依存します。たとえば、Oracle ASM 11gリリース2 (11.2)インスタンスを使用するOracle Database 10gリリース10.2データベースでは、Oracle ASM 11gリリース2 (11.2)リリースで提供される新機能は使用できず、Oracle ASM 10.2の機能のみを使用できます。


関連項目:

  • Oracle Grid Infrastructureでの以前のリリースのOracle Databaseの使用については、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Microsoft Windows x64(64-Bit)』を参照してください。


1.6 クラスタ検証ユーティリティを使用したクラスタ準備状況の確認

Oracle RACインストールを開始する前に、CVUを使用して、システムでOracle RACをインストールする準備ができていることを確認します。チェックで問題が見つかった場合は、報告されるエラーを修正するか、またはシステムまたはストレージ管理者に連絡してエラーの原因に対処してもらいます。

CVUは、グリッド・ホームのbinディレクトリにあります。たとえば、GridホームがC:\app\11.2.0\gridの場合、CVUはC:\app\11.2.0\grid\binディレクトリにあります。CVUを起動するには、Gridホームのbinディレクトリに移動して、次のコマンドを使用します。

cluvfy.bat stage -pre dbinst -fixup -n nodelist -r release -verbose

前述のコマンドでは、nodelistがノード名のカンマ区切りリストであり、releaseがインストールされるOracle Databaseソフトウェアのバージョンです。-fixupおよび-verboseフラグはオプションです。

たとえば、node1node2の2つのノードがあるクラスタで、Oracle Database 11g リリース2(11.2)とOracle RACのインストールの準備のためにクラスタをテストしている場合、次のコマンドを実行してシステムの準備状況を検証します。

cluvfy.bat stage -pre dbinst -fixup -n node1,node2 -r 11gR2 -verbose

CVUコマンドの詳細は、コマンドcluvfy.bat -helpを実行して参照してください。


関連項目:

CVUの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

1.7 既存のデータベースが存在するシステムでのOracle Database 11gリリース2のインストール

既存のOracle RACまたはOracle Databaseインストールが存在するシステムでインストールを計画している場合は、追加の作業を実行し、システムでインストールの準備を行う必要があります。

システムにOracle Database 10g がインストールされている場合に、Oracle Database 10gリリース(10.2)インストールとの共存またはそのアップグレードを行うためにOracle Database 11g リリース2(11.2)をインストールすると、ほぼすべてのインストール・タイプで、TCP/IPポート1521およびプロセス間通信(IPC)キー値EXTPROCを使用したデフォルトのOracle Net Listenerの構成および起動が行われます。次のいずれかが発生します。

  • 共存インストールの場合、DBCAによって、自動的にリスナーと関連ファイルがOracle Database 10gのOracleホームからOracle Database 11gのOracleホームに移行されます。

  • アップグレードの場合、DBUAによって、自動的にOracle Database 10gのリスナーの場所が特定され、Oracle Database 11gに移行されます。


    注意:

    Oracle ASMを使用してOracle Database 11g リリース2(11.2)をOracle Database 10g リリース1(10.2)のデータベースと共存させるためには、10.2データベースはリリース10.2.0.2以上である必要があります。


関連項目:

アップグレードを実行するための準備の詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。