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Oracle® Real Application Clustersインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for Microsoft Windows x64 (64-Bit)
B58877-06
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6 サーバー・プールおよびOracle Enterprise Manager Database Controlの構成

この章では、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境でのサーバー・プールおよびOracle Enterprise Manager Database Controlの構成について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

6.1 サーバー・プールの理解

サーバー・プールとは、クラスタをサーバーのグループに論理的に分割したもので、ホスト・データベースなどのアプリケーションに対して割り当てられます。サーバー・プールは、crsctlおよびsrvctlコマンドを使用して管理します。

各サーバー・プール名は、クラスタ内で一意である必要があります。2つのサーバー・プールで、同じ名前を使用することはできません。


注意:

デフォルトでは、すべての名前付きユーザーがサーバー・プールを作成できます。この権限を持つオペレーティング・システム・ユーザーを制限するには、CRS管理者リストに特定のユーザーを追加することをお薦めします。CRS管理者リストへのユーザーの追加の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

サーバー・プールの管理には、次の2種類があります。

  • 管理者型管理: データベース・リソースを実行するサーバーをデータベース管理者が定義し、必要に応じてリソースを手動で配置します。これは、以前のリリースで使用されていた管理方法です。

  • ポリシー管理型: データベース管理者は、データベース・リソースを実行するサーバー・プール(汎用サーバー・プールおよび空きサーバー・プールを除く)を指定します。Oracle Clusterwareによって、データベース・リソースがサーバーに配置されます。

    サーバー・プール名は必須属性です。次の属性の値も指定できます。指定しない場合は、デフォルト値に設定されます。

    • MIN_SIZE: リソースを実行するサーバーの最小数。デフォルトは0です。

    • MAX_SIZE: リソースを実行するサーバーの最大数。デフォルトは-1です。これはクラスタ内の使用可能なすべてのノードでリソースを実行できることを示します。

    • IMPORTANCE: サーバー・プールの相対的な重要度。クラスタに対してノードの追加または削除が行われたときにサーバーを再構成する方法を決定するために使用されます。デフォルトは0です。


    注意:

    Oracle Database 11gリリース2以上を使用し、1つ以上のサーバー・プールにデプロイされているポリシー管理型のデータベースでは、単一クライアント・アクセス名(SCAN)を使用してデータベースにアクセスする必要があります。SCANの使用をお薦めするのは、ポリシー管理データベースのインスタンスは異なる時期に異なるサーバー上で動作可能であるため、ポリシー管理型データベースの特定のノードまたはインスタンスに仮想IP (VIP)アドレスを使用して接続できないためです。

6.1.1 Oracle RAC One Nodeとサーバー・プール

Oracle RAC One Nodeとサーバー・プールについて、次の点に注意してください。

  • Oracle RAC One Nodeは、1つのサーバー・プールのみで実行されます。このサーバー・プールは、他のサーバー・プールと同じように扱われます。

  • Oracle RAC One Nodeデータベース・インスタンスのオンライン再配置では、Oracle RAC One Nodeデータベースのあるノードから別のノードへの計画的な移行が可能です。再配置は、常に、サーバー・プール内である必要があります。

  • Oracle RAC One Nodeデータベースは、Data Guardのフィジカル・スタンバイであることがあります。

6.1.2 ポリシーベースでのクラスタおよび容量の管理

データベース管理者は、ポリシーベースのサーバー・プール管理を行って、ワークロードのリソース要件を次のように定義します。

  • そのアプリケーションに対して優先されるサーバーまたはインスタンスの数を定義します。Oracle Clusterwareは、物理的に使用可能なリソースを指定された数まで自動的に割り当てます。また、必要に応じて、別のノードへのリソースの再配置も行います。

  • そのアプリケーションのサポートに必要なインスタンスの数を定義します。

リソースは、特定のインスタンスまたはノードに属するものとして定義されなくなりました。かわりに、リソース要件の優先度が定義されます。


関連項目:

ポリシーベースの管理およびサーバー・プールの詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

6.2 Oracle RACのためのDatabase Control実装の理解

Oracle RAC用にDatabase Controlを構成する場合は、クラスタ内のインスタンスごとにDatabase Controlを構成します。ただし、デフォルトでは、Database Controlコンソールが起動するのは、ローカル・ノード(Oracle RACインストールが開始されたノード)でのみです。クラスタ内の他のすべてのノードでは、Oracle Management Agentのみが起動されます。これは、データベースに対してDatabase Controlコンソールが多数の接続をオープンするためです。コンソールのインスタンスがクラスタ内のすべてのホストで実行されている場合、32ノードまたは64ノードの環境でのオープンしている接続の許容最大数を簡単に超えてしまうことがあります。

各リモート・エージェントは、ローカル・ノードで実行されているコンソールにそれぞれのデータをアップロードします。ユーザーはクラスタ内のすべてのノードおよびインスタンスをローカル・ノードから監視および管理できます。Oracle RACデータベースのOracleホームにあるノードごとに、次のサブディレクトリが作成されます(nodenameはクラスタ内のノードの名前、DBNameはOracle RACデータベースの一意の名前)。

%ORACLE_HOME%\nodename_DBName
%ORACLE_HOME%\nodename_DBName

Database Controlで構成された既存のOracle RAC 10gリリース1のデータベースを最新のリリースにアップグレードした場合、既存のDatabase Control構成は保持されます。Database Controlコンソールは、アップグレード後のOracle RACデータベースに関連付けられている各クラスタ・ノードで実行されます。

6.3 EMCAとEnterprise Manager ControlおよびOracle RACの理解

Enterprise Manager Configuration Assistant(EMCA)を使用して-clusterオプションを指定し、Oracle Enterprise Manager Database ControlをOracle RAC用に構成する場合は、クラスタ内のインスタンスごとにDatabase Controlを構成します。ただし、デフォルトでは、Database Controlコンソールはローカル・ノードのみで起動されます。

Database Controlコンソールがローカル・ノードで起動されている場合は、Enterprise Manager Control(EMCTL)コマンドstart dbconsoleおよびstop dbconsoleを使用して、Database Controlコンソールを起動および停止できます。コマンドemctl start dbconsoleおよびemctl stop dbconsoleでは、Database Controlコンソールが実行されていない他のノード上の管理エージェントのみが起動および停止されます。

6.4 インストール中のDatabase Controlの構成

Oracle RAC 11gリリース2(11.2)のインストール中にデータベースを作成する場合は、そのデータベースをOracle Enterprise Manager Grid ControlまたはOracle Enterprise Manager Database Controlで管理できるように構成できます。

管理オプションとしてGrid Controlを選択するには、Oracle Management Serviceがネットワーク・ホストにインストールされている必要があります。また、データベースをインストールするホストに管理エージェントがインストールされている必要もあります。そうでない場合、Grid Controlオプションは使用できないため、Database Controlでデータベースを管理する必要があります。

Oracle RAC 11g リリース2(11.2)のほとんどのインストール・タイプでは、インストール中にデータベースを作成する場合、Database ControlまたはGrid Controlのいずれかを管理オプションとして選択する必要があります。

Oracle RACデータベース用にEnterprise Managerを構成しない場合は、EnterpriseまたはStandard Editionのインストール中に「詳細」データベース構成オプションを使用するか、またはインストール後にOracle Database Configuration Assistant(DBCA)を実行してOracle RACデータベースを作成する必要があります。Oracle RAC 11gリリース2(11.2)のインストール中にDatabase Controlを構成しない場合は、データベースのOracleホーム内にnodename_DBNameディレクトリは作成されません。

6.5 DBCAを使用したDatabase Controlの構成

既存のOracle Database 11gリリース2(11.2)データベースをDatabase Controlで管理できるように構成する場合、通常はDBCAを使用します。DBCAを使用すると、新しいデータベースを作成したり、既存のデータベースを再構成することができます。


関連項目:

  • DBCAを使用した新しいデータベース・インスタンスの作成方法の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』のOracleソフトウェアのインストールとデータベースの構築に関する説明を参照してください。

  • DBCAを使用したOracle RACの例については、『Oracle Database 2日でReal Application Clustersガイド』を参照してください。


DBCAを使用して、Database Controlで管理できるようにデータベースを構成するには、次の手順を実行します。

  1. 管理者ユーザーとしてデータベース・ホストにログインします。

  2. 「スタート」「プログラム」「Oracle - Oracle_home name」の順に選択します。「Configuration and Migration Tools」フォルダで、「Database Configuration Assistant」を選択します。

    DBCAの「ようこそ」ページが表示されます。

  3. 「操作」ページが表示されるまで「次へ」をクリックします。「データベース・オプションの構成」を選択します。

  4. 「データベース」ページが表示されるまで「次へ」をクリックします。構成するデータベースを選択します。

  5. 「管理オプション」ページが表示されるまで「次へ」をクリックします。次のオプションを選択します。

    • Enterprise Managerによるデータベースの構成

    • データベース管理にDatabase Controlを使用

  6. 必要に応じて、日次バックアップを有効にするオプションを選択します。

    Oracle Enterprise Managerの日次バックアップの詳細を参照するには、「管理オプション」ページの「ヘルプ」をクリックしてください。

  7. 「終了」ボタンが使用可能になるまで「次へ」をクリックし、「終了」をクリックして、Database Controlを使用するようにデータベースを構成します。

DBCAによるデータベースの構成が終了すると、Oracleホームに新しいサブディレクトリが作成されます。このディレクトリには、構成したデータベースに固有の、Database Controlの構成と状態に関するファイルが含まれます。クラスタ・データベースの場合、ディレクトリ名はnodename_DBNameとなります。たとえば、ローカル・ノードの名前がnode1.example.comで、データベースの一意の名前がmyNewDBの場合、ディレクトリ名は次のようになります。

node1.example.com_myNewDB

6.6 EMCAを使用したインストール後のDatabase Controlの構成

EMCAは、Database Controlを構成するためのコマンドライン・インタフェースを提供します。EMCAは、データベースのOracleホームのbinディレクトリにあります。


注意:

EMCAを使用してDatabase Controlを構成している間は、データベースを使用できなくなる場合があります。ユーザーは、データベースに接続することも、データベースで操作を実行することもできない場合があります。

6.6.1 対話モードでのEMCAの使用

Database Controlで管理するようにEMCAを使用してデータベースを構成するには、次の手順を実行します。

  1. 変更するデータベースのホーム・ディレクトリの場所を、デフォルトのOracleホームに設定します。詳細は、第7.3項「Windowsでの複数のOracleホーム・ディレクトリの動作」を参照してください。

  2. ディレクトリを%ORACLE_HOME%\binに変更します。

  3. 表G-1「EMCAのオプションのコマンドライン・パラメータ」に示されているオプションのコマンドライン・パラメータを指定して次のコマンドを入力することによってEMCAを起動します。

    %ORACLE_HOME%\bin> emca.bat
    

    EMCAのコマンドラインで指定したパラメータに応じて、EMCAによって、Database Controlの構成に必要な追加情報の入力を求めるプロンプトが表示されます。


    注意:

    Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)を使用するシングル・インスタンスのデータベースに対してDatabase Controlを構成する場合、EMCAコマンドに追加のパラメータを含める必要はありません。次のコマンドを実行して、新しいインストール用にDatabase Controlを構成します。EMCAにより、Oracle ASMインスタンスが自動的に検出されます。
    emca -config dbcontrol db -repos create
    

    例6-1 EMCAを使用したDatabase Controlと日次データベース・バックアップの構成

    次のコマンドを入力して、Oracle RACデータベース用にDatabase Controlを構成し、さらにデータベースの自動日次バックアップを有効にします。

    X:\> cd %ORACLE_HOME%\bin
    
    X:\..\bin> emca.bat -config dbcontrol db -backup
    

6.6.2 入力ファイルによるサイレント・モードでのEMCAの使用

EMCAの実行時に表示される一連のプロンプトに応答するかわりに、-respFileパラメータを使用して入力ファイルを指定できます。作成する入力ファイルは、次の例の形式と同様の形式にする必要があります。

PORT=1521
SID=DB
DBSNMP_PWD=xpE234D
SYSMAN_PWD=KDOdk432

作成したEMCA入力ファイルは、コマンドラインで次のように使用できます。input_file_pathは、入力ファイルのフル・パス名です。

emca -config dbcontrol db -respFile input_file_path

例6-2 EMCAでレスポンス・ファイルを使用したDatabase Controlの構成

日次バックアップを実行してOracle Management Repositoryを作成するようにDatabase Controlを構成するには、次のような入力ファイルを作成します。

PORT=1521
SID=DB
DBSNMP_PWD=dow3l224
SYSMAN_PWD=squN3243
HOST_USER=johnson
HOST_USER_PWD=diTf32of
SYS_PWD=qlKj4352
BACKUP_SCHEDULE=06:30

入力ファイルを作成した後、オペレーティング・システムのプロンプトでOracleホームのbinディレクトリから次のコマンドを入力します。input_file_pathは、入力ファイルのフル・パス名です。

X:\..\bin> emca -config dbcontrol db -repos create -backup -respFile
input_file_path

6.7 EMCAを使用したDatabase Controlの管理

DBCAを使用して、Oracle RACデータベース用にGrid ControlまたはDatabase Controlを構成できます。ただし、コマンドライン・インタフェースを使用してDatabase Controlを構成する場合は、Oracle Enterprise Manager Configuration Assistant(EMCA)ユーティリティを使用します。

次の項では、インストール後にDatabase Controlを構成する方法について説明します。

6.7.1 Oracle RACデータベースのためのDatabase Control実装の変更

Oracle RAC 11 gデータベース用にDatabase Controlを構成すると、デフォルトで、Database Controlコンソールはローカル・ノードでのみ起動します。Database Controlで構成された既存のOracle RACデータベースを最新のリリースにアップグレードしても、既存のDatabase Control構成は保持されます。たとえば、Oracle RAC 10gリリース1(10.1)のデータベースがある場合、既存のDatabase Controlの構成には、各クラスタ・ノードで実行されるDatabase Controlコンソールがあります。このデータベースをOracle Database 11g リリース2にアップグレードすると、Database Controlコンソールは、引き続き各ノードで起動されます。

Oracle RACデータベース用に起動されるDatabase Controlコンソールの数は変更することができます。クラスタ内で実行されているDatabase Controlコンソールが1つあれば(または、複数あっても)、単一のDatabase Controlコンソールからクラスタ内のすべてのノードを監視および管理できます。

データベース用にDatabase Controlの実装を変更するには、次のコマンドを使用します。nodenameはノードのパブリック名、node_listはカンマ区切りのノード名のリストです。

emca -reconfig dbcontrol –cluster –EM_NODE nodename -EM_NODE_LIST node_list

注意:

コマンドemca -clusterを使用して、Oracle RACに対してDatabase Controlを構成する場合は、環境変数TNS_ADMINをすべてのクラスタ・ノードで確認してください。ノードごとに異なったTNS_ADMINが設定されていると、ターゲット・ノードのリスナーを正しく構成できません。その場合は、TNS_ADMINをすべてのクラスタ・ノードで同じ設定にしてから、emca -clusterコマンドを実行してください。

emca -reconfig dbcontrolコマンドを使用すると、複数ノードでDatabase Controlコンソールを起動できます。このコマンドでは、次の操作が順番に実行されます。

  1. nodenameで指定されたノードでDatabase Controlコンソールが起動されます(Database Controlコンソールが起動されていない場合)。

  2. node_listのデータベース・インスタンスを監視する管理エージェントがリダイレクトされ、nodenameで実行されているDatabase Controlコンソールにそのデータがアップロードされます。また、nodename上のOracle Databaseインスタンスを監視する管理エージェントによって、そのデータがローカルのコンソールにアップロードされます。コマンド・オプション-EM_NODEまたは-EM_NODE_LISTをコマンドラインに入力しなかった場合、入力を求めるプロンプトが表示されることに注意してください。


    注意:

    プロンプトが表示されても-EM_NODEを指定しなかった場合は、ローカル・ノードにデフォルト設定されます。-EM_NODE_LISTを指定しなかった場合は、データベースが構成されているすべてのノードにデフォルト設定されます。

クラスタの現行の構成情報が必要な場合は、次のコマンドを実行できます。

emca -displayConfig dbcontrol –cluster

このコマンドを実行すると、クラスタ・データベースの一意のデータベース名の入力を求めるプロンプトが表示されます。画面に現行の構成が表示され、Database Controlコンソールが実行されているノードと、各管理エージェントのデータのアップロード先のDatabase Controlコンソールが示されます。

例6-3 Oracle RACデータベースのためのDatabase Controlの再構成

この例では、クラスタ内の複数のノードでDatabase Controlコンソールを起動する方法を示します。たとえば、node1node2node3node4node5node6node7およびnode8が含まれている8ノード・クラスタでは、次のコマンドを連続して実行できます。

emca -reconfig dbcontrol –cluster –EM_NODE node1 -EM_NODE_LIST node2,node3,node4
emca -reconfig dbcontrol –cluster –EM_NODE node5 -EM_NODE_LIST node6,node7,node8

これらのコマンドを実行した後、2つのDatabase Controlコンソール(node1で1つ、node5で1つ)が実行されます。クラスタ内のすべてのターゲットは、いずれのコンソールからでも管理および監視できます。さらに、node1node2node3およびnode4のノード上の管理エージェントは、node1で実行されているDatabase Controlコンソールに自身の情報をアップロードします。同様に、node5node6node7およびnode8のノード上の管理エージェントは、node5で実行されているDatabase Controlコンソールに自身の情報をアップロードします。

6.7.2 ノードの追加および削除時のDatabase Control構成の更新

管理者型管理のデータベースの場合、一般的な操作は、クラスタ・ノードの追加と削除です。

6.7.2.1 クラスタにノードを追加した後のEMCAの使用

新しいノードを追加した後にEMCAを実行して、新しく追加したインスタンスを残りのクラスタ・データベース・インスタンスと同じ方法で管理できるようにOracle Enterprise Managerを構成します。EMCAを使用して、Enterprise Managerが現在構成されているノードで次のコマンドを実行し、そのノードのDatabase Controlコンソールまたは管理エージェントを構成します。

emca -addNode db

-addNodeオプションはOracle Real Application Clusters環境でのみ使用できるため、コマンドラインで-clusterオプションを使用する必要はありません。emca -addNode dbコマンドを実行した後、ノードおよびOracle RACデータベースのノード名および一意のデータベース名を次の例のように入力します。

Node name: node6
Database Unique Name: myNewDB

新しいノードにOracle Enterprise Managerを構成する場合、EMCAコマンドは必ず、クラスタとOracle RACデータベースにノードを追加した後に実行してください。また、Oracle Enterprise Managerが構成済であるクラスタのノードからコマンドを実行します。その既存ノードのOracle Enterprise Managerの構成設定が、コマンドを実行すると新規ノードに伝播されるためです。

6.7.2.2 クラスタからノードを削除した後のEMCAの使用

クラスタから削除する特定のノードのOracle Enterprise Managerの構成を解除するには、削除するノード以外のノードにログインし、次のコマンドを使用します。

emca -deleteNode db

EMCAコマンドを実行してから、実際のクラスタ・ノードを削除するようにします。このオプションはOracle Real Application Clusters環境でのみ使用できるため、コマンドラインで-clusterオプションを使用する必要はありません。

このコマンドを実行すると、Oracle Enterprise Manager構成が削除されるため、Oracle Enterprise Managerを使用して、そのノード上のインスタンスを管理できなくなります。

6.7.3 Database Controlで使用されるポートの変更

Oracle RAC 11g リリース2(11.2)を初めてインストールする場合またはEMCAを使用してDatabase Controlを初めて構成する場合、Database Controlでは一連のデフォルトのシステム・ポートが使用されます。たとえば、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)の場合、デフォルトでは、ローカル・ホスト名(host.domain)とポート1158で構成されるWebアドレスを使用してDatabase Controlにアクセスします。

https://host.domain:1158/em

ポート1158は、Internet Assigned Numbers Authority(IANA)によってDatabase Controlに割り当てられているデフォルト・ポートです。同様に、IANAによって割り当てられている管理エージェントのデフォルト・ポートは3938です。

EMCAを使用してDatabase Controlを構成する場合にデフォルト・ポート以外のポートを使用するには、EMCAコマンドライン引数を使用します。表6-1は、Database Controlの標準的なポート割当てを制御するEMCAコマンドライン・パラメータの概要を示します。

表6-1 ポート割当てを構成するためのEMCAコマンド・パラメータ

オプション 説明

-DBCONTROL_HTTP_PORT port_number

このポート番号は、Database ControlコンソールのURLで使用されます。たとえば、このポートを5570に設定すると、次のURLを使用してDatabase Controlコンソールにアクセスできます。

http://host.domain:5570/em

-RMI_PORT port_number

このポート番号は、Database Controlに必要なJava EEソフトウェアの一部であるRemote Method Invocation(RMI)システムで使用されます。Database Controlコンソール用に特定のポートを構成する必要がある場合は、デフォルトのポートを変更できます。

デフォルト・ポート(1521)以外のポートを使用する場合は、emca reconfigコマンドとともに-RMI_PORTパラメータを使用します。

-JMS_PORT port_number

このポートは、Oracle Containers for Java EE(OC4J)と、Database Controlに必要なJava EEソフトウェアの一部であるJava Message Service(JMS)で使用されます。Database Controlコンソール用に特定のポートを構成する必要がある場合は、デフォルトのポートを変更できます。

デフォルト・ポート(1521)以外のポートを使用する場合は、emca reconfigコマンドとともに-JMS_PORTパラメータを使用します。

-AGENT_PORT port_number

このポートは、Database Controlコンソールのデータベースの監視と管理を行うOracle Management Agentで使用されます。


また、Database Controlの構成後に、次のコマンドを使用してポートを明示的に割り当てることもできます。parameters表6-1にリストしたコマンドライン・パラメータです。

emca -reconfig ports [-cluster] [parameters]

6.8 Enterprise ManagerとEMCAのトラブルシューティングのヒント

次の項では、EMCAとDatabase ControlまたはGrid Controlを使用する場合のトラブルシューティングのヒントをいくつか説明します。

6.8.1 データベース・リスナー・ポートを変更した後のDatabase Controlの更新

Database Controlを構成した後にデータベースのリスナー・ポートを変更すると、Database Controlコンソールにはデータベースの状態が停止と表示されます。新しいリスナー・ポートを使用するようにDatabase Controlを再構成するには、次のコマンドを使用してEMCAを実行します。

emca.bat -config dbcontrol db [-cluster]

6.8.2 Oracle Database 11gリリース2 Grid Controlエージェントのアップグレード

Oracle Enterprise Manager(Database ControlまたはGrid Control Management Agent)に対して構成されたOracle Database 10gリリース1のデータベース・インスタンスをOracle Database 11gリリース2(11.2)のデータベースにアップグレードすると、アップグレードしたインスタンスに関連付けられているOracle Enterprise Managerターゲットの監視対象のすべてのリソースが自動的に更新されます。これは、アップグレードを行うと、インスタンスのOracleホーム、ポート番号などのインスタンス関連およびノード関連のプロパティが変更されるためです。

アップグレードされるインスタンスがGrid Controlエージェントに管理されている場合は、Grid Control内の関連するリソース情報がアップグレード時に正常に更新されない場合もあります。Grid Controlターゲット情報を更新するには、次の手順を実行します。

  1. Grid Controlを使用して、アップグレードしたインスタンスのホームページにアクセスします。

  2. アップグレードしたインスタンスのホームページで、「監視構成」を選択します。

  3. 「監視構成」ページで、必要に応じてOracleホーム、リスナー・ポートなどのプロパティを適切な値に更新します。

6.8.3 ホスト名またはIPアドレスを変更した後のDatabase Controlの更新

ホスト名(ドメイン名を含む)またはノードのIPアドレスの変更後は、そのノードのDatabase Controlの構成を解除してから、-reposフラグを指定したEMCAを使用して再構成する必要があります。次に例を示します。

Enterprise Managerの再構成(構成を削除する場合のリポジトリの削除)

emca -deconfig dbcontrol db -repos drop
emca -config dbcontrol db -repos create

Enterprise Managerの再構成(再構成時のリポジトリの再作成)

emca -deconfig dbcontrol db
emca -config dbcontrol db -repos recreate

6.8.4 TNS_ADMIN構成を変更した後のEMCAの使用

TNS_ADMIN環境変数を変更して新しい構成を指定した後は、Database Controlを更新する必要があります。TNS_ADMIN環境変数に新しい値を設定してから、次のコマンドを実行します。

emca -config dbcontrol db