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Oracle® Database Clientインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for IBM: Linux on POWER Systems
E61779-01
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4 Oracle Database Clientのインストール後の作業

この章では、Oracle Database Clientソフトウェアをインストールした後に、インストール後の作業を完了する方法について説明します。内容は次のとおりです。

「インストール後の必須作業」で説明する作業は、必ず実行してください。すべてのインストールが完了した後は、「インストール後の推奨作業」で説明する作業を実行することをお薦めします。

「インストール後の製品固有の必須作業」で説明する製品のいずれかをインストールして使用する場合は、製品固有の項で説明する作業を実行する必要があります。

4.1 インストール後の必須作業

インストールの完了後は、ここで説明する各作業を実行する必要があります。

4.1.1 Instant Clientの更新

Instant Clientを更新する手順は、次のとおりです。

  1. Oracle Technology NetworkからInstant Clientをダウンロードします。

    http://www.oracle.com/technetwork/database/features/instant-client/index-097480.html

  2. 既存のディレクトリにファイルを格納する場合は、そのディレクトリが空であることを確認します。

    別のディレクトリにファイルを格納(および以前のファイルを削除)する場合は、PATH環境変数の設定を更新して新しい格納場所を反映してください。


注意:

Instant ClientまたはInstant Client Lightの制限として、opatchユーティリティを使用してパッチのアップグレードを行えません。これは、パッチのアップグレード・プロセスがパッチをアップグレードするためにアクセスする必要のあるインベントリがInstant Clientのインストールで作成されないためです。また、インベントリが存在しないということは、パッチの試行が不可能になる前に、インストール済の中間のパッチが報告され、競合が検出されることを意味します。

4.1.2 Instant Clientでの接続

「InstantClient」インストール・タイプでインストールした場合は、次のようにユーザーの環境を構成して、動的にリンクされたクライアント・アプリケーションによるデータベースへの接続を有効にすることができます。

  1. プラットフォームの適切な共有ライブラリ・パス環境変数を設定して、Instant Clientライブラリを含むディレクトリを指定します。「InstantClient」インストール・タイプの場合、このディレクトリは、インストール時に指定したOracleホーム・ディレクトリになります。たとえば、次のようになります。

    /u01/app/oracle/product/11.2.0/client_1
    
  2. 次のいずれかの方法で、クライアント・アプリケーションのデータベース接続情報を指定します。

    • 次の形式でSQL接続URL文字列を指定します。

      //host:port/service_name
      

      次に例を示します。

      //shobeen:1521/sales_us
      
    • TNS_ADMIN環境変数を設定してtnsnames.oraファイルの場所を指定し、そのファイルからサービス名を指定します。

    • TNS_ADMIN環境変数およびTWO_TASK環境変数を設定し、tnsnames.oraファイルからサービス名を指定します。


注意:

ORACLE_HOME環境変数を指定する必要はありません。

4.2 インストール後の推奨作業

インストールの完了後は、下記のセクションで説明する各作業を実行することをお薦めします。

4.2.1 Instant ClientまたはInstant Client LightのOracle Databaseへの接続

Instant Client (Instant Client Lightを含む)がOracleデータベースに接続する前に、Instant Clientライブラリを含むディレクトリがLD_LIBRARY_PATH環境変数で指定されていることを確認します。このディレクトリは、インストール時に指定したORACLE_HOMEディレクトリです。

たとえば、Instant ClientまたはInstant Client Light(Instant Client Lightを構成した場合)の共有ライブラリは、次の場所にあります。

/u01/app/oracle/product/11.2.0/client_1

LD_LIBRARY_PATH環境変数の確認後、次の方法のいずれかを使用して、クライアント・アプリケーションのOracle Database接続情報を指定できます。

4.2.1.1 簡易接続ネーミング・メソッドを使用した接続の指定

Instant Clientのtnsnames設定を構成せずに、クライアント・アプリケーションから直接、Oracle Databaseに対する接続アドレスを指定できます。この方法は、tnsnames.oraファイルを作成および管理する必要がないという点で便利です。ただし、アプリケーション・ユーザーは、アプリケーションにログインする際にホスト名およびポート番号を指定する必要があります。

たとえば、クライアント・コンピュータでSQL*Plusを実行する場合、ホスト名がshobeen、ポート番号が1521のサーバー上にあるsales_usデータベースへ接続するには、次のようにしてログインできます。

Enter user-name: system@admin@//shobeen:1521/sales_us

同様に、アプリケーション・コードでOracle Call Interfaceネット・ネーミング・メソッドを使用して、Instant ClientとOracle Databaseの接続を作成できます。たとえば、OCIServerAttach()コール内の次の形式により、接続情報を指定します。

  • 次の形式でSQL接続URL文字列を指定します。

    //host[:port][/service_name]
    

    次に例を示します。

    //shobeen:1521/sales_us
    
  • あるいは、SQL接続情報をOracle Netキーワード値ペアとして指定できます。次に例を示します。

    "(DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp) (HOST=shobeen) (PORT=1521))
    (CONNECT_DATA=(SERVICE_NAME=sales_us)))"
    

    関連項目:

    Oracle Call Interface Instant Clientの使用方法の詳細は、『Oracle Call Interfaceプログラマーズ・ガイド』を参照してください。

4.2.1.2 空の接続文字列およびTWO_TASKを使用した接続の指定

接続文字列を空の接続文字列("")に設定し、TWO_TASK環境変数を次のいずれかの値に設定します。

  • 直接アドレス(「簡易接続ネーミング・メソッドを使用した接続の指定」を参照)。

  • Oracle Netキーワード値ペア。

  • tnsnames.oraエントリおよびTNS_ADMINtnsnames.oraの場所に設定します。

  • tnsnames.oraエントリ。さらに、次のようにします。

    • tnsnames.oraファイルを$ORACLE_HOME/network/adminに格納します。

    • ORACLE_HOME環境変数をこのOracleホームに設定します。

この方法により、アプリケーション・コード自体で空の接続文字列が使用されている場合、アプリケーションの内部で接続文字列を指定できます。空の接続文字列のメリットは、アプリケーション自体がtnsnames.oraエントリを指定する必要がないという点です。かわりに、ユーザーがアプリケーションを起動する際、TWO_TASK環境変数の設定に応じてスクリプトまたは環境によってデータベースの場所が決定されます。空の文字列を使用するデメリットは、アプリケーションがデータベースに接続するためにこの追加情報を構成する必要があるという点です。

4.2.2 NLS_LANG環境変数の設定

NLS_LANGは、Oracleソフトウェアのロケール動作を指定する環境変数です。この変数では、クライアント・アプリケーションとデータベース・ユーザー・セッションに使用する言語および地域を設定します。また、クライアント用のキャラクタ・セットも設定します。これは、SQL*Plusなど、Oracleクライアント・プログラムにより入力または表示されるデータのキャラクタ・セットです。


注意:

表示されるデータのキャラクタ・セットは、使用しているキーボード・ドライバやフォントなどのオペレーティング・システムの環境によって決定されます。NLS_LANGキャラクタ・セットがオペレーティング・システムに適合している必要があります。

グローバリゼーション・サポートの詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』のグローバリゼーション・サポート環境の設定に関する項を参照してください。

4.3 インストール後の製品固有の必須作業

次の項では、Oracleプリコンパイラをインストールして使用する場合に実行する必要のある、インストール後の作業について説明します。


注意:

インストール後の作業は、使用する製品についてのみ実行する必要があります。

4.3.1 Oracleプリコンパイラの構成

この項では、Pro*C/C++に関するインストール後の作業について説明します。


注意:

プリコンパイラの構成ファイルは、すべて$ORACLE_HOME/precomp/adminディレクトリにあります。

4.3.1.1 Pro*C/C++の構成

PATH環境変数の設定に、Cコンパイラの実行可能ファイルを含むディレクトリが指定されていることを確認します。gccコンパイラ実行可能ファイルのデフォルト・ディレクトリは/usr/binです。

環境変数の設定の詳細は、『Pro*C/C++プログラマーズ・ガイド』を参照してください。

4.3.2 GCCのプライマリ・コンパイラとしての構成

サポートしているプライマリ・コンパイラが使用できない場合、GNU Compiler Collection (GCC)をプライマリ・コンパイラとして構成できます。プライマリ・コンパイラを構成すると、共有ライブラリに存在するネイティブ・コードへのコンパイルにより、パッケージなどのPL/SQLモジュールのパフォーマンスを高速化することができます。この方法では、モジュールをCコードに変換し、Cコンパイラでコンパイルしてから、Oracleプロセスにリンクします。1つのコンパイラを使用してすべてのOracleモジュールをコンパイルする必要があることに注意してください。一部のモジュールをプライマリ・コンパイラでコンパイルし、その他のモジュールを別のコンパイラでコンパイルすることはできません。

オペレーティング・システムでサポートされているプライマリ・コンパイラとGCCの両方が使用可能な場合、サポートされているプライマリ・コンパイラを使用します。しかし、サポートされているプライマリ・コンパイラが使用できない場合、GCCを使用します。

GCCをプライマリ・コンパイラとして構成するには、次の手順を実行します。

  1. テキスト・エディタでspnc_commands構成ファイルを開きます。デフォルトのインストールでは、spnc_commandsファイルは$ORACLE_HOME/plsqlディレクトリにあります。

  2. 次のテキスト行を探して、コメント化します。

    /usr/local/packages/vac/vac/$(VAC_VERSION)/bin/xlc -F$(ORACLE_HOME)/lib/xlc.cfg %(src) -O0 -qpic -q64 -I$(ORACLE_HOME)/plsql/include -I$(ORACLE_HOME)/plsql/public -s -qmkshrobj -o %(so)

  3. GCCに関連する次の行を探して非コメント化します。

    # /usr/bin/gcc -m64 -B/usr/bin/ %(src) -O1 -fPIC -I$(ORACLE_HOME)/plsql/include -I$(ORACLE_HOME)/plsql/public -s -shared -o %(so)

  4. spnc_commands構成ファイルを保存して閉じます。


関連項目:

PL/SQLネイティブ・コンパイルおよびspnc_commands構成ファイルの詳細は、Oracle Database PL/SQLユーザーズ・ガイドおよびリファレンスを参照してください

PL/SQLネイティブ・コンパイルのためのIBM XL C/C++コンパイラの使用

デフォルトでは、PL/SQLネイティブ・コンパイラはGCCコンパイラを使用するように構成されています。GCCコンパイラのかわりにIBM XLコンパイラ(XLC)を使用する場合、$ORACLE_HOME/plsql/spnc_commandsファイルに次の変更を行います。

  1. GCCコンパイラ用の行をコメント化します。

  2. IBM XLコンパイラ用の行を非コメント化します。