この章では、listener.ora
ファイルの構成パラメータの完全なリストを提供します。
ここでは、次の項目について説明します。
listener.ora
ファイルに格納されているOracle Net Listenerは、次の要素で構成されています。
リスナーの名前
リスナーが接続リクエストを受け入れるプロトコル・アドレス
データベース・サービス
制御パラメータ
動的サービス登録により、サポート対象サービスの静的構成は不要になりました。ただし、Oracle Enterprise Managerを使用する場合は、静的サービス構成が必要となります。
デフォルトで、listener.ora
ファイルはORACLE_HOME/network/admin
ディレクトリに配置されます。listener.ora
ファイルは次の場所に格納される場合もあります。
環境変数TNS_ADMIN
またはレジストリ値で指定されたディレクトリ。
LinuxおよびUNIXオペレーティング・システムの場合は、グローバル構成ディレクトリ。たとえば、Solarisオペレーティング・システムの場合、このディレクトリは/var/opt/oracle
です。
関連項目: オペレーティング・システム固有のOracleドキュメントを参照してください。 |
1つのlistener.ora
ファイルには、それぞれが一意の名前を持つ複数のリスナーを構成できます。複数のリスナー構成が可能な理由は、最上位レベルの各構成パラメータにはリスナー名の接尾辞があり、各構成パラメータ自体がリスナー名を示しているためです。
注意: 1つのlistener.ora ファイルに複数のリスナーを構成することは、多くの場合に役立ちます。しかし、オラクル社では、お客様の環境では、各ノードごとに1つのリスナーのみを実行することをお薦めします。 |
例7-1は、LISTENER
という名(リスナーのデフォルト名)のリスナーのlistener.ora
ファイルを示しています。
例7-1 listener.oraファイル
LISTENER= (DESCRIPTION= (ADDRESS_LIST= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sale-server)(PORT=1521)) (ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=extproc)))) SID_LIST_LISTENER= (SID_LIST= (SID_DESC= (GLOBAL_DBNAME=sales.us.example.com) (ORACLE_HOME=/oracle11g) (SID_NAME=sales)) (SID_DESC= (SID_NAME=plsextproc) (ORACLE_HOME=/oracle11g) (PROGRAM=extproc)))
listener.oraファイルのプロトコル・アドレス・セクションでは、リスナーが接続リクエストを受け入れるプロトコル・アドレスを定義します。この項では、プロトコル・アドレスに使用する最も一般的なパラメータについて説明します。
ADDRESS_LIST
パラメータもサポートされます。
この項では、次のパラメータをリストして説明します。
用途
単一のリスナー・プロトコル・アドレスを指定します。
このパラメータは、DESCRIPTION
パラメータの下に配置します。
例
listener_name=
(DESCRIPTION=
(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=hr-server)(PORT=1521))
(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)))
用途
リスナー・プロトコル・アドレスを格納します。
例
listener_name=
(DESCRIPTION=
(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=hr-server)(PORT=1521))
(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)))
用途
ホスト名が指定されている場合に、リスナーがリスニングするIPアドレスを決定します。このパラメータは、HOST
パラメータでホスト名が指定されている場合にのみ有効です。
値
FIRST
ホスト名のDNS解決で返された最初のIPアドレスをリスニングします。指定したホスト名が解決する最初のIPでリスナーにリスニングさせる場合は、アドレスを(IP=FIRST)
で修飾する必要があります。
V4_ONLY
IPv4アドレスのみをリスニングします。
V6_ONLY
IPv6アドレスのみをリスニングします。
デフォルト
この機能はデフォルトで無効です。
例
listener_name=
(DESCRIPTION=
(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=rancode1-vip)(PORT=1522)(IP=V6_ONLY))
用途
リスナーがTCP/IPまたはIPCリスニング・エンドポイント(プロトコル・アドレス)上で受け入れることができる同時接続リクエスト数を指定します。
このパラメータを、期待する同時接続リクエスト数の値を設定してプロトコル・アドレスの最後に配置します。
デフォルト
デフォルトの同時接続リクエスト数は、オペレーティング・システムによって異なります。
同時接続リクエスト数は、プラットフォームおよびリスナーの使用方法によって異なります。リスナーに負荷がかかっている場合は、このパラメータを高い数値に設定してください。
例
listener_name=
(DESCRIPTION=
(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=hr-server)(PORT=1521)(QUEUESIZE=20)))
関連項目: このパラメータの構成方法の詳細は、『Oracle Net Services管理者ガイド』を参照してください。 |
用途
セッションの受信操作に使用するバッファ領域をバイト数で指定します。このパラメータは、TCP/IP、SSL付きTCP/IP、SDPの各プロトコルでサポートされます。
注意: オペレーティング・システムによっては、他のプロトコルもこのパラメータをサポートしている場合があります。このパラメータをサポートしている他のプロトコルの詳細は、オペレーティング・システムのマニュアルを参照してください。 |
このパラメータは、DESCRIPTION
パラメータの下またはプロトコル・アドレスの最後に、必要なバイト数だけ値を設定して配置します。
デフォルト
このパラメータのデフォルト値は、オペレーティング・システムによって異なります。
例
listener_name= (DESCRIPTION= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521) (RECV_BUF_SIZE=11784)) (ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=extproc) (RECV_BUF_SIZE=11784))) listener_name= (DESCRIPTION= (RECV_BUF_SIZE=11784)) (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521) (ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=extproc)))
関連項目: このパラメータの構成方法の詳細は、『Oracle Net Services管理者ガイド』を参照してください。 |
用途
セッションの送信操作に使用するバッファ領域をバイト数で指定します。このパラメータは、TCP/IP、SSL付きTCP/IP、SDPの各プロトコルでサポートされます。
注意: オペレーティング・システムによっては、他のプロトコルもこのパラメータをサポートしている場合があります。このパラメータをサポートしている他のプロトコルの詳細は、オペレーティング・システムのマニュアルを参照してください。 |
このパラメータは、DESCRIPTION
パラメータの下またはプロトコル・アドレスの最後に配置します。
デフォルト
このパラメータのデフォルト値は、オペレーティング・システムによって異なります。
例
listener_name= (DESCRIPTION= (ADDRESS_LIST= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521) (SEND_BUF_SIZE=11280)) (ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=extproc) (SEND_BUF_SIZE=11280)))) listener_name= (DESCRIPTION= (ADDRESS_LIST= (SEND_BUF_SIZE=11280)) (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521) (ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=extproc))))
関連項目: このパラメータの構成方法の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。 |
Oracle Net Listenerの接続率制限機能によって、DBAはリスナーにより処理される新しい接続の数を制限できます。この機能を有効にすると、Oracle Net Listenerでは、毎秒リスナーに処理される新しい接続の数が、ユーザー指定の最大制限数によって制限されます。
構成に応じて、接続率をエンドポイントの集合または特定のエンドポイントに適用できます。
この機能は、次の2つのlistener.ora
構成パラメータにより制御されます。
用途
接続率が制限されているすべてのリスニング・エンドポイントに対して施行されるグローバル率を指定します。このパラメータが指定されている場合は、エンドポイント・レベルで指定された接続率の数値はいずれも上書きされます。
構文
CONNECTION_RATE_listener_name=number_of_connections_per_second
用途
特定のリスニング・エンドポイントの接続率が制限されていることを示します。このパラメータは、リスナー・エンドポイント構成のADDRESS
セクションで指定します。
構文
LISTENER= (ADDRESS_LIST= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=)(PORT=1521)(RATE_LIMIT=yes)) )
RATE_LIMIT
パラメータをyes
に設定すると、エンドポイントにはリスナー全体の接続率が施行されます。このパラメータは、CONNECTION_RATE_
listener_name
パラメータとともに使用します。
RATE_LIMIT
パラメータを0
より大きい値に設定した場合、接続率限度はそのエンドポイント・レベルで施行されます。
例
次の例では、CONNECTION_RATE_
listener name
およびRATE_LIMIT
パラメータを使用します。
例1
CONNECTION_RATE_LISTENER=10 LISTENER= (ADDRESS_LIST= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=)(PORT=1521)(RATE_LIMIT=yes)) (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=)(PORT=1522)(RATE_LIMIT=yes)) (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=)(PORT=1523)) )
この例では、ポート1521およびポート1522を介する新しい接続の合計数の上限は、1秒当たり10に制限されます。ポート1523を介する接続は制限されず、1秒当たり10接続という最大接続率に加算されません。
例2
LISTENER= (ADDRESS_LIST= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=)(PORT=1521)(RATE_LIMIT=5)) (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=)(PORT=1522)(RATE_LIMIT=10)) (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=)(PORT=1523)) )
この例では、接続率はエンドポイント・レベルで施行されます。1秒当たり最大5の接続が、ポート1521を介して処理されます。ポート1522を介する接続に対する制限は、1秒当たり10です。ポート1523を介する接続については、接続率は制限されません。
注意: この構成では、CONNECTON_RATE_ listener_name グローバル・パラメータは指定されていません。このパラメータが指定されている場合、ポート1521およびポート1522の制限は無視され、かわりにグローバル値が使用されます。 |
この項では、リスナーの動作を制御する次のパラメータについて説明します。
用途
ADMIN_RESTRICTIONS_
listener_name
=on
を設定すると、listener.ora
のパラメータを実行時に変更できません。つまり、リスナーはパラメータを変更するSETコマンドの受入れを拒否します。ADMIN_RESTRICTIONS_
listener_name
自体を含め、listener.ora
のパラメータを変更するには、listener.ora
ファイルを手動で変更してそのパラメータを(RELOADコマンドを使用して)再ロードすると、明示的にリスナーの停止および再起動をしなくても新しい変更内容が有効になります。
関連項目: リスナーのパスワード・セキュリティの詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。 |
デフォルト
off
例
ADMIN_RESTRICTIONS_listener=on
用途
通知を設定します。デフォルトでは、Oracle Net Listenerは起動時または停止時に、Cluster Ready Service(CRS)に通知します。この通知により、CRSはOracle Real Application Clusters環境でリスナーを管理できるようになります。この動作を回避するには、CRS_NOTIFICATION_
listener_name
パラメータをoff
に設定します。
デフォルト
on
値
on | off
用途
ユーザーがクライアント側からサービス名を指定せずに、データベースに接続できるようにします。
Oracle Database 11gでは、クライアントがデータベースに接続しようとすると、接続リクエストがリスナーに渡されます。リスナーは複数の異なるデータベースにサービスを実行していることがあります。サービス名がこのパラメータで構成されている場合、ユーザーは必ずしもサービス名を接続構文で指定する必要はありません。ユーザーがサービス名を指定した場合、リスナーは指定したデータベースにユーザーを接続します。サービス名を指定しない場合、リスナーはDEFAULT_SERVICE_
listener_name
パラメータで指定されたサービス名にユーザーを接続します。
関連項目: 簡易接続ネーミング・メソッドの詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。 |
デフォルト
DEFAULT_SERVICE_
listener_name
パラメータにはデフォルト値はありません。このパラメータが構成されておらず、ユーザーが接続構文で完全修飾されたサービス名を指定していない場合、接続の試行は失敗します。このパラメータが受け入れる値は1つのみです。
例
DEFAULT_SERVICE_LISTENER=sales.us.example.com
用途
ネットワーク接続の確立後、クライアントからリスナーへの接続リクエストの完了までの時間を秒単位で指定します。
リスナーが指定の時間内にクライアント・リクエストを受信しない場合、接続は終了します。また、クライアントのIPアドレスと、エラー・メッセージ「ORA-12525:TNS: TNS: リスナーは、クライアントのリクエストを許容時間内に受信しませんでした
」がlistener.log
ファイルに記録されます。
リスナーとデータベース・サーバーの両方を保護するには、オラクル社では、このパラメータをsqlnet.oraファイルのSQLNET.INBOUND_CONNECT_TIMEOUT
パラメータと組み合せて設定することをお薦めします。これらのパラメータの値を指定する場合、次の推奨事項を考慮してください。
両方のパラメータの初期値を低く設定してください。
INBOUND_CONNECT_TIMEOUT_
listener_name
パラメータの値を、SQLNET.INBOUND_CONNECT_TIMEOUT
パラメータの値より低く設定してください。
たとえば、INBOUND_CONNECT_TIMEOUT_
listener_name
パラメータの値を2秒に設定し、INBOUND_CONNECT_TIMEOUT
パラメータの値を3秒に設定します。特定の環境におけるシステムあるいはネットワークの通常の遅延によってクライアントが指定の時間内に接続を完了できない場合は、必要なだけ時間を増やします。
デフォルト
60秒
例
INBOUND_CONNECT_TIMEOUT_listener=2
関連項目: これらのパラメータの構成方法の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。 |
用途
リスナーに登録できないノードのリストを指定します。リストには、IPv4およびIPv6アドレスのホスト名またはCIDR表記を含めることができます。ワイルドカード形式(*
)は、IPv4アドレスにサポートされます。リストにホスト名があると、そのホスト名にマップされたすべてのIPアドレスが含まれることになります。ホスト名は、パブリック・ネットワーク・インタフェースと一致している必要があります。
値
有効なノードおよびサブネットIPアドレスまたは名前。
使用上の注意
REGISTRATION_INVITED_NODES_
listener_name
パラメータとREGISTRATION_EXCLUDED_NODES
_listener_name
パラメータが設定されている場合、REGISTRATION_EXCLUDED_NODES_
listener_name
パラメータは無視されます。
例
REGISTRATION_EXCLUDED_NODES_listener= (10.1.26.*, 10.16.40.0/24, \ 2001:DB8:3eff:fe38, node2)
用途
リスナーに登録できるノードのリストを指定します。リストには、IPv4およびIPv6アドレスのホスト名またはCIDR表記を含めることができます。ワイルドカード形式(*
)は、IPv4アドレスにサポートされます。リストにホスト名があると、そのホスト名にマップされたすべてのIPアドレスが含まれることになります。ホスト名は、パブリック・ネットワーク・インタフェースと一致している必要があります。
値
有効なノードおよびサブネットIPアドレスまたは名前。
使用上の注意
REGISTRATION_INVITED_NODES_
listener_name
パラメータとREGISTRATION_EXCLUDED_NODES
_listener_name
パラメータが設定されている場合、REGISTRATION_EXCLUDED_NODES_
listener_name
パラメータは無視されます。
例
REGISTRATION_INVITED_NODES_listener= (10.1.35.*, 10.1.34.0/24, \ 2001:DB8:fe38:7303, node1)
用途
実行時の構成変更をlistener.ora
ファイルに保存するかどうかを指定します。
このパラメータをtrue
に設定すると、リスナーの実行中にリスナー制御ユーティリティのSETコマンドを使用して変更されたパラメータは、STOP
コマンドの発行時にlistener.oraファイルに保存されます。このパラメータをfalse
に設定すると、リスナー制御ユーティリティは実行時の構成の変更をlistener.ora
ファイルに保存しません。
デフォルト
false
値
true | false
例
SAVE_CONFIG_ON_STOP_listener=true
用途
Secure Sockets Layer(SSL)でクライアントを認証するかどうかを指定します。
デフォルト
true
値
true | false
使用上の注意
クライアントの認証は、データベース・サーバーが行います。したがって、この値はfalse
に設定します。このパラメータをtrue
に設定すると、リスナーは、結果的に失敗となる可能性があるクライアントの認証を試みます。
例
SSL_CLIENT_AUTHENTICATION=false
関連項目: 『Oracle Database Advanced Security管理者ガイド』 |
用途
停止イベントに関するOracle Notification Service(ONS)通知をサブスクライブします。デフォルトでは、ONSが使用可能な場合、リスナーは、起動時にノード停止イベントをONSにサブスクライブします。このサブスクリプションにより、ノード停止イベント通知をONSから受信した場合、リスナーは、影響を受けたサービスを削除できます。リスナーは、イベント通知に非同期サブスクリプションを使用します。この動作を変更するには、listener.ora
ファイル内のSUBSCRIBE_FOR_NODE_DOWN_EVENT_
listener_nameを
off
に設定します。
デフォルト
on
値
on | off
用途
有効ノード確認登録を実行するかどうか、またはサブネットを認めるかどうかを指定します。on
に設定された場合、着信登録リクエストに対してリスナーで有効ノード確認登録が実行され、ローカルIPアドレスのみが許可されます。
デフォルト
off
値
off | 0
: 有効ノード確認登録を無効にして、確認を実行しません。
on | 1 | local
: 有効ノード確認登録を有効にして、ローカルIPアドレスがすべて登録できるようにします。指定ノードのリストが設定されている場合、リストにあるすべてのIPアドレス、ホスト名またはサブネットが、ローカルIPアドレスと同様に認められます。
subnet | 2
: 有効ノード確認登録を有効にして、ローカル・サブネットのすべてのマシンが登録を許可されます。指定ノードのリストが設定されている場合、ローカル・サブネット内のすべてのノードが、リストのすべてのIPアドレス、ホスト名およびサブネットと同様に認められます。
例
VALID_NODE_CHECKING_REGISTRATION_listener=on
用途
ウォレットの位置を指定します。ウォレットは、SSLによって処理される証明書、キーおよびトラストポイントで、安全な接続を可能にします。
構文
ファイル・システムでのOracleウォレット:
WALLET_LOCATION= (SOURCE= (METHOD=file) (METHOD_DATA= (DIRECTORY=directory) [(PKCS11=TRUE/FALSE)]))
Microsoft Certificate Store:
WALLET_LOCATION= (SOURCE= (METHOD=mcs))
Microsoft Windowsレジストリ内のOracleウォレット:
WALLET_LOCATION=
(SOURCE=
(METHOD=reg)
(METHOD_DATA=
(KEY=registry_key)))
Entrustウォレット:
WALLET_LOCATION= (SOURCE= (METHOD=entr) (METHOD_DATA= (PROFILE=file.epf) (INIFILE=file.ini)))
追加パラメータ
WALLET_LOCATION
では次のパラメータも使用できます。
SOURCE
: ウォレットの格納タイプと格納場所
METHOD
: 格納タイプ
METHOD_DATA
: 格納場所
DIRECTORY
: ファイル・システムでのOracleウォレットの位置
KEY
: ウォレット・タイプとMicrosoft Windowsレジストリ内の位置
PROFILE
: Entrustプロファイル・ファイル(.epf
)
INIFILE
: Entrust初期化ファイル(.ini
)
デフォルト
なし
使用上の注意
Microsoft Certificate Store(MCS)はウォレットを使用しないため、MCSのキー/値ペアにはMETHOD_DATA
パラメータがありません。かわりに、Oracle PKI(公開鍵インフラストラクチャ)アプリケーションは、証明書、トラストポイントおよび秘密鍵をユーザーのプロファイルから直接取得します。
OracleウォレットがMicrosoft Windowsレジストリに格納されており、そのウォレットのkey
(KEY
)がSALESAPP
の場合、暗号化されたウォレットの格納場所は、HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\ORACLE\WALLETS\SALESAPP\EWALLET.P12
です。復号化されたウォレットの格納場所は、HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\ORACLE\WALLETS\SALESAPP\CWALLET.SSO
です。
例
ファイル・システムでのOracleウォレット:
WALLET_LOCATION= (SOURCE= (METHOD=file) (METHOD_DATA= (DIRECTORY=/etc/oracle/wallets/databases)))
Microsoft Certificate Store:
WALLET_LOCATION= (SOURCE= (METHOD=mcs))
Microsoft Windowsレジストリ内のOracleウォレット:
WALLET_LOCATION= (SOURCE= (METHOD=REG) (METHOD_DATA= (KEY=SALESAPP)))
Entrustウォレット:
WALLET_LOCATION= (SOURCE= (METHOD=entr) (METHOD_DATA= (PROFILE=/etc/oracle/wallets/test.epf) (INIFILE=/etc/oracle/wallets/test.ini)))
関連項目: 『Oracle Database Advanced Security管理者ガイド』 |
Oracle Database 11g より、Oracle Databaseには、問題の回避、検出、診断および解決のため詳細な障害診断可能インフラストラクチャが組み込まれています。対象となる問題は、データベース・コードの不具合、メタデータの破損およびカスタマ・データの破損が原因で発生したエラーなどの重大エラーです。
クリティカル・エラーが発生すると、そのエラーにはインシデント番号が割り当てられ、トレースやダンプなどのエラーの診断データが即座に取得され、インシデント番号でタグ付けされます。データは、自動診断リポジトリ(ADR)(データベースの外にあるファイルベースのリポジトリ)に格納されます。
この項では、ADRが有効な場合(DIAG_ADR_ENABLED_
listener_name
がon
に設定されている場合)に使用されるパラメータを示します。「Oracle Net ListenerのADR以外の診断パラメータ」では、ADRが無効な場合(DIAG_ADR_ENABLED_
listener_name
がoff
に設定されている場合)に使用されるパラメータを示します。ADRが有効な場合、listener.ora
ファイルにリストされているADR以外のパラメータは無視されます。
用途
ADRが有効な場合に、トレース中およびロギング中のインシデントが格納されるベース・ディレクトリを指定します。
デフォルト
デフォルトはORACLE_BASE
、またはORACLE_BASE
が定義されていない場合はORACLE_HOME/log
です。
値
書込み権限を持つディレクトリへの任意の有効なディレクトリ・パス
例
ADR_BASE=/oracle/network/trace
用途
使用上の注意
DIAG_ADR_ENABLED_
listener_name
パラメータがon
に設定されている場合は、ADRファイル・トレースが使用されます。DIAG_ADR_ENABLED_
listener_name
パラメータがoff
に設定されている場合は、ADR以外のファイル・トレースが使用されます。
デフォルト
on
値
on
| off
例
DIAG_ADR_ENABLED=on
用途
ロギングのオンとオフを切り替えます。このパラメータは、ADR以外のトレースを使用している場合にも適用できます。
デフォルト
on
値
on
| off
例
LOGGING_listener=on
用途
リスナーのトレースをオン(レベル指定)またはオフに切り替えます。このパラメータは、ADR以外のトレースを使用している場合にも適用できます。
デフォルト
off | 0
値
off
または0
: トレースを出力しません。
user
または4
: ユーザー用のトレース情報を出力します。
admin
または10
: 管理用のトレース情報を出力します。
support
または16
: Oracleサポート・サービス用のトレース情報を出力します。
例
TRACE_LEVEL_listener=admin
用途
リスナーのトレース・ファイルの全トレース・イベントに、dd-mon-yyyy hh:mi:ss:mil
形式のタイムスタンプを追加します。このパラメータは、TRACE_LEVEL_listener_nameパラメータとともに使用します。このパラメータは、ADR以外のトレースを使用している場合にも適用できます。
デフォルト
on
値
on
| true
off
| false
例
TRACE_TIMESTAMP_listener=true
この項では、ADRが無効な場合(DIAG_ADR_ENABLED
listener_name
がoff
に設定されている場合)に使用されるパラメータを示します。「Oracle Net ListenerのADR診断パラメータ」では、ADRが有効な場合のパラメータを示します。
注意: DIAG_ADR_ENABLED_listener_nameのデフォルト値はon です。したがって、ADR以外のトレースを使用するためには、DIAG_ADR_ENABLED_ listener_name パラメータを明示的にoffに設定する必要があります 。 |
用途
リスナーのログ・ファイルの宛先ディレクトリを指定します。このパラメータは、ADRが有効でない場合に使用します。
デフォルト
ORACLE_HOME/network/log
例
LOG_DIRECTORY_listener=/oracle/network/admin/log
用途
リスナーのログ・ファイル名を指定します。このパラメータは、ADRが有効でない場合に使用します。
デフォルト
listener.log
例
LOG_FILE_listener=list.log
用途
リスナーのトレース・ファイルの宛先ディレクトリを指定します。このパラメータは、ADRが有効でない場合に使用します。
デフォルト
ORACLE_HOME/network/trace
例
TRACE_DIRECTORY_listener=/oracle/network/admin/trace
用途
リスナーのトレース・ファイル名を指定します。このパラメータは、ADRが有効でない場合に使用します。
デフォルト
listener.trc
例
TRACE_FILE_listener=list.trc
用途
リスナーのトレース・ファイルのサイズをキロバイト(KB)で指定します。このサイズに達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENO_listener_nameパラメータで指定します。このパラメータは、ADRが有効でない場合に使用します。
デフォルト
無制限
例
TRACE_FILELEN_listener=100
用途
リスナー・トレースのためのトレース・ファイルの数を指定します。このパラメータがTRACE_FILELEN_listener_nameパラメータとともに設定されている場合、トレース・ファイルは循環方式で使用されます。最初のファイルが満杯になると、2番目のファイルを使用します(その後、同様に続きます)。最後のファイルが満杯になると、最初のファイルが再利用されます(その後、同様に続きます)。
トレース・ファイル名は、順序番号によって他のトレース・ファイルと区別されます。たとえば、デフォルトのトレース・ファイルlistener.trc
が使用されている場合に、このパラメータが3に設定されると、トレース・ファイル名はlistener1.trc
、listener2.trc
およびlistener3.trc
となります。
また、トレース・ファイル内のトレース・イベントの前には、ファイルの順序番号が付きます。このパラメータは、ADRが有効でない場合に使用します。
デフォルト
1
例
TRACE_FILENO_listener=3
セキュア・トランスポートのクラス(COST)のパラメータは、特定のリスナーの管理および登録に対してセキュアであるとみなされる転送リストを指定します。COSTパラメータは、そのインストール・システムでセキュアとみなされる転送と、リスナーでセキュアな転送を要求するかどうかを指定します。このパラメータの構成はオプションです。
COSTパラメータには、次のものがあります。
関連項目: COSTパラメータおよびリスナーのセキュリティの詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。 |
用途
動的登録を有効または無効にします。on
に設定されている場合、リスナーは動的登録を受け入れます。off
に設定されている場合、リスナーは動的登録を拒否します。静的登録はこのパラメータの影響を受けません。
構文
DYNAMIC_REGISTRATION_listener_name={on|off}
デフォルト
デフォルト値はon
です。このパラメータが明示的にoff
に設定されていないかぎり、すべての登録接続が受け入れられます。
用途
構文
SECURE_CONTROL_listener_name = [(]transport1[,transport2, ....,transportn)]
前述の構文で、transport1
、transport2
およびtransport
n
は、インストールされている有効な転送プロトコル名です。
構成
SECURE_CONTROL_
listener_name
パラメータが転送名のリストとともに構成されている場合、制御コマンドは、接続がリストされた転送の1つである場合にのみ機能します。他の転送プロトコルによって到達する接続は拒否されます。次に例を示します。
SECURE_CONTROL_listener1 = (TCPS, IPC)
前述の例では、管理リクエストはTCPSおよびIPC転送でのみ受け入れられます。
このパラメータに値が入力されていない場合、リスナーは任意のエンドポイント上の任意の接続を受け入れます。
例
LISTENER1= (DESCRIPTION= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) (ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=extproc)) (ADDRESS=(PROTOCOL=tcps)(HOST=sales-server)(PORT=1522)) ) SECURE_CONTROL_LISTENER1=tcps
用途
構文
SECURE_REGISTER_listener_name = [(]transport1[,transport2, ....,transportn)]
前述の例では、transport1
、transport2
およびtransport
n
が有効であり、転送プロトコル名をインストールしています。
構成
SECURE_REGISTER_
listener_name
パラメータが転送名のリストとともに構成される場合、指定した転送で到達している接続のみ、サービスをリスナーに登録できます。他の転送プロトコルによって到達する接続は拒否されます。次に例を示します。
SECURE_REGISTER_listener1 = (TCPS, IPC)
前述の例では、登録リクエストはTCPSおよびIPC転送でのみ受け入れられます。
このパラメータに値が入力されていない場合、リスナーは任意の転送からの登録リクエストを受け入れます。
このパラメータおよびSECURE_CONTROL_listener_nameパラメータが構成されている場合、SECURE_PROTOCOL_listener_nameパラメータは上書きされます。
例
LISTENER1= (DESCRIPTION= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) (ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=extproc)) (ADDRESS=(PROTOCOL=tcps)(HOST=sales-server)(PORT=1522)) ) SECURE_REGISTER_LISTENER1=tcps
用途
管理リクエストおよび登録リクエストが受け入れられる転送を指定します。
構文
SECURE_PROTOCOL_listener_name = [(]transport1[,transport2, ....,transportn)]
前述の例では、transport1
、transport2
およびtransport
n
が有効であり、転送プロトコル名をインストールしています。
構成
このパラメータが転送名のリストとともに構成されている場合、接続が構成された転送リストに属している場合にのみ、制御コマンドおよびサービス登録を実行できます。
このパラメータが存在せず、SECURE_CONTROL_listener_nameまたはSECURE_REGISTER_listener_nameのパラメータが構成されていない場合、サポートされているすべての転送は制御リクエストおよび登録リクエストを受け入れます。
SECURE_CONTROL_listener_nameパラメータおよびSECURE_REGISTER_listener_nameパラメータが構成されている場合、SECURE_PROTOCOL_
listener_name
パラメータは上書きされます。
例
LISTENER1= (DESCRIPTION= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) (ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=extproc)) (ADDRESS=(PROTOCOL=tcps)(HOST=sales-server)(PORT=1522)) ) SECURE_PROTOCOL_LISTENER1=tcps
COSTパラメータを組み合せて使用して、どの転送がサービス登録および制御コマンドを受け入れるかを、さらに制御することもできます。
例7-2では、制御コマンドはIPCチャネルおよびTCPS転送でのみ受け入れられ、サービス登録はIPCチャネルでのみ受け入れられます。
例7-2 COSTパラメータの組合せ
LISTENER1= (DESCRIPTION= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) (ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=extproc)) (ADDRESS=(PROTOCOL=tcps)(HOST=sales-server)(PORT=1522)) ) SECURE_CONTROL_LISTENER1=(tcps,ipc) SECURE_REGISTER_LISTENER1=ipc
例7-3では、制御コマンドはTCPS転送でのみ受け入れられ、サービス登録はIPCチャネルでのみ受け入れられます。