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Oracle® Database SQL言語リファレンス
11gリリース2 (11.2)
B56299-08
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file_specification

用途

file_specification構文のいずれかを使用すると、ファイルをデータファイルまたは一時ファイルとして指定できます。また、1つ以上のファイルのグループを1つのREDOログ・ファイル・グループとして指定することもできます。Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループにファイルを格納する場合、そのファイルをディスク・グループ・ファイルとしても指定できます。

file_specificationは次の文に指定できます。

前提条件

ファイルを指定する文を発行する権限が必要です。

セマンティクス

この項では、file_specificationのセマンティクスについて説明します。詳細は、データファイル、一時ファイル、REDOログ・ファイルまたはOracle ASMディスク・グループやディスク・グループ・ファイルを指定するSQL文の説明を参照してください。

datafile_tempfile_spec

データベース記憶域がファイル・システム内、RAWデバイス上またはOracle ASMディスク・グループ内に存在する場合、この句を使用してデータファイルと一時ファイルの属性を指定します。

redo_log_file_spec

データベース記憶域がファイル・システム内、RAWデバイス上またはOracle ASMディスク・グループ内に存在する場合、この句を使用してREDOログ・ファイルの属性を指定します。

filename

filenameは、ファイル・システム内またはRAWデバイス上に格納されたファイルに使用します。filenameは、新しいファイルまたは既存のファイルを指定できます。新しいファイルを指定する場合、次のことに注意します。

  • Oracle Managed Filesを使用していない場合は、filenameSIZE句の両方を指定しないと、文は失敗します。サイズを指定せずにファイル名を指定すると、Oracleは既存のファイルを再利用し、ファイルが存在しない場合はエラーを戻そうとします。

  • Oracle Managed Filesを使用している場合は、filenameや残りの句は必須ではありません。この場合、Oracle Databaseによってファイルに一意の名前が作成され、そのファイルが次のいずれかの初期化パラメータで指定されるディレクトリに保存されます。

    • DB_RECOVERY_FILE_DEST(ログ・ファイルと制御ファイルに有効)

    • DB_CREATE_FILE_DEST初期化パラメータ(すべてのファイル・タイプに有効)

    • DB_CREATE_ONLINE_LOG_DEST_n初期化パラメータ(ログ・ファイルに対してはDB_CREATE_FILE_DESTDB_RECOVERY_FILE_DESTより優先される)。

既存のファイルを指定する場合は、データファイル、一時ファイルまたはREDOログ・ファイル・メンバーの名前を指定します。filenameには、7ビットASCIIキャラクタ・セットまたはEBCDICキャラクタ・セットのシングルバイト文字のみを使用できます。マルチバイト文字は無効です。

filenameには、パス接頭辞を含めることができます。パス接頭辞を指定しない場合は、データベースによってデフォルトの格納場所(プラットフォームによって異なる)のパス接頭辞が追加されます。

REDOログ・ファイル・グループは、1つ以上のメンバー(コピー)で構成されます。filenameは、使用するオペレーティング・システムの表記規則に従って、完全な名前で指定する必要があります。

データベースがfilenameを解析する方法は、SIZE句およびREUSE句の指定によっても異なります。

  • filenameのみを指定する場合、またはREUSE句を指定してSIZE句を指定しない場合、そのファイルはすでに存在している必要があります。

  • filenameの指定に、SIZE句を指定して、REUSE句を指定しない場合、そのファイルは新しいファイルである必要があります。

  • filenameの指定に、SIZE句とREUSE句の両方を指定する場合、そのファイルは新しいファイル、既存のファイルのどちらでもかまいません。ファイルがすでに存在している場合は、そのファイルが新しいサイズで再利用されます。また、ファイルが存在しない場合は、データベースはREUSEキーワードを無視し、指定のサイズで新しいファイルを作成します。


関連項目:

Oracle Managed Filesの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。また、「データファイルの指定例」および「ログ・ファイルの指定例」も参照してください。

ASM_filename

Oracle ASMディスク・グループに格納されたファイルには、ASM_filenameの形式を使用します。この構文でデータファイル、一時ファイルおよびREDOログ・ファイルを作成または参照できます。

すべてのASM_filename形式は、プラス記号(+)で始まりディスク・グループ名が続きます。すべてのOracle ASMディスク・グループの名前を確認するには、V$ASM_DISKGROUPビューを問い合せます。


関連項目:

Oracle ASMの使用については、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

fully_qualified_file_name

Oracle ASMディスク・グループにファイルを作成する場合、そのファイルにはシステム生成の完全修飾されたOracle ASMファイル名が付けられます。既存のOracle ASMファイルを参照する場合にのみ、この形式を使用できます。そのため、ファイル作成時にこの形式を使用する場合は、REUSEも指定する必要があります。

完全修飾されたOracle ASMファイル名を確認するには、そのファイル・タイプに適切な動的パフォーマンス・ビュー(データファイルではV$DATAFILE、制御ファイルではV$CONTROLFILEなど)を問い合せます。また、V$ASM_FILEビューを問い合せることによって、完全修飾された名前のfilenumberincarnation_numberの部分を取得できます。

表8-1 Oracleファイル・タイプとOracle ASMファイル・タイプ・タグ

Oracle ASM file_type 説明 Oracle ASM file_type_tag コメント

CONTROLFILE

制御ファイルとバックアップ制御ファイル

Current

Backup


DATAFILE

データファイルとデータファイル・コピー

tsname

ファイルが追加される表領域です。

ONLINELOG

オンライン・ログ

group_group#


ARCHIVELOG

アーカイブ・ログ

thread_thread#_seq_sequence#


TEMPFILE

一時ファイル

tsname

ファイルが追加される表領域です。

BACKUPSET

データファイルとアーカイブ・ログのバックアップ・ピース(データファイルの増分バックアップ・ピース)

hasspfile_timestamp

hasspfileの値は、s(バックアップ・セットがspfileを含む)またはn(バックアップ・セットがspfileを含まない)のいずれかになります。

PARAMETERFILE

永続パラメータ・ファイル

spfile


DAATAGUARDCONFIG

Data Guard構成ファイル

db_unique_name

Data Guardでは、DB_UNIQUE_NAME初期化パラメータの値が使用されます。

FLASHBACK

フラッシュバック・ログ

log_log#


CHANGETRACKING

ブロック・チェンジ・トラッキング・データ

ctf

増分バックアップ中に使用されます。

DUMPSET

データ・ポンプ・ダンプ・セット

user_obj#_file#

ダンプ・セット・ファイルは、ユーザー名、ダンプ・セットが作成されたジョブ番号およびファイル番号をタグの一部としてエンコードします。

XTRANSPORT

データファイル変換

tsname


AUTOBACKUP

自動バックアップ・ファイル

hasspfile_timestamp

hasspfileの値は、s(バックアップ・セットがspfileを含む)またはn(バックアップ・セットがspfileを含まない)のいずれかになります。


numeric_file_name

数値のOracle ASMファイル名は、一意のfilenumber.incarnation_number文字列のみが使用されることを除き、完全修飾されたファイル名に類似しています。既存のファイルを参照するためにのみ、この形式を使用できます。そのため、ファイル作成時にこの形式を使用する場合は、REUSEも指定する必要があります。

incomplete_file_name

不完全なOracle ASMファイル名は、ファイルの作成時にのみ使用されます。ディスク・グループ名のみを指定した場合、Oracle ASMではそのファイル・タイプに適したデフォルトのテンプレートが使用されます。たとえば、CREATE TABLESPACE文でデータファイルを作成する場合、Oracle ASMではデフォルトのDATAFILEテンプレートを使用してOracle ASMデータファイルが作成されます。ディスク・グループ名とテンプレートを指定した場合、Oracle ASMでは指定したテンプレートを使用してファイルが作成されます。いずれの場合も、Oracle ASMによって完全修飾されたファイル名が作成されます。

template_name テンプレートは、属性の名前付きコレクションです。テンプレートを作成して、ディスク・グループのファイルに適用できます。すべてのOracle ASMテンプレートの名前を確認するには、V$ASM_TEMPLATEデータ・ディクショナリ・ビューを問い合せます。Oracle ASMテンプレートを作成する手順は、diskgroup_template_clausesを参照してください。

templateは、ファイルの作成時にのみ指定できます。これは、ASM_filenameの構文図の不完全なファイル名形式および別名形式に示されています。

alias_file_name

別名は、Oracle ASMファイルのわかりやすい名前です。ファイルの別名は、ファイルの作成または参照時に使用できます。ファイルの作成時にのみ、別名とともにテンプレートを指定できます。Oracle ASMファイルの別名を確認するには、V$ASM_ALIASデータ・ディクショナリ・ビューを問い合せます。

ファイルの作成時に別名を指定する場合、完全な別名を指定する手順は、diskgroup_directory_clausesおよびdiskgroup_alias_clausesを参照してください。

SIZE句

ファイルのサイズをバイト単位で指定します。KMGまたはTを使用して、KB、MB、GBまたはTB単位で指定することもできます。

BLOCKSIZE句

BLOCKSIZEを指定すると、オペレーティング・システム依存のセクター・サイズを上書きします。この句を省略した場合、オペレーティング・システム依存のセクター・サイズがブロック・サイズとして使用されます。

512バイト・セクターのディスク、または512バイトをエミュレートする4KBセクターのディスクにREDOログ・ファイルを追加する場合は、新しいファイルのブロック・サイズがプラットフォーム・ベースの元のサイズ(4KB)である必要があります。

ログ・グループ内のすべてのログが、同じブロック・サイズである必要があります。別々のディスクに2つのログ・グループを作成する場合は、ブロック・サイズが異なっていてもかまいません。ただし、構成が異なっていると、ログ・スイッチのたびにオーバーヘッドが発生します。すべてのログ・ファイルのブロック・サイズを同じにすることをお薦めします。

この句は、使用しているセクター・サイズが4Kの場合に、パフォーマンスよりもディスク使用量を重視して最適化する場合に有効です。この場合、BLOCKSIZE 512(HP-UXの場合はBLOCKSIZE 1024)を指定してオペレーティング・システムのセクター・サイズを上書きできます。

REUSE

REUSEは、既存ファイルの再利用を可能にします。

REUSE句の制限事項: filenameを指定しないかぎり、REUSEは指定できません。

既存のファイルが使用される場合は、そのファイルに入っていた内容は失われます。


関連項目:

「データファイルの追加例」および「ログ・ファイルの追加例」を参照してください。

autoextend_clause

autoextend_clauseはデータファイルと一時ファイルに有効ですが、REDOログ・ファイルには有効ではありません。この句は、新しいデータファイル、既存のデータファイルまたは一時ファイルの自動拡張を使用可能または使用禁止にします。この句を指定しない場合、次のようになります。

ON ONを指定すると、自動拡張を使用可能にします。

OFF OFFを指定すると、自動拡張を使用禁止にします。自動拡張を使用禁止にする場合は、NEXTおよびMAXSIZEの値を0(ゼロ)に設定します。後続の文で自動拡張を使用可能に戻す場合は、これらの値を設定しなおす必要があります。

NEXT NEXT句を使用すると、エクステントがさらに必要になった場合にデータファイルに自動的に割り当てられるディスク領域の増分サイズを、バイト単位で指定できます。デフォルトのサイズは1データ・ブロックです。

MAXSIZE MAXSIZE句を使用すると、データファイルの自動拡張で使用されるディスク領域の最大サイズを指定できます。

UNLIMITED データファイルまたは一時ファイルに割り当てられるディスク領域を制限しない場合は、UNLIMITED句を使用します。

autoextend_clauseの制限事項: この句はCREATE CONTROLFILE文のdatafile_tempfile_specの一部、またはALTER DATABASE CREATE DATAFILE句には指定できません。

ログ・ファイルの指定例 次の文は、payableという名前のデータベースを作成します。このデータベースには各グループにメンバーを2つ持つREDOログ・ファイル・グループが2つと、データファイルが1つ設定されています。

CREATE DATABASE payable 
   LOGFILE GROUP 1 ('diska:log1.log', 'diskb:log1.log') SIZE 50K, 
           GROUP 2 ('diska:log2.log', 'diskb:log2.log') SIZE 50K 
   DATAFILE 'diskc:dbone.dbf' SIZE 30M; 

LOGFILE句の最初のファイル指定は、REDOログ・ファイル・グループにGROUP 1の値を指定します。このグループには、'diska:log1.log'および'diskb:log1.log'というメンバーがあり、サイズはそれぞれ50KBです。

LOGFILE句の2番目のファイル指定は、REDOログ・ファイル・グループにGROUP 2の値を指定します。このグループには、'diska:log2.log'および'diskb:log2.log'というメンバーがあり、サイズはそれぞれ50KBです。

DATAFILE句のファイル指定では、'diskc:dbone.dbf'という名前のデータファイルが指定されています。このファイルのサイズは30MBです。

各ファイル指定はSIZEパラメータの値を指定し、REUSE句は指定していないため、指定のファイルがすでに定義されていることはありません。Oracleが新しくファイルを作成します。

ログ・ファイルの追加例 次の文は、2つのメンバーで構成される新しいREDOログ・ファイル・グループを、payableデータベースに追加します。

ALTER DATABASE payable 
   ADD LOGFILE GROUP 3 ('diska:log3.log', 'diskb:log3.log') 
   SIZE 50K REUSE; 

ADD LOGFILE句のファイル指定は、REDOログ・ファイル・グループにGROUP 3の値を指定します。このグループには、'diska:log3.log'および'diskb:log3.log'というメンバーがあり、サイズはそれぞれ50KBです。このファイル指定ではREUSE句が指定されているため、各メンバーはすでに存在している可能性があります(ただし、存在していなくてもかまいません)。

次の文は移行先のディスク4k_disk_aおよび4k_disk_b上にメンバー・ログ・ファイルを持つログ・ファイル・グループ5を追加します。この文の実行後は、switch_logfile_clauseを使用して、ブロック・サイズが512バイトのディスク上にある既存のログ・ファイルを、ブロック・サイズが4Kのログに切り替えることができます。

 ALTER DATABASE ADD LOGFILE GROUP 5
     ('4k_disk_a:log5.log', '4k_disk_b:log5.log')
     SIZE 100M BLOCKSIZE 4096 REUSE;

データファイルの指定例 次の文は、stocksという名前の表領域を作成します。また、この表領域にはデータファイルが3つあります。

CREATE TABLESPACE stocks 
   DATAFILE 'stock1.dbf' SIZE 10M, 
            'stock2.dbf' SIZE 10M,
            'stock3.dbf' SIZE 10M; 

このデータファイルのファイル指定は、'diskc:stock1.dbf'、'diskc:stock2.dbf'および'diskc:stock3.dbf'という名前のファイルを指定します。

データファイルの追加例 次の文は、stocks表領域を変更し、新しいデータファイルを追加します。

ALTER TABLESPACE stocks 
   ADD DATAFILE 'stock4.dbf' SIZE 10M REUSE; 

このファイル指定は、'stock4.dbf'という名前のデータファイルを指定します。このファイル名が存在しない場合、REUSEキーワードは無視されます。

完全修飾されたOracle ASMデータファイル名の使用例 次の文は、Oracle ASMを使用する際に、fully_qualified_file_name句を使用して、仮想データベースtestdbのデータファイルをオンラインにする方法を示します。

ALTER DATABASE testdb 
   DATAFILE '+dgroup_01/testdb/datafile/system.261.1' ONLINE;