パラメータ・ファイルは、初期化パラメータのリストおよび各パラメータの値を格納しているファイルです。初期化パラメータをパラメータ・ファイルに指定して、特定のインストールを反映させます。Oracleは、次の2種類のパラメータ・ファイルをサポートしています。
サーバー・パラメータ・ファイルは、初期化パラメータのリポジトリとして機能するバイナリ・ファイルです。このファイルは、Oracle Databaseサーバーが稼働しているマシンに格納できます。サーバー・パラメータ・ファイルに格納された初期化パラメータは永続的で、インスタンスの実行中に行ったパラメータの変更は、インスタンスを停止し、起動しても有効です。
初期化パラメータ・ファイルは、初期化パラメータのリストを含むテキスト・ファイルです。このファイルに書き込む場合は、クライアント側のデフォルトのキャラクタ・セットを使用してください。
次に、初期化パラメータ・ファイルのサンプル・エントリを示します。
PROCESSES = 100 OPEN_LINKS = 12 GLOBAL_NAMES = true
初期化パラメータ・ファイルの名前は、オペレーティング・システムによって異なります。たとえば、大文字と小文字または小文字のみで表記されていたり、論理名、またはinit.oraという名前が変化したものであることもあります。データ・ウェアハウスおよびデータ・マート用の推奨されるパラメータが設定されているinitdw.oraファイルもあります。データベース管理者は、初期化パラメータ・ファイル用に異なるファイル名を選択できます。
初期化パラメータ・ファイルのオペレーティング・システム上でのデフォルトの位置およびファイル名については、オペレーティング・システム固有のOracleマニュアルを参照してください。初期化パラメータ・ファイルは、サーバーを起動するためにクライアント側ツール(たとえば、SQL*Plus)が読み込むファイルです。
サンプル初期化パラメータ・ファイルは、それぞれのオペレーティング・システム用のOracle配布媒体により提供されます。当面の使用には、サンプル・ファイルで間に合いますが、最高のパフォーマンスを得るためにデータベースをチューニングするには、このファイルを変更します。すべての変更は、インスタンスを完全に停止してから再起動することによって有効になります。
この項では、初期化パラメータ・ファイル内のパラメータ値の設定に関する様々な事項について説明します。
初期化パラメータ・ファイル内のパラメータは、次のルールに基づいて指定します。
初期化パラメータ・ファイルにはパラメータおよびコメントのみが含まれます。コメントはシャープ記号(#)で始まります。その行のシャープ記号以降の内容は無視されます。
パラメータは任意の順序で指定できます。
ファイル名の中で、大/小文字の区別に意味があるのは、ホスト・オペレーティング・システム上で大/小文字の区別に意味がある場合のみです。
1行に複数のパラメータを入力する場合は、次に示すようにパラメータ名と値の間に空白を入れます。
PROCESSES = 100 CPU_COUNT = 1 OPEN_CURSORS = 10
パラメータによっては、複数の値を指定できるものもあります(ROLLBACK_SEGMENTSなど)。次に示す例はすべて有効な構文です。
複数の値を入力する場合は、カッコで囲みカンマで区切ります。たとえば、次のように使用します。
ROLLBACK_SEGMENTS = (SEG1, SEG2, SEG3, SEG4, SEG5)
カッコとカンマを使用せずに複数の値を入力します。たとえば、次のように使用します。
ROLLBACK_SEGMENTS = SEG1 SEG2 SEG3 SEG4 SEG5
1行に値を1つずつ入力して、複数の値を指定します。たとえば、次のように使用します。
ROLLBACK_SEGMENTS = SEG1 ROLLBACK_SEGMENTS = SEG2 ROLLBACK_SEGMENTS = SEG3 ROLLBACK_SEGMENTS = SEG4 ROLLBACK_SEGMENTS = SEG5
1つのパラメータに対する複数の値を複数の行に入力する場合は、そのエントリの行が連続している必要があります。エントリが連続する行にない場合、最初のエントリが適切に処理されません。たとえば、次のエントリでは、SEG3およびSEG4は、SEG1およびSEG2をオーバーライドします。
ROLLBACK_SEGMENTS = SEG1 SEG2 OPEN_CURSORS = 10 ROLLBACK_SEGMENTS = SEG3 SEG4
エスケープ文字とも呼ばれるバックスラッシュ(\)は、パラメータの指定が継続することを示します。バックスラッシュで行を継続する場合は、次の行頭に空白を入力しないでください。たとえば、次のように使用します。
ROLLBACK_SEGMENTS = (SEG1, SEG2, \ SEG3, SEG4, SEG5)
IFILE初期化パラメータを使用すると、現行の初期化パラメータ・ファイルに他の初期化パラメータ・ファイルの内容を埋め込むことができます。
パラメータに空白またはタブを含む値を指定する場合は、引用符で囲みます。特に指定がないかぎり、一重引用符または二重引用符を使用できます。たとえば、次のように使用します。
NLS_TERRITORY = 'CZECH REPUBLIC'
| 注意:初期化パラメータ・ファイルにパラメータをアルファベット順にまとめておいてください。これによって、容易にパラメータを見つけることができ、どのパラメータも確実に1回のみ指定できるようになります。 | 
パラメータに特殊文字を含む値を指定する場合は、引用符で囲みます。
パラメータに特殊文字を含む値を指定する場合は、その特殊文字の前にバックスラッシュを付けるか、またはパラメータ全体を引用符で囲む必要があります。次のいずれかを使用して、特殊文字を指定できます。
DB_DOMAIN = 'JAPAN.ACME#.COM' DB_DOMAIN = JAPAN.ACME\#.COM
表1-1に、初期化パラメータ・ファイルで使用できる特殊文字を示します。
表1-1 初期化パラメータ・ファイルの特殊文字
| 文字 | 名前 | 説明 | 
|---|---|---|
| 
 | シャープ記号 | コメント | 
| 
 | 左カッコ | 値リストの開始 | 
| 
 | 右カッコ | 値リストの終了 | 
| 
 | 二重引用符 | 引用符で囲む文字列の開始または終了 | 
| 
 | 一重引用符 | 引用符で囲む文字列の開始または終了 | 
| 
 | 等号 | キーワードと値のセパレータ | 
| 
 | カンマ | 要素のセパレータ | 
| 
 | マイナス記号 | UNIXスタイルのキーワードの接頭辞 | 
| 
 | バックスラッシュ | エスケープ文字 | 
特殊文字を初期化パラメータ・ファイルでリテラルとして指定する場合は、その特殊文字の前にバックスラッシュを付けるか、またはその特殊文字を含む文字列全体を引用符で囲む必要があります。
「初期化パラメータ・ファイルを管理するルール」で説明したように、バックスラッシュ(\)は行の継続も示します。英数字の前に指定したバックスラッシュは、通常の文字として扱われます。英数字以外の文字の前に指定したバックスラッシュは、バックスラッシュまたは継続文字として扱われます。