この項では、ASMCMD Oracle ASMインスタンス管理コマンドについて説明します。
この項で示すコマンドの一部は、クラスタ構成のリソースであるGrid Plug and Play(GPnP)プロファイルに影響を及ぼします。Oracle Restart構成では、プロファイルは、Grid Plug and Play(GPnP)プロファイルではなく実際にはリソース属性にあります。しかし、コマンドの機能はどちらの構成に対しても同じです。
表12-4に、Oracle ASMインスタンス管理コマンドの概要を示します。
表12-4 ASMCMDインスタンス管理コマンドの概要
コマンド | 説明 |
---|---|
|
Oracle ASMインスタンスとそのクライアントで使用されるディスク検出文字列値を取得します。 |
|
Oracle ASMインスタンスとそのクライアントで使用されるディスク検出文字列値を設定します。 |
|
現在のOracle ASMクライアントに関する情報をリストします。 |
|
ディスク・グループまたはOracle ASMインスタンスでの現行操作をリストします。 |
|
Oracle ASMパスワード・ファイルからユーザーをリストします。 |
|
Oracle ASMパスワード・ユーザーを追加、削除または変更します。 |
|
Oracle ASMインスタンスを停止します。 |
|
Oracle ASM SPFILEをバックアップします。 |
|
Oracle ASM SPFILEをコピーします。 |
|
Oracle ASM SPFILEの場所を取得します。 |
|
Oracle ASM SPFILEを移動します。 |
|
Oracle ASM SPFILEの場所を設定します。 |
|
Oracle ASMインスタンスを起動します。 |
用途
Oracle ASMインスタンスとそのクライアントで使用されるディスク検出文字列値を取得します。
構文および説明
dsget
[ --normal
| --parameter
| --profile
[-f
] ]
dsget
コマンドの構文オプションの詳細は、表12-5を参照してください。
表12-5 dsgetコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
Grid Plug and Play(GPnP)プロファイルの検出文字列と、Oracle ASMインスタンスに設定されている検出文字列を取得します。プロファイルおよびパラメータ設定ごとに1行を戻します。これはデフォルト設定です。 |
|
Oracle ASMインスタンスの |
|
検出文字列をGPnPプロファイルから取得します。 |
例
次の例では、dsget
を使用してGPnPプロファイルおよびASM_DISKSTRING
パラメータから現在のディスク検出文字列値を取得します。
用途
Oracle ASMインスタンスとそのクライアントで使用されるディスク検出文字列値を設定します。
指定するディスク文字列は、既存のマウント済ディスク・グループに対して有効である必要があります。更新された値はすぐに有効になります。
構文および説明
dsset
[ --normal
| --parameter
| --profile
[-f
] ] diskstring
dsset
コマンドの構文オプションの詳細は、表12-6を参照してください。
表12-6 dssetコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
Grid Plug and Play(GPnP)プロファイルとOracle ASMインスタンスに検出文字列を設定します。指定した検出文字列によって必要なディスク・グループおよび投票ファイルがすべて検出されることをOracle ASMインスタンスで正常に検証された後に、更新が行われます。インスタンスでサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を使用していない場合、このコマンドは失敗します。 これはデフォルト設定です。 |
|
ディスク検出文字列によって現在マウントされているディスク・グループおよび投票ファイルがすべて検出されることが検証された後に、ディスク文字列がメモリー内で更新されることを指定します。ディスク文字列は、SPFILEまたはGPnPプロファイルに永続的に記録されません。 |
|
必要なディスク・グループをすべて検出できるかどうかをOracle ASMインスタンスで検証せずに、GPnPプロファイルにプッシュされるディスク検出文字列を指定します。更新は、クラスタを構成するすべてのノードに必ず伝播されます。
|
|
ディスク検出文字列の値を指定します。 |
ディスク検出およびディスク検出文字列の詳細は、「Oracle ASMディスク検出」を参照してください。
例
次の例では、dsset
を使用してディスク検出文字列の現在の値をGPnPプロファイルに設定します。
用途
V$ASM_CLIENT
ビューから現在のOracle ASMクライアントについての情報を表示します。Oracle DatabaseやOracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)などのクライアントでは、ASMCMDが現在接続しているOracle ASMインスタンスによって管理されるディスク・グループを使用します。
構文および説明
lsct
[--suppressheader
] [-g
] [diskgroup
]
表12-7に、lsct
コマンドのオプションを示します。
表12-7 lsctコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
(なし) |
|
|
|
|
列ヘッダーを非表示にします。 |
|
ディスク・グループを指定します。 |
diskgroup
を指定すると、そのディスク・グループの情報のみが表示されます。
例
次の例では、data
ディスク・グループにアクセスするクライアントの情報を表示します。
用途
Oracle ASMインスタンス内のディスク・グループでの現行操作をリストします。
構文および説明
lsop
lsop
は、V$ASM_OPERATION
ビューから情報を表示します。
例
次に、lsop
コマンドの例を示します。この例では、現在のOracle ASMインスタンスのディスク・グループに対する操作をリストします。
用途
ローカルのOracle ASMパスワード・ファイルからユーザーをリストします。
構文および説明
lspwusr
[--suppressheader
]表12-8に、lspwusr
コマンドのオプションを示します。
例
次に、lspwusr
コマンドの例を示します。この例では、ローカルのOracle ASMパスワード・ファイルに指定されている現在のユーザーをリストします。
用途
Oracle ASMパスワード・ファイルのユーザーを追加、削除または変更します。
構文および説明
orapwusr
{ { { --add
| --modify
[--password
] }--privilege
{sysasm
|sysdba
|sysoper
} ] } | --delete
} user
表12-9に、orapwusr
コマンドのオプションを示します。
表12-9 orapwusrコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
パスワード・ファイルにユーザーを追加します。パスワードの入力も要求します。 |
|
パスワード・ファイルのユーザーを変更します。 |
|
ユーザーのパスワードの入力を要求した後、変更します。 |
|
ユーザーのロールを設定します。オプションは、 |
|
パスワード・ファイルからユーザーを削除します。 |
|
追加、削除または変更するユーザーの名前。 |
orapwusr
は、クラスタ内のすべてのノードでパスワードを更新しようとします。このコマンドを実行するにはSYSASM権限が必要です。SYSDBAとしてログインしているユーザーは、このコマンドを使用してパスワードを変更することができません。
例
次に、orapwusr
コマンドの例を示します。この例では、ユーザーのロールをSYSDBAに設定してhruser
をOracle ASMパスワード・ファイルに追加します。
用途
Oracle ASMインスタンスを停止します。
構文および説明
shutdown
[--normal
| --abort
|--immediate
]表12-10に、shutdown
コマンドのオプションを示します。
表12-10 shutdownコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
普通に停止します。 |
|
すべての既存の操作を中断して停止します。 |
|
即時停止します。 |
オプションを指定しない場合、デフォルトのアクションは標準停止です。
Oracle ASMインスタンスの停止を中断(--abort
)オプションで試みる前に、Oracle ASMインスタンスを使用するデータベース・インスタンスをすべて停止し、Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)ボリュームにマウントされているファイルシステムをすべてディスマウントすることを強くお薦めします。
Oracle ASMインスタンスの停止の詳細は、「Oracle ASMインスタンスの停止」を参照してください。
例
次に、shutdown
コマンドの例を示します。1つ目の例では、標準アクションでOracle ASMインスタンスの停止を実行します。2つ目の例では、即時アクションで停止を実行します。3つ目の例では、すべての既存の操作を中断する停止を実行します。
用途
Oracle ASM SPFILEをバックアップ・ファイルにバックアップします。
構文および説明
spbackup
source
destination
表12-11に、spbackup
コマンドのオプションを示します。
spbackup
は、ターゲット・ディスク・グループ内でSPFILEを作成せずに、同じまたは異なるディスク・グループ内でSPFILEの1つまたは複数のバックアップを作成する場合に使用する必要があります。
spbackup
を使用する場合、次のことに注意してください。
spbackup
では、Oracle ASM SPFILEをディスク・グループからディスク・グループまたはオペレーティング・システム・ファイルにバックアップできます。
spbackup
では、Oracle ASM SPFILEをオペレーティング・システム・ファイルからディスク・グループにバックアップできます。
spbackup
では、オープンされたOracle ASMインスタンスでOracle ASM SPFILEが使用されている場合、Oracle ASM SPFILEをバックアップできます。
spbackup
では、同じディスク・グループで内にOracle ASM SPFILEの複数のバックアップを作成できます。
spbackup
は、GPnPプロファイルに作用しません。作成されるバックアップ・ファイルは、特殊なファイル・タイプではなく、SPFILEとして識別されません。このバックアップ・ファイルはspcopy
を使用してコピーできません。このバックアップ・ファイルをディスク・グループ間でコピーするには、ASMCMD cp
コマンドを使用します。
SPFILEファイルとして識別されるディスク・グループ内のバックアップ・ファイルのコピーを作成するには、次の手順を実行します。
ASMCMD cp
コマンドを使用して、バックアップ・ファイルをディスク・グループからオペレーティング・システム・ファイルにコピーします。「cp」を参照してください。
ASMCMD spcopyコマンドを使用して、オペレーティング・システム・ファイルをディスク・グループにコピーします。「spcopy」を参照してください。
例
次に、spbackup
コマンドの例を示します。1つ目の例では、data
ディスク・グループのSPFILEをバックアップします。2つ目の例では、SPFILEをdata
ディスク・グループからfra
ディスク・グループにバックアップします。
用途
Oracle ASM SPFILEをソースの場所から宛先の場所のSPFILEにコピーします。
構文および説明
spcopy
[-u
] source
destination
表12-12に、spcopy
コマンドのオプションを示します。
表12-12 spcopyコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
Grid Plug and Play(GPnP)プロファイルを更新します。 |
|
ソース・ファイルの名前を指定します。 |
|
宛先を指定します。 |
spcopy
を使用する場合、次のことに注意してください。
spcopy
では、Oracle ASM SPFILEをディスク・グループから異なるディスク・グループまたはオペレーティング・システム・ファイルにコピーできます。
spcopy
では、Oracle ASM SPFILEをオペレーティング・システム・ファイルからディスク・グループにコピーできます。
spcopy
では、オープンされたOracle ASMインスタンスでOracle ASM SPFILEが使用されている場合、Oracle ASM SPFILEをコピーできます。
spcopy
では、同じディスク・グループ内にOracle ASM SPFILEの複数のコピーを作成できません。その目的ではspbackup
を使用できます。
GPnPプロファイルを更新するには、spcopy
に-u
オプションを指定します。また、spcopy
が-u
オプションを指定せずに実行する場合は、spset
を使用してGPnPプロファイルを更新することもできます。「spset」を参照してください。アップグレード後のOracle ASMインスタンスの初期化パラメータ・ファイルのコピーおよび移動の詳細は、「Oracle ASM初期化パラメータ・ファイルのバックアップ、コピーおよび移動」を参照してください。
SPFILEをコピーし、GPnPプロファイルを更新した後で、新しい場所のSPFILEを使用するには、そのSPFILEを使用してインスタンスを再起動します。Oracle ASMインスタンスが新しい場所のSPFILEを使用して稼働している場合は、ソースのSPFILEを削除できます。
spcopy
を使用してOracle ASM SPFILEをディスク・グループにコピーするには、ターゲット・ディスク・グループのCOMPATIBLE.ASM
属性を11.2以上に設定する必要があります。
関連項目: サーバー・パラメータ・ファイルの作成の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』のCREATE SPFILE SQL文を参照してください。 |
例
次に、spcopy
コマンドの例を示します。1つ目の例では、Oracle ASM SPFILEをdata
ディスク・グループからfra
ディスク・グループにコピーします。2つ目の例では、Oracle ASM SPFILEをdata
ディスク・グループからあるオペレーティング・システムの場所にコピーします。3つ目の例では、Oracle ASM SPFILEをあるオペレーティング・システムの場所からdata
ディスク・グループにコピーし、-u
オプションを指定してGPnPプロファイルを更新します。
例12-14 ASMCMD spcopyコマンドの使用方法
ASMCMD> spcopy +DATA/asm/asmparameterfile/registry.253.721810181 +FRA/spfileCopyASM.ora ASMCMD> spcopy +DATA/asm/asmparameterfile/registry.253.721810181 $ORACLE_HOME/dbs/spfileCopyASM.ora ASMCMD> spcopy -u /u01/oracle/product/11.2.0/grid/dbs/spfileTestASM.ora +DATA/ASM/spfileCopyASM.ora
用途
Oracle ASM SPFILEの場所をGrid Plug and Play(GPnP)プロファイルから取得します。
構文および説明
spget
spget
によって取得される場所は、GPnPプロファイルに指定されている場所ですが、現在使用されているSPFILEの場所とはかぎりません。たとえば、再起動していないOracle ASMインスタンスに対してspset
または-u
オプションを指定したspcopy
によって場所が最近更新されている場合があります。次にOracle ASMを再起動すると、この場所は、現在使用されているOracle ASM SPFILEを指します。
例
次に、spget
コマンドの例を示します。この例では、GPnPプロファイルからSPFILEの場所を取得して表示します。
用途
ソースから宛先にOracle ASM SPFILEを移動し、GPnPプロファイルを自動的に更新します。
構文および説明
spmove
source
destination
表12-13に、spmove
コマンドのオプションを示します。
spmove
を使用する場合、次のことに注意してください。
spmove
では、オープン・インスタンスでPFILEまたは別のSPFILEを使用している場合、Oracle ASM SPFILEを移動できます。SPFILEを移動した後で、新しい場所のSPFILEを使用するには、そのSPFILEを使用してインスタンスを再起動します。
spmove
では、オープンされたOracle ASMインスタンスでOracle ASM SPFILEが使用されている場合、Oracle ASM SPFILEを移動できません。
アップグレード後のOracle ASMインスタンスの初期化パラメータ・ファイルのコピーおよび移動の詳細は、「Oracle ASM初期化パラメータ・ファイルのバックアップ、コピーおよび移動」を参照してください。
spmove
を使用してOracle ASM SPFILEをディスク・グループに移動するには、ディスク・グループ属性COMPATIBLE.ASM
を11.2以上に設定する必要があります。
例
次に、spmove
コマンドの例を示します。1つ目の例では、Oracle ASM SPFILEをdata
ディスク・グループからあるオペレーティング・システムの場所に移動します。2つ目の例では、SPFILEをあるオペレーティング・システムの場所からdata
ディスク・グループに移動します。
用途
Oracle ASM SPFILEの場所をGrid Plug and Play(GPnP)プロファイルに設定します。
構文および説明
spset
location
表12-14に、spset
コマンドのオプションを示します。
例
次に、spset
コマンドの例を示します。この例では、data
ディスク・グループ内のOracle ASM SPFILEコマンドの場所を設定します。
用途
Oracle ASMインスタンスを起動します。
構文および説明
startup
[--nomount
] [--restrict
] [ --pfile
pfile
]表12-15に、startup
コマンドのオプションを示します。
表12-15 startupコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
ノーマウント操作を指定します。 |
|
制限モードを指定します。 |
|
Oracle ASM初期化パラメータ・ファイル。 |
デフォルトのアクションは、ディスク・グループをマウントし、Oracle ADVM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)ボリュームを使用可能にする起動です。起動時にマウントされるディスク・グループの詳細は、「起動時のディスク・グループのマウントについて」を参照してください。
Oracle ASMインスタンスの起動の詳細は、「Oracle ASMインスタンスの起動」を参照してください。
例
次に、startup
コマンドの例を示します。この例では、ディスク・グループをマウントせずにOracle ASMインスタンスを起動し、asm_init.ora
初期化パラメータ・ファイルを使用します。