この項では、ASMCMDファイル管理コマンドについて説明します。
表12-16に、ファイル管理コマンドの概要を示します。
表12-16 ASMCMDファイル管理コマンドの概要
| コマンド | 説明 |
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現行ディレクトリを指定したディレクトリに変更します。 |
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ディスク・グループ間およびディスク・グループとオペレーティング・システム間でファイルをコピーできます。 |
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指定したOracle ASMディレクトリおよびすべてのサブディレクトリで、ファイルが占有するディスク領域の合計を再帰的に表示します。 |
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指定したディレクトリ下で、指定した名前(ワイルドカードを使用)と一致するすべてのもののパスをリストします。 |
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Oracle ASMディレクトリの内容、指定したファイルの属性またはすべてのディスク・グループの名前および属性をリストします。 |
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オープン・ファイルをリストします。 |
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システム生成のファイル名のエイリアスを作成します。 |
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Oracle ASMディレクトリを作成します。 |
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Oracle ASMの現行ディレクトリのパスを表示します。 |
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指定したOracle ASMファイルまたはディレクトリを削除します。 |
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エイリアスが指すファイルは保持したまま、指定したエイリアスを削除します。 |
用途
現行ディレクトリを指定したディレクトリに変更します。
構文および説明
cd [dir]
表12-17に、cdコマンドのオプションを示します。
dirは、絶対パスまたは相対パス(疑似ディレクトリ.および..を含む)のいずれでも指定できます。dirにはワイルドカード文字を使用できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。
例
次に、様々なディレクトリに変更する、cdコマンドの例を示します。
用途
Oracle ASMディスク・グループ間およびディスク・グループとオペレーティング・システム間でファイルをコピーできます。
構文および説明
cp src_file [rem_connect_str:]tgt_filecp [rem_connect_str:]src_file tgt_file表12-18に、cpコマンドの構文オプションを示します。
表12-18 cpコマンドのオプション
| オプション | 説明 |
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リモート・インスタンスのための接続文字列を指定します。 |
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コピーするソース・ファイルの名前。 |
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作成されたターゲット・ファイル名のユーザー・エイリアス、またはエイリアスのディレクトリ名。 |
cpでは、2つのリモート・インスタンス間でファイルをコピーできません。ローカルOracle ASMインスタンスが、操作のソースまたはターゲットのいずれかである必要があります。
cpコマンドを使用できるのは、次の場合です。
ディスク・グループからオペレーティング・システムへのファイルのコピー
ディスク・グループ間のファイルのコピー
オペレーティング・システムからディスク・グループへのファイルのコピー
一部のファイル・タイプは、cpコマンドのソースまたは宛先にできません。これらのファイル・タイプには、OCRおよびOCRバックアップ・ファイル・タイプがあります。Oracle ASM SPFILEをバックアップ、コピーまたは移動するには、spbackup、spcopyまたはspmoveの各コマンドを使用します。
ローカル・インスタンスのコピー(デフォルトの場合)には、rem_connect_strは必要ありません。リモート・インスタンスのコピーの場合、接続文字列を指定する必要があり、Oracle ASMによりエコーしないプロンプトでパスワードを入力するように求められます。rem_connect_strの書式は次のとおりです。
user@host[.port_number].SID
rem_connect_strパラメータではuser、hostおよびSIDは必須です。デフォルトのポート番号は1521です。
接続権限(SYSASMまたはSYSDBA)は、ASMCMDの起動時に--privilegeオプションの使用によって決まります。詳細は、「接続タイプの指定」を参照してください。
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関連項目: 接続文字列の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。 |
src_fileには、完全修飾ファイル名またはOracle ASMエイリアスのいずれかを指定する必要があります。
cpコマンドは、ビット単位のコピーを実行します。データ転送はありません。
例
次に、cpコマンドの例を示します。1つ目の例では、dataディスク・グループのファイルをオペレーティング・システム上にコピーします。2つ目の例では、オペレーティング・システム上のファイルをdataディスク・グループにコピーします。3つ目の例では、dataディスク・グループのファイルをリモート・サーバーにコピーする方法を示します。パスワードがコマンドラインに含まれていない場合、パスワードの入力を求められます。
例12-20 ASMCMD cpコマンドの使用方法
ASMCMD [+] > cp +data/orcl/datafile/EXAMPLE.265.691577295 /mybackups/example.bak copying +data/orcl/datafile/EXAMPLE.265.691577295 -> /mybackups/example.bak ASMCMD [+] > cp /mybackups/examples.bak +data/orcl/datafile/myexamples.bak copying /mybackups/examples.bak -> +data/orcl/datafile/myexamples.bak ASMCMD [+] > cp +data/orcl/datafile/EXAMPLE.265.691577295 sys@myserver.+ASM:/scratch/backup/myexamples.bak Enter Password:
用途
指定したディレクトリおよびその下のディレクトリ・ツリー全体のファイルが使用する領域の合計を表示します。
構文および説明
du [--suppressheader] [dir]
表12-19に、duコマンドの構文オプションを示します。
dirを指定しない場合、現行ディレクトリに関する情報が表示されます。dirにはワイルドカード文字を使用できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。
次の2つの値が、いずれもMB単位で表示されます。
Used_MB: この値には、ミラーリングは含まれません。
Mirror_used_MB: この値には、ミラーリングが含まれます。
たとえば、標準冗長性のディスク・グループに100MBのデータが含まれ、ディスク・グループの各ファイルが双方向にミラー化されている場合、Used_MBは100MBで、Mirror_used_MBは約200MBです。
例
次に、duコマンドの例を示します。この例では、dataディスク・グループのorclディレクトリおよびorclディレクトリの下にあるすべてのディレクトリで使用されているディスク領域を表示します。
用途
指定したディレクトリおよびそのサブディレクトリ内で、指定した名前パターン(ワイルドカードを使用)と一致するすべてのものの絶対パスを表示します。
構文および説明
find [--type type] dir pattern
表12-20に、findコマンドの構文オプションを示します。
表12-20 findコマンドのオプション
| オプション | 説明 |
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検索するターゲットのタイプ。 |
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検索を開始するディレクトリ名。 |
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ターゲットまたはワイルドカード・パターンの名前。 |
このコマンドは、ディレクトリ・ツリー内の指定したディレクトリおよびその下のすべてのサブディレクトリで、指定したpatternを検索します。patternの値には、ディレクトリ名またはファイル名を指定し、ワイルドカード文字を使用できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。
ASMCMD findコマンドでは、大文字と小文字は区別されません。
コマンドの出力では、ディレクトリ名の末尾にスラッシュ(/)が付き、ファイル名とは区別されます。
特定のタイプ(typeとして指定)のすべてのファイルを検索するには、--typeフラグを使用します。たとえば、typeにCONTROLFILEを指定して、制御ファイルを検索できます。typeの有効値は、表7-1「Oracle ASMによってサポートされるファイル・タイプ」を参照してください。これらは、V$ASM_FILEビューのtype列のタイプ値です。
例
次に、findコマンドの例を示します。1つ目の例では、dataディスク・グループのundoで始まるファイルを検索します。2つ目の例では、+data/orclディレクトリのすべての制御ファイル(--type CONTROLFILE)の絶対パスを戻します。
用途
Oracle ASMディレクトリの内容、指定したファイルの属性またはすべてのディスク・グループの名前および属性をリストします。
構文および説明
ls [--suppressheader] [-lsdtLg][--absolutepath][--reverse] [--permission][pattern]表12-21に、lsコマンドの構文オプションを示します。
表12-21 lsコマンドのオプション
| オプション | 説明 |
|---|---|
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(なし) |
ファイル名およびディレクトリ名のみを表示します。 |
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ストライピング情報、冗長性情報、ファイルがシステム生成か( 一部のファイル属性またはディスク・グループ属性は表示されません。ファイルまたはディスク・グループのすべての列の値を表示するには、 |
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ファイル領域情報を表示します。 |
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リストのソート順を逆にします。 |
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名前ではなくタイムスタンプで新しいものを先頭にリストをソートします。 |
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リストされたファイルごとに、そのファイルを参照するエイリアスの絶対パス(ある場合)が表示されます。 |
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出力には、 |
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列ヘッダーを非表示にします。 |
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ファイルの権限を表示します( |
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ファイル、ディレクトリまたはパターンの名前。 |
コマンドのオプションを使用して、コマンドの出力を変更およびカスタマイズできます。表12-21に、オプションとその説明を示します。ディスク・グループ情報の場合、このコマンドはデフォルトでV$ASM_DISKGROUP_STATビューに問い合せます。すべてのオプションを指定すると、属性が結合されて表示され、重複するものは削除されます。ls +と入力すると、最上位レベルのディレクトリ構造が表示されます。
patternには、ワイルドカード文字を含むファイル名、ディレクトリ名、またはパターンを指定できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。
patternがディレクトリ名の場合、lsはフラグ設定に応じてディレクトリの内容を表示し、lsは各ディレクトリ・メンバーの情報も表示します。ディレクトリ名の末尾にはスラッシュ(/)が付き、ファイル名とは区別して示されます。
patternに入力する値がファイル名である場合、lsはフラグ設定に応じてファイルを表示し、lsはファイルの情報も表示します。ファイル名が相対パスで指定されている場合、ファイルは現行ディレクトリ内に格納されている必要があります。
例
次に、lsコマンド例を示します。この例では、ディレクトリに関する様々な情報とディレクトリの内容を表示します。
例12-23 ASMCMD lsコマンドの使用方法
ASMCMD [+] > ls +data/orcl/datafile
EXAMPLE.265.691577295
SYSAUX.257.691577149
SYSTEM.256.691577149
UNDOTBS1.258.691577151
USERS.259.691577151
ASMCMD [+] > ls -lt +data/orcl/datafile
Type Redund Striped Time Sys Name
DATAFILE MIRROR COARSE JUL 13 08:00:00 Y EXAMPLE.265.691577295
DATAFILE MIRROR COARSE JUL 13 05:00:00 Y SYSAUX.257.691577149
DATAFILE MIRROR COARSE JUL 13 02:00:00 Y USERS.259.691577151
DATAFILE MIRROR COARSE JUL 13 02:00:00 Y UNDOTBS1.258.691577151
DATAFILE MIRROR COARSE JUL 13 02:00:00 Y SYSTEM.256.691577149
ASMCMD [+] > ls -l +data/orcl/datafile/sy*
Type Redund Striped Time Sys Name
DATAFILE MIRROR COARSE JUL 13 05:00:00 Y SYSAUX.257.691577149
DATAFILE MIRROR COARSE JUL 13 02:00:00 Y SYSTEM.256.691577149
ASMCMD [+] > ls -s +data/orcl/datafile
Block_Size Blocks Bytes Space Name
8192 12801 104865792 214958080 EXAMPLE.265.691577295
8192 88321 723525632 1452277760 SYSAUX.257.691577149
8192 88321 723525632 1452277760 SYSTEM.256.691577149
8192 7681 62922752 131072000 UNDOTBS1.258.691577151
8192 641 5251072 12582912 USERS.259.691577151
ASMCMD [+] > ls --permission +data/orcl/datafile
User Group Permission Name
rw-rw-rw- EXAMPLE.265.691577295
rw-rw-rw- SYSAUX.257.691577149
rw-rw-rw- SYSTEM.256.691577149
rw-rw-rw- UNDOTBS1.258.691577151
rw-rw-rw- USERS.259.691577151
用途
ローカル・クライアントのオープン・ファイルをリストします。
構文および説明
lsof [--suppressheader] {-G diskgroup|--dbname db| -C instance}表12-22に、lsofコマンドの構文オプションを示します。
表12-22 lsofコマンドのオプション
| オプション | 説明 |
|---|---|
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列ヘッダーを非表示にします。 |
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指定されたディスク・グループからのみファイルをリストします。 |
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指定されたデータベースからのみファイルをリストします。 |
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指定されたインスタンスからのみファイルをリストします。 |
例
次に、lsofコマンドの例を示します。1つ目の例では、dataディスク・グループのオープン・ファイルをリストします。2つ目の例では、Oracle ASMインスタンスのオープン・ファイルをリストします。
例12-24 ASMCMD lsopコマンドの使用方法
ASMCMD [+] > lsof -G data DB_Name Instance_Name Path orcl orcl +data/orcl/controlfile/current.260.691577263 orcl orcl +data/orcl/datafile/example.265.691577295 orcl orcl +data/orcl/datafile/sysaux.257.691577149 orcl orcl +data/orcl/datafile/system.256.691577149 orcl orcl +data/orcl/datafile/undotbs1.258.691577151 orcl orcl +data/orcl/datafile/users.259.691577151 orcl orcl +data/orcl/onlinelog/group_1.261.691577267 orcl orcl +data/orcl/onlinelog/group_2.262.691577271 orcl orcl +data/orcl/onlinelog/group_3.263.691577275 orcl orcl +data/orcl/tempfile/temp.264.691577287 ASMCMD [+] > lsof -C +ASM DB_Name Instance_Name Path asmvol +ASM +data/VOLUME1.271.679226013 asmvol +ASM +data/VOLUME2.272.679227351
用途
指定したシステム生成のファイル名のエイリアスを作成します。
構文および説明
mkalias file alias
表12-23に、mkaliasコマンドの構文オプションを示します。
aliasは、システム生成のファイルと同じディスク・グループに存在する必要があります。Oracle ASMファイルごとに作成できるエイリアスは、1つのみです。
例
次の例では、完全修飾ファイル名+data/orcl/DATAFILE/SYSAUX.257.721811945に対してsysaux.fエイリアスを作成します。mkaliasコマンドに続いてls --absolutepathを実行し、結果をチェックします。
例12-25 ASMCMD mkaliasコマンドの使用方法
ASMCMD [+data/orcl/datafile] > mkalias SYSAUX.257.721811945 sysaux.f ASMCMD [+data/orcl/datafile] > ls --absolutepath none => EXAMPLE.265.721812093 +DATA/ORCL/DATAFILE/sysaux.f => SYSAUX.257.721811945 none => SYSTEM.256.721811945 none => UNDOTBS1.258.721811945 none => USERS.259.721811947 sysaux.f
用途
現行ディレクトリにOracle ASMディレクトリを作成します。
構文および説明
mkdir dir [dir . . .]
表12-24に、mkdirコマンドの構文オプションを示します。
mkdirが実行するディレクトリは、システムで作成されるか、またはユーザーによって作成できます。ルート(+)・レベルのディレクトリは作成できません。
例
次に、mkdirコマンドの例を示します。この例では、ディスク・グループdataに、ディスク・グループ・レベルのディレクトリsubdir1およびsubdir2を作成します。
用途
指定したOracle ASMファイルおよびディレクトリを削除します。
構文および説明
rm [-f|-r] pattern [pattern...]
表12-25に、rmコマンドの構文オプションを示します。
表12-25 rmコマンドのオプション
| オプション | 説明 |
|---|---|
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ファイルおよびサブディレクトリを再帰的に削除します。 |
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強制的にファイルおよびサブディレクトリを削除します。 |
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ファイル、ディレクトリまたはワイルドカード・パターンの名前。 |
patternがファイルまたはエイリアスの場合は、これらが現在使用中でない場合のみrmコマンドで削除できます。patternがディレクトリの場合は、(-rフラグを使用していなければ)そのディレクトリが空であり、システム生成のディレクトリではない場合のみrmコマンドで削除できます。patternがエイリアスの場合は、エイリアスおよびエイリアスが参照するファイルの両方がrmによって削除されます。エイリアスのみ削除し、エイリアスが参照するファイルを保持する場合は、rmaliasコマンドを使用します。
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注意: システム生成ディレクトリ内のファイルをすべて削除すると、そのディレクトリは削除されます。親ディレクトリが空の場合、親ディレクトリもすべて削除されます。 |
patternには、ワイルドカード文字を指定できます。詳細は、「ワイルドカード文字」を参照してください。
ワイルドカードを使用する場合、rmコマンドでは、(-rフラグを使用していなければ)空ではないディレクトリを除き、一致するものをすべて削除します。再帰的に削除するには、-rフラグを使用します。-rオプションにより、空ではないディレクトリと、そのディレクトリとその下のディレクトリ・ツリー全体の中にあるすべてのファイルとディレクトリを削除できます。-rフラグまたはワイルドカード文字を使用すると、-fフラグを指定した場合を除き、rmコマンドを続行する前に削除を確認するプロンプトが表示されます。ワイルドカード文字がエイリアスまたはエイリアスを持つシステム生成のファイルと一致する場合は、エイリアスおよびエイリアスが参照するシステム生成のファイルの両方が削除されます。-rフラグを使用してワイルドカード・パターンと一致するエイリアスを削除する場合は、エイリアスまたはエイリアスを含むシステム生成のファイルは、rmコマンドを実行するディレクトリ内に存在している必要があります。
たとえば、+data/orcl/DATAFILE/System.256.146589651を指し示すユーザーのエイリアス+data/dir1/file.aliasがある場合、rm -r +data/dir1コマンドを実行すると、+data/dir1/file.aliasおよび+data/orcl/DATAFILE/System.256.146589651が削除されます。
例
次に、rmコマンドの例を示します。1つ目の例では、myexamples.bakファイルを削除します。2つ目の例では、subdir2ディレクトリおよびその内容を削除します。
用途
エイリアスが参照するファイルは保持したまま、指定したエイリアスを削除します。
構文および説明
rmalias [-r] alias [alias...]
表12-26に、rmaliasコマンドの構文オプションを示します。
-rフラグにより、現行ディレクトリおよびその下のディレクトリ・ツリー全体のすべてのエイリアスを削除できます。エイリアスを削除するとユーザー作成のディレクトリが空になる場合は、それらのディレクトリも削除されます。システム生成のファイルおよびディレクトリは削除されません。
例
次に、rmaliasコマンドの例を示します。この例では、エイリアスsysaux.fを削除しますが、そのエイリアスが参照するデータファイルは保持します。