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Oracle® Automatic Storage Management管理者ガイド
11gリリース2 (11.2)
B61035-04
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1 Oracle自動ストレージ管理の概要

この章では、Oracle自動ストレージ管理(Oracle ASM)とOracle ASM機能の概要について説明します。この章の内容は次のとおりです。

『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』で使用される用語とその定義については、このマニュアルの「用語集」を参照してください。


関連項目:

Oracle ASMについては、Oracle Technology Network Webサイトhttp://www.oracle.com/technetwork/database/cloud-storage/index.htmlの「Oracle Cloud Storage」ページを参照してください。

Oracle自動ストレージ管理の概要

Oracle ASMは、Oracleデータベース・ファイルのボリューム・マネージャファイルシステムで、単一インスタンスOracle DatabaseおよびOracle Real Applications Clusters(Oracle RAC)構成をサポートします。Oracle ASMは、オラクル社推奨のストレージ管理ソリューションであり、従来のボリューム・マネージャ、ファイルシステムおよびRAWデバイスに代わるものです。

Oracle ASMでは、データファイルの格納にディスク・グループが使用されます。Oracle ASMディスク・グループとは、Oracle ASMで1つの単位として管理されるディスクの集合のことです。ディスク・グループ内では、Oracleデータベース・ファイルのファイルシステム・インタフェースが公開されます。ディスク・グループ内に保存されたファイルの内容は、均等に分散されるため、ホット・スポットがなくなり、ディスク間のパフォーマンスが均一になります。このパフォーマンスは、RAWデバイスのパフォーマンスにも匹敵します。

ディスク・グループに対してディスクの追加や削除を行う際、そのディスク・グループのファイルにアクセス中のデータベースがあっても、そのアクセスが妨げられることはありません。Oracle ASMは、ディスク・グループに対するディスクの追加や削除が行われる際、ファイルの内容を自動的に再分散します。再分散のための停止時間は発生しません。ディスク・グループ管理の詳細は、第4章「Oracle ASMディスク・グループの管理」を参照してください。

Oracle ASMのボリューム・マネージャ機能には、サーバーベースのフレキシブルなミラー化オプションが用意されています。標準冗長性と高冗長性のOracle ASMディスク・グループは、それぞれ双方向ミラー化と3方向ミラー化を可能にします。外部冗長性を使用すると、Redundant Array of Independent Disks(RAID)ストレージ・サブシステムでミラー化保護機能を実行できるようになります。

また、Oracle ASMではOracle Managed Files(OMF)機能を使用してデータベース・ファイル管理を簡略化しています。OMFでは、指定の場所にファイルが自動的に作成されます。さらに、ファイルの命名や削除に加え、表領域やファイルを削除する際の領域開放も自動化されます。

Oracle ASMは、データ記憶域を少数のディスク・グループに統合することで、データベース記憶域の管理にまつわるオーバーヘッドを低減します。より少ないディスク・グループで複数データベースのストレージを統合し、I/Oパフォーマンスを高めます。

Oracle ASMファイルは、他のストレージ管理オプション(RAWディスクやサード・パーティ製ファイルシステムなど)と共存させることができます。そのため、既存の環境へもシンプルなプロセスでOracle ASMを統合できます。

Oracle自動ストレージ管理クラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)は、マルチプラットフォームのスケーラブル・ファイルシステムであり、Oracle ASM機能を拡張して、Oracle Databaseの外部で保持されているカスタマ・ファイルをサポートするストレージ管理テクノロジです。Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)は、ボリューム管理サービスと、クライアントとの標準ディスク・デバイス・ドライバ・インタフェースを提供します。Oracle ACFSおよびOracle ADVMの詳細は、第5章「Oracle ACFSの概要」を参照してください。

Oracle Enterprise Managerには、Oracle ASM以外のデータベース・ファイルをOracle ASMに移行するためのウィザードが用意されています。またOracle ASMでは、SQL*Plus、Oracle ASMコマンドライン・ユーティリティ(ASMCMD)コマンドライン・インタフェース、Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント、Oracle Enterprise Managerなどの使いやすい管理インタフェースも使用できます。Oracle Enterprise Managerの使用の詳細は、第9章「Oracle Enterprise ManagerによるOracle ASMの管理」を参照してください。Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタントの詳細は、第11章「Oracle ASMコンフィギュレーション・アシスタント」を参照してください。ASMCMDコマンドライン・インタフェースの詳細は、第12章「Oracle ASMコマンドライン・ユーティリティ」を参照してください。


関連項目:

Oracle Databaseの構造およびストレージの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

Oracle ASMの概要の理解

この項では、Oracle ASMの主なコンポーネントの概要について説明します。内容は次のとおりです。

ストレージ環境の準備の詳細は、第2章「Oracle ASMストレージに関する考慮事項」を参照してください。

Oracle ASMインスタンスについて

Oracle ASMインスタンスは、Oracle Databaseインスタンスと同じテクノロジに基づいています。Oracle ASMインスタンスには、システム・グローバル領域(SGA)とOracle Databaseのプロセスに似たバックグラウンド・プロセスがあります。ただし、Oracle ASMが実行するタスクの量はデータベースよりも少ないため、Oracle ASMのSGAはデータベースのSGAよりもかなり少なくなっています。また、サーバーに対するパフォーマンスの影響も最小限に抑えられます。Oracle ASMインスタンスは、ディスク・グループをマウントすることによって、データベース・インスタンスからOracle ASMファイルを使用できるようにします。つまり、データベースをマウントするのではありません。Oracle ASMインスタンス管理の詳細は、第3章「Oracle ASMインスタンスの管理」を参照してください。

Oracle ASMがOracle Grid Infrastructureホームにインストールされてから、Oracle Databaseは別のOracleホームにインストールされます。Oracle ASMインスタンスとデータベース・インスタンスには、ディスク・グループのディスクへの共有アクセスが必要です。Oracle ASMインスタンスはディスク・グループのメタデータを管理して、ファイルのレイアウト情報をデータベース・インスタンスに提供します。

Oracle ASMメタデータは、Oracle ASMがディスク・グループの制御に使用する情報で、そのディスク・グループ内に存在するメタデータです。Oracle ASMメタデータには次の情報があります。

  • ディスク・グループに属しているディスク

  • ディスク・グループで使用可能な領域の量

  • ディスク・グループのファイルのファイル名

  • ディスク・グループのデータファイルのエクステントの場所

  • アトミックに変更するメタデータ・ブロックの情報を記録するREDOログ

  • Oracle ADVMボリューム情報

Oracle Clusterwareを使用してOracle ASMインスタンスをクラスタ化できます。クラスタ・ノードごとに1つのOracle ASMインスタンスがあります。同じノード上に異なるデータベースのデータベース・インスタンスが複数存在する場合は、そのノード上の同じ単一Oracle ASMインスタンスがデータベース・インスタンスによって共有されます。

ノードのOracle ASMインスタンスに障害が発生すると、そのノード上のすべてのデータベース・インスタンスでも障害が発生します。ファイルシステム・ドライバの障害とは異なり、Oracle ASMインスタンスの障害ではオペレーティング・システムを再起動する必要はありません。Oracle RAC環境の場合、ノードでOracle ASMインスタンスの障害が発生すると、残りのノード上のOracle ASMインスタンスとデータベース・インスタンスがその障害から自動的にリカバリします。

図1-1は、1つのOracle ASMインスタンスと複数のデータベース・インスタンスを使用した単一ノード構成を表しています。Oracle ASMインスタンスは、メタデータを管理し、Oracle ASMファイルの領域を割り当てます。データベース・インスタンスは、Oracle ASMファイルを作成またはオープンするときに、それらのリクエストをOracle ASMインスタンスに伝えます。それに応じて、Oracle ASMインスタンスはファイルのエクステント・マップ情報をデータベース・インスタンスに提供します。

図1-1に2つのディスク・グループがあります。1つのグループには4つのディスクがあり、もう1つのグループには2つのディスクがあります。データベースはどちらのディスク・グループにもアクセスできます。図1-1の構成は複数のデータベース・インスタンスを表していますが、複数のデータベース・インスタンスの要求に応えるのに必要なOracle ASMインスタンスは1つのみです。

図1-1 単一インスタンスOracle Databaseに対するOracle ASM

図1-1の説明が続きます
「図1-1 単一インスタンスOracle Databaseに対するOracle ASM」の説明

図1-2は、Oracle ASMがクラスタ化ストレージ・プールを提供するOracle RAC環境のOracle ASMクラスタを表しています。クラスタ内の複数のOracle RACデータベースまたは単一インスタンス・データベースに対応するOracle ASMインスタンスがノードごとに1つあります。データベースはすべて統合され、同じ2つのOracle ASMディスク・グループを共有します。

図1-2 Oracle RACを使用するOracle ASMクラスタ構成

図1-2の説明が続きます
「図1-2 Oracle RACを使用するOracle ASMクラスタ構成」の説明

図1-3に示すように、クラスタ化ストレージ・プールを複数の単一インスタンスOracle Databaseで共有できます。この場合、複数のデータベースが共通のディスク・グループを共有します。Oracle ASMストレージ・プールは、Oracle Clusterwareを使用して共有されます。ただし、このような環境でOracle RACライセンスは必要ありません。

複数のノード間でディスク・グループを共有するには、Oracle RACがノードにインストールされているかどうかにかかわらず、Oracle Clusterwareをすべてのノードにインストールする必要があります。別のノード上にあるOracle ASMインスタンスは、Oracle ASMクラスタの一部である必要はありません。ただし、Oracle ASMインスタンスがOracle ASMクラスタの一部ではない場合、相互に通信することはできません。Oracle ASMクラスタの一部ではない複数のノードではディスク・グループを共有できません。

図1-3 単一インスタンスOracle Databaseを使用するOracle ASMクラスタ

図1-3の説明が続きます
「図1-3 単一インスタンスOracle Databaseを使用するOracle ASMクラスタ」の説明

Oracle ASMディスク・グループについて

ディスク・グループは複数のディスクで構成され、Oracle ASMが管理する基本オブジェクトです。各ディスク・グループには、ディスク・グループ内の領域の管理に必要なメタデータが含まれています。ディスク・グループの構成要素は、ディスク、ファイルおよび割当て単位です。

ファイルは、ディスク・グループから割り当てられます。Oracle ASMファイルは、単一のディスク・グループ内に完全に含まれます。ただし、複数のデータベースに属するファイルがディスク・グループに含まれている場合や、複数のディスク・グループのファイルを単一のデータベースで使用する場合もあります。ほとんどのインストールでは、少数(通常は2つ)のディスク・グループしか必要とされず、3つより多くなることはめったにありません。ディスク・グループ管理の詳細は、第4章「Oracle ASMディスク・グループの管理」を参照してください。

ミラー化および障害グループについて

ミラー化を使用すると、複数のディスクにデータのコピーを保存することにより、データ整合性が保護されます。ディスク・グループを作成する場合、次に示す3つの冗長性レベルのいずれかに基づいてOracle ASMディスク・グループ・タイプを指定します。

  • 標準(双方向ミラー化の場合)

  • (3方向ミラー化の場合)

  • 外部(冗長性のためにハードウェアのRAIDを構成するなど、Oracle ASMのミラー化を使用しない場合)

冗長性レベルでは、ディスク・グループのディスマウントやデータの消失なしに許容されるディスク障害の数が制御されます。ディスク・グループ・タイプでは、Oracleがディスク・グループにファイルを作成するときに使用するミラー化レベルが決定されます。ディスク・グループのタイプおよびテンプレートの詳細は、「ディスク・グループ・テンプレートの管理」を参照してください。

Oracle ASMのミラー化は従来のRAIDのミラー化よりも柔軟性があります。冗長性がNORMALに指定されたディスク・グループに対し、各ファイルの冗長性レベルを指定できます。たとえば、ミラー化されている1つのファイルとミラー化されていないもう1つファイルで同じディスク・グループを共有できます。

Oracle ASMがミラー化されたファイルにエクステントを割り当てる場合、プライマリ・コピーとミラー・コピーが割り当てられます。プライマリ・コピー以外に、別の障害グループにミラー・コピーを格納するディスクが選択されます。障害グループは、データのミラー化コピーを配置するために使用され、これによって各コピーが別々の障害グループのディスク上に配置されます。ある障害グループのすべてのディスクで同時に障害が発生した場合でもデータは失われません。

ユーザーは、Oracle ASMディスク・グループの作成時にディスク・グループの障害グループを定義します。ディスク・グループの作成後は、ディスク・グループの冗長性レベルを変更できません。障害グループの指定を省略した場合は、各ディスクがそれぞれ固有の障害グループに自動的に配置されます。ただし、Oracle Exadataセル上のディスクを含むディスク・グループを除きます。通常の冗長性のディスク・グループには、少なくとも2つの障害グループが必要です。高い冗長性のディスク・グループには、少なくとも3つの障害グループが必要です。外部冗長性を備えたディスク・グループでは、障害グループは使用されません。

ミラー化および障害グループの詳細は、「ミラー化、冗長性および障害グループ・オプション」を参照してください。

Oracle ASMディスクについて

Oracle ASMディスクは、Oracle ASMディスク・グループにプロビジョニングされるストレージ・デバイスです。Oracle ASMディスクの例を次に示します。

  • ストレージ・アレイのディスクまたはパーティション

  • ディスク全体またはディスクのパーティション

  • 論理ボリューム

  • ネットワーク接続ファイル(NFS)

ディスク・グループにディスクを追加する場合、ユーザーがOracle ASMディスク名を割り当てることができます。または、Oracle ASMディスク名が自動的に割り当てられます。この名前は、オペレーティング・システムで使用されるパス名とは異なります。クラスタの場合、異なるノードではディスクに異なるオペレーティング・システムのデバイス名が割り当てられますが、ディスクのOracle ASMディスク名はすべてのノードで同じになります。クラスタでは、ディスク・グループを共有するすべてのインスタンスからOracle ASMディスクにアクセスできる必要があります。

ファイルは、ディスク・グループ内の全ディスクで均等に分散されます。この割当てパターンにより、すべてのディスクが同じ容量レベルで維持され、ディスク・グループ内の全ディスクのI/O負荷が同じになります。Oracle ASMの負荷はディスク・グループ内の全ディスク間で均等に分散されるため、異なるOracle ASMディスクが同じ物理ドライブを共有することはできません。

割当て単位

すべてのOracle ASMディスクは割当て単位(AU)に分割されます。割当て単位は、ディスク・グループ内の割当ての基本単位です。ファイル・エクステントは1つ以上の割当て単位から構成されます。Oracle ASMファイルは1つ以上のファイル・エクステントから構成されます。

ディスク・グループを作成する場合、Oracle ASMの割当て単位サイズはAU_SIZEディスク・グループ属性を使用して設定できます。特定のディスク・グループの互換性レベルに従って、値を1、2、4、8、16、32または64MBに設定できます。通常、AUサイズを大きくすると、大量の順次読取りを使用するデータ・ウェアハウス・アプリケーションのパフォーマンスが向上します。

ディスク・グループの割当て単位サイズの指定の詳細は、「割当て単位サイズの指定」を参照してください。ディスク・グループの互換性属性の詳細は、「ディスク・グループの互換性」を参照してください。

Oracle ASMファイルについて

Oracle ASMディスク・グループに格納されるファイルは、Oracle ASMファイルと呼ばれます。各Oracle ASMファイルは、単一のOracle ASMディスク・グループ内に含まれます。Oracle Databaseは、ファイルによってOracle ASMと通信します。これは、Oracle Databaseがファイルシステムでファイルを使用する場合と同じ方法です。Oracle ASMディスク・グループには、次のような様々なファイル・タイプを格納できます。

  • 制御ファイル

  • データファイル、一時データファイルおよびデータファイル・コピー

  • SPFILE

  • オンラインREDOログ、アーカイブ・ログおよびフラッシュバック・ログ

  • RMANバックアップ

  • 障害時リカバリ構成

  • 変更トラッキング・ビットマップ

  • データ・ポンプ・ダンプセット

Oracle ASMでは、ファイル作成および表領域作成の一環としてOracle ASMファイル名が自動的に生成されます。Oracle ASMファイル名はプラス記号(+)で始まり、その後にディスク・グループ名が続きます。ユーザーは、わかりやすいエイリアスをOracle ASMファイルに対して指定し、エイリアスの階層ディレクトリ構造を作成できます。

次の項では、Oracle ASMファイルの構成要素について説明します。

エクステント

Oracle ASMファイルの内容は、ディスク・グループ内の各ディスクに格納されているエクステントのセット(集合)としてディスク・グループに格納されます。各エクステントは、個々のディスク上にあります。エクステントは1つ以上の割当て単位(AU)から構成されます。次第に大きくなるファイルに対応するために、Oracle ASMでは可変サイズのエクステントが使用されます。

可変サイズのエクステントを使用すると、大きなOracle ASMデータファイルがサポートされ、大規模データベースに必要なSGAメモリーが少なくてすみます。また、ファイルの作成操作やオープン操作のパフォーマンスが向上します。最初のエクステント・サイズは、ディスク・グループの割当て単位サイズと同じです。事前定義のしきい値に基づき、4倍および16倍に増加します。特定のディスク・グループの互換性属性が11.1以上に設定されている場合、この機能は、新規作成およびサイズ変更されたデータファイルに対して自動的に実行されます。互換性属性の詳細は、「ディスク・グループの互換性」を参照してください。

ファイルのエクステント・サイズは、次のように変化します。

  • 最初の20000エクステント・セット(0から19999)のエクステント・サイズは、ディスク・グループのAUサイズと常に同じです。

  • 次の20000エクステント・セット(20000から39999)のエクステント・サイズは、4*AUサイズになります。

  • 次の20000エクステント・セット以上(40000から)のエクステント・サイズは、16*AUサイズになります。

図1-4は、Oracle ASMのファイル・エクステントと割当て単位との関係を表しています。最初の8つのエクステント(0から7)は、4つのOracle ASMディスクに分散され、そのAUサイズと同じです。最初の20000エクステント・セットが終わると、次の20000エクステント・セット(20000から39999)のエクステント・サイズは4*AUになります。太枠の長方形内に20000から20007のエクステント・セット番号が示されています。Oracle ASMのエクステントの次の増分は16*AUです(図1-4には示されていません)。

図1-4 ディスク・グループにおけるOracle ASMファイル割当て

図1-4の説明が続きます
「図1-4 ディスク・グループにおけるOracle ASMファイル割当て」の説明

Oracle ASMのストライプ化

Oracle ASMのストライプ化には主に次の2つの目的があります。

  • ディスク・グループ内の全ディスクで負荷を均等に分散します。

  • I/O待機時間を短縮します。

粗密なストライプ化ではディスク・グループのロード・バランシングが提供されますが、粒度の細かいファイングレイン・ストライプ化では、より広く負荷を分散させることによって特定のタイプのファイルに対する待機時間が短縮されます。

データをストライプ化するために、ファイルはストライプに分割され、データはディスク・グループ内の全ディスクで均等に分散されます。密なストライプのサイズはどの構成においても常に128KBです。これにより、小規模なI/O操作に対するI/O待機時間が短縮されます。粗密なストライプのサイズは(データ・エクステント・サイズではなく)AUサイズと常に同じです。

図1-5図1-6はOracle ASMのファイルのストライプ化の説明です。いずれの図でも、8つのディスクから構成されるディスク・グループに対し割当て単位サイズは1M(AU_SIZE = 1M)に設定されています。Oracle ASMインスタンスはリリース11.2で、ASMおよびRDBMSのディスク・グループの互換性属性が11.2に設定されているので、最初の20,000エクステントの後の可変エクステントは図に示すようになります。最初の20,000エクステントでは、エクステント・サイズは1Mで、1割当て単位(AU)と同じです。最初の20,000エクステントでは、エクステント・サイズは1Mで、1割当て単位(AU)と同じです。

ファイルのストライプ・チャンクを識別するために、チャンクはA..X(24文字)でラベル付けされ、すべてのチャンクが識別されるまで、A..Xの後に対しては別のフォントが使用されます。

図1-5では、ファイルは128Kチャンク(A..Xでラベル付け)でストライプ化され、128Kチャンクは1つのエクステントに格納されますが、これはディスク1の最初のエクステントから始まり、次にディスク2の最初のエクステント、さらには、ファイルがすべてストライプ化されるまで、すべてのディスクに対しラウンド・ロビン方式で続きます。この例に示すように、ストライプ化されたチャンクは各ディスクの最初のエクステントをまず埋め、次に各ディスクの2番目のエクステントというように、ファイルがすべてストライプ化されるまで続きます。

図1-5 Oracle ASMの密なストライプ化

図1-5の説明が続きます
「図1-5 Oracle ASMの密なストライプ化」の説明

図1-6では、ファイルは1Mチャンク(A..Xでラベル付け)でストライプ化され、1Mチャンクは1つのエクステントに一意的に格納されますが、これはディスク1の最初のエクステントから始まり、次にディスク2の最初のエクステント、さらには、ファイルがすべてストライプ化されるまで、すべてのディスクに対しラウンド・ロビン方式で続きます。最初の20,000エクステントでは、AUがエクステント・サイズ(1M)と同じ場合、ストライプはエクステント・サイズおよび割当て単位サイズと同じです。エクステントが複数の割当て単位から構成される場合、ファイルのストライプはエクステントのAUに格納されます。ストライプ化チャンクがすべてのディスクの最初のエクステントの割当て単位に格納されてから、次のエクステントへとストライプ化が続いていきます。

図1-6 Oracle ASMの粗密なストライプ化

図1-6の説明が続きます
「図1-6 Oracle ASMの粗密なストライプ化」の説明

ファイル・テンプレート

テンプレートは、Oracle ASMファイルの作成時にディスク・リージョン、ファイルのミラー化およびストライプ化属性を指定するための属性値の集合です。ファイルの作成時には、テンプレート名を含めることができ、またファイル・タイプではなく個々のファイルに基づいて必要な属性を割り当てることができます。

Oracleファイル・タイプごとにデフォルトのテンプレートが用意されていますが、固有の要件に合せてテンプレートをカスタマイズすることもできます。各ディスク・グループでは、デフォルトのテンプレートが各ファイル・タイプに関連付けられています。

Oracle ASMテンプレートの詳細は、「ディスク・グループ・テンプレートの管理」を参照してください。

Oracle ASMディスク・グループ管理の理解

この項では、Oracle ASMディスク・グループの管理について説明します。内容は次のとおりです。

ディスクの検出について

ディスク検出プロセスでは、Oracle ASMがアクセスできるディスクのオペレーティング・システム名を見つけます。ディスク検出では、マウントされるディスク・グループを構成するすべてのディスクを検出します。検出されたディスクのセットには、ディスク・グループに追加できるディスクも含まれます。

Oracle ASMインスタンスには、検出文字列を指定するASM_DISKSTRING初期化パラメータの値が必要です。Oracle ASMインスタンスでオープンすることが許可されているパス名のみが検出されます。検出文字列の厳密な構文は、プラットフォーム、ASMLibライブラリ、Oracle Exadataディスクの使用の有無によって異なります。オペレーティング・システムによって容認されるパス名は、常に検出文字列として使用できます。

ASM_DISKSTRING初期化パラメータの詳細は、「ASM_DISKSTRING」を参照してください。ディスク検出の詳細は、「Oracle ASMディスク検出」を参照してください。

ディスク・グループのマウントおよびディスマウントについて

データベース・インスタンスでディスク・グループ内のファイルにアクセスするには、ローカルOracle ASMインスタンスによってディスク・グループをマウントする必要があります。ディスク・グループをマウントするには、全ディスクを検出し、マウントされているディスク・グループのファイルを検索する必要があります。

ディスク・グループを明示的にディスマウントできます。任意のディスク・グループのファイルが開いているときに、forceオプションを使用せずにそのディスク・グループをディスマウントしようとすると、エラーが報告されます。Oracle ASM冗長性設定を超えると、ディスクに障害が生じる可能性があります。この問題が発生した場合は、ディスク・グループが強制的にディスマウントされます。ディスク・グループが強制的にディスマウントされると、データベースはディスク・グループ内のファイルにアクセスできません。

ディスク・グループの詳細は、「ディスク・グループのマウントおよびディスマウント」を参照してください。

ディスクの追加と削除について

ディスクを既存のディスク・グループに追加すると、領域を増やしてスループットを改善することができます。指定された検出文字列により、追加できるディスクが特定されます。追加するディスクは、ASM_DISKSTRING初期化パラメータを使用してすべてのOracle ASMインスタンスによって検出される必要があります。ディスクを追加すると、Oracle ASMのリバランス操作によってデータが新しいディスクに移動します。リバランスI/Oを最小限にするには、複数のディスクを同時に追加するのがより効率的です。

ディスクに障害が発生した場合や、容量の用途を再設定する場合、ディスク・グループからディスクを削除できます。ディスクを削除するには、検出文字列のデバイス名ではなくOracle ASMディスク名を使用します。ディスクへの書込み中にエラーが発生すると、ディスクはOracle ASMによって自動的に削除されます。

ディスク・グループのメンバーシップの変更の詳細は、「ディスク・グループの変更」を参照してください。

オンライン・ストレージの再構成および動的リバランスについて

ディスク・グループのリバランスによってデータがディスク間で移動し、すべてのファイルがディスク・グループ内の全ディスクで均等に分散されます。すべてのファイルが均等に分散されると、全ディスクが同じ割合で均等に埋められます。これにより、ロード・バランシングが保証されます。リバランスではI/O統計に基づいてデータが再配置されることはなく、I/O統計に基づいてリバランスが開始されることもありません。Oracle ASMのリバランス操作は、ディスク・グループのディスクのサイズによって制御されます。

Oracle ASMは、ディスクの追加、削除またはサイズ変更などのストレージ構成の変更後にリバランスを自動的に開始します。指数設定パラメータにより、リバランス操作が行われる速度が決まります。

リバランスを手動で開始して、実行するリバランスの指数設定を変更できます。リバランスを実行しているインスタンスが停止すると、リバランスは自動的に再開されます。データベースはリバランス操作中も動作可能です。

POWER_LIMIT初期化パラメータの設定により、データベースのパフォーマンスに対する影響を最小限に抑えることができます。指数制限の設定値の詳細は、「ASM_POWER_LIMIT」を参照してください。ディスク・リバランスの詳細は、「ディスク・グループの手動リバランス」を参照してください。