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Oracle® Automatic Storage Management管理者ガイド
11gリリース2 (11.2)
B61035-04
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2 Oracle ASMストレージに関する考慮事項

この章では、Oracle自動ストレージ管理(Oracle ASM)の構成前にストレージ・サブシステムに関して考慮すべき事柄について説明します。Oracle ASMの使用目的でストレージを準備する場合は、まずシステムのストレージ・オプションを決定し、次に特定のオペレーティング・システム環境に対してディスク・ストレージを準備する必要があります。

システムのストレージを構成する場合、システムの初期容量および今後の増加に対応した計画を検討する必要があります。Oracle ASMによって増加に対応する作業が容易になります。ただし、増加計画はOracle ASMディスクのサイズなどの選択に影響を与える可能性があります。また、I/Oパフォーマンスがストレージ・ディスクだけでなく、ストレージとホスト間のインターコネクトに依存するかどうかも検討する必要があります。クラスタ内のノードの数を増やすにつれて、ストレージ・サブシステムも拡張する必要があります。

この章の内容は次のとおりです。

ディスク・グループ用のストレージ・リソース

Oracle ASMディスク・グループは、次のいずれかのストレージ・リソースを使用して作成できます。


注意:

  • Oracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)ボリュームおよびOracle自動ストレージ管理クラスタ・ファイルシステム(Oracle ACFS)ファイルシステムは、NFSまたは共通インターネット・ファイルシステム(CIFS)ファイルから作成されたディスク・グループでは、現在サポートされていません。ただし、Oracle ACFSファイルシステムを、NFSまたはCIFSファイルシステムとしてネットワーク・クライアントにエクスポートすることはできます。

  • Oracle ACFSファイルを介したループバック・ファイルシステムのマウントはサポートされていません。

  • ブロック・デバイスおよびRAWデバイスは、Oracle Universal Installer(OUI)およびDatabase Configuration Assistant(DBCA)ではサポートされていません。ただし、手動でブロック・デバイスおよびRAWデバイスを構成することはサポートされますが、お薦めしません。


Oracle ASM用のストレージ・リソースを準備する手順は次のとおりです。

  1. Oracle ASMディスク・グループの作成に使用できるすべてのストレージ・リソース・デバイス名を識別して、Oracle ASM用のストレージ・デバイスを識別または作成します。たとえば、通常、ASMLibを使用しないLinuxシステムでは、デバイス名は/devディレクトリから提供され、その名前構文は/dev/device_name_identifierとなります。

  2. ストレージ・デバイス・リソースの所有権とアクセス権を変更します。

    たとえば、Linuxシステムでは次のようにする必要があります。

    • デバイスのユーザーおよびグループ所有権をgrid:asmadminなどに変更します。

      Oracle ASMの権限の詳細は、「Oracle ASMの権限について」を参照してください。

    • デバイスのアクセス権を読取り/書込みに変更します。


    注意:

    所有権および権限の設定を持続させるには、ASMLibまたはudevを使用してシステムを再起動するときにディスクがroot所有権を元に戻さないことを確認します。

Oracle ASMを構成したら、ASM_DISKSTRING初期化パラメータを設定して、ディスク検出が正しく構成されていることを確認します。ASM_DISKSTRINGパラメータの詳細は、「ASM_DISKSTRING」を参照してください。


注意:

所有権のoracle:dbaへの設定は、デフォルト設定の一例です。デフォルト以外のインストールでは異なる設定が必要になる場合があります。通常、ディスク・デバイスの所有者はOracleバイナリ・ソフトウェアの所有者と同じにします。グループの所有権は、Oracle ASMインスタンスのOSDBAにします。これはインストール時に定義されます。Oracle ASMの権限の詳細は、「Oracle ASMの権限について」を参照してください。

Oracle ASMインストール用のディスク準備の詳細は、Oracle Database、Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Cluster(Oracle RAC)のプラットフォーム固有のインストレーション・ガイドを参照してください。


関連項目:

Oracle Exadataストレージの準備の詳細は、Oracle Exadataのドキュメントを参照してください。

Oracle ASMとマルチパス化

マルチパス化ソリューションは、冗長な物理パス・コンポーネントを使用することでフェイルオーバーを提供します。これらのコンポーネントとして、サーバーとストレージ・サブシステムの間に存在するアダプタ、ケーブルおよびスイッチなどがあります。これらのコンポーネントの1つ以上に障害が発生した場合、アプリケーションは引き続きデータにアクセスできるため、ストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)、ホスト・バス・アダプタ、インタフェース・ケーブル、またはマルチポート・ストレージ・アレイ上のホスト・ポートでのシングル・ポイント障害はなくなります。

マルチパス化は、オペレーティング・システムのデバイス・ドライバ・レベルで実装されるソフトウェア・テクノロジです。マルチパス化では疑似デバイスが作成され、使用可能なすべてのI/Oパスの間でI/O操作を共有し、それらの操作のバランスを取ることが容易になります。また、使用可能なすべてのパスにI/O負荷を分散させることでシステムのパフォーマンスも向上するので、自動フェイルオーバーやフェイルバックによる、より高いレベルのデータ可用性が提供されます。

Oracle ASMはマルチパス化機能を備えた設計になっていませんが、マルチパス化テクノロジとともに機能します。マルチパス化テクノロジは、数多くのソースから利用できます。ストレージ・ベンダーは固有のストレージ製品に対応したマルチパス化製品を提供しており、ソフトウェア・ベンダーは通常、複数のサーバー・プラットフォームとストレージ製品に対応したマルチパス化製品を開発しています。


関連項目:

特定のプラットフォームおよびストレージ製品のマルチパス化オプションの詳細は、ストレージまたはソフトウェア・ベンダーのマルチパス化のドキュメントを参照してください。

Oracle ASMでは、ASM_DISKSTRING初期化パラメータの値を、マルチパス・ディスクを表す疑似デバイスと一致するパターンに設定することにより、マルチパス・ディスクを確実に検出できます。I/Oが疑似デバイスへ送られると、マルチパス・ドライバはそれを検出し、基礎となるサブパスにロード・バランシングを提供します。

Oracle ASMで同じディスク・デバイスに対して複数のパスが検出されると、エラーが発生します。マルチパス構成では単一のディスクが複数回現れる可能性があるため、マルチパス・ディスクのみを検出するようにOracle ASMを構成する必要があります。

Linux上でOracle ASMとともにASMLibを使用する場合は、マルチパス・ディスクを最初にスキャンするようにOracle ASMを構成するか、またはスキャン時にシングルパス・ディスクを除外するようにOracle ASMを構成することにより、マルチパス・ディスクを確実に検出できます。

ディスク検出の詳細は、「Oracle ASMディスク検出」を参照してください。


関連項目:

  • Oracle ASMおよびマルチパス化の詳細は、My Oracle Support(https://support.oracle.com)の「Article」を参照してください。

  • システムのマルチパス化の構成については、プラットフォーム別のインストレーション・ガイドを参照してください。


ストレージ準備の推奨事項

Oracle ASMで使用するストレージを準備する際のガイドラインを次に示します。