この章の内容は次のとおりです。
この章の情報は、このマニュアルが作成された時点では正確でした。 最新の動作保証情報は、『Oracle Fusion Middlewareインストレーション・プランニング・ガイド』のシステム要件および前提条件に関する項に掲載されているリソースを参照してください。
多くのOracle Fusion Middlewareコンポーネントは、必要なコンポーネント・スキーマの格納に使用するデータベースを必要とします。 Oracle Fusion Middlewareのデータベース要件、およびデータベースのアップグレードの手順については、必要に応じて第6章「データベースのアップグレードおよび準備」を参照してください。
次の項では、使用しているOracle Application ServerソフトウェアをOracle Fusion Middleware 11g にアップグレードする際に考慮する必要のある相互運用性の問題のタイプについて説明します。
Oracle Application Server 10g 環境をOracle Fusion Middleware 11g にアップグレードする場合は、環境内の領域を1度に1つずつ更新する可能性が高いと考えられます。
たとえば、Oracle SOA Suiteの新機能をサポートするために、1つの部門または組織の中間層をOracle Fusion Middleware 11g にアップグレードする場合があります。 同時に、会社全体のOracle Identity Managementコンポーネントについては、Oracle Application Server 10g のまま残す場合もあります。
Oracle Fusion Middleware 11g スイートとOracle Application Server 10g で使用可能な同等のインストール・タイプとの相互運用性については、4.4項「Oracle Fusion Middlewareアップグレードの互換性マトリックスの使用方法」を参照してください。
Oracle Application Server環境からOracle Fusion Middleware 11g にアップグレードする際は、特定のソフトウェア・スイート内で発生する可能性のある相互運用性の問題についても検討する必要があります。
ほとんどの場合、これらの相互運用性に関する問題は一時的なものであり、アップグレード・プロセス中にのみ発生します。 ソフトウェア・スイートをアップグレードする全手順を完了すると、問題は解決されます。 ただし、アップグレード計画に影響する可能性があるため、依然としてこれらの問題には注意する必要があります。
表4-1に、アップグレード計画に影響する可能性のある、スイート間の相互運用性の問題について具体的な例を示します。
表4-1 特定のOracle Fusion Middlewareソフトウェア・スイートをアップグレードする際の相互運用性に関する考慮事項
次の項では、一般的なアップグレードに関する相互運用性および互換性の問題の判別に使用できるOracle Fusion Middleware互換性マトリックスについて説明します。
Oracle Fusion Middleware互換性マトリックスは、Oracle Fusion Middleware 11g へのアップグレードを計画する場合に役立ちます。
たとえば、10g(10.1.4)Identity ManagementインスタンスをOracle Fusion Middleware 11g にアップグレードする場合は、互換性マトリックスを次のように使用できます。
Oracle Identity Management 11g を表す列を表4-2で特定します。
Oracle Application Server 10g で現在実行しているOracleホームのタイプを表す行を特定します。
たとえば、10g リリース2(10.1.2)のOracleホームでOracle Portalを実行している場合は、表の10g Portal、Forms、ReportsおよびDiscovererの行を特定します。
その行の11g Identity Management列には、Oracle PortalのOracle Identity Management 11g との使用について、4.4.4項「アップグレード時のOracle Identity Managementの相互運用性」を参照するように示されています。
表4-2に、Oracle Fusion Middleware 11g 互換性マトリックスを示します。
表4-2 Oracle Fusion Middleware 11g 互換性マトリックス
| Identity Management 11g リリース1(11.1.1) | Portal、Forms、ReportsおよびDiscoverer 11g リリース1(11.1.1) | SOA、WebCenterおよびADF 11g リリース1(11.1.1) | Java EEアプリケーション・デプロイメント11g リリース1(11.1.1) | Oracle HTTP ServerおよびOracle Web Cache(Web層)11g リリース1(11.1.1) | |
|---|---|---|---|---|---|
|
10g Identity Management |
『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementアップグレード・ガイド』を参照してください。 |
サポートされている。 |
サポートされている。 |
サポートされている。 |
サポートされていない。 |
|
10g Portal、Forms、ReportsおよびDiscoverer |
『Oracle Fusion Middleware Oracle Portal, Forms, Reports and Discovererアップグレード・ガイド』を参照してください。 |
N/A |
N/A |
サポートされていない。 |
|
|
10g SOA、WebCenterおよびADF |
サポートされている。 |
N/A |
『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite, WebCenterおよびADFアップグレード・ガイド』を参照してください。 |
N/A |
サポートされていない。 |
|
10g Java EEアプリケーション・デプロイメント |
サポートされている。 |
N/A |
N/A |
『Oracle Fusion Middleware Java EEアップグレード・ガイド』を参照してください。 |
サポートされていない。 |
|
10g Oracle HTTP ServerおよびOracle Web Cache |
『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementアップグレード・ガイド』を参照してください。 |
サポートされていない。 |
N/A |
互換性マトリックス(表4-2)を使用する場合は、次のいずれかのサポート・レベルに定義されます。
サポートされている: これら2つのコンポーネントを使用することで発生する既知の問題は存在しないことを意味します。
たとえば、SOA、WebCenterおよびADFのアプリケーションは、Oracle Application Server 10g のIdentity Managementコンポーネントで制限なく使用できます。 同様に、新しい11g SOA、WebCenterまたはADFの環境を、既存の10g Identity Managementインストールと関連付けることができます。
サポートされていない: Oracleはこれら2つのインストールの相互運用性をサポートしていないことを意味します。
たとえば、Web層(Oracle HTTP ServerまたはOracle Web Cache)をアップグレードする場合は、Web層によるリクエストのルーティング先であるOracle Fusion Middlewareコンポーネントをアップグレードする必要があります。
特定のアップグレード・ガイドまたは項の参照指示: この参照指示は、Oracle Fusion Middleware 11g へのアップグレード時に考慮する必要のある互換性の要件や問題について、個々のアップグレード・ガイドが詳細情報を提供している場合に示されます。
たとえば、Oracle Application Server 10g Identity ManagementコンポーネントとIdentity Management 11g コンポーネントとの相互運用性の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementアップグレード・ガイド』を参照します。
N/A: 該当なし。
たとえば、通常、カスタムJava EEアプリケーションとOracle Portal、Forms、ReportsおよびDiscovererインストールの間には、通信あるいは相互作用は存在しません。
次の項では、Oracle HTTP Server 10g およびOracle HTTP Server 11g のアップグレードに関する相互運用性および制限事項について説明します。
Oracle Application Server 10g リリース2(10.1.2)および10g リリース3(10.1.3)では、Oracle HTTP Serverの2つの異なるバージョンが使用可能でした。
統合されたOracle HTTP Server。このOracle HTTP Serverは、Oracle Universal Installerによって10g リリース2(10.1.2)および10g リリース3(10.1.3)のコンポーネントとともに自動的にインストールされ、構成されていました。 Oracle HTTP Serverのこの統合されたバージョンは、Apache 1.3をベースとしています。
個別にインストールされたスタンドアロンのOracle HTTP Server。このOracle HTTP Serverは、10g リリース2(10.1.2)および10g リリース3(10.1.3)のCompanion CD-ROMで提供されていました。 Oracle HTTP Serverのこのスタンドアロン・バージョンは、Apache 2.0をベースとしています。
統合されたOracle HTTP ServerとスタンドアロンのOracle HTTP Serverには、相互運用性と制限事項で異なる点があります。
10g リリース2(10.1.2)および10g リリース3(10.1.3)向けの統合されたOracle HTTP ServerはApache 1.3をベースとしており、現在はOracle Fusion Middleware 11g のOracle WebLogic Serverとの使用は保証されていません。
したがって、統合されたOracle HTTP Serverは、Oracle WebLogic Server 11g にリクエストをルーティングするように構成できません。
スタンドアロンのOracle HTTP ServerはApache 2.0をベースとしているため、Oracle WebLogic Server 11g との使用が保証されています。
したがって、Apache 2.0用の同じ手順に従うことで、Oracle WebLogic ServerにリクエストをルーティングするようスタンドアロンのOracle HTTP Serverを構成できます。
詳細は、『Oracle Fusion Middleware Using Web Server Plug-Ins with Oracle WebLogic Server』を参照してください。
Oracle Application Server 10g リリース2(10.1.2)のコンポーネントには、特定のOracle Identity Management 10g コンポーネントに依存するものがあります。 そのため、Oracle Identity ManagementまたはOracle Portal、Forms、ReportsおよびDiscovererをOracle Fusion Middleware 11g にアップグレードする場合は、次の点を考慮する必要があります。
Oracle Portal、Forms、ReportsおよびDiscovererの中間層コンポーネントを11g にアップグレードしてから、関連するOracle Identity Managementコンポーネントをアップグレードする場合、相互運用性に関する既知の制限事項はありません。
Oracle Identity Managementコンポーネントを11g にアップグレードしてから、Oracle Portal、Forms、ReportsおよびDiscovererコンポーネントをアップグレードする場合は、Oracle Identity Management 10g コンポーネントが同じ場所に配置されたOracleホーム内にあるときのみ、考慮すべき制限事項が存在します。
同じ場所に配置されたOracle Identity Management 10g のOracleホームには、Oracle Identity Management 10g の主要なコンポーネントの全4種類(Oracle Internet Directory、Oracle Directory Integration Platform、Oracle Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Services)が含まれています。 ただし、Oracle Internet DirectoryおよびOracle Directory Integration Platformのみを11g にアップグレードできます。
したがって、Oracle Internet DirectoryおよびOracle Directory Integration Platformを新しい11g Oracleインスタンスにアップグレードした後は、10g のOracleホームにあるOracle Internet DirectoryとOracle Directory Integration Platformのインスタンスを破棄する必要があります。
Oracle Internet DirectoryおよびOracle Directory Integration Platformのアップグレード後に必要なタスクの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementアップグレード・ガイド』のOracle Internet Directory環境のアップグレードに関する項を参照してください。
一般に、Oracleは、Oracle Fusion Middleware 11g へのアップグレードを開始する前に、最新のOracle Application Server 10g パッチ・セットが実行されていることを前提としています。
また、アップグレード・プロセスの開始前に、Oracle Application Server 10g コンポーネントに追加のソフトウェア・パッチを適用することが必要な場合もあります。 これらのパッチは、Oracle Application Server 10g 環境をOracle Fusion Middleware 11g にアップグレードする際に発生する可能性のある、特定の相互運用性の問題に対応するよう設計されています。
たとえば、次のようになります。
Oracle B2Bスキーマを10g から11gへアップグレードする際の準備としてOracle B2Bデータをエクスポートする前に、そのOracle B2B環境にパッチを適用する必要があります。
Oracle Business Activity Monitoringスキーマを11g へアップグレードする前に、Oracle BAM 10g スキーマを含むデータベースにパッチを適用する必要があります。
Oracle Application Server 10g 環境で引き続き実行中のOracle BPEL Process Managerクライアント・アプリケーションでOracle BPEL Process Manager 11g のプロセスを起動するには、そのOracle Application Server 10g のOracleホームにパッチ・セットを適用する必要があります。
アップグレード中に発生する特定の相互運用性および互換性に関する問題に対応するために必要なパッチ・セットの詳細は、Oracle Fusion Middlewareのリリース・ノートを参照してください。 各リリースのリリース・ノートは、次のURLのOracle Technology Network(OTN)で提供されています。
http://www.oracle.com/technology/documentation/