この章の内容は次のとおりです。
この項では、Upgrade Assistantを使用してOracle Fusion Middleware 11g にアップグレードする際に発生した問題を解決する方法について説明します。この項の内容は次のとおりです。
Upgrade Assistantの実行時にエラーが発生した場合は、次の手順を実行して問題のトラブルシューティングを行ってください。
Upgrade Assistantログ・ファイルを検索し、テキスト・エディタで開きます。
ログ・ファイルの場所については、B.1.3項「ログ・ファイルの確認」を参照してください。
『Oracle Fusion Middleware Error Messages Reference』でそのエラーを参照します。
『Oracle Fusion Middleware Error Messages Reference』のエラーについての説明には、エラーの原因およびそのエラーを解決するために実行する必要がある処置についての説明が含まれています。
エラー・メッセージおよびエラー・メッセージの説明を検索できるかどうかに応じて、次の操作を実行します。
ログ・ファイルおよび『Oracle Fusion Middleware Error Messages Reference』を確認することによってアップグレード時に発生した障害の解決方法を識別できる場合は、その解決方法を実行した後、Upgrade Assistantを再起動し、アップグレードを再度実行します。
Upgrade Assistantを再実行しても、前回のアップグレード時に正常にアップグレードされたコンポーネントは影響を受けません。 ただし、前回ユーティリティを実行した際に正常にアップグレードされなかったコンポーネントに対しては、Upgrade Assistantによってアップグレードが試行されます。
説明されていないエラーまたはエラーの後に説明されている処置によって解決できないエラーについては、Oracleサポート・サービスに連絡してください。一部のエラーでは、バックアップからリポジトリをリストアし、問題を解決してアップグレードを再実行する必要があります。
Upgrade Assistantの実行時にエラーが発生した場合は、それらの原因となる状況を修正してから、アップグレードを再試行する必要があります。 次の項では、Upgrade Assistantのエラーを解決する場合のガイドラインについて説明します。
ソースOracleホームがOracleホームのドロップダウン・リストに予測どおりに表示されない場合は、インストール・タイプが誤っているか、Oracleホームが異なるコンピュータに存在しているか、またはOracleホームがOracle製品のインベントリで識別されていないという状況のいずれかが発生していると考えられます。これらの状況の解決方法をそれぞれ次に示します。
インストール・タイプが誤っている ソース中間層のインストール・タイプと宛先中間層インスタンスのインストール・タイプに互換性がない場合、ソースOracleホームは表示されません。
Oracleホームが別々のコンピュータに存在している ソース中間層が選択肢として表示されないもう1つの例としては、ソース中間層インスタンスが宛先中間層インスタンスとは別のコンピュータにインストールされている場合があります。この場合は、アップグレードするソース・インスタンスと同じコンピュータに宛先中間層インスタンスをインストールする必要があります。
OracleホームがOracleインベントリで識別されていない Upgrade Assistantでは、Oracleインベントリのコンテンツの分析によって、システム上のOracle Application Server Oracleホームが検索されます。
Oracleソフトウェア製品をホスト・コンピュータにインストールするたびに、Oracle Universal Installerによってハード・ディスクにソフトウェアのインストールに関する情報が保存されます。このソフトウェア構成情報が含まれているディレクトリおよびファイルは、Oracle Universal Installerインベントリと呼ばれます。インベントリに特定のインストールが表示されない場合もあります。この場合は、インベントリ・ディレクトリが削除または破損されたか、あるいは複数のインベントリがコンピュータにインストールされている可能性があります。 UNIXシステムでこの問題を解決するには、B.1.7項「Oracle Universal Installerで複数のインベントリの場所を使用している場合のUNIXシステムでのUpgrade Assistantの起動」を参照してください。
このエラーは、Oracle HTTP Serverのインスタンスが含まれていないOracle Application Server 10g リリース3(10.1.3.1.0)基本インストールのアップグレードを試行するときに発生する可能性があります。この場合、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantで自動的にアップグレード可能なコンポーネントはありません。
Upgrade Assistantを使用してコンポーネント・スキーマをアップグレードするときに、データベースへの接続障害が発生した場合、SQL*Plusなどの別のツールを使用して、データベースへの接続を試行してください。 これにより、データベースが稼働中でネットワークから使用できることを検証することで、問題のトラブルシューティングが可能になります。
Upgrade Assistantでは、アップグレードのトラブルシューティング、検証または分析に使用可能な一連のログ・ファイルが生成されます。
Upgrade Assistantログ・ファイルは、次のディレクトリに格納されます。ファイルの名前には、Upgrade Assistantセッションの日付と名前が含まれます。
Windowsシステムの場合:
DESTINATION_ORACLE_HOME\upgrade\logs\
UNIXシステムの場合:
DESTINATION_ORACLE_HOME/upgrade/logs/
OracleAS Upgrade Assistantダイアログ・ボックスまたはコマンドライン出力内の障害が発生したコンポーネントの名前を書き留めます。
Upgrade Assistantログ・ファイルを開きます。
ログ・ファイルの場所については、B.1.3項「ログ・ファイルの確認」を参照してください。
ログ・ファイルで、Starting to examine component_nameというメッセージを検索します。
Upgradeログ・ファイル内の特定のエラー・メッセージについては、『Oracle Fusion Middleware Error Messages Reference』を参照してください。
アップグレード時の障害の原因を判別するには、次の手順を実行します。
OracleAS Upgrade Assistantダイアログ・ボックスまたはコマンドライン出力内の障害が発生したコンポーネントの名前を書き留めます。
Upgradeログ・ファイルを開きます。
ログ・ファイルの場所については、B.1.3項「ログ・ファイルの確認」を参照してください。
Starting to upgrade component_nameというメッセージを検索します。
Upgradeログ・ファイル内の特定のエラー・メッセージについては、『Oracle Fusion Middleware Error Messages Reference』を参照してください。
中間層をアップグレードする場合、Upgrade Assistantは、Oracleホームの一部または完全な処理後に再起動できます。次の手順を実行します。
Upgrade AssistantをGUIモードまたはコマンドラインモードで起動します。
OracleAS Upgrade Assistantによって、前回のアップグレードが正常に実行されたかどうかを説明するメッセージが表示されます。
前回のアップグレードが完了しなかった場合、ダイアログ・ボックスを閉じる(GUIバージョン)か、またはYesと入力(コマンドライン・バージョン)してアップグレードを続行します。
UNIXシステムの場合、Oracle製品をインストールすると、Oracle Universal Installerによってインベントリ・ロケーション・ファイル/etc/oraInst.locが作成されます。このファイルには、Oracle Universal Installerディレクトリの場所(フルパス)およびOracle Universal Installerをインストールしたユーザーのグループ名が含まれています。
Upgrade Assistantは、このディレクトリの情報(デフォルトのインベントリ)によって有効なソースOracleホームの場所を特定します。Oracleホームを別々に管理できるように、インストール後に追加のインベントリ・ファイルが作成される場合があります(これによって、1つのインベントリ内のすべてのOracleホームを追跡する必要がなくなります)。
アップグレードを実行するコンピュータに複数のインベントリ・ロケーション・ファイルが存在する場合にデフォルト以外のインベントリの場所を選択するには、-invPtrloc引数を指定してUpgrade Assistantを起動し、アップグレードに関連するOracleホームにインベントリ・ロケーション・ファイルを指定する必要があります。
たとえば、Oracle Application Server 10g OracleホームとOracle Fusion Middleware 11g Oracleホームが異なるインベントリにインストールされている場合は、両方のインベントリをUpgrade Assistantコマンドラインで指定する必要があります。
Oracleインベントリの詳細は、次に示すOracle Technology Network(OTN)のOracle Databaseドキュメント・ライブラリの『Oracle Universal InstallerおよびOPatchユーザーズ・ガイド』を参照してください。
http://www.oracle.com/technology/documentation/
複数のインベントリの場所がある場合に、Upgrade Assistantを起動する構文を次に示します。
グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)・バージョン
ua [[-invPtrloc inventory_location_file]...]
たとえば、次のようになります。
ua -invptrloc /du03/oracle_inventory1/orainst.loc -invPtrloc /etc/orainst.loc
コマンドライン・バージョン:
ua -sourcehome SOURCE_ORACLE_HOME [[-invPtrloc inventory_location_file]...] [-verbose] [-noprompt]
たとえば、次のようになります。
ua -sourcehome /du03/oracle/appserver1/ -invPtrloc /du03/oracle_inventory1/orainst.loc -invptrloc /etc/orainst.loc -verbose -noprompt
次の項では、特定のOracle Fusion Middlewareコンポーネントまたはスイートのアップグレード時のトラブルシューティングについて説明します。
Oracle BAMスキーマのアップグレードがなんらかの理由で中断された場合は、アップグレード手順を再試行する前に、リカバリ手順を実行する必要がある場合があります。
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注意: Oracle Business Activity Monitoring(BAM)スキーマをアップグレードする手順については、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite, WebCenterおよびADFアップグレード・ガイド』を参照してください。 |
Oracle BAMスキーマのアップグレード時に、Upgrade Assistantは、ソース・データベースからOracle BAMスキーマをエクスポートし、Oracle Fusion Middleware 11g スキーマを格納するデータベースにインポートするなど、自動的に複数のタスクを実行します。 Upgrade Assistantは、Oracle Data Pumpを使用してエクスポート操作およびインポート操作を実行します。
Oracle BAMスキーマのアップグレードが中断された場合(アップグレード中にUpgrade Assistantを終了した場合やデータベースが停止した場合など)、次の手順を使用してアップグレードの中断からリカバリできます。
Oracle BAM 11g スキーマを格納するデータベースに接続します。
Upgrade Assistantからデータベースに接続したときに使用したのと同じデータベース・ユーザーおよびパスワードを使用します。
たとえば、次のようになります。
connect sys/mypassword as sysdba
次のSQLコマンドを入力して、いずれかのOracle Data Pumpジョブが実行されているかどうかを確認します。
SELECT * FROM DBA_DATAPUMP_JOBS;
いずれかのOracle Data Pumpジョブが実行されている場合は、ジョブが完了するまで待ってから次の手順に進みます。
次のSQLコマンドを入力して、エクスポート・プロセスで作成された特定のデータベースを削除します。
DROP TABLE ORACLEBAM1013_EXPORT;
表が存在すると、アップグレード手順が正常に実行されないため、アップグレードを再試行できません。
Upgrade Assistantを再度実行し、Oracle BAMのアップグレードを再試行します。
Upgrade Assistantを使用してOracle BAMをアップグレードする場合、Upgrade AssistantはMorpheusコマンドライン・ユーティリティを使用して、11g スキーマのアップグレードや変換のレポートを行います。これにより、アップグレードされた10g スキーマをOracle BAM 11gで使用できるようになります。
Morpheusコマンドライン・ユーティリティは、Oracle SOA Suite 11g Oracleホームの次のフォルダに格納されています。
BAMのアップグレードでMorpheusユーティリティが実行されると、Morpheusに関連するすべてのログ・メッセージが、.outファイル拡張子で識別されるアップグレード出力ログ・ファイルに記録され、ORACLE_HOME/upgrade/logsフォルダに格納されます。
次の構成ファイルを変更することで、アップグレード・ログ・レベルが構成できます。
ORACLE_HOME/bam/bin/morpheus.logging.properties