この章では、高可用性環境でのOracle Virtual Directoryのアップグレード方法について説明します。
アップグレード手順は、ドメインに登録しているかどうかと、登録しているドメインの場所によってわずかに異なります。詳細は、次の項を参照してください。
ローカルOracle WebLogic Serverドメインを使用する場合のOracle Virtual Directoryのアップグレード
リモートOracle WebLogic Serverドメインを使用する場合またはドメインを使用しない場合のOracle Virtual Directoryのアップグレード
この章の手順を行う前に、次の点に注意してください。
アクティブ/アクティブOracle Virtual Directoryアップグレードに関する前提事項
この章では、アクティブ/アクティブ高可用性環境でのOracle Virtual Directoryのアップグレード方法について説明します。
このタイプの高可用性環境では、2つの個別のホストでOracle Virtual Directoryをアップグレードします。この例では、2つのホストをIDMHOST1およびIDMHOST2とします。
ここに示す手順では、Oracle Virtual DirectoryがOracle Application Server 10gトポロジでアップグレードされる唯一のコンポーネントであること、Oracle Virtual Directory 10gインスタンスとOracle Virtual Directory 11gインスタンスが同じホスト上にあることを前提としています。
Oracle WebLogic Serverドメインを使用する場合および使用しない場合のOracle Virtual Directoryのアップグレード
Oracle Fusion Middleware 11gでは、Oracle Virtual DirectoryをOracle WebLogic Serverドメインにオプションで登録できます。ただし、Oracle Virtual DirectoryをOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlで管理する場合、Oracle Virtual Directoryインスタンスをドメインに登録しておく必要があります。
さらに、Oracle Virtual Directoryを、ローカルまたはリモートOracle WebLogic Serverドメインに登録できます。登録は、アップグレード時またはアップグレード後の手順として実行できます。
次の手順では、Oracle Virtual Directoryのインストールおよびアップグレード・プロセスの一環として新しいローカルOracle WebLogic Serverドメインを作成する場合に、高可用性環境でOracle Virtual Directoryをアップグレードする方法について説明します。
このシナリオでは、最初のOracle Virtual DirectoryインスタンスとともにIDMHOST1でOracle WebLogic Serverドメインを作成します。次に、IDMHOST2で2番目のOracle Virtual Directoryインスタンスをインストールして構成し、2番目のOracle Virtual DirectoryインスタンスをIDMHOST1のドメインに登録します。
このシナリオでOracle Virtual Directoryをアップグレードするには、次のタスクを参照してください。
タスク1: IDMHOST1でのOracle WebLogic Serverのインストールおよびミドルウェア・ホームの作成(オプション)
タスク4: IDMHOST2での2番目のOracle Virtual Directoryインスタンスのインストールおよび構成
タスク6: IDMHOST1のドメインに対するIDMHOST2の2番目のOracle Virtual Directoryインスタンスの登録
アップグレードしたOracle Virtual DirectoryインスタンスとOracle WebLogic Serverを関連付ける場合、まずOracle WebLogic Serverをインストールしてミドルウェア・ホームを作成する必要があります。
Oracle WebLogic Serverをインストールしてミドルウェア・ホームを作成するには、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementインストレーション・ガイド』のOracle WebLogic Serverのインストールに関する項を参照してください。
ミドルウェア・ホームの詳細は、Oracle Fusion Middlewareの管理者ガイドの「Oracle Fusion Middlewareの概念の理解」を参照してください。
Oracle WebLogic Serverをインストールする場合、ミドルウェア・ホームの完全パスを書き留めておいてください。この情報は、アップグレード手順で後ほど必要になります。
アップグレード準備のためにOracle Virtual Directoryをインストールおよび構成するには、次のようにします。
Oracle Identity Management CD-ROMを検索します。
また、Oracle Technology Networkでインストール・キットをダウンロードし、解凍することもできます。
http://www.oracle.com/technology/
CD-ROMからインストールする場合は、CD-ROMのルート・ディレクトリに移動します。
あるいは、Oracle Technology Networkからソフトウェアをダウンロードして解凍した場合は、ディレクトリを、ソフトウェアを解凍した場所のDisk1
ディレクトリに変更します。
Oracle Universal Installerを起動します。
UNIXシステムでは、次のコマンドを入力してリポジトリ作成ユーティリティをインストールします。
./runInstaller
Windowsシステムでは、setup.exe
ファイルをダブルクリックします。
Oracle Identity Managementのインストールと構成ツールの各画面に対応する具体的な手順については、表10-1を参照してください。
詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementインストレーション・ガイド』を参照してください。または、Oracle Virtual Directoryのインストール時に必要な前提条件とプロンプトについては、「ヘルプ」をクリックします。
インストールと構成が完了したら、Oracle Identity Managementのインストールと構成ツールを終了します。
表10-1 IDMHOST1でOracle Virtual Directoryをインストールおよび構成するインストールと構成の画面の概要
画面 | 手順 |
---|---|
ようこそ |
「次へ」をクリックします。 |
「インストールと構成」を選択します。 「次へ」をクリックします。 |
|
前提条件のチェック |
「次へ」をクリックします。 |
「ドメインの新規作成」を選択してドメインの詳細を入力します。 |
|
次の値を指定します。
|
|
セキュリティ問題の通知方法を選択します。
「次へ」をクリックします。 |
|
「Oracle Virtual Directory」を選択します。 「Oracle Virtual Directory」を選択した場合、Oracle Directory Services ManagerおよびFusion Middleware Controlコンポーネントが構成に対して自動で選択されます。 |
|
「自動でポートを構成」を選択します。 |
|
次のクライアント・リスナーを選択します。
OVD管理者に 「セキュア・モードでの管理サーバーの構成」を選択します。 「次へ」をクリックします。 |
|
インストール・サマリー |
選択内容が正しいかどうかを確認し(正しくない場合は、「戻る」をクリックして前の画面で選択内容を変更)、「インストール」をクリックします。 |
インストールの進行状況 |
UNIXシステムではダイアログが表示され、 ウィンドウを開き、ウィンドウのプロンプトに従い、スクリプトを実行します。 「OK」をクリックします。 |
構成 |
複数の構成アシスタントが連続で起動します。このプロセスには長い時間がかかる場合があります。完了すると、「インストール 完了」画面が表示されます。 「終了」をクリックし、選択内容を確認して終了します。 |
次の手順を使用して、Oracle Virtual Directoryインスタンスを11gにアップグレードします。
ディレクトリを、Oracle Fusion MiddlewareインストールのORACLE_HOME
/bin
ディレクトリに変更します。
次のコマンドを入力して、アップグレード・アシスタントを起動します。
UNIXシステムの場合:
./ua
Windowsシステムの場合:
ua.bat
アップグレード・アシスタントに「ようこそ」画面が表示されます。
アップグレード・アシスタントの各画面に対応する方法については、表10-2を参照してください。
表10-2 高可用性でOracle Virtual Directoryをアップグレードする場合のアップグレード画面の概要
画面 | 手順 |
---|---|
ようこそ |
「次へ」をクリックします。 |
「アイデンティティ管理インスタンスのアップグレード」を選択します。 「次へ」をクリックします。 |
|
10gリリース2(10.1.2)または10g(10.1.4)のソースOracleホームを選択します。 アップグレードするOracleホームがドロップダウン・リストに表示されない場合は、『Oracle Fusion Middlewareアップグレード・プランニング・ガイド』のOracleASアップグレードに一覧表示されないソースOracleホームに関する項を参照してください。 |
|
11g Oracleインスタンスの完全パスを入力するか、「参照」をクリックしてインスタンス・ディレクトリを見つけます。 |
|
この画面は、Oracle Virtual Directoryのインストール時にOracle Virtual Directory 11gインスタンスとOracle WebLogic Serverを関連付けた場合にのみ表示されます。 Oracle WebLogic Serverドメインを使用せずにOracle Virtual Directoryをインストールする場合、この画面は表示されません。 10.2.1項「タスク1: IDMHOST1でのOracle WebLogic Serverのインストールおよびミドルウェア・ホームの作成(オプション)」で構成したOracle WebLogic Serverのホストと管理サーバーのポートを入力します。 |
|
「アップグレード先でソースOracleホーム・ポートを使用」を選択します。 「アップグレード後にアップグレード先コンポーネントを起動」を選択します。 「次へ」をクリックします。 |
|
コンポーネントの調査 |
「次へ」をクリックします。 |
サマリー |
「アップグレード」をクリックして、アップグレード・プロセスを続行します。 |
アップグレードの進行状況 |
「アップグレード完了」画面が表示されるまでアップグレードの進行状況を監視します。 |
アップグレード完了 |
「閉じる」をクリックします。 |
次のOPMNコマンドを使用して、アップグレードしたOracle Virtual Directoryインスタンスを確認します。
ORACLE_INSTANCE/bin/opmnctl status
次のような出力が表示されます。
Processes in Instance: asinst_1 --------------------------+--------------------+---------+--------- ias-component | process-type | pid | status --------------------------+--------------------+---------+--------- ovd1 | OVD | 22091 | Alive EMAGENT | EMAGENT | 0 | NONE
次の手順を使用して、2番目のOracle Virtual Directoryインスタンスをインストールおよび構成します。このインスタンスの場合、ドメインを使用せずにインスタンスをインストール、構成およびアップグレードします。次に、アップグレード後、IDMHOST1に作成したドメインにアップグレードしたインスタンスを登録します。
Oracle Universal Installerを起動します。
UNIXシステムでは、次のコマンドを入力してリポジトリ作成ユーティリティをインストールします。
./runInstaller
Windowsシステムでは、setup.exe
ファイルをダブルクリックします。
Oracle Identity Managementのインストールと構成ツールの各画面に対応する具体的な手順については、表10-3を参照してください。
詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementインストレーション・ガイド』を参照してください。または、Oracle Virtual Directoryのインストール時に必要な前提条件とプロンプトについては、「ヘルプ」をクリックします。
インストールと構成が完了したら、Oracle Identity Managementのインストールと構成ツールを終了します。
表10-3 IDMHOST2でOracle Virtual Directoryをインストールおよび構成するインストールと構成の画面の概要
画面 | 手順 |
---|---|
ようこそ |
「次へ」をクリックします。 |
「インストールと構成」を選択します。 「次へ」をクリックします。 |
|
前提条件のチェック |
「次へ」をクリックします。 |
「ドメインなしで構成」を選択してドメインの詳細を入力します。 |
|
次の値を指定します。
「次へ」をクリックします。 |
|
セキュリティ問題の通知方法を選択します。
「次へ」をクリックします。 |
|
「Oracle Virtual Directory」を選択します。 |
|
「自動でポートを構成」を選択します。 |
|
クライアント・リスナー
OVD管理者
「次へ」をクリックします。 |
|
インストール・サマリー |
選択内容が正しいかどうかを確認し(正しくない場合は、「戻る」をクリックして前の画面で選択内容を変更)、「インストール」をクリックします。 |
インストールの進行状況 |
UNIXシステムではダイアログが表示され、 ウィンドウを開き、ウィンドウのプロンプトに従い、スクリプトを実行します。 「OK」をクリックします。 |
構成 |
複数の構成アシスタントが連続で起動します。このプロセスには長い時間がかかる場合があります。完了すると、「インストール 完了」画面が表示されます。 「終了」をクリックし、選択内容を確認して終了します。 |
次の手順を使用して、Oracle Virtual Directoryインスタンスを11gにアップグレードします。
ディレクトリを、Oracle Fusion MiddlewareインストールのORACLE_HOME
/bin
ディレクトリに変更します。
次のコマンドを入力して、アップグレード・アシスタントを起動します。
UNIXシステムの場合:
./ua
Windowsシステムの場合:
ua.bat
アップグレード・アシスタントに「ようこそ」画面が表示されます。
アップグレード・アシスタントの各画面に対応する方法については、表10-2を参照してください。
次のOPMNコマンドを使用して、アップグレードしたOracle Virtual Directoryインスタンスを確認します。
ORACLE_INSTANCE/bin/opmnctl status
次のような出力が表示されます。
Processes in Instance: asinst_1 --------------------------+--------------------+---------+--------- ias-component | process-type | pid | status --------------------------+--------------------+---------+--------- ovd1 | OVD | 22091 | Alive EMAGENT | EMAGENT | 0 | NONE
アップグレードしたOracle Virtual Directoryインスタンスを、IDMHOST1で作成および構成したOracle WebLogic Serverドメインに登録します。
次のOPMNコマンドを使用します。
ORACLE_INSTANCE/opmnctl registerinstance -adminHost adminHostName -adminPort adminServerPort -adminUsername DOMAIN_ADMINISTRATOR_USERNAME -oracleInstance ORACLE_INSTANCE
次の手順では、次のいずれかのシナリオで、高可用性環境でOracle Virtual Directoryをアップグレードする方法を説明します。
Oracle Virtual Directory環境を、(Oracle Virtual Directoryがインストールされているホスト以外のホストで)既存のリモートOracle WebLogic Serverドメインに登録する場合。
Oracle Virtual Directory環境をスタンドアロン・モード(Oracle WebLogic Serverドメインを使用しない)でインストールおよび構成する場合。
この手順では、リモートOracle WebLogic Serverドメインがすでにリモート・ホストにインストールおよび構成されているか、Oracle Virtual DirectoryをOracle WebLogic Serverに登録しないものと仮定しています。
前述のシナリオでOracle Virtual Directoryをアップグレードするには、次のタスクを参照してください。
タスク3: IDMHOST2での2番目のOracle Virtual Directoryインスタンスのインストールおよび構成
タスク5: IDMHOST1のドメインに対するIDMHOST2の2番目のOracle Virtual Directoryインスタンスの登録(オプション)
アップグレード準備のためにOracle Virtual Directoryをインストールおよび構成するには、次のようにします。
Oracle Identity Management CD-ROMを検索します。
また、Oracle Technology Networkでインストール・キットをダウンロードし、解凍することもできます。
http://www.oracle.com/technology/
CD-ROMからインストールする場合は、CD-ROMのルート・ディレクトリに移動します。
あるいは、Oracle Technology Networkからソフトウェアをダウンロードして解凍した場合は、ディレクトリを、ソフトウェアを解凍した場所のDisk1
ディレクトリに変更します。
Oracle Universal Installerを起動します。
UNIXシステムでは、次のコマンドを入力してリポジトリ作成ユーティリティをインストールします。
./runInstaller
Windowsシステムでは、setup.exe
ファイルをダブルクリックします。
Oracle Identity Managementのインストールと構成ツールの各画面に対応する具体的な手順については、表10-3を参照してください。
詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementインストレーション・ガイド』を参照してください。または、Oracle Virtual Directoryのインストール時に必要な前提条件とプロンプトについては、「ヘルプ」をクリックします。
インストールと構成が完了したら、Oracle Identity Managementのインストールと構成ツールを終了します。
次の手順を使用して、Oracle Virtual Directoryインスタンスを11gにアップグレードします。
ディレクトリを、Oracle Fusion MiddlewareインストールのORACLE_HOME
/bin
ディレクトリに変更します。
次のコマンドを入力して、アップグレード・アシスタントを起動します。
UNIXシステムの場合:
./ua
Windowsシステムの場合:
ua.bat
アップグレード・アシスタントに「ようこそ」画面が表示されます。
アップグレード・アシスタントの各画面に対応する方法については、表10-2を参照してください。
次のOPMNコマンドを使用して、アップグレードしたOracle Virtual Directoryインスタンスを確認します。
ORACLE_INSTANCE/bin/opmnctl status
次のような出力が表示されます。
Processes in Instance: asinst_1 --------------------------+--------------------+---------+--------- ias-component | process-type | pid | status --------------------------+--------------------+---------+--------- ovd1 | OVD | 22091 | Alive EMAGENT | EMAGENT | 0 | NONE
次の手順を使用して、2番目のOracle Virtual Directoryインスタンスをインストールおよび構成します。このインスタンスの場合、ドメインを使用せずにインスタンスをインストール、構成およびアップグレードします。次に、アップグレード後、IDMHOST1に作成したドメインにアップグレードしたインスタンスを登録します。
Oracle Universal Installerを起動します。
UNIXシステムでは、次のコマンドを入力してリポジトリ作成ユーティリティをインストールします。
./runInstaller
Windowsシステムでは、setup.exe
ファイルをダブルクリックします。
Oracle Identity Managementのインストールと構成ツールの各画面に対応する具体的な手順については、表10-3を参照してください。
詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementインストレーション・ガイド』を参照してください。または、Oracle Virtual Directoryのインストール時に必要な前提条件とプロンプトについては、「ヘルプ」をクリックします。
インストールと構成が完了したら、Oracle Identity Managementのインストールと構成ツールを終了します。
次の手順を使用して、Oracle Virtual Directoryインスタンスを11gにアップグレードします。
ディレクトリを、Oracle Fusion MiddlewareインストールのORACLE_HOME
/bin
ディレクトリに変更します。
次のコマンドを入力して、アップグレード・アシスタントを起動します。
UNIXシステムの場合:
./ua
Windowsシステムの場合:
ua.bat
アップグレード・アシスタントに「ようこそ」画面が表示されます。
アップグレード・アシスタントの各画面に対応する方法については、表10-2を参照してください。
次のOPMNコマンドを使用して、アップグレードしたOracle Virtual Directoryインスタンスを確認します。
ORACLE_INSTANCE/bin/opmnctl status
次のような出力が表示されます。
Processes in Instance: asinst_1 --------------------------+--------------------+---------+--------- ias-component | process-type | pid | status --------------------------+--------------------+---------+--------- ovd1 | OVD | 22091 | Alive EMAGENT | EMAGENT | 0 | NONE
アップグレードしたOracle Virtual Directoryインスタンスを、WLSHOST1で作成および構成した既存のOracle WebLogic Serverドメインに登録します。
次のOPMNコマンドを使用します。
ORACLE_INSTANCE/opmnctl registerinstance -adminHost adminHostName -adminPort adminServerPort -adminUsername DOMAIN_ADMINISTRATOR_USERNAME -oracleInstance ORACLE_INSTANCE