以下の節では、アプリケーションおよびスタンドアロン モジュールを WebLogic Server にデプロイするツールについて説明します。
wldeploy
Ant タスクでは、Ant XML ファイルに指定する属性を使用して weblogic.Deployer
の機能を実行できます。wldeploy
を他の WebLogic Server Ant タスクとともに使用して、以下を実行する単一の Ant ビルド スクリプトを作成できます。
wlcompile
、appc
、および Web サービス Ant タスクを使用してソースからアプリケーションをビルドする。
wlserver
および wlconfig
Ant タスクを使用して、新しい WebLogic Server ドメインを作成、起動、およびコンフィグレーションする。
wldeploy
Ant タスクを使用して、新しく作成したドメインに、コンパイル済みアプリケーションをデプロイする。
wlserver
および wlconfig
の詳細については、「Ant タスクを使用した WebLogic Server ドメインのコンフィグレーションと使用」を参照してください。wlcompile
の詳細については、「分割開発ディレクトリでのアプリケーションのビルド」を参照してください。
wldeploy
Ant タスクを使用するには、次の手順に従います。
環境を設定します。
Windows NT では、WL_HOME
\server\bin
ディレクトリにある setWLSEnv.cmd
コマンドを実行します。WL_HOME
は、インストールされている WebLogic Server の最上位ディレクトリです。
UNIX では、WL_HOME
/server/bin
ディレクトリにある setWLSEnv.sh
コマンドを実行します。WL_HOME
は、インストールされている WebLogic Server の最上位ディレクトリです。
ステージング ディレクトリで、Ant ビルド ファイル (デフォルトは build.xml
) を作成します。WebLogic Server と一緒にインストールされたものとは異なる Ant を使用する場合は、wldeploy
Ant タスクを定義することから始めます。
prompt> java weblogic.DDConverter [options] archive_file_or_directory
必要に応じて、新しい WebLogic Server ドメインを作成するためのタスク定義と wlserver
および wlconfig
タスクの呼び出しをビルド スクリプトに追加します。wlserver
および wlconfig
の詳細については、「Ant タスクを使用した WebLogic Server ドメインのコンフィグレーションと使用」を参照してください。
wldeploy
の呼び出しを追加して、アプリケーションを 1 つまたは複数の WebLogic Server インスタンスまたはクラスタにデプロイします。「wldeploy 用 build.xml ファイルのサンプル」および「wldeploy Ant タスクの属性のリファレンス」を参照してください。
ステージング ディレクトリで ant
と入力し、必要であればこのコマンドにターゲットの引数を渡して、build.xml
ファイルで指定された Ant タスク (1 つまたは複数) を実行します。
prompt> java weblogic.DDConverter [options] archive_file_or_directory
次の例では、アプリケーションを単一の WebLogic Server インスタンスにデプロイする wldeploy
のデプロイ先を示しています。
<target name="deploy"> <wldeploy action="deploy" verbose="true" debug="true" name="DeployExample" source="output/redeployEAR" user="weblogic" password="weblogic" adminurl="t3://localhost:7001" targets="myserver" /> </target>
次の例では、アプリケーションをアンデプロイする場合に対応するタスクを示します。ここでは、アプリケーションをアンデプロイまたは再デプロイする際に、ソース アーカイブ ファイルまたは展開ディレクトリではなく、そのデプロイされた名前のみを指定します。
<target name="undeploy"> <wldeploy action="undeploy" verbose="true" debug="true" name="DeployExample" user="weblogic" password="weblogic" adminurl="t3://localhost:7001" targets="myserver" failonerror="false" /> </target>
次の例では、アプリケーションの部分的な再デプロイを実行する方法を示します。ここでは、アプリケーション内の単一の WAR ファイルのみが再デプロイされます。
<target name="redeploy_partial"> <wldeploy action="redeploy" verbose="true" name="DeployExample" user="weblogic" password="weblogic" adminurl="t3://localhost:7001" targets="myserver" deltaFiles="examples/general/redeploy/SimpleImpl.war" /> </target>
次の例では、wldeploy
のネストされた <files>
子要素を使用して、アプリケーション内でアンデプロイする特定のファイルを指定します。
<target name="undeploy_partial"> <wldeploy action="undeploy" verbose="true" debug="true" name="DeployExample" user="weblogic" password="weblogic" adminurl="t3://localhost:7001" targets="myserver" failonerror="false"> <files dir="${current-dir}/output/redeployEAR/examples/general/redeploy" includes="SimpleImpl.jsp" /> </wldeploy> </target>
次の例では、ソース ファイルが output/myLibrary
ディレクトリにある myLibrary
という Java EE ライブラリをデプロイする方法を示します。
<target name="deploy"> <wldeploy action="deploy" name="myLibrary" source="output/myLibrary" library="true" user="weblogic" password="weblogic" verbose="true" adminurl="t3://localhost:7001" targets="myserver" /> </target>
以下の節では、wldeploy
Ant タスクの属性および子要素 <files>
について説明します。
次の表では、wldeploy
Ant タスクの主な属性について説明します。
これらの属性は、weblogic.Deployer
コマンドの引数の一部に対応します。Oracle では、反復的な開発プロセスの一部としてアプリケーションを簡単にデプロイおよびテストできるように weblogic.Deployer
コマンドの Ant タスク バージョンを利用できます。ただし、通常、プロダクション環境でアプリケーションをデプロイする場合は、wldeploy
Ant タスクではなく weblogic.Deployer
コマンドを使用します。そのため、wldeploy
Ant タスクの属性の完全な定義については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server アプリケーションのデプロイメント』の「weblogic.Deployer コマンドライン リファレンス」を参照してください。次の表に簡単な概要を示します。
表 B-1 wldeploy Ant タスクの属性
属性 | 説明 | データ型 |
---|---|---|
action |
実行するデプロイメント アクション。 有効な値は、 |
String |
adminmode |
デプロイメント アクションによってアプリケーションが管理モードになるように指定する。 管理モードでは、アプリケーションへのアクセスはコンフィグレーション済みの管理チャネルに制限される。 この属性の有効な値は、 |
Boolean |
adminurl |
管理サーバの URL。 Tこの属性の値の形式は 注意 : HTTP プロトコルを使用するには、Administration Console で http トンネリングのオプションを有効にする必要がある。 |
String |
allversions |
アプリケーションのすべてのバージョンに適用するアクション (再デプロイ、停止など) を指定する。 この属性の有効な値は、 |
Boolean |
altappdd |
デプロイメントに使用する代替 Java EE デプロイメント記述子 ( この属性を指定せず、エンタープライズ アプリケーションをデプロイする場合、デフォルトのデプロイメント記述子 |
String |
altwlsappdd |
デプロイメントに使用する代替 WebLogic Server デプロイメント記述子 ( この属性を指定せず、エンタープライズ アプリケーションをデプロイする場合、デフォルトのデプロイメント記述子 |
String |
appversion |
デプロイされるアプリケーションのバージョン識別子。 |
String |
debug |
|
Boolean |
deleteFiles |
サーバのステージング ディレクトリから静的ファイルを削除するかどうかを指定する。 この属性は、展開されたデプロイメント、および
この属性は、
この属性の有効な値は、true および false。デフォルト値は false。 |
Boolean |
deltaFiles |
再デプロイするアプリケーションのルート ディレクトリを基準にして、ファイルのカンマ区切りまたはスペース区切りのリストを指定する。 この属性は、アプリケーションの部分再デプロイを実行する場合に、必ず |
String |
enableSecurityValidation |
セキュリティ データの検証を有効にするかどうかを指定する。 この属性の有効な値は、true および false。デフォルト値は false。 |
Boolean |
externalStage |
デプロイメントで このモードでは、wldeploy Ant タスクは、デプロイメント ファイルを対象サーバにコピーしない。代わりに、デプロイメント ファイルが対象サーバのステージング ディレクトリの正しいサブディレクトリにコピーされたことを確認する必要がある。
|
Boolean |
failonerror |
WebLogic Server Ant タスクで使用されるグローバル属性。ビルド中にエラーが発生した場合、タスクを失敗させるかどうかを指定する。 この属性の有効な値は、true および false。デフォルト値は true。 |
Boolean |
graceful |
既存の HTTP クライアントが作業を完了した後でアプリケーションを停止する。 この属性は、アプリケーションを停止またはアンデプロイする場合にのみ使用できる。つまり、 この属性の有効な値は、 |
Boolean |
id |
デプロイメントのステータスの取得やデプロイメントの取り消しに使用される ID。 デプロイ時にユニークな ID をアプリケーションに割り当て、以降の再デプロイ、アンデプロイ、停止などではその ID を使用する。 この属性を指定しない場合、wldeploy Ant タスクがアプリケーションにユニークな ID を割り当てる。 |
String |
ignoresessions |
このオプションでは、現在の HTTP セッションが完了するのを待機せずに、アプリケーションを直ちに管理モードにする。 この属性は、アプリケーションを停止またはアンデプロイする場合にのみ使用できる。つまり、 この属性の有効な値は、 |
Boolean |
libImplVer |
Java EE ライブラリまたはオプション パッケージの実装のバージョンを指定する。 この属性は、ライブラリまたはパッケージのマニフェスト ファイルに実装のバージョンが含まれていない場合にのみ使用できる。この属性は、 |
String |
library |
デプロイメントを共有 Java EE ライブラリまたはオプション パッケージとして指定する。Java EE ライブラリまたはオプション パッケージをデプロイまたは分散する場合は この属性の有効な値は、 詳細については、「共有 Java EE ライブラリおよびオプション パッケージの作成」を参照。 |
Boolean |
libSpecVer |
Java EE ライブラリまたはオプション パッケージの仕様のバージョンを指定する。 この属性は、ライブラリまたはパッケージのマニフェスト ファイルに仕様バージョンが含まれていない場合にのみ使用できる。この属性は、 |
String |
name |
デプロイ済みのアプリケーションのデプロイメント名。 この属性を指定しない場合、WebLogic Server は、アーカイブ ファイルまたは展開ディレクトリに基づくデプロイメント名をアプリケーションに割り当てる。 |
String |
nostage |
デプロイメントで nostage デプロイメント モードを使用するかどうかを指定する。 このモードでは、wldeploy Ant タスクはデプロイメント ファイルを対象サーバにコピーせず、
|
Boolean |
noversion |
このオプションを使用する場合、バージョン指定されたアプリケーションは使用できない。 この属性の有効な値は、true および false。デフォルト値は false。 |
Boolean |
nowait |
|
Boolean |
password |
管理パスワード。 ビルド ファイルまたは デフォルト以外のコンフィグレーション ファイルとキー ファイルからユーザ名およびパスワードを取得する場合は、 パスワードの格納と暗号化の詳細については、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Tool コマンド リファレンス』の |
String |
plan |
アプリケーションまたはモジュールをデプロイするときに使用するデプロイメント プランを指定する。 デフォルトでは、プランが格納されているアプリケーションのルート ディレクトリからデプロイする場合でも、 |
String |
planversion |
デプロイメント プランのバージョン識別子。 |
String |
remote |
サーバが別のマシンに配置されているかどうかを指定する。これはファイル名の転送方法に影響する。 この属性の有効な値は、 |
Boolean |
retiretimeout |
WebLogic Server がこのアプリケーションまたはモジュールの現在実行中のバージョンをアンデプロイし、クライアントが新しいバージョンで開始できるようになるまでの秒数を指定する。 この属性を指定した場合、ユーザは、すでに実行中のアプリケーションの新しいバージョンを開始、デプロイ、再デプロイすると見なされる。 「プロダクション環境でのアプリケーションの更新」を参照。 |
int |
securityModel |
このデプロイメントで使用するセキュリティ モデルを指定する。指定可能なセキュリティ モデルは次のとおり。
この属性で有効な実際の値は セキュリティ モデルの詳細については、「Web アプリケーションおよび EJB リソースの保護のオプション」を参照。 |
String |
source |
デプロイするアーカイブ ファイルまたは展開ディレクトリ。 |
ファイル |
stage |
デプロイメントで stage デプロイメント モードを使用するかどうかを指定する。 このモードでは、wldeploy Ant タスクは、対象サーバのステージング ディレクトリにデプロイメント ファイルをコピーする。
|
Boolean |
submoduletargets |
JMS アプリケーション モジュール内で定義されているリソースの JMS サーバ対象を指定する。 この属性の値は、JMS サーバ名のカンマ区切りのリスト。 |
String |
targets |
アプリケーションがデプロイされる対象サーバのリスト。 この属性の値は、対象サーバ、クラスタ、または仮想ホストのカンマ区切りのリスト。 アプリケーションのデプロイ時に対象リストを指定しない場合、対象のデフォルトは管理サーバ インスタンスになる。 |
String |
timeout |
デプロイメントが正常に終了するのを待機する最大秒数。 |
int |
upload |
デプロイメントの前にソース ファイルが管理サーバのアップロード ディレクトリにコピーされるかどうかを指定する。 この属性は、リモート マシンで作業していて、デプロイメント ファイルを管理サーバに他の手段でコピーできない場合に使用する。 この属性の有効な値は、 |
Boolean |
usenonexclusivelock |
デプロイメント アクション (デプロイ、再デプロイ、停止など) が、そのアクションを実行している同じユーザによってすでに取得されている、ドメインの既存のロックを使用するように指定する。 この属性は、ユーザが複数のデプロイメント ツール (Ant タスク、コマンドライン、Administation Console など) を同時に使用していて、いずれかのツールでドメインのロックをすでに取得している場合に便利。 この属性の有効な値は、 |
Boolean |
user |
管理ユーザ名。 |
String |
userconfigfile |
管理ユーザ名および管理パスワードを取得するために使用するユーザ コンフィグレーション ファイルの場所を指定する。このオプションは、プレーン テキストのパスワードをインラインに表示したくない場合はビルド ファイルで、または
|
String |
userkeyfile |
ユーザ コンフィグレーション ファイル (
|
String |
verbose |
|
Boolean |
wldeploy
Ant タスクには、デプロイメント アクションの実行対象となるファイルのリスト (アンデプロイする JSP のリストなど) を指定するためにネストできる <files>
子要素もあります。
注意 : WebLogic Server リリース 9.0 以降では、<files> を使用してアプリケーションのファイルのリストを再デプロイすることは非推奨になりました。この場合、代わりに wldeploy の deltaFiles 属性を使用します。 |
<files>
要素は、実際のタスク名の違いを除いて、標準的な <fileset>
Ant タスクと同じ処理を行います。したがって、<files>
要素で指定可能な属性のリファレンス情報については、http://ant.apache.org/manual/CoreTypes/fileset.html
で Apache Ant Web サイトを参照してください。