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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server サーバの起動と停止の管理
11g リリース 1 (10.3.1)
B55517-01
 

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2 サーバの起動と停止

WebLogic Server では、複数の方法でサーバ インスタンスを起動および停止できます。どの方法を選ぶかは、Administration Console とコマンドライン インタフェースのどちらを使用するか、およびサーバのライフサイクルの管理にノード マネージャを使用するかどうかによって決まります。

どの方法でサーバを起動しても、最終的に一連のコンフィグレーション オプションを渡して Java 仮想マシン (JVM) が初期化されます。サーバ インスタンスは JVM 内で動作し、JVM では 1 つのサーバ インスタンスのみホストできます。


注意 :

Administration Console での手順については、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の Administration Console オンライン ヘルプの「サーバの起動と停止」およびクラスタに関する節にあるさまざまな起動や停止の手順を参照してください。障害が発生したサーバ インスタンスおよびクラスタの再起動については、「サーバ障害の回避とサーバ障害からの回復」を参照してください。

以下の節では、上記以外の、サーバ インスタンスの起動および停止方法について説明します。

サーバの起動と停止の簡潔な説明については、「 サーバの起動と停止 : クイック リファレンス」を参照してください。

サーバの起動 : 始める前に

選択するサーバの起動管理方法や実行済みのセットアップ タスクに応じて、サーバ インスタンスを起動する前に以下の手順の実行が必要になる場合があります。

ドメインのバージョン要件

ドメイン内の管理サーバとすべての管理対象サーバは、WebLogic Server のバージョンが同じでなければなりません。管理サーバは、管理対象サーバと同じかそれより新しいサービスパック レベルである必要があります。たとえば、管理対象サーバがバージョン 8.1 である場合、管理サーバにはバージョン 8.1 または 8.1 SP1 以降を使用できます。ただし管理対象サーバが SP1 の場合、管理サーバは SP1 以降でなければなりません。

起動スクリプトによる管理サーバの起動

管理サーバは、ドメインのコンフィグレーション データを管理する WebLogic Server インスタンスです。通常、開発環境では、管理サーバを起動し、アプリケーションを直にその管理サーバにデプロイすれば十分です。プロダクション環境では、アプリケーションを実行する管理対象サーバを作成します。管理サーバと管理対象サーバの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ドメインのコンフィグレーションについて』の「WebLogic Server ドメインについて」を参照してください。

管理サーバは、デフォルトの起動スクリプトを使用して起動することも、独自の起動スクリプトを作成して起動することもできます。管理サーバを WebLogic Server 付属の起動スクリプトを使用して起動するには、次の手順を行います。

  1. ドメインをまだ作成していない場合は、コンフィグレーション ウィザードまたは WebLogic Scripting Tool (WLST) を使用して作成します。

    Oracle Fusion Middleware コンフィグレーション ウィザードを使用したドメインの作成」または『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Tool ガイド』の「WLST オフラインを使用したドメインの作成」を参照してください。

  2. ドメインを作成したコンピュータでシェル (コマンド プロンプト) を開きます。

  3. ドメインを配置したディレクトリに移動します。

    デフォルトでは、このディレクトリは MW_HOME\user_projects\domains\DOMAIN_NAME です。DOMAIN_NAME は、ドメイン ルート ディレクトリです (このディレクトリの名前はドメインの名前です)。

  4. 以下のいずれかのスクリプトを実行します。

    • bin/startWebLogic.cmd (Windows)

    • bin\startWebLogic.sh (UNIX および Windows。Windows の場合、このスクリプトは MKS および Cygnus BASH UNIX シェル エミュレータをサポート)


      注意 :

      WebLogic Server が提供するコンフィグレーション ウィザードのテンプレートを使用すると、ドメイン ディレクトリに startWebLogic という名前の起動スクリプトが作成されます。別のソースから提供されたドメイン テンプレートを使用する場合、ウィザードで起動スクリプトが作成されないか、または別の名前のスクリプトが作成される可能性があります。ウィザードで起動スクリプトを作成するかどうか、および別のスクリプト名を付けるかどうかは、テンプレートの設計者の判断によって異なります。

startWebLogic スクリプトは、次のことを行います。

  1. DOMAIN_NAME\bin\setDomainEnv.cmd (UNIX では setDomainEnv.sh) を実行して環境変数を設定します。DOMAIN_NAME はドメインを配置したディレクトリです。たとえば、WL_HOME\user_projects\domains\DOMAIN_NAME となります。WL_HOME は WebLogic Server をインストールした場所です。

  2. java weblogic.Server コマンドを実行して、WebLogic Server インスタンスを実行するようコンフィグレーションされた JVM を起動します。

    サーバの起動プロセスが正常に完了すると、次のメッセージが標準出力 (デフォルトではコマンド ウィンドウ) に書き込まれます。

    <Notice> <WebLogicServer> <BEA-000360> <Server started in RUNNING mode> 
    

Windows の [スタート] メニューからの管理サーバの起動

Windows コンピュータで管理サーバを作成すると、コンフィグレーション ウィザードによって [スタート] メニューにサーバを起動するためのショートカットが作成されます ([User Projects|DOMAIN_NAME|Start Admin Server for WebLogic Server Domain])。

コンフィグレーション ウィザードによって [スタート] メニューに追加されたコマンドを選択すると、コマンド ウィンドウが開き、「起動スクリプトによる管理サーバの起動」で説明した起動スクリプトが呼び出されます。サーバの起動プロセスが正常に完了すると、次のメッセージが標準出力 (デフォルトではコマンド ウィンドウ) に書き込まれます。

<Notice> <WebLogicServer> <BEA-000360> <Server started in RUNNING mode> 

java weblogic.Server コマンドによる管理サーバの起動

weblogic.Server クラスは、WebLogic Server インスタンスのメイン クラスです。Java コマンドで weblogic.Server を直接呼び出すことで、サーバ インスタンスを起動します。


注意 :

以下の理由から、java weblogic.Server は主に初期の開発時に使用し、プロダクション システムを起動する標準のメカニズムとしては使用しないことをお勧めします。
  • Oracle Middleware ホーム ディレクトリの外部にある製品ディレクトリを選択した場合、java weblogic.Server は機能しない。

  • java weblogic.Server を実行した場合、WebLogic Server の実行時にパッチが認識されない。


詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server コマンド リファレンス』の「weblogic.Server コマンドライン リファレンス」および「weblogic.Server コマンドラインを使用したサーバ インスタンスの起動」を参照してください。

WLST とノード マネージャを使用した管理サーバの起動

ノード マネージャは、WebLogic Server インスタンスのリモート制御用ユーティリティです。ノード マネージャを使用すると、管理対象サーバの制御とモニタ、管理サーバの起動、停止、および再起動を行うことができます。

これらのノード マネージャの機能には、WebLogic Scripting Tool コマンドおよびスクリプトを使用してアクセスできます。WLST がノード マネージャに接続された状態で nmStart コマンドを使用すると、ノード マネージャで管理サーバのモニタ、停止、および再起動がサポートされます。

WLST とノード マネージャを使用して管理サーバを起動する方法については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Tool ガイド』の「WLST とノード マネージャを使用したサーバ管理」に説明があります。ノード マネージャでこの手順を行う方法については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ノード マネージャ管理者ガイド』の「ノード マネージャが管理サーバを起動する仕組み」を参照してください。

WebLogic Server のカスタム インストール プロセスでは、必要に応じてノード マネージャを Windows システム上の Windows サービスとしてインストールおよび起動します。システムの障害や再起動の際にノード マネージャが自動的に再起動されるように、オペレーティング システムのサービスとしてノード マネージャを実行し、ノード マネージャを使用して管理サーバおよび管理対象サーバの起動や再起動を行うことをお勧めします。

詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server インストール ガイド』の「Windows サービスのインストール」、および『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ノード マネージャ管理者ガイド』の「管理サーバおよび管理対象サーバの再起動」を参照してください。

ノード マネージャを使用しない WLST による管理サーバの起動

WLST の startServer コマンドでは、ノード マネージャを使用せずに管理サーバが起動されます。サーバは WLST とは別個のプロセスで実行されます。WLST を終了しても、サーバは停止されません。『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Tool ガイド』の「ノード マネージャを使用しない管理サーバの起動」を参照してください。

起動スクリプトによる管理対象サーバの起動

管理対象サーバは、デプロイされたアプリケーションを実行する WebLogic Server インスタンスです。管理対象サーバは、そのすべてのコンフィグレーションおよびデプロイメント情報について管理サーバを参照します。通常、プロダクション環境では管理対象サーバを使用してアプリケーションを実行します。

管理対象サーバと管理サーバの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ドメインのコンフィグレーションについて』の「WebLogic Server ドメインについて」を参照してください。

WebLogic Server に付属しているコンフィグレーション ウィザードのテンプレートを使用すると、ドメイン ディレクトリに startManagedWebLogic という起動スクリプトが作成されます。このスクリプトで管理対象サーバを起動できます。このスクリプトを使用して、クラスタ内のすべての管理対象サーバを起動できます。

ドメイン ディレクトリ ファイルの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ドメインのコンフィグレーションについて』の「ドメイン コンフィグレーション ファイル」を参照してください。

このスクリプトは、サーバの起動と管理にノード マネージャを使用しません。代わりに、Java コマンドを使用して、WebLogic Server インスタンスのメイン クラスの weblogic.Server クラスを呼び出します。Java コマンドで weblogic.Server を起動する方法の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server コマンド リファレンス』の「weblogic.Server コマンドライン リファレンス」を参照してください。

WebLogic Server スクリプトで管理対象サーバを起動するには、次の手順を行います。

  1. 前提となる作業については、「サーバの起動 : 始める前に」を参照してください。

  2. 管理対象サーバをまだ作成していない場合は作成します。

    『Oracle Fusion Middleware コンフィグレーション ウィザードを使用したドメインの作成』または Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の Administration Console オンライン ヘルプの「管理対象サーバの作成」を参照してください。

  3. ドメインの管理サーバを起動します。

  4. 管理対象サーバをホストしているコンピュータのシェル (コマンド プロンプト) で、startManagedWebLogic スクリプトが格納されたディレクトリに移動します。

    • DOMAIN_NAME\bin\startManagedWebLogic.cmd (Windows)

    • DOMAIN_NAME/bin/startManagedWebLogic.sh (UNIX)

      DOMAIN_NAME は、ドメインを配置したディレクトリです。デフォルトでは、このディレクトリは MW_HOME\user_projects\domains\DOMAIN_NAME です。

  5. 以下のいずれかのコマンドを入力します。

    • startManagedWebLogic.cmd managed_server_name admin_url (Windows)

    • startManagedWebLogic.sh managed_server_name admin_url (UNIX)

      managed_server_name には管理対象サーバの名前、admin_url にはドメインの管理サーバのリスン アドレス (ホスト名または IP アドレス) およびポート番号を指定します。

      たとえば次のコマンドでは、startManagedWebLogic.cmd を使用して myManagedServer という管理対象サーバが起動されます。ドメインの管理サーバのリスン アドレスは AdminHost:7001 です。

      c:\Oracle\Middleware\user_projects\domains\mydomain\bin\startManagedWebLogic.cmd myManagedServer http://AdminHost:7001 
      
  6. 起動する管理対象サーバごとに、別のコマンド シェルを開き、手順 4 と 5 を行います。別のマシン上の管理対象サーバを起動する場合は、そのマシンにリモートまたはローカルでログインしてから手順 4 と 5 を行います。

リモートの WebLogic Server ホストでの管理対象サーバの実行については、『Oracle Fusion Middleware pack および unpack コマンドを使用したテンプレートとドメインの作成』の「リモート マシンにおける管理対象サーバの作成と起動 : 主な手順」を参照してください。

管理サーバへの接続をコンフィグレーションする方法については、「管理対象サーバの管理サーバへの接続のコンフィグレーション」を参照してください。

startManagedWebLogic スクリプトは、次のことを行います。

  1. WL_HOME\user_projects\domains\DOMAIN_NAME\bin\setDomainEnv.cmd (UNIX では setDomainEnv.sh) を実行して環境変数を設定する startWebLogic スクリプトを呼び出します。WL_HOME は、WebLogic Server をインストールした場所です。

  2. java weblogic.Server コマンドを実行して、WebLogic Server インスタンスを実行するようコンフィグレーションされた JVM を起動します。

    サーバの起動プロセスが正常に完了すると、次のメッセージが標準出力 (デフォルトではコマンド ウィンドウ) に書き込まれます。

    <Notice> <WebLogicServer> <000360> <Server started in RUNNING mode> 
    

Administration Console からの管理対象サーバの起動

Administration Console を使用して管理対象サーバを起動する方法については、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の Administration Console オンライン ヘルプの「Administration Console からの管理対象サーバの起動」を参照してください。

WLST とノード マネージャを使用した管理対象サーバおよびクラスタの起動

WLST およびノード マネージャを使用して管理対象サーバやクラスタを起動する方法については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Tool ガイド』の「ノード マネージャを使用したドメインの管理対象サーバおよびクラスタの起動」を参照してください。WebLogic Server クラスタの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server クラスタの使い方』の「WebLogic クラスタの設定」を参照してください。

java weblogic.Server コマンドによる管理対象サーバの起動

weblogic.Server クラスは、WebLogic Server インスタンスのメイン クラスです。Java コマンドで weblogic.Server を直接呼び出すことで、サーバ インスタンスを起動します。『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server コマンド リファレンス』の「weblogic.Server コマンドライン リファレンス」および「weblogic.Server コマンドラインを使用したサーバ インスタンスの起動」を参照してください。

管理サーバにアクセスできない場合の管理対象サーバの起動

通常、管理対象サーバは起動時に管理サーバにアクセスしてそのコンフィグレーション情報を取得します。起動時に管理サーバにアクセスできない場合、管理対象サーバはローカルにキャッシュされたコンフィグレーション データを config ディレクトリから読み込むことでコンフィグレーションを取得できます。


注意 :

管理対象サーバ インスタンスを初めて起動するときには、管理サーバにアクセスできなくてはなりません。それ以後は、管理サーバが使用できない場合でも管理対象サーバ インスタンスを起動できます。

管理サーバにアクセスできない場合の管理対象サーバの起動の詳細については、「管理サーバにアクセスできない場合の管理対象サーバの起動」を参照してください。

WebLogic Server 起動時のランタイム範囲の制限

通常、WebLogic Server インスタンスの起動時には、EJB、JMS、コネクタ、クラスタ化、デプロイメント、管理といったあらゆるサービスが起動します。ただし、WebLogic Server に備わっている起動オプションを使用した場合には、これらのサービスの一部を起動対象から除外して、ランタイム範囲を軽量化できます。この起動モードを使用すると WebLogic Server の起動時間は短くなり、ホスト マシンのリソース範囲は小さくなります。

WebLogic Server インスタンスで起動対象とするサービス群は、サーバ タイプ オプションを取る Server Type 起動コマンドで定義します。このリリースには、次の 2 種類のサーバ タイプ オプションがあります。

WebLogic Server インスタンスでこれらのサービスを使用する必要が無い場合、軽量化ランタイムを実行するとパフォーマンスが大幅に向上する可能性があります。

Server Type 起動コマンド

軽量化ランタイム インスタンスは、いずれの WebLogic ドメインでも実行できます。WebLogic ドメインで、このサーバ タイプをサポートするためにコンフィグレーション設定を追加する必要はありません。ただし、JMS やメッセージング ブリッジ リソース、および EJB やリソース アダプタを含むアプリケーションは、wlx サーバ タイプ オプションを指定して起動したサーバにはデプロイできません。

軽量化ランタイム インスタンスを起動するには、次の weblogic.Server コマンド オプションを指定します。

-DserverType="wlx"

-DserverType="wlx" オプションは、次に示すような通常の WebLogic Server 起動メカニズムであれば、いずれの場合でも使用可能です。

制限事項

WebLogic Server の軽量化ランタイム インスタンスに関しては、次のような制限事項があります。

  • WebLogic Server には、内部的に EJB サービスを使用するサービスがいくつか存在する。軽量化ランタイム インスタンスを起動すると、次のようないくつかの機能が使用不可能になります。

    • 管理 EJB 群

      これらの EJB 群は JSR-77 をサポートするために使用されるものです。この EJB サービスが無効になると、JSR-77 もサポートされなくなります。ただし、これ以外の管理 API はすべて使用可能なままとなります。

    • WebLogic Server 9.0 または 9.1 のリモート デプロイヤ

      リモート デプロイヤ EJB は、WebLogic Server 9.0 および 9.1 の weblogic.Deployer ユーティリティでのみ、-remote オプションの指定時に使用されます。バージョン 9.2 以降の weblogic.Deployer ユーティリティの -remote オプションは、引き続き使用可能です。

  • 管理サーバを軽量化ランタイム インスタンスとして起動した場合、Administration Console には JMS、EJB、およびリソース アダプタへのリンクは表示されない。これによって、管理サーバのサーバ タイプを視覚的に識別することができます。ただし、管理サーバをデフォルトのサーバ タイプとして起動した場合 (つまり wlx サーバ タイプ オプションで起動していない場合) には、Administration Console でもドメイン内で実行されている軽量化管理対象サーバ インスタンスが識別されません。

サーバの起動と停止を行うユーザ資格の指定

WebLogic Server インスタンスを起動および停止するには、ドメインのサーバの起動および停止を許可されているユーザの資格を提示する必要があります。ユーザ資格、ロール、およびパーミッションの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ロールおよびポリシーによるリソースの保護』の「ユーザ、グループ、セキュリティ ロール」を参照してください。

表 2-1 に、WebLogic Server インスタンスの起動時にユーザ資格を指定する方法を示します。

表 2-1 ユーザ資格の指定

指定方法 サーバ インスタンスの動作

コマンドラインでユーザ名とパスワードを指定する。

それらが使用され、いずれの資格も要求されない。

boot.properties でユーザ名とパスワードを指定する。

それらが使用され、いずれの資格も要求されない。

コマンドラインでユーザ名もパスワードも指定しない。

  • ユーザ名が要求される。

  • パスワードが 2 回要求される。

コマンドラインでユーザ名を指定し、パスワードは指定しない。

  • コマンドラインのユーザ名が使用される。

  • パスワードが 2 回要求される。

コマンドラインでパスワードを指定し、ユーザ名は指定しない。

  • ユーザ名が要求される。

  • コマンドラインのパスワードは無視され、パスワードが 2 回要求される。


以降の節では、次に示すタスクについて説明します。

ドメインの初期管理ユーザの指定

ドメインを作成するときには、コンフィグレーション ウィザードによって、初期管理ユーザのユーザ名とパスワードの指定が求められます。コンフィグレーション ウィザードは、この情報を基に次の処理を行います。

  1. ユーザを Administrators セキュリティ グループに割り当てます。

    Administrators グループには、WebLogic Server の起動と管理について最高レベルの特権が付与されます。管理者特権の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ロールおよびポリシーによるリソースの保護』の「ユーザ、グループ、セキュリティ ロール」を参照してください。

  2. ユーザを myrealm セキュリティ レルムに追加します。

    セキュリティ レルムは、ユーザ名を認証したり、ユーザがアクセスできるリソースの種類を指定したり、WebLogic リソースの他のセキュリティ関連サービスを提供したりするコンポーネント (プロバイダ) の集合です。WebLogic Server は myrealm セキュリティ レルムをインストールして、それをデフォルトで使用します。

    Administration Console では、ユーザをセキュリティ レルムに追加できます。WebLogic Server のインストールしたもの以外の認証プロバイダを使用する場合は、そのプロバイダの管理ツールを使用して管理者特権を持つユーザを少なくとも 1 つ作成する必要があります。

  3. 開発モードでドメインを作成すると、ウィザードによって、管理サーバのルート ディレクトリにある security ディレクトリに起動 ID ファイルが作成されます。起動 ID ファイルには、ユーザ名とパスワードの暗号化バージョンが格納されています。これにより、以後サーバをインスタンス化するときにはログイン プロンプトが回避されます。「起動 ID ファイル」を参照してください。

    プロダクション モードのドメインでは、サーバの起動時にコマンドラインでユーザ資格を入力するように求められます。

起動 ID ファイル

起動 ID ファイルは、WebLogic Server のインスタンスの起動および停止に関するユーザの資格を格納するテキスト ファイルです。管理サーバは、ユーザに資格の提示を求めずに、このファイルを参照してユーザの資格情報を取得できます。起動 ID ファイルでは資格が暗号化されているので、起動スクリプトまたは停止スクリプトに暗号化されていない資格を格納するより、起動 ID ファイルを使用した方が安全性は確保されます。起動 ID ファイルがない場合は、サーバの起動時にユーザ名とパスワードの入力が求められます。

java weblogic.Server コマンドを呼び出すスクリプトで管理対象サーバを起動する場合や、直接 java weblogic.Server コマンドを呼び出す場合、管理対象サーバからでも起動 ID ファイルを参照することができます。管理対象サーバと管理サーバが同じルート ディレクトリを使用する場合、管理対象サーバから管理サーバの boot.properties ファイルを参照できます。管理対象サーバの security ディレクトリに有効な boot.properties ファイルがある場合は、その起動プロセスでデフォルトでこのファイルが使用されます。boot.properties ファイルは、ドメイン内のサーバ インスタンスごとに異なったものにできます。

ノード マネージャを使用して管理対象サーバを起動すると、サーバの起動に使用された資格がノード マネージャによって暗号化され、自動再起動に使用するサーバ固有の boot.properties ファイルに保存されます。このファイルは、DOMAIN_NAME/servers/SERVER_NAME/data/nodemanager にあります。DOMAIN_NAME はドメインを配置したディレクトリの名前であり、SERVER_NAME はサーバの名前です。詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ノード マネージャ管理者ガイド』の「ノード マネージャのコンフィグレーション ファイルとログ ファイル」を参照してください。

以下の節では、起動 ID ファイルの使い方について説明します。

管理サーバの起動 ID ファイルの作成

コンフィグレーション ウィザードを使用して開発モードでドメインを作成すると、暗号化された起動 ID ファイルが管理サーバのルート ディレクトリにある security ディレクトリに作成されます。ドメイン ディレクトリ ファイルの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ドメインのコンフィグレーションについて』の「ドメイン ディレクトリの内容」を参照してください。

管理サーバの起動 ID ファイルが未作成の場合や、ユーザ名とパスワードのプロンプトを回避する場合は、次の手順で起動 ID ファイルを作成します。

  1. 管理サーバを少なくとも 1 回起動し、コマンドラインでユーザの資格を指定します。

    管理サーバの初回の起動プロセスでは、サーバが起動 ID ファイルを使用できるよう事前に用意されていなければならないセキュリティ ファイルが生成されます。

  2. 以下の 2 行をテキスト ファイルに挿入します。

    username=username 
    password=password 
    

    ユーザ名とパスワードの値はデフォルト セキュリティ レルムの認証プロバイダの既存のユーザ アカウントと一致し、サーバを起動および停止するパーミッションを持つロールに属している必要があります。ロールやパーミッションの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ロールおよびポリシーによるリソースの保護』の「ユーザ、グループ、セキュリティ ロール」を参照してください。

  3. ファイルを保存します。

    ファイルを boot.properties としてサーバのルート ディレクトリにある security ディレクトリに保存すると、サーバはそれ以降の起動サイクルで自動的にこのファイルを使用します。詳細については、「サーバ起動時に起動 ID ファイルが使用される仕組み」を参照してください。

    このファイルを使用して初めてサーバを起動すると、サーバはファイルを読み込み、ユーザ名とパスワードの暗号化バージョンでこのファイルを上書きします。

java weblogic.Server コマンドを使用した管理サーバの起動 ID ファイルの作成


注意 :

この手法を使用するのは、コマンドラインから java weblogic.Server コマンドを呼び出す場合のみとしてください。管理サーバの起動にスクリプトを使用する場合は、次の理由により、この節で説明する手法を使用しないことをお勧めします。
  • 起動スクリプト内に暗号化されていないパスワードを格納することが必要となる。

  • スクリプトを実行するたびに、サーバは指定されたユーザの資格で起動し、その後新しい起動 ID ファイルを作成する。


前の節「管理サーバの起動 ID ファイルの作成」の手順を実行する代わりに、コマンドラインで直接 weblogic.Server クラスを呼び出し、Java コマンドに次のオプションを含めることで起動 ID ファイルを作成できます。

-Dweblogic.management.username=username-Dweblogic.management.password=password 
-Dweblogic.system.StoreBootIdentity=true 

これらのオプションにより、サーバ インスタンスは指定されたユーザの資格で起動し、その後それらは boot.properties という名前のファイルに格納されます。

たとえば、次のコマンドは myAdminServer という名前の管理サーバを起動して、起動 ID ファイルを作成します。

java -Dweblogic.management.username=weblogic
-Dweblogic.management.password=welcome1
-Dweblogic.system.StoreBootIdentity=true
-Dweblogic.Name=myAdminServer weblogic.Server 

コマンドラインから直接 weblogic.Server クラスを呼び出す方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server コマンド リファレンス』の「weblogic.Server コマンドライン リファレンス」を参照してください。

管理対象サーバの起動 ID ファイルの作成

管理対象サーバが管理サーバと同じルート ディレクトリを使用する場合、管理サーバと同じ boot.properties ファイルを使用できます。ノード マネージャを使用して管理対象サーバを起動する場合は、起動 ID ファイルを作成する必要はありません。詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ノード マネージャ管理者ガイド』の「ノード マネージャのコンフィグレーション ファイルとログ ファイル」を参照してください。

管理対象サーバ インスタンスの起動 ID ファイルを作成するには、次の手順を行います。

  1. ドメインの管理サーバを起動して、必要なセキュリティ ファイルが管理サーバのドメイン ディレクトリおよびルート ディレクトリの security ディレクトリにあることを確認します。ファイルがない場合は、管理サーバによって生成されます。

    ドメイン ディレクトリ ファイルの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ドメインのコンフィグレーションについて』の「ドメイン コンフィグレーション ファイル」を参照してください。

  2. 以下の 2 行をテキスト ファイルに挿入します。

    username=username password=password 
    

    ユーザ名とパスワードの値はデフォルト セキュリティ レルムの認証プロバイダの既存のユーザ アカウントと一致し、サーバを起動するパーミッションを持つロールに属している必要があります。ロールやパーミッションの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ロールおよびポリシーによるリソースの保護』の「ユーザ、グループ、セキュリティ ロール」を参照してください。

  3. ファイルを保存します。

    ファイルを boot.properties としてサーバのルート ディレクトリにある security ディレクトリに保存すると、サーバはそれ以降の起動サイクルで自動的にこのファイルを使用します。詳細については、「サーバ起動時に起動 ID ファイルが使用される仕組み」を参照してください。

  4. 起動 ID ファイルを作成する、ドメイン内の管理対象サーバごとに、手順 2 と 3 を繰り返します。

    このファイルを使用して初めてサーバを起動すると、サーバはファイルを読み込み、ユーザ名とパスワードの暗号化バージョンでこのファイルを上書きします。

サーバ起動時に起動 ID ファイルが使用される仕組み

サーバ インスタンスは、その起動プロセスで次のように起動 ID ファイルを使用します。

  • サーバの security ディレクトリに有効な boot.properties ファイルがある場合は、その起動プロセスでデフォルトでこのファイルが使用されます。サーバのルート ディレクトリの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ドメインのコンフィグレーションについて』の「サーバのルート ディレクトリ」を参照してください。

  • 別のファイルを指定する場合は (またはサーバの security ディレクトリに起動 ID ファイルを格納しない場合は)、サーバの weblogic.Server 起動コマンドで次の引数を指定できます。

-Dweblogic.system.BootIdentityFile=filename 

filename は、有効な起動 ID ファイルの完全修飾パス名。

startWebLogic スクリプトでこの引数を指定するには、-Dweblogic.system.BootIdentityFileJAVA_OPTIONS 変数の値として追加します。次に例を示します。

set JAVA_OPTIONS=-Dweblogic.system.BootIdentityFile=C:\Oracle\user_domains\mydomain\myidentity.prop 
  • サーバ インスタンスの起動サイクルで起動 ID ファイルを使用しない場合は、サーバの weblogic.Server 起動コマンドで以下のオプションを指定します。

-Dweblogic.management.username=username-Dweblogic.management.password=password 

これらのオプションにより、サーバ インスタンスは、起動 ID ファイルをすべて無視し、起動サイクルで起動 ID ファイルをサーバで使用するようにする、その他の起動オプションをオーバーライドします。


注意 :

サーバ インスタンスの起動にスクリプトを使用する場合は、起動スクリプト内に暗号化されていないパスワードを格納することが必要となるため、この手法を使用しないことをお勧めします。この手法を使用するのは、コマンドラインから直接 weblogic.Server クラスを呼び出す場合のみとしてください。詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server コマンド リファレンス』の「weblogic.Server コマンドライン リファレンス」を参照してください。

  • 起動サイクルでサーバの起動 ID ファイルにアクセスできない場合、サーバはコマンド シェルでユーザ名とパスワードのプロンプトを表示し、メッセージをログ ファイルに書き込みます。

特定のサーバ インスタンスでは、そのインスタンスが作成した起動 ID ファイルのみを使用します。WebLogic Server では、サーバ ルート ディレクトリ間での起動 ID ファイルのコピーはサポートされていません。

たとえば、ServerA を使用して起動 ID ファイルを生成した場合、その起動 ID ファイルは ServerA でのみ使用します。ServerA の起動 ID ファイルを ServerB の security ディレクトリにコピーしないでください。代わりに、「管理サーバの起動 ID ファイルの作成」または「管理対象サーバの起動 ID ファイルの作成」で説明したように ServerB の起動 ID ファイルを作成します。

起動後の起動 ID ファイルの削除

サーバの起動後に起動 ID ファイルを削除する場合は、サーバの weblogic.Server 起動コマンドで次の引数を指定できます。

-Dweblogic.system.RemoveBootIdentity=true 

この引数は、サーバが起動に使用したファイルのみ削除します。たとえば、-Dweblogic.system.BootIdentityFile=c:\secure\boot.MyServer を指定した場合は、サーバのルート ディレクトリに boot.properties というファイルがあっても、boot.MyServer のみが削除されます。別のコマンド シェルを開き、各管理対象サーバの weblogic.Server 起動コマンドで -Dweblogic.system.RemoveBootIdentity=true 引数を指定して、起動 ID ファイルを削除します。

startWebLogic スクリプトでこの引数を指定するには、-Dweblogic.system.RemoveBootIdentity=trueJAVA_OPTIONS 変数の値として追加します。次に例を示します。

set JAVA_OPTIONS=-Dweblogic.system.RemoveBootIdentity=true 

ユーザ weblogic に関する制限事項

WebLogic Server Examples コンポーネントをインストールした場合、デフォルトのユーザ weblogic が作成されます。このユーザには WebLogic Server を起動および停止するパーミッションがあります。デフォルトのパスワードは welcome1 です。ユーザ weblogic のパスワードを変更しても、boot.properties ファイル内にあるこのパスワードが自動的に更新されることはありません。このファイルは DOMAIN_NAME/servers/AdminServer/security ディレクトリにあります。

ユーザ weblogic のパスワードを変更する場合、その後もユーザ名と新しいパスワードで WebLogic Server インスタンスを起動できるようにするには、次のいずれかの回避策を実施します。

  • boot.properties ファイルを削除する。以後、WebLogic Server を起動するたびに、ユーザ名とパスワードの入力を求められます。受け入れられるのは、ユーザ weblogic の変更後のパスワードです。

  • 既存の boot.properties ファイルを変更する。ユーザ名とパスワードを次のように変更します。

    username=weblogic
    password=welcome1
    

    以後、サーバの起動プロセスでは、boot.properties ファイルが再び暗号化されます。


    警告 :

    プロダクション マシンには、WebLogic Server Examples をインストールしないでください。プロダクション マシンにサンプル ソフトウェアやその他の開発ツールを格納しないようにすると、それらを利用する侵入者が WebLogic Server のプロダクション マシンへの部分的なアクセス権を持つおそれを減らせます。

ノード マネージャを使用してサーバを起動するときのユーザ資格の指定

ノード マネージャを使用して管理対象サーバを起動する場合は、Administration Console にあるサーバの [コンフィグレーション|サーバの起動] ページでユーザの資格を指定する必要があります。資格を指定しないと、ノード マネージャはサーバを起動しようとしたときに例外を送出します。

Administration Console またはコンフィグレーション ウィザードで管理対象サーバを作成すると、そのサーバの [コンフィグレーション|サーバの起動] ページにユーザの資格が追加されます。他の WebLogic Server ユーザ アカウントでサーバ インスタンスを実行する場合は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の Administration Console オンライン ヘルプの「管理対象サーバの起動引数のコンフィグレーション」を参照してください。

他の起動タスク

以下の節では、その他の起動タスクについて説明します。

Java クラス ファイルをグローバルに使用可能にする方法

Java クラスを WebLogic Server でグローバルに使用可能にするには、2 つの方法があります。

  • $DOMAIN_DIR/lib 環境変数を設定する。

  • -Dweblogic.ext.dirs 起動オプションを指定する。

いずれかまたは両方の方法を指定できます。両方とも指定する場合は、起動オプションで定義されたクラスの方が優先されます。

いずれの方法も、開発モードでもプロダクション モードでも使用できます。ただし、動的なクラス ローディングは通常、開発環境で使用され、クラスパスの方法はプロダクション環境に適しています。

いずれの場合も、クラスは .jar ファイルにパッケージ化されている必要があります。

管理対象サーバの管理サーバへの接続のコンフィグレーション

java weblogic.Server コマンドを呼び出すスクリプトから管理対象サーバを起動する場合や、java weblogic.Server コマンドを直接呼び出す場合は、管理サーバの適切なリスン アドレスが指定されていることを確認する必要があります。管理対象サーバは、このアドレスを使用して管理サーバからコンフィグレーション情報を取得します。

次の形式でリスン アドレスを指定します。

[protocol://]Admin-host:port 
  1. protocol には、以下のいずれかを指定します。

    • t3

    • t3s

    • http

    • https

      ドメイン全体の管理ポートを使用する場合は、T3S または HTTPS プロトコルを指定する必要があります。値を指定しない場合は、T3 が使用されます。


      注意 :

      使用するプロトコルに関係なく、管理対象サーバのコンフィグレーションの最初のダウンロードは HTTP または HTTPS で行われます。RMI サブシステムが初期化されると、サーバ インスタンスで T3 または T3S プロトコルを使用できるようになります。

  2. Admin-host には、以下のいずれかを指定します。

    • localhost.

      管理サーバと同じコンピュータで管理対象サーバを起動する場合のみ有効です。

    • 管理サーバをホストしているコンピュータの DNS 名

      マルチサーバ ドメインでデモ証明書を使用している場合、完全修飾 DNS 名を指定すると管理対象サーバ インスタンスは起動に失敗します。制限事項や推奨される回避策の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server のセキュリティ』の「CertGen を使用する場合の制限事項」を参照してください。

    • 管理サーバをホストしているコンピュータの IP アドレス

      次のセキュリティ上の問題があるため、プロダクション環境では Admin-host に IP アドレスを使用しないことをお勧めします。

      SSL ポートを通じて管理サーバに接続するために、管理対象サーバは管理サーバのホスト名が URL で指定されたホスト名と一致することを検証します。ホスト名の検証が有効になっている場合で、IP アドレスを指定すると、数値の並びである IP アドレスが文字の並びであるホスト名と一致しないため接続は失敗します。

      セキュリティがそれほど重要でない開発環境では、IP アドレスを指定する SSL 接続が成功するように管理対象サーバでホスト名の検証を無効にできます。『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server のセキュリティ』の「ホスト名検証の使い方」を参照してください。

      管理サーバが他のリスン アドレスを使用するようにコンフィグレーションされている場合は、そのコンフィグレーションされているリスン アドレスを指定する必要があります。

  3. port には、以下のいずれかを指定します。

    • ドメイン全体の管理ポート

      コンフィグレーションされた管理ポートは、ドメインの各管理対象サーバで、ドメインの管理サーバとの通信用に排他的に使用されます。Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の Administration Console オンライン ヘルプの「ドメイン全体の管理ポートのコンフィグレーション」を参照してください。

      ドメイン全体の管理ポートが有効になっている場合は、このポートを指定する必要があります。このポートを使用するには、T3S または HTTPS プロトコルを指定しなければなりません。

    • 管理サーバのデフォルト ネットワーク コンフィグレーションの非 SSL リスン ポート (デフォルトは 7001)

      管理サーバでこのリスン ポートが無効になっている場合は、このリストで説明されている他のリスン ポートのいずれかを使用する必要があります。このポートを使用するには、T3 または HTTP プロトコルを指定しなければなりません。

    • 管理サーバのデフォルト ネットワーク コンフィグレーションの SSL リスン ポート (デフォルトは 7002)。

      管理サーバでこのリスン ポートが無効になっている場合は、このリストで説明されている他のリスン ポートのいずれかを使用する必要があります。このポートを使用するには、T3S または HTTPS プロトコルを指定しなければなりません。

    • 任意指定のカスタム ネットワーク チャネルと関連付けられたポート番号

      ポートが SSL でセキュリティ設定されている場合は、T3S または HTTPS プロトコルを指定する必要があります。

  4. 管理サーバのホスト IP アドレス、ホスト名、およびデフォルト リスン ポートを確認するには、シェル (コマンド プロンプト) で管理サーバを起動します。サーバの起動サイクルが正常に終了すると、次のようなメッセージが他のメッセージと一緒に標準出力に出力されます。

    <Nov 5, 2004 12:16:04 PM EST> <Notice> <Server> <BEA-002613> <Channel "DefaultSecure[2]" is now listening on 127.0.0.1:7012 for protocols iiops, t3s, ldaps, https.>
    ...
    <Nov 5, 2004 12:16:04 PM EST> <Notice> <WebLogicServer> <BEA-000331> <Started WebLogic Admin Server "MedRecServer" for domain "medrec" running in Development Mode>
    

SSL を有効にする手順の詳細については、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の Administration Console オンライン ヘルプの「SSL の設定」を参照してください。ネットワーク チャネルの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server サーバ環境のコンフィグレーション』の「ネットワーク チャネルについて」を参照してください。

WebLogic Server インスタンスの Java オプションの指定

Java オプションを使用すると、WebLogic Server インスタンスを実行する JVM の動作パラメータをコンフィグレーションできます。たとえば、Java オプションを使用して JRockit JVM のパフォーマンスとモニタ機能を調整できます。

Java オプションでは、サーバのコンフィグレーションを一時的にオーバーライドすることもできます。Java オプションは、サーバの現在のインスタンスのみに適用されます。Java オプションはドメインの config.xml ファイルに保存されず、Administration Console では表示されません。たとえば、サーバがポート 7201 でリスンするようコンフィグレーションされている場合に、Java オプションを使用してポート 7555 でリスンするようにサーバを起動できます。その場合も、Administration Console ではサーバがポート 7201 でリスンするようコンフィグレーションされていることが示されます。サーバを次に起動するときに Java オプションを使用しないと、そのサーバはポート 7201 でリスンします。

WebLogic Server スクリプトでサーバを起動する場合は、次の手順を行います。ノード マネージャを使用してサーバを起動する場合、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の Administration Console オンライン ヘルプの「ノード マネージャにより起動されるサーバの Java オプションの設定」を参照してください。

  1. WebLogic Server 起動スクリプトのバックアップ コピーを作成します。

    • 管理サーバを起動するスクリプトの場合は、DOMAIN_NAME\bin\startWebLogic.cmd (UNIX の場合は startWebLogic.sh) をバックアップする。

    • 管理対象サーバを起動するスクリプトの場合は、DOMAIN_NAME\bin\startManagedWebLogic.cmd (UNIX の場合は startManagedWebLogic.sh) をバックアップする。

      DOMAIN_NAME は、ドメインを配置したディレクトリの名前です。デフォルトでは、このディレクトリは MW_HOME\user_projects\domains\DOMAIN_NAME です。

  2. テキスト エディタで起動スクリプトを開きます。

  3. set JAVA_OPTIONS コマンドを編集して、Java オプションを指定します。複数のオプションを指定する場合は、各オプションをスペースで区切り、オプション全体を引用符で囲みます。次に例を示します。

  4. set JAVA_OPTIONS="-Xgc:gencopy -Xns:30"

    詳細については、以下を参照してください。

    • WebLogic Server インスタンスの実行時の動作を設定する Java オプションの詳細については、「weblogic.Server コマンドライン リファレンス」を参照

    • JRockit 仮想マシンでサポートされる Java オプションの詳細については、「Oracle JRockit JDK ドキュメント」ページを参照

    • 他の JVM がサポートする Java オプションについては、その JVM ベンダが提供するドキュメントを参照

  5. 起動スクリプトを保存します。

  6. サーバを起動します。

サーバを実行する JVM の変更

ドメインを作成するときに、そのコンフィグレーションのカスタマイズを選択すると、WebLogic Server がインストールした SDK のリストがコンフィグレーション ウィザードに表示されます。そのリストからドメインを実行する JVM を選択し、ウィザードはその選択に基づいて Oracle 起動スクリプトをコンフィグレーションします。

ドメインを作成した後で、使用する JVM を変更する場合は、次のようにしてスクリプトを変更できます。

  1. JAVA_HOME 変数の値を変更します。

    使用する SDK の最上位ディレクトリの絶対パスを指定します。例 : c:\Oracle\Middleware\jrockit_160_05_R27.6.1-25

    Windows または Linux プラットフォームでは、以下の JVM の使用をお勧めします。

    • 開発モードの場合は、HotSpot Client JVM が付属した Sun SDK。

    • プロダクション モードの場合は、Oracle JRockit SDK。この SDK では最大限の動作パフォーマンスが得られますが、初期の起動サイクルにかかる時間が他の SDK より長い場合があります。

  2. JAVA_VENDOR 変数の値を変更します。

    SDK のベンダを指定します。有効な値は、実行しているプラットフォームによって異なります。詳細については、次の URL で、WebLogic Platform でサポートされるコンフィグレーションのページを参照してください。http://www.oracle.com/technology/software/products/ias/files/fusion_certification.html

    次に例を示します。

    • BEA は、JRockit SDK を使用していることを示す。これは、JRockit をサポートしているプラットフォームでのみ有効。

    • Sun は、Sun SDK を使用していることを示す。

    • HP および IBM は、Hewlett Packard または IBM が提供する SDK を使用していることを示す。これらの値は、HP または IBM の SDK をサポートするプラットフォームでのみ有効。

  3. 実行中のサーバをすべて再起動します。

WebLogic Server のインスタンスの停止

Administration Console を使用して WebLogic Server インスタンスを停止することをお勧めします。Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic·Server の Administration Console オンライン ヘルプの「サーバ インスタンスの停止」、「正常な停止の制御」、および「クラスタ内のサーバの停止」を参照してください。

Windows では、[スタート] メニューからコンフィグレーション ウィザードを使用して作成した管理サーバを停止できます。

停止スクリプトによるサーバの停止

WebLogic Server が提供するコンフィグレーション ウィザードのテンプレートを使用すると、ドメイン ディレクトリの bin ディレクトリに stopWebLogic という名前の管理サーバを停止するための停止スクリプトと、stopManagedWebLogic という名前の管理対象サーバを停止するための停止スクリプトが作成されます。これらのスクリプトを使用するには、SERVER_NAMEADMIN_URLUSERID、および PASSWORD を環境変数として設定するか、またはそれらをコマンドラインで指定する必要があります。stopWebLogic スクリプトの使用時に SERVER_NAME が指定されていない場合、デフォルトでは管理サーバ名が使用されます。

  • 管理サーバの場合のスクリプトの呼び出しは次のとおり。

    DOMAIN_NAME\bin\stopWeblogic.cmd username password admin_url (Windows)

    DOMAIN_NAME/bin/stopWeblogic.sh username password admin_url (UNIX)

  • 管理対象サーバの場合のスクリプトの呼び出しは次のとおり。

    DOMAIN_NAME\bin\stopManagedWeblogic.cmd managed_server_name admin_url username password (Windows)

    DOMAIN_NAME/bin/stopManagedWeblogic.sh managed_server_name admin_url username password (UNIX)


    注意 :

    コマンドラインでは、上記の順序でパラメータを指定します。ユーザ資格は、stopWebLogic.cmd では ADMIN_URL の前に、stopManagedWebLogic.cmd では ADMIN_URL の後に指定します。

JVM の強制停止

各 WebLogic Server インスタンスは、それ専用の JVM で動作します。上記の節で説明した方法でサーバ インスタンスを停止できない場合は、オペレーティング システム コマンドを使用して JVM を強制停止できます。


警告 :

JVM を強制停止すると、サーバは直ちにすべての処理を終了します。セッション データはすべて失われます。サーバが config.xml ファイルへの書き込みを行っている間に管理サーバの JVM を強制停止すると、config.xml ファイルが破損するおそれがあります。

JVM は以下の方法で強制停止できます。

  • サーバを起動したシェル (コマンド プロンプト) がまだ開いている場合は、〔Ctrl〕+〔C〕を押して JVM を強制停止できる。

  • Windows コンピュータでは、タスク マネージャを使用して JVM を強制停止できる。

  • UNIX コンピュータでは、ps コマンドを使用して実行中のすべてのプロセスをリストした後、kill コマンドを使用して JVM を強制停止できる。