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Oracle Fusion Middleware Oracle TopLink開発者ガイド
11gリリース1(11.1.1)
B56246-01
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1 TopLinkの概要

Oracle TopLinkは、オブジェクトの永続性およびオブジェクト・トランスフォーメーションのための高度なフレームワークを提供します。開発やメンテナンスのコストを軽減し、エンタープライズ・アプリケーションの機能を向上させる開発ツールおよびランタイム機能が用意されています。

この章の内容は次のとおりです。

1.1TopLinkとは

Oracle TopLinkは、リレーショナル・データベースに永続オブジェクト指向データを格納する、パフォーマンスの高いアプリケーションを作成します。オブジェクト指向データが、リレーショナル・データまたはeXtensible Markup Language(XML)要素に変換されます。

図1-1 TopLinkラインタイム・アーキテクチャ

TopLinkランタイム・アーキテクチャ
「図1-1 TopLinkラインタイム・アーキテクチャ」の説明

TopLinkでは、効率的で柔軟性の高い、実証されたソリューションを利用することで、本来の業務上の課題に専念しながら、オブジェクトと永続データの間のトランスフォーメーションの機能をアプリケーションに組み込むことができます(1.2項「オブジェクトと永続データのインピーダンス・ミスマッチとは」を参照)。

TopLinkは、広範囲なJava 2 Enterprise Edition(Java EE)およびJavaアプリケーション・アーキテクチャでの使用に適しています(1.4項「TopLinkアプリケーションのアーキテクチャ」を参照)。TopLinkでは、各種データ・ソースと書式をサポートする、オブジェクトの永続化およびオブジェクト・トランスフォーメーションを行うための拡張レイヤーを設計、実装、デプロイおよび最適化できます。次のレイヤーがあります。

TopLinkは、Java EEおよびJava SE環境でEJB 3.0をサポートし、このサポートにはOracle WebLogic Server、OC4J、SunAS、JBoss、IBM WebSphereアプリケーション・サーバーなどの多様なアプリケーション・サーバーとの統合も含まれます。また、OC4JではEJB 2.nのコンテナ管理の永続性(CMP)もサポートしています。

Oracle JDeveloper TopLinkエディタ、Eclipse Dali、Oracle TopLink Workbenchを含め、TopLinkが提供する広範な開発ツールにより、柔軟で効果的なメタデータ形式でのオブジェクトからデータ・ソースへのマッピング、およびオブジェクトからデータ表現へのマッピングをすみやかに取得および定義できます(2.9項「TopLinkメタデータの使用」を参照)。

TopLinkのランタイムでは、このマッピング・メタデータを自分のアプリケーションに活用できます。これには、データ・アクセス、問合せ、(外部トランザクション・コントローラを使用する、および使用しない)トランザクション、キャッシングなどを詳細にサポートできる、シンプルなセッション・ファサードを使用できます。

TopLinkの詳細は、1.3項「TopLinkの主な機能」を参照してください。

1.2 オブジェクトと永続データのインピーダンス・ミスマッチとは

Javaとデータ・ソースの統合は、エンタープライズJavaアプリケーションの作成時には非常に軽視されている問題です。この複雑な問題は、単なるデータ・ソースに対する読取りおよび書込みにとどまりません。データ・ソースの要素には表、行、列、主キー、外部キーがあります。JavaおよびJava EEにはエンティティ・クラス(標準JavaクラスまたはEJBエンティティBean)、ビジネス・ルール、複合リレーションおよび継承があります。非リレーショナル・データ・ソースでは、JavaエンティティをEISレコードまたはXML要素とスキーマに一致させる必要があります。これらの不一致(図1-2に示されています)は、オブジェクトと永続データのインピーダンス・ミスマッチとして知られています。

図1-2 オブジェクトと永続データのインピーダンス・ミスマッチの解決

図1-2の説明が続きます
「図1-2 オブジェクトと永続データのインピーダンス・ミスマッチの解決」の説明

解決を成功させるには、これらの異なるテクノロジ間の橋渡し、およびオブジェクトと永続データのインピーダンス・ミスマッチの解決が必要ですが、これは多くのリソースを要する難しい課題です。この課題を解決するには、Java EEとデータ・ソース要素の間に横たわる次の問題を解決する必要があります。

アプリケーション開発者には、理想的なアプリケーション設計またはデータの整合性を損わずに、Javaアプリケーションとすべてのデータ・ソースを統合できる製品が必要です。また、Java開発者には、リレーショナル・データベースまたは非リレーショナル・データ・ソースをリポジトリとして使用して、ビジネス・ドメイン・オブジェクトを格納(永続化)および取得する機能が必要です。

TopLinkのソリューション

TopLinkは、Javaオブジェクトとデータ・ソースの不一致を解決します。TopLinkは、リレーショナル、オブジェクト・リレーショナル・データ・タイプ、EIS、およびXMLマッピングをシームレスに管理する永続化フレームワークです。これにより、開発者はオブジェクト・テクノロジと各データ・ソースの最もよい面を兼ね備えたアプリケーションを短期間で作成できます。TopLinkでは、次のことが可能です。

1.3 TopLinkの主な機能

TopLinkでは、広範囲にわたる詳細な機能群が用意されています。これらの機能を使用して、スケーラブルでメンテナンスが可能な、高パフォーマンスのエンタープライズ・アプリケーションを短期間で作成できます。

TopLinkの主な機能には、次のものがあります。

詳細は、次のURLでOTNのTopLinkページを参照してください。

http://www.oracle.com/technology/products/ias/toplink/index.html

1.4 TopLinkアプリケーションのアーキテクチャ

3層および2層アーキテクチャを含む様々なアプリケーション・アーキテクチャで(Java EEの有無を問わず)TopLinkを使用することで、リレーショナル・データ・ソースと非リレーショナル・データ・ソースの両方の各種データ・タイプにアクセスできます。

図1-3 TopLinkおよびアプリケーション・アーキテクチャ

図1-3の説明が続きます
「図1-3 TopLinkおよびアプリケーション・アーキテクチャ」の説明

TopLinkをアプリケーション・アーキテクチャに組み込む計画の詳細は、2.2項「TopLinkを使用するアプリケーションの設計」を参照してください。

この項では、TopLinkアプリケーションで使用される次のような一般的なエンタープライズ・アーキテクチャについて説明します。