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Oracle Containers for J2EE構成および管理ガイド
10g(10.1.3.5.0)
B56030-01
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12 OC4JでのMBeanの使用方法

この章では、OC4Jに付属するシステムMBeanを使用して、OC4Jインスタンス内のデプロイ済アプリケーション、サービスおよびその他のリソースを管理する方法について説明します。次の項目が含まれます。

OC4JでのMBeanおよびJava Management Extensions(JMX)のサポート

OC4Jでは、Java Management Extensions(JMX)1.2仕様をサポートします。この仕様は、J2EE環境でリソース(サービス、アプリケーションなど)を管理するための標準インタフェースを作成できるようにします。

Oracle Enterprise Manager 10g Application Server Controlのユーザー・インタフェースは、OC4Jインスタンスの完全管理および監視に使用できるJMX準拠のクライアントに基づいて構築されています。Application Server Controlに提供されているJMX機能は、MBeanとして知られるJavaコンポーネントを使用して有効化されます。MBeanについては、次の項で説明します。

OC4J内のJMX管理が可能なリソースには、次のものがあります。

この項の内容は次のとおりです。

MBeansの概要

MBeanマネージドBean)は、JMX管理が可能なリソースを表すJavaオブジェクトです。MBeanは、Sun社が公開しているJ2EE 1.4仕様の一部であるJ2EE Management仕様(JSR-77)に定義されています。

OC4J内の管理可能なリソースは、それぞれ対応するMBeanのインスタンスによって管理されます。たとえば、OC4Jの起動時に、J2EESWebSite MBeanのインスタンスは、サーバー内で構成された各Webサイトを表すために作成されます。

OC4Jに付属する各システムMBeanは、システムMBeanブラウザからアクセスできる管理インタフェースを公開します。MBeanのインタフェースは、次のもので構成されます。

  • 属性: JMXクライアントでリモートに取得または設定できるタイプの名前/値ペア。属性は、Enterprise JavaBeans(EJB)モジュールに設定されるプロパティに似ています。たとえば、J2EEApplication:petstore MBeanのstate属性は、アプリケーションが現在稼働しているかどうかを示します。

  • 操作: JMXクライアントがMBeanで起動できるメソッド。たとえば、stop操作は、petstoreアプリケーションとすべての子アプリケーションを停止するために使用できます。

  • 通知: 新規アカウントの作成時などに、生成されるブロードキャスト・エラーまたは特定のイベントです。たとえば、通知を送信して、petstoreアプリケーションが停止していることを警告できます。

前述したように、Application Server Controlのアプリケーションは、システムMBeanに基づいて構築されています。ユーザー・インタフェースでプロパティを設定したりタスクを実行する場合、実際には基礎となるMBeanで属性を設定したり操作を起動します。

柔軟性を高めるために、Application Server Controlでは、システムMBeanブラウザのコンポーネントを使用して、OC4Jに付属するシステムMBeanに直接アクセスできるようにもしています。この管理ツールの使用方法は、「システムMBeanブラウザの使用方法」を参照してください。

トップレベルのOC4JシステムMBeanの概要

次の表に、システムMBeanブラウザのインタフェースを介して公開されるトップレベルのOC4JシステムMBeanの概要を示します。

表12-1 トップレベルのOC4JシステムMBean

MBean 説明

J2EEDomain

管理ドメインを表します。これは、トップレベルの管理オブジェクトです。このドメインにバインドされたその他すべてのMBeanは、システムMBeanブラウザでこのノードの下に表示されます。

J2EEServer

単一のOC4Jインスタンスを表します。

ClassLoading

OC4Jインスタンス内のクラスのロードに関連するすべての状態にアクセスできるようにします。稼働しているOC4Jインスタンスでのクラスのロードに関する問題のトラブルシューティングを支援するために用意された15を超える組込み問合せを実行する操作が含まれます。

このMBeanは、それぞれインスタンス化されたクラス・ローダーを表すClassLoader MBeanのインスタンスを遅れて作成します。

EJBCompiler

EJBのデプロイ時に、クライアント・サイドのIIOPスタブを生成するように、OC4Jインスタンスを構成します。また、EJBモジュールのコンパイルに使用するコンパイラの指定にも使用されます。

J2EEApplication

OC4JインスタンスにデプロイされるJ2EEアプリケーションを表します。

追加のMBeanインスタンスは、アプリケーションの様々なコンポーネントを表す子ノードとして表示されます。

  • OC4JWebModule: J2EEアプリケーションの一部としてデプロイされたWebモジュール用に生成されるOC4J固有のorion-web.xmlデプロイメント・ディスクリプタを使用して設定されるプロパティを表します。

  • WebModule: WARファイルにパッケージされるJ2EE web.xmlデプロイメント・ディスクリプタを使用して設定されるプロパティを表します。JSP MBeanおよびServlet MBeanのインスタンスは、Webモジュール内のアクティブなJSPおよびサーブレット用に作成されます。

J2EELogging

j2ee-logging.xmlファイルに定義されるJavaログ出力コンポーネントを表します。Javaロギング・フレームワークの概要(ログ・レベルを含む)は、Sun社のサイトhttp://java.sun.com/j2se/1.4.2/docs/guide/util/logging/overview.htmlを参照してください。

J2EEWebSite

OC4Jサーバー内で定義されたWebサイトを表します。Webサイト構成の詳細は、第13章「OC4JでのWebサイトの管理」を参照してください。

JDBCDriver

特定のJDBCドライバを表します。

JMSAdministratorResource

OC4Jインスタンスで使用されるOC4J JMSサーバーを表します。OC4J JMSサーバーおよびJMSコネクション・ファクトリの管理の他、接続先の追加/削除のための操作が含まれます。

JMSResource

JMSサーバーのメッセージ(タイプ別)、アクティブなハンドラ、アクティブな接続に関する統計を表示します。子MBeanには、接続、接続先および永続サブスクライバ・リソースに関する統計が含まれます。

JNDINamespace

OC4Jインスタンスにデプロイされたすべてのアプリケーションに対するJNDIバインディングがすべて格納されるXML文書を返します。

JNDIResource

特定のアプリケーションに対するJNDIバインディングをすべて返します。

JSPConfig

OC4J JSPコンテナを構成します。様々な構成値の詳細は、『Oracle Containers for J2EE JavaServer Pages開発者ガイド』を参照してください。MBean属性に加えられた変更を有効にするには、OC4Jサーバーを再起動する必要があります。

JTAResource

トランザクション・マネージャのインスタンスを表します。このMBeanでconfigureCoordinator操作を起動するには、OC4Jサーバーを再起動して新しい2フェーズ・コミット・コーディネータの構成を有効にする必要があります。

JVM

OC4Jインスタンスが稼働するJava仮想マシンを記述します。システム・プロパティを取得/設定し、ガベージ・コレクションを強制起動する操作が含まれます。

SecurityProvider

特定のアプリケーションのセキュリティ管理に使用されます。一部の属性および操作を有効にするために、対応するアプリケーションまたはOC4Jサーバーを再起動する必要があります。

TaskManager

OC4Jタスク・マネージャのインスタンスを記述します。このMBeanは、タスク・マネージャの精度の設定に使用されます。

ThreadPool

単一のインスタンス化されたスレッド・プールを表します。プール内のスレッドの最大数および最小数の設定に使用します。

TimerService

EJBタイマーのインスタンスを表します。詳細は、『Oracle Containers for J2EE Enterprise JavaBeans開発者ガイド』を参照してください。


MBeanを介して加えた変更を有効にする時期

コンポーネントの停止中または稼働中に、MBeanを介して管理コンポーネントを変更できます。

一般に、管理コンポーネントに加えた変更(属性に設定される値または操作の結果)は、OC4Jランタイムですぐに使用できます。

しかし、場合によっては、新しい属性値または操作結果をOC4Jランタイムで使用できるようにするために、OC4Jサーバー、影響を受けるアプリケーション、あるいはMBeanまで再起動する必要があります。このような場合、MBeanおよびApplication Server Controlには新しい値が表示されますが、必要な再起動が完了するまで、古い値はOC4Jランタイムで引き続き使用されます。

たとえば、JSPConfig MBeanのtimeout属性の値を30から15に変更するとします。新しい値の15は、MBeanとApplication Server Controlの「JSPコンテナのプロパティ」ページの両方に表示されます。しかし、JSPConfig属性に対するすべての変更にはOC4Jサーバーの再起動が必要であるため、サーバーが再起動されるまで古い値の30が引き続き使用されます。

再起動が必要な場合、システムMBeanブラウザには必須アクションを示す必要な再起動プロパティが表示されます。表12-2に、このプロパティの値を示します。

表12-2 必要な再起動プロパティの値

影響

OC4Jの再起動

OC4Jインスタンスを再起動する必要があることを示します。

アプリケーションの再起動

MBeanが登録されているJ2EEアプリケーションを再起動する必要があることを示します。このカテゴリに属するMBeanは、コンソールの左側のナビゲーション・ペインでJ2EEApplicationノードの下に表示されます。

MBeanの再起動

影響を受けるMBeanを再起動する必要があることを示します。


変更は、MBeanレベルではなく、個々の属性/操作レベルで管理されます。つまり、MBeanには、新しい値をランタイムで使用できるようにするために再起動が必要な属性と、すぐに使用できるようになるその他の属性を含めることができます。

MBeanデータの永続性

MBeanを介して設定される永続データは、対応するXML構成ファイルに書き込まれます。たとえば、JSPConfig MBeanの属性に設定された新しい値は、global-web-application.xml構成ファイルに書き込まれます。

MBeanがデータを保持するかどうかは、システムMBeanブラウザに表示される「永続ポリシー」プロパティによって示されます。

表12-3 「永続ポリシー」プロパティの値

影響

更新時

MBeanに設定された永続データは、属性の変更が適用されるときや操作が起動されるときに、対応する構成ファイルに即時書き込まれます。

行わない

MBeanに設定されたデータは保持されず、ランタイム・メモリーにのみ存在します。


システムMBeanブラウザの使用方法

システムMBeanブラウザは、WebベースのApplication Server Controlのユーザー・インタフェースのコンポーネントで、比較的簡単に使用できます。この機能を使用するには、次のようにします。

  1. Application Server Controlを起動します。

  2. 「管理」リンクをクリックします。

  3. 「システムMBeanブラウザ」をクリックします。

  4. 特定のMBeanインスタンスには、コンソールの左側のナビゲーション・ペインからアクセスします。ナビゲーション・ペインでノードを開き、アクセスするMBeanまでドリルダウンします。

  5. 右側のペインで、「属性」タブをクリックして選択したMBeanの属性にアクセスします。属性値を変更した場合は、「変更を適用」ボタンをクリックしてOC4Jランタイムに変更を適用します。


    注意:

    「変更を適用」ボタンは、ブラウザのページに変更可能な値を持つ属性が1つ以上表示される場合にのみ表示されます。

  6. 「操作」タブをクリックしてMBeanの操作にアクセスします。特定の操作を選択した後、「起動」ボタンをクリックしてコールします。

JMX通知のサブスクライブ

OC4Jに付属する多くのシステムMBeanには、MBeanによって登録された状態の変更によってトリガーされる通知を生成する機能があります。この項では、MBean生成の通知をサブスクライブおよび表示する方法について説明します。

すべてのMBeanが通知を生成するわけではありません。

システムMBeanブラウザまたは「通知サブスクリプション」ページから、通知をサブスクライブできます。

システムMBeanブラウザから1つ以上のMBeanの通知をサブスクライブするには、次のようにします。

  1. Application Server Controlで「管理」リンクをクリックします。

  2. 「システムMBeanブラウザ」をクリックします。

  3. 特定のMBeanインスタンスには、コンソールの左側のナビゲーション・ペインからアクセスします。ナビゲーション・ペインでノードを開き、アクセスするMBeanまでドリルダウンします。

  4. 右側のペインで、「通知」タブをクリックして選択したMBeanの通知にアクセスします。このタブが表示されない場合は、このMBeanは通知を生成しません。

  5. 「サブスクライブ」ボックスを選択します。

  6. 「適用」ボタンをクリックします。

「通知サブスクリプション」ページから複数のMBeanによって生成される通知をサブスクライブするには、次のようにします。

  1. Application Server Controlで「管理」リンクをクリックします。

  2. 「通知サブスクリプション」アイコンをクリックします。通知を生成するMBeanがすべて表示されます。

  3. サブスクライブする通知ごとに「サブスクライブ」を選択します。

  4. 「適用」ボタンをクリックします。

アプリケーション固有のMBeanの使用方法

J2EEアプリケーションとともにOC4Jにデプロイされるベンダー提供のMBeanには、Application Server Controlのユーザー・インタフェースのアプリケーションのホームページからアクセスできます。OC4JシステムMBeanと同様に、ユーザー・インタフェースを介して、アプリケーション固有のMBeanで属性の表示および設定と、操作の起動ができます。

  1. Application Server Controlで「アプリケーション」リンクをクリックします。

  2. MBeanが属するアプリケーションの名前をクリックします。これにより、アプリケーションのホームページが開きます。

  3. 「アプリケーション定義のMBeans」リンクをクリックします。アプリケーションによって定義されたMBeanがページにリスト表示されます。

  4. 右側のペインで、「属性」タブをクリックして選択したMBeanの属性にアクセスします。属性値を変更した場合は、「変更を適用」ボタンをクリックしてOC4Jランタイムに変更を適用します。


    注意:

    「変更を適用」ボタンは、ブラウザのページに変更可能な値を持つ属性が1つ以上表示される場合にのみ表示されます。

  5. 「操作」タブをクリックしてMBeanの操作にアクセスします。特定の操作を選択した後、「起動」ボタンをクリックして実行します。