Oracle Application Serverは、Oracle Application Server Adapter for VSAM(OracleAS Adapter for VSAM)を介して仮想記憶アクセス方式(VSAM: Virtual Storage Access Method)システムに接続します。OracleAS Adapter for VSAMは接続性を提供し、VSAMシステム上で相互作用を実行します。この項では、OracleAS Adapter for VSAMの機能とアーキテクチャの概要について説明します。
この項の構成は、次のとおりです。
OracleAS Adapter for VSAMは、VSAMを単純なデータベースとSQLフロント・エンドとしてモデル化します。このアダプタは、データソースおよびIBM OS/390またはz/OSシステムに固有です。ダイレクト・アクセスを提供するため、パフォーマンスが向上します。
OracleAS Adapter for VSAMには、次の機能が含まれています。
VSAMのメタデータ・スキーマを取得および保持する機能。COBOLコピーブックをIBM z/OSシステムにインポートしてOracle Connect for VSAMのマッピング定義に変換し、特定の物理ファイルを備えたデータ構造を関連付けます。
本格的なクエリー・プロセッサおよびオプティマイザの機能。配列などのVSAMデータ型を完全にサポートするVSAMデータに対してSQLを実行します。
エンタープライズ・アプリケーション統合(EAI)モデルを使用する機能。アプリケーションをリクエストするユーザーが、各相互作用の内容と発生時期、および各相互作用に想定される入出力を指定することで、実装する相互作用をモデル化できます。
Oracle Application Server内からVSAMデータへのアクセスを容易にするデータ構造のマッピング機能。
入力レコードを形成するパラメータ、およびXML文書に集計されて出力レコードを形成する出力(出力がある場合)を備えたパラメータ化されたSQLとして相互作用を実装する機能。
CICS管理のVSAMデータにアクセス、またはVSAMデータに直接アクセスできる機能。
CICS管理のグローバル・トランザクションをサポートし、分散トランザクションに完全に関与できる機能。
VSAMは、S/370およびVS(Virtual Storage)で最初に使用されたIBM社のディスクのファイル記憶体系です。VSAMは、次の3種類のアクセス方法で構成されます。
キー順データ・セット(KSDS: Keyed Sequential Data Set)索引付きファイル
相対レコード・データ・セット(RRDS: Relative Record Data Set)相対ファイル
入力順データ・セット(ESDS: Entry Sequenced Data Set)順次ファイル
これらのVSAMアクセス方法は、アダプタによってサポートされます。
VSAMには、その種類(KSDS、RRDS、ESDS)と索引定義(KSDSのみ)に関する情報は含まれていますが、組込みメタデータ・スキーマはありません。VSAMは、COBOLプログラムによって、スタンドアロン(バッチ・プラグラムとも呼ばれます)またはCICSトランザクションで使用されます。VSAMレコード定義は、通常、COBOLコード内にCOBOLコピーブックとして保持されます。
OracleAS Adapter for VSAMには、次のコンポーネントが含まれています。
J2CA 1.5 VSAMアダプタ: J2CA VSAMアダプタは、J2EEコンポーネントとの接続性を提供するJ2EE Connector Architectureに準拠している標準のリソース・アダプタです。
Oracle Connect: Oracle Connectは、レガシー・システム上で動作し、Oracle Application Server Containers for J2EE(OC4J)内で動作するJ2CA 1.5 VSAMアダプタからのリクエストを処理します。
Oracle Studio: Oracle StudioはOracle Connectの構成ツールです。Oracle Studioを使用する構成タスクは、WindowsまたはLinuxのコンピュータで実行されます。Oracle Studioは、OracleAS Adapter for VSAMのモデル化に必要な特定の情報を生成できるパースペクティブを使用します。
次の図は、OracleAS Adapter for VSAMのコンポーネントを示しています。
J2CA 1.5 VSAMアダプタは、Oracle Application Serverから受け取ったJ2CA相互作用の起動をXMLフォーマットに変換し、XMLフォーマットをレガシー・サーバー上のOracle Connectに渡します。デーモンは、J2CA 1.5 VSAMアダプタ・クライアントから着信するリクエストをリスニングし、リクエストを処理するためにサーバー・プロセスに割り当てます。接続プーリングの要件など、サーバー・プロセスのプロパティは、デーモン内のワークスペース定義によって設定されます。サーバー・プロセスにはアプリケーション・エンジンのインスタンスが含まれています。このインスタンスがXMLフォーマットをVSAMで理解できる固有の構造に変換し、バックエンド・アダプタに渡します。バックエンド・アダプタは、リポジトリに格納されているバックエンド・アダプタのメタデータとXMLから変換された着信データに基づいて相互作用を作成し、その相互作用をレガシー・アプリケーションに渡します。この実行の結果は、バックエンド・アダプタを使用してアプリケーション・エンジンに戻されます。結果は、XMLに変換され、クライアントに渡されます。