この章では、マルチ言語環境でOracle Access Managerをインストールする場合に、ホスト・コンピュータを設定する方法について説明します。Oracle Access Managerの一般的な動作は、英語のみのインストールでもマルチ言語を含むインストールでも同じです。次の項目について説明します。
注意: マイナー・リリース(10g(10.1.4.2.0)および10g(10.1.4.3))で追加された新機能のメッセージの一部は翻訳されておらず、英語のみで表示される可能性があります。 |
動作の概要は、『Oracle Access Manager概要』を参照してください。
言語パックを使用せずにOracle Access Managerをインストールする場合、管理者およびエンド・ユーザー向け製品メッセージの表示に使用される言語は英語のみです。オラクル社提供の言語パックを使用してインストールすると、管理アクティビティのデフォルトとして使用される管理者用の言語を選択できます。管理者のデフォルトに選択する言語(ロケール)およびインストールするその他の言語パックに関係なく、英語は常にインストールされます。
注意: 「言語パックを使用したインストール」で説明しているように、コンポーネントのインストール中にオラクル社提供の言語パックを1つ以上含めることができます。また、第12章「言語パックの個別インストール」で説明しているように、コンポーネントをインストールした後で言語パックをインストールすることもできます。 |
管理情報は、インストールした管理者用の言語のみで表示されます。管理ページが管理者用にサポートされていない言語でリクエストされた場合(ブラウザの設定に基づいて)、そのページの表示には、製品のインストール中に管理者用のデフォルト言語として選択された言語が使用されます。言語の詳細は、『Oracle Access Manager概要』を参照してください。
静的製品ページ(/identity/oblix/index.htmlおよび/access/oblix/index.html)では、アイデンティティ・サーバーおよびアクセス・サーバーのインストール時にこの場所で選択した管理者用のデフォルト言語が常に使用されます。
エンド・ユーザーに対しては、Oracle Access Managerは、エラー・メッセージや、タブ、パネルおよび属性の表示名などの静的アプリケーション・データを、インストールされたエンド・ユーザーの言語で表示することが可能です。言語パックをインストールした後、使用するすべての言語を有効にしてから、属性、タブおよびパネルの表示名を入力して、インストールした言語を使用するOracle Access Managerを構成する必要があります。言語を有効にする詳細は、『Oracle Access Manager IDおよび共通管理ガイド』を参照してください。
英語(AMERICAN)のオペレーティング・システムを実行しているコンピュータにOracle Access Managerをインストールする場合、インストールおよび設定のメッセージは英語で表示されます。英語(AMERICAN)以外の対応言語のオペレーティング・システムを実行しているコンピュータにインストールする場合は、インストール・メッセージはオペレーティング・システムのロケールで表示され、設定メッセージはコンポーネントのインストール中に管理機能のデフォルト・ロケールに選択した言語で表示されます(オラクル社提供の言語パックをインストールしている場合)。
注意: インストール中のコンピュータが、英語(AMERICAN)以外の言語、アメリカ以外の地域、およびASCII以外のキャラクタ・セットを指定するオペレーティング・システムで実行している場合は、次に「コマンドライン・ツールの環境変数の設定(オプション)」を確認してください。 |
デフォルトでは、各コンピュータのコンソールはオペレーティング・システムのロケールおよびキャラクタ・セットをサポートしています。また、UTF-8などの他の文字コードをサポートしている場合もあります。
Oracle Access Manager 10.1.4コンソール・ベースのコマンドライン・ツールでは、英語以外の言語およびアメリカ以外のロケールによるデータ(国際化されたデータ)を処理する場合に使用する言語を決定する様々な環境変数を自動的に検出して使用します。
注意: 言語およびキャラクタ・セットを指定する環境変数が設定されていない場合、Oracle Access Managerコマンドライン・ツールでは、言語に英語(AMERICAN)、地域にアメリカ(AMERICA)およびキャラクタ・セットにASCII(US7ASCII)を使用します。この場合、Oracle Access Managerコマンドライン・ツールでは、英語以外の言語およびアメリカ以外のロケールによるコマンドライン入力は、適切に処理されない場合があります。 |
次の環境変数を設定すると、自動検出機能を無効化して、優先する言語を指定できます。
LANG: サーバーのネイティブ言語、ローカル・カスタム、コード化キャラクタ・セット(サーバーが使用する言語およびキャラクタ・セットで、ロケールとも呼ばれる)の設定に使用できるUNIXシステムの環境変数です。LANGを設定すると、Oracle Access Managerコンソール・ベースのコマンドライン・ツールでは、この変数で指定した言語およびキャラクタ・セットが使用されます。
NLS_LANG: この変数を設定すると、Oracle Access Managerコマンドライン・ツールの自動検出機能が無効化され、Oracleアプリケーション(Oracle Access Managerを含むがこれに限定されない)によって入力および表示されるデータに優先する言語およびキャラクタ・セットが指定されます。
COREID_NLS_LANG: この変数を設定すると、自動検出機能が無効化され、Oracle Access Managerおよびそのコマンドライン・コンソールのみによって入力および表示されるデータに使用する言語および地域が設定されます。
目的のホスト・コンピュータが、AMERICAN以外の言語、AMERICA以外の地域およびUS7ASCII以外のキャラクタ・セットを指定するサポート対象のオペレーティング・システムを実行している場合、自動検出機能はOracle Access Managerコマンドライン・ツールのサーバーのロケールを確認して使用します。ただし、設定時、NLS_LANGはLANGに優先し、COREID_NLS_LANGはNLS_LANGに優先します。
つまり、NLS_LANGおよびCOREID_NLS_LANGは、サーバーのロケールのOracle Access Manager自動検出を無効にし、コマンドライン引数として渡されたデータおよびコンソールのキャラクタ・セット・エンコーディングからの同等のデータを、Oracle Access Manager内で使用されるUTF-8エンコーディングに変換します。これによって、Oracle Database ServerなどにNLS_LANGを設定でき、また、COREID_NLS_LANGを設定して、同一コンピュータ上でこれらの製品が実行している場合にOracle Access Managerコマンドライン・インタフェースの適切な操作を有効化できます。
NLS_LANGまたはCOREID_NLS_LANGが指定するキャラクタ・セットは、クライアント・アプリケーションの設定に反映されている必要があります。Oracle Access Managerの場合、クライアント・アプリケーションとはコンソールおよびコマンドライン・ツールで、Oracle Access Managerの構成、ポリシーおよびユーザー・データでディレクトリ・サーバー・スキーマを更新したり、Webサーバーの構成を変更したり、Windowsプラットフォーム上のアイデンティティ・サーバーおよびアクセス・サーバーのサービスを作成したり、ポリシー・マネージャにアクセス・サーバーを登録する操作やその他の操作を実行するためにインストール中に起動されます。管理者はいつでも起動できます。
NLS_LANGおよびCOREID_NLS_LANGは、次の書式(記号を含む)で指定されている3つのコンポーネントで構成されています。
NLS_LANG = language_territory.charset COREID_NLS_LANG = language_territory.charset
次に例を示します。
NLS_LANG = FRENCH_CANADA.WE8ISO8859P1 COREID_NLS_LANG = JAPANESE_JAPAN.JA16EUC
NLS_LANGおよびCOREID_NLS_LANGの各コンポーネントは、グローバリゼーション・サポート機能およびローカライゼーション・サポート機能のサブセットの操作を制御します。
language
は、Oracleメッセージ、ソート、曜日名および月名に使用する言語などの表記規則を指定します。対応言語にはそれぞれ、AMERICAN、FRENCH、GERMANなどのように一意の名前が付けられています。言語の引数は、地域およびキャラクタ・セットの引数のデフォルト値を指定します。言語が指定されていない場合は、デフォルト値はAMERICANになります。
_territory
は、日付、通貨、数値などのデフォルトの書式の表記規則を指定します。サポート対象の地域にはそれぞれ、AMERICA、FRANCE、CANADAなどのように一意の名前が付けられています。地域が指定されていない場合は、地域の値は言語の値に基づきます。
.charset
は、クライアント・アプリケーションが使用するキャラクタ・セット(通常は、ユーザーの端末のキャラクタ・セットまたはオペレーティング・システムのキャラクタ・セットに対応するOracleのキャラクタ・セット)を指定します。サポート対象のキャラクタ・セットにはそれぞれ、US7ASCIIやJA16EUCなどのように一意の頭字語が付けられています。各言語には、言語に関連付けられたデフォルトのキャラクタ・セットがあります。
たとえば、データベースのキャラクタ・セットがAL32UTF8、クライアントがWindowsオペレーティング・システム上で実行している場合、クライアントのキャラクタ・セットにAL32UTF8を設定しないでください。NLS_LANGまたはCOREID_NLS_LANGは、クライアントのコード・ページを反映する必要があります。たとえば、英語のWindowsクライアント上でコード・ページは1252で、適切な設定は、AMERICAN_AMERICA.WE8MSWIN1252です。
UNIXおよびWindowsのプラットフォーム上では、NLS_LANGおよびCOREID_NLS_LANGは、ローカル環境変数として設定される必要があります。
NLS_LANGの詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。
Windowsシステムでは、コード体系(キャラクタ・セット)はコード・ページで指定されます。コード・ページは、共通記述システムを共有する特定の言語または言語グループをサポートするために定義されます。オラクル社では、コード・ページとキャラクタ・セットという用語は同義であるとみなします。中国語、日本語、韓国語以外の環境では、WindowsのGUIおよびDOSのコマンド・プロンプトは同じコード・ページを使用しません。
注意: NLS_LANGの詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。 |
NLS_LANGおよびCOREID_NLS_LANGの設定の手順
「スタート」メニューから、「ファイル名を指定して実行」を選択します。
コマンド・ウィンドウで、cmd
を入力してから「OK」をクリックします。
コマンド・プロンプトで、使用中のシステムに適した環境変数を入力します。次に例を示します。
C:\>set COREID_NLS_LANG = JAPANESE_JAPAN.JA16EUC
必要に応じて、名前NLS_LANGを持つエントリを検索して編集します。
前述のように、Oracle Access Managerコンソール・ベースのコマンドライン・ツールでは、英語以外の言語およびアメリカ以外のロケールによるデータ(国際化されたデータ)を処理する場合、サーバーのロケールを自動的に検出して使用します。UNIXのLANG環境変数を設定したり(UNIXドキュメントを参照)、OracleのNLS_LANG環境変数およびCOREID_NLS_LANG環境変数を設定すると(この章を参照)、自動検出機能を無効化して、優先する言語を指定できます。UNIXシステムでは、他の環境変数を設定する場合と同じように設定します。メソッドは、bash、csh、shなどのシェルによって異なります。
注意: NLS_LANGの詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。 |
オラクル社提供の言語パックを使用せずにOracle Access Managerをインストールすると、エンド・ユーザーおよび管理者用の情報の言語は英語に設定されます。オラクル社提供の言語パックを1つ以上使用してOracle Access Managerをインストールすると、Oracle Access Managerアプリケーションをローカライズし、エラー・メッセージや、タブ、パネルおよび属性の表示名などの静的データを、エンド・ユーザーの言語でエンド・ユーザーに表示できます。
注意: Oracle Access Managerでは、中国語や日本語などのマルチバイト言語のUTF-8エンコーディングをサポートし、また、双方向言語もサポートしています。ユーザーおよび管理者用の情報で使用可能な言語の完全なリストは、『Oracle Access Manager概要』を参照してください。特定の言語パックに関する情報は、オラクル社にお問い合せください。 |
言語パックのインストーラは、Oracle Access Managerインストール・メディアで入手できます。オラクル社がサポートする(言語パックを必要としない英語以外の)各言語には、アイデンティティ・システム用に1つの言語パック・インストーラ、アクセス・システム用に1つの言語パック・インストーラが用意されています。たとえば、アイデンティティ・サーバー上に言語パックをインストールする場合、WebPass上にも言語パックをインストールする必要があります。アクセス・システムがある場合は、アクセス・システムのインストーラを使用して言語パックをインストールする必要があります。
コンポーネントのインストーラは、サイレント・モードで言語パックのインストーラを呼び出し、同時に言語パックのインストールを実行します。インストールする各コンポーネントには、適切な言語パックを実行する必要があります。たとえば、アイデンティティ・サーバーおよびWebPassインスタンスのインストール時にはアイデンティティ・システムの言語パック・インストーラを使用し、アクセス・サーバー、WebGateおよびポリシー・マネージャのコンポーネントにはアクセス・システムの言語パック・インストーラを使用します。
後述の概要では、Oracle Access Managerコンポーネントをインストールする場合に言語パックのインストールが必要な手順について説明しています。第12章「言語パックの個別インストール」で説明されているように、Oracle Access Managerのインストールおよび設定後に個別に言語パックをインストールすることも選択できます。どちらの場合でも、後述のタスクを完了している必要があります。
注意: Oracle Access Manager 10g(10.1.4.3)には、言語パックのインストーラが用意されています。10g(10.1.4.3)のコンポーネントでは、以前の言語パックは使用できません。 |
Oracle Access Managerとともに言語パックをインストールする準備の手順
インストール前に、目的の言語パックのインストーラを、コンポーネントのインストーラと同じ一時ディレクトリに移動します。次に例を示します。
UNIX: 各言語パックに実行権限があることを確認した後でメイン・インストーラを起動します。次に例を示します。
chmod +x " Oracle_Access_Manager10_1_4_3_0_FR_sparc-s2_LP_Identity_System" chmod +x " Oracle_Access_Manager10_1_4_3_0_JA_sparc-s2_LP_Identity_System" chmod +x " Oracle_Access_Manager10_1_4_3_0_DE_sparc-s2_LP_Identity_System" chmod +x " Oracle_Access_Manager10_1_4_3_0_FR_sparc-s2_LP_Access_System" chmod +x " Oracle_Access_Manager10_1_4_3_0_JA_sparc-s2_LP_Access_System" chmod +x " Oracle_Access_Manager10_1_4_3_0_DE_sparc-s2_LP_Access_System"
コンポーネントのインストール中、管理者用の言語のデフォルト・ロケールおよびその他のロケールを選択します(検出された言語パックのインストーラに基づいて一覧表示されます)。
インストール後、使用するすべての言語を有効にしてから、(属性、タブおよびパネルの表示名をオブジェクト・クラス・レベルで)入力して、インストールした言語を使用するOracle Access Manager製品アプリケーションを構成する必要があります。詳細は、『Oracle Access Manager IDおよび共通管理ガイド』を参照してください。
インストール中、次のプロセスが自動的に実行されます。
「言語のディレクトリ」で説明されているように、/langTagフォルダが、インストールされた各言語のcomponent_install_dir/oblix/langディレクトリ内に作成されます。
インストールされた各言語の言語エントリが、obid=langTag and configDN
のように、LDAPディレクトリの構成ノードの下に含まれます(ここでconfigDN
はディレクトリの構成DNです)。
\component_install_dir\identity|access\oblix\configにあるobnls.xml構成ファイルが、インストールされた各言語に対して(次に示すように)更新されます。ドイツ語(de-de)および日本語(js-jp)の言語パックがインストールされています。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?> - <ParamsCtlg xmlns="http://www.oblix.com" CtlgName="obnls.xml"> - <CompoundList xmlns="http://www.oblix.com" ListName=""> - <SimpleList> <NameValPair ParamName="default" Value="en-us" /> </SimpleList> - <ValList xmlns="http://www.oblix.com" ListName="languages"> <ValListMember Value="en-us" /> <ValListMember Value="de-de" /> <ValListMember Value="ja-jp" /> </ValList> ... </CompoundList> </ParamsCtlg>
注意: 言語パックを削除する詳細は、「Oracle Access Managerコンポーネントのアンインストール」を参照してください。言語の問題のトラブルシューティングを行う必要がある場合は、「言語の問題」を参照してください。 |
リリース6.5のリリースから、静的情報をユーザーのネイティブ言語でユーザーに表示できる言語パックの追加に対応するため、新しいディレクトリ構造が導入されました。Oracle Access Managerでは、Oracle National Language Support Libraryの自動インストール中、各コンポーネントに\oblix\oracle\nlstrlという名前の新しいディレクトリが作成されます。
OracleAccessManager\access
OracleAccessManager\identity
OracleAccessManager\webcomponent
Oracle Access Managerが内部的に使用するグローバリゼーション・ファイルは、\oblix\Oracleの下のアイデンティティ・サーバーのインストール・ディレクトリに格納されます。
注意: NetPointは、Oracle Access Managerの最上位のファイル・システム・ディレクトリに割り当てられたデフォルト名です。ただし、これはインストール・プロセス時に任意の名前に変更できます。このマニュアルでは、\OracleAccessManagerを含むパス名、およびcomponent_install_dir\への参照が使用されています。 |
Oracle Access Managerのインストールには、\langという名前のディレクトリが含まれ、このディレクトリには、インストールされた各言語の名前付きサブディレクトリが含まれます。たとえば、\lang\ en-usには、すべてのインストール時に含まれる英語固有のディレクトリおよびファイルが含まれています。
インストールされた各言語パックには、\langtagディレクトリが作成され、対応する言語タグで名前が付けられます。次の例では、ドイツ語および日本語の言語パックがインストールされ、適切な名前付きディレクトリが自動的に作成されています。
component_install_dir\identity\oblix\lang\en-us(常に存在)
component_install_dir\identity\oblix\lang\de-de
component_install_dir\identity\oblix\lang\ja-jp
など
前述の例では、component_install_dirはメイン・コンポーネントがインストールされているディレクトリを表し、identity|accessはインストール時にパスに追加された適切な接尾辞を表します。
注意: オラクル社提供の言語パックがインストールされている場合を除いて、インストールは英語のみです。 |
各\langTagディレクトリには、様々なアプリケーションの.xmlメッセージ・カタログ・ファイルが含まれています。他の.htmlファイルと同様に、.xmlメッセージ・カタログ・ファイルはカスタマイズできます。詳細は、『Oracle Access Managerカスタマイズ・ガイド』を参照してください。
インストールした各言語パックは、コンポーネントのアンインストール・ディレクトリにある適切なファイルを使用して、個別に削除(アンインストール)する必要があります。インストール時に選択されたデフォルトの管理者言語に関連付けられている言語パックは削除(アンインストール)しないでください。
詳細は、第22章「Oracle Access Managerの削除」を参照してください。