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Oracle Enterprise Manager概要
10gリリース5(10.2.0.5)
B53905-01
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10 Oracle Collaboration Suiteの管理

Oracle Collaboration Suiteは、メール、カレンダ、Web会議およびコンテンツ・サービスなど、組織の生産性にとって重要な機能を備えています。ユーザーはCollaboration Suiteサービスに毎日アクセスし、同僚との通信、リモート会議の開催および情報の共有を実行します。このため、管理者は、Collaboration Suiteデプロイメントのパフォーマンスおよび可用性を効率的に管理するために、信頼性のある包括的なツールを持つことが重要です。

Oracle Enterprise Managerには、管理者がCollaboration Suiteサービスのパフォーマンスおよび可用性を顧客の期待とサービス・レベルの目標に合致させるために必要な監視および管理機能が用意されています。

この章では、Grid Controlを使用してOracle Collaboration Suiteのインスタンスとコンポーネントを管理する方法について説明します。

この章は、次の内容について説明します。

Collaboration Suiteデプロイメントの視覚化

Oracle Enterprise Managerは、次のEnterprise Managerの概念を使用してCollaboration Suiteデプロイメントを視覚化します。

Collaboration Suiteサービス

Grid Controlでは、重要なアプリケーション機能はサービスとして定義および監視されます。各Collaboration Suiteコンポーネント(Mail、Calendar、Content Servicesなど)はサービスです。また、各コンポーネントは一連のサービスで構成されます。

たとえば、Mailサービスには、IMAP、SMTPおよびWebメール・アプリケーションを表すサービスが含まれます。Mailサービスを個々のサブサービスに分割することにより、特定のMail機能を個別に監視できます。これにより、たとえば、すべてのMailサービスが使用不可能であるのか、Webメール・アプリケーションのみがユーザーに対してアクセス不可能であるのかを見分けることができます。

Collaboration Suiteには、重要なエンド・ユーザー機能が用意されているため、各機能をサービスとして扱うと便利です。各サービスはGrid Controlビーコンによって監視されます。ビーコンは、サービスに対する実際のユーザー・アクセスをシミュレートするサービス・テストを実行します。サービスの可用性およびパフォーマンスは自動的に監視され、問題はただちに管理者に報告されます。Collaboration Suiteサービスの可用性およびパフォーマンスを監視することにより、ユーザーから見える問題をより迅速に識別して解決できるため、ユーザーに与える影響を最小限に抑えることができます。

Collaboration Suiteを示すサービスの階層を使用して、Grid ControlにおけるCollaboration Suiteデプロイメントを視覚化します。Collaboration Suiteターゲットのサブタブには、Collaboration Suiteサービスが階層的にリスト表示され、各サービスの重要なパフォーマンス、使用状況および可用性データもともに表示されます。また、サービス・ダッシュボードには、Collaboration Suiteのパフォーマンス、使用状況および可用性の概要も表示されます。このダッシュボードには、サービス・レベルのコンプライアンス・データも表示されます。最後に、サービス・トポロジは、Collaboration Suiteデプロイメントのグラフィカルなツリー・ビューです。

Oracle Enterprise Managerには、Collaboration Suiteのインスタンスとコンポーネントを視覚化、監視および管理するために次の機能が用意されています。

  • 「Collaboration Suite」タブ

    Grid Controlに「Collaboration Suite」タブを追加した後、Collaboration SuiteインスタンスごとにCollaboration Suiteサービスを構成し、「Collaboration Suite」タブからすべてのインスタンスを管理できるようになります。


    関連項目:

    Grid Controlのオンライン・ヘルプの「Collaboration Suite」タブの追加に関するトピック

  • Collaboration Suiteのサービスの構成

    Collaboration Suiteサービスは、Grid Controlによって構成される論理ターゲットで、Collaboration Suiteインスタンスとそのコンポーネントの階層をモデル化します。Grid Controlを使用して、Collaboration SuiteインスタンスごとにCollaboration Suiteサービスの構成プロセスを段階的に実行します。Collaboration Suiteサービスを構成した後、このサービスは「Collaboration Suiteサービス」ページに表示されます。

    Collaboration SuiteインスタンスのCollaboration Suiteサービスを構成する場合、Grid Controlは、Collaboration Suiteコンポーネントのサービスも構成します。

  • 「Collaboration Suiteサービス」ページ

    「Collaboration Suiteサービス」ページには、Collaboration Suiteサービスのツリー・ビューがグラフィカルに表示されます。このページには、Collaboration Suiteデプロイメントを構成する様々なサービス間の関係が表示されます。また、このページには、Collaboration Suiteサービスを構成した各Collaboration Suiteインスタンスの可用性、パフォーマンスおよび使用状況に関するサマリー情報も表示されます。「Collaboration Suiteサービス」ページでは、Collaboration Suiteのインスタンスおよびコンポーネントに関する詳細情報にドリルダウンできます。

  • Collaboration Suiteのサービス・ダッシュボード

    サービス・ダッシュボードには、各Collaboration Suiteコンポーネントのステータス、パフォーマンスおよび使用状況に関する最上位のビューが表示されます。また、ダッシュボードには、サービスごとに様々な期間におけるサービス・レベルのコンプライアンスも表示されます。ダッシュボードはCollaboration Suiteホームページから直接起動できます。また、Enterprise Managerユーザー以外のユーザーが表示できるように、サービス・ダッシュボードを公開することもできます。これにより、管理者はエンド・ユーザーに対してセルフサービス・ステータスのWebページを提供できます。

図10-1 Collaboration Suiteサービスのホームページ

これはCollaboration Suiteサービスのホームページです
「図10-1 Collaboration Suiteサービスのホームページ」の説明

サービスの監視

Grid Controlを使用して、すべてのCollaboration Suiteサービスおよびそのコンポーネント・サービスを監視できます。サービスごとに、パフォーマンス、使用状況および可用性が監視されます。

各サービスには、専用のホームページがあります。Grid Controlのサービスのホームページには、次が表示されます。

  • ステータス、応答性およびパフォーマンス・データ

  • サービスのリソース使用状況データ

  • その他のサービスおよび関連システムを含む、サービスのサブコンポーネントのステータス、パフォーマンス・アラート、使用状況アラートおよびポリシー違反などのサマリー情報

  • サービスのサブコンポーネントのホームページへのリンク

  • 問題を迅速に識別および解決するためのアラートおよび診断ドリルダウン

  • サービスのトポロジ・ビューア

  • サービス・ダッシュボードへのアクセス

  • 次を実行するための関連リンク

    • サービスのメトリックの表示

    • クライアント構成の表示

    • レポートの管理

    • サービスの編集

    • サービス・ターゲットのプロパティの表示

    • ブラックアウトの管理

    • メトリックしきい値およびポリシーの表示および管理

図10-2 Collaboration Suiteサービスの「トポロジ」ページ

これはCollaboration Suiteサービスの「トポロジ」ページです
「図10-2 Collaboration Suiteサービスの「トポロジ」ページ」の説明

Collaboration Suiteシステム

Collaboration Suiteサービスは、Grid Controlに定義されているCollaboration Suiteシステム上で動作します。システムには、Collaboration Suiteサービスが使用するソフトウェア・インフラストラクチャ・コンポーネントが含まれます。また、システムには、Collaboration Suiteが使用するデータベース、HTTPサーバー、OC4Jおよびその他のサーバー(IMAPまたはカレンダ・サーバーなど)が含まれます。

システムは、Collaboration Suiteを構成するデータ・センター・コンポーネントのビューを提供するためにGrid Controlにまとめられたサーバー・ターゲットの集合です。Grid Controlでは、これらのコンポーネントのパフォーマンスおよび可用性も監視され、Collaboration Suiteシステムの状態を表示するシステム・ダッシュボードも1つのウィンドウに表示されます。

Collaboration Suiteの自動監視およびアラート

Enterprise Managerは、エンタープライズ全体に分散している診断情報をCollaboration Suiteターゲットから自動的に収集して評価します。Enterprise Managerで管理するすべてのターゲットの場合と同様に、Collaboration Suiteの多数のパフォーマンス・メトリックが事前定義済しきい値を超えていないか、自動的に監視されます。Grid Controlでは、メトリックがこれらのしきい値を超えた場合にアラートが生成されます。

Oracle Collaboration Suiteの根本原因分析

Collaboration Suiteの個々のサービスは、これらが使用する重要なサービス・コンポーネントおよびシステム・コンポーネントに関連付けられます。これにより、Enterprise Managerは、サービス停止が検出されるたびにシステム・レベルまで根本原因分析を実行できます。Grid ControlでCollaboration Suiteサービスまたはコンポーネント・サービスを構成する場合、一部のUIページでは、コンポーネントにとって重要なビーコン、データベースおよびアプリケーション・サーバーに関する情報を表示できます。この情報を指定すると、Grid Controlは、サービスの根本原因分析を実行するときにこれらのビーコン、データベースおよびアプリケーション・サーバーを考慮します。

Oracle Collaboration Suiteのパフォーマンスおよび可用性に関する問題の診断

Grid Controlを使用して、Oracle Collaboration Suiteサービスのパフォーマンスおよび可用性の問題を診断できます。たとえば、サービスが停止した場合、根本原因分析により、主な原因が重要なサービス/システム・コンポーネントの停止であるかどうかを確認します。サービスのパフォーマンスの問題が検出された場合、管理者は、このサービスおよびこのサービスによって使用される任意のサービス/システム・コンポーネントに関連する詳細なメトリックを一定期間にわたって調査できます。Collaboration Suiteシステムの1つ以上のサーバー・コンポーネントに問題があると考えられる場合、システムのホームページのメトリックおよびグラフを使用して問題を診断できます。

Collaboration Suiteのクライアント構成データの収集および使用

基本的なクライアント・システム・アナライザ(CSA)アプリケーションに対するOracle Collaboration Suiteの拡張機能を使用すると、Collaboration Suite固有の情報をWindowsのクライアント・マシンから収集できます。Collaboration Suite用のCSAは、情報を収集した後、この情報をGrid Controlの管理リポジトリにアップロードします。


関連項目:

第4章「エンタープライズ構成管理」の「クライアント構成」

Collaboration Suite管理者およびCollaboration Suiteユーザーをサポートしているヘルプ・デスクの担当者は、収集された情報を使用して、Oracle Collaboration Suiteを使用できるように正しく構成されていないクライアントを識別できます。

Collaboration Suiteの拡張機能をCSAにインストールした後、Collaboration Suite管理者は、Collaboration Suiteアプリケーション用のCSAのURLをユーザーに提供できます。ユーザーはこのURLにアクセスした際、Windowsのクライアント・マシンへのCSAアプレットのダウンロードを許可できます。CSAアプレットをダウンロードすると、このアプレットはWindowsのクライアント・マシン上でCollaboration Suite固有の情報を収集します。これには、次の情報が含まれます。

CSAを使用するユーザーには、アプレットがCollaboration Suite固有のデータを収集した後に、サマリー・レポートが表示されます。このレポートは、クライアントがOracle Collaboration Suiteの要件を満たしていない領域を示しています。

管理者は、Grid Controlを使用して「Collaboration Suiteサービス」ページにナビゲートし、「関連項目」セクションの「クライアント構成」リンクをクリックすることにより、CSAによって収集されたOracle Collaboration Suite固有のクライアント構成情報を表示できます。


関連項目:

Grid Controlのオンライン・ヘルプのCollaboration Suiteクライアント構成情報の表示に関するトピック

Oracle Collaboration Suiteレポート

Oracle Collaboration Suiteのサービスおよびシステムに対してレポートを定義できる他、Collaboration Suiteのコンポーネント・サービス、システムおよび冗長性グループに対してもレポートを定義できます。このリリースでは、新しいメール・システムの次のレポートを表示できます。

Grid Control管理フレームワークの利用

Grid Controlには、Collaboration Suite管理者にとって役立つ、次のような一般的な機能が多数用意されています。

Oracle Collaboration Suiteインスタンスの管理

Oracle Collaboration Suiteインスタンスをインストールすると、このインスタンスを管理するOracle Application Server Control for Collaboration Suiteが自動的に割り当てられます。インストールされている各Collaboration Suiteインスタンスには、独自のApplication Server Control for Collaboration Suiteがあります。

Application Server Control Console for Collaboration Suiteは、Oracle Collaboration Suiteリリース9.0.4および10gリリース1(10.1)を管理するEnterprise ManagerのWebベースのアプリケーションです。Application Server Control for Collaboration Suiteは、Collaboration Suite用に設計されたWebベースの管理ツールを提供します。

Application Server Control for Collaboration Suiteを使用して、単一のCollaboration Suiteインスタンス、Collaboration Suiteインスタンスのグループ、またはCollaboration Suiteインスタンスの個別コンポーネントを監視および管理できます。また、アプリケーションのデプロイ、パフォーマンスのリアルタイムの監視、セキュリティの管理およびCollaboration Suiteインスタンスのコンポーネントの構成も可能です。

Application Server Control for Collaboration Suiteは、Collaboration Suite環境を検出、監視および管理するために、様々な下位テクノロジを使用します。

Application Server Control for Collaboration Suiteは、Application Server Control Console for Collaboration Suiteおよび次の下位テクノロジで構成されます。

その他の管理機能(サービス・レベルの管理、デプロイメント、パフォーマンスの傾向アラートの履歴データの収集など)については、Enterprise Manager Grid Controlを使用できます。


関連項目:

『Oracle Collaboration Suite管理者ガイド』

Application Server Control for Collaboration Suiteによって、Collaboration Suiteインスタンスとそのコンポーネントのスタンドアロン管理が提供されますが、Grid Controlを使用すると、複数のApplication Server Controls for Collaboration Suiteではなく、1つのツールですべてのCollaboration Suiteインスタンスを管理できます。たとえば、10のCollaboration Suiteインスタンスが10のホストにデプロイされているとします。各ホストに管理エージェントをデプロイすると、Enterprise Managerにより、自動的にこれらのホストのCollaboration Suiteの主要なコンポーネントが検出され、デフォルトの監視レベル、通知ルールなどを使用したこれらのキー・コンポーネントの監視が自動的に開始されます。