この章では、Enterprise Managerを使用してエンタープライズ内のデプロイメントを簡単に監視および管理する方法について説明します。この項の内容は、次のとおりです。
収集される構成
構成の表示
構成の比較
エンタープライズ構成
クライアント構成
Grid Controlの構成ページへのアクセス
Grid Controlを使用して、エンタープライズ全体の個々のホスト、データベース、アプリケーション・サーバー、クライアントおよびOracle以外のシステムについて、管理リポジトリに格納されている構成情報を保存、追跡、比較および検索できます。
Enterprise Managerでは、管理エージェントが実行されているすべてのホストおよびこれらのホスト上の管理ターゲットに関する構成情報を収集します。このエージェントによってHTTPまたはHTTPSを介して管理リポジトリに構成情報が送信されるため、Grid Controlを介してエンタープライズ全体に関する最新の構成情報を参照できます。
表14-1 様々なターゲットについて収集される構成
ターゲット・タイプ | 収集される構成情報 |
---|---|
ホスト脚注1 |
|
データベース脚注2 |
|
アプリケーション・サーバー |
|
クライアント脚注3 |
|
Oracle以外のシステム |
|
エンタープライズ脚注4 |
サマリー・ビュー(ハードウェア、オペレーティング・システム、Oracle Database、Oracle Application ServerおよびOracle Collaboration Suite) 表14-3には、これらのサマリー・ビューに関する詳細が記載されています。 |
脚注1 ホスト構成情報のデフォルトの収集時間は24時間です。
脚注2 データベース構成情報のデフォルトの収集時間は12時間です。
脚注3 詳細は、この章の「クライアント構成」を参照してください。
脚注4 詳細は、この章の「エンタープライズ構成」を参照してください。
Grid Controlを使用して、ホスト、データベース、アプリケーション・サーバーおよびクライアントなどのターゲットに対して次のアクションを実行できます。
最後に収集され、保存された構成の表示
構成ファイルまたは管理リポジトリへの構成の保存
収集された構成データの検索
構成の変更履歴の表示
構成の比較(詳細は、この章の「構成の比較」を参照)
表14-2 様々なターゲットの構成の表示
ターゲット・タイプ | 構成の表示方法 |
---|---|
ホスト |
そのホストのホームページで、「構成」サブタブをクリックします。 |
データベース |
データベースのホームページで、「メンテナンス」サブタブをクリックし、次に「ソフトウェアのデプロイ」、「構成」で「最新の構成情報」リンクをクリックします。 |
アプリケーション・サーバー |
アプリケーション・サーバーのホームページで、「管理」サブタブをクリックし、「構成」の下の「最新の構成情報」リンクをクリックします。 |
クライアント |
「デプロイ」タブで、「クライアント構成」リンクをクリックします。 |
エンタープライズ |
「デプロイ」タブで、「デプロイ・サマリー」の下の「ビュー」リストからサマリー・ビューを選択します。サマリー・ビューについては、表14-3を参照してください。 |
Grid Controlには、同じターゲット・タイプの構成間で比較を実行するためのツールが用意されています。これらの比較により、複数の構成間の類似点と差異を簡単に特定できるようになります。
次のような比較が可能です。
管理リポジトリ内の2つの構成
保存されている2つの構成ファイル
1つの構成と複数の構成
管理リポジトリ内の構成と保存されている構成ファイル
2つのターゲット構成を比較する場合、収集された構成情報のすべてのカテゴリが含まれます。Grid Controlでは、比較のサマリー結果が表形式で示されます。これらのサマリー結果からのドリルダウンにより、詳細を参照できます。
複数の構成間の比較は、Enterprise Managerのジョブ・システムを使用して実行する必要があります。
関連項目: Grid Controlのオンライン・ヘルプの比較の概要に関する項 |
Grid Controlには、ホストおよびターゲット構成の状態を監視するために使用できるエンタープライズのサマリー・ビューが複数用意されています。エンタープライズとは、構成情報が管理リポジトリに格納されるホストおよびターゲットの完全なセットを表します。また、事前定義済の検索またはカスタム検索によるエンタープライズの構成情報の検索もできます。
表14-3に、使用可能なエンタープライズ構成のサマリー・ビューを示します。
表14-3 エンタープライズ構成のサマリー・ビュー
関連項目: Grid Controlのオンライン・ヘルプのエンタープライズ構成の表示に関する項 |
次のように、エンタープライズ構成を検索し、エンタープライズに関する特定の質問に対する回答を確認する必要がある場合があります。
オペレーティング・システム・パッチ105181-05がインストールされていないホストはどれか
Oracleバージョン9.0.1.0.0のデータベースがインストールされているホスト、およびそれらのデータベースがインストールされているOracleホーム・ディレクトリはどれか
エンタープライズ構成検索では、指定した検索基準を満たす構成情報を検出するために管理リポジトリ内のエンタープライズ構成ビューが問い合されます。
Enterprise Managerでは、次の2つのタイプのエンタープライズ構成検索を実行できます。
これらの検索は事前定義されていますが、各検索の検索基準が変更可能なため、固有の検索問合せを柔軟に作成できます。検索基準に基づいて、Grid Controlでは、管理リポジトリ内のエンタープライズ構成ビューを検索するSQL問合せを作成します。
Enterprise Managerでは、事前定義された次のエンタープライズ構成検索を実行できます。
OracleホームにインストールされたOracle製品、パッチ・セットおよび個別パッチの検索
ホスト・オペレーティング・システムに登録されたソフトウェアの検索
初期化パラメータ設定および設定変更の検索
表領域、データファイルおよび推奨データベース設定の検索
データベース機能の使用方法の検索
ホストのオペレーティング・システム・コンポーネント、パッチ、プロパティ設定およびプロパティの変更の検索
ホストのオペレーティング・システムおよびハードウェアのサマリーの検索
ホストのファイルシステムおよびネットワーク・インタフェース・カード構成の検索
ポリシー・ライブラリの検索
ユーザー定義検索では、管理リポジトリ内のエンタープライズ構成ビューを検索するSQL問合せを指定します。SQL問合せ全体を作成する必要がない場合は、事前定義済検索のいずれかを選択し、検索基準を変更した後、「SQLを使用した検索」をクリックすると、実行されるSQL問合せを表示できます。この問合せは、実行して結果を表示した後、変更して、目的の結果が戻されるまで繰り返し実行できます。
関連項目: Grid Controlのオンライン・ヘルプのエンタープライズ構成の検索に関する項 |
Enterprise Managerでは、ターゲットの構成情報を収集し、これをOracle Management Repositoryに格納します。構成の履歴変更を追跡すると、問題を診断しやすくなり便利です。ターゲットは相互に対話するため、1つのターゲットが変更されると、関連する他のターゲットの動作に影響する可能性があります。履歴変更の追跡は、ターゲットの動作に影響した変更を特定する手掛かりとなるため、問題を診断する際に非常に重要となる場合があります。このため、関連する複数のターゲットの履歴変更を確認できることが重要です。「エンタープライズ構成履歴」オプションを使用すると、特定の期間にわたってマージされた複数の関連ターゲットの履歴を参照できます。たとえば、プロパティの現在の値が別のプロパティの値に影響を及ぼしている可能性がある場合、履歴データは、この値が最後に変更された日時やそのときに変更された他の値を確認する上で役に立ちます。
クライアントとは、エンドユーザーつまり顧客のシステム(独自のITインフラストラクチャには含まれないシステム)を表します。クライアント構成とは、エンドユーザーのシステムに関して収集された構成データを表します。これらの構成は、Grid Controlを使用して管理する内部デプロイメントとは異なります。
クライアント・システム・アナライザ(CSA)アプリケーションを使用して、Webサーバーの管理者はエンドユーザー・システムからのデータを収集および分析できます。クライアント・データはアプレットにより収集され、診断されてCSAアプリケーションに戻されます。Grid ControlにプレインストールされているCSAアプリケーションを使用することも、CSAをWebサーバーに単独でデプロイすることもできます。
プレインストールされたアプリケーションを使用すると、別個にWebサーバーを設定することなくクライアント・データを収集できます。管理エージェントは、クライアント・データを収集、分析し、そのデータを管理リポジトリへアップロードします。Grid Controlにアクセスするためのログイン資格証明は、エンドユーザー側には必要ありません。次のような使用例があります。
ヘルプ・デスクをコールするエンドユーザーは、即時利用可能なCSAページに移動してシステム情報をアップロードするよう要求されることがあります。テクニカル・サポートは、このシステム情報を確認してソリューションを提供できます。
クライアントのアプリケーションを、Grid Controlのアプリケーションのクライアント・システム・アナライザにシステム情報のアップロード・リンクを提供するように変更できます。このリンクでは、クライアント・システム・アナライザを実行した後に戻るためのURLなど、特定の構成パラメータを指定できます。
クライアントのアプリケーションを、ログイン時またはログイン以外の時点で、そのユーザーをGrid Controlページのクライアント・システム・アナライザにリダイレクトするよう変更できます。収集された情報をGrid Control内から使用して、クライアント・システムに関する様々な情報を入手できます。最も一般的なブラウザのバージョン、あるいは必要なオペレーティング・システム・パッチを適用していないシステムまたはRAMが不足しているシステムが例としてあげられます。
CSAは、単独でJ2EE対応Webサーバーにデプロイできます。このデプロイメント計画は、次の場合に適しています。
CSAにアクセスするクライアントが、ファイアウォールなどが原因でGrid Controlのデプロイメントにアクセスできないか、アクセスが制限される場合
次のように、CSAアプリケーションをさらにカスタマイズする必要がある場合
CSAアプリケーションにカスタム・ルールを提供して、システムが一定の制約を満たしているかどうかについてエンドユーザーがすぐにフィードバックするようにします。
アプレットの動作を変更して、追加情報を収集するか、エンドユーザーに追加または別のインタフェースを提示するようにします。
管理サービスWebサーバーの負荷を削減する必要があります。
プレインストールおよびスタンドアロンの両タイプのデプロイメントでは、クライアント構成収集タグと呼ばれる構成可能な識別子がすべてのクライアント構成収集に割り当てられます。クライアント構成データがクライアント構成収集アプレットによって収集され、CSAアプリケーションによって指定されたWebサーバーのディレクトリに書き込まれた後、クライアント構成データを収集して管理リポジトリにアップロードするようGrid Controlを構成する必要があります。
関連項目: Grid Controlのオンライン・ヘルプのクライアント構成の表示に関する項Grid Controlのオンライン・ヘルプのクライアント構成の収集のためのEnterprise Managerの構成に関する項 |