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Oracle Coherence開発者ガイド
リリース3.5
B56039-01
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I 初期化パラメータの設定

サービスまたはフィルタの初期化パラメータは、Coherenceのオペレーション・コンフィギュレーション・デプロイメント・ディスクリプタの<init-param>要素によって定義されます。init-paramの下に表示されるパラメータは、作業対象のサービスまたはフィルタによって異なります。

次の各項では、これらのサービスおよびフィルタに構成可能なパラメータについて説明します。

各項の表では、様々な要素で構成可能な具体的な<param-name><param-value>のペアについて説明します。「パラメータ名」列にはparam-name要素の値が、「値の説明」列には対応するparam-value要素に指定できる値が示されています。

たとえば、表I-1のエントリのサンプルは、init-params要素が例I-1または例I-2の構成のようになることを示しています。

表I-1 表のエントリのサンプル

パラメータ値 値の説明

local-storage

DistributedCacheサービスのこのメンバーによって、ローカル記憶域を有効化するかどうかを指定します。有効な値は、trueまたはfalseです。デフォルト値はtrueです。事前構成されている値はtangosol.coherence.distributed.localstorageです。詳細は、付録L「コマンドラインのオーバーライド」を参照してください。


例I-1 init-param構成のサンプル

...
<init-params>
  <init-param>
    <param-name>local-storage</param-name>
    <param-value>false</param-value>
  </init-param>
</init-params>
...

または、次のようになります。

例I-2 init-param構成の別サンプル

...
<init-params>
  <init-param>
    <param-name>local-storage</param-name>
    <param-value>true</param-value>
  </init-param>
</init-params>
...

DistributedCacheサービスのパラメータ

DistributedCache <services>の要素では、表I-2に記載されたパラメータがサポートされます。この設定は、「キャッシュ・コンフィギュレーションの要素」で記述されているディスクリプタcoherence-cache-config.xml内の<distributed-scheme>要素の一部として指定することもできます。

表I-2 DistributedCacheサービスのパラメータ

パラメータ名 値の説明

backup-count

DistributedCacheサービスのうち、各保存単位のバックアップ・データをキャッシュに保持するメンバーの数を指定します。この値が0になっていると、異常終了した場合にキャッシュ内のデータの一部が失われます。この値がNになっていると、即座に終了したクラスタ・ノードの数がN以内の場合、キャッシュ・データが保持されます。サイズMの分散キャッシュを維持する場合、クラスタ内の合計メモリー使用量はクラスタ・ノードの数に依存するのではなく、M*(N+1)となります。

推奨値は、0、1または2です。

デフォルト値は1です。

backup-storage/class-name

customタイプにのみ適用されます。カスタム記憶域実装のクラス名を指定します。クラスにcom.tangosol.run.xml.XmlConfigurableインタフェースが実装される場合は、構成時にsetConfigメソッドが呼び出され、backup-storage要素全体が渡されます。

backup-storage/directory

file-mappedタイプにのみ適用されます。ディスク永続性マネージャ(com.tangosol.util.nio.MappedBufferManager)がファイルを格納するときのルートとして使用するディレクトリのパス名を指定します。指定しない場合、または存在しないディレクトリを指定した場合には、デフォルトの場所にある一時ファイルが使用されます。

デフォルト値は、Javaランタイムによって指定されるデフォルトの一時ディレクトリです。

backup-storage/initial-size

off-heapおよびfile-mappedタイプにのみ適用されます。バッファの初期サイズをバイト単位で指定します。この要素の値は、[\d]+[[.][\d]]?[K|k|M|m|G|g]?[B|b]?の形式で指定する必要があります。前述の文字は(左から右へ)それぞれ、先行する10進数値に乗じる係数を示しています。

  • Kまたはkkilo、210)

  • Mまたはmmega、220)

  • Gまたはggiga、230)

値に係数が含まれていない場合は、megaが係数として適用されます。

有効な値は、1Integer.MAX_VALUE - 10232,147,482,624バイト)の間の正の整数です。

デフォルト値は1MBです。

backup-storage/maximum-size

off-heapおよびfile-mappedタイプにのみ適用されます。バッファの最大サイズをバイト単位で指定します。この要素の値は、[\d]+[[.][\d]]?[K|k|M|m|G|g]?[B|b]?の形式で指定する必要があります。前述の文字は(左から右へ)それぞれ、先行する10進数値に乗じる係数を示しています。

  • Kまたはkkilo、210)

  • Mまたはm(mega、220)

  • Gまたはggiga、230)

値に係数が含まれていない場合は、megaが係数として適用されます。

有効な値は、1Integer.MAX_VALUE - 10232,147,482,624バイト)の間の正の整数です。

デフォルト値は1024MBです。

backup-storage/scheme-name

schemタイプにのみ適用されます。ConfigurableCacheFactoryのスキーム名を指定します。

backup-storage/type

バックアップ・データの保持に使用する記憶域のタイプを指定します。有効な値は次のとおりです。

  • on-heap: 対応する実装クラスはjava.util.HashMapです。

  • off-heap: 対応する実装クラスは、com.tangosol.util.nio.DirectBufferManagerを使用するcom.tangosol.util.nio.BinaryMapです。JDK 1.4以降でのみ使用できます。

  • file-mapped: 対応する実装クラスは、com.tangosol.util.nio.MappedBufferManagerを使用するcom.tangosol.util.nio.BinaryMapです。JDK 1.4以降でのみ使用できます。

  • custom: 対応する実装クラスは、backup-storage/class要素によって指定されるクラスです。

  • scheme: 対応する実装クラスは、backup-storage/scheme-name要素が参照するスキームに対してConfigurableCacheFactoryから返されるマップです。

デフォルト値はon-heapです。

事前構成されている値はtangosol.coherence.distributed.backupです。詳細は、付録L「コマンドラインのオーバーライド」を参照してください。

key-associator/class-name

com.tangosol.net.partition.KeyAssociatorインタフェースを実装するクラスの名前を指定します。この実装には、パラメータがゼロのpublicなコンストラクタが必要です。

key-partitioning/class-name

com.tangosol.net.partition.KeyPartitioningStrategyインタフェースを実装するクラスの名前を指定します。この実装には、パラメータがゼロのpublicなコンストラクタが必要です。

lease-granularity

リース所有権の精度を指定します。リリース2.3以降で使用できます。有効な値は次のとおりです。

  • thread

  • member

値がthreadの場合、ロックはそのロックを取得したスレッドによって保持され、そのスレッドによってのみ解放されます。値がmember の場合、ロックはクラスタ・ノードによって保持され、ロックを取得したクラスタ・ノード上で実行されるスレッドによって解放できます。

デフォルト値はthreadです。

local-storage

このDistributedCacheサービスのメンバーによって、ローカル記憶域を有効化するかどうかを指定します。

通常、コンフィギュレーション・ファイル内ではこの値を未指定にしておき、システム・プロパティtangosol.coherence.distributed.localstorageを使用し、プロセスごとに設定します。これによって、キャッシュ・クライアントとキャッシュ・サーバーは、同じコンフィギュレーション・ディスクリプタを使用できます。

有効な値は、trueまたはfalseです。デフォルト値はtrueです。

事前構成されている値はtangosol.coherence.distributed.localstorageです。詳細は、付録L「コマンドラインのオーバーライド」を参照してください。

partition-count

partition-count要素は、パーティション(分散)キャッシュを分割するパーティションの数を指定します。パーティション・キャッシュ・サービスを実行し、local-storageオプションがtrueに設定されたメンバーのそれぞれが、公平な(偏りのない)数のパーティションを管理します。

パーティションの数は素数とし、いずれのパーティションのサイズも50MBを超えることのないように十分なパーティション数を指定する必要があります。

サンプルのサービス記憶域サイズの適切なデフォルト設定を次に示します。

service storage       parition-count
_______________       ______________
   100M                    257
     1G                    509
    10G                   2039
    50G                   4093
   100G                   8191

最初の1,000個の素数のリストについては、次のサイトを参照してください。

http://primes.utm.edu/lists/small/1000.txt

有効値は正の整数です。

デフォルト値は、tangosol-coherence.xmlディスクリプタに指定された値です。

partition-listener/class-name

com.tangosol.net.partition.PartitionListenerインタフェースを実装するクラスの名前を指定します。この実装には、パラメータがゼロのpublicなコンストラクタが必要です。

request-timeout

レスポンスが来るまでクライアントが待機する最大時間を指定します。この時間を超過すると、元のリクエストが破棄されます。リクエスト時間はクライアント側で測定されるもので、対応するサーバー・ノードに対して実行のためのリクエストが送信されてからの経過時間に次の時間を加えたものです。

  • 実行側のノード(サーバー)にリクエストを配信するための所要時間

  • タスクが受信されてサービス・キューに入れられてから実行が開始されるまでの間隔

  • タスクの実行時間

  • クライアントに結果を返信するための所要時間

有効な値は、正の整数またはゼロです(ゼロの場合は、デフォルト・タイムアウトがないことを示します)。

standard-lease-milliseconds

標準的なリースの継続時間をミリ秒単位で指定します。リースがこのミリ秒数を超過すると、ロックは自動的に解放されます。期限切れが発生しないリースを指定するには、この値をゼロに設定します。この設定の目的は、スタック・スレッドを原因とするデッドロックまたはブロックが発生しないようにすることです。最長の予想ロック継続時間より高い(たとえば、トランザクション・タイムアウトより高い)値を設定する必要があります。また、packet-delivery/timeout-millisecondsの値より高い値を設定することをお薦めします。

有効な値は、桁数の多い正の数値またはゼロです。デフォルト値は0です。

task-hung-threshold

タスクが実行できる時間をミリ秒単位で指定します。この時間を超過すると、ハングしたと見なされます。

注意: ポストされたタスクがまだ開始されていない場合は、ハングとみなされません。この属性は、スレッド・プールが使用されている(thread-countの値が正の)場合にのみ適用されます。

有効な値は、正の整数またはゼロです(ゼロの場合は、デフォルト・タイムアウトがないことを示します)。

task-timeout

タイムアウト可能なタスク(たとえば、com.tangosol.net.PriorityTaskインタフェースの実装)のデフォルト・タイムアウト値をミリ秒単位で指定します。ただし、タスク実行のタイムアウト値は明示的に指定しません。タスク実行時間はサーバー側で測定され、開始されるまでサービス・バックログ・キューで待機するための所要時間は含まれません。この属性は、スレッド・プールが使用されている(thread-countの値が正の)場合にのみ適用されます。

有効な値は、正の整数またはゼロです(ゼロの場合は、デフォルト・タイムアウトがないことを示します)。

thread-count

分散キャッシュ・サービスで使用されるデーモン・スレッドの数を指定します。ゼロの場合、関連するタスクはすべて、サービス・スレッドで実行されます。

有効な値は、正の整数またはゼロです。

デフォルト値は0です。事前構成されている値はtangosol.coherence.distributed.threadsです。詳細は、付録L「コマンドラインのオーバーライド」を参照してください。

transfer-threshold

プライマリ・バケット分散のしきい値をキロバイト単位で指定します。分散キャッシュ・サービスに新しいノードが結合する場合、またはサービスのメンバーのいずれかの結合が解除される場合、残りのノードによって、バケット所有権の再分散タスクが実行されます。このプロセスでは、所有権情報とともに既存のデータの均衡化が再実行されます。このパラメータでは、データ転送通信で優先されるメッセージ・サイズを示します。この値を低く設定すると、分散プロセスの所要時間は長くなりますが、このアクティビティ実行中のネットワーク帯域幅の使用量は軽減されます。

有効な値は、ゼロより大きな整数です。

デフォルト値は512(0.5MB)です。事前構成されている値はtangosol.coherence.distributed.transferです。詳細は、付録L「コマンドラインのオーバーライド」を参照してください。



ReplicatedCacheサービスのパラメータ

ReplicatedCache servicesの要素では、表I-3に記載されたパラメータがサポートされます。この設定は、「キャッシュ・コンフィギュレーションの要素」で記述されているディスクリプタcoherence-cache-config.xml内のreplicated-scheme要素の一部として指定することもできます。

表I-3 ReplicatedCacheサービスのパラメータ

パラメータ名 値の説明

lease-granularity

リース所有権の精度を指定します。リリース2.3以降で使用できます。有効な値は次のとおりです。

  • thread

  • member

値がthreadの場合、ロックはそのロックを取得したスレッドによって保持され、そのスレッドによってのみ解放されます。値がmember の場合、ロックはクラスタ・ノードによって保持され、ロックを取得したクラスタ・ノード上で実行されるスレッドによって解放できます。

デフォルト値はthreadです。

mobile-issues

リースの問題を最新のロック・ホルダーに転送するかどうかを指定します。

有効な値は、trueまたはfalseです。

デフォルト値はfalseです。

standard-lease-milliseconds

標準的なリースの継続時間をミリ秒単位で指定します。リースがこのミリ秒数を超過すると、ロックは自動的に解放されます。期限切れが発生しないリースを指定するには、この値をゼロに設定します。この設定の目的は、スタック・スレッドを原因とするデッドロックまたはブロックが発生しないようにすることです。最長の予想ロック継続時間より高い(たとえば、トランザクション・タイムアウトより高い)値を設定する必要があります。また、packet-delivery/timeout-millisecondsの値より高い値を設定することをお薦めします。

有効な値は、桁数の多い正の数値またはゼロです。

デフォルト値は0です。



InvocationServiceのパラメータ

InvocationService servicesの要素では、表I-4に記載されたパラメータがサポートされます。この設定は、「キャッシュ・コンフィギュレーションの要素」で記述されているディスクリプタcoherence-cache-config.xml内のinvocation-scheme要素の一部として指定することもできます。

表I-4 InvocationServiceのパラメータ

パラメータ名 値の説明

request-timeout

タイムアウト可能なリクエスト(たとえば、com.tangosol.net.PriorityTaskインタフェースの実装)のデフォルト・タイムアウト値をミリ秒単位で指定します。ただし、リクエストのタイムアウト値は明示的に指定しません。リクエスト時間はクライアント側で測定されるもので、対応するサーバー・ノードに対して実行のためのリクエストが送信されてからの経過時間に次の時間を加えたものです。

  • 実行側のノード(サーバー)にリクエストを配信するための所要時間

  • タスクが受信されてサービス・キューに入れられてから実行が開始されるまでの間隔

  • タスクの実行時間

  • クライアントに結果を返信するための所要時間

有効な値は、正の整数またはゼロです(ゼロの場合は、デフォルト・タイムアウトがないことを示します)。

task-hung-threshold

タスクが実行できる時間をミリ秒単位で指定します。この時間を超過すると、ハングしたと見なされます。注意: ポストされたタスクがまだ開始されていない場合は、ハングと見なされません。この属性は、スレッド・プールが使用されている(thread-countの値が正の)場合にのみ適用されます。

task-timeout

タイムアウト可能なタスク(たとえば、com.tangosol.net.PriorityTaskインタフェースの実装)のデフォルト・タイムアウト値をミリ秒単位で指定します。ただし、タスク実行のタイムアウト値は明示的に指定しません。タスク実行時間はサーバー側で測定され、開始されるまでサービス・バックログ・キューで待機するための所要時間は含まれません。この属性は、スレッド・プールが使用されている(thread-countの値が正の)場合にのみ適用されます。

有効な値は、正の整数またはゼロです(ゼロの場合は、デフォルト・タイムアウトがないことを示します)。

thread-count

起動サービスで使用されるデーモン・スレッドの数を指定します。ゼロの場合、関連するタスクはすべて、サービス・スレッドで実行されます。

有効な値は、正の整数またはゼロです。事前構成されている値はtangosol.coherence.invocation.threadsです。詳細は、付録L「コマンドラインのオーバーライド」を参照してください。

デフォルト値は0です。



ProxyServiceのパラメータ

ProxyService servicesの要素では、表I-5に記載されたパラメータがサポートされます。この設定は、「キャッシュ・コンフィギュレーションの要素」で記述されているディスクリプタcoherence-cache-config.xml内のproxy-scheme要素の一部として指定することもできます。

表I-5 ProxyServiceのパラメータ

パラメータ名 値の説明

thread-count

プロキシ・サービスで使用されるデーモン・スレッドの数を指定します。ゼロの場合、関連するタスクはすべて、サービス・スレッドで実行されます。

有効な値は、正の整数またはゼロです。

デフォルト値は0です。

task-hung-threshold

タスクが実行できる時間をミリ秒単位で指定します。この時間を超過すると、ハングしたと見なされます。

注意: ポストされたタスクがまだ開始されていない場合は、ハングとみなされません。この属性は、スレッド・プールが使用されている(thread-countの値が正の)場合にのみ適用されます。

有効な値は、正の整数またはゼロです(ゼロの場合は、デフォルト・タイムアウトがないことを示します)。

task-timeout

タイムアウト可能なタスク(たとえば、com.tangosol.net.PriorityTaskインタフェースの実装)のデフォルト・タイムアウト値をミリ秒単位で指定します。ただし、タスク実行のタイムアウト値は明示的に指定しません。タスク実行時間はサーバー側で測定され、開始されるまでサービス・バックログ・キューで待機するための所要時間は含まれません。この属性は、スレッド・プールが使用されている(thread-countの値が正の)場合にのみ適用されます。

有効な値は、正の整数またはゼロです(ゼロの場合は、デフォルト・タイムアウトがないことを示します)。



圧縮フィルタのパラメータ

圧縮filters(com.tangosol.net.CompressionFilter)では、表I-6に記載されたパラメータがサポートされます(詳細は、java.util.zip.Deflaterを参照)。

表I-6 圧縮フィルタのパラメータ

パラメータ名 値の説明

buffer-length

圧縮バッファ長をバイト単位で指定します。

有効な値は、正の整数またはゼロです。

デフォルト値は0です。

level

圧縮レベルを指定します。有効な値は次のとおりです。

  • default

  • compression

  • speed

  • none

デフォルト値はdefaultです。

strategy

圧縮方針を指定します。有効な値は次のとおりです。

  • gzip

  • huffman-only

  • filtered

  • default

デフォルト値はgzipです。