ヘッダーをスキップ
Oracle Coherence Oracle Coherence*Webユーザーズ・ガイド
リリース3.5
B56040-01
  目次
目次
索引
索引

戻る
戻る
 
次へ
次へ
 

1 概要

この章では、Coherence*Webに関する一般的な情報を提供します。具体的には、Coherence*Webの概要とサポート対象のコンテナについて説明し、デプロイメントを決定する際に環境に基づいて考慮すべき指針を示します。

1.1 Coherence*Webとは

Coherence*Webは、クラスタ環境におけるセッション状態の管理に特化したHTTPセッション管理モジュールです。Coherence*WebはOracle Coherenceを基本として構築されており、その特徴は次のとおりです。

WebLogic ServerおよびWebLogic PortalでのCoherence*Webの使用

最新リリースのCoherence*Webは、ネイティブのWebLogicセッション管理SPIを使用して、バージョン9.2 MP1および10.3のWebLogic ServerとWebLogic Portalに統合できます。このWebLogicとの緊密な統合によって、WebInstallerによるアプリケーション設定を必要としない容易なインストールとデプロイメントが実現します。

Coherence*Webとその他のアプリケーション・サーバー

Coherence*Webには、バージョン10.3と9.2MP1のWebLogic Serverだけでなくその他のサード・パーティ製アプリケーション・サーバーにも使用できる汎用インストーラが用意されています。これによりWebアプリケーションを透過的に設定できます。

第3章「その他のアプリケーション・サーバーへのCoherence*Webのインストール」で、WebInstallerによるCoherence*Webの実装について詳しく説明します。

1.2 サポートされているWebコンテナ

表1-1は、Coherence*Webセッション管理モジュールでサポートされているWebコンテナを示しています。また、これらのWebコンテナにCoherence*Webをインストールする際に必要な情報へのリンクも示しています。Oracle WebLogic Server 9.2 MP1と10.3を除くすべてのWebコンテナには、一般的なインストール手順が共通に適用されます。Webコンテナの中には、この一般的なインストール手順を開始する前に、そのコンテナ固有の追加の手順を実行しなければならないものがわずかにあります。Oracle OC4J、Caucho、WebLogic 10.xなどがこのようなコンテナに該当します。

WebLogic Server 9.2 MP1、10.3、およびそれ以降のバージョンにCoherence*Webセッション管理モジュールをインストールする場合は、SPIベースのインストール方法のみを使用できます。WebLogic Server 9.2 MP1および10.3に管理モジュールをインストールする手順は、第2章「WebLogic Server 9.2 MP1および10.3へのCoherence*Webのインストール」を参照してください。


注意:

サーバー・タイプの別名の列に示す値は、Coherence*Web WebInstallerによるインストールでのみ使用します。この値は、-serverコマンドライン・オプションを使用してWebInstallerに渡します。

表1-1 Coherence*WebでサポートされているWebコンテナ

アプリケーション・サーバー サーバー・タイプの別名 インストール手順の参照先

Apache Tomcat 5.5.x

Generic

Coherence*Webセッション管理モジュールをインストールする一般的な手順


Apache Tomcat 6.0.x

Generic

Coherence*Webセッション管理モジュールをインストールする一般的な手順


Caucho Resin 3.1.x

Resin/3.1.x

Caucho Resin 3.1.xへのインストール


IBM WebSphere 6.x

WebSphere/6.x

Coherence*Webセッション管理モジュールをインストールする一般的な手順


JBoss Application Server

GenericまたはJetty/5.1.x

Coherence*Webセッション管理モジュールをインストールする一般的な手順


Jetty 5.1.x

Jetty/5.1.x

Coherence*Webセッション管理モジュールをインストールする一般的な手順


Jetty 6.1.x

Generic

Coherence*Webセッション管理モジュールをインストールする一般的な手順


Oracle OC4J 10.1.3.x

Oracle/10.1.3.x

Coherence*Webセッション管理モジュールをインストールする一般的な手順


Oracle WebLogic 9.2 MP1および10.3以降

該当なし

9.2 MP1および10.3以降のバージョンには、SPIベースのインストール方法を使用できます。第2章「WebLogic Server 9.2 MP1および10.3へのCoherence*Webのインストール」を参照してください。

Oracle WebLogic 9.x

WebLogic/9.x

Coherence*Webセッション管理モジュールをインストールする一般的な手順


Oracle WebLogic 10.x

WebLogic/10.x

Oracle WebLogic 10.xへのインストール

Sun Application Server 8.x

Generic

Coherence*Webセッション管理モジュールをインストールする一般的な手順


Sun GlassFish 2.x

Generic

Coherence*Webセッション管理モジュールをインストールする一般的な手順



1.3 インストールとデプロイメントの指針

この項では、Coherence*Webをインストールして構成する前に必要なデプロイメント決定の概要について説明します。Coherence*Webは、様々なアプリケーション・サーバー上でサポートされています。デプロイ先のアプリケーション・サーバーのタイプによって、WebLogic SPIインストールまたはWebInstallerのどちらを使用してCoherence*Webをインストールするかが決まります。使用するアプリケーション・サーバーに関係なく、パッケージ化での考慮事項、セッション・モデル、セッション・ロック・モード、デプロイメント・トポロジなどの特定の要件を満たすためにCoherence*Webのコンフィギュレーション・オプションの変更が必要になることがあります。

1.3.1 クラスタ・ノード分離の選択

クラスタ・ノード分離とは、アプリケーション・サーバーのJVMごとにCoherenceで作成されるノードの数とCoherenceライブラリのデプロイ先の場所を意味します。いくつかの分離モードがサポートされています。

たとえば、同じ1つのクラスタ(または1つのCoherenceノード)を使用する必要があるコンテナに複数のアプリケーションをデプロイするモード、単一のクラスタを使用する単一のEARファイルにパッケージ化した複数のWebアプリケーションを使用するモード、独立したセッション・データを保持したままで専用のCoherenceクラスタにデプロイする必要のあるWebアプリケーションを使用するモードなどが考えられます。これらの選択肢、およびデプロイメントで構成が必要なディスクリプタと要素については、「クラスタ・ノード分離」で説明します。

1.3.2 ロック・モードの選択

ロック・モードとは、複数のWebコンテナ・スレッドから同時にアクセスが発生したときのHTTPセッションの動作を指します。Coherence*Webには、様々なセッション・ロック・オプションが用意されています。たとえば、クラスタにある複数のノードから1つのHTTPセッションに同時にアクセスできるようにする、クラスタから1つのHTTPセッションにアクセスできるノードの数を1つのみに制限する、クラスタから1つのHTTPセッションにアクセスできるスレッドの数を1つのみに制限する、などが可能です。また、同じWebアプリケーション・インスタンスへの複数のスレッドからのアクセスを許可する一方で、異なるWebアプリケーション・インスタンスにあるスレッドからの同時アクセスを禁止することもできます。これらの選択肢、およびデプロイメントで構成が必要なディスクリプタと要素については、「セッション・ロック・モード」で説明します。

1.3.3 セッションとセッション属性のスコープ設定方法の選択

セッションとセッション属性のスコープ設定とは、アプリケーション境界を越えてセッション・データとセッション属性の両方の有効範囲を詳細に設定(共有)する操作を指します。Coherence*Webでは、Webアプリケーション間でセッションを共有したり、アプリケーション間で共有するセッション属性を制限することができます。これらの選択肢、およびデプロイメントで構成が必要なディスクリプタと要素については、「セッションとセッション属性のスコープ設定」で説明します。

1.3.4 期限切れHTTPセッションのクリーンアップ・タイミングの選択

HTTPセッションは最終的にセッション・リーパーによってクリーンアップされ、関連付けられているメモリーが解放されます。Coherence*Webのセッション・リーパーは、JVM固有のガベージ・コレクション(GC)機能に似たサービスを提供します。つまり、期限切れのHTTPセッションをクリーンアップしてメモリーを解放します。セッション・リーパーについては、「期限切れHTTPセッションのクリーンアップ」で説明します。

1.3.5 インストール方法の選択

実行するインストール手順は、アプリケーション・サーバーによって異なります。Coherence*Webでサポートされているアプリケーション・サーバーは、「サポートされているWebコンテナ」に示すとおりです。