この章では、Oracle Audit Vault収集エージェント・インストールをリリース10.2.2.1.0以前からリリース10.2.3.0.0にアップグレードする手順について説明します。この章の内容は次のとおりです。
Oracle Audit Vault収集エージェント・アップグレード・インストールはロールバックできません。そのため、アップグレードを実行する前に安全策としてファイルをバックアップし、アップグレード・インストールをテストする必要があります。
Oracle Audit Vault収集エージェント・ホームのバックアップ
アップグレード・インストールによりOracle Audit Vault収集エージェント・ホームのファイルは更新されるため、アップグレード・インストールのテストが完了するまで、これらのファイルを別のディレクトリにバックアップまたはコピーする必要があります。
アップグレードの中止
アップグレード・インストールが正常に実行されない場合は、アップグレードを中止し、Oracle Audit Vault収集エージェント・ホームのファイルをコピー(リストア)して元に戻します。
注意: Solaris Operating System(SPARC 64-bit)プラットフォームでは、Oracle Audit Vault収集エージェントのリリース10.2.2.1.0からリリース10.2.3.0.0へのアップグレード操作を実行する前に、次のように$ORACLE_HOME /jre フォルダに対する書込み権限を設定する必要があります。設定されていない場合、アップグレード中に../jre/../ ファイルの書込み権限エラーが返されます。
chmod -R u+w jre |
Oracle Audit Vault収集エージェントをリリース10.2.3.0.0にアップグレードする際の唯一の要件は、それらの収集エージェントに関連するOracle Audit Vault Server(Audit Vaultサーバー)をリリース10.2.3.0.0にアップグレード済であることです。Oracle Audit Vault収集エージェントと、それに関連する最新バージョンのAudit Vaultサーバーの間の互換性を維持する上で、これは必要不可欠の条件です。 つまり、まずエージェントに関連付けられたAudit Vaultサーバーをリリース10.2.3.0.0にアップグレードしないと、Oracle Audit Vault収集エージェントをこのリリースにアップグレードできません。これは、Oracle Audit Vault収集エージェントが、より古いリリースの、リリース10.2.2.1.0以前の関連付けられたAudit Vaultサーバーと互換性がなく、一緒に動作しないためです。
より古いリリースのインストールされたOracle Audit Vault収集エージェントは、常に、エージェントと同じリリース以上で最新リリースのインストールされたAudit Vaultサーバーと一緒に動作します。これは、より古いリリースのOracle Audit Vault収集エージェントの、より新しいリリースのAudit Vaultサーバーに対する上位互換性と呼ばれます。たとえば、リリース10.2.2.1.0のOracle Audit Vault収集エージェントは、リリース10.2.3.0.0のAudit Vaultサーバーと互換性があります。
一方で、リリース10.2.3.0.0のOracle Audit Vault収集エージェントは、リリース10.2.2.1.0以前のAudit Vaultサーバーとの互換性がなく、一緒に動作しません。 たとえば、アップグレードされたリリース10.2.3.0.0のOracle Audit Vault収集エージェントも、新たにインストールされたリリース10.2.3.0.0のOracle Audit Vault収集エージェントも、リリース10.2.2.1.0以前のOracle Audit Vault Serverとの互換性はありません。
Oracle Audit Vault収集エージェント・リリース10.2.3にアップグレードするには、次の手順に従って、Oracle Audit Vaultコンポーネントを停止してアップグレードを実行し、Oracle Audit Vaultコンポーネントを起動します。
手順1: NLS_LANG環境変数が設定されていないことの確認
注意: 2007年10月以降のOracle CPUがリリース10.2.2.1以前のOracle Audit Vault収集エージェントに適用されている場合、この手順は必要ありません。 |
手順5: Oracle Audit Vault収集エージェント・ホームでのOracle Audit Vault収集エージェント・リリース10.2.3.0.0へのアップグレードの実行
これらの各手順の詳細を以降に示します。
手順1: NLS_LANG環境変数が設定されていないことの確認
NLS_LANG
環境変数は設定しないでください。
Cシェルの場合の例は次のとおりです。
unsetenv NLS_LANG
Bourne、BashまたはKornシェルの場合の例は次のとおりです。
unset NLS_LANG
手順2: アップグレードする収集エージェント下で実行している全コレクタの停止
アップグレードの対象となるOracle Audit Vault収集エージェントに関連するコレクタを、すべて停止する必要があります。
ORACLE_HOME
、ORACLE_SID
およびPATH
環境変数が適切に設定されているAudit Vault Serverホームから、次のコマンド構文を使用して各コレクタを停止します。
avctl stop_collector -collname collector-name -srcname source-name
手順3: アップグレードする収集エージェントの停止
アップグレードの対象となるOracle Audit Vault収集エージェントに関連する収集エージェントを、すべて停止する必要があります。
ORACLE_HOME
、ORACLE_SID
およびPATH
環境変数が適切に設定されているAudit Vault Serverホームから、次のコマンド構文を使用して各収集エージェントを停止します。
avctl stop_agent -agentname agent-name
手順4: アップグレードする収集エージェントを配置するエージェントOC4Jの停止
アップグレードの対象となるOracle Audit Vault収集エージェントに関連するエージェントOC4Jを停止する必要があります。どの収集エージェントにも、エージェントOC4Jが1つ関連付けられています。
Oracle Audit Vault収集エージェント・ホーム(ORACLE_HOME
、ORACLE_SID
、PATH
、LD_LIBRARY_PATH
(Linux x86、Linux x86-64およびSolaris SPARC_64の場合)、SHLIB_PATH
(HP-UX PA RISCおよびHP Itaniumの場合)またはLIBPATH
(AIXの場合)環境変数が適切に設定されているOracle Audit Vault収集エージェント・ホーム)から、次のコマンド構文を使用してエージェントOC4Jを停止します。
avctl stop_oc4j
手順5: Oracle Audit Vault収集エージェント・ホームでのOracle Audit Vault収集エージェント・リリース10.2.3.0.0へのアップグレードの実行
次の手順に従って、Oracle Audit Vault収集エージェント・ホームのOracle Audit Vault収集エージェント・リリース10.2.3.0.0へのアップグレードを実行します。
Oracle Audit Vault収集エージェント・リリース10.2.3のメディアを特定し、そのメディアをマウントします。
runInstallerプログラムが存在するディレクトリからOracle Universal Installer(OUI)を起動します。
cd directory-containing-Oracle-Audit-Vault-Agent-Installation-Files
./runInstaller
Oracle Audit Vault Agentインストール インストール・タイプの選択画面で、インストーラによりアップグレード可能なリリースが検出されると、既存のAudit Vault Agentホームのアップグレード・オプションが自動的に選択され、アップグレード可能なホーム・パスの指定が表示されます。アップグレード可能なパスが複数存在する場合は、パス名を確認し、アップグレードするパス指定を選択します。次に「次へ」をクリックします。
サマリー・ページ画面が表示されます。必要な領域を確認します。パッチ・セット1のインストールには、33MBの領域(27MBの一時領域を含む)が必要です。次に、インストールする各項目を確認します。「インストール」をクリックします。
「コンフィギュレーション・アシスタント」画面が表示され、Oracle Audit Vault収集エージェントの個別パッチの適用に進み、リリース10.2.3のアップグレード・インストールを続行するため、Oracle Audit Vault Upgrade AssistantによりいくつかのAVCAスクリプトが実行されます。
「インストールの終了」画面に、インストールが成功したことを示すメッセージが表示されます。「終了」をクリックしてOracle Universal Installerを終了します。次に「終了」確認画面で「終了しますか。」と表示されたら、「はい」をクリックして終了操作を確認します。
手順6: アップグレードされた収集エージェントの起動
ORACLE_HOME
、ORACLE_SID
およびPATH
環境変数が適切に設定されているAudit Vaultサーバー・ホームから、次のコマンド構文を使用して、アップグレードされた収集エージェントを起動します。
avctl start_agent -agentname agent-name
手順7: アップグレードされた収集エージェントで実行するコレクタの起動
ORACLE_HOME
、ORACLE_SID
、PATH
、LD_LIBRARY_PATH
(Linux x86、Linux x86-64およびSolaris SPARC_64の場合)、SHLIB_PATH
(HP Itaniumの場合)またはLIBPATH
(AIXの場合)環境変数が適切に設定されているAudit Vaultサーバー・ホームから、次のコマンド構文を使用して、アップグレードされた収集エージェントで実行する各コレクタを起動します。
avctl start_collector -collname collector-name -srcname source-name
手順8: Oracle Audit Vaultシステムの監視
この手順は、すべてのOracle Audit Vaultコンポーネントが実行されており、システムが使用可能であることを確認するためにOracle Audit Vaultシステムを監視する必要があることを示すためのものです。詳細は、『Oracle Audit Vault管理者ガイド』を参照してください。
レスポンス・ファイルを使用してサイレント・アップグレード・インストールを実行する手順は、次のとおりです。
Oracle Audit Vault収集エージェントをインストールするための前提条件がすべて満たされていることを確認します。
Oracle Audit Vault収集エージェントのレスポンス・ファイルを準備します。レスポンス・ファイルのテンプレートは、Oracle Audit Vault収集エージェント・インストール・メディアのAV-agent-installer-location
/response/upgrade_avagent.rsp
(LinuxおよびUNIXベースのシステム)、およびAV-agent-installer-location
\response\upgrade_avagent.rsp
(Microsoft Windowsシステム)にあります。
レスポンス・ファイルを準備するには、レスポンス・ファイルの最初の部分で、すべてのパラメータの値を入力し、ファイルを保存します。レスポンス・ファイルの2番目の部分にある値は編集しないでください。
次のオプションを使用して、Oracle Universal Installerを起動します。
LinuxおよびUNIXベースのシステムでは、次のとおりです。
./runInstaller -silent -responseFile Path-of-response-file
Windowsシステムでは、次のとおりです。
setup.exe -silent -responseFile Path-of-response-file
この例の各要素の意味は次のとおりです。
Path of response file
: レスポンス・ファイルのフルパスを識別します。
-silent
: Oracle Universal Installerはサイレント・モードで実行され、ようこそウィンドウは表示されません。
これらのオプションの詳細は、1.2.2項を参照してください。これらのオプションの一般情報、およびこれらのレスポンス・ファイルを使用してインストールを完了する方法については、Oracle Databaseのプラットフォーム固有のインストレーション・ガイドと、Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersのインストレーション・ガイドを参照してください。レスポンス・ファイルを使用したインストールの詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド』の「Oracle製品のインストール」を参照してください。
アップグレードはインプレース・アップグレードであるため、Oracle Audit Vault収集エージェント・アップグレード実行後も、元のディレクトリ構造はそのまま使用できます。これは、ORACLE_HOME
、ORACLE_SID
、PATH
、LD_LIBRARY_PATH
(Linux x86、Linux x86-64およびSolaris SPARC_64)、SHLIB_PATH
(HP-UX PA RISCおよびHP Itaniumの場合)またはLIBPATH
(AIXの場合)環境変数がアップグレード前と同じであることを意味します。
アップグレード・インストール後のその他の作業については、3.4項を参照してください。